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特開2025-5437エンドレス牽引装置のための動的張力付与システム
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  • 特開-エンドレス牽引装置のための動的張力付与システム 図1a
  • 特開-エンドレス牽引装置のための動的張力付与システム 図1b
  • 特開-エンドレス牽引装置のための動的張力付与システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005437
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】エンドレス牽引装置のための動的張力付与システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/12 20060101AFI20250108BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024103556
(22)【出願日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】10 2023 116 875.4
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】524244007
【氏名又は名称】メスリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MESSRING GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ シエチェ
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049AA06
3J049AA08
3J049BB05
3J049BB17
3J049BB22
3J049BC04
3J049BC08
3J049BH02
3J049CA06
(57)【要約】
【課題】エンドレス牽引装置のための動的張力付与システムを提供する。
【解決手段】本発明は、アクチュエータおよび第1の偏向素子を備えるエンドレス牽引装置のための張力付与システムに関し、アクチュエータは第1の偏向素子と相互作用し、またエンドレス牽引装置の予張力を変更するために、アクチュエータにより第1の偏向素子をエンドレス牽引装置に対して動かすことができる。本発明によれば、張力付与システムは第2の偏向素子を備え、第2の偏向素子はエンドレス牽引装置と係合し、また第2の偏向素子は、プーリのように第1の偏向素子およびエンドレス牽引装置と相互作用するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(3)および第1の偏向素子(4)を備えるエンドレス牽引装置(2)のための張力付与システム(1)であって、前記アクチュエータ(3)は前記第1の偏向素子(4)と相互作用し、また前記エンドレス牽引装置(2)の予張力を変更するために、前記アクチュエータ(3)により前記第1の偏向素子(4)を前記エンドレス牽引装置(2)に対して動かすことができ、前記張力付与システム(1)は第2の偏向素子(5)を含み、前記第2の偏向素子(5)は前記エンドレス牽引装置(2)と係合し、また前記第2の偏向素子(5)はプーリのように前記第1の偏向素子(4)および前記エンドレス牽引装置(2)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、張力付与システム(1)。
【請求項2】
前記第1の偏向素子(4)は、第1のシーブ(6)および第2のシーブ(7)を備え、前記第1のシーブ(6)および前記第2のシーブ(7)は、前記エンドレス牽引装置(2)が前記2つのシーブ(6、7)によって連続的に偏向されるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の張力付与システム(1)。
【請求項3】
前記第2の偏向素子(5)は、第3のシーブ(8)を備えることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の張力付与システム(1)。
【請求項4】
前記第2の偏向素子(5)は、前記エンドレス牽引装置(2)が前記第1のシーブ(6)および前記第2のシーブ(7)による前記偏向の間に前記第2の偏向素子(5)によって偏向されるように配置されていることを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の張力付与システム(1)。
【請求項5】
前記第1のシーブ(6)は第1のガイド(9)を備え、かつ前記第2のシーブ(7)は第2のガイド(10)を備えることで、前記エンドレス牽引装置(2)がそれ自体と接触するのを防止することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(3)はシリンダ(11)およびピストンロッド(12)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(3)は制御可能な油圧シリンダ(13)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の張力付与システム(1)。
【請求項8】
前記エンドレス牽引装置(2)の前記予張力を変更するために、前記第1の偏向素子(4)が前記アクチュエータ(3)の運動方向に動かされるように、前記第1の偏向素子(4)が前記アクチュエータ(3)と相互作用することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項9】
前記第2の偏向素子(5)は、前記アクチュエータ(3)の前記運動方向(14)に一直線上に配置されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項10】
前記第1のシーブ(6)および前記第2のシーブ(7)は、それぞれ回転軸を有し、前記回転軸は、互いに実質的に同軸となるように整列されていることを特徴とする、請求項2~9のいずれか一項に記載の張力付与システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに記載のエンドレス牽引装置のための動的張力付与システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンドレス牽引装置のための一般的な動的張力付与システムは、アクチュエータおよび第1の偏向素子を備え、アクチュエータは第1の偏向素子と相互作用し、またエンドレス牽引装置の予張力を変更するために、アクチュエータにより、第1の偏向素子をエンドレス牽引装置に対して動かすことができる。
【0003】
エンドレス牽引システムは、特に駆動部と出力部との間に一定の距離を克服する必要がある場合に、回転駆動力を伝達するために使用される。多種多様な形状のロープ、チェーン、およびベルトをエンドレス牽引装置として、従って動力伝達に使用することができる。用途および使用分野に応じて、エンドレス牽引システムには、エンドレス牽引装置と駆動プーリとの間の動力伝達に必要な牽引力を関連する動作範囲内に維持するか、またはそれを所定の値に設定するための張力付与装置が必要である。
【0004】
特に、高負荷および高い精度が要求される場合、エンドレス牽引装置が牽引シーブから滑り出すまたは飛び出すことのないように、牽引システム全体で必要な予張力を動的に維持することが必要である。エンドレス牽引システムの長さが長くなると、張力付与システムに対する要求も高くなる。必要な予張力を確保するには、張力付与に使用されるアクチュエータを長距離移動させる必要がある場合が多く、または複数のアクチュエータを使用する必要があり、これにより張力付与システムの複雑性が増すこととなる。
【0005】
独立請求項1のプリアンブルによる動的張力付与システムは、特許文献1により既知である。ベルト研磨機は、研磨ベルトがエンドレス牽引装置として構成されており、ベルト張力がアクチュエータによって調整および設定され、所定の押圧力が接触シーブに可能な限り一定に適用される。
【0006】
しかしながら、記載されている張力付与システムは、予張力に動的制御が必要な長いエンドレス牽引装置の使用には最適ではない。一方、長いエンドレス牽引装置を使用すると、必要な予張力を維持するために必要な張力付与システムの移動経路が長くなり、これは動的制御に反する。他方では、移動経路が長くなると、アクチュエータの設置スペース要件が増加する結果となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第100 13 340(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の欠点を克服するために、本発明は、アクチュエータのサイズは同じに維持しつつ、緊張力制御のダイナミクスを向上させるエンドレス牽引装置のための動的張力付与システムを提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項1の特徴によって達成される。
【0010】
それによると、この目的は、張力付与システムが第2の偏向素子を備え、第2の偏向素子がエンドレス牽引装置と係合し、また第2の偏向素子がプーリのように、第1の偏向素子およびエンドレス牽引装置と相互作用するように構成されている本発明によって達成される。
【0011】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0012】
本発明の有利な実施形態によれば、第1の偏向素子は第1のシーブおよび第2のシーブを備え、第1のシーブおよび第2のシーブは、エンドレス牽引装置が2つのシーブによって連続的に偏向されるように配置される。2つのシーブが互いに実質的に平行に配置され、それぞれの回転軸に対して法線方向にある平面が互いに実質的に平行に延在している場合、特にシンプルかつコンパクトな設計が可能である。この配置において、実質的に平行とは、2つの平面間の角度が10°を超えず、有利には5°を超えず、特に有利には2つのシーブを互いに対して整列する際の通常の位置許容範囲内にあることを意味する。
【0013】
2つのシーブの回転軸が互いに実質的に同軸になるように整列されている場合にも、シンプルかつコンパクトな設計が可能になる。この実施形態では、実質的に同軸とは、回転軸に対して法線方向にある平面が互いに実質的に平行に延在しており、回転軸間の距離がシーブの幅以下、好ましくはシーブの幅の半分以下で形成されており、特に好ましくは両方のシーブの軸がシーブを設置する際の一般的な許容範囲を超えない距離だけ互いに離間していることを意味する。
【0014】
第1の偏向素子のシンプルかつコンパクトな設計に関しては、第1のシーブおよび第2のシーブを同じサイズにすることが有利である。しかしながら、両方のシーブが同じ幅であるが直径が異なるか、または2つのシーブが同じ直径で幅が異なることも考えられる。しかしながら、好ましくは、両方のシーブは同じ技術的寸法を有し、製造関連の偏差のみが異なるようにする。
【0015】
しかしながら、特定の用途では、2つのシーブが互いに角度をなしていること、即ち、それらの回転軸が互いに同軸ではないことも考えられる。これは、例えば、設置スペースの条件が厳しい場合、またはエンドレス牽引装置のより良好な誘導を実現することを意図している。
【0016】
本発明の更に有利な実施形態によれば、第2の偏向素子は第3のシーブを備える。
【0017】
本発明の特に有利な実施形態によれば、第2の偏向素子は、エンドレス牽引装置が第1のシーブおよび第2のシーブによる偏向の間で第2の偏向素子によって偏向されるように配置する。従って、第1の偏向素子および第2の偏向素子は、プーリのように相互作用し、2つの偏向素子のうちの一方はプーリに必要なルーズシーブを形成し、それぞれの他方の偏向素子は固定シーブを形成する。第3のシーブは、第1および第2のシーブと実質的に平行に配置することができるが、プーリの原理を確実にするために、第3のシーブまたは第3のシーブの回転軸は常に、第1の偏向素子のシーブの回転軸から一定の距離に配置される。第3のシーブが最初の2つのシーブに平行でないように整列されることも考えられる。しかしながら、第3のシーブの回転軸の法線方向にあり、第3のシーブの中心を貫通する平面は、第1のシーブと第2のシーブとの間にあるか、または2つのシーブのうちの一方と交差することが好ましい。
【0018】
本発明の更に有利な実施形態によれば、第1のシーブは第1のガイドを備え、第2のシーブは第2のガイドを備えることで、エンドレス牽引装置がそれ自体と接触するのを防止する。もちろん、第3のシーブもガイドを備えることができる。ガイドは、例えば、第一に、エンドレス牽引装置がシーブから滑り落ちるのを防ぎ、第二に、エンドレス牽引装置がそれ自体に接触するのを防ぐように、シーブの周囲に周方向に延在する凹部または溝の形態で存在することができる。しかしながら、原則的には、従来技術から知られているガイドの任意の他の考えられる構成も使用可能である。2つのシーブは、好ましくは互いに独立して回転することができる。
【0019】
本発明の特に有利な実施形態によれば、アクチュエータはシリンダおよびピストンロッドを含む。しかしながら、原則的には、エンドレス牽引装置に対して第1の偏向素子を動かし、それによってエンドレス牽引装置に予張力を付与するために必要な移動経路および必要な力を適用するのに適した任意のタイプのアクチュエータを使用することができる。
【0020】
本発明の更に特に有利な実施形態によれば、アクチュエータは制御可能な油圧シリンダを含む。ピストンロッドは第1の偏向素子と直接係合することができ、それによってピストンロッドの運動が偏向素子に直接伝達される。もちろん、ピストンロッドおよび第1の偏向素子が運動学システムを介して相互作用し、ピストンロッドの運動および力を伝達することも考えられる。ピストンロッドが第1の偏向素子に、ひいてはエンドレス牽引装置に及ぼす移動経路および力は、例えば油圧システムを使用して制御することができる。アクチュエータは空気圧シリンダも備え得ることは明白であり、その場合、力および移動経路を制御するのに空気圧システムが必要である。
【0021】
本発明の更に有利な実施形態によれば、エンドレス牽引装置の予張力を変更するために、第1の偏向素子がアクチュエータの運動方向に移動するように、第1の偏向素子は、アクチュエータと相互作用する。換言すると、エンドレス牽引装置の予張力を変更するために、第1の偏向素子は、ピストンロッドの動きに沿ってエンドレス牽引装置に向けて移動するか、またはエンドレス牽引装置から遠ざかるように移動することが好ましい。エンドレス牽引装置と相互作用してプーリとして機能する偏向素子の整列により、従来技術で説明した張力付与装置と比較して、アクチュエータに予張力を付与するために必要な力は増大するが、その代わりに、プーリ原理の考え方を逆転させる形で、必要な移動経路が短縮される。これにより、特に長いエンドレス牽引装置の場合において、予張力付与システムのダイナミクスが向上するという利点がある。同時に、移動経路の短縮は、予張力付与システムの構成に必要な設置スペースがより少なくて済むことも意味する。
【0022】
本発明の本質は、プーリの原理を必要に応じて変更または拡張して、アクチュエータの移動経路を短縮できることである。エンドレス牽引装置の予張力付与に必要な移動経路を更に短縮するために、エンドレス牽引装置の更なるループによって、固定シーブとルーズシーブとの更なるペアが作成されるように、第1の偏向素子が更に別のシーブを備え、第2の偏向素子が更に別のシーブを備えることが考えられる。
【0023】
第2の偏向素子は、回転の自由度とは別に、固定されるように構成することができる。しかしながら、アクチュエータがこのように構成され、第2の偏向素子がアクチュエータと相互作用し、それにより、第2の偏向素子が第1の偏向素子と反対方向に移動し、それによって、エンドレス牽引装置の予張力にも寄与することが考えられる。また、第1の偏向素子が固定され、即ち、プーリの固定シーブを表し、またエンドレス牽引装置の予張力を変更するために、第2の偏向素子がアクチュエータによってエンドレス牽引装置に対して前進し得ることも考えられる。換言すると、2つの偏向素子が同じ移動経路で同じ方向に動かされない場合、エンドレス牽引装置の予張力の変化が常に生成される可能性がある。
【0024】
本発明の更に有利な実施形態によれば、第2の偏向素子はアクチュエータの運動方向に一直線上に配置される。可能な限りコンパクトな予張力付与システムのために、第2の偏向素子をアクチュエータの可能な限り近くに設けることが有利である。第2の偏向素子はアクチュエータに固定して動かないように配置することができるが、他の場所に取り付けることもできる。既に上述したように、第2の偏向素子は、エンドレス牽引装置の予張力を変更するために、第2の偏向素子がアクチュエータによってエンドレス牽引装置に対して動かされるように構成することもできる。第2の偏向素子は、好ましくは、運動方向と一直線上に、即ち、整列されて配置される。これは、運動方向の線が第2の偏向素子と交差することを意味する。しかしながら、設置スペースの理由から、第2の偏向素子をアクチュエータの運動方向の線から離れた位置に配置する必要があることもある。
【0025】
本発明の有利な実施形態によれば、張力付与システムは、スチールケーブルとして構成されたエンドレス牽引装置のために構成される。しかしながら、本発明による動的張力付与システムは、ベルト、チェーン、ストラップ、または従来技術から周知の他のエンドレス牽引装置にも問題なく使用可能である。
【0026】
本発明の一実施形態を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【0027】
以下の説明では、同様の構成要素には同様の参照符号が付されている。図面に、関連する図面の説明で詳細に説明されていない参照符号が含まれている場合は、以前の図面または後続の図面の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】本発明による、動的張力付与システムのエンドレス牽引装置との相互作用の概略図である。
図1b図1aの側面図である。
図2】本発明による動的張力付与システムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1aは、本発明による動的張力付与システム1のエンドレス牽引装置2との相互作用を概略的に示す。エンドレス牽引装置2は、図の底部に示す2つの張力付与シーブ(そのうちの一方は駆動シーブとして構成されている)と、動的張力付与システム1に関連付けられた第1の偏向素子4とによって案内され、所定の位置に保持される。動的張力付与システム1は、本実施形態ではシリンダ11およびピストンロッド12を含むアクチュエータ3を備え、シリンダ11は油圧シリンダ13として構成されている。アクチュエータ3は、油圧制御システム(図示せず)によって制御することができる。第1の偏向素子4はアクチュエータ3のピストン12に配置されており、従ってアクチュエータ3によって直接動かすことができる。運動方向14は矢印で示されている。第1の偏向素子4もこの方向に沿ってエンドレス牽引装置2に対して移動し、それによってエンドレス牽引装置2の予張力を増加または減少させることができる。第2の偏向素子5がアクチュエータに取り付けられており、第1の偏向素子4と同様、アクチュエータの運動方向14と位置合わせして配置されていることは明白である。
【0030】
図1aおよび図1bの概要、並びに本発明による動的張力付与システム1の一実施形態を示す図2では、図示されている実施形態の第1の偏向素子4が、同じサイズになるよう形成されており、その回転軸15、16が互いに同軸になるように整列されている2つのシーブ6、7を備えることも明白である。更に、第1のシーブ6および第2のシーブ7は、互いに独立して回転することができる。第3のシーブ8は、その回転軸17が第1のシーブ6および第2のシーブ7の回転軸15、16と平行であり、かつ、それらから一定の距離に配置されるよう構成されるように配置されている。更に、回転軸17に対して法線方向に整列する第3のシーブ8の中心面は、最初の2つのシーブ6、7の間を延在している。円周溝として構成される第1および第2のシーブ6、7のガイド9、10は、図1bにおいても明確に見られ、第3のシーブ8のガイドも同様に構成されている。
【0031】
図1bでは、スチールケーブルであってよいエンドレス牽引装置2が破線で示されており、矢印はエンドレス牽引装置2の各ストランドの運動方向を示している。この時点で、エンドレス牽引装置2は、原理的には反対方向にも運動できることに留意すべきであり、その場合、全ての矢印は反対方向を指す。エンドレス牽引装置2は、図1aの右下にある張力付与シーブから動的張力付与システム1に偏向される。動的張力付与システム1内では、エンドレス牽引装置2は、第1のシーブ6から第3のシーブ8に、および第3のシーブ8から第2のシーブ7に偏向される。この特別な配置により、3つのシーブ6、7、8は併せてプーリとして機能し、第1のシーブ6および第2のシーブ7を含む第1の偏向素子4は、いわゆるルーズシーブを形成し、第3のシーブ8を含む第2の偏向素子5は、固定シーブを形成する。アクチュエータ3によってエンドレス牽引装置2に更に強い予張力をかけた場合、ピストンロッド12およびそれと共に第1の偏向素子4は、図1aの図の上方に移動する。プーリのように第1の偏向素子4と相互作用する、第2の偏向素子5を有しない従来の張力付与システムと比較して、同じ予張力の変更に必要なピストンロッド12の移動距離は半分だけであり、アクチュエータは、当然、それに応じてより大きな力を印加する必要がある。
【0032】
図1aは、第2のシーブ7のラップ角αが90°未満であることも示している。しかしながら、角度がぴったり90°であり、かつ第1のシーブ6および第2のシーブ7のラップ角がそれぞれ90°であることで、張力付与システム1への出入の際にストランドが互いに整列されているようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 張力付与システム
2 エンドレス牽引装置
3 アクチュエータ
4 第1の偏向素子
5 第2の偏向素子
6 第1のシーブ
7 第2のシーブ
8 第3のシーブ
9 第1のガイド
10 第2のガイド
11 シリンダ
12 ピストンロッド
13 油圧シリンダ
14 運動方向
15 第1のシーブの回転軸
16 第2のシーブの回転軸
17 第3のシーブの回転軸
α ラップ角
図1a
図1b
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(3)および第1の偏向素子(4)を備えるエンドレス牽引装置(2)のための張力付与システム(1)であって、前記アクチュエータ(3)は前記第1の偏向素子(4)と相互作用し、また前記エンドレス牽引装置(2)の予張力を変更するために、前記アクチュエータ(3)により前記第1の偏向素子(4)を前記エンドレス牽引装置(2)に対して動かすことができ、前記張力付与システム(1)は第2の偏向素子(5)を含み、前記第2の偏向素子(5)は前記エンドレス牽引装置(2)と係合し、また前記第2の偏向素子(5)はプーリのように前記第1の偏向素子(4)および前記エンドレス牽引装置(2)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、張力付与システム(1)。
【請求項2】
前記第1の偏向素子(4)は、第1のシーブ(6)および第2のシーブ(7)を備え、前記第1のシーブ(6)および前記第2のシーブ(7)は、前記エンドレス牽引装置(2)が前記2つのシーブ(6、7)によって連続的に偏向されるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の張力付与システム(1)。
【請求項3】
前記第2の偏向素子(5)は、第3のシーブ(8)を備えることを特徴とする、請求項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項4】
前記第2の偏向素子(5)は、前記エンドレス牽引装置(2)が前記第1のシーブ(6)および前記第2のシーブ(7)による前記偏向の間に前記第2の偏向素子(5)によって偏向されるように配置されていることを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の張力付与システム(1)。
【請求項5】
前記第1のシーブ(6)は第1のガイド(9)を備え、かつ前記第2のシーブ(7)は第2のガイド(10)を備えることで、前記エンドレス牽引装置(2)がそれ自体と接触するのを防止することを特徴とする、請求項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項6】
前記アクチュエータ(3)はシリンダ(11)およびピストンロッド(12)を備えることを特徴とする、請求項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項7】
前記アクチュエータ(3)は制御可能な油圧シリンダ(13)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の張力付与システム(1)。
【請求項8】
前記エンドレス牽引装置(2)の前記予張力を変更するために、前記第1の偏向素子(4)が前記アクチュエータ(3)の運動方向に動かされるように、前記第1の偏向素子(4)が前記アクチュエータ(3)と相互作用することを特徴とする、請求項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項9】
前記第2の偏向素子(5)は、前記アクチュエータ(3)の前記運動方向(14)に一直線上に配置されていることを特徴とする、請求項に記載の張力付与システム(1)。
【請求項10】
前記第1のシーブ(6)および前記第2のシーブ(7)は、それぞれ回転軸を有し、前記回転軸は、互いに実質的に同軸となるように整列されていることを特徴とする、請求項に記載の張力付与システム(1)。
【外国語明細書】