(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005433
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】カテーテルの場所及び力を感知するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/095 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
A61M25/095
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024102728
(22)【出願日】2024-06-26
(31)【優先権主張番号】63/523,440
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/749,244
(32)【優先日】2024-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ナサネル・イェフダ・デビッド・ハヤット
(72)【発明者】
【氏名】バリー・ニール・ブリーン
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム・コーエン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ゾーハル
(72)【発明者】
【氏名】シェマー・シュマリアウ・バーコウィッツ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB02
4C267BB44
4C267BB62
4C267CC08
4C267EE01
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】カテーテルの場所とそれによって加えられる力とを感知するためのシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】カテーテルの遠位端の場所及び/又は向きを示す信号を測定するための位置センサ、及びその製作方法が開示される。位置センサは、カテーテル遠位端の場所及び/又は向きを示す、1つ以上の磁場の異なる側面を感知するために、フレキシブル回路基板(FCB)と、その上に配置される少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)とを含む。FCBは、SMDコイルのうちの少なくとも3つの磁束軸が同一平面上にないように折り畳まれた/巻かれた状態で、センサに設置され、それによって、測定された信号を利用することを可能にし、それによって、1つ以上の磁場源に対するセンサの向き及び場所のうちの少なくとも1つを決定する。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置センサであって、前記センサの場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す信号を測定するように適合されており、
i.回路基板と、
ii.前記回路基板上に配置され、1つ以上の磁場源に対する前記センサの場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す外部磁場の異なる態様を感知するように構成された、少なくとも3つのコイルと、
を備え、
前記回路基板は、フレキシブル回路基板(FCB)であり、前記少なくとも3つのコイルは、表面実装技術(SMT)によって前記FCB上に実装された、少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)であり、
前記FCBは、その表面上に実装された前記SMDコイルのうちの少なくとも3つの前記磁束軸が同一平面上にないように折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置され、それによって、前記少なくとも3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の磁場源に対する前記センサの向き及び場所のうちの前記少なくとも1つを測定することを可能にする、位置センサ。
【請求項2】
前記位置センサの前に位置する第1の磁場源に対する前記センサの向きを示す信号を測定するように適合されており、
前記少なくとも3つのSMDコイルは、前記FCB上に配置された3つのSMDコイルを含み、それらの磁束軸は互いに平行であり、前記FCBが折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されているときに同一平面上になく、それによって、前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記第1の磁場源が前記磁束軸の一般的な方向に対して前記センサの前に配置されているときに、前記第1の磁場源に対する前記位置センサの2つの配向角を決定することが可能になる、請求項1に記載の位置センサ。
【請求項3】
前記3つのSMDコイルは、FCB表面に対してそれらの磁束軸が平行な向きにある状態で前記FCBの前記表面に表面実装技術を介して表面実装され、前記FCBは、前記センサにおいて折り畳まれた/巻かれた形態で配置され、前記折り畳まれた/巻かれた形態の折り畳み軸/巻き軸が、その上の前記3つのSMDコイルの前記平行な磁束軸に実質的に平行である、請求項2に記載の位置センサ。
【請求項4】
1つ以上の第2の磁場源に対する前記センサの場所及び向きを示す信号を測定するように適合されており、
前記少なくとも3つのSMDコイルは、前記FCB上に配置された3つのSMDコイルを含み、前記FCBが前記センサにおいて折り畳まれたときに前記3つのSMDコイルの前記磁束軸が3D座標に広がり、
それにより、前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記1つ以上の第2の磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定することが可能になる、請求項1~3のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項5】
前記3つのSMDコイルのうちの2つのSMDコイルは、前記FCB表面に対してそれらの磁束軸を垂直に配向した状態で、表面実装技術を介して前記FCBの前記表面に表面実装され、前記FCBが、折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されるとき、前記2つのSMDコイルの前記磁束軸が平行でなく、前記3つのSMDコイルのうちの第3のSMDコイルは、前記FCB表面に対してその磁束軸を平行に配向した状態で、表面実装技術を介して前記FCBの前記表面に表面実装されている、請求項4に記載の位置センサ。
【請求項6】
前記少なくとも3つのSMDコイルは、前記センサの1つ以上のFCBに表面実装された、少なくとも5つのSMDコイルを含み、
前記少なくとも5つのSMDコイルの第1のサブセットは、3つのSMDコイルを含み、これらは、それらの磁束軸が、互いに平行であり、前記FCBが折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されるときに同一平面上にないように配置され、それによって、前記第1のサブセットの前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記3つのSMDコイルの前記磁束軸の一般的な方向に沿って前記3つのSMDコイルの前に位置する第1の磁場源に対する前記センサの2つの配向角を決定することを可能にし、
前記少なくとも5つのSMDコイルの第2のサブセットは、3つのSMDコイルを含み、これらは、前記FCBが折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されるときに、それらの磁束軸が3D座標に広がるように配置され、それによって、前記第2のサブセットの前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の外部の第2の磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定することが可能になる、請求項1に記載の位置センサ。
【請求項7】
前記少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、コイル部分と、前記コイル部分の少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分とを備え、これにより、前記コイル部分は、フェライトコアと、12~13μmを超えない螺旋のピッチで前記フェライトコアの外面上に直接螺旋状に配置された導電性巻線構成部とを備え、それによって前記SMDコイルがコンパクトな寸法及び高インピーダンスを有することとなる、
請求項1に記載の位置センサ。
【請求項8】
前記フェライトコアは、少なくとも100のオーダーである比透磁率μrの材料を含み、約20℃から60℃の間の温度範囲内で、前記フェライトコアの前記材料の比透磁率は、±0.3%の許容範囲で安定して、それによって、前記温度範囲内の可変温度条件下での動作中に、一貫した磁場測定を可能にする、請求項7に記載の位置センサ。
【請求項9】
前記導電性巻線構成部は、前記フェライトコアの前記外面上に直接、フォトリソグラフィを利用して製作されている、請求項7又は8のいずれか一項に記載の位置センサ。
【請求項10】
前記少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、その磁束軸を前記FCB表面に対して平坦/平行な向きにして実装され、かつ、導電性巻線構成部を有するコイル部分と、少なくとも2つのSMT実装部分と、を含み、前記少なくとも2つのSMT実装部分は、前記コイル部分の両側から配置されており、SMT電気接続を用いて前記FCBに電気的に連結され、前記導電性巻線構成部の両端にそれぞれ電気的に接続された少なくとも2つのそれぞれ対応する電気接点を有する、請求項1に記載の位置センサ。
【請求項11】
前記少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、その磁束軸を前記FCB表面に対して垂直な/直交する向きにして実装され、かつ、導電性巻線構成部を有するコイル部分と、少なくとも1つのSMT実装部分と、を含み、前記少なくとも1つのSMT実装部分は、前記コイル部分の少なくとも一方の側から配置されており、SMT電気接続を介して前記FCBに電気的に連結され、前記導電性巻線構成部の両端にそれぞれ電気的に接続された少なくとも2つの電気接点を有する、請求項1に記載の位置センサ。
【請求項12】
請求項1にしたがって構成された位置センサを含む医療器具。
【請求項13】
前記医療器具は、長手方向軸線を有する主要部分と、前記主要部分の遠位端に柔軟に連結され、前記第1の磁場源を含む先端部分とを備える細長いハウジングを有するカテーテルであり、
前記位置センサは、前記FCBが前記長手方向軸線に平行な軸線の周りに折り畳まれる/巻かれるように、前記細長いハウジングの前記主要部分に収容され、前記第1のサブセットは、前記第1の磁場源からの磁場の測定に基づいて、前記ハウジングの前記主要部分に対する前記先端部分の向きを決定することを容易にし、前記第2のサブセットは、前記1つ以上の外部の第2の磁場源に対する前記主要部分の場所及び向きを決定することを容易にする、請求項12に記載の医療器具。
【請求項14】
医療器具での使用に適した磁気位置センサを製作する方法であって、
i.フレキシブル回路基板(FCB)を提供することと、
ii.少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)を提供することと、
iii.表面実装技術(SMT)を介して、前記少なくとも3つのSMDコイルを前記FCBに実装することと、
iv.前記少なくとも3つのSMDコイルを有する前記FCBを、管状形態に折り畳むことであって、前記少なくとも3つのSMDコイルの磁気軸が同一平面上にないように前記折り畳みが実行され、それによって、前記少なくとも3つのSMDコイルによって感知される1つ以上の磁場源からの磁場が、前記磁場源に対する前記センサの場所及び向きのうちの少なくとも1つの測定を可能にする、ことと、
を含む方法。
【請求項15】
前記医療器具が、約2.5mm以下の特徴的な内径を有する管状形状の本体を有するカテーテルであり、前記折り畳みが、折り畳まれた後の前記FCBの直径が前記カテーテルの前記本体の前記特徴的な内径よりも小さくなるように実行され、前記方法は、前記折り畳まれたFCBを前記本体内に配置することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記磁気位置センサは、磁場源に対する前記センサの向きを示す信号を測定するように適合され、前記少なくとも3つのSMDコイルを前記実装することは、前記SMDコイルのうちの3つを、それらの磁束軸が、互いに平行であり、前記FCBが前記管状形態に折り畳まれたときに同一平面上にないように、前記FCB上に実装して、それによって前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記3つのSMDコイルの前記磁束軸の一般的な方向に沿って前記3つのSMDコイルの前に位置する磁場源に対する2つの配向角を決定することを可能にすることを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記磁気位置センサが、1つ以上の外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを示す信号を測定するように適合され、前記少なくとも3つのSMDコイルを前記実装することは、前記SMDコイルのうちの3つを、前記FCBが前記管状形態に折り畳まれたときに前記3つのSMDコイルの磁束軸が3D座標に広がるように、前記FCB上に実装して、それによって前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定することを可能にすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記磁気位置センサは、第1の磁場源に対する前記センサの向きを示す信号と、1つ以上の第2の外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを示す信号とを測定するように適合され、前記少なくとも3つのSMDコイルは、少なくとも5つのSMDを含み、前記実装することは、前記FCBが前記管状形態に折り畳まれたときに、前記少なくとも5つのSMDコイルの磁束軸の以下の配置、
-前記少なくとも5つのSMDコイルのうちの少なくとも3つのSMDコイルを含む第1のサブセットの前記磁束軸は、互いに平行であり、同一平面上になく、それによって、前記第1のサブセットから得られた信号の利用を容易にして、前記第1のサブセットの前記3つのSMDコイルの平行な磁束軸の一般的な方向に沿って、前記第1のサブセットの前記3つのSMDコイルの前に前記第1の磁場源が位置するときに、前記第1の磁場源に対する2つの配向角を決定する配置、
-前記少なくとも5つのSMDコイルのうちの少なくとも3つのSMDコイルを含む第2のサブセットの前記磁束軸は、3D座標に広がり、それによって、前記第1のサブセットから得られた信号の利用を容易にして、前記1つ以上の外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定する配置、が得られるように、前記少なくとも5つのSMDコイルを実装することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記実装することが、表面実装技術を利用して行われ、以下、
-2つのSMDコイルを、それらの磁束軸が前記FCB表面に対して垂直の向きである状態で、また1つのSMDコイルを、その磁束軸が前記FCB表面に対して平行の向きである状態で、実装して、前記FCBが折り畳まれた状態にあるときに、前記2つのSMDコイル及び前記1つのSMDコイルの前記磁束軸が、3D座標に広がるようにすることと、
-3つのSMDコイルを、それらの磁束軸が前記FCB表面に対して平行な向きである状態で実装して、前記FCBが前記磁束軸に平行な軸線の周りに折り畳まれたときに、前記3つのSMDコイルの前記磁束軸が平行であり、同一平面上にないようにすることと、のうちの少なくとも一方を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも3つのSMDコイルを前記提供することが、フェライトコア上に直接螺旋状導電性巻線を形成するためにフォトリソグラフィ法を利用して、前記SMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルを製作することを含み、前記フォトリソグラフィ法は、
a.前記フェライトコアの少なくとも管状部分を覆うようにフォトレジスト層を塗布することと、
b.フォトリソグラフィを適用して、前記フォトレジスト層をパターニングし、前記フォトレジスト層によって覆われた前記管状部分の上に、螺旋状パターンを形成することと、
c.前記フェライトコアの外面層を、前記螺旋状パターンの露出領域において電気めっきして、前記フェライトコアの前記管状部分の外面層上に直接、前記導電性の螺旋状巻線を形成することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
-前記フォトリソグラフィ法は、高密度の導電性の螺旋状巻線の製作に適合され、前記螺旋状パターンのピッチ及びそれに対応して前記導電性の螺旋状巻線のピッチは、10μmのオーダー又はそれ未満である、
-前記フェライトコアは、少なくとも100のオーダーの比透磁率μrを有する完全焼結磁性材料を含み、前記フォトリソグラフィは、前記フェライトコアに実質的な損傷を引き起こさずに前記フォトレジストをパターニングするのに適した光出力密度(LDP)及び波長を提供するフォトリソグラフィ光源を利用する、
-前記フォトレジスト層の前記塗布は、少なくとも8μmの厚さを有する乾燥フォトレジストの層を塗布し、それによって、前記電気めっきが、隣接する線間のピッチが小さい前記螺旋状導電性巻線の狭い線幅をもたらし、それらの間の電気めっきの広がりを防止することを可能にすることを含む、
-前記電気めっきの前に、前記フォトリソグラフィ法は、前記フェライトの表面導電率を増加させ、前記電気めっきを容易にするために、前記フェライトコアの少なくとも一部の上にシード層を製作することを含む、
-前記電気めっきの後に、前記フォトリソグラフィ法は、導電性の螺旋状巻線間から、残留フォトレジスト材料を除去することを含む、
-前記フェライトコアには、その少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分が設けられ、また前記フォトレジスト、前記フォトリソグラフィ、及び前記電気めっきが適用されて、前記導電性の螺旋状巻線の少なくとも1つの端部と、前記少なくとも1つの表面実装部分上の1つ以上の指定場所との間に、1つ以上の導電性カプリングを形成し、1つ以上のSMT接点を形成する、
のうちの1つ以上である、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年6月27日に出願された、「A SYSTEM AND METHOD OF SENSING CATHETER’S LOCATION AND FORCE」と題する米国仮特許出願第63/523,440号の優先権を主張する。この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、カテーテルの分野に属し、特に、カテーテルの場所とそれによって加さえられる力とを感知するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の治療及び診断の手技において、カテーテル/プローブは、患者の身体(例えば、心腔)に挿入され、そこで身体組織と接触させられる。典型的には、そのような手技では、身体内のカテーテルの場所(すなわち、カテーテルの遠位先端が身体組織に係合する場所)及びそれによって組織に加えられる圧力を決定することが必要である。
【0004】
カテーテルの場所及びそれによって組織との接触領域に加えられる圧力/力を感知するための、一体化された場所センサ及び圧力センサを有するカテーテルは、一般に知られている。そのようなカテーテルは、典型的には、身体内のカテーテルの場所及び/又はそれによってカテーテルが係合する身体組織に加えられる圧力/力を決定するために、誘導コイルを利用する。
【0005】
このようなカテーテルのための従来の技術は、ワイヤ巻きコイルを利用することが多く、このワイヤ巻きコイルには、巻き付け後にフェライトコアが手動で挿入され得る。次に、このようにして製作されたコイルは、コイル信号を処理回路に搬送するケーブルにはんだ付けされ、カテーテルの本体内に取り付けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
カテーテルの技術分野において、小型の/狭い寸法を有する、物理的に敏捷で感度の良いカテーテルであって、身体内のカテーテルの場所、カテーテルと組織との間の接触界面、及びそれらの間に加えられる力(例えば、ベクトル)に関する正確なフィードバックを提供することが可能なカテーテルが必要とされている。
【0007】
米国特許第8,535,308号及び米国特許出願第2020/015693号は、両方とも本出願の譲受人に譲渡されているものであるが、例えば、カテーテル本体の場所及び向き、並びにそれによって組織との界面に加えられる力を感知するために、いくつかのコイルを有する感知回路を利用するそのようなカテーテルの構成を開示している。
【0008】
そのようなカテーテルの技術における1つの課題は、正確な場所センサ及び力センサを、カテーテルの狭い本体内に取り付けることであり、その横方向寸法は、典型的には、わずか数mmである。実際、そのようなカテーテルに適した感度及び寸法を有する比較的コンパクトなコイルの製作、並びにカテーテル本体内へのこれらのコイルの取り付け及び電気的接続は、典型的には、時間がかかり、費用がかかり、達成可能なコンパクトさ及び精度によって制限され得る繊細な手動操作を伴う。
【0009】
したがって、当該技術分野では、そのようなカテーテルの製作のためのより効率的で費用対効果の高い技法であって、上記で開示されたようなカテーテルにおいて、場所及び/又は力の感知のための使用に適している小型高感度コイル(すなわち、磁場に応答して高い誘導電圧を有する、すなわち、高インピーダンスの小型高感度コイル)製作のための技法が必要とされている。更に、当該技術分野では、そのようなコイルの自動化された製作技法であって、同じ設計の製作されたコイル間のばらつきがより少ない、標準化されたコイルをもたらすことができる製作技法が必要とされている。更に、カテーテルの技術分野における更なる出現のために、更により小型でかつ/又はより高いインピーダンス/誘導電圧を容易にし、カテーテルの感度及び敏捷性のいずれか若しくは両方を改善し、かつ/又はカテーテルの縮小された寸法を実現することも、当該技術分野において必要とされている。
【0010】
本発明は、カテーテル本体の狭い寸法内に高インピーダンス(高誘導電圧)のセンサコイルを設置するのに特に適した、新規な位置センサを提供することによって、上記の必要性を満たすことを達成する。
【0011】
したがって、本発明の1つの広い態様によれば、1つ以上の磁界に対する、センサの場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す信号を測定するように適合された位置センサが提供される。位置センサは、回路基板と、回路基板上に配置され、外部磁界に対するセンサの場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す磁場の異なる態様を感知するように構成された、少なくとも3つのコイルとを備える。本発明のいくつかの態様によれば、回路基板は、フレキシブル回路基板(flexible circuit board、FCB)であり、少なくとも3つのコイルは、表面実装技術(surface mount technology、SMT)によってFCB上に実装された、少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(surface mount coil devices、SMDコイル)である。FCBは、その表面上に実装されたSMDコイルのうちの少なくとも3つの磁束軸が同一平面上にないように折り畳まれた/巻かれた状態でセンサに設置され、それによって、少なくとも3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の磁場源に対するセンサの向き及び場所のうちの少なくとも1つを測定することを可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態によれば位置決めセンサは、位置センサの前に(例えば、FCBがその周りに折り畳まれる軸線である、位置センサの長手方向軸線に対して前に)配置された第1の磁場源に対するセンサの向きを示す信号を測定するように適合される。少なくとも3つのSMDコイルは、FCB上に配置された3つのSMDコイルを含み、これらは、それらの磁束軸が、互いに平行であり、FCBが折り畳まれた/巻かれた状態でセンサに設置されるときに同一平面上にない。これにより、3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、それらの磁束軸の一般的な方向に対して3つのSMDコイルの前に位置する第1の磁場源に対する2つの配向角を決定することが可能になる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、3つのSMDコイルは、表面実装技術を介してFCBの表面に表面実装されるが、それらの磁束軸は、それらが実装されるFCBの表面に対して平行に配向される。他方FCBは、センサにおいて折り畳まれた/巻かれた形態で配置され、FCBの折り畳まれた/巻かれた形態の折り畳み/ロール軸が、その上の3つのSMDコイルの平行な磁束軸に実質的に平行であるようになっている。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、位置センサは、1つ以上の第2の磁場源に対するセンサの場所及び向きを示す信号を測定するように適合される。少なくとも3つのSMDコイルは、FCB上に配置された3つのSMDコイルを含み、FCBがセンサにおいて折り畳まれたときに3つのSMDコイルの磁束軸が3次元(3D)座標に広がる。これにより、3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の磁場源に対するセンサの場所及び向きを決定することが可能になる。いくつかの実施形態では、位置センサの少なくとも3つのSMDコイルのうちの2つのSMDコイルは、FCB表面に対してそれらの磁束軸を垂直に配向した状態で、表面実装技術を介してFCBの表面に表面実装され、FCB表面に対してそれらの磁束軸を垂直に配向した状態で、FCB上に配置される。したがって、FCBが折り畳まれた/巻かれた状態でセンサに設置されるとき、2つのSMDコイルの磁束軸は平行ではない。少なくとも3つのSMDコイルのうちの第3のSMDコイルは、FCB表面に対して、その磁束軸を平行に配向した状態で、表面実装技術を介してFCBの表面に表面実装される。これにより、3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の外部磁場源に対するセンサの場所及び向きを決定することが可能になる。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、位置センサは、センサの1つ以上のFCBに表面実装された、少なくとも5つのSMDコイルを含む。少なくとも5つのSMDコイルのうちの3つのSMDコイルの第1のサブセットは、それらの磁束軸が、互いに平行であり、FCBが折り畳まれた/巻かれた状態でセンサに設置されるときに同一平面上にないように配置され、それによって得られた信号を利用して、それらの磁束軸の一般的な方向に沿ってこれらの3つのSMDコイルの前に位置する第1の磁場源に対するセンサの2つの配向角を決定することを可能にする。加えて、少なくとも5つのSMDコイルのうちの3つのSMDコイルの第2のサブセットは、FCBが折り畳まれた/巻かれた状態でセンサに設置されるときに、その磁束軸が3D座標に広がるように配置される。これにより、第2のサブセットの3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の第2の磁場源に対するセンサの場所及び向きを決定することを可能にする。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、センサの少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、コイル部分と、コイル部分の少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分とを備える。コイル部分は、フェライトコアと、13μmを超えない、しかもいくつかの実施形態では12μmを超えない螺旋のピッチでフェライトコアの外面上に直接螺旋状に配置された導電性巻線構成部とを備え、それによってSMDコイルがコンパクトな寸法及び高インピーダンスを有することとなる。いくつかの実装形態では、フェライトコアは、例えば、少なくとも100のオーダーである比透磁率μrの材料を含み、これは、約20℃~60℃の温度範囲内で、±0.3%の許容範囲で安定している。これにより、当該温度範囲内の可変温度条件下での動作中に、一貫した磁場測定が可能になる。いくつかの実装形態では、導電性巻線構成部は、フェライトコアの外面上に直接、フォトリソグラフィを利用して製作される。
【0017】
本発明の位置センサのいくつかの実施形態では、少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、FCB上に、その磁束軸をFCB表面に対して平坦/平行な向きにして実装される。少なくとも1つのSMDコイルは、導電性巻線構成部を有するコイル部分と、コイル部分の両側から配置された、少なくとも2つのSMT実装部分と、を含み、少なくとも2つのSMT実装部分は、コイル部分の両側から配置されており、SMT電気接続を用いてFCBに電気的に連結され、導電性巻線構成部の両端にそれぞれ電気的に接続された少なくとも2つのそれぞれ対応する電気接点を有する。
【0018】
本発明の位置センサのいくつかの実施形態では、少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、その磁束軸をFCB表面に対して垂直な/直交する向きで実装される。少なくとも1つのSMDコイルは、導電性巻線構成部を有するコイル部分と、少なくとも1つのSMT実装部分と、を含み、少なくとも1つのSMT実装部分は、コイル部分の少なくとも一方の側から配置されており、SMT電気接続を介してFCBに電気的に連結され、導電性巻線構成部の両端にそれぞれ電気的に接続された少なくとも2つの電気接点を有する。本発明の更なる広義の態様によれば、上述したような本発明にしたがって構成され動作可能な位置センサを含む医療器具/デバイスが提供され、以下でより詳細に更に説明する。いくつかの実施形態によれば、医療器具は、長手方向軸線を有する主要部分と、主要部分の遠位端に柔軟に連結され、第1の磁場源を含む先端部分とを備える、細長いハウジングを有するカテーテルである。位置センサは、FCBがカテーテルの長手方向軸線に平行な軸線の周りに折り畳まれる/巻かれるように、細長いハウジングの主要部分に収容される。センサのコイルの第1のサブセットは、上述したように、先端部分に位置する第1の磁場源からの磁場の測定に基づいて、ハウジングの主要部分に対する先端部分の向きを決定することを容易にする。上述したように、センサのコイルの第2のサブセットは、1つ以上の外部の第2の磁場源(医療器具の外部に配置されてもよい)に対する主要部の場所及び向きを決定することを容易にする。
【0019】
本発明の更に別の広範な一態様によれば、医療器具での使用に適した磁気位置センサを製作する方法が提供される。本方法は、
i.フレキシブル回路基板(FCB)を提供することと、
ii.少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)を提供することと、
iii.表面実装技術(SMT)によって、少なくとも3つのSMDコイルをFCBに実装することと、
iv.少なくとも3つのSMDコイルをその上に有するFCBを、少なくとも3つのSMDコイルの磁気軸が同一平面上にないように、管状形態に折り畳むことであって、それによって感知される1つ以上の磁場源からの磁場が、磁場源に対するセンサの場所及び向きのうちの少なくとも1つの測定を可能にし得ることと、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、例えば、医療器具が、約2.5mm以下の特徴的な内径を有する管状形状の本体を有するカテーテルである。折り畳みが、折り畳まれた後のFCBの直径が、カテーテルの本体の特徴的な内径よりも小さくなるように実行され、本方法は、折り畳まれたFCBを、本体内に置くことを含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、磁気位置センサは、磁場源に対するセンサの向きを示す信号を測定するように適合される。少なくとも3つのSMDコイルを実装することは、SMDコイルのうちの3つを、それらの磁束軸が、互いに平行であり、FCBが管状形態に折り畳まれたときに同一平面上にないように、FCB上に実装して、それによってこれらの3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、これらの3つのSMDコイルの磁束軸の一般的な方向に沿って、3つのSMDコイルの前に位置する磁場源に対する、2つの配向角を決定することを可能にする。
【0022】
いくつかの実施形態によると、磁気位置センサが、1つ以上の外部磁場源に対するセンサの場所及び向きを示す信号を測定するように適合される。少なくとも3つのSMDコイルを実装することは、SMDコイルのうちの3つを、FCBが管状形態に折り畳まれたときにこれらの3つのSMDコイルの磁束軸が3D座標に広がるように、FCB上に実装して、それによってこれらの3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、外部磁場源に対するセンサの場所及び向きを決定することを可能にする。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、磁気位置センサは、第1の磁場源に対するセンサの向きを示す信号と、1つ以上の第2の外部磁場源に対するセンサの場所及び向きを示す信号とを測定するように適合される。少なくとも3つのSMDコイルは、少なくとも5つのSMDを含み、実装することは、少なくとも5つのSMDコイルを実装して、FCBが管状形態に折り畳まれたときに、少なくとも5つのSMDコイルの磁束軸の以下の配置、
-少なくとも5つのSMDコイルのうちの少なくとも3つのSMDコイルを含む第1のサブセットの磁束軸は、互いに平行であり、同一平面上になく、それによって、第1のサブセットから得られた信号の利用を容易にして、第1のサブセットの3つのSMDコイルの平行な磁束軸の一般的な方向に沿って、第1のサブセットの3つのSMDコイルの前に第1の磁場源が位置するときに、第1の磁場源に対する2つの配向角を決定する配置、
-少なくとも5つのSMDコイルのうちの少なくとも3つのSMDコイルを含む第2のサブセットの磁束軸は、3D座標に広がり、それによって、第1のサブセットから得られた信号の利用を容易にして、1つ以上の外部磁場源に対するセンサの場所及び向きを決定する配置、が得られるようにする。
【0024】
いくつかの実施形態では、実装することは、表面実装技術を利用して行われ、以下、
-少なくとも2つのSMDコイルを、それらの磁束軸がFCB表面に対して垂直の向きである状態で、また少なくとも1つのSMDコイルを、その磁束軸がFCB表面に対して平行の向きである状態で、実装して、FCBが折り畳まれた状態にあるときに、少なくとも2つのSMDコイル及び少なくとも1つのSMDコイルの磁束軸が、3D座標に広がるようにすることと、
-少なくとも3つのSMDコイルを、それらの磁束軸がFCB表面に対して平行な向きである状態で実装して、FCBが、磁束軸に平行な軸線の周りに折り畳まれたときに、3つのSMDコイルの磁束軸が平行であり、同一平面上にないようにすることと、のうちの少なくとも一方を含む。
【0025】
いくつかの実装形態では、少なくとも3つのSMDコイルを提供することが、フェライトコア上に直接螺旋状導電性巻線を形成するためにフォトリソグラフィ法を利用して、SMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルを製作することを含む。フォトリソグラフィ法は、例えば、
a.フェライトコアの少なくとも管状部分を覆うようにフォトレジスト層を塗布することと、
b.フォトリソグラフィを適用して、フォトレジスト層をパターニングし、フォトレジスト層によって覆われた管状部分の上に、螺旋状パターンを形成することと、
c.フェライトコアの外面層を、螺旋状パターンの露出領域において電気めっきして、フェライトコアの管状部分の外面層上に直接、導電性の螺旋状巻線を形成することと、を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、フォトリソグラフィ製作方法は、以下のうちの1つ以上によって更に特徴付けられる。
-フォトリソグラフィ法は、高密度の導電性の巻線の製作に適合され、フォトリソグラフィによって形成される螺旋状パターンのピッチ(及びそれに対応して導電性の螺旋状巻線のピッチ)は、10μmのオーダー又はそれ未満である、
-フェライトコアは、少なくとも100のオーダーの比透磁率μrを有する完全焼結磁性材料を含み、フォトリソグラフィは、フェライトコアに実質的な損傷を引き起こさずにフォトレジストをパターニングするのに適した光出力密度(light power density、LDP)及び波長を有するフォトリソグラフィ光源を利用して実行される、
-フォトレジスト層の塗布は、少なくとも8μmの厚さを有する乾燥フォトレジストの層を塗布し、それによって、外面層の電気めっきが、隣接する線間のピッチが小さい螺旋状導電性巻線の狭い線幅をもたらし、それらの間の電気めっきの広がりを防止することを可能にすることを含む、
-フォトリソグラフィ製作方法は、電気めっきの前にシード層を製作することを含み、それにより、フェライトの表面導電率を増加させ、電気めっきを容易にするために、フェライトコアの少なくとも一部の上にシード層を製作することを含む、
-フォトリソグラフィ製作方法は、電気めっき後に、螺旋状コイルの導電性巻線間から、残留フォトレジスト材料を除去することを含む、
-フェライトコアには、その少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分が設けられ、またフォトレジスト、フォトリソグラフィ、及び電気めっきが適用されて、導電性の螺旋状コイルの少なくとも1つの端部と、少なくとも1つの表面実装部分上の1つ以上の指定場所との間に、1つ以上の導電性カプリングを形成し、それによって1つ以上のSMT接点を形成する、ことを含む。
【0027】
この目的のために、本発明の発明者らは、表面実装コイルデバイス(SMDコイル)の新規かつ進歩性のある構成、並びにそのようなSMDコイルの製作方法も考案して、多くのセンサ用途、特にカテーテル感知システムに対して一般に望まれるような、SMDコイルの高インピーダンス及び小寸法という特性を容易にした。この点に関して、そのようなSMDコイルの所望の特性には、とりわけ高透磁率かつ電気絶縁性の管状磁気コア上に密に詰め込まれた高密度の螺旋状巻線が含まれ、より具体的には、管状磁気コアの単位長さ当たり及びその上の巻線層当たり、多数の螺旋状巻線/巻回数が含まれる。例えば、本発明のリソグラフィベースのコイル製作方法によって達成可能なのは、磁気コア上に直接、コア長さ1mm当たり(例えば、巻線層当たり)少なくとも100~150回のオーダーの巻回数を有する高密度巻線である。更に、本発明のワイヤ巻線コイル製作技術は、複数の巻線層を有し、コア長さ1mmにつき、1層当たり約80回(例えば、1mmにつき、1層当たり77~83回)のオーダーの巻数を有する高密度巻線を、直接コア上に製作するのを容易にする。更に、本発明のコイル製作技術は、数百以上のオーダーの比透磁率(例えば、少なくとも100の比透磁率μr)を有する高透磁率(及び電気絶縁性)管状磁気コア上に巻線を製作することを容易にする。比透磁率μrという用語は、本明細書では、空間の透磁率μ0に対する磁性材料の透磁率μの比を表す無次元数を示すために使用されるということに留意されたい。すなわち、μr=μ/μ0である。
【0028】
この点に関して、管状という用語は、本明細書では、概して、回転の離散セット又は連続セットのための長手方向対称軸線を有する本体(すなわち、概して、例えば、そのz軸に沿った長手方向対称軸線を有し、x-y平面内の横断面が平滑、例えば、円形若しくは楕円形、又は多角形、例えば、三角形、長方形等であり得る、円筒形又は円錐形等の任意の形状)を示すために使用されるということを理解されたい。
【0029】
これに関連して、本発明の態様は、特に、管状磁気コアを有する螺旋状SMDコイルに関し、1つ以上の螺旋状導電性巻線が管状磁気コア上に配置される(複数の螺旋状導電性巻線の場合、複数の螺旋状巻線は直列又は並列に接続されてもよく、コアの周りに同心円状に配置されてもよい)。螺旋状の導電性巻線は、典型的にはコアの断面に追従する楕円形、円形、多角形の断面形状を有し得る。これに関連して、本発明の螺旋状SMDコイルの螺旋状構成は、平面コイル(例えば、平面同心コイル)又は「空芯」コイル(すなわち、磁性材料コアを有さない)などの、他のタイプのコイルよりも有利であると考えられるということにも留意されたい。この有利点は、カテーテルで使用されるようなコンパクトな感知システムの場合のように、コンパクトな断面の高誘導性コイル(例えば、指定された周波数でより高いリアクタンス/誘導電圧のコイル)に関する場合に、特に顕著である。これは、外部磁場(例えば、コイルの外部の時間変動磁場)によって誘導される同様の電圧に対して、本発明の螺旋状SMDコイルは、平面同心コイル(磁気コアが存在する場合、平面コイルの下にある)としての平面コイルと比較して、より小さいサイズ及び/又はより小さい断面で製作され得るためである。更に、本発明の様々な実施形態の螺旋状SMDコイルは、電子回路への表面実装アセンブリのために設計され、したがって、センサ回路へのコイルのより効率的で、高速で、信頼性があり、費用対効果の高いアセンブリを可能にする。更に加えて、本発明の製作技術では、コンパクトな螺旋状SMDコイルは、(巻線内にコアを挿入する、追加の巻線後(手動)ステップを必要とする、コンパクトな高巻線数コイル製作のいくつかの従来の技術とは異なり)磁気コアの上に形成/巻き付けられた巻線を用いて製作される。これはまた、均一な生産歩留まりを有する、より費用対効果の高いコンパクトなコイルの製作プロセスを容易にする。
【0030】
本明細書で互換的に使用される磁気コアという用語、並びにフェライト及びフェライトコアという用語は、本明細書では、比透磁率μr>>1を有する磁性材料/組成物又は混合物のバルク/塊を示すために使用されることに留意されたい。実質的に純磁性材料及び純フェライトという用語は、本明細書では、比透磁率μr>>1を有する材料であって、他の材料と実質的に混合されていない/他の材料との化合物ではない材料のバルク/塊を示すために使用される。これは、特に、そのような磁性材料を、磁性材料とエポキシなどの非磁性材料との化合物/混合物から区別するためであり、それらは、そのような化合物/混合物で作られたコアの、結果として生じる透磁率を損なうという犠牲を払いながら、低温でのコア形成など、フェライトコアの透磁率μ以外の特性を改善するためにしばしば使用される。
【0031】
この点に関して、当業者には理解されるように、本発明のSMDコイルに適した磁性材料は、典型的には、いわゆるソフトフェライトの磁気特性を有する(すなわち、比較的低い保磁力を有し、インダクタなどの電気的用途での使用に適している)タイプのものである。
【0032】
実質的に純粋な磁性材料のコアは、典型的には、固体構造を形成するために焼結されるが、焼結された構造は、比較的物理的に弱く/脆く、製作プロセス中に容易に損傷しやすいままである。例えば、純粋な軟磁性材料/コアのバルクは、物理的ワイヤ巻回プロセス中に加えられる圧力下で、構造的損傷(破砕/破損)を受けやすい場合があり得る。別の一例では、(例えば、実質的に純粋な/混合されていない磁性材料の)フェライトコアの表面組成及び結晶構造は、高強度の光に曝露されると、例えば、1000Cを超える表面温度を発生させ得る、フェライト表面から銅をアブレーションするためにレーザを使用すると、比較的容易に損傷され得るが、これが起こると、材料の導電性特性の変換、例えば、電気絶縁材料から、比較的導電性のある材料、すなわちインスタンス/変圧器/フィルタコイル等の電気用途にあまり望ましくない材料への変換が起こり得る。したがって、コイル製作のための、特に管状コイルの製作のための多くの従来技術は、磁性材料(複数可)と他の材料(例えば、構造的に強化する材料)との混合/コンパウンドの使用を好み、このように混合されたコアの物理的強度を改善し、かつ/又は、その全透磁率を低下させるという犠牲を払いながら、製作プロセス及び/又は他の環境条件に対して、その電気抵抗率を安定化させる。この目的のために、完全焼結フェライトコアを有するチップスケールインダクタ(サイズが数mm)の製作のための標準的な技術は、コア長さとその横方向寸法との間の最大許容アスペクト比に関して制限され(コアは、コアが巻回中に破断するので、あまり長くすることができない)、巻回ワイヤの最小許容直径(典型的には20~25μm未満ではない)も制限される(従来の巻回プロセス中に加えられる張力により、より細いワイヤが破断するので)。
【0033】
したがって、上記によれば、螺旋状表面実装可能コイルの製作のための従来の技術は、制限されており、高透磁率の(例えば、実質的に純粋な)磁性材料の磁心上に(特に、「軟」磁気コア上に)高密度の巻線を有するコンパクトな螺旋状SMDコイルの製作にはあまり適しておらず、また、そのようなコイルの製作のための高いコスト及び不均一な生産歩留まりに関連付けられる。
【0034】
有利なことに、本発明は、従来技術の上記の欠点の一部又は全てを克服することを容易にする新規で進歩性のある螺旋状SMDコイル製作技術及び新規で進歩性のある螺旋状SMDコイル構成を提供し、高透磁率の磁性材料上に高い巻線密度の(巻線のピッチがわずか数ミクロンである)コンパクトな螺旋状のSMDコイルの実質的に自動化された製作を可能にするとともに、そのようなコイルの製作に対して従来技術によって課される幾何学的制約(許容アスペクト比の制限など)の一部を緩和し、有利にはより均一な生産歩留まりをもたらす。
【0035】
したがって、本発明の1つの広範な態様によれば、表面実装コイルデバイス(SMDコイル)が提供される。SMDコイルは、フェライトコアを有するコイル部分と、その長手方向軸線の周りでフェライトコアを取り囲む、螺旋状に配置された導電体を含む導電性巻線構成部とを含む。SMDコイルはまた、コイル部分の少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分であって、コイル部分の導電性巻線構成部を回路に、表面実装技術(SMT)によって電気的に連結するための少なくとも1つの電気接点カプラを有する、少なくとも1つの表面実装部分を含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、導電性巻線構成部の連続導体は、フェライトコアの外面層の上に直接巻かれるが、それによると、螺旋状の導電性巻線構成部における導電性巻線のピッチは、12又は13μmを超えない。したがって、SMDコイルは、コンパクトな寸法及び高いインピーダンス(高い磁場誘導電圧を生じる)で得られ、これは、磁場センサにおけるSMT設置に特に適している。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、SMDコイルは、回路の表面上に、平坦/平行に設置されるように構成される。そのような実施形態では、少なくとも2つのSMT実装部分がコイル部分の両側から配置され、それらの各々は、そのそれぞれ対応する端部から、導電性巻線構成部に電気的に接続された、少なくとも1つの電気接点を含む。したがって、当該電気接点を有するSMT実装部分は、回路基板上へのSMT設置に適しており、SMDコイルが、その磁束軸を回路基板の表面に実質的に平行な状態にして回路基板表面に実装可能となるようにしている。
【0037】
代替的に又は追加的に、本発明のいくつかの実施形態によれば、SMDコイルは、回路基板の表面上への垂直/直交設置のために構成される。そのような実施形態では、少なくとも1つのSMT実装部分は、導電性巻線構成部の両端付近にそれぞれ電気的に接続された少なくとも2つの電気接点を含み、かつ回路基板上へのSMT設置に適した、単一のSMT実装部分であってもよい。それにより、SMDコイルは、その磁束軸が回路表面に対して実質的に直交した状態で、回路基板表面の表面に実装可能である。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、SMDコイルのフェライトコアは、少なくとも100のオーダーである比透磁率μrの材料を含み、かつフェライトコア材料の比透磁率が、約20℃~60℃の温度範囲内で安定している(許容差は±0.3%である)材料を含む。これにより、当該温度範囲内の可変温度条件下での動作中に一貫した磁場測定が可能になる。
【0039】
本発明の更に別の広範な一態様によれば、フェライトコアを取り囲むように、フェライトコア上に直接、螺旋状コイルを製作する方法が提供される。本方法は、
a.管状形状を有するフェライトコアを提供すること、
b.フェライトコアの表面の周縁部にフォトレジスト層を塗布して、少なくともフェライトコアの管状部を四方から覆うこと、
c.フォトリソグラフィを適用して、フォトレジスト層をパターニングし、フォトレジスト層によって覆われたフェライトコアの管状部分の上に、螺旋状パターンを形成することと、
d.フェライトコアの外面層を、螺旋状パターンの露出領域において、電気めっきして、当該螺旋状パターンの形態を有するフェライトコアの外面層上に、導電性の螺旋状コイルを形成することと、を含む。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、高密度巻線を有する導電性の螺旋状コイルを製作するために適合され、螺旋状パターンのピッチ及び対応する導電性の螺旋状コイルのピッチは、10μm(更には8μm)以下のオーダーである。
【0041】
本方法のいくつかの実施形態によれば、フェライトコアは、少なくとも100のオーダーである比透磁性μrを有する完全焼結磁性材料を含むか、又はそれによって構成される。この目的のために、上記のフォトリソグラフィ動作は、フォトレジストをパターニングするのに適した光出力密度(LPD)及び波長を提供するが、フェライトコアに実質的な損傷を引き起こさないフォトリソグラフィ光源を利用することができる。
【0042】
本方法のいくつかの実装形態では、フォトレジスト層の塗布は、少なくとも8μmの厚さを有する乾燥フォトレジストの層を塗布することを含む。これにより、電気めっき動作が、隣接する線間のピッチが小さい螺旋状の導電性コイルの狭い線幅をもたらす一方で、線間の電気めっきの広がりを防止することを可能にする。
【0043】
いくつかの実装形態では、本方法は、フェライトコアの少なくとも一部分の上にシード層を製作して、フェライトの表面導電率を増加させて電気めっきを容易にすることを更に含む。追加的又は代替的に、いくつかの実装形態では本方法は、電気めっきの後に、残留フォトレジスト材料を、螺旋状コイルの導電性巻線間から除去する。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、表面実装コイルデバイス(SMDコイル)の更なる要素を製作するように適合される。本方法は、以下、
-動作a.の間に、フェライトコアには、その少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された、少なくとも1つの表面実装部分を設けることと、
-動作b.の間に、フォトレジスト層をまた、少なくとも1つの表面実装部の表面領域にも塗布し、その表面領域は、フェライトコアから表面実装部上の指定された電気接点の場所に向かって延在することと、
-動作c.の間に、フォトリソグラフィを適用して、少なくとも1つの表面実装部分の表面領域においてフォトレジスト層をパターニングして、螺旋状パターンの一端を表面実装部分における指定の場所に接続する、パターニングされた経路を形成することと、
-動作のd.間に、パターニングされた経路に電気めっきを施し、導電性の螺旋状コイルの端部と表面実装部分における指定された場所との間に導電性カプリングを形成することと、のうちの1つ以上を更に含んでもよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、回路表面上への、平坦/平行設置に適した表面実装コイルデバイス(SMDコイル)の製作に適合される。そのような実施形態では、フェライトコアは、その少なくとも2つのそれぞれ対応する側から配置された、少なくとも2つの表面実装部分を設けられてもよい。したがって、動作(b.)~(d.)を適用して、それぞれ対応する表面実装部分における2つの指定された場所と、導電性の螺旋状コイルの対応する端部との間に、それぞれ対応する導電性カプリングを形成してもよい。これにより、回路基板の表面上にSMDコイルを、平坦/平行に設置して、2つの表面実装部分における2つの指定された場所にそれぞれ、回路と導電性の螺旋状コイルのそれぞれ対応する端部との間の電気接点を提供させることが可能となる。
【0046】
代替的に又は追加的に、本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、回路基板の表面上への垂直/直交設置に適合された表面実装コイルデバイス(SMD-Coil)の製作に適合される。この場合、フェライトコアには、その片側から配置された、少なくとも1つ/単一の表面実装部が設けられてもよい。この場合、フェライトコアは、1つのそれぞれ対応する側に位置する表面実装部分の電気接点から、導電性経路の導電性領域が露出されるフェライトコアの反対側に向かって、フェライトコアのバルクを通過する、導電性バルク経路も含むことができる。したがって、そのような実施形態では、本方法の動作(b.)~(d.)を適用して、以下、
(i)表面実装部分における指定された場所と、表面実装部分の近位に位置する導電性の螺旋状コイルの対応する端部との間の導電性カプリングと、
(ii)導電性バルク経路の露出された導電性領域と、露出された導電性領域の近位に位置する導電性の螺旋状コイルの対応する端部との間の導電性カプリングと、を形成することができる。
【0047】
そのような実施形態による方法は、単一の表面実装部分における電気接点が、回路と導電性の螺旋状コイルのそれぞれ対応する端部との間の電気接点を提供している状態で、回路上へのSMDコイルの垂直/直交設置を可能にする。
【0048】
本発明の更に別の広範な一態様によれば、螺旋状コイルを有する表面実装コイルデバイスを、フェライトコア上に直接、かつフェライトコアを取り囲むように製作する方法が提供される。この態様に係る方法は、
a.管状形状を有するフェライトコアを提供することと、
b.フェライトコアの上に、導電性ワイヤを巻線して、フェライトコアの外周上に螺旋状コイルを形成することと、
c.1つ以上の表面実装部分をフェライトコアの1つ以上のそれぞれ対応する側に取り付けて、螺旋状コイルの2つの端部を、1つ以上の表面実装部分の2つのそれぞれ対応する電気接点に電気的に接続することと、を含む。
【0049】
本発明によれば、巻線に使用される導電性ワイヤは、約12~13μm以下のオーダーの特徴的な直径を有する。これにより、フェライトコア上の高密度巻線が容易になり、それに対応してコイルの磁界への連結が改善される(高誘導電圧)。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、フェライトコアは、完全に焼結された磁性材料を含み(すなわち、非磁性の、構造的に強化する添加剤を含まず)、それによって、少なくとも100以上のオーダーの相対透磁率μrを実現する。
【0051】
本発明の更に別の広範な一態様では、フェライトコアと導電性巻線構成部とを有するコイル部分を含む表面実装コイルデバイス(SMDコイル)が提供される。導電性巻線構成部は、フェライトコアの長手方向軸線の周りでフェライトコアを取り囲む螺旋状に配置された導電体を含む。SMDコイルはまた、コイル部分の少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分であって、コイル部分の導電性巻線構成部を回路に、表面実装技術を介して電気的に連結するための少なくとも1つの電気接点カプラを有する、少なくとも1つの表面実装部分を含む。SMDコイルは、導電性巻線構成部の連続導体が、導電性巻線構成部の螺旋のピッチは、13μmを超えず、場合によっては12μmを超えないようにして、フェライトコアの外面層の上に直接巻かれる/配置されるように、上述の本発明の方法のいずれか1つにしたがって製作される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、実際にその主題をどのように実施することができるのかを例示するために、ここで添付の図面を参照しながら単なる非限定的な例によって実施形態について説明する。
【
図1A】本発明の3つの実施形態にしたがって構成された、螺旋状表面実装型コイルデバイス(SMDコイル)の概略斜視図である。
【
図1B】本発明の3つの実施形態にしたがって構成された、螺旋状表面実装型コイルデバイス(SMDコイル)の概略斜視図である。
【
図1C】本発明の3つの実施形態にしたがって構成された、螺旋状表面実装型コイルデバイス(SMDコイル)の概略斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、螺旋状SMDコイルのリソグラフィベースの製作方法のフロー図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、フォトリソグラフィによるコイル製作システムの一例の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、ワイヤ巻線を利用するコンパクトな螺旋状SMDコイルの製作方法のフロー図である。
【
図5A】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図5B】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図5C】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図5D】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図6A】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図6B】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図6C】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図6D】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図7A】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図7B】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図7C】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図7D】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図8A】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図8B】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図8C】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図8D】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサ100の概略図である。
【
図9A】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサを組み込んでいる医療器具/デバイスの概略図である。
【
図9B】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサを組み込んでいる医療器具/デバイスの概略図である。
【
図9C】本発明のいくつかの実施形態による、位置センサを組み込んでいる医療器具/デバイスの概略図である。
【
図10A】本発明の一実施形態による、磁気位置センサを製作するための方法400を示し、方法のフロー図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による磁気位置センサを製作するための方法400を示し、製作中のセンサの回路基板の折り畳みを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで
図1Aを参照すると、これには、本発明の一実施形態による、螺旋状の表面実装型コイルデバイス(SMDコイル)10の斜視図が示されている。SMDコイル10は、一般的に、磁性材料のコアFC(本明細書ではフェライトコアとも互換的に呼ばれる)を有するコイル部分Cと、磁気コアFCの周りに、その長手方向軸線FXを中心として巻かれた、螺旋状に配置された導電体を含む、導電性巻線構成部CWとを含む。SMDコイル10はまた、1つ以上の表面実装部分SM(典型的には、銅及びスズ、並びに/又は磁性ニッケル及びスズなどの、非磁性材料を含む)を含み、これは、コイル部分Cの少なくとも1つのそれぞれ対応する長手方向端部から配置されており、かつ少なくとも2つの電気接点カプラSMCをその上に有する。これら2つの電気接点カプラSMCは、コイル部分Cの導電性巻線構成部CWの導電体のそれぞれ対応する端部の近く/端部で、導電的に連結され、表面実装技術(SMT)によって導電性巻線構成部CWを回路に電気的に連結するように適合されている。好ましくは、いくつかの実施形態では、これらの接点のサイズ、場所、及び材料は、磁気コアに入る外部磁場を遮蔽しないように構成され、磁場をコアに集中させるのを支援することさえできる。
【0054】
具体的には、本発明のこの実施形態による螺旋状SMDコイル10において、導電性巻線構成部CWの連続導体は、螺旋状形状を有し、磁気コアFCの外面上に直接、例えば磁気コアFCの磁性材料の露出した表面上に、又はコアFCの磁性材料上に製作され得るシード層上に巻かれ/巻き付けられる。それにより、例えば、以下に説明するように、本発明のいくつかの実施形態によって導電性巻線構成部CWがコアFC上に製作される電気めっきプロセスに、コアの表面の導電性が、十分であることを容易にする。
【0055】
なお、本出願の文脈において、巻線する及び/又は巻かれることに関連する語句は、この構造の製作に使用される特定の方法とは無関係に、すなわち、
図2及び
図3に例示されるリソグラフィによるものであるか、又は
図4に例示される、コアの上に導電性ワイヤを巻き付けることによるかは無関係に、磁気コアFCの周りの導電性の螺旋状構造(導電性巻線構成部CW)の形成を示すために使用されるということを理解されたい。
【0056】
更に、本発明のこの実施形態による螺旋状SMDコイル10は、指定された周波数範囲に対して、高いインダクタンス及び高い誘導電圧をもたらすように特に構成される。また、螺旋状SMDコイル10は、指定された周波数範囲における透磁率、並びに磁気コアFCの断面積及び導電性巻線構成部CWにおける巻線の数(これにより、コイルの誘導電圧及びインダクタンスが定義され得る)にしたがって、磁気コア材料を適切に選択することによって、指定された周波数範囲に対して予め設計されてもよい。特定の非限定的な一例では、螺旋状SMDコイル10は、kHz領域、例えば、1~16kHzの周波数に対して高いインダクタンス及びリアクタンスをもたらすように特に構成されてもよく、これは、カテーテル用途で使用されるものなどの磁場位置決めセンサ及び力センサでの使用に特に好適であり得る。
【0057】
この点に関して、動作温度条件[Tmin,Tmax]の範囲内で正確で一貫した感知測定を容易にするために、コアCの磁性材料は、好ましくは、その透磁率μが必要な動作温度範囲[Tmin,Tmax]内で実質的に安定であり、透磁率μrの変動が温度範囲[Tmin,20C,Tmax=60C]内で例えば±0.3%を超えない(例えば、約160ppm/Cを超えない)ように選択される。これに関連して、一般的に、磁気コアがその長手方向軸線に沿って短いほど、その温度係数は、安定性に影響を与えることなく高くなり得るということに留意されたい。
【0058】
特定の非限定的な一例では、コアFCの磁性材料の透磁率μは、約20℃~60℃の温度範囲内で実質的に安定的(例えば、上記の許容範囲内)であり、それによって、螺旋状SMDコイル10は、その外科的機能が、温度範囲内の温度の変動をもたらし得る、例えばアブレーションカテーテルなどの、カテーテルに設置される場合、螺旋状SMDコイル10を利用するセンサの正確な動作を容易にする。
【0059】
更に、本発明の実施形態によれば、本発明の螺旋状SMDコイル10の、コンパクトな寸法と共に、高いインダクタンス/誘導電圧を容易にするために、コアFCの磁性材料は、好ましくは、その比透磁率μrが、指定された動作磁場周波数範囲(例えば、約1~16kHzの範囲内であり得る)において、数百のオーダー(例えば、少なくとも100)であるように選択される。この目的のために、好ましくは、いくつかの実施形態では、コアFCのそのような高い透磁率を得るために、コアFCにおいて使用される磁性材料は、フェライトなどの焼結/完全焼結磁性材料を含むか、又はそれによって構成される(例えば、構造的に強化する、添加剤などの非磁性材料、例えば、エポキシなどの実質的な量の混合物を含まない)。好ましくは、使用される磁気コアFC材料は、20℃から60℃の温度範囲で温度安定的である(例えば、160ppm/℃未満の透磁率の温度係数を有する)。
【0060】
加えて、好ましくは、螺旋状のSMDコイル10の高いインダクタンス/誘導電圧を容易にするために、導電性巻線構成部CWの導電性螺旋は、螺旋状巻線/巻回数の8~14μmを超えないピッチPで構成される。例えば、
図2及び
図3を参照して以下に説明される、本発明のSMDコイル製作技術の実施形態は、約8μmの巻線ピッチPを有する導電性巻線構成部CWの製作を容易にする(例えば、4μm以下の導電体の横方向直径/幅、及び4μm以下の連続する回数の巻線の間の間隔を有し、それによって8μm以下のピッチPをもたらす)。別の一例では、
図4を参照して以下に説明される、SMDコイル製作技術の実施形態は、約12~13μmの巻線ピッチPを有するワイヤ巻線を容易にする(例えば、約10μmの導体幅を有する絶縁ワイヤであって、ワイヤ間を、約2~3μmの電気絶縁/エナメルコーティングでコーティングされた絶縁ワイヤの場合)。
【0061】
これにより、これらの方法は、コアFCの単位長さ当たりの導電性巻線構成部CWの螺旋状導電体の高い巻線数を達成することを可能にする。例えば、
図2の技術を使用して、1層につき、導電性巻線構成部CWによってカバーされるコア長さ1mm当たり、約100~150回の巻線数(典型的には、1層当たり約125回の巻線/mm)を達成し、
図4の実施形態では、1層当たり約77~83回の巻線数を達成する。両方の方法において、導体の厚さは、その幅と同じオーダーの大きさであっても、又はそれよりも厚くてよく(例えば、4μm以上のオーダー)、その結果、導体の幅は狭くても、SMDコイルの十分な導電性及び低い抵抗を容易にする。いくつかの実施形態では、コイルの抵抗率の更なる低減を得るために、厚さは更に大きくてもよく、例えば6μmを超えてもよい。
【0062】
これらにより、本発明の螺旋状SMDコイルの上記構成は、カテーテル内に設置するのに適した磁場式の位置センサにおけるSMT設置に適したコンパクトな寸法及び高いインダクタンス/誘導電圧のSMDコイルをもたらす。
【0063】
図1Aを参照して上述したSMDコイル10の、2つの実施形態の斜視図が示されている
図1B及び
図1Cを、ここで参照する。
図1Bは、
図1Aに示されたSMDコイル10の一実施形態10Hを示しており、この実施形態10Hは、その長手方向軸線/磁束軸線FXが、回路基板CBの表面に実質的に平行であるように、回路基板CB上に水平に設置されるように構成されている(この実施形態10Hは、本明細書中以下で水平[螺旋状]SMDコイルとも呼ばれる)。
図1Cは、SMDコイル10の長手方向軸線/磁束軸線FXが、回路基板CBの表面に対して実質的に直交するように、回路基板CB上に対して垂直に設置されるように構成されたSMDコイルの一実施形態10V(この実施形態10Vは、本明細書中以下では垂直[螺旋状]SMDコイルとも呼ばれる)を示す。また、これらの図は、SMDコイル10の表面実装部分SMの可能な他の構成/拡張SMEを示し、これは、表面実装部分SMの一体部分であっても拡張部分であってもよく、したがって、回路基板CBの表面に対して任意の所望の角度での、本発明のSMDコイル10の設置を容易にする。特に言及されない場合であっても、以下に説明される
図1B及び
図1Cの実施形態は、
図1Aを参照して上述されたSMDコイル10の特徴の全て又は任意の適切な組み合わせを組み込んでもよいということが理解されるべきである。
【0064】
特に
図1Bを参照すると、この図は、本発明の一実施形態による螺旋状SMDコイル10Hの斜視
図PVを示し、この螺旋状SMDコイル10Hは、回路基板CBの表面上に平坦/平行に設置する(又は場合によっては、図示の任意の表面実装構成SMEを利用して他の向きに設置する)ように構成されている。また
図1Bは、回路基板CB上にSMD-コイル10Hをどのような向きに配置するかを示す設置の斜視
図PIVも示す。螺旋状SMDコイル10Hに対する回路基板CBの指定された場所を指す、表面実装方向SM方向もこの図に示されている。
【0065】
この実施形態では螺旋状SMDコイル10Hは、コイル部分Cの両端から配置された、少なくとも2つのSMT実装部分SMを含む。2つのSMT実装部分SMの各々は、回路基板CB上へのSMT設置に適した、少なくとも1つの電気接点SMC1及びSMC2を含む。2つのそれぞれのSMT実装部分SM上の2つの電気接点SMC1及びSMC2はそれぞれ、その対向するそれぞれ対応する端部からの、例えばそこから配置された導電性経路CPを介して、それぞれのSMT実装部分SM上及び/又はその内部を通って、導電性巻線構成部CWに電気的に接続され、導電性巻線構成部CWのそれぞれ対応する端部に接触する。したがって、この実施形態では、SMT電気接点SMC1及びSMC2は、螺旋状巻線のそれぞれ対応する端部に電気的に接続され、SMT電気接点SMC1及びSMC2は、互いに実質的に平行であり、磁束軸FXに対して実質的に平行である(例えば、SME構成に応じて、磁束軸FXに対して0°又は少なくとも45°未満である)SMT実装部分SMの外面上に存在する。したがって、本発明のこの実施形態の水平螺旋状SMDコイル10Hは、回路基板CBへの、磁束軸FXを、回路表面に対して実質的に平行にして、又は任意のSME構成の選択にしたがって、回路表面に対して任意の他の適切な角度(典型的には0°~45°)での、表面実装に特に適している。
【0066】
ここで
図1Cを参照すると、この図は、本発明の一実施形態による垂直螺旋状SMDコイル10Vの2つの斜視
図PV1及びPV2を示し、この垂直螺旋状SMDコイル10Vは、回路基板CBの表面上に垂直に/直交して設置する(又は場合によっては、図示の任意の表面実装構成SMEを利用して他の向きに設置する)ように構成されている。また
図1Cは、回路基板CB上にSMDコイル10Vをどのような向きに配置するかを示す設置の斜視
図PIVも示す。螺旋状SMDコイル10Vに対する回路基板CBの指定された場所を指す表面実装方向SM方向もこの図に示されている。
【0067】
この実施形態では螺旋状SMDコイル10Vは、コイル部分Cの端部から配置された、少なくとも1つのSMT実装部分SMを含む。SMT実装部分SMは、回路基板CB上へのSMT設置に適した、少なくとも2つの電気接点SMC1及びSMC2を含む。SMT実装部分SM上の2つの電気接点SMC1及びSMC2は、その対向するそれぞれ対応する端部から導電性巻線構成部CWにそれぞれ電気的に接続される。例えば、電気接点SMC1のうちの1つは、それが存在するSMT実装部分SMに近接する、導電性巻線構成部CWの一端部に、そこから配置され、SMT実装部分SM上に、及び/又はその内部を通って存在する導電性経路CPを介して、電気的に接続されてもよく、その結果、導電性巻線構成部CWの、それぞれ対応する端部に接触する。SMDコイル10Vはまた、第2の電気接点SMC2に接続されるSMT実装部分SMから、導電性巻線構成部CWの遠隔端に接続されるコイル部分Cの遠隔端(SMT実装部分SMから遠位)まで通過する導電性要素CV(導電性ビア、ロッド、又はワイヤ)を含むことができる。実施形態において導電性要素CVは、磁気コアを通過し、その上の導電性巻線から絶縁される、導電性ビア/ロッド又はワイヤ、であってもよい。このような実施形態では、導電性要素CVを導電性巻線構成部CWの遠隔端に接続するために、コイル部分Cの遠隔端に導電性経路を任意に製作する/設けることができる。あるいは、導電性要素CVは、コイル部分Cの外部を通過して、第2の電気接点SMC2を、導電性巻線構成部CWの遠隔端に接続してもよい。したがって、この実施形態では、螺旋状巻線のそれぞれ対応する端部に電気的に接続されるSMT電気接点SMC1及びSMC2の両方は、磁束軸FXに対して実質的に直交する(例えば、SME構成に応じて、磁束軸FXに対して90°又は少なくとも45°~90°である)、SMT実装部分SMの外面上に存在する。したがって、本発明のこの実施形態の垂直螺旋状SMDコイル10Vは、回路基板CBへの、磁束軸FXを、回路表面に対して実質的に直交させて、又は任意のSME構成の選択にしたがって、回路表面に対して任意の他の適切な角度(典型的には45°~90°)での、表面実装に特に適している。
【0068】
上記に加えて、
図1A~
図1Cに関連して上述したSMDコイル10の実施形態を一緒に参照して、好ましくは、本発明のいくつかの実装形態によれば、導電性巻線構成部CWは、磁気コアFC上に直接配置された(例えば、それらの間に実質的にギャップがない)螺旋状導体構成部を含む、ということに留意されたい。この構成は、以下に説明するSMDコイル製作方法200及び300の実施形態によって達成することができる。例えば、製造後にコアが螺旋に挿入されて、残留ギャップ(例えば、エアギャップ)を残す従来の構成に対するこの構成の利点は、コアが螺旋状巻線の中心において(ギャップなしで)幾何学的断面全体を占有し、それによってコイルのより高い感度(同じサイズ及び回数の巻線に対して、所与の強度の磁場当たり、より高い誘導電圧)をもたらすことである。
【0069】
典型的には、本発明の実装形態において、SMDコイル10の磁気コアFCは、管状形状を有する。これに関して、
図1A~
図1Cの例における特定の非限定的な例では、磁気コアは矩形断面で示されているが、この断面形状は一例として提供されているに過ぎず、一般に、本発明の範囲から逸脱することなく、上述の任意の断面形状がSMDコイル10の磁気コアに実装されてもよいということに留意されたい。
【0070】
好ましくは、本発明のSMDコイルのいくつかの実装形態では、フェライトコアは、細長い管状形状を有するが、それは、コアの有効透磁率、したがって誘導電圧がその細長いコア形状によって改善されるからである。代替的に、SMDコイルが、細長い管状コア形状を妨げるデバイスの幾何学的制約があるいくつかの実装形態では(例えば、カテーテル内に垂直SMDコイル10Vを設置する以下で説明する場合など)、フェライトコアは、平坦化された/押しつぶされた管状形状及びより大きい断面で形成されてもよく、後者が、その平坦化された幾何学的形状によるコアの有効透磁率の低減を補償する。
【0071】
ここで
図2を参照すると、これは、本発明の一実施形態による、磁気コア上に直接螺旋状SMDコイルを製作するための方法200を示す流れ図である。より詳細には、方法200は、
図1A~
図1Cに示すSMDコイル10の螺旋状の導電性巻線構造CWを、磁気コアの外周面上に直接製作することを容易にし、導電性巻線構造CWと表面実装部分SMのSMT接点(SMC1及び/又はSMC2)との間の好適な導電性接続/経路CPの製作にも使用することができる。これは、一般に、フォトリソグラフィ処理を利用して、磁気コア上に導電性巻線のパターンを形成し、次いで、パターンに沿って導電性巻線を電気めっきすることによって達成される。より具体的には、方法200は、以下で説明されるような以下の動作を含む。
【0072】
動作210において、上で定義されたような管状形状を有する磁気コアFCが提供される。任意に、方法200の実施形態では、提供される磁気コアFCは、少なくとも100のオーダーの相対透磁率μを有する焼結磁性材料を含むか、又はそれによって構成されてもよい。好ましくは、本発明のいくつかの実施形態では、磁気コアFCは、(例えば、質的な量の非磁性材料をその中に含まないように)提供された磁気コアFCによって実質的に構成される。好ましくは、本発明のいくつかの用途及びいくつかの実施形態では、20℃~60℃の温度範囲内で温度安定である(例えば、160ppm/℃未満の透磁率の温度係数を有する)材料FCの磁気コアが提供される。
【0073】
任意の動作215において、シード層が、管状磁気コアFCの外周面/セクションの上に製作されてもよい。この動作は、磁気コアFCの露出した表面の導電性が、電気めっきを行うには不十分である場合に行われてもよい。シード層は、当業者によって理解されるような任意の好適な技術によって製作されてもよいが、例えば、管状磁気コアFCの外周面/セクション上に触媒を化学的に適用し、続いて薄い無電解銅コーティングを適用して、その導電性を増加させ、後続の電気めっきを容易にすることによって製作されてもよい。磁気コアの露出した表面が電気めっきのために十分な導電性を有する場合には、シード層を製作する必要がない場合があるので、動作215は任意である。
【0074】
なお、様々な実施形態において、動作215は、方法200の、様々な異なる段階で実行され得るということに留意されたい。
【0075】
例えば、方法200のいくつかの実装形態では、触媒は、磁気コアFC上に選択的に堆積され、以下で説明する動作220においてその上に塗布されるフォトレジスト上には堆積されない。そのような実施形態において、動作215は、以下に説明する動作220及び動作230の後にのみ、動作230においてフォトレジストがフォトリソグラフィによって除去されたコアFCの表面にシード層を製作するために、実行されてもよい。そのような実施形態では、フォトレジストの下の磁気コアの表面は、触媒とシード層の両方から清浄なままであり、無電解銅が、実質的に磁気コアの露出表面上にのみ成長し、次いで、そこに、導電性の巻線が、電気めっきによって形成されることになる(動作240)。そのような実施形態では、その下に導電層が形成されなかったので、残留フォトレジストを除去する任意の動作245は、不要にすることができる(フォトレジストの実際の除去は、使用されるフォトレジストの化学的及び熱的安定性に応じて依然として必要とされ得るということに留意されたい)。
【0076】
使用される触媒が、フォトリソグラフィ処理(UV光投射及びフォトレジスト現像液)の適用後に活性のままである方法200のいくつかの他の例示的な実装形態では、動作215は、2つの段階で実行され得る。
【0077】
-動作220及び動作230の前に実行される第1の段階において、磁気コアFCに触媒を塗布することができ、
-動作220及び動作230の後に実行される第2の段階において、シード層は、フォトレジストが除去されたパターンの露出された磁気コア領域(螺旋状及び恐らくはSMTフランジ)に製作されてもよい。
【0078】
(シード層自体がフォトレジストのフォトリソグラフィの後に適用され、その下には適用されない)上述の実装形態、並びにシード層が必要ない実施形態の両方において、導電層がフォトレジストの下に形成されないので、任意の動作245におけるパターニングの後に残っているフォトレジストの除去を不要にすることができる。しかし実際には、フォトレジストの実際の除去は、使用されるフォトレジストの化学的及び熱的安定性に応じて245において実行されてもよい。したがって、残留フォトレジストの除去が必要とされないいくつかの実装形態では、永久レジスト(ドライフィルムフォトレジストとして入手可能なSU8に類似する)が、以下の動作230において使用され得る。
【0079】
更に別の例示的な一実装形態では(例えば、選択的触媒堆積が促進されない場合、及び/又は触媒がフォトリソグラフィ処理後に活性のままでない場合に実行され得る実装形態では)、動作215における触媒及びシード層の堆積は、動作220におけるフォトレジストの適用の前に磁気コアに適用され得る。この場合、フォトレジストの下に導電層が存在し、電気メッキの後に、残留フォトレジストを剥離し、動作240で電気メッキされた導電性巻線の間のシード層をエッチングするために、動作245が必要となる。
【0080】
動作220において、フォトレジスト層は、管状磁気コアFCの外周面/セクションに、全周(360°)から塗布され得る。好ましくは、フォトレジスト層は、フォトレジスト層がパターニングによって除去される領域において比較的厚い電気めっき(例えば、少なくとも6μm厚)を後で適用するのを容易にするために、十分な厚さ(例えば、少なくとも8μm)で塗布され、一方で、パターニングされた領域の外側に電気めっきされた導電性材料の流出/広がりがない。これは、低い電気抵抗を有する、コイルの比較的厚い導電性巻線を、その後に製作するのを可能にするために有利であり得る。
【0081】
これに関連して、任意に、動作220において、乾燥フォトレジストの層が使用されてもよく、管状磁気コアFCの上記の表面/セクションの全周(360°)に塗布されてもよい。ドライフォトレジストの使用は、この場合、ウェットフォトレジストと比較して、管状磁気コアFCの上記の表面/セクションの3D外周への塗布がより制御可能かつ均一(例えば、厚さについて均一)であり得るので、また、電気めっきによって低い抵抗率及び画定された境界を有する導電性巻線をその後に製作するのに適した実質的に厚いフォトレジスト層を実現することを容易にするので、有利であり得る(すなわち、これは、隣接する線間の電気めっきの広がりを防止する一方で、実質的な厚さを有する螺旋状導電性巻線の狭い導電線の電気めっきを容易にし、それによって、線間の小さな間隔を容易にし、したがって、小さなピッチPを有する高密度巻線の製作を容易にする)。
【0082】
動作230では、フォトリソグラフィが適用されてフォトレジスト層をパターニングし、フォトレジスト層によって覆われた管状磁気コアFCの外周面/セクション上に螺旋状パターンを形成する。例えば、任意に、フォトリソグラフィ処理は、一方ではフォトレジストをパターニングするのに十分な出力を有し、他方ではコアFCの下にある磁性材料に損傷を引き起こすには不十分な出力/強度を有する(コアに損傷を与えず、その導電性を高めない)、好適な周波数のフォトリソグラフィ光(例えば、UV光)の選択的投射を含み得る。
【0083】
フォトリソグラフィ光の選択的投射は、管状磁気コアFCの外周面/セクション上にレーザビームを直接走査することによって、かつ/又は本発明を知った後にフォトリソグラフィの当業者によって理解されるような任意の他の好適な技法によって、実行されてもよい。任意に、管状磁気コアFCの3次元(3D)外周面/セクション上にフォトリソグラフィパターンを適用するために、コアは、投射中に光ビームに対して回転されてもよい一方で、磁気コアを、(例えば、コアの相対的位置を移動させることによって、又は光ビームの光学的ステアリングよって)コアの長手方向軸線FXに沿って、光ビームに対してシフトさせてもよいということが理解されるであろう。これは、コアの断面の形状及び製造される螺旋状パターンの所望の形態に応じて、連続的又は断続的に行うことができる。本発明の実施形態では、使用されるフォトレジストは、いわゆる「ポジ型」フォトレジスト又は「ネガ型」フォトレジストであってもよく、投射される光パターンは、導電性巻線CWがその後電気めっきされる、フォトレジストの露出領域の所望の螺旋状パターンをもたらすように、それに応じて(ネガ型又はポジ型パターンとして)適合されるということに留意されたい。容易に理解されるように、フォトレジストの露光に続いてフォトレジストの現像が行われ、管状磁気コアFC(ここからフォトレジストが現像によって除去される)の外周面/セクション上の上に螺旋状パターンが露出する。
【0084】
動作240は、磁気コアFCの露出領域(フォトレジストの現像後に形成される螺旋状パターン)を導電性材料(例えば銅)で電気めっきして、磁気コアの外面層上に、導電性の螺旋状コイルの形態の導電性巻線CWを生成することを含む。好ましくは、いくつかの実施では、電気めっきは、約4μm以上のオーダーの厚さまで行われる。
【0085】
電気めっき後に行われ得る、任意の動作245において、残留フォトレジスト材料は、螺旋状コイルCWの導電性巻線間から除去され得る。この点に関して、上記で示したように、いくつかの実装形態では、残留フォトレジスト材料の下の磁気コアFCの表面導電率は、(例えば、フォトレジスト層の堆積前に動作215においてシード層が製作される場合、例えばそのようなシード層に起因して)最小の所望の閾値を超え得る。そのような実施形態では、隣接する巻線間の電気的短絡を防止するために(また、場合によっては、コイルの動作中に渦電流が発生するのを抑制するためにも)、磁気コアFCの表面導電率を低減することが望ましい場合があり得る。これを達成するために、動作245では、残留フォトレジストがコアから除去され、続いて、フォトレジストと磁気コアとの間に配置されていてもよい導電性シード層/材料及び/又は触媒がエッチングされてもよい。この動作は、例えば、螺旋を横切る短絡を排除するため、フォトレジストの下のシード層が除去される必要がある場合に、実行されてもよい。閾値に関しては、触媒、シード層、又はフェライトの小さな固有導電率のいずれに起因しても、コア抵抗(体積導電率又は表面導電率のいずれに起因しても)は、コイル(巻線)抵抗の約100倍以上でなければならない。例えば、接点間の螺旋状巻線の抵抗が、数百オームのオーダーであることを考慮すると、フェライト/磁気コア、フランジ間(はんだ接点間)の抵抗は、数十キロオームのオーダーであるべきである。
【0086】
最後に、好ましくは、方法200によって製作される螺旋状SMDコイル又はその導電性巻線部分は、導電性巻線の酸化から保護するためにワニス又はスズコーティングの薄層でコーティングされてもよい(例えば、コイルをセンサ/回路に組み立てる前にコイルを保管している間、その時点でコイルは保護のためにエポキシで更にポッティングされてもよい)。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、方法200によって、磁気コアFCの真上に単一の巻線層を製作し得る。これは、方法200によって得られる巻線の高密度(小さいピッチ)及び高いコア透磁率に起因して、依然として、十分な感度を提供しながら、製作の複雑さ及びコストを低減し得る。あるいは、いくつかの実施形態では、方法200の関連する動作を繰り返すことによって、積層/同心巻線層を製作することができるが、その一方で、当業者によって理解されるように、連続する導電層の製作の間に絶縁材料/層を導入する。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態では、方法200は、高密度巻線を有する導電性の螺旋状コイルCWの製作に適合されてもよく、螺旋状パターンのピッチ及び対応して導電性巻線構造CW内の巻線のピッチは、10μm以下のオーダーである(好ましくは、いくつかの実施形態では、約8μmを超えない)。例えば、導電性の螺旋状コイルの巻線を形成する導電経路の幅は、7μmを超えなくてもよい(いくつかの実施形態では、4μmを超えない)。隣接する巻線の導電経路間の間隔は、4~5μmのオーダーであり、結果として、フェライトコア上に高密度巻線を提供する。
【0089】
上述したように本発明のいくつかの実施形態によれば、方法200の動作は、本発明のSMDコイル10の表面実装部分SMのSMT接点(SMC1及び/又はSMC2)と導電性巻線構造CWとの間の好適な導電性接続/経路CPを製作するために実行されてもよい。この目的のために、動作210フェライトコアFCに、表面実装部分SMを設けてもよい。したがって、任意の動作215及び動作220~240は、導表面実装部分SMのSMT接点(SMC1及び/又はSMC2)と導電性巻線構造CWとの間の好適な導電性接続/経路CPを製作するために、上述したのと同様の方法で実行されてもよい。例えば、垂直SMDコイル10Vの実施形態では、動作220~240は、2つの電気接点SMC1及びSMC2を、それらを電気的に短絡することなく同じ実装部分SM上に画定するために実行されてもよい。加えて、垂直設置のSMDコイル10Vが製作されるいくつかの実施形態の場合、磁気コアFCは、概ねその長手方向軸線FXに沿ってそれを横断して通過する貫通伝導体CVを設けてもよく、及び伝導経路CPのうちの1つは、
図1Cにおける任意のマーキングに例示されるように、その一部として組み込まれる貫通伝導体CVを用いて製作されてもよい。
【0090】
代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、上述の動作を伴う方法200は、SMDコイル10のコイル部分Cの製作及びコイル部分Cと表面実装部分SMとの間の取り付け、及び/又はコイル部分Cの導電性巻線構造CWと、表面実装部分SM上のSMT接点(SMC1及び/又はSMC2)との間の電気的カプリングに主に適合されてもよく、別個の処理において実行され得る。
【0091】
ここで、
図3を参照すると、これは、本発明の一実施形態による、製作システム280の一例である。製作システム280は、上述の方法200の少なくとも動作230を実施するように構成され動作可能であり、フォトレジストが塗布された磁気コアFC/フェライトコアFC上にフォトリソグラフィを適用して、磁気コアFC上に直接螺旋状導電巻線の製作(例えば、電気めっき)に適した螺旋状フォトレジストパターンを形成する。製作システム280は、磁気コアFC上のフォトレジスト層にフォトリソグラフィを適用するために磁気コアFCに向かって光LLを投射するのに適した、上で例示した特性を有するUVレーザ光源などのフォトリソグラフィ光源LSを含む。製作システムはまた、フェライトコアを担持/保持し、フェライトコアとフォトリソグラフィ光源LSからの光LLとの間に相対運動を適用して、磁気コアFC上に螺旋状巻線パターンを(例えば、順次)投射するように構成され動作可能なハンドラユーティリティHLを含む。例えば、螺旋状パターンは、軸線RXを中心とした相対回転運動RMと、軸線RXに平行な直線運動LMとの組み合わせを利用して投射されてもよく、これは、磁気コアFCの間のハンドラユーティリティHL(又はレーザビームの光学ステアリング)によって影響され得る。したがって、ハンドラユーティリティHLと、製作システム280の制御ユニットCU(ハンドラユーティリティHL及び光源LSを制御するように適合されている)とは、コア上にフォトリソグラフィ光の3次元螺旋状パターンを投射するように、磁気コアFCとフォトリソグラフィ光ビームLLとの間に、そのような相対運動を適用するように構成され動作可能であってもよい。
【0092】
ここで、
図4を参照すると、これには、本発明の一実施形態による小型SMDコイル10のコイル部分Cの製作のための別の方法300のフロー図が提供される。より詳細には、方法300は、ワイヤを磁気コアの周囲に巻き付けることによって、磁気コアFC上に直接螺旋状コイルを製作するように適合される。
【0093】
方法300の動作310において、管状形状を有する磁気コアFCが提供される。任意に、いくつかの実施形態では、磁気コアFCは、少なくとも100のオーダーの透磁率μを有する焼結された、又はより好ましくは完全に焼結された磁性材料を含んでもよく、又はそれによって構成されてもよい。いくつかの実施形態では、20℃~60℃の温度範囲内で温度安定である(例えば、160ppm/℃未満の透磁率の温度係数を有する)材料の磁気コアFCが提供される。
【0094】
任意に、
図1Cに示すようなSMDコイル10の垂直設置構成の実施形態において、磁気コアFCは、表面実装部分SMの表面実装コネクタを導電的SMCを導電的に接続して第1の端部に近接する螺旋状コイル/導電性巻線CWの一端部が設けられ反対側の端部に反対側の端部に配置するために、その第1の端部から反対側の端部まで(概ねその長手方向軸線FXに沿って)それを通過する貫通導体CVを設けてもよい(コイルの機能を実質的に損なうことなく、この目的のために外部導体が代わりに使用されてもよいので、これは任意である)。
【0095】
なお、焼結磁気コアは、典型的には、比較的脆く、ワイヤ巻回のプロセスにおいて加えられる圧力/張力下で比較的容易に損傷され得るということに留意されたい。したがって、いくつかの実施形態では、任意に、ワイヤ巻回中の磁気コアの機械的耐久性を促進するために、提供される磁気コアは、(巻回されたワイヤから応力を解放するように)巻回される中心区画において円形の断面を有してもよく、一方、フランジ領域は、磁気コアが、実質的損傷を伴わずに、その巻回中に導電性ワイヤによって加えられる応力に耐えることが可能であるように、多角形/長方形断面)を有してもよい。
【0096】
代替的に又は追加的に、任意の動作320に示されるように、いくつかの実施形態では、ワイヤ巻回前に、磁気コアの1つ以上の表面領域は、磁気コア自体及び/又はその上に巻かれたワイヤから機械的応力を緩和するのに適した材料の緩衝層/構造でコーティング/連結される。例えば、巻回中にコアと細いワイヤとの間に加えられる応力の一部を吸収/緩和/分散することができるワックスなどの可撓性材料の層(それによって、巻回中のコアへの損傷及びワイヤの破損の両方を防止する)、又は、例えば、磁気コアの表面コーティング又は、コアと細いワイヤとの間に加えられる応力の一部を吸収/分散するために磁気コアの角に「柱」として提供される(その断面が多角形である場合)ポリマーなどの構造的に強化する材料が用いられ得る。いくつかの実施形態では、緩衝層又は構造は、巻回プロセス後に除去される必要はない(例えば、それによって、巻線とコアとの間にいかなる間隙も潜在的に形成しない)。代替として、他の実施形態では、材料は、ワイヤ巻回後にコアから除去可能であってよく/除去されてもよい。
【0097】
動作330において、(例えば、約10μm及び20μ未満の特徴的線幅の)細い導電性ワイヤが提供され、磁気コアの上に巻かれて、導電性巻線構造を形成する。巻回作業は、巻回ワイヤの1つ以上の層を用いて行われてもよく、それによって、磁気コアの外周にわたって、単一の螺旋状ワイヤ構造、又はワイヤの複数の同心螺旋状の構造を形成する。
【0098】
典型的には、水平式螺旋状SMDコイル10Hの巻回は、巻回ワイヤの2つの端部がコアの対向する端部に着地し、そこで金属化/接触領域に接続されるように、奇数の巻線層で行われる。したがって、典型的には、垂直螺旋状SMDコイル10Vの巻き付けは、ワイヤの2つの端部がコアの底面(回路基板の上に設置される)上に着地するように、偶数の層で行われる。この場合、ワイヤの各端部は、底面コアのSMTマウント上の異なる金属化接点パッドに取り付けられる(ワイヤをフェライトコアのドリルに通したり、コイルの外部に通したりする必要はない)。
【0099】
好ましくは、ワイヤの断裂を防止するために、巻回ワイヤに加えられる張力を緩和しながら巻き付けする(例えば、直径10μmの導電性ワイヤを利用する場合、巻回作業中にワイヤに加えられる最大張力は、約1.4gを超えない)。
【0100】
このように、方法300の実施形態は、本発明のSMDコイル10のコイル部分Cの製作に適合されている。なお、これに関して、上述の方法300は、10μmのオーダーでかつ20μm未満の特徴的な直径/幅を、細い導電性ワイヤを用いた導電性巻線の製作に特に好適である一方で、ワイヤによって磁気コアに加えられる圧/応力を緩和し、ワイヤから張力を解放して、ワイヤ巻回プロセスによって磁気コアに影響を受ける任意の損傷を排除又は少なくとも低減及び制御し、またプロセス中に巻かれた導電性ワイヤの破断を防止/低減するということに留意されたい。例えば、直径10μmの銅ワイヤ(例えば、エナメル線絶縁体を含む12~13μm)、又は更に細いワイヤが、例えば、1つ以上の層において数百回(例えば、600回)コア上に直接巻き付けられてもよい。
【0101】
上記の方法300を考慮すると、それによって、無駄/損傷製品の生成を低減しながら、磁気コア上への細い導電性ワイヤの高密度直接巻き付けの高い製作スループットが可能になる。いくつかの実装形態では、方法300はまた、コンパクトなコイルの自動化/完全自動化生産のために実装されてもよい。したがって、ロバストなSMT接点(はんだ付けワイヤよりも信頼性が高い)を有するSMDコイルの製作のためのロバストな方法が提供される。
【0102】
上述の方法200及び300は、一般に、磁気コアFCの一端又は両端からの1つ以上の表面実装部分SMの取付け/設置、及びそれらの接点のコイルへの電気的接続によって補足される。実装部分SMがコイルCの動作に干渉することを回避するために、表面実装部分SMは、非強磁性材料(例えば、銅及び/又はスズ)及び/又は場合によってはニッケルから形成されてもよい。ニッケルは強磁性であるが、使用される磁気コア及びニッケルコーティングの特定の設計に応じて、場合によっては使用されてもよい。様々な実施形態において、表面実装部分SMの実装作業は、コイル部分Cの導電性巻線構造CWが製作される方法200又は300の実施の前に行われてもよい。代替的に又は追加的に、方法200の実施では、表面実装部分SMの実装及び/又はコイルへのそれらの電気的接続は、方法の実施中又は実施後に行われてもよい。
【0103】
ここで、本発明による位置センサ100のいくつかの実施形態を示す
図5A~
図5D、
図6A~
図6D、
図7A~
図7D、及び
図8A~
図8Dを一緒に参照すると、この位置センサ100は、磁場源に対するセンサの場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す信号を測定するように適合されている。これらの実施形態の各々における位置センサ100は、フレキシブル回路基板CB(例えば、当業者には理解されるように、本発明のセンサと共に使用するのに適した、箔回路基板又はフレックスPCB又は任意の他の適切なフレキシブル回路表面)と、表面実装技術(SMT)で回路基板CBに表面実装された少なくとも3つの螺旋状SMDコイルとを含む。フレキシブル回路基板CBは、少なくとも3つの螺旋状SMDコイルが、それらの磁気軸FXが同一平面上に配置されないように配置された動作構成に折り畳まれ、それによって、少なくとも3つの螺旋状SMDコイルが、外部磁場に対する(すなわち、外部磁場源に対する)センサ100の場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す、指定された外部磁場の異なる態様を感知することを可能にする。したがって、少なくとも3つのSMDコイルから得られた信号は、1つ以上の磁場源に対するセンサ100の向き及び場所のうちの少なくとも1つを測定/評価するために利用される。
【0104】
簡潔にするために
図5A~
図5D、
図6A~
図6D、
図7A~
図7D、及び
図8A~
図8Dは、本発明のセンサ100の様々な実施形態を例示するものであるが、これらの図は、以下のように自ら説明をするような方法で描かれている。図#A(すなわち
図5A~
図8A)は、本発明のいくつかの実施形態による位置センサ100のそれぞれの平坦/平面状回路レイアウトを示す概略斜視図であり、SMDコイル10の対応する配置が、フレキシブル回路CBに表面実装されて示されている(斜視回路レイアウト図は、
図5A~
図8Aに、フレキシブル回路CBの表面が平坦である状態、すなわちフレキシブル回路CBが折り畳まれ/巻かれてセンサの動作構成をもたらす前の状態で示されている)。図#Bと番号付けされた図(すなわち、
図5B~
図8B)は、
図5A~
図8Aに示されるセンサのそれぞれの実施形態に対応する、位置センサ100の概略側面図であり、図#Cと番号付けされた図(すなわち、
図5C~
図8C)及び図#D(すなわち
図5D~
図8D)は、フレキシブル回路CBがそれぞれの折り畳み軸FAi及びFAoの周りに折り畳まれ/巻かれた後の、センサ100の動作構成を形成する、位置センサ回路の長手方向軸線に沿って見た位置センサ回路の断面を示す概略正面図である。
【0105】
これにより、図#Cと番号付けされた図は、コイルが折り畳まれたフレキシブル回路CBの外面に位置するようにフレキシブル回路CBが折り畳まれた実施形態を示し、図#Dと番号付けされた図は、コイルが折り畳まれたフレキシブル回路CBの内面に位置するようにフレキシブル回路CBが折り畳まれた実施形態を示す。
【0106】
この点に関して、
図5A~
図8Dは、2つの任意の折り畳み軸FAi及びFAoを例示し、これらの折り畳み軸の周りで、回路基板CBは、管状構造に形成されるように折り畳むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、
図5C、
図6C、
図7C、及び
図8Cに示されるように、回路基板CBは、折り畳まれた回路基板CBの管状構造(開かれた又は閉じている構造)の外面上に配置されたセンサコイル10と共に、折り畳み軸線FAoを中心に管状構造に折り畳まれてもよい。そのような実施形態では、例えば、回路基板CBは、折り畳まれ/巻かれて、1mm未満、好ましくは0.9mm未満の内径の管にされてもよい。この場合、回路基板CBは、例えば、印刷された、導電性トラック/接続部CCと、センサのSMDコイルが実装され、はんだ付けされ得るはんだパッドとを有する、約10~50ミクロンの厚さの箔回路(例えば、0.0127mmの厚さの箔)であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば
図5D、
図6D、
図7D、及び
図8Dに示すように、回路基板CBは、折り畳まれた回路基板CBの管状構造(開かれた又は閉じている構造)の内面上にセンサコイル10が配置されるように、折り畳み軸線FAiを中心に管状構造に折り畳まれてもよい。明確にするために、以下では、回路基板CBが折り畳まれる軸FAi又はFAoである折り畳み軸は、センサ100の長手方向軸線ともみなされ、そのように呼ばれる。
【0107】
簡潔にするために、
図5A~
図8Dに提供される位置センサ100の非限定的な例では、指定された折り畳み軸に対して60°又は120°の角度間隔で配設されるように示されている少なくとも3つの螺旋状SMDコイルは、FAo又はFAiである。しかしながら、これらの角度間隔は、本明細書では例としてのみ提供されており、本発明の様々な実施形態では、少なくとも3つのコイルは、1つ以上の磁場源に対するセンサの位置及び/又は向きを感知するように依然として動作しながら、それらの間に他の角度間隔(例えば、場合によっては90°の間隔、及び/又はそれらの間に異なる/変動する角度間隔)で配置され得るということを理解されたい。この点に関して、センサ100は、例えば、コイル10のコンパクトな/所望の配置、及び/又は異なるコイルによる共通の磁場信号成分の相互感知の低減/調整などの様々な設計制約に対応するために、図に示されるものとは異なるコイルの角度間隔で、一般的に構成され得るということが理解されるであろう。
【0108】
ここで、
図5A~
図5Dに示される位置センサ100の例示的実施形態を具体的に参照すると、センサ100は、磁場源MF
Oに対するその場所及び/又は配向を示す信号を測定するように適合される。この実施形態では、少なくとも3つのSMDコイル10は、例えば、
図1Bに関連して上に説明した本発明の実施形態にしたがって構成された3つの水平螺旋状SMDコイル10Hを含むことができる。この目的のために、3つのSMDコイル10Hは、表面実装技術を介して、回路基板CBの表面に表面実装され得る。
【0109】
様々な実施形態では、
図5A~
図5Dの位置センサ100は、これらの3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、磁場源MFoに対するセンサ100の長手方向軸線FAi又はFAoの向きを決定することを容易にするように特に設計されており、それによって、磁場源MFoは、一般に、センサ100の長手方向軸線FAi又はFAoの一般的な方向に沿って、センサ100の前に配置される。3つのSMDコイル10Hから得られる信号は、センサ100の長手方向軸線の周りの2つの角度(すなわち、ピッチ及びヨー)に関して、磁場源MFoに対する向きを決定することを容易にする。それを正確に達成するために、3つのSMDコイル10Hは、回路基板CBの表面に対して、それらの磁束軸FXを平行な向きにして、それらの磁束軸FXが、互いに実質的に平行であるように、回路基板CB上に設置されてもよい。好ましくは、正確な向きの測定を容易にするために、3つのSMDコイル10Hは、回路基板CB上に配置されるが、その際、それらは(具体的にはそれらのコイルのコア部分C)が直線ガイドラインGLに対して位置合わせ/整列されるように長手方向軸線/折り畳み軸FAi又はFAoに直交するように、かつそれらの磁束軸FXが長手方向軸線/折り畳み軸FAi又はFAoに対して実質的に平行になるように配置される。したがって、回路基板CBが、折り畳み軸FAi又はFAoを中心にその指定された動作構成に曲げられる/折り畳まれるとき、3つのSMDコイル10Hの磁束軸FXは、実質的に互いに平行であるが、同一平面上にはなく(2つの角度についての配向測定を容易にするように)、好ましくは、3つのSMDコイル10H全て(具体的には、それらのコア部分C)が、共通基準面RPに対して位置合わせされる(基準面は、例えば、回路が折り畳まれるときにガイドラインGLを収容する面であってもよい)。好ましくは、いくつかの実施形態では、磁気源MF
Oに対する向きを測定するために、
図5A~
図5Dの実施形態で使用される少なくとも3つの螺旋状SMDコイル10Hは、同様の構成(寸法及びインダクタンス値/リアクタンス値)のコイルである。
【0110】
したがって、
図5A~
図5Dの位置センサ100は、センサの3つの螺旋状SMDコイル10Hの概ね前方に位置決めされた磁場源MFoに対する、センサの向きの正確な測定のために好適に構成される。したがって、SMDコイル10Hの各々によって誘導された電圧を計算することによって、センサに接続され得る信号処理回路(特に図示せず。例えば、コンピュータ化されたシステム)は、磁場源MF
Oの測定された向きを決定するように動作してもよい。例えば、本発明にしたがって構成されたコンパクトな螺旋状SMDコイル10Hは、コア部分Cの長手方向寸法が、約1.2~1.4mm(表面実装部分と合わせて全体で約2mm延在する)、また横方向寸法(幅/直径)が、0.6mm以下のオーダー、より好ましくは0.5mmのオーダーで延在しているが、約0.2μV/(ガウス*Hz)の感度が得られ、それによって磁場源MF
Oに対する向きの正確な測定が可能になる。
図5A~
図5Dのセンサ100のSMDコイル10Hから得られた信号を利用して、それに対する磁場源MFoの向きを決定/評価する様々な技術を当業者は容易に理解するであろう。
【0111】
ここで、
図6A~
図6Dに示される位置センサ100の例示的実施形態を具体的に参照すると、センサ100は、磁場源MF
Lに対するその場所及び/又は向きを示す信号を測定するように適合される。この実施形態では、センサ100は、フレキシブル回路基板CB及び3つのSMDコイルを含み、少なくとも3つのSMDコイル10うちの2つは、垂直螺旋状SMDコイル10Vであり、
図1Cの実施形態にしたがって構成され、表面実装技術を介して、回路基板CBに対してそれらの磁束軸FXを垂直/直交向きにして、回路基板CBの表面に実装される。少なくとも3つのSMDコイル10のうちの1つのSMDコイルは、水平螺旋状SMDコイル10Hであり、
図1Bにしたがって構成され、表面実装技術を介して、回路基板CBの表面に対して、その磁束軸FXを水平向きにして回路基板CBの表面に実装される。3つのSMDコイル10は、回路基板CBが、折り畳み軸FAi又はFAoの周りに曲げられ/折り畳まれ/巻かれた場合にその指定された動作構成(
図6B~
図6Dに例示されるような構成)にされた際に、3つのSMDコイル10の磁束軸FXは、互いに平行ではなく、コイルがその近傍の磁場の異なるベクトル成分を測定することを可能にする3次元座標に広がるように回路基板CB上に配置される。より具体的には、例えば、2つの垂直螺旋状SMDコイル10Vは、CBが、その動作状態に曲げられたときに、2つのSMDコイルのそれらの磁束軸が平行ではなく、例えば、互いに対して90°又は120°であり、水平螺旋状SMDコイル10Hが、例えば、回路基板の折り畳み軸FAi又はFAoに対して平行に、その磁束軸が相対的に配置されるように配置されてもよい(例えば、任意にいくつかの実装形態において、これは、回路基板のコンパクトな折り畳みを容易にし得る)。
【0112】
この目的のために、磁束軸FXが3次元座標に広がる少なくとも3つのSMDコイル10の配置は、それらの近傍における磁界のベクトル成分の測定を容易にし、それによって磁場MFLの外部の源に対するセンサ100の場所及び/又は向きを決定することを可能にする。一般に、例えば、複数の区別できる磁場(例えば、典型的には、異なる周波数の少なくとも3つの磁場)を生成する磁場MFLの外部の源を利用することによって、センサ100の位置及び向きの両方が決定され得る。当業者であれば、センサ100に対する、磁場源MFLの場所及び/又は向きが、センサ100における磁場ベクトル成分の測定に基づいて決定され得る、種々の技法を容易に理解するであろう。
【0113】
好ましくは、いくつかの実施形態では、
図6A~
図6Dの実施形態で使用される2つの垂直螺旋状SMDコイル10Vは、同様の構成(寸法、及びインダクタンス値/リアクタンス値)のコイルであってもよい。いくつかの実施形態では、垂直螺旋状SMDコイル10Vは、1つの横方向寸法が細長いコア断面を有するように構成され(例えば、
図6Aに例示されるように、1つの横方向寸法が他の横方向寸法よりも大きい楕円形断面又は矩形断面を有するコアなど)、回路基板CB上に垂直に設置され、それらのコア断面の長辺は、回路基板CBが曲げられる折り畳み軸FAi又はFAoと実質的に同一直線上にある。これは、位置センサの所望の感度を得るために、これらのコイルが十分に大きな断面を有することを容易にし、一方で、コアの短縮された横方向寸法のみが折り畳み軸に垂直であり、より大きな横方向寸法が折り畳み軸と位置合わせされ、これが回路基板折り畳みの直径を制限しないようにないときに、回路基板CBのコンパクトな折り畳み、それによってセンサのコンパクトな寸法を可能にする。したがって、
図6A~
図6Dの位置センサ100は、磁場源MF
Lに対するセンサの場所及び/又は向きの正確な測定のために好適に構成される。例えば、本発明によるコンパクトな構成で構成され、その磁気軸に沿って約0.45mm~0.6mm(典型的には約0.5mm以下)延在する長手方向寸法を有し、約0.7mm×2.2mmの横方向寸法を有する細長い/楕円形の断面を有するSMDコイル10Vは、約0.1~0.2μV/(ガウス
*Hz)の感度をもたらすことができ、kHz周波数領域の磁場を感知し、それによって、磁場源MF
Lの場所及び向きの正確な測定を可能にする(なお、感度の尺度はここでは均一な磁場に対して示されており、不均一な磁場に対する感度はより低い場合があり得るということに留意されたい)。
【0114】
ここで、
図7A~
図7D及び
図8A~
図8Dに示す位置センサ100の実施形態を一緒に参照する。これらの例では位置センサ100は、1つ以上のフレキシブル回路基板CB上に表面実装された少なくとも5つのSMDコイル10を含む(図に示された非限定的な例では1つの回路基板のみが示されている)。センサ100の少なくとも5つのSMDコイル10のうちの3つのSMDコイルは、水平螺旋状SMDコイル10Hであってもよく、
図5A~
図5Dに関連して上述したのと同様の方法で回路基板CB上に構成され、配置されてもよい(例えば、回路基板CBが、折り畳まれた/巻かれた動作状態でセンサに設置されるとき、それらの磁束軸FXは、互いに平行であり、同一平面上にはない)。加えて、センサ100の少なくとも5つのSMDコイル10のうちの2つのSMDコイルは、垂直螺旋状SMDコイル10Vであってもよく、
図6A~
図6Dに関連して上述した垂直螺旋状SMDコイル10Vと同様に、(例えば、回路基板CBが折り畳まれた/巻かれた動作状態でセンサに設置されたときに、それらの磁束軸は互いに平行でなく、例えば互いに対して90°又は120°であり、センサ100の3つの水平螺旋状SMDコイル10Hの磁束軸FXにも平行でない)回路基板CB上に構成され、配置されてもよい。このような構成により、3つの水平SMDコイル10Hから得られる信号を利用して、センサ100の2つの向きの角度(例えば、ピッチ及びヨー)を、第1の磁場源MF
Oに対して相対的に(例えば、第1の磁場源MF
Oは、それらの磁束軸の一般的な方向に沿って、3つの水平螺旋状SMDコイル10Hの前に位置してもよく、第1の周波数(例えば、16 kHz)の磁場を生成するように動作し)決定することが可能になる。また、2つの垂直螺旋状SMDコイル10Vから得られる信号を、水平SMDコイル10Hのうちのいずれか1つ(又は複数)から得られた信号と共に利用して、第2の磁場源MF
L(例えば、1~4kHzなどの第2の周波数の磁場を生成するように動作し得る)に対して相対的に、センサ100の向き及び/又は場所を決定する。
【0115】
図7A~
図7D及び
図8A~
図8Dの実施形態において自己説明的な方法で示されるように、上述の構成を満たしながら、少なくとも5つのSMDコイル10は、センサの様々な前提条件のコンパクトな寸法に適応し、同時にその中に高感度コイルを詰め込むために、センサの1つ以上の回路基板CB上に様々な配置で配置されてもよい。例えば、
図7A~
図7Dに示される実施形態では、5つのSMDコイル10を詰め込む、特に狭い管状形状のセンサ100が提供される。この例では3つの水平螺旋状SMDコイル10Hは、センサ100の第1の列に配置され(例えば、ガイドラインGLに位置合わせされ)てもよく、2つの垂直螺旋状SMDコイル10Vは、同じ列には配置されなくてよい(例えば、回路基板CB(複数可)上で3つの水平螺旋状SMDコイル10Hの列から後方に配置されてもよい)。それにより、回路基板CBの外周は、1つの外周領域で、3つの水平螺旋状SMDコイル10Hを収容し、別個の外周領域で、2つの垂直螺旋状SMDコイル10Vを収容する必要がある。したがって、この場合、
図7C及び
図7Dに示されるように、回路基板CB(複数可)の折り畳まれた状態において、3つの水平螺旋状SMDコイル10Hの断面は、2つの垂直螺旋状SMDコイル10Vの断面と重なり合うことができ、したがって、回路基板CBのコンパクトな折り畳みを可能にする。したがって、この場合、センサの特に狭い構成を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、回路基板CBは、厚さが、約12~15μmであり、長手方向寸法が、約
【0116】
【0117】
【数2】
であってもよく、直径が約1mm以下の管状形状に巻かれてもよい。
【0118】
あるいは、例えば、
図8A~
図8Dに示される実施形態では、特に短い長手方向寸法のセンサ100が得られてもよい。この例では、全てのSMDコイル10は、例えば
図8Bに示すように、センサの短い寸法が得られるように、回路基板上に単一の列で概ね配置される。
【0119】
図5A~
図8Dに示されているセンサ100を一緒に参照すると、以下に留意されたい。
【0120】
実施形態では、例えば、第1の磁場源MF
Oに対する向きを決定するために使用される3つのコイル10Hは、同様のコイル又は矩形、円形若しくは楕円形の断面であってもよく、第2の磁場源MF
Lに対する向き/場所を決定するために、3つのコイルのうちの1つと共に使用され得る2つの追加のコイル10Vは、同様であっても異なっていてもよく、典型的には、細長い断面(例えば、センサの長手方向軸線に沿って細長い)矩形断面又は楕円形断面を有するようなものであってもよい。上記の例におけるセンサ100の全てのコイル10は、表面実装可能コイル(例えば、
図1A~
図1Cに記載されるような本発明の実施形態にしたがって構成されるSMDコイル)であると考えられるが、本発明者らによって企図されるセンサ100の他の実装形態において、コイルのうちのいくつかは、SMDコイルでなくてもよく、かつ/又は
図1A~
図1Cに記載されるコイル構成にしたがって構成されなくてもよいということが理解されるであろう。例えば、実施形態では、第1の磁場源MF
Oに対する向きを決定するために使用される3つのコイルは、本発明にしたがって構成されたSMDコイルであってもよく、第2の磁場源MF
Lに対する場所/向きを決定するために使用される2つの追加のコイルは、任意に、空芯コイルなどの他のタイプのコイルであってもよい。
【0121】
この目的のために、センサ100は、例えば、SMDコイル10の信号を処理して、磁場源MFOに対するセンサの向き、及び/又は第2の磁場源MFLに対するセンサの場所/向きを決定するように適合された外部アナログ及び/又はデジタル処理回路を含み得る信号処理回路(特に図示せず)に接続され得るということが理解されるであろう。
【0122】
ここで、
図9Aを参照すると、これには、本発明の一実施形態による医療器具1000(例えば、プローブ/カテーテル)のブロック図が示されている。医療器具1000は、コンパクトな侵襲的医療器具であってもよく、一般的に、ハウジングHと、本発明にしたがって構成され、ハウジングHに固定して設置された磁場ベースの位置センサ100とを含む。医療器具1000はまた、少なくとも1つの磁場源MFに関連付けられ、これは、磁場ベースの位置センサ100が、少なくとも1つの磁場源MFに対するその場所及び向きのうちの少なくとも1つを決定することを可能にするために、指定された磁場をその周囲に生成するように構成され動作可能である。様々な実施形態では、少なくとも1つの磁場源MFは、ハウジングH内に囲まれていてもいなくてもよく、医療器具1000の一体部分であってもなくてもよいということに留意されたい。以下の説明から理解されるように、いくつかの実施形態では、医療器具1000は、医療器具1000の異なる部分相対位置及び向きの測定を可能にするように、異なる特性(例えば、異なる周波数)の磁場を生成する、いくつかの、少なくとも1つの磁場源MFに関連付けられる。本発明によれば、磁場ベースの位置センサ100は、例えば
図5A~
図8Dの実施形態のいずれかに記載されているように本発明にしたがって構成され、1つ以上のSMDコイル10(典型的には複数)の磁束軸が同一平面上にないように、上述のように曲げられ/折り畳まれ/巻かれた動作構成でハウジング内に配置された、フレキシブル回路基板CB上に表面実装された1つ以上のSMDコイル10を含む。したがって、この構成では、高感度でコンパクトな位置センサ100が医療器具の小さな寸法内に含まれる。
【0123】
ここで、
図9Bを参照すると、これには、本発明の一実施形態による医療器具1000(例えば、プローブ/カテーテル)の斜視図が概略的に示されている。この実施形態における医療器具1000は、
図9Aを参照して上述した医療器具の構成を例示しており、ハウジング/医療器具は、長手方向軸線Lを有する主要部分M、及び加えられた力F(例えば、医療器具の先端部分Tが患者の身体組織と接触しているときに加えられ得る)の下で、ハウジングの長手方向軸線Lに対して、加えられた力Fの大きさ及び方向に対応した程度に曲がることができるように構成されている例えばバネ又はジョイントなどのバンディングカプラJを介して、主要部分Mの遠位端に柔軟に結合された先端部分T、を含む。この例では、医療器具1000は、磁場源MF
Oを含み、これは、例えば、磁場を生成するための適切な回路に関連付けられたコイルであってもよい。磁場源MF
Oは、典型的には、先端部分Tに固定して配置され、典型的には、磁場ベースの位置センサ100は、ハウジングの主要部M内に配置される(いくつかの実施形態では、医療器具の設計/寸法制約に応じて、磁場源MF
Oが主要部分に配置され、位置センサ100が先端に配置される、逆の構成が実装され得るということに留意されたい)。磁場源MF
Oは、磁界を生成するように構成され動作可能であり、磁場源が設置されたハウジングセクション(以下、一般性を失うことなく先端部分T)の向き及び場合によっては場所も示す基準フレームを提供する。磁場ベースの位置センサ100は、別の身体部分(以下、一般性を失うことなく、主要部分M)に位置し、磁場源MF
Oが位置するセクションに対して(例えば、先端部分Tに対して)移動可能(例えば、回転可能)であり、磁場源MF
Oによって生成された磁場を感知し、測定値に基づいて、主要部分Mに対する先端部分Tの向きを決定/推定するように構成され、動作可能であり、これは一般に、先端部分(例えば、医療器具が医療手術で使用されるとき、先端と身体組織との間)に加えられる力ベクトルFを示す。
【0124】
この目的のために、磁場源MF
Oは、例えば、先端部分Tに配置され、例えばkHz領域の周波数(例えば、16kHz)を有する交流磁場を生成するコイルであってもよい。実施形態では、例えば、磁場源MF
Oのコイルは、ハウジングの長手方向軸線Lに対する先端部分Tの中立的で曲がっていない位置において、その磁束軸がハウジングの長手方向軸線Lと実質的に同一直線上にある/一致するように配置されてもよい。磁場ベースの位置センサ100は、本発明にしたがって構成された位置センサ100、例えば、少なくとも3つのSMDコイルが、それらの磁場軸が実質的に平行であり、同一平面上にないように配置される
図5A~
図5D、
図7A~
図7D、及び
図8A~
図8Dの実施形態のいずれか1つに示された位置センサである。これにより、例えば
図5A~
図5Dを参照して上述したように、この目的の高感度で小型で信頼性の高いSMDコイル10を利用しながら、磁場源MF
Oに対するセンサ100の向きを、配向角(例えば、ピッチ及びヨー)について測定することが可能になる。この例では、図に示されるように、3つの水平螺旋状SMDコイル10Hが、折り畳まれた/巻かれたフレキシブル回路基板CBの上のセンサ100(図では2つのみが見える)内に配置されて、コンパクトな高感度で信頼性のあるセンサ構成を提供する。
【0125】
この目的のために、本発明の技術を考慮すると、当業者は、磁場源MFOに対するセンサ100の向きが、磁場源MFOによって生成された磁場の測定値に基づいてどのように決定され得るかを容易に理解するであろう(これは、それに対して配向が決定され得る基準フレームを提供する)。更に、当業者であれば、力ベクトルFが、バンディングカプラJの測定された向き及び特性(例えば、ばね定数)に基づいてどのように決定され得るかを容易に理解するであろう。
【0126】
ここで、
図9Cを参照すると、これには、本発明の別の一実施形態による医療器具1000の側面図が概略的に示されている。医療器具1000は、この実施形態では、その主要部分に対する先端部分の向きを決定する(又は例えば、先端に加えられる力を決定する)ための、
図9Bに参照されている医療器具1000の特徴を組み込み、また、医療器具1000自体の空間内の場所及び/又は向きを決定/測定するようにも適合される。この目的のために、医療器具1000は、少なくとも5つのコイルが含まれる本発明の磁場ベースの位置センサ100を含み、別の磁場源MF
Lに関連付けられ、この別の磁場源は、医療器具1000の外部に配置され、磁場源MF
Oによって生成される磁場とは(例えば、周波数において)異なる、医療器具1000の場所及び/又は向きが決定され得る空間基準フレームを提供する第2の磁場を生成するように構成されかつ動作可能である。(例えば、磁場源MF
Lは、磁場源MF
Oの周波数とは別個の2つ以上の周波数の磁場を生成するように適合されてもよく、それによって医療器具1000の場所及び向きの両方の決定を可能にする。この実施形態における医療器具1000は、少なくとも5つのコイル/SMDコイルが含まれる
図7A~
図7D及び
図8A~
図8Dの実施形態のいずれか1つに示されるような、本発明の位置センサ100を含み得る。したがって、これらの図を参照して上述したように、これらの少なくとも5つのコイルのうちの少なくとも3つのサブセットは、それらの磁束軸が3次元座標に広がるように配置されてもよく、それによって、磁場源MF
Lに対してコイルによって生成された磁場を測定することによって医療器具1000の空間的場所及び/又は向きを決定することが可能になる(上述したように、場所及び向きの両方が決定され得る)。この例では、図に示されるように、本発明の3つの水平螺旋状SMDコイル10H(図では2つのみが見える)と、本発明の2つの垂直螺旋状SMDコイル10V(図では1つのみが見える)とが、折り畳まれた/巻かれたフレキシブル回路基板CB上のセンサ100内に配置されて、コンパクトな高感度で信頼性の高いセンサ構成を提供する。
【0127】
ここで、
図10A及び
図10Bを参照する。医療器具での使用に適した磁気位置センサ100を製作する方法400が、
図10Aのフロー図に概略的に示されている。本発明は、以下の動作、
410-フレキシブル回路基板(FCB)を提供することと、
420-少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)を提供することと、
430-表面実装技術を介して、少なくとも3つのSMDコイルをFCBに実装することと、
440-少なくとも3つのSMDコイルが実装されたFCBを、管状形態に折り畳む/巻くことであって、少なくとも3つのSMDコイルの磁気軸が同一平面上にないように、それによって、少なくとも3つのSMDコイルによって感知される1つ以上の磁場源からの磁場が、磁場源に対するセンサの場所及び向きのうちの少なくとも1つの測定を可能にすることと、を含む。
【0128】
より具体的には、動作410において、磁気位置センサのコイルを、その上に実装するためのフレキシブル回路基板(FCB)が提供される。フレキシブル回路基板(FCB)の使用は、センサ上の(例えば、センサが存在する医療デバイス内の)適切な場所及び向きでのコイルのロバストかつ正確な収容を容易にすると同時に、費用対効果の高い方法でのコイルのコンパクトな配置も容易にするので、直接配線などのコイルを接続するための他の技法よりも有利である。動作420及び430では、少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)が提供され、表面実装技術を使用することによってFCB上に実装され、表面実装技術は、コイルのFCBへの正確で、コンパクトで、信頼性のある/ロバストな電気的及び機械的接続を容易にする。次に、動作440において、FCBは、センサの必要な縮小に適合させることができるように、適切な寸法を有する管状形態に折り畳まれる(例えば、巻かれる)。例えば、本発明の技術の様々な実装形態において上述したように、磁気位置センサは、2mmのオーダーの特徴的な直径を有する管状形状の細長い本体/ハウジングを有するカテーテルなどの医療器具内に取り付けられる。したがって、FCBは、そのような医療器具に取り付けることができるより小さい直径の管状/円筒形形態を有するように折り畳まれ/巻かれてもよい。
【0129】
上述したように、様々な実施態様において、SMDコイルが実装されたFCBは、折り畳み軸に対して内側及び/又は外側に向くように、折り畳まれ/巻かれてもよい。SMDコイルは、FCBが特定の指定された折り畳み軸の周りに折り畳まれる/巻かれるときに、SMDコイルの磁気軸が互いに対して同一平面上にないようにFCB上に配置され、それによって、1つ以上の磁場源に対するセンサの場所及び向きのうちの少なくとも1つの測定を容易にする。FCB上へのSMDコイルの実装配置及びそれを用いたFCBの折り畳みのいくつかの非限定的な例が、例えば上述の
図5A~
図8Cに示されている。
【0130】
いくつかの実施形態では、上述したように磁気位置決めセンサは、磁場源に対するセンサの向きを示す信号を測定するように適合されてもよい(例えば、上述した図における基準MFo)。そのような実施形態では、実装動作430は、FCBが管状形態に折り畳まれるときにそれらの磁束軸が互いに平行であり、同一平面上にないように、SMDコイルのうちの3つをFCB上に実装し、それによって、磁場源MFOがそれらの磁束軸の一般的な方向に対して3つのSMDコイルの前に位置するときに、磁場源MFOに対する2つの配向角の測定を可能にすることを含み得る。
【0131】
代替的に又は追加的に、やはり上述したように、磁気位置センサ10は、1つ以上の外部磁場源(例えば、上述した図における基準MFL)に対するセンサの場所及び向きを示す信号を測定するように適合されてもよい。そのような実施形態では、実装動作430は、SMDコイルのうちの3つを実装し、FCBが管状形態に折り畳まれたときに、それらの磁束軸が3D座標に広がり、それによって、これらの1つ以上の外部磁場源MFLに対するセンサ100の場所及び向きの測定を可能にすることを含み得る。
【0132】
更に代替的又は追加的に、例えば
図9Cに例示されるようないくつかの実装形態では、磁気位置センサは、第1の磁場源MF
oに対するセンサの向きを示す信号と、1つ以上の第2の外部磁場源MF
Lに対するセンサの場所及び向きを示す信号とを測定するように適合される。そのような実施形態では、420で提供される少なくとも3つのSMDコイルは、少なくとも5つのSMDコイルを含む。そのような実施形態では、430における実装が、以下のように実行される。少なくとも3つのSMDコイルの第1のサブセットが、それらの磁気軸を互いに平行にして配置され、FCB折り畳みの後に、それらが平行のままであるが、同一平面上にないようにする(上述のように第1の磁場源MFoに対する配向測定を容易にする)、少なくとも3つのSMDコイルの第2のサブセットは、それらの磁束軸が、第2の磁場源MF
L(複数可)に対する場所及び向きの測定を容易にするため、FCBを折り畳んだ後に、3D座標に広がるように、配置されている(動作440)。コイルのそのような配置の例は、例えば
図7A~
図8Cに示されている。上述したように、実装(動作440)は、表面実装技術を利用して実行されてもよく、SMDコイル10Vのうちの1つ以上を、FCB表面に対してそれらの磁束軸が垂直に配向した状態で実装すること、及び/又はSMDコイル10Hのうちの1つ以上を、FCB表面に対してそれらの磁束軸を水平/平行に配向した状態で実装することを含んでもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、動作440において、SMDコイルが実装されたFCBは、小さい/狭い医療器具内に取り付けることができるように、十分に狭い外径Doを有する管状形態に折り畳まれる/巻かれる。例えば、いくつかの実装形態では、FCBが折り畳まれ/巻かれた後のセンサDoの外径Doは、約2mmを超えるべきではない。したがって、例えば
図10Bに概略的に示されるように、いくつかの実施形態では、管Tが、FCBの適切な折り畳みを補助するために使用されてもよい。管Tは、
図10Bに例示されるように、FCBがその周囲で折り畳まれる内側骨格として、又はそうでなければ、折り畳まれたFCBが挿入され得る外側骨格としての役割を果たし得る。管Tは、例えば、ポリイミドチューブであってもよい。
図10Bに図示される実施例では、管は、FCBがその周囲で折り畳まれる内側管としての役割を果たし、約0.92mmの特徴的な直径Diを有する。FCBは、その上に折り畳まれて、1.97mmの直径Doを有する外側チューブを形成し、その結果、それは、狭い医療器具内に取り付けることができ、したがって、SMDコイルは、図に示されるように、内径と外径との間の(約0.53mmの)間隔内に存在する。いくつかの実装形態では、折り畳み動作440は、センサをロバストな単体ユニットとして形成するために、センサ100の電子構成要素(FCB、SMDコイルなど)を、センサ100に接続された任意のはんだ付けされたケーブルワイヤと共に封入(ポッティング)することを更に含む。センサポッティングは、例えば、UV又は熱接着剤を利用して行われてもよく、単一段階プロセス又は2段階プロセス(例えば、一端を接着剤で堰き止め、次いで、他端から充填する)で行われてもよい。好ましくは、ポッティング中に、ポリイミドチューブTと、コイル及びそれに接続された任意のはんだ付けされたケーブルワイヤを有する巻かれた薄いFCBとの間の空の空間は、接着剤で充填される。ポッティングはまた、好ましくは、医療器具への挿入中に加えられ得る機械的応力から保護するために、ケーブルのFCB/コイルに接続された任意のはんだ付けされたケーブルワイヤを固定する。
【0134】
いくつかの実施形態では、方法400の動作420は、例えば
図2又は
図3に関連して上述したように、本発明の方法を利用して1つ以上のSMDコイルを製作することを含むことに留意されたい。例えば、ある実施形態では、
図2に関連して説明されるフォトリソグラフィックコイル製作技術は、フェライトコア上に直接、それらを伴うSMDコイルのうちの1つ以上の螺旋状コイルを形成するために使用される。
【0135】
〔実施の態様〕
(1) 位置センサであって、前記センサの場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す信号を測定するように適合されており、
i.回路基板と、
ii.前記回路基板上に配置され、1つ以上の磁場源に対する前記センサの場所及び向きのうちの少なくとも1つを示す外部磁場の異なる態様を感知するように構成された、少なくとも3つのコイルと、
を備え、
前記回路基板は、フレキシブル回路基板(FCB)であり、前記少なくとも3つのコイルは、表面実装技術(SMT)によって前記FCB上に実装された、少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)であり、
前記FCBは、その表面上に実装された前記SMDコイルのうちの少なくとも3つの前記磁束軸が同一平面上にないように折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置され、それによって、前記少なくとも3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の磁場源に対する前記センサの向き及び場所のうちの前記少なくとも1つを測定することを可能にする、位置センサ。
(2) 前記位置センサの前に位置する第1の磁場源に対する前記センサの向きを示す信号を測定するように適合されており、
前記少なくとも3つのSMDコイルは、前記FCB上に配置された3つのSMDコイルを含み、それらの磁束軸は互いに平行であり、前記FCBが折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されているときに同一平面上になく、それによって、前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記第1の磁場源が前記磁束軸の一般的な方向に対して前記センサの前に配置されているときに、前記第1の磁場源に対する前記位置センサの2つの配向角を決定することが可能になる、実施態様1に記載の位置センサ。
(3) 前記3つのSMDコイルは、FCB表面に対してそれらの磁束軸が平行な向きにある状態で前記FCBの前記表面に表面実装技術を介して表面実装され、前記FCBは、前記センサにおいて折り畳まれた/巻かれた形態で配置され、前記折り畳まれた/巻かれた形態の折り畳み軸/巻き軸が、その上の前記3つのSMDコイルの前記平行な磁束軸に実質的に平行である、実施態様2に記載の位置センサ。
(4) 1つ以上の第2の磁場源に対する前記センサの場所及び向きを示す信号を測定するように適合されており、
前記少なくとも3つのSMDコイルは、前記FCB上に配置された3つのSMDコイルを含み、前記FCBが前記センサにおいて折り畳まれたときに前記3つのSMDコイルの前記磁束軸が3D座標に広がり、
それにより、前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記1つ以上の第2の磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定することが可能になる、実施態様1~3のいずれかに記載の位置センサ。
(5) 前記3つのSMDコイルのうちの2つのSMDコイルは、前記FCB表面に対してそれらの磁束軸を垂直に配向した状態で、表面実装技術を介して前記FCBの前記表面に表面実装され、前記FCBが、折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されるとき、前記2つのSMDコイルの前記磁束軸が平行でなく、前記3つのSMDコイルのうちの第3のSMDコイルは、前記FCB表面に対してその磁束軸を平行に配向した状態で、表面実装技術を介して前記FCBの前記表面に表面実装されている、実施態様4に記載の位置センサ。
【0136】
(6) 前記少なくとも3つのSMDコイルは、前記センサの1つ以上のFCBに表面実装された、少なくとも5つのSMDコイルを含み、
前記少なくとも5つのSMDコイルの第1のサブセットは、3つのSMDコイルを含み、これらは、それらの磁束軸が、互いに平行であり、前記FCBが折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されるときに同一平面上にないように配置され、それによって、前記第1のサブセットの前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記3つのSMDコイルの前記磁束軸の一般的な方向に沿って前記3つのSMDコイルの前に位置する第1の磁場源に対する前記センサの2つの配向角を決定することを可能にし、
前記少なくとも5つのSMDコイルの第2のサブセットは、3つのSMDコイルを含み、これらは、前記FCBが折り畳まれた/巻かれた状態で前記センサに設置されるときに、それらの磁束軸が3D座標に広がるように配置され、それによって、前記第2のサブセットの前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、1つ以上の外部の第2の磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定することが可能になる、実施態様1~5のいずれかに記載の位置センサ。
(7) 前記少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、コイル部分と、前記コイル部分の少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分とを備え、これにより、前記コイル部分は、フェライトコアと、12~13μmを超えない螺旋のピッチで前記フェライトコアの外面上に直接螺旋状に配置された導電性巻線構成部とを備え、それによって前記SMDコイルがコンパクトな寸法及び高インピーダンスを有することとなる、
実施態様1~6のいずれかに記載の位置センサ。
(8) 前記フェライトコアは、少なくとも100のオーダーである比透磁率μrの材料を含み、約20℃から60℃の間の温度範囲内で、前記フェライトコアの前記材料の比透磁率は、±0.3%の許容範囲で安定して、それによって、前記温度範囲内の可変温度条件下での動作中に、一貫した磁場測定を可能にする、実施態様7に記載の位置センサ。
(9) 前記導電性巻線構成部は、前記フェライトコアの前記外面上に直接、フォトリソグラフィを利用して製作されている、実施態様7又は8のいずれかに記載の位置センサ。
(10) 前記少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、その磁束軸を前記FCB表面に対して平坦/平行な向きにして実装され、かつ、導電性巻線構成部を有するコイル部分と、少なくとも2つのSMT実装部分と、を含み、前記少なくとも2つのSMT実装部分は、前記コイル部分の両側から配置されており、SMT電気接続を用いて前記FCBに電気的に連結され、前記導電性巻線構成部の両端にそれぞれ電気的に接続された少なくとも2つのそれぞれ対応する電気接点を有する、実施態様1~9のいずれかに記載の位置センサ。
【0137】
(11) 前記少なくとも3つのSMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルは、その磁束軸を前記FCB表面に対して垂直な/直交する向きにして実装され、かつ、導電性巻線構成部を有するコイル部分と、少なくとも1つのSMT実装部分と、を含み、前記少なくとも1つのSMT実装部分は、前記コイル部分の少なくとも一方の側から配置されており、SMT電気接続を介して前記FCBに電気的に連結され、前記導電性巻線構成部の両端にそれぞれ電気的に接続された少なくとも2つの電気接点を有する、実施態様1~10のいずれかに記載の位置センサ。
(12) 実施態様1~11のいずれかにしたがって構成された位置センサを含む医療器具。
(13) 前記医療器具は、長手方向軸線を有する主要部分と、前記主要部分の遠位端に柔軟に連結され、前記第1の磁場源を含む先端部分とを備える細長いハウジングを有するカテーテルであり、
前記位置センサは、前記FCBが前記長手方向軸線に平行な軸線の周りに折り畳まれる/巻かれるように、前記細長いハウジングの前記主要部分に収容され、前記第1のサブセットは、前記第1の磁場源からの磁場の測定に基づいて、前記ハウジングの前記主要部分に対する前記先端部分の向きを決定することを容易にし、前記第2のサブセットは、前記1つ以上の外部の第2の磁場源に対する前記主要部分の場所及び向きを決定することを容易にする、実施態様12に記載の医療器具。
(14) 医療器具での使用に適した磁気位置センサを製作する方法であって、
i.フレキシブル回路基板(FCB)を提供することと、
ii.少なくとも3つの表面実装コイルデバイス(SMDコイル)を提供することと、
iii.表面実装技術(SMT)を介して、前記少なくとも3つのSMDコイルを前記FCBに実装することと、
iv.前記少なくとも3つのSMDコイルを有する前記FCBを、管状形態に折り畳むことであって、前記少なくとも3つのSMDコイルの磁気軸が同一平面上にないように前記折り畳みが実行され、それによって、前記少なくとも3つのSMDコイルによって感知される1つ以上の磁場源からの磁場が、前記磁場源に対する前記センサの場所及び向きのうちの少なくとも1つの測定を可能にする、ことと、
を含む方法。
(15) 前記医療器具が、約2.5mm以下の特徴的な内径を有する管状形状の本体を有するカテーテルであり、前記折り畳みが、折り畳まれた後の前記FCBの直径が前記カテーテルの前記本体の前記特徴的な内径よりも小さくなるように実行され、前記方法は、前記折り畳まれたFCBを前記本体内に配置することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0138】
(16) 前記磁気位置センサは、磁場源に対する前記センサの向きを示す信号を測定するように適合され、前記少なくとも3つのSMDコイルを前記実装することは、前記SMDコイルのうちの3つを、それらの磁束軸が、互いに平行であり、前記FCBが前記管状形態に折り畳まれたときに同一平面上にないように、前記FCB上に実装して、それによって前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記3つのSMDコイルの前記磁束軸の一般的な方向に沿って前記3つのSMDコイルの前に位置する磁場源に対する2つの配向角を決定することを可能にすることを含む、実施態様14又は15に記載の方法。
(17) 前記磁気位置センサが、1つ以上の外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを示す信号を測定するように適合され、前記少なくとも3つのSMDコイルを前記実装することは、前記SMDコイルのうちの3つを、前記FCBが前記管状形態に折り畳まれたときに前記3つのSMDコイルの磁束軸が3D座標に広がるように、前記FCB上に実装して、それによって前記3つのSMDコイルから得られた信号を利用して、前記外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定することを可能にすることを含む、実施態様14~16のいずれかに記載の方法。
(18) 前記磁気位置センサは、第1の磁場源に対する前記センサの向きを示す信号と、1つ以上の第2の外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを示す信号とを測定するように適合され、前記少なくとも3つのSMDコイルは、少なくとも5つのSMDを含み、前記実装することは、前記FCBが前記管状形態に折り畳まれたときに、前記少なくとも5つのSMDコイルの磁束軸の以下の配置、
-前記少なくとも5つのSMDコイルのうちの少なくとも3つのSMDコイルを含む第1のサブセットの前記磁束軸は、互いに平行であり、同一平面上になく、それによって、前記第1のサブセットから得られた信号の利用を容易にして、前記第1のサブセットの前記3つのSMDコイルの平行な磁束軸の一般的な方向に沿って、前記第1のサブセットの前記3つのSMDコイルの前に前記第1の磁場源が位置するときに、前記第1の磁場源に対する2つの配向角を決定する配置、
-前記少なくとも5つのSMDコイルのうちの少なくとも3つのSMDコイルを含む第2のサブセットの前記磁束軸は、3D座標に広がり、それによって、前記第1のサブセットから得られた信号の利用を容易にして、前記1つ以上の外部磁場源に対する前記センサの場所及び向きを決定する配置、が得られるように、前記少なくとも5つのSMDコイルを実装することを含む、実施態様14~17のいずれかに記載の方法。
(19) 前記実装することが、表面実装技術を利用して行われ、以下、
-2つのSMDコイルを、それらの磁束軸が前記FCB表面に対して垂直の向きである状態で、また1つのSMDコイルを、その磁束軸が前記FCB表面に対して平行の向きである状態で、実装して、前記FCBが折り畳まれた状態にあるときに、前記2つのSMDコイル及び前記1つのSMDコイルの前記磁束軸が、3D座標に広がるようにすることと、
-3つのSMDコイルを、それらの磁束軸が前記FCB表面に対して平行な向きである状態で実装して、前記FCBが前記磁束軸に平行な軸線の周りに折り畳まれたときに、前記3つのSMDコイルの前記磁束軸が平行であり、同一平面上にないようにすることと、のうちの少なくとも一方を含む、実施態様14~18のいずれかに記載の方法。
(20) 前記少なくとも3つのSMDコイルを前記提供することが、フェライトコア上に直接螺旋状導電性巻線を形成するためにフォトリソグラフィ法を利用して、前記SMDコイルのうちの少なくとも1つのSMDコイルを製作することを含み、前記フォトリソグラフィ法は、
a.前記フェライトコアの少なくとも管状部分を覆うようにフォトレジスト層を塗布することと、
b.フォトリソグラフィを適用して、前記フォトレジスト層をパターニングし、前記フォトレジスト層によって覆われた前記管状部分の上に、螺旋状パターンを形成することと、
c.前記フェライトコアの外面層を、前記螺旋状パターンの露出領域において電気めっきして、前記フェライトコアの前記管状部分の外面層上に直接、前記導電性の螺旋状巻線を形成することと、を含む、実施態様14~19のいずれかに記載の方法。
【0139】
(21) -前記フォトリソグラフィ法は、高密度の導電性の螺旋状巻線の製作に適合され、前記螺旋状パターンのピッチ及びそれに対応して前記導電性の螺旋状巻線のピッチは、10μmのオーダー又はそれ未満である、
-前記フェライトコアは、少なくとも100のオーダーの比透磁率μrを有する完全焼結磁性材料を含み、前記フォトリソグラフィは、前記フェライトコアに実質的な損傷を引き起こさずに前記フォトレジストをパターニングするのに適した光出力密度(LDP)及び波長を提供するフォトリソグラフィ光源を利用する、
-前記フォトレジスト層の前記塗布は、少なくとも8μmの厚さを有する乾燥フォトレジストの層を塗布し、それによって、前記電気めっきが、隣接する線間のピッチが小さい前記螺旋状導電性巻線の狭い線幅をもたらし、それらの間の電気めっきの広がりを防止することを可能にすることを含む、
-前記電気めっきの前に、前記フォトリソグラフィ法は、前記フェライトの表面導電率を増加させ、前記電気めっきを容易にするために、前記フェライトコアの少なくとも一部の上にシード層を製作することを含む、
-前記電気めっきの後に、前記フォトリソグラフィ法は、導電性の螺旋状巻線間から、残留フォトレジスト材料を除去することを含む、
-前記フェライトコアには、その少なくとも1つのそれぞれ対応する側から配置された少なくとも1つの表面実装部分が設けられ、また前記フォトレジスト、前記フォトリソグラフィ、及び前記電気めっきが適用されて、前記導電性の螺旋状巻線の少なくとも1つの端部と、前記少なくとも1つの表面実装部分上の1つ以上の指定場所との間に、1つ以上の導電性カプリングを形成し、1つ以上のSMT接点を形成する、
のうちの1つ以上である、実施態様20に記載の方法。
【外国語明細書】