(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005456
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】排水ポンプ車用ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 23/00 20060101AFI20250109BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F04B23/00 A
B60P3/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105582
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦野 健司
(72)【発明者】
【氏名】大森 智仁
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB05
3H071CC32
3H071CC33
3H071CC36
3H071CC47
3H071DD83
3H071DD89
(57)【要約】
【課題】複数人のユーザーによる可搬性を向上できる排水ポンプ車用ポンプを提供する。
【解決手段】排水ポンプ車1で使用される排水ポンプ車用ポンプ100であって、ケーシング10と、ケーシング10に設けられる複数の取っ手20とを備える。複数の取っ手20は、排水ポンプ車用ポンプの搬送時に把持される把持部22,27を有する。複数の把持部22,27は、ケーシング10の軸心方向と交差する方向に延びるとともに、並列に設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水ポンプ車で使用される排水ポンプ車用ポンプであって、
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、排水ポンプ車用ポンプの搬送時に把持される把持部を有する複数の取っ手と、
を備え、
前記複数の把持部のうち少なくとも一対の把持部は、前記ケーシングの軸心方向と交差する方向に延びるとともに、並列に設けられることを特徴とする排水ポンプ車用ポンプ。
【請求項2】
排水ポンプ車で使用される排水ポンプ車用ポンプであって、
ケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、排水ポンプ車用ポンプの搬送時に把持される把持部を複数有する取っ手と、
を備え、
前記複数の把持部のうち少なくとも一対の把持部は、前記ケーシングの軸心方向と交差する方向に延びるとともに、並列に設けられることを特徴とする排水ポンプ車用ポンプ。
【請求項3】
前記一対の把持部は、前記ケーシングの軸心方向に対して直交する方向に延びることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水ポンプ車用ポンプ。
【請求項4】
開口部が形成された環状のフロートをさらに備え、
前記フロートは、前記ケーシングと紐状体を介して連結され、
前記複数の把持部は、前記開口部の内側に収まる間隔で前記ケーシングに設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水ポンプ車用ポンプ。
【請求項5】
前記取っ手は、前記把持部を前記ケーシングに連結する連結部を有し、
前記一対の把持部は、前記連結部を介して前記ケーシングの上部に設けられ、
前記連結部は、前記一対の把持部のそれぞれの両端に設けられるとともに、前記ケーシングに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の排水ポンプ車用ポンプ。
【請求項6】
前記取っ手は、前記把持部を前記ケーシングに連結する連結部を有し、
前記連結部は前記一対の把持部のそれぞれの両端に設けられるとともに、前記ケーシングに連結されている紐状体であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排水ポンプ車用ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水ポンプ車用ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
排水ポンプ車等に搭載される排水ポンプ車用ポンプ(以下、単に「排水ポンプ」と称する)は、災害時などの緊急時に用いられることから、機動的にかつ迅速に対応できるように、人力で運搬可能なように構成されることが望まれる。
【0003】
特許文献1に記載の排水ポンプは、排水ポンプの下部に台車が連結されており、人力で台車を押して移動することで排水ポンプを運搬可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の排水ポンプは、例えば排水ポンプ車の荷台からの積み下ろし、災害現場に至るまでに急斜面を登って排水ポンプを搬送する必要があるなどの一時的に人力で持ち上げられる必要がある場面において、人力で効果的に力を掛けて持ち上げられることが困難であることから作業性が悪い。つまり、災害現場の状況に応じた柔軟な可搬性に課題があった。
【0006】
加えて、災害現場に到着し、実際に冠水部で排水作業を行うためには、排水ポンプを冠水部に投げ入れる必要があるところ、排水ポンプの重量(一般的に40kg以上)を考慮すると、排水ポンプは、複数人で持ち上げられて冠水部に投入される必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数人で効果的に力を掛けて持ち上げて搬送などすることができる、すなわちユーザーによる可搬性を向上できる排水ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本第1発明による排水ポンプは、ケーシングと、前記ケーシングに設けられ、排水ポンプの搬送時に把持される把持部を有する複数の取っ手とを備え、前記複数の把持部のうち少なくとも一対の把持部は、前記ケーシングの軸心方向と交差する方向に延びるとともに、並列に設けられるものである。
【0009】
これによると、排水ポンプの搬送時において複数のユーザーは、排水ポンプを挟んだ両側から、別々の把持部を把持することで、ポンプを持ち上げて搬送することができる。このとき、ユーザーは、排水ポンプの質量を効率的に分担して負担することができる。
【0010】
特に、排水ポンプを持ち上げて、斜面を上ったり下ったりする際、排水ポンプを挟んだ左右両側のユーザーが進行方向に対して横一列になった状態かつ、ポンプ軸心C方向に対して交差する向きで排水ポンプを搬送することができる。このため、斜面において左右のユーザーは、ほぼ同じ高さで排水ポンプを持ち上げて搬送することができる。したがって、排水ポンプは、複数人によって効果的に力を掛けて持ち上げられて搬送などされることができ、ユーザーによる可搬性を向上できる。
【0011】
これに対し、一対の把持部が上記の構成となっていない排水ポンプの場合、例えば、一対の把持部がケーシングの軸心方向に沿って延びるとともに、直列に設けられている排水ポンプの場合、複数のユーザーは、排水ポンプの長手方向に縦一列に並んだ状態で排水ポンプを搬送することとなる。このとき、特に排水ポンプを持ち上げて、斜面を上ったり下ったりする際、進行方向に対して縦一列に並んだ状態では、前後のユーザーは斜面において異なる高さとなるため、排水ポンプの重量を効率的に分担することが困難となる。
【0012】
本第2発明による排水ポンプは、ケーシングと、前記ケーシングに設けられ、排水ポンプの搬送時に把持される把持部を複数有する取っ手とを備え、前記複数の把持部のうち少なくとも一対の把持部は、前記ケーシングの軸心方向と交差する方向に延びるとともに、並列に設けられるものである。
【0013】
これによると、排水ポンプは、ユーザーによる可搬性を向上しながら、取っ手の部品点数を削減することで、排水ポンプの構成を簡素化できるため、コスト上のメリットを有する。
【0014】
本第3発明による排水ポンプは、前記一対の把持部が、前記ケーシングの軸心方向に対して直交する方向に延びるとともに、並列に設けられるものである。
【0015】
これによると、排水ポンプは、ユーザーが排水ポンプを冠水部に投げ入れる際に、排水ポンプの投入方向がケーシングの軸心方向に直交する方向になる。よって、投入時の勢いが弱い場合であっても、排水ポンプが地面(岸壁など)に接触するのを防ぐことができる。また、排水ポンプを搬送する際の搬送方向がケーシングの軸心方向に直交する方向になる。よって、斜面において左右のユーザーは、ほぼ同じ高さで排水ポンプを持ち上げて搬送することができ、排水ポンプが斜面へ接触するのを防ぐことができる。
【0016】
本第4発明による排水ポンプは、開口部が形成された環状のフロートをさらに備え、前記フロートは、前記ケーシングと紐状体を介して連結され、前記複数の把持部は、前記開口部の内側に収まる間隔で前記ケーシングに設けられるものである。
【0017】
これによると、フロートと連結されているときであっても、排水ポンプは、複数のユーザーにより把持部を把持されて搬送されることができるため、冠水部に投入される際、フロートを持たれる必要がない。したがって、フロートと紐状体との連結部分に過大な力がかからないため、排出ポンプは、フロートとの連結部分の早期破損を防止することができる。
【0018】
本第5発明による排水ポンプの前記取っ手は、前記把持部を前記ケーシングに連結する連結部を有し、前記一対の把持部は、前記連結部を介して前記ケーシングの上部に設けられ、前記連結部は、前記一対の把持部のそれぞれの両端に設けられるとともに、前記ケーシングに連結されているものである。
【0019】
これによると、把持部が連結部を介してケーシングに固定されていることで、排水ポンプは、例えば急斜面での搬送時などであっても、ユーザーにより安定して搬送されることができる。
【0020】
本第6発明による排水ポンプの前記取っ手は、前記把持部を前記ケーシングに連結する連結部を有し、前記連結部は紐状体であるものである。
【0021】
これによると、排水ポンプ車の荷台にスペース上の制約がある場合であっても、排水ポンプは、紐状体を弛ませて把持部をケーシングに沿って垂らした状態とすることで、専有スペースを小さくして収容されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、排水ポンプは、その搬送時において複数のユーザーが排水ポンプを挟んだ左右両側から、別々の把持部を把持することで、ポンプを持ち上げて搬送することができる。このとき、ユーザーは、排水ポンプの質量を効率的に分担して負担することができる。したがって、排水ポンプは、複数人によって効果的に力を掛けて持ち上げられて搬送されることができる、すなわちユーザーによる可搬性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプを示す斜視図である。
【
図3】同排水ポンプの搬送状態を示す正面図である。
【
図4】同排水ポンプの第1の変形例を示す斜視図である。
【
図5】同排水ポンプの第2の変形例を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る排水ポンプを示す斜視図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る排水ポンプを示す斜視図である。
【
図9】同排水ポンプの搬送状態を示す正面図である。
【
図11】同排水ポンプの投入作業時を示す側面図である。
【
図10】本発明の第4の実施形態に係る排水ポンプを示す斜視図である。
【
図12】同排水ポンプの搬送状態を示す正面図および一部断面図である。
【
図13】本発明の第5の実施形態に係る排水ポンプを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〈第1の実施形態〉
以下、本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプ100について、図面を参照して説明する。なお、図中、同一または相当部分については、同一の参照符号を付すことで、説明を繰り返さない。また、以下の説明において、「上」、「下」、「横」および「縦」等の位置または方向を意味する用語が用いられることもある。これらの用語は、実施形態の理解を容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向に限定されない。
【0025】
[排水ポンプ車]
まず、
図1を参照して、本発明に係る排水ポンプ車1について説明する。
図1は、本発明に係る排水ポンプ車1を示す模式図である。
【0026】
図1に示すように、排水ポンプ車1は、排水ポンプ100と、排水ポンプ100を駆動するための電力を発電する発電機3と、発電機3および排水ポンプ100を操作するための操作制御盤4と、排水ポンプ100に発電機3からの電力を供給する電力ケーブル5と、排水ポンプ100が吐出した水を近隣の河川等にまで搬送して排水する排水ホース6とを備える。
【0027】
排水ポンプ車1は、台風、局地的豪雨などによって、洪水、アンダーパスでの冠水などの水災が発生した場合に、災害現場に派遣される。排水ポンプ車1は、機動的かつ効率的に排水作業を行えるよう、排水ポンプ100を含め、発電機3、排水ホース6などを1台の車両に装備している。冠水部にて排水ポンプ100が投入され、排水ポンプ100により、冠水部からの水を排水ホース6を通じて近隣の河川などに排水する。
【0028】
[排水ポンプ]
次に
図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプ100について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る排水ポンプ100を示す斜視図である。
【0029】
図2より、排水ポンプ100は、ケーシング10と、ケーシング10に設けられる複数の取っ手20と、電力ケーブル5と接続するコネクタ30とを備える。排水ポンプ100は、図示しないが、その内部に電力を供給されて駆動するモータと、モータにより回転駆動されるスクリューと、モータおよびスクリューの回転軸を回転可能に支持する複数の軸受けなどを有する。
【0030】
ケーシング10は、スクリューの回転により生じた吸込圧により水を吸い込む吸込口11と、吸い込んだ水を吐き出す吐出口12と、取っ手20を支持する支持部14と、排水ポンプ100を平面に安定して載置するための脚部16とを有する。吸込口11および吐出口12は、ともにケーシング10の軸心(以下、ポンプ軸心Cと称する)上に配置される。スクリューの回転軸の軸心は、ポンプ軸心Cと同一である。
【0031】
複数の取っ手20は、具体的には、第1取っ手21および第2取っ手26である。第1取っ手21および第2取っ手26は、それぞれ把持部22,27および連結部23,28を有する。
【0032】
それぞれの把持部22,27は、ポンプ軸心C方向に対して直交する方向に延びるように設けられる。それぞれの把持部22,27は、連結部23,28を介してケーシング10の上部に設けられる。つまり、それぞれの把持部22,27は、その上面視の長手方向がポンプ軸心C方向に対して直交する方向に設けられる。それぞれの把持部22,27は、排水ポンプ100の搬送時にユーザーによって把持される。
【0033】
また、それぞれの把持部22,27は、ケーシング10に並列に設けられる。このとき、それぞれの把持部22,27は、把持部22,27の高さが等しくなるように設けられることが好ましい。さらに、それぞれの把持部22,27は、上面視におけるそれぞれの把持部22,27とポンプ軸心Cとの交点が、その中間付近にポンプの重心G(不図示)を挟む位置に設けられることが好ましい。
【0034】
連結部23,28は、把持部22,27をケーシング10の支持部14に連結する。具体的には、連結部23,28は、一端側23a,28aがそれぞれの把持部22,27の両端に設けられるとともに、他端側23b,28bがケーシング10の支持部14に連結されている。
【0035】
なお、本実施形態では、把持部22,27はケーシング10上に一対配置されるが、3つ以上の複数の把持部がケーシング10上に配置されるように構成されても良い。その場合、複数の把持部のうち少なくとも一対の把持部は、ポンプ軸心C方向に対して直交する方向に延びるとともに、並列に設けられる。
【0036】
以上の構成によって、
図3に示すように、排水ポンプ100の搬送時において複数のユーザーU1,U2は、排水ポンプ100を挟んだ左右両側から、別々の把持部22,27を把持して、排水ポンプ100を持ち上げて、持ちやすい姿勢を保って搬送することができる。このとき、複数のユーザーU1,U2は、排水ポンプ100の質量を効率的に分担して負担することができる。
【0037】
特に、排水ポンプ100を持ち上げて、斜面を上ったり下ったりする際、排水ポンプ100を挟んだ左右両側のユーザーU1,U2が進行方向に対して横一列になった状態かつ、ポンプ軸心C方向に対して直交する向きで排水ポンプ100を搬送することができる。このため、斜面において左右のユーザーU1,U2は、ほぼ同じ高さで排水ポンプ100を持ち上げて搬送することができ、排水ポンプ100が地面へ接触するのを防ぐことができる。
【0038】
また、その際、把持部22,27が連結部23,28によってケーシング10に連結されて固定されていることで、ユーザーU1,U2は、把持部22,27を把持することで、斜面であっても安定して排水ポンプ100を搬送することができる。
【0039】
これに対し、一対の把持部が上記の構成となっていない排水ポンプの場合、例えば、図示しないが、一対の把持部がポンプ軸心C方向に沿って延びるとともに、直列に設けられている排水ポンプの場合、複数のユーザーは、排水ポンプの長手方向に縦一列に並んだ状態で排水ポンプを搬送することとなる。このとき、特に排水ポンプを持ち上げて、斜面を上ったり下ったりする際、進行方向に対して縦一列に並んだ状態では、前後のユーザーは斜面において異なる高さとなるため、排水ポンプの重量を効率的に分担することが困難となる。
【0040】
ここで、
図3の状態から、ユーザーU1,U2が排水ポンプ100を前方の冠水部に投げ入れる際には、ユーザーU1,U2は、排水ポンプ100を持ち上げながら、ユーザーU1,U2の肩を支点として排水ポンプ100をユーザーU1,U2の前後に振り子のように振って勢いをつけて投入する。
【0041】
このとき、排水ポンプ100は、ポンプ軸心CがユーザーU1,U2の前後ではなく、左右に向いた状態で冠水部に投入される。このため、排水ポンプ100の投入方向がポンプ軸心Cに直交する方向となり、投入時の勢いが弱い場合であっても、排水ポンプ100の吸込口11または吐出口12が地面(岸壁など)に接触するのを防ぐことができる。
【0042】
以上のとおり、排水ポンプ100は、複数人によって効果的に力を掛けて持ち上げられて搬送などされることができる、すなわちユーザーによる可搬性を向上できる。
【0043】
勿論、それぞれの把持部22,27が延びる方向は、製造ばらつき、組付けばらつきなどに起因して、ポンプ軸心C方向に対して厳密には直交する方向ではないように構成されても良く、ポンプ軸心C方向に対して90°以外の角度で交差していても良い。
【0044】
なお、それぞれの把持部22,27は、
図4に示すように、ケーシング10の側面に設けられるように構成されても良い。
図4は、本実施形態の第1の変形例に係る排水ポンプ200を示す斜視図である。
【0045】
これにより、排水ポンプ200を排水ポンプ車1の荷台に載置して輸送する際、荷台の上下方向の収納スペースに制約がある場合であっても、それぞれの把持部222,227は、ケーシング10の側面に設けられていることで、荷台の上下方向の制約を受けず、ユーザーは、排水ポンプ200を排水ポンプ車1の荷台に載置することができる。
【0046】
さらに、
図5に示すように、それぞれの把持部322,327は、一本の連結部323,328により、ケーシング10に固定されるように構成されても良い。
図5は、本実施形態の第2の変形例に係る排水ポンプ300を示す斜視図である。
【0047】
これにより、排水ポンプ300は、取っ手320を構成する部品点数を削減することができるため、コスト上のメリットを得ることができる。
【0048】
〈第2の実施形態〉
次に、
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係る排水ポンプ400について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る排水ポンプ400を示す斜視図である。
【0049】
図6より、排水ポンプ400は、ケーシング10に設けられる取っ手420を有する。取っ手420は、複数の把持部422,427と、連結部424,425とを有する。
【0050】
複数の把持部422,427は、具体的には、第1把持部422および第2把持部427である。連結部424,425は、具体的には、ポンプ軸心C方向に沿って延びる第1連結部424と、第1連結部424をケーシング10の上部に連結する第2連結部425である。第1把持部422および第2把持部427は、それぞれの長手方向の中央付近422a,427aにおいて第1連結部424と連結される。第2連結部425は、第1連結部424の下部とケーシング10の上部との間に介在してこれらを互いに連結する。
【0051】
つまり、本実施形態では、複数の把持部422,427が連結部424,425によって連結されることで、取っ手420は、単一なものとして構成される。
【0052】
第1の実施形態と同様、それぞれの把持部422,427は、ポンプ軸心C方向に対して直交する方向に延びるように設けられる。また、それぞれの把持部422,427は、ケーシング10に並列に設けられる。
【0053】
これにより、第1の実施形態と同様、排水ポンプ400の搬送時において複数のユーザーは、排水ポンプ400を挟んだ左右両側から、それぞれ別々の把持部422,427を把持して、排水ポンプ400の質量を効率よく分担してポンプを持ち上げることができる。したがって、排水ポンプ400は、複数人によって効果的に力を掛けて持ち上げられて搬送などされることができる。すなわち、排水ポンプ400は、ユーザーによる可搬性を向上できる。
【0054】
さらに、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、取っ手420の部品点数を削減することができ、構成を簡素化することができる。よって、排水ポンプ400は、第1の実施形態と比較してコスト上のメリットを得ることができる。
【0055】
なお、第1連結部424は、第1把持部422および第2把持部427と、その任意の部位で連結しても良く、例えば、
図7に示すように、第1連結部524は、それぞれの把持部522,527の一端部522a,527aと連結されるように構成されても良い。
図7は、本実施形態の変形例に係る排水ポンプ500を示す斜視図である。また、第2連結部525は、同じく
図7に示すように、第1連結部524の両端のそれぞれをケーシング10に連結するように、複数で構成されても良い。
【0056】
さらに、図示しないが、第1連結部524は、
図7の変形例に加えて、把持部522,527の他端部522b,527bとも連結するように構成されても良い。すなわち、第1連結部524は、第1把持部522および第2把持部527のそれぞれの両端と連結されて、ロの字状の取っ手が形成される。
【0057】
<第3の実施形態>
次に、
図8を参照して、本発明の第3の実施形態に係る排水ポンプ600について説明する。
図8は、本発明の第3の実施形態に係る排水ポンプ600を示す斜視図である。
【0058】
図8より、排水ポンプ600は、第1の実施形態に係る排水ポンプ100と同様に、ケーシング10に並列に設けられる複数の取っ手620を備える。複数の取っ手620は、具体的には、第1取っ手621および第2取っ手626である。第1取っ手621および第2取っ手626は、それぞれ把持部622,627と連結部623,628とを有する。
【0059】
それぞれの把持部622,627は、ポンプ軸心C方向に対して平行な方向に延びるように設けられる。このとき、それぞれの把持部622,627は、上面視においてポンプ軸心Cに対して線対称となるように設けられることが好ましい。
【0060】
これにより、第1の実施形態と同様、
図9に示すように、排水ポンプ600の搬送時において排水ポンプ600の複数のユーザーU1,U2は、排水ポンプ600を挟んだ左右両側から、それぞれ別々の把持部622,627を把持して、ポンプを持ち上げて搬送することができる。
【0061】
よって、排水ポンプ600は、複数人によって効率的にポンプ質量を分担して運搬されることができる。すなわち、排水ポンプ600は、ユーザーによる可搬性を向上することができる。
【0062】
詳細には、第1の実施形態と比較して(
図3および
図9を比較参照して)、本実施形態に係る排水ポンプ600では、ユーザーU1,U2同士の距離が第1の実施形態に係る排水ポンプ100の場合と比較して近くなる。このため、ユーザーU1,U2は、第1の実施形態に係る排水ポンプ100を搬送する場合よりも効率よく排水ポンプ600の質量を分担して、排水ポンプ600を搬送することができる。
【0063】
一方で、ポンプ軸心C(不図示)が、ユーザーU1,U2の前後方向となるため、第1の実施形態に係る排水ポンプ100と比較して、本実施形態に係る排水ポンプ600では、ユーザーU1,U2が排水ポンプ600を前方の冠水部に投入するとき、排水ポンプ600の投入方向がポンプ軸心Cに沿った方向となる。これにより、排水ポンプ600を持ち上げながら、ユーザーU1,U2の肩を支点としてユーザーU1,U2の前後方向に振り子のように振って、排水ポンプ600を冠水部に投げ入れる際に、投入時の勢いが弱い場合、排水ポンプ600の吸込口11または吐出口12が地面(岸壁など)に接触する可能性が高まる。
【0064】
すなわち、本実施形態に係る排水ポンプ600は、第1の実施形態に係る排水ポンプ100に対して、メリットおおよびデメリットを有するため、ユーザーは、災害現場の状況に応じて適切な実施形態について検討を行うことが望ましい。
【0065】
なお、それぞれの把持部622,627が延びる方向は、取っ手620の製造ばらつきや取っ手620のケーシング10への組付けばらつきなどに起因して、ポンプ軸心C方向に対して厳密には平行とならないように構成されても良い。
【0066】
<第4の実施形態>
次に、
図10を参照して、本発明の第4の実施形態に係る排水ポンプ700について説明する。
図10は、本発明の第4の実施形態に係る排水ポンプ700を示す斜視図である。
【0067】
図10より、排水ポンプ700は、第1の実施形態に係る排水ポンプ100に、上下方向に開口した開口部が形成された環状のフロート40をさらに備える。排水ポンプ700は、複数の把持部22,27が開口部の内側に収まる間隔でケーシング10に設けられる。
【0068】
排水ポンプ700は、フロート40とケーシング10とを連結する紐状体として、鎖状部材41を有する。紐状体は、ワイヤー、ロープなどで構成されても良い。鎖状部材41は、フロート40と連結部材42で連結される。
図11に示すように、フロート40は、水中での使用時には、ケーシング10を吊下支持する。
図11は、排水ポンプ700を水中で使用している状態を示す斜視図である。
【0069】
冠水部において排水ポンプ700を使用する多くの場合、排水ポンプ100はフロート40によって吊下支持された状態で使用される。この際、フロート40は、冠水部の水面に浮かんだ状態で、排水ポンプ100がフロート40から水中に吊り下げられる。フロート40が無い状態で排水ポンプ700を使用すると、排水ポンプ700は冠水部の底まで沈み込むこととなり、底にある土砂などを吸込口11から吸い込む結果、故障などの原因となり得るためである。
【0070】
従来は、フロート40と連結された状態の排水ポンプを冠水部に投入する際は、排水ポンプ100を吊下支持した状態のフロート40を持って投入していた。このとき排水ポンプ100は重量物であるため、排水ポンプ100を吊下支持している鎖状部材41とフロート40との連結部材42には排水ポンプ100の全重量がかかる結果、連結部材42とフロート40との連結部分が早期破損するという課題があった。
【0071】
これに対し、排水ポンプ700は、複数の把持部22,27をフロート40の開口部の内側に収めた状態で、フロート40を排水ポンプ700の上部に載置することができる。このとき、排水ポンプ700における複数の把持部22,27は、
図12に示すように、開口部を通じてユーザーU1,U2によって上方から把持されることができる。
図12は、排水ポンプ700の搬送状態を示す正面図および一部断面図である。
【0072】
よって、排水ポンプ700は、ケーシング10とフロート40とが連結されているときであっても、第1の実施形態に係る排水ポンプ100と同様に、複数のユーザーU1,U2により把持部22,27を把持されて搬送されることができる。したがって、排水ポンプ700は、排水ポンプ100と同様に、ユーザーU1,U2による可搬性を向上することができる。
【0073】
ユーザーU1,U2は、
図12に示すように、把持部22,27を把持した状態でフロート40とともに排水ポンプ100を冠水部に投入することができる。このため、排水ポンプ700は、冠水部に投入される際、フロート40を持たれる必要がない。したがって、フロート40と鎖状部材41との連結部材42に過大な力がかからないため、排水ポンプ700は、連結部材42とフロート40との連結部分における早期破損を防止することができる。
【0074】
なお、上述した第2および第3の実施形態に係る排水ポンプ300,400,500,600がフロート40を備えるように構成されても良い。
【0075】
<第5の実施形態>
次に、
図13を参照して、本発明の第5の実施形態に係る排水ポンプ800について説明する。
図13は、本発明の第5の実施形態に係る排水ポンプ800を示す斜視図である。
【0076】
図13より、排水ポンプ800は、把持部822,827をケーシング10の上部に連結する連結部823,828を有する。連結部823,828は、紐状体として、具体的には鎖状部材である。
【0077】
連結部823,828が鎖状部材であることで、排水ポンプ800は、排水ポンプ800の搬送時には、十分な強度を保って把持部822,827とケーシング10とを連結することができる。
【0078】
一方で、排水ポンプ800を排水ポンプ車1の荷台などに収容している場面では、排水ポンプ800は、連結部823,828が鎖状部材であることで、鎖状部材を弛ませて把持部822,827をケーシング10に沿って垂らした状態とすることができる。よって、排水ポンプ車1の荷台にスペース上の制約がある場合であっても、排水ポンプ800は、把持部822,827をケーシング10に沿って垂らした状態とすることで、専有スペースを小さくして収容されることができる。
【0079】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 排水ポンプ車
5 電力ケーブル
6 排水ホース
10 ケーシング
11 吸込口
12 吐出口
14 支持部
16 脚部
20 取っ手
21 第1取っ手
26 第2取っ手
22,27 把持部
23,28 連結部
30 コネクタ
40 フロート
100 排水ポンプ車用ポンプ(排水ポンプ)