(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005467
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】水垢洗浄剤
(51)【国際特許分類】
C11D 3/20 20060101AFI20250109BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20250109BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20250109BHJP
C09K 3/30 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C11D3/20
C11D7/26
C11D17/04
C09K3/30 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105604
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田井治 淑美
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003AC13
4H003AD04
4H003BA20
4H003DA05
4H003DB01
4H003EB07
4H003EB08
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA17
4H003FA25
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】水垢の洗浄剤であって、刺激臭が少なく、炭酸カルシウムの溶解性が高く、洗浄後にカルシウム塩が再度付着するのを抑制できるものを提供する。
【解決手段】乳酸とフマル酸を含有する洗浄剤であって、その質量比が10:1~1:2である水垢用洗浄剤およびこれを利用したスプレー製品またはエアゾール製品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸とフマル酸を含有する洗浄剤であって、その質量比が10:1~1:2である水垢用洗浄剤。
【請求項2】
更に、界面活性剤を含有する請求項1記載の水垢用洗浄剤。
【請求項3】
請求項1または2記載の水垢用洗浄剤を、スプレーバルブを備えた容器に充填したことを特徴としたスプレー製品。
【請求項4】
請求項1または2記載の水垢用洗浄剤を、液化ガスと共にエアゾールバルブを備えた容器に充填したことを特徴としたエアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台等の水垢用の洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に洗面台等に使用される洗面台用洗浄剤は弱アルカリ性洗剤が多く、水垢の主成分である炭酸カルシウムはアルカリ性の汚れのため溶かして落とすことに限界があり、日々の洗面台掃除等で蓄積してしまった水垢をおとすことが困難である。
【0003】
水垢をクレンザーや研磨剤入り専用洗剤で洗浄することも考えられるが、傷が入る可能性があるため日常的に使用することが困難である。
【0004】
これまでクエン酸を主成分とする水垢用の洗剤(非特許文献1)や酢酸とフマル酸を組み合わせた水垢用の洗剤(非特許文献2)が知られている。
【0005】
しかしながら、これらクエン酸や酢酸とフマル酸を組み合わせたものは一応水垢洗浄用とあるものの、刺激臭があったり、炭酸カルシウムの溶解性が低く洗浄力が弱かったり、水垢を洗浄した後に炭酸カルシウムと上記酸が反応して形成されるカルシウム塩の溶解性が低く再度付着してしまい、より落ちにくい水垢を生じたりする問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献2】TKパックで簡単!水あか取りま専科(https://azuma-kaitekihyakka.com/view/item/000000000489)
【非特許文献1】水回り用ティンクル防臭プラス(https://www.kincho.co.jp/seihin/housewares/tincle/mizumawari/index.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、水垢の洗浄剤であって、刺激臭が少なく、炭酸カルシウムの溶解性が高く、洗浄後にカルシウム塩が再度付着するのを抑制できるものを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究した結果、乳酸とフマル酸を特定の質量比で含有させることにより、刺激臭が少なく、炭酸カルシウムの溶解性が高く、洗浄後のカルシウム塩が再度付着するのを抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、乳酸とフマル酸を含有する洗浄剤であって、その質量比が10:1~1:2である水垢用洗浄剤である。
【0010】
また、本発明は、上記水垢用洗浄剤をスプレーバルブを備えた容器に充填したことを特徴としたスプレー製品または上記水垢用洗浄剤を液化ガスと共にエアゾールバルブを備えた容器に充填したことを特徴としたエアゾール製品である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水垢用洗浄剤は、刺激臭が少なく、炭酸カルシウムの溶解性が高く、洗浄後のカルシウム塩が再度付着するのを抑制できる。
【0012】
また、特に本発明の水垢用洗浄剤は、界面活性剤と組み合わせることにより、起泡性が向上するため、液だれもしにくくなる。
【0013】
そのため、本発明の水垢用洗浄剤は、洗面台等の水回りに発生する水垢の洗浄に適している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の水垢用洗浄剤(以下、単に「本発明洗浄剤」という)は、乳酸とフマル酸を含有する洗浄剤であって、その質量比が10:1~1:2である。
【0015】
本発明洗浄剤に用いられる乳酸は、特に限定されず、例えば、L体、D体、DL体の何れでもよい。本発明洗浄剤における乳酸の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1~8.0質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは0.5~6.0%、さらに好ましくは0.8~2.0%である。
【0016】
本発明洗浄剤に用いられるフマル酸は、特に限定されない。本発明洗浄剤におけるフマル酸の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1~2.0%、好ましくは0.6~1.0%、さらに好ましくは0.7~0.8%である。
【0017】
本発明洗浄剤における乳酸とフマル酸の質量比は10:1~1:2であるが、炭酸カルシウム溶解性の点から好ましくは10:1~1:1であり、特に好ましくは10:5~5:4である。
【0018】
本発明洗浄剤には、更に、界面活性剤を含有させることが好ましい。本発明洗浄剤に界面活性剤を含有させることにより、起泡性が向上するため、泡を形成するタイプの製品であっても液だれもしにくくなる。
【0019】
上記界面活性剤としては、特に限定されず、非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、天然系界面活性剤、アミノ酸系活性剤等が挙げられる。
【0020】
非イオン系界面活性剤の例としては、C12/14アルキルグルカミド、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と表記する。)セチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラウリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオクチルドデシルエーテル、POEイソセチルエーテル、POEイソステアリルエーテル等のPOEアルキルエーテル;モノヤシ油脂肪酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル;モノステアリン酸POEグリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;POEラノリンアルコール等のポリオキシエチレンラノリンアルコール;POE硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸ペンタグリセリル、モノミリスチン酸ペンタグリセリル、モノオレイン酸ペンタグリセリル、モノステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸デカグルセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノオレイン酸POEグリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノパルミチン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン、モノオレイン酸POEソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビット、テトラステアリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル;等が挙げられる。
【0021】
アニオン性界面活性剤の例としては、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシカリセッケン等の脂肪酸塩;POEラウリルエーテルカルボン酸塩POP・POEエーテルミリスチン酸塩等のアルキルエーテルカルボン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等の高級アルキル硫酸エステル塩;POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム、N-パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン等のN-アシルアミン酸塩;N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、POEラウリルアミドエーテルスルホン酸ナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩;POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ロート油等の硫酸化油、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、カゼインナトリウム等の高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、脂肪酸アミドエーテル硫酸エステル塩、アシルイセチオン酸塩、スルホコハク酸塩等の硫酸エステル塩型又はスルホン酸塩型界面活性剤;エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、N-アシルイミノジ酢酸、N-アシルアミノ酸塩等のカルボン酸型界面活性剤等が挙げられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤の塩形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0023】
両性界面活性剤の例としては、コカミドプロピルベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド類、アルキルジメシルスルホベタイン等のスルホベタイン類、カルボベタイン類等が挙げられる。
【0024】
また、その他の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体等のシリコーン系界面活性剤や、サーファクチンナトリウム、シクロデキストリン、水添酵素大豆レシチン等の天然系界面活性剤や、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム及びN-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸、N-ラウロイル-L-グルタミン酸、N-ステアロイル-L-グルタミン酸等のN-アシルグルタミン酸、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等のN-アシルグリシン塩、N-ヤシ油脂肪酸アシル-DL-アラニントリエタノールアミン等のN-アシルアラニン塩、等のアミノ酸系界面活性剤等が挙げられる。
【0025】
これら界面活性剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これら界面活性剤の中でも環境配慮、人体への低刺激性の点からノニオン性界面活性剤が好ましく、C12/14アルキルグルカミドがより好ましく、C12/14アルキルグルカミドとPOEアルキルエーテルを組み合わせて用いることが更により好ましい。
【0026】
本発明洗浄剤における界面活性剤の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~5.0%、好ましくは0.5~2.0%である。
【0027】
また、本発明洗浄剤には、適宜イオン交換水等の水を含有させる。本発明洗浄剤における水の含有量は特に限定されないが、例えば、70~99%、好ましくは80~99%である。
【0028】
本発明洗浄剤には、更に、緩衝剤、キレート剤、pH調整剤、香料、溶剤等を含有させてもよい。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
なお、本発明洗浄剤は、乳酸とフマル酸を含有するため酸性であり、そのpHは特に限定されないが、例えば、1.5~5.0、好ましくは2.0~3.0である。
【0030】
以上説明した本発明洗浄剤は、そのまま噴霧や塗布をして水垢の洗浄をすることができるが、噴霧のために、例えば、スプレーバルブを備えた容器に充填した製品、液化ガスと共にエアゾールバルブを備えた容器に充填した製品、ポンプフォーマーを備えた容器に充填した製品等とすることが好ましい。
【0031】
本発明洗浄剤をスプレーバルブを備えた容器に充填した製品にする場合、本発明洗浄剤をスプレーバルブを備えた、アルミ製、スチール製等の容器に充填すればよい。
【0032】
本発明洗浄剤を液化ガスと共にエアゾールバルブを備えた容器に充填した製品とする場合、本発明洗浄剤を、液化ガスと共に、正立用エアゾールバルブ、倒立用エアゾールバルブ、正倒立用エアゾールバルブ等のエアゾールバルブを備えた、アルミ製、スチール製等の容器に充填すればよい。
【0033】
液化ガスとしては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン及びこれらの混合物である液化石油ガス、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze)、トランス-2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234yf)等のハイドロフルオロオレフィン、ジメチルエーテル、及びこれらの混合物、ノルマルペンタン、イソペンタン、及びこれらの混合物等が挙げられる。これら液化ガスは、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
本発明洗浄剤を液化ガスと共に充填した時の圧力は、例えば、35℃で0.1~0.8MPaであることが好ましく、0.1~0.5MPaであることがより好ましい。
【0035】
本発明洗浄剤をポンプフォーマーを備えた容器に充填した製品とする場合、本発明洗浄剤をプラスチック製のポンプフォーマーを備えた容器に充填すればよい。
【0036】
これらの製品の中でもスプレーバルブを備えた容器に充填した製品、液化ガスと共にエアゾールバルブを備えた容器に充填した製品が好ましく、液化ガスと共にエアゾールバルブを備えた容器に充填した製品がより好ましい。
【0037】
本発明洗浄剤および本発明洗浄剤を充填した製品は、洗面台、キッチン、お風呂等の水回りに発生する水垢の洗浄をすることができるが、洗面台に発生する水垢の洗浄をすることが好ましい。水垢の洗浄をする場合、水垢に適当量を噴霧や塗布した後、適宜スポンジ、たわし、ブラシ等の掃除用具でこすり、その後、水で流せばよい。
【実施例0038】
以下、本発明の実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0039】
実施例1~6および比較例1~5
水垢用洗浄剤の調製:
表1に記載の処方を撹拌、混合して水垢用洗浄剤を調製した。これらの水垢用洗浄剤については以下の評価基準に基づいて炭酸カルシウム水溶液溶解性、起泡性、低臭性、水垢と洗浄剤が反応して形成が想定される塩の種類、放置して発生した塩(水垢と洗浄剤が反応して形成が想定される塩)の水溶性(こびりつきにくさ)も評価し、pHも常法に従って測定した。これらの結果を表1に示した。
【0040】
【0041】
<炭酸カルシウム水溶液溶解性>
各水垢用洗浄剤に2.8%炭酸カルシウム水溶液を同量滴下し攪拌した薬液の透過率%T(550nm波長)を分光光度計にて測定した。
(評価) (透過率)
×(溶解できず白濁した状態) :0~0.5%T
△(やや白濁して少し溶解) :0.5~1.0%T
◎(溶解している) :1.0~%T
【0042】
<起泡性>
各水垢用洗浄剤をフォーマーポンプ(WPフォーマーポンプ(W-5721):吉野工業所社製)にて同量紙上に出し、室温にて5分経過後の泡の高さ(最高部位)を定規にて測定した。
(評価) (高さ)
×(泡が保持されない) :5mm以下
△(泡がわずかに保持されている) :5mm~10mm
〇(泡が保持されている) :10mm以上
【0043】
<低臭性>
起泡性で用いたのと同様のフォーマーポンプにて水垢用洗浄剤を紙上に出した泡状態の官能評価を行い、刺激臭(酸臭)がするかどうか確認した。
(評価) (内容)
×:強い刺激臭を感じる
〇:刺激臭を感じない
◎:無臭
【0044】
<放置して発生した塩の水溶性(こびりつきにくさ)>
各水垢用洗浄剤で水垢を洗浄した後に形成が想定される塩の水溶性が、20g/L以上のものは水垢を洗浄した後に再度こびりつくことがないため○と評価した。
【0045】
【0046】
以上の結果から、乳酸とフマル酸を組み合わせると起泡性、低臭性に優れ、炭酸カルシウム水溶液の溶解性がある水垢用洗浄剤になることが分かり、特に乳酸とフマル酸を質量比で10:1~1:2、好ましくは10:1~1:1、特に好ましくは10:5~5:4とすることにより炭酸カルシウム水溶液の溶解性も高まり、放置して発生した塩の水溶性も高いためこびりつきも防げる優れた水垢用洗浄剤となることが分かった。一方、従来のクエン酸単独、酢酸とフマル酸を組み合わせたものは、起泡性、低臭性、炭酸カルシウム水溶液の溶解性、放置して発生した塩の水溶性の全てが好ましくなるものはなかった。
【0047】
実施例7~10
水垢用洗浄剤の調製:
表3に記載の処方を撹拌、混合して水垢用洗浄剤を調製した。これらの水垢用洗浄剤については以下の評価基準に基づいて炭酸カルシウム水溶液溶解性、起泡性、低臭性、水垢と洗浄剤が反応して形成が想定される塩の種類、放置して発生した塩(水垢と洗浄剤が反応して形成が想定される塩)の水溶性(こびりつきにくさ)を上記と同様に評価した。その結果も表3に示した。
【0048】
【0049】
以上の結果から、本発明の水垢用洗浄剤において界面活性剤を配合しない場合には、起泡性は悪いものの、液だれ等が重要視されない場所での使用においては特段問題ないものであった。また、界面活性剤を配合すると起泡性が向上するが、界面活性剤の種類は特に限定されないことが分かった。
【0050】
実施例9
エアゾール製品の調製:
表1の実施例6に記載した処方液200gと液化LPG(20℃で0.4Mpa)20gの合計220gをエアゾールバルブを備えた容積300mLのアルミ缶に充填してエアゾール製品を調製した。