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特開2025-5460情報処理方法、情報処理装置、プログラム、記録媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005460
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/12 20200101AFI20250109BHJP
   G06F 30/18 20200101ALI20250109BHJP
   G06F 113/14 20200101ALN20250109BHJP
   G06F 111/04 20200101ALN20250109BHJP
【FI】
G06F30/12
G06F30/18
G06F113:14
G06F111:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105593
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恵介
(72)【発明者】
【氏名】原田 京平
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA03
5B146DC05
5B146DG02
5B146DG04
5B146DG07
5B146DL02
(57)【要約】
【課題】シンボルを用いて表現された配管計装図において、流路構造内における流体の状態(流路構造内を流体が流れゆく様子)を、理解が容易な形態で表示することが可能な情報処理方法、情報処理装置が求められていた。
【解決手段】処理部が、流路の構成要素を表す複数のシンボルを用いて流路構造が表現された図面を表示部に表示し、前記複数のシンボルの中から、基準点として扱うシンボルの指定を取得し、前記流路構造において前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数のシンボルの配置に関する情報と、前記複数のシンボルの各々と関係づけられた属性情報とを用いて計算し、前記範囲が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、ことを特徴とする情報処理方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理部が、
流路の構成要素を表す複数のシンボルを用いて流路構造が表現された図面を表示部に表示し、
前記複数のシンボルの中から、基準点として扱うシンボルの指定を取得し、
前記流路構造において前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数のシンボルの配置に関する情報と、前記複数のシンボルの各々と関係づけられた属性情報とを用いて計算し、
前記範囲が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
前記属性情報は、当該シンボルで表された構成要素において、前記流体が流れ得る方向に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記複数のシンボルの配置に関する前記情報は、あるシンボルで表された構成要素と、それと隣接するシンボルで表された構成要素が、配管で直接的に接続されているか否かに関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記処理部は、前記流体の特性に係る情報を取得するのに用いる画像を前記表示部に表示し、
取得した前記流体の特性に係る情報と前記属性情報とを用いて、前記範囲を計算する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記流体の特性に係る情報は、前記流体が気体であるか液体であるかの情報を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記流体の特性に係る情報は、前記流体の種類に係る情報を含み、
前記処理部は、前記流路構造を流れる前記流体の種類が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記処理部は、前記範囲を計算する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を計算する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記処理部は、前記範囲を表示する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数の図面のうち前記基準点が記載された図面の範囲内において、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲が、前記基準点が記載された図面だけでなく他の図面に及ぶ場合に、前記基準点が記載された図面および前記他の図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理方法を、前記処理部に実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記録したコンピュータにより読み取りが可能な記録媒体。
【請求項13】
処理部を備え、
前記処理部は、
流路の構成要素を表す複数のシンボルを用いて流路構造が表現された図面を表示部に表示し、
前記複数のシンボルの中から、基準点として扱うシンボルの指定を取得し、
前記流路構造において前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数のシンボルの配置に関する情報と、前記複数のシンボルの各々と関係づけられた属性情報とを用いて計算し、
前記範囲が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
前記属性情報は、当該シンボルで表された構成要素において、前記流体が流れ得る方向に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記複数のシンボルの配置に関する前記情報は、あるシンボルで表された構成要素と、それと隣接するシンボルで表された構成要素が、配管で直接的に接続されているか否かに関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記処理部は、前記流体の特性に係る情報を取得するのに用いる画像を前記表示部に表示し、
取得した前記流体の特性に係る情報と前記属性情報とを用いて、前記範囲を計算する、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記流体の特性に係る情報は、前記流体が気体であるか液体であるかの情報を含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記流体の特性に係る情報は、前記流体の種類に係る情報を含み、
前記処理部は、前記流路構造を流れる前記流体の種類が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記処理部は、前記範囲を計算する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を計算する、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記処理部は、前記範囲を表示する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数の図面のうち前記基準点が記載された図面の範囲内において、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲が、前記基準点が記載された図面だけでなく他の図面に及ぶ場合に、前記基準点が記載された図面および前記他の図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置、等に関する。特に、流路構造を備えた装置における流体の流れを視認性よく表示するための情報処理方法、情報処理装置、等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水処理システムや化学プラントをはじめとする流体を取り扱う分野では、ポンプ、バルブ、タンク、反応槽などの流体が流れ行く機器と配管とで構成される流路構造を備えた装置が知られている。そうした装置を設計する際には、一般的に配管計装図あるいはP&ID(Piping and Instrumentation Diagram)と呼ばれる図面を作成する。一般的に配管計装図では、配管は線で、その他の各種機器は図形で表現され、線と図形を接続させたり重ねたりして流路構造が表現される。配管計装図で用いられる線や図形は、シンボルと呼ばれる。設計者は、配管計装図を参照して装置を俯瞰しながら、流路構造で実行されるプロセスを設計する。
【0003】
装置の流路構造が複雑になるほど配管計装図中に記載されるシンボルの数が増えるため、複雑な装置の配管計装図の場合には、流路構造における要素の接続関係が設計者にとって認識しにくいものとなりがちである。
【0004】
そこで、特許文献1には、シンボル同士の配管の非接続点を強調表示することにより、接続関係の視認性を向上させる手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-9516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、配管計装図において、記載されたシンボル同士が配管で接続されているからといって、必ずしもその間を流体が流れるとは限らない場合がある。例えば、逆止弁は流体の流れる方向が決まっており、順方向には流れるが逆方向には流体が流れ行かない。また、シンボル同士が配管で接続されていても、流体の特性によって、流体の流れ(例えば流れゆく方向)が変化し得る。例えば、流体が液体であって重力の作用により流動するような流路系であれば、配管が鉛直方向に勾配をもって設置されている場合には、液体は鉛直上方から鉛直下方に流れる。一方、例えば流体として気体を取り扱う場合に、例えば液体が貯留されているタンクに気体が注入される場合には、気体はタンクの上端に接続されている配管には流れ得るが、タンクの下端に接続されている配管には流れ行かない場合がある。
【0007】
一方、シンボル同士が配管で接続されていなくても、流体が流れ行く場合もある。例えば、タンク内に配置されたスプレーボールは、タンクそのものと直接的に配管で接続されているわけではないが、液体がスプレーボールに供給されると、スプレーボールから噴射された液体はタンク内に流れ行く。
【0008】
このように、従来の配管計装図では、シンボル同士の接続関係は表されているものの、例えば一連のプロセスを設計する場合に、ある時点でどのシンボルに対応する流路要素にまで流体が存在しているかを、プロセス設計者が的確に把握することが困難であった。また、複雑な装置であれば配管計装図が複数枚に渡り描かれることがある。その場合、プロセス設計者にとっては、どの図面のどのシンボルに対応する流路要素にまで流体が存在しているのかを把握するのが、困難になる場合があった。
【0009】
そこで、シンボルを用いて表現された配管計装図において、流路構造内における流体の状態(流路構造内を流体が流れゆく様子)を、理解が容易な形態で表示することが可能な情報処理方法、情報処理装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、処理部が、流路の構成要素を表す複数のシンボルを用いて流路構造が表現された図面を表示部に表示し、前記複数のシンボルの中から、基準点として扱うシンボルの指定を取得し、前記流路構造において前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数のシンボルの配置に関する情報と、前記複数のシンボルの各々と関係づけられた属性情報とを用いて計算し、前記範囲が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、ことを特徴とする情報処理方法である。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、処理部を備え、前記処理部は、流路の構成要素を表す複数のシンボルを用いて流路構造が表現された図面を表示部に表示し、前記複数のシンボルの中から、基準点として扱うシンボルの指定を取得し、前記流路構造において前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数のシンボルの配置に関する情報と、前記複数のシンボルの各々と関係づけられた属性情報とを用いて計算し、前記範囲が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、ことを特徴とする情報処理装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シンボルを用いて表現された配管計装図において、流路構造内における流体の状態(流路構造内を流体が流れゆく様子)を、理解が容易な形態で表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る情報処理装置を説明するための模式図。
図2】図面表示画面の一例を示す図。
図3】シンボル配置情報について説明するための図。
図4】シンボル属性情報について説明するための図。
図5】シンボル接続関係情報について説明するための図。
図6】流路接続関係情報について説明するための図。
図7】実施例1における図面表示画面の一例を示す図。
図8】流路接続関係情報を生成する処理の手順を示すフローチャート。
図9】流路接続関係を生成する処理の手順を示すフローチャート。
図10】流路形態の計算処理の手順を示すフローチャート。
図11】実施例1における図面表示画面の一例を示す図。
図12】実施例2における図面表示画面の一例を示す図。
図13】流路接続可否を付加する処理の手順を示すフローチャート。
図14】実施例2における図面表示画面の一例を示す図。
図15】実施例3における図面表示画面の一例を示す図。
図16】流路接続方向を付加する処理の手順を示すフローチャート。
図17】実施例3における図面表示画面の一例を示す図。
図18】実施例4における図面表示画面の一例を示す図。
図19】実施形態2に係る情報処理装置を説明するための模式図。
図20】流体特性情報について説明するための図。
図21】流路形態表示範囲情報について説明するための図。
図22】実施例5における図面表示画面の一例を示す図。
図23】実施例6における図面表示画面の一例を示す図。
図24】実施例6における図面表示画面の一例を示す図。
図25】実施例7における図面表示画面の一例を示す図。
図26】実施例8における図面表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理方法、情報処理装置、等について説明する。尚、以下に示す実施形態は例示であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更して実施をすることができる。
【0015】
尚、以下の実施形態及び実施例の説明において参照する図面では、特に但し書きがない限り、同一の符号を付して示す要素は、同様の機能を有するものとする。図中において、同一の要素が複数個配置されている場合には、符号の付与及びその説明が省略される場合がある。
【0016】
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係る情報処理方法を実行可能な情報処理装置を説明するための模式図である。尚、以下の説明では、流路構造内における流体の状態を流路形態と称する場合がある。流路形態とは、例えば、流路構造のどの位置に流体が存在しているか、あるいは流路構造内を流体が流れゆく状態のことを指す場合がある。尚、実施形態に係る情報処理装置を流路形態表示装置と称する場合がある。また、実施形態に係る情報処理方法を流路形態表示方法、流路形態表示処理、等と称する場合がある。
【0017】
[情報処理装置の構成]
図1では、本実施形態の特徴を説明するために必要な要素をブロックで表しているが、本発明の課題解決原理とは直接関係のない一般的な要素については記載を省略している。また、図1に図示された要素は概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のごとく構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散や統合の具体的形態は図示の例に限らず、その全部または一部を、使用状況などに応じて任意の単位で機能的または物理的に分散・結合して構成することが可能である。
【0018】
図1に示すように、実施形態に係る流路形態表示装置1は、記憶部5、処理部6、表示部7を備えている。流路形態表示装置1の要素として示されたブロックは、PC3000が処理プログラムを実行することにより遂行される機能や、処理プログラムを実行する際に用いるデータを模式的に表したものである。流路形態表示装置1に含まれる各機能ブロックは、ハードウェアあるいはソフトウェアを用いて構成することができる。例えば記憶装置や非一時的な記録媒体に記憶された制御プログラムを、CPUが読み出して実行することにより構成され得る。あるいは、流路形態表示装置1が備えるASIC等のハードウェアにより、機能ブロックの一部または全部を構成してもよい。
【0019】
流路形態表示装置1が備えるコンピュータとしてのPC3000は、中央処理部としてのCPU、記憶部としてのROMやRAM、入出力インターフェースとしてのI/Oを備える。ROMには、後述する情報処理方法を実現するための処理プログラムを格納しておくことができる。また、RAMは、その情報処理方法を実行する時にCPUのワークエリアなどとして使用される。また、PC3000には、不図示のHDDやSSD、ネットワークマウントされた他のシステムの外部記憶装置など種々の外部記憶装置を接続して、ROMやRAMとともに記憶部として用いることができる。
【0020】
実施形態に係る流路形態表示処理を実現するための処理プログラムは、PC3000のROMや、HDDやSSDなどから成る外部記憶装置に格納しておくことができる。あるいは、処理プログラムは、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、USBメモリ、SSD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を経由して、上記の記憶部に供給し、またその内容を更新することができる。あるいは、処理プログラムは、ネットワークおよびI/Oを経由して上記の記憶部に書き込んでもよい。
【0021】
表示手段1000は、流路形態表示処理を実行する際に、後述する種々の情報を操作者に表示するためのデバイスであり、例えば液晶表示装置、有機EL表示装置、投射型表示装置などを用いることができる。
【0022】
入力手段2000は、流路形態表示処理を実行する際に、操作者が各種の指示や情報を入力するためのデバイスであり、例えばキーボード、ジョグダイアル、マウス、ポインティングデバイス、音声入力機などの入力デバイスを用いることができる。
【0023】
次に、PC3000が処理プログラムを実行することにより遂行される機能や、処理プログラムを実行する際に用いるデータについて、図1を参照しながら説明する。
【0024】
(表示部)
表示部7は、記憶部5に記憶された各種情報や流路形態を表示するための画面情報を生成して、表示手段1000に供給する。さらに、入力手段2000から種々の情報や入力を受け付けて記憶部5や処理部6に格納したり、受け付けた情報を表示するための画面情報を生成して、表示手段1000に供給する。
【0025】
(記憶部)
記憶部5には、流路形態表示処理を実行する際に用いる各種情報や、後述する処理部6で得られた情報が記憶される。記憶部5が記憶する各種情報には、シンボル配置情報51、シンボル接続関係情報52、流路接続関係情報53、シンボル属性情報91が含まれ得る。ただし、記憶部5に記憶される情報の構成はこの例に限定されるわけではなく、例えばメンテナンス性を鑑みて、各々の情報の統合や分離、ユーザ操作のログ情報などの追加を行って管理してもよい。
【0026】
(処理部)
処理部6は、流路形態表示処理を実行する際に、記憶部5に記憶された各種情報を読み書きしながら、流路形態に係る情報を生成する処理を行う。処理部6が備えるシンボル選択判定部62は、例えばユーザにより入力手段2000から入力された指示に基づいて、流路形態を表示する対象となるシンボルを特定する。処理部6が備える流路形態算出部61は、シンボル選択判定部62により選択されたシンボルについて流体が流れゆく様子(すなわち流路形態)に係る情報を、記憶部5に記憶されている各種情報に基づいて生成する。流路形態算出部61は、生成した流路形態に係る情報を記憶部5に記憶させることができる。
【0027】
[情報処理方法]
次に、シンボル選択判定部62が流路形態を表示させるべきシンボル(基準点)を選択し、流路形態算出部61が当該シンボルに関する流体が流れゆく様子に係る情報(流路形態)を生成し、表示手段1000に表示する情報処理方法について説明する。
【0028】
(図面表示画面)
図2を参照して、表示部7によって生成され、表示手段1000にて表示される図面表示画面700について説明する。図面表示画面700は、ユーザが流路形態を生成する対象のシンボル(基準点)を配管計装図において選択し、選択したシンボルについて生成された流路形態を表示する画面である。図面表示画面700は、図面タブ710、選択カーソル80を含んで構成され得る。複数の配管計装図が登録されている場合には、ユーザは入力手段2000を介して図面タブ710を選択することにより、表示する配管計装図を選択することができる。図2は、図面1と図面2が記憶部5に登録されており、そのうちの図面1の配管計装図が選択されて表示されている状態を示している。
【0029】
それぞれの配管計装図は、その配管計装図を特定するための図面ID55、図面原点400、流路を構成する各要素(流路要素)を表すシンボル図形50、各シンボル図形を区別するためのシンボルID40を含んで構成される。図面表示画面700には、ユーザが操作可能な選択カーソル80が配管計装図に重ねて表示される。
【0030】
選択カーソル80は、ユーザにより入力手段2000から操作され、ユーザはシンボル図形50上に選択カーソル80を置くことにより、そのシンボル図形を選択することができる。
【0031】
図面ID55は、表示部7によって図面タブ710ごとに振られるIDである。図面原点400は、シンボル図形50を配置する際の基準位置である。シンボル図形50は、各流路構成要素の役割を示す図形である。シンボルID40は、シンボル図形50ごとに割り付けられるIDである。表示部7は、図面ID55毎に図面タブ710を作成し、シンボル図形50とシンボルIDを対応させた配管計装図を表示手段1000に表示させる。
【0032】
尚、図2には、シンボルの接続関係についての補足情報として拡大図800を記載している。表示部7は、図2のように拡大図800を図面表示画面700に表示させることも可能である。拡大図800によると、シンボルID40「B-2」は、配管であるシンボルID40「P-4」との接続点を持ち、その接続点の識別子として、接続点ID522「B-2_CP-1」を有する。同様に、シンボルID40「P-4」は、シンボルID40「B-2」との接続点を持ち、その接続点の識別子として、接続点ID522「P-4_CP-2」を有する。これらの接続関係は、後述するシンボル接続関係情報52で管理されている。
【0033】
尚、線として表現するシンボルと隣接するシンボルの接続点には、同様の接続関係があるが、例示の図面表示画面700では、その表記を省略している。また、本文中では、接続点とその接続点を持つシンボルとの関係性をわかりやすくするために、接続点ID522の命名ルールとして「{接続点を所有するシンボルID40}_CP-{シンボル毎の連番}」を採用している。
【0034】
(シンボル配置情報)
図3を参照して、図1の記憶部5に記憶されたシンボル配置情報51について説明する。シンボル配置情報51は、表示部7が図面表示画面700を生成して表示手段1000に表示させる際に使用する情報であり、各シンボルの配置に関する情報が含まれている。シンボル配置情報51は、図面ID55、シンボルID40、シンボル座標511、シンボル角度513、反転514、Zオーダー515、頂点座標リスト516、補助シンボルID518、シンボル名称517を含んで構成される。
【0035】
シンボル名称517は、配置されるシンボルの種別や形状を表す文字列であり、シンボル毎の固有情報と紐づけられる情報である。シンボル座標511は、図面原点400を基準とした各シンボル図形50の表示位置である。シンボル角度は、シンボル図形50の中心位置を基準とした反時計回りの回転角度を示す情報である。反転514は、シンボル図形50が上下反転、または、左右反転しているかを示す情報である。Zオーダー515は、配管計装図におけるシンボル図形50の重なりの順序を示し、値が小さいほど重なりの中で下方に、大きいほど上方に配置されて表示される。頂点座標リスト516は、後述する形状種別543が線の場合に参照される値であり、2つ以上の頂点座標である。補助シンボルID518は、勾配記号等のシンボルの特性を示すシンボルとの紐づき情報であり、シンボルID40が格納される。尚、シンボル座標511、頂点座標リスト516においては、座標やサイズを表現するために、デバイス非依存ピクセルである[dp]を単位として採用しているが、これに限定されるものではなく、使用される環境で扱いやすい単位を使用してよい。
【0036】
(シンボル属性情報)
図4を参照して、シンボル属性情報91について説明する。シンボル属性情報91は、シンボルの種別を表すシンボル名称517の各々に対応した固有情報を含んで構成される。シンボル属性情報91は、シンボル名称517、シンボル図形50、形状種別543、形状サイズ544、固有接続点ID523、流路接続方向541、接続点座標542、流路接続方向付与特性545を含んで構成される。形状種別543は、シンボル図形50が図形なのか、線なのか、を示す情報である。形状サイズ544は、シンボル図形50に対する外接矩形の幅と高さを示す情報である。固有接続点ID523は、シンボルが持つ他のシンボルとの接続点のうち、シンボル図形50特有の位置に配置される接続点に与えられるIDである。接続点座標542は、シンボル図形50の外接矩形の左上を基準とした接続点座標である。流路接続方向541は、シンボルおよび接続点において流体が流れ得る方向を示している。流路接続方向付与特性545は、シンボルが補助シンボルID518(図3)として登録されたとき、紐づけられたシンボルID40が持つ接続点に対し、流路接続方向541を与えるための算出方法を示す情報である。
【0037】
(シンボル接続関係情報)
図5を参照して、シンボル接続関係情報52について説明する。シンボル接続関係情報52は、シンボルがもつ接続点同士の接続関係を示す情報である。シンボル接続関係情報52は、接続点所有シンボルID516、接続点座標542、接続点ID522、固有接続点ID523、接続先接続点ID524、を含んで構成される。接続点所有シンボルID516は、後述する接続点ID522を所有するシンボルID40である。接続点ID522は、表示部7によってシンボルの接続点毎に割り振られるIDである。接続先接続点ID524は、接続点ID522に示される接続点と接続されている接続点を示す接続点IDである。
【0038】
(流路接続関係情報)
図6を参照して、流路接続関係情報53について説明する。流路接続関係情報53は、流路形態算出部61が流路形態を生成する際に参照され、流路としての接続関係を示す情報である。流路接続関係情報53は、流路接続元ID151、流路接続先ID152、流路接続可否153、グループ化フラグ154、を含んで構成される。流路接続元ID151と流路接続先ID152は、流路形態の方向(流路構造内を流体が流れゆく方向)を示しており、流路接続元ID151に流体が流入すると流路接続先ID152に流体が流れ得ることを示している。また、流路接続元ID151と流路接続先ID152には、シンボルID40が格納される。流路接続可否153は、流路接続元ID151と流路接続先ID152を流路形態に含めるか否かを示している。グループ化フラグ154は、流路接続元ID151と流路接続先ID152を同一シンボルとみなすか否かを示すフラグである。
【0039】
[実施例1]
次に、情報処理方法の一例について説明する。シンボル選択判定部62は流路形態を表示させるべきシンボル(基準点)をユーザが選択するのを受け付け、流路形態算出部61が当該シンボルに関する流体が流れゆく様子(流路形態)に係る情報を生成して表示する。後述するように、本実施例では、シンボルの重なり順序とシンボルの接続関係から流路形態を算出する。
【0040】
図7は、ユーザが選択カーソル80により、シンボルID40が「B-2」であるスプレーボールを選択したとき、表示部7によって生成され、表示手段1000にて表示される図面表示画面700を例示している。
【0041】
(シンボルの接続関係から流路接続情報を生成)
流路形態算出部61は、選択されたシンボルから流路接続関係情報53を生成する。図8のフローチャートを参照して、流路形態算出部61がシンボル接続関係情報52を用いて流路接続関係情報53を生成する処理について説明する。
【0042】
まず、ステップS101で、流路形態算出部61は、シンボル接続関係情報52を取得する。続くステップS102で、流路形態算出部61は、接続点所有シンボルID516を流路接続元ID151に登録し、接続点ID522を流路接続先ID152に登録する。また、流路形態算出部61は、接続点所有シンボルID516を流路接続先ID152に登録し、接続点ID522を流路接続元ID151に登録する。
【0043】
続くステップS103で、流路形態算出部61は、接続点に接続先接続点ID524の登録の有無を確認し、接続先接続点ID524があればステップS104に進み(ステップS103:YES)、なければ処理を終了する(ステップS103:NO)。
【0044】
続くステップS104で、流路形態算出部61は、接続点所有シンボルID516を流路接続元ID151に、接続先接続点ID524を流路接続先ID152に登録する。また、流路形態算出部61は、接続点所有シンボルID516を流路接続先ID152に登録し、接続先接続点ID524を流路接続元ID151に登録する。以上の処理から、シンボル接続関係情報52から流路接続関係情報53を生成することができる。
【0045】
(シンボルの重なり順序から流路接続情報を生成)
次に、図9のフローチャートを参照して、流路形態算出部61が、シンボル配置情報51を用いて流路接続関係情報53を生成する処理について説明する。まず、ステップS201で、流路形態算出部61は、シンボル配置情報51を取得する。
【0046】
続くステップS202で、流路形態算出部61は、シンボルとシンボルの包含関係を計算し、包含関係のシンボルがあるか否かを判定する。具体的には、流路形態算出部61は、ステップS201で取得したシンボル配置情報51からシンボル図形50の中心座標を計算する。次に、流路形態算出部61は、シンボル配置情報51に含まれたシンボルのうち、シンボル図形50の外接矩形内に他のシンボル図形50の中心座標が含まれるケースが有るか否かを判定する。ある場合には、それらのシンボルは互いに包含関係にあるとして特定される。
【0047】
続くステップS203で、流路形態算出部61は、ステップS202で特定された包含関係にあるシンボルどうしのZオーダー515の順番を確認する。包含するシンボルが持つZオーダー515が、包含されるシンボルが持つZオーダー515より小さい関係にあるものを特定する。
【0048】
続くステップS204で、流路形態算出部61は、包含されるシンボルのシンボルID40を流路接続元ID151、および包含するシンボルのシンボルID40を、流路接続先ID152に登録する。また、流路形態算出部61は、包含するシンボルのシンボルID40を流路接続元ID151に登録し、包含されるシンボルのシンボルID40を流路接続先ID152に登録する。
【0049】
(流路接続情報から流路形態を生成)
次に、図10のフローチャートを参照して、流路形態算出部61による流路形態の計算処理について説明する。まず、ステップS301で、流路形態算出部61は、ユーザにより選択されたシンボルID40「B-2」を、流路接続元ID151に係る情報として取得する。
【0050】
続くステップS302で、流路形態算出部61は、ステップS301で特定した情報について流路接続可否153を確認する。この例では、ステップS301で特定した情報について流路接続可否153は設定されていないので、流路形態算出部61は、流路接続可能であると判定する。
【0051】
続くステップS303で、流路形態算出部61が流路接続可能と判断した流路接続先ID152、すなわち「T-1」と「B-2_CP-1」が、流路形態テーブルに登録される。続くステップS304で、流路形態算出部61は、流路接続先ID152である「T-1」、「B-2_CP-1」のグループ化フラグ154がOFFであることを確認し、ステップS305に処理を進める。
【0052】
続くステップS305で、流路形態算出部61は、流路形態の終了条件が成立したか否かを確認する。終了条件を「次の図形まで」とした場合には、シンボル配置情報51とシンボル属性情報91から、「T-1」は形状種別543が「図形」であると判断できる。このため、流路形態算出部61は処理を終了する。ただし、「B-2_CP-1」は接続点なので、流路形態算出部61は、「B-2_CP-1」、「B-2_CP-1」を流路接続元IDとする情報を取得し、ステップ302に処理を進める。
【0053】
流路形態算出部61は、この流路形態についての計算処理を完了させることで、シンボルID40「B-2」の流路形態を、「T-1」、「B-2-CP-1」、「P-4-CP-1」、「P-4」として特定する。すなわち、流路構造内において、ユーザが選択した「B-2」から、流体が流れ得る範囲を流路形態として特定する。
【0054】
流路形態算出部61は、流路形態テーブルを表示部7に送信するとともに、記憶部に格納することができる。表示部7は、図11に示すように、図面表示画面700に流路形態を表示することができる。その際には、図11に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した「B-2」から流体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。ユーザは、配管計装図中に流路形態が表示されることにより、スプレーボール「B-2」から、容器「T-1」へ流体が流れ行くことを容易に認識することができる。
【0055】
[実施例2]
次に、実施形態1における情報処理方法の別の一例について説明する。具体的には、シンボルの接続点がもつ流路接続方向541とシンボル接続関係情報52を用いて、流路形態を算出する例を説明する。図12は、ユーザが選択カーソル80により、シンボルID40が「P-6」である配管を選択したとき、表示部7によって生成され、表示手段1000にて表示される図面表示画面700を例示している。
【0056】
流路形態算出部61は、選択されたシンボルに基づいて流路接続関係情報53を生成する。流路形態算出部61は、実施例1と同様に、シンボル接続関係情報52から流路接続関係情報53を生成する。
【0057】
図13のフローチャートを参照して、流路形態算出部61が実施する処理、すなわち流路接続方向541から流路接続可否153を付加する処理、について説明する。まず、ステップS401で、流路形態算出部61は、流路接続関係情報53とシンボル接続関係情報52を取得し、流路接続元ID151または流路接続先ID152のうち固有接続点ID523を持つものを取得する。ここで、シンボルID40「V-2」は接続点ID「V-2_CP-2」を持つ。したがって、流路形態算出部61は、シンボル接続関係情報52から、シンボルID40「V-2」が固有接続点ID「CP-D」を持つことを認識し得る。
【0058】
続くステップS402で、ステップS401で取得した接続点から、流路接続方向541を取得する。ここで再度、流接続点ID「V-2_CP-2」に着目すると、流路形態算出部61は、シンボル属性情報91から固有接続点ID523「CP-D」と紐づく流路接続方向541の情報を取得する。すると、流路形態算出部61は、固有接続点ID523「CP-D」から逆止弁への方向に流体が流れ行かないという情報を記憶する。
【0059】
続くステップS403で、ステップS402で取得した流路接続方向541の情報から、流路形態算出部61は、流路接続関係情報53の流路接続可否153を算出する。ここで再度、接続点ID「V-2_CP-2」に着目すると、接続点ID「V-2_CP-2」が流路接続元ID151である。流路形態算出部61がステップS402で記憶した情報に基づけば、流路接続先ID152が「V-2」である流路接続には流体は流れ行かないと判定できる。そこで、流路形態算出部61は、流路接続先ID152が「V-2」についての流路接続可否153を「接続不可」とする(図6)。
【0060】
流路形態算出部61は、ユーザが選択したシンボルID40「P-6」を起点(基準点)に、次のシンボルまでの流路接続関係を取得し、流路形態テーブルに追加する。流路形態算出部61は、流路形態テーブルを表示部7に送信するとともに、記憶部に格納することができる。表示部7は、図14に示すように、図面表示画面700に流路形態100を表示することができる。その際には、図14に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した「P-6」から流体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。ユーザは、配管計装図中に流路形態が表示されることにより、シンボルの特性からシンボルID「V-2」には流体が流れ行かないことを容易に認識することができる。
【0061】
[実施例3]
次に、実施形態1における情報処理方法の別の一例について説明する。具体的には、流路接続方向541をシンボル配置情報51から算出する例を説明する。図15は、ユーザが選択カーソル80により、シンボルID40が「V-1」である仕切弁を選択したとき、表示部7によって生成され、表示手段1000にて表示される図面表示画面700を例示している。
【0062】
流路形態算出部61は、選択されたシンボルに基づいて流路接続関係情報53を生成する。流路形態算出部61は、実施例1と同様に、シンボル接続関係情報52から流路接続関係情報53を生成する。
【0063】
図16のフローチャートを参照して、流路形態算出部61が実施する処理、すなわち流路接続方向541を付加する処理、について説明する。まず、ステップS501で、流路形態算出部61は、シンボル配置情報51の補助シンボルID518からシンボル同士の紐づきを取得する。この補助シンボルID518は、事前にユーザが設定してもよいし、流路形態算出部61がシンボル座標511の距離が近いもの同士を補助シンボルID518として登録してもよい。ここで、シンボルID40「P-1」に着目すると、シンボルID40「S-1」が補助シンボルID518に登録されている。したがって、流路形態算出部61は、シンボルID40「P-1」の持つ接続点はシンボルID40「S-1」によって、流路接続方向541が与えられることを認識し得る。
【0064】
続くステップS502で、流路形態算出部61は、ステップS501で取得したシンボル同士の紐づきに対し、シンボル属性情報91を参照しながら、接続点の流路接続方向541を付与する。ここで、シンボルID40「P-1」、「S-1」に係る情報から、流路形態算出部61は、シンボルID40「S-1」は、そのシンボル図形50からシンボル名称517が「勾配」として登録されたシンボルであることを特定する。
【0065】
次に、流路形態算出部61は、シンボル名称517が「勾配」のシンボルについて、流路接続方向付与特性545として「X座標の昇順」を取得する(図4)。次に、流路形態算出部61は、シンボルID40が「P-1」のシンボルは、そのシンボル図形50からシンボル名称517が「配管」として登録された配管であることを特定する。流路形態算出部61は、特定したシンボルすなわちシンボル名称517が「配管」であるシンボルについて、流路接続方向541として流路接続方向付与特性545の「X座標の昇順」を適用する。その結果、シンボル名称517が「配管」である「P-1」についての流路接続方向541は「CP-H→配管→CP-I」となる。
【0066】
その後、流路形態算出部61は、実施例2と同様に、流路接続方向541から流路接続可否153を付加する処理、流路形態100を算出する処理を行う。流路形態算出部61は、算出した流路形態に係る情報を表示部7に送信するとともに、記憶部に格納することができる。表示部7は、図17に示すように、図面表示画面700に流路形態100を表示することができる。その際には、図17に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した「V-1」から流体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。ユーザは、配管計装図中に流路形態が表示されることにより、たとえ配管に勾配があることに気づかなかったとしても、流体が流れ行く範囲を容易に認識することができる。
【0067】
尚、本実施例では、すでにシンボル配置情報51に記憶されていたシンボルID40「S-1」によってシンボルID40「P-1」の接続点の流路接続方向541を与えた。これとは逆に、シンボルID40「P-1」の接続点の流路接続方向541を事前に与えておくことで、流路形態算出部61がシンボルID40「S-1」をシンボル配置情報51に追加してもよい。
【0068】
[実施例4]
次に、実施形態1における情報処理方法の別の一例について説明する。具体的には、複数の図面にまたがる流路形態を表示する際に、図面タブ710を切り替えることなく表示させる方法である。図18は、ユーザが選択カーソル80により、シンボルID40が「O-4」である矢羽(出力)を選択したとき、表示部7によって生成され、表示手段1000にて表示される図面表示画面700を例示している。
【0069】
流路形態算出部61は、実施例1と同様に、選択されたシンボルから流路接続関係情報53を生成する。また、流路接続関係情報53のシンボルID40「O-4」、「I-21」のグループ化フラグ154はONとなっている(図6)。これは、図面1に記載されたシンボルID40が「O-4」である矢羽(出力)と、図面2に記載されたシンボルID40が「I-21」である矢羽(入力)とが、接続されていることを示している。
【0070】
表示部7は、流路形態100を表示する際に、流路形態100に含まれているシンボルが、別図面(すなわち、異なる図面ID55の図面)に含まれているか否かを確認する。もし、別図面に記載されたシンボルが流路形態100に含まれている場合には、図18に示すように、表示部7はその別図面から流路形態100に該当する部分を切り出して画面外流路形態表示ポップアップ740を生成し、表示画面内に収まるように表示する。その際には、図18に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した「O-4」から流体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。着目点から流体が流れ得る範囲が異なる配管計装図にまたがる場合であっても、ユーザは表示を切り替えるための煩雑な操作をすることなく、流路形態を容易に認識することができる。
【0071】
[実施形態2]
図19は、流路構造内における流体の状態(流路構造内を流体が流れゆく様子)を好適に表示する情報処理を実行可能な情報処理装置を説明するための模式図である。図19では、本実施形態の特徴を説明するために必要な要素をブロックで表しているが、本発明の課題解決原理とは直接関係のない一般的な要素については記載を省略している。また、図19に図示された要素は概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のごとく構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散や統合の具体的形態は図示の例に限らず、その全部または一部を、使用状況などに応じて任意の単位で機能的または物理的に分散・結合して構成することが可能である。尚、実施形態1と共通する事項については、説明を簡略化ないし省略する。
本実施形態は、図19に示すように、記憶部5が流体特性情報93および流路形態表示範囲情報94を備える点で、図1に示した実施形態1と異なる。
【0072】
(流体特性情報)
図20を参照して、記憶部5に記憶される流体特性情報93について説明する。流体特性情報93は、流体名称931と流体流路接続条件932を含んで構成される。流体名称931は、流体の種別を表すものである。流体流路接続条件932は、流体名称931で区別される各種の流体について、流れ行く方向を示す条件式であり、条件式が成立すれば流れ行き、不成立であれば流れ行かないことを表す。流体流路接続条件932は、シンボル配置情報51から算出可能な条件式で表現される。
【0073】
例えば、流体名称931が「液体」と登録された流体を取り扱う場合に、配管が鉛直方向に勾配をもって設置されており、当該流体が重力の作用により流動するような流路系であるならば、鉛直上方から鉛直下方に向けて流れるものとして取り扱う。そのため、ここでは図25図26のY軸方向を重力方向に見立て、Y座標の小さなシンボルから大きなシンボルへ流れ行くように流体流路接続条件932を定義している。
【0074】
一方、例えば流体名称931が「気体」と登録された流体である場合に、配管が鉛直方向に勾配をもって設置されており、当該流体が重力方向に逆らい、流動するような流路系であるならば、鉛直下方から鉛直上方に向けて流れるものとして取り扱う。そのため、ここでは図22図24のY軸方向を重力方向に見立て、Y座標の大きなシンボルから小さなシンボルへと流れ行くように流体流路接続条件932を定義している。
【0075】
(流路形態表示範囲情報)
図21を参照して、記憶部5に記憶される流路形態表示範囲情報94について説明する。流路形態表示範囲情報94は、流路形態表示範囲名称737と流路形態検索終了条件941を含んで構成される。流路形態表示範囲名称737は、後述する流路形態検索終了条件941を区別可能に表現する一意の名称である。流路形態検索終了条件941は、図10で示したフローチャートのステップS305において流路形態を計算する処理を打ち切るための終了条件である。
【0076】
本実施形態では、流路形態表示範囲が「レベル」の場合、後述する流路形態表示レベル入力ボックス736で指定された回数まで、起点(基準点)となるシンボルから流路形態を計算して表示する。すなわち、ユーザが選択したシンボルから流体が流れ得る範囲を、当該シンボルからの接続距離が指定回数と同数であるシンボルにまで拡張して計算し、表示する。流路形態表示範囲が「表示図面」の場合、起点(基準点)となるシンボルが記載された図面の範囲内で、流路形態100を計算して表示する。流路形態表示範囲が「終端」の場合、起点(基準点)となるシンボルから算出し得る流路形態100を、起点(基準点)となるシンボルが記載された図面以外の図面も含めて計算して表示する。
【0077】
(図面表示画面)
図22図26を参照して、表示部7によって生成され、表示され得る表示画面のバリエーションについて説明する。表示画面には、図面表示画面700に加えて、流体特性選択画面720と流路表示範囲選択画面730の画像が表示され得る。
【0078】
流体特性選択画面720は、流体名称931、流体特性ラジオボタン725を含んで構成され得る。流体特性ラジオボタン725は、どの流体流路接続条件932(図20)を使用して流路形態100を計算するかを、ユーザが選択可能なラジオボタンである。ユーザは、流体名称931の表示を見て、取り扱うべき流体の種類をラジオボタンで容易に選択することができる。
【0079】
流路表示範囲選択画面730は、流路形態表示範囲名称737、流体形態表示範囲ラジオボタン735、および流路形態表示レベル入力ボックス736、を含んで構成され得る。流体形態表示範囲ラジオボタン735は、流路形態100を表示する際に、どの流路形態検索終了条件941(図21)を使用して流路形態100を計算するかを、ユーザが選択可能なラジオボタンである。ユーザは、図21を参照して説明した流路形態表示範囲名称737の表示を見ながら、流体形態表示範囲ラジオボタン735を使って、流路形態表示範囲を容易に選択することができる。
【0080】
流路形態表示レベル入力ボックス736は、流路形態表示範囲として「レベル」が選択された場合に、選択されたシンボルを起点(基準点)として生成する流路形態100の範囲をユーザが指定するための入力欄である。ユーザは、起点(基準点)から直列に接続され得るシンボルの最大数を入力することにより、生成する流路形態100の範囲を指定することができる。言い換えれば、ユーザは、図10で示した流路形態100を求める際の計算処理の終了条件(終了までの計算回数)を指定することができる。ただし、流路形態表示レベル入力ボックス736の入力値は、計算処理の範囲指定ではなく、計算結果を表示する際の範囲指定として機能させてもよい。例えば、流体が流れ得る範囲を計算した結果が、起点(基準点)から直列に接続された4個目のシンボルまでであったとしても、流路形態表示レベル入力ボックス736の入力値が「2」である場合には、2個目のシンボルまでを識別可能に表示してもよい。
【0081】
[実施例5]
図22は、ユーザが選択カーソル80を用いてシンボルID40が「T-1」であるシンボル(容器)を選択したときの図面表示画面700を例示したものである。流路形態算出部61は、選択されたシンボルから流路接続関係情報53を生成する。他の実施例と同様に、流路形態算出部61は、流路接続関係情報53を生成する。
【0082】
この例では、流体特性選択画面720では流体特性ラジオボタン725で「気体」が選択されており、流路形態算出部61は、流体流路接続条件932(図20)を取得する。流路形態算出部61は、気体の流体流路接続条件932を用いて、流路接続可否153(図6)を取得する。
【0083】
次に、流路形態算出部61は、流路形態100の算出処理を行う。この例では、流路表示範囲選択画面730において「表示画面」が選択されているため、図面タブ710で選択されている図面1の範囲内で流路形態100が算出されて表示される。その際には、図22に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した容器「T-1」から気体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。容器内に配置されたスプレーボールは、容器そのものと直接的に配管で接続されているわけではないが、気体はスプレーボールと容器との間で流動可能なのが容易に理解できる。ユーザは、配管計装図中に流路形態が表示されることにより、容器T-1から気体が流れ行く範囲を容易に認識することができる。
【0084】
[実施例6]
図23は、ユーザが選択カーソル80を用いてシンボルID40が「T-1」であるシンボル(容器)を選択したときの図面表示画面700の別の例を示したものである。流路形態算出部61は、選択されたシンボルから流路接続関係情報53を生成する。他の実施例と同様に、流路形態算出部61は、流路接続関係情報53を生成する。
【0085】
この例では、流体特性選択画面720では流体特性ラジオボタン725で「気体」が選択されており、流路形態算出部61は、流体流路接続条件932(図20)を取得する。流路形態算出部61は、気体の流体流路接続条件932を用いて、流路接続可否153(図6)を取得する。
【0086】
次に、流路形態算出部61は、流路形態100の算出処理を行う。この例では、流路表示範囲選択画面730において「レベル」が選択されており、流路形態表示レベル入力ボックス736に「1」が入力されている。このため、流路形態算出部61は、シンボルID40が「T-1」であるシンボルを起点(基準点)として、直列に接続されるシンボルが1個の範囲内で流路形態100を算出して表示する。その際には、図23に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した容器「T-1」から気体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。ユーザは、配管計装図中に流路形態が表示されることにより、容器T-1と隣接するシンボルについて、気体が流れ行く範囲を容易に認識することができる。
【0087】
また、図24は、流路形態表示レベル入力ボックス736に「2」が入力されている場合を示している。流路形態算出部61は、シンボルID40が「T-1」であるシンボルを起点(基準点)として、直列に接続されるシンボルが2個の範囲内で流路形態100を算出して表示する。その際には、図23に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した容器「T-1」から気体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。ユーザは、配管計装図中に流路形態が表示されることにより、容器T-1と直列に接続されるシンボルが2個の範囲内について、気体が流れ行く範囲を容易に認識することができる。
【0088】
[実施例7]
図25は、ユーザが選択カーソル80を用いてシンボルID40が「T-1」であるシンボル(容器)を選択したときの図面表示画面700を例示したものである。流路形態算出部61は、選択されたシンボルから流路接続関係情報53を生成する。他の実施例と同様に、流路形態算出部61は、流路接続関係情報53を生成する。
【0089】
この例では、流体特性選択画面720では流体特性ラジオボタン725で「液体」が選択されており、流路形態算出部61は、流体流路接続条件932(図20)を取得する。流路形態算出部61は、気体の流体流路接続条件932を用いて、流路接続可否153(図6)を取得する。
【0090】
次に、流路形態算出部61は、流路形態100の算出処理を行う。この例では、流路表示範囲選択画面730において「表示画面」が選択されているため、図面タブ710で選択されている図面1の範囲内で流路形態100が算出されて表示される。この例では、流体が液体であるため、重力方向に沿って流れゆくものとして流路形態100が算出されている。その際には、図25に示す様に、流路形態、すなわちユーザが選択した容器「T-1」から液体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。ユーザは、配管計装図中に流路形態が表示されることにより、容器T-1から液体が流れ行く範囲を容易に認識することができる。
【0091】
[実施例8]
図26は、ユーザが選択カーソル80を用いてシンボルID40が「T-1」であるシンボル(容器)を選択したときの図面表示画面700の別の例を示したものである。流路形態算出部61は、選択されたシンボルから流路接続関係情報53を生成する。他の実施例と同様に、流路形態算出部61は、流路接続関係情報53を生成する。
【0092】
この例では、流体特性選択画面720では流体特性ラジオボタン725で「液体」が選択されており、流路形態算出部61は、流体流路接続条件932(図20)を取得する。流路形態算出部61は、気体の流体流路接続条件932を用いて、流路接続可否153(図6)を取得する。
【0093】
次に、流路形態算出部61は、流路形態100の算出処理を行う。この例では、流路表示範囲選択画面730において「終端」が選択されているため、起点(基準点)となるシンボルから算出し得る流路形態100を、起点(基準点)となるシンボルが記載された図面以外の図面も含めて計算して表示する。流路形態算出部61は、実施例1と同様に、選択されたシンボルから流路接続関係情報53を生成する。この例では、流路接続関係情報53のシンボルID40「O-4」、「I-21」のグループ化フラグ154はONとなっている(図6)。これは、図面1に記載されたシンボルID40が「O-4」である矢羽(出力)と、図面2に記載されたシンボルID40が「I-21」である矢羽(入力)とが、接続されていることを示している。
【0094】
この例では、液体が流れゆく流路形態100は、シンボルID40が「T-1」である容器を起点(基準点)として、シンボルID40が「O-4」である矢羽(出力)を経由して、さらに図面IDが「2」である図面2に記載された流路構造にまで及ぶとする。
【0095】
まず、(a)に示す様に、ユーザが図面タブ710で選択した図面1の範囲内で流路形態100が表示され得る。また、(b)に示す様に、ユーザが図面タブ710で図面2を選択した場合には、図面2の範囲内で流路形態100が算出されて表示され得る。また、図18に示したように、表示部7はその図面2から流路形態100に該当する部分を切り出して画面外流路形態表示ポップアップ740を生成し、表示画面内に収まるように図面1とともに表示してもよい。あるいは、図面1と図面2を適宜の倍率で縮小し、同じ表示画面に(a)と(b)を並べて表示してもよい。
【0096】
言い換えれば、流路構造が複数の図面に分割されて表現されており、基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数の図面のうち前記基準点が記載された図面の範囲内において前記表示部に表示することもできる。また、前記基準点から流体が流れ得る範囲が、前記基準点が記載された図面だけでなく他の図面に及ぶ場合に、前記基準点が記載された図面および前記他の図面を編集して、表示部に表示することができる。
【0097】
その際には、流路形態、すなわちユーザが選択した容器「T-1」から液体が流れ得る範囲を、例えば線幅を太くする、着色する、テクスチャを付与するなどして、配管計装図の中で識別容易に表示することが望ましい。ユーザは、着目点から流体が流れ得る範囲が異なる配管計装図にまたがる場合であっても、流路形態を容易に認識することができる。流路形態100の算出処理(図10)のうちステップS305の終了条件は、流体形態表示範囲ラジオボタン735で選択された流路形態検索終了条件941を用いて算出する。
【0098】
[他の実施形態]
なお、本発明は、以上説明した実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。例えば、上述した異なる実施形態や実施例の全部または一部を組み合わせて実施しても差し支えない。
【0099】
例えば、流体である液体が、重力の作用により鉛直方向に流動するような流路系を例に挙げたが、本発明に係る情報処理方法や情報処理装置の適用対象はこれに限られるわけではない。例えば、加圧手段、減圧手段、ポンプなどのように重力以外の力を流体に作用させ得る要素を含む流路系であれば、その要素のシンボルには、その装置の特性に応じた流路接続方向付与特性などを関連づけて、情報処理が行われる。
【0100】
また、例えば流体の種類(例えば液体であるか気体であるか、水であるか有機溶媒であるか、等)に応じて、配管計装図において流路構造内を流体が流れゆく様子(流路形態)を異なる色で表示したり、異なる線幅や線種(実線と点線など)で表示してもよい。あるいは、配管計装図の各流路に、流れる流体の種類をユーザが認識するための識別情報(文字、マークなど)を付記してもよい。すなわち、流体の特性に係る情報として流体の種類に係る情報を取得し、流路構造を流れる流体の種類が識別できるように図面を編集して、表示部に表示することができる。
【0101】
また、本発明に係る情報処理方法や情報処理装置においては、図3図6図20図21に例示された表に含まれる情報をユーザが入力したり編集するため、これらの図に示された表を表示部に表示し、ユーザによる入力を受け付けることができる。
【0102】
本発明に係る情報処理方法や情報処理装置を適用して設計や動作確認が可能なプロセスは、典型的には、流路構造を備えた装置を用いて実施する部品の加工、洗浄や、材料の合成など、物品の製造に係るプロセスである。しかし、水処理システムや化学プラントをはじめとする流路システムにおいて、流路構造を備えた装置を用いて行う前記以外のプロセスについての設計や確認をするために、本発明に係る情報処理方法や情報処理装置を適用することも可能である。
【0103】
本発明は、実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0104】
本明細書は、少なくとも以下の事項を開示している。
[事項1]
処理部が、
流路の構成要素を表す複数のシンボルを用いて流路構造が表現された図面を表示部に表示し、
前記複数のシンボルの中から、基準点として扱うシンボルの指定を取得し、
前記流路構造において前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数のシンボルの配置に関する情報と、前記複数のシンボルの各々と関係づけられた属性情報とを用いて計算し、
前記範囲が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする情報処理方法。
[事項2]
前記属性情報は、当該シンボルで表された構成要素において、前記流体が流れ得る方向に関する情報を含む、
ことを特徴とする事項1に記載の情報処理方法。
[事項3]
前記複数のシンボルの配置に関する前記情報は、あるシンボルで表された構成要素と、それと隣接するシンボルで表された構成要素が、配管で直接的に接続されているか否かに関する情報を含む、
ことを特徴とする事項1または2に記載の情報処理方法。
[事項4]
前記処理部は、前記流体の特性に係る情報を取得するのに用いる画像を前記表示部に表示し、
取得した前記流体の特性に係る情報と前記属性情報とを用いて、前記範囲を計算する、
ことを特徴とする事項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
[事項5]
前記流体の特性に係る情報は、前記流体が気体であるか液体であるかの情報を含む、
ことを特徴とする事項4に記載の情報処理方法。
[事項6]
前記流体の特性に係る情報は、前記流体の種類に係る情報を含み、
前記処理部は、前記流路構造を流れる前記流体の種類が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項4または5に記載の情報処理方法。
[事項7]
前記処理部は、前記範囲を計算する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を計算する、
ことを特徴とする事項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
[事項8]
前記処理部は、前記範囲を表示する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
[事項9]
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数の図面のうち前記基準点が記載された図面の範囲内において、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
[事項10]
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲が、前記基準点が記載された図面だけでなく他の図面に及ぶ場合に、前記基準点が記載された図面および前記他の図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
[事項11]
事項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理方法を、前記処理部に実行させるためのプログラム。
[事項12]
事項11に記載のプログラムを記録したコンピュータにより読み取りが可能な記録媒体。
[事項13]
処理部を備え、
前記処理部は、
流路の構成要素を表す複数のシンボルを用いて流路構造が表現された図面を表示部に表示し、
前記複数のシンボルの中から、基準点として扱うシンボルの指定を取得し、
前記流路構造において前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数のシンボルの配置に関する情報と、前記複数のシンボルの各々と関係づけられた属性情報とを用いて計算し、
前記範囲が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
[事項14]
前記属性情報は、当該シンボルで表された構成要素において、前記流体が流れ得る方向に関する情報を含む、
ことを特徴とする事項13に記載の情報処理装置。
[事項15]
前記複数のシンボルの配置に関する前記情報は、あるシンボルで表された構成要素と、それと隣接するシンボルで表された構成要素が、配管で直接的に接続されているか否かに関する情報を含む、
ことを特徴とする事項13または14に記載の情報処理装置。
[事項16]
前記処理部は、前記流体の特性に係る情報を取得するのに用いる画像を前記表示部に表示し、
取得した前記流体の特性に係る情報と前記属性情報とを用いて、前記範囲を計算する、
ことを特徴とする事項13乃至15のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[事項17]
前記流体の特性に係る情報は、前記流体が気体であるか液体であるかの情報を含む、
ことを特徴とする事項16に記載の情報処理装置。
[事項18]
前記流体の特性に係る情報は、前記流体の種類に係る情報を含み、
前記処理部は、前記流路構造を流れる前記流体の種類が識別できるように前記図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項16または17に記載の情報処理装置。
[事項19]
前記処理部は、前記範囲を計算する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を計算する、
ことを特徴とする事項13乃至18のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[事項20]
前記処理部は、前記範囲を表示する際における前記基準点から直列して接続され得るシンボルの最大数についての指定を取得し、前記指定に基づいて前記範囲を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項13乃至19のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[事項21]
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲を、前記複数の図面のうち前記基準点が記載された図面の範囲内において、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項13乃至20のいずれか1項に記載の情報処理装置。
[事項22]
前記流路構造は複数の図面に分割されて表現されており、
前記基準点から流体が流れ得る範囲が、前記基準点が記載された図面だけでなく他の図面に及ぶ場合に、前記基準点が記載された図面および前記他の図面を編集して、前記表示部に表示する、
ことを特徴とする事項13乃至20のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0105】
1・・・流路形態表示装置/5・・・記憶部/6・・・処理部/7・・・表示部/40・・・シンボルID/50・・・シンボル図形/51・・・シンボル配置情報/52・・・シンボル接続関係情報/53・・・流路接続関係情報/55・・・図面ID/61・・・流路形態算出部/62・・・シンボル選択判定部/80・・・選択カーソル/91・・・シンボル属性情報/400・・・図面原点/700・・・図面表示画面/710・・・図面タブ/720・・・流体特性選択画面/725・・・流体特性ラジオボタン/730・・・流路表示範囲選択画面/735・・・流体形態表示範囲ラジオボタン/736・・・流路形態表示レベル入力ボックス/1000・・・表示手段/2000・・・入力手段/3000・・・PC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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