(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005430
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/17 20160101AFI20250108BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20250108BHJP
【FI】
A23L33/17
A23L5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102521
(22)【出願日】2024-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2023104679
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】山下 繭香
(72)【発明者】
【氏名】田中 英俊
(72)【発明者】
【氏名】宮元 彩希
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏哉
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD01
4B018MD07
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4B035LC06
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4B035LG32
4B035LG34
4B035LK19
4B035LP21
4B035LP36
(57)【要約】
【課題】本発明は、ケラチンを含有し、製造性が良好で、服用感に優れた経口組成物を得ることを目的とする。
【解決手段】(A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤とを含有することを特徴とする経口組成物、若しくは、(A)ケラチンと(E)緑葉素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有することを特徴とする経口組成物。
【請求項2】
(A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤と、(D)流動化剤を含有し、(A)ケラチンを1質量%以上含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
【請求項3】
(A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤と、(D)流動化剤を含有し、(A)ケラチンを20質量%以上含有し、形態が錠剤であり、硬度が5~30kgfであることを特徴とする経口組成物。
【請求項4】
(A)ケラチンと、(E)緑葉素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
【請求項5】
(A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、前記(C)賦形剤として還元麦芽糖を含有することを特徴とする錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチンを含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチンは硬タンパク質の一つで、毛髪、爪、皮膚などの構造タンパク質の総称である。ケラチンは、保湿作用、皮膚老化防止作用、抗炎症作用を有することが知られており、化粧品や健康食品等に用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ケラチンは接着性が低いことから、ケラチンを含有する錠剤などを製造する場合、製造性の点で課題がある。また、ケラチンは特有の風味を有するものであり、経口摂取する場合、呈味の点でも課題がある。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、ケラチンと、特定の他の成分とを含有することで、製造性が良好で、服用感に優れた経口組成物を製造できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有することを特徴とする経口組成物。
[2](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、(A)ケラチンを1質量%以上含有することを特徴とする経口組成物。
[3](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、さらに(D)流動化剤を含有することを特徴とする経口組成物。
[4](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
[5](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、(A)ケラチンを1質量%以上含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
[6](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、(A)ケラチンを20質量%以上含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
[7](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、(A)ケラチンを20質量%以上含有し、形態が錠剤であり、硬度が5~30kgfであることを特徴とする経口組成物。
[8](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤と、(D)流動化剤を含有し、(A)ケラチンを1質量%以上含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
[9](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤と、(D)流動化剤を含有し、(A)ケラチンを20質量%以上含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
[10](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤と、(D)流動化剤を含有し、(A)ケラチンを20質量%以上含有し、形態が錠剤であり、硬度が5~30kgfであることを特徴とする経口組成物。
[11](A)ケラチンと、(E)緑葉素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
[12](A)ケラチンと、(E)緑葉素材とを含有し、(A)ケラチンを1質量%以上含有することを特徴とする経口組成物。
[13](A)ケラチンと、(E)緑葉素材とを含有し、(A)ケラチンを1質量%以上含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
[14](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤と、(E)緑葉素材を含有することを特徴とする経口組成物。
[15](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤と、(E)緑葉素材を含有し、(A)ケラチンを1質量%以上含有し、形態が錠剤、顆粒剤又はカプセル剤であることを特徴とする経口組成物。
[16](A)ケラチンと、(B)滑沢剤及び/又は(C)賦形剤を含有し、前記(C)賦形剤として還元麦芽糖を含有することを特徴とする錠剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケラチンと、滑沢剤及び/又は賦形剤とを含有すること、若しくは、ケラチンと緑葉素材とを含有することにより、製造性が良好で、服用感に優れた経口組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
(A)ケラチン
ケラチンとは、硬タンパク質の一つで、毛髪、爪、皮膚などの構造タンパク質の総称である。本発明におけるケラチンとしては、ケラチンを含む物質であれば、特に限定されず、例えば、市販品を使用することができる。また、本発明のケラチンとしては、ケラチン分解物も含まれる。
【0010】
本発明におけるケラチンの原料としては、羊毛、馬毛などの動物の毛、動物の爪、角、ひずめ、鳥類の羽、魚類の鱗等を用いることができ、特に限定されないが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、動物の毛、鳥類の羽を用いることが好ましく、羊毛、鳥類の羽を用いることが特に好ましい。
【0011】
本発明において、ケラチンを得る方法としては、ケラチン含有原料から抽出する方法や得られた抽出物を分解する方法が挙げられ、抽出又は分解後、精製してもよい。またこの後、さらに熱風乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥または凍結乾燥などの乾燥処理を行い、ケラチンを乾燥物として得てもよい。
【0012】
分解方法としては、アルカリ加水分解、酸加水分解、還元剤による還元分解、酵素による直接又はバイオリアクター法、および与圧加水分解による分解等が挙げられ、アルカリ加水分解後や酸加水分解後は必要に応じて中和してもよい。これらの分解の条件としては、特に限定はなく、公知の条件であればよい。
【0013】
精製方法としては、ゲルろ過法、イオン交換法等が挙げられる。
【0014】
本発明において、ケラチンの中でも、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、ケラチン分解物が好ましく、加水分解により得られるケラチン加水分解物がより好ましい。
【0015】
本発明の経口組成物におけるケラチン量の測定は、HPLCにより測定することができる。
【0016】
本発明におけるケラチンの含有量は特に限定はないが、ケラチンが有する効果をより享受できる観点から、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がよりさらに好ましく、30質量%以上が極めて好ましく、40質量%以上が特に好ましい。また、日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
【0017】
(B)滑沢剤
滑沢剤とは、錠剤用の粉末を圧縮する際に打錠機杵臼と錠剤間の摩擦を緩和し、スティッキングなどの打錠障害を防ぐために使用するものである。本発明に使用できる滑沢剤としては、上記目的を達成することが可能な成分であれば特に制限はなく、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸又はその塩、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、植物油脂、硬化油、タルクなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよし、2種以上を併用してもよい。滑沢剤は、市販品を使用することができる。本発明においては、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点からステアリン酸又はその塩、脂肪酸エステル、ナタネ硬化油が好ましく、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ナタネ硬化油がより好ましい。
【0018】
本発明における滑沢剤の含有量は特に限定はないが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が特に好ましい。また、日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
【0019】
(C)賦形剤
賦形剤とは、組成物の取扱いあるいは成形の向上や服用を便利にするために加えるものである。本発明に使用できる賦形剤としては特に制限はなく、例えば、デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、デンプン分解物等のデンプン又はその誘導体、デキストリン、還元パラチノース、還元麦芽糖等の糖アルコール、乳糖、麦芽糖等の二糖類、ビール酵母、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース又はその誘導体、寒天、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、沈降炭酸カルシウム等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。賦形剤は、市販品を使用することができる。本発明においては、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、デンプン又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、糖アルコール、二糖類、寒天等の糖類が好ましく、アルファー化デンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、還元パラチノース、還元麦芽糖、乳糖、麦芽糖、寒天がより好ましい。また、経口組成物としての呈味改善の観点から、結晶セルロースを含むことが特に好ましく、錠剤として本発明の経口組成物を製造する場合には、より製造性が向上するという点で、賦形剤として還元麦芽糖を含むことが特に好ましい。
【0020】
本発明における賦形剤の含有量は特に限定はないが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がよりさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。また、日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
【0021】
(D)流動化剤
本発明における流動化剤とは、混合末や顆粒の流動性を改善するために使用するものである。本発明に使用できる流動化剤としては特に制限はなく、例えば二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。流動化剤は、市販品を使用することができる。本発明においては、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウムが好ましく、二酸化ケイ素、リン酸カルシウムがより好ましい。
【0022】
本発明における(D)流動化剤の含有量は特に限定はないが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、組成物中に0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。また、日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。さらに、本発明の経口組成物を錠剤として製造する場合、製造性向上の観点から3質量%以下とすることが特に好ましい。
【0023】
(E)緑葉素材
本発明において、緑葉素材は、通常知られているとおりの意味の緑葉素材であれば、特に限定されず、例えば、緑葉野菜の茎葉の加工物を含む組成物である。本明細書では、「茎及び/又は葉」を「茎葉」とよぶ。緑葉野菜は通常知られているとおりの意味の緑葉野菜であれば特に限定されず、例えば大麦若葉、ハトムギ若葉、甘藷若葉、ケール、明日葉、クマザサ、ヨモギ、長命草、桑の葉、茶葉、ほうれん草、水菜、かぶの葉、セロリ、小松菜、大根の葉、人参の葉、ブロッコリー、しそ、春菊、パセリ、キャベツ、レタスなどが挙げられる。本発明においては、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、大麦若葉、甘藷若葉、ケール、明日葉、クマザサ、ヨモギ、長命草、桑の葉、茶葉が好ましく、大麦若葉、甘藷若葉、ケール、明日葉、クマザサがより好ましく、大麦若葉、甘藷若葉が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
緑葉野菜の茎葉の加工物は、通常知られる植物体の加工物であれば特に限定されず、例えば粉砕物及びその乾燥粉末(粉砕末とも言う)、細片化物、搾汁及びその乾燥粉末(搾汁末とも言う)並びに抽出物及びその乾燥粉末(抽出末とも言う)などが挙げられるが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、粉砕末が好ましい。
【0025】
緑葉野菜の茎葉を粉砕末にする方法は従来公知の植物体を粉砕末化する方法を用いることができる。そのような方法としては、緑葉野菜の茎葉に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕末化は、この方法に、さらに必要に応じてブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。
【0026】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、緑葉野菜の茎葉の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理方法は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、遠赤外線乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の植物体を乾燥する方法により行われ得る。加熱による乾燥は、加温により緑葉野菜の茎葉が変色しない温度及び時間で行われ、例えば、乾燥温度は40℃~140℃の範囲で、数時間から数十時間である。得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、低温乾燥時の温度は40℃~70℃程度にて、高温乾燥時の温度は70℃~110℃程度にて行うのが好ましい。また、乾燥処理の回数は1回又は2回以上としてもよい。例えば、遠赤外線などを用いて40℃~70℃程度にて数時間~数十時間で低温乾燥処理に供した後に、80℃~100℃程度にて数時間~数十時間で高温乾燥処理に供することなどが挙げられる。
【0027】
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、手作業やクラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により緑葉野菜の茎葉を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された緑葉野菜の茎葉は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、200メッシュを通過するものを緑葉野菜の茎葉の粉末として用いることが好ましく、200メッシュ以下の比率が90質量%以上であることが好ましい。また、粉砕処理の回数は1回又は2回以上としてもよく、例えば、手作業などで粗粉砕処理に供した後に、粉砕機などを用いてより細かく粉砕する微粉砕処理に供することなどが挙げられる。
【0028】
具体的な緑葉野菜の茎葉を粉砕末にする方法としては、例えば、緑葉野菜の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる(特開2004-000210号公報を参照)。この他にも、例えば、緑葉野菜の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法(特開2002-065204号公報、特許第3428956号公報を参照);緑葉野菜の茎葉を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法(特開2003-033151号公報、特許第3277181号公報を参照)などが挙げられる。
【0029】
緑葉野菜の茎葉を細片化する方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。
【0030】
緑葉野菜の茎葉を搾汁する方法は特に限定されないが、例えば、緑葉野菜の茎葉又はその細片化物を圧搾する方法、該細片化物を遠心やろ過する方法など当業者が植物体を搾汁する際に通常使用する方法を用いることができる。搾汁は、特に限定されないが従来の液体を濃縮させる方法によって必要に応じて濃縮してもよい。搾汁は、特に限定されないが例えば凍結乾燥、減圧乾燥などの従来の液体を乾燥させる方法によって乾燥させてもよい。
【0031】
緑葉野菜の茎葉の抽出物を得る方法は特に限定されないが、例えば、緑葉野菜の茎葉又はその細片化物に、エタノール、水、含水エタノール、アセトン、ヘキサン、ジクロロメタンなどの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて攪拌や加温して抽出する方法など当業者が植物体を抽出する際に通常使用する方法を用いることができる。抽出物は、特に限定されないが従来の液体を濃縮させる方法によって必要に応じて濃縮してもよい。また抽出物は、特に限定されないが例えば凍結乾燥、減圧乾燥などの従来の液体を乾燥させる方法によって乾燥させてもよい。
【0032】
本発明における(E)緑葉素材の含有量は特に限定はないが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、本発明の組成物中に、乾燥質量換算で、組成物中に0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がよりさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。また、日常生活において継続的に経口摂取しやすい観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
【0033】
本発明の組成物において、(B)滑沢剤を含有する場合、(A)ケラチンに対する(B)滑沢剤の配合比率は、乾燥質量にて、質量比で(A):(B)=1:0.001~10であることが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から好ましく、(A):(B)=1:0.005~2であることがより好ましく、(A):(B)=1:0.01~1であることがよりさらに好ましく、(A):(B)=1:0.05~0.5であることが特に好ましい。
【0034】
本発明の組成物において、(C)賦形剤を含有する場合、(A)ケラチンに対する(C)賦形剤の配合比率は、乾燥質量にて、質量比で(A):(C)=1:0.01~100であることが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から好ましく、(A):(C)=1:0.05~50であることがより好ましく、(A):(C)=1:0.1~30であることがよりさらに好ましく、呈味をより改善する観点から(A):(C)=1:1~10であることが特に好ましい。
【0035】
本発明の組成物において、(D)流動化剤を含有する場合、(A)ケラチンに対する(D)流動化剤の配合比率は、乾燥質量にて、質量比で(A):(D)=1:0.001~10であることが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から好ましく、(A):(D)=1:0.005~2であることがより好ましく、(A):(D)=1:0.01~1であることがよりさらに好ましく、(A):(D)=1:0.05~0.5であることが特に好ましい。
【0036】
本発明の組成物において、(E)緑葉素材を含有する場合、(A)ケラチンに対する(E)緑葉素材の配合比率は、乾燥質量にて、質量比で(A):(E)=1:0.01~100であることが、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から好ましく、(A):(E)=1:0.05~50であることがより好ましく、(A):(E)=1:0.1~30であることがよりさらに好ましく、(A):(E)=1:1~10であることが特に好ましい。
【0037】
本発明においては、(A)ケラチン、(B)滑沢剤、(C)賦形剤、(D)流動化剤、(E)緑葉素材の他に経口組成物に使用可能な成分を使用できる。例えば、ケラチン、緑葉素材以外の動植物由来成分、崩壊剤、各種担体、安定(化)剤、界面活性剤、可塑剤、可溶(化)剤、還元剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、抗酸化剤、光沢化剤、コーティング剤、剤皮、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、清涼化剤、着色剤、着香剤、香料、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘稠化剤、粘稠剤、発泡剤、pH調整剤、稀釈剤、分散剤、崩壊補助剤、崩壊延長剤、芳香剤、防湿剤、防腐剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、帯電防止剤、保湿剤、付湿剤等を挙げることができる。
【0038】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、固形状剤、液剤が挙げられる。固形状剤としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等を挙げることができる。これらの中でも、得られる組成物の製造性向上、呈味改善の観点から、錠剤、顆粒剤、カプセル剤の形態が好ましく、得られる組成物の製造性向上の観点から、錠剤が特に好ましい。錠剤としては、裸錠、コーティング錠、徐放錠、口腔内速崩壊錠、バッカル錠、チュアブル錠等を挙げることができる。顆粒状とは粉末を造粒した組成物のことを言う。カプセル剤としては、ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤、マイクロカプセル剤等を挙げることができる。
【0039】
本発明の経口組成物の製造方法は特に限定されず、使用態様に応じて当業者に知られる一般的な製造方法に準じて製造できる。顆粒剤である場合、例えば、組成成分を流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法などの造粒方法に従って造粒して顆粒状とすることで、製造できる。錠剤である場合、例えば、混合機で組成成分を混合し、打錠機で打錠して作製することで、製造できる。打錠工程前に、造粒機を用いて造粒し、乾燥、整粒する工程を行ったり、打錠工程後にコーティング機で錠剤をコーティングする工程を設けたりしてもよい。カプセル剤である場合、例えば、混合機で組成成分を混合し、ハードカプセルに充填することによって製造できる。
【0040】
本発明における製造性の指標として、例えば錠剤である場合、キャッピング、ラミネーション、スティッキング、バインデイング等の打錠障害の発生有無や、錠剤の硬度が挙げられる。本発明の経口組成物における錠剤の硬度は、輸送時や保管時に包装内で割れ、欠け、摩損等の不具合が生じない観点から、5~30kgfが好ましく、6~20kgfがより好ましく、7~11kgfが特に好ましい。本発明における錠剤の硬度とは、ロードセル式錠剤硬度計(製品名:ポータブルチェッカーPC-30、岡田精工株式会社製)を用いて測定される値である。
【0041】
本発明の経口組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等として用いることができる。
【実施例0042】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
[錠剤1]
表1の配合にて、錠剤を製造した。錠剤は、1粒250mgで製造した。得られた錠剤は1日あたり1~4粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。いずれの錠剤も製造性が良好で、服用感に優れた。
【0044】
【0045】
[錠剤2]
表2の配合にて、錠剤を製造した。錠剤は、1粒1500mgで製造した。得られた錠剤は1日あたり1~4粒を摂取すればよく、噛んで摂取することができる。いずれの錠剤も製造性が良好で、服用感に優れた。
【0046】
【0047】
[顆粒剤1]
表3の配合にて、顆粒剤を製造した。得られた顆粒剤は、1日あたり3gを摂取すればよく、100mlの水などに溶かして摂取することができる。いずれの顆粒剤も製造性が良好で、服用感に優れた。
【0048】
【0049】
[顆粒剤2]
表4の配合にて、顆粒剤を製造した。得られた顆粒剤は、1日あたり2gを摂取すればよく、水などに溶かさずにそのまま摂取することができる。いずれの顆粒剤も製造性が良好で、服用感に優れた。
【0050】
【0051】
[ハードカプセル]
表5の配合の内容物をゼラチン又はヒドロキシプロピルセルロースを含む被膜で被包することで、ハードカプセルを製造した。ハードカプセルは1粒400mgで製造した。1日あたり1~2粒を摂取すればよく、100mlの水などと共に摂取することができる。いずれのハードカプセルも製造性が良好で、服用感に優れた。
【0052】
【0053】
<試験1 風味の評価>
本発明の経口組成物の風味ついて評価した。
【0054】
[サンプルの調製]
表6に記載の質量比で各原料を混合し、実施例1~13及び比較例1の粉末を製造した。
【0055】
【0056】
[評価方法]
官能試験に関する知識と経験を有する被験者4名に、各粉末を指先につけて舐めることにより摂取させ、官能評価を実施した。評価項目は「苦み」、「舌ざわり」、「後味」の3項目とした。各項目の評価については、以下に示すように、最も良い場合を5点、最も悪い場合を1点、良くも悪くもない場合(最も良い場合と最も悪い場合の中間)を3点とする5段階評価によって、各被験者が評点をつけた。
苦み :苦味が強い 1 ← 3 → 5 苦味が弱い
舌ざわり :舌ざわりが悪い 1 ← 3 → 5 舌ざわりがよい
後味 :後味が悪い 1 ← 3 → 5 後味が良い
【0057】
[試験結果]
各評価項目について、被験者4名の平均点を算出した結果を表7に示す。
【0058】
【0059】
表7に示すように、賦形剤として結晶セルロースを含む実施例3~5において呈味がより改善されており、実施例5においては特に改善されていることが確認された。また、緑葉素材を含む場合にも呈味の改善がみられており、大麦若葉を含む実施例においてその改善幅が大きく、実施例9及び実施例10において、さらに高い評価となっていた。
【0060】
<試験2 錠剤の評価>
本発明の経口組成物の錠剤としての製造性について評価した。
【0061】
[錠剤の製造]
表8に記載の質量比で各原料を混合し、卓上錠剤成形機(HANDTAB-200、市橋精機株式会社)を用いて錠剤を成形した。重量250mg、直径:8mm、打錠硬度:9kgfになるまで、圧を加えて、実施例14~30並びに比較例2及び3の錠剤を成形した。打錠硬度が9kgfとなった際の打錠圧力を表9に示す。
【0062】
【0063】
[崩壊性評価]
上記で得られた錠剤について、崩壊性を評価した。崩壊性の評価としては、第十五改正日本薬局方における項目「6.09」の「崩壊試験法」に記載の方法で、崩壊試験器 (富山産業株式会社、型番:NT-40H)を用いて、n=6で崩壊時間を測定した。なお、溶液は水を用いた。結果を表9に示す。
【0064】
得られた錠剤について、以下のように3段階で評価した。今回の評価では明らかな打錠障害の有無と、崩壊時間が20分未満となるような狙いの錠剤が製造できたか、という観点で評価した。
◎:問題なく打錠でき、製造された錠剤の崩壊時間が20分未満だった。
〇:問題なく打錠できたが、製造された錠剤の崩壊時間が20分以上だった。
×:明らかな打錠障害(キャッピング、スティッキング)がある。
結果を表9に示す。
【0065】
【0066】
表9に示すように、滑沢剤及び賦形剤を含まない比較例2は錠剤の一部がはがれるキャッピングがみられ、滑沢剤を含まない比較例3ではスティッキングがみられた。実施例14~30では、明らかな打錠障害を起こさず、錠剤を製造することができた。また、実施例14は、実施例15と比較し、3質量%以下のステアリン酸カルシウムを含むことで流動性が改善され、目的の硬度(9kgf)の錠剤を製造する際に必要な打錠圧力がより小さくなり、崩壊時間も短縮されていた。さらに、実施例19及び実施例23と比較して、実施例18及び実施例20~22の実施例では、錠剤としての評価が高かった。これは、本発明の経口組成物の賦形剤として還元麦芽糖を含むことにより、打錠性の良さと崩壊性の良さを両立できたためと考えられる。
本開示の経口組成物は、製造性が良好で、服用感に優れた経口組成物を提供することができため、サプリメント、健康食品、栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品、及び医薬品等として利用可能であることから、産業上の有用性は高い。