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特開2025-5477課金処理装置、課金処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005477
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】課金処理装置、課金処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20250109BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105624
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】北川 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄介
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB11
5L030BB26
5L049BB11
5L049BB26
(57)【要約】
【課題】 顧客が予測結果を購入する価値があると考えた場合に、課金することが可能な課金処理装置を提供することにある。
【解決手段】 本開示の課金処理装置は、タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得する、取得手段と、一次配列データに基づき、タンパク質の三次元構造を予測する、予測手段と、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる、出力手段と、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付する、購入受付手段と、購入を受付した場合、顧客に対して課金処理を実行する、課金手段と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得する、取得手段と、
前記一次配列データに基づき、前記タンパク質の三次元構造を予測する、予測手段と、
前記三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる、出力手段と、
顧客から前記三次元構造の予測結果データの購入を受付する、購入受付手段と、
前記購入を受付した場合、前記顧客に対して課金処理を実行する、課金手段と、
を備える、課金処理装置。
【請求項2】
前記動画像は、互いに直交する軸により前記三次元構造をそれぞれ回転させた動画像である、請求項1に記載の課金処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記購入を受付した場合、前記顧客に対して前記予測結果データを出力する、請求項1に記載の課金処理装置。
【請求項4】
前記動画像を出力した後、三次元構造を再予測することを受付する、再予測受付手段を更に備え、
前記予測手段は、前記再予測を受付した場合に、条件を変更して前記タンパク質の三次元構造を予測する、請求項1に記載の課金処理装置。
【請求項5】
前記再予測受付手段は、同じ三次元構造の予測を受付した回数をカウントし、所定回数まで再予測することを受付する、請求項4に記載の課金処理装置。
【請求項6】
前記再予測受付手段は、前記一次配列データが、過去に三次元構造の予測に用いた一次配列データと所定の条件で一致する場合、前記回数をカウントする、請求項5に記載の課金処理装置。
【請求項7】
前記出力手段は、更に、前記三次元構造の中から、所定箇所数までの構造信頼性を出力する、請求項3に記載の課金処理装置。
【請求項8】
前記タンパク質は、タンパク質複合体である、請求項1に記載の課金処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得し、
前記一次配列データに基づき、前記タンパク質の三次元構造を予測し、
前記三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させ、
顧客から前記三次元構造の予測結果データの購入を受付し、
前記購入を受付した場合、前記顧客に対して課金処理を実行する、課金処理方法。
【請求項10】
タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得し、
前記一次配列データに基づき、前記タンパク質の三次元構造を予測し、
前記三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させ、
顧客から前記三次元構造の予測結果データの購入を受付し、
前記購入を受付した場合、前記顧客に対して課金処理を実行することをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、課金処理装置、課金処理方法、及びプログラムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習モデルを使用して、アミノ酸の配列構造からタンパク質の三次元構造を予測するための技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、所与のタンパク質の最終的な予測構造の決定が、機械学習モデルを実装したデータ処理装置によって実行されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2022-501696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タンパク質の構造予測ツールを用いてタンパク質の三次元構造の予測をする場合、予測に用いる計算サーバの利用量に制限があるため、予測可能なタンパク質の規模が限られる。一方で、予測に用いる計算サーバの利用量に応じて課金をすると、顧客が予測結果に納得していなくても、計算サーバの長時間の利用により高額な費用が請求されることになる。
【0006】
本開示の目的の一例は、顧客が予測結果を購入する価値があると考えた場合に、課金することが可能な課金処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における課金処理装置は、タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得する、取得手段と、一次配列データに基づき、タンパク質の三次元構造を予測する、予測手段と、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる、出力手段と、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付する、購入受付手段と、購入を受付した場合、顧客に対して課金処理を実行する、課金手段と、を備える。
【0008】
本開示の一態様における課金処理方法は、コンピュータが、タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得し、一次配列データに基づき、タンパク質の三次元構造を予測し、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させ、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付し、購入を受付した場合、顧客に対して課金処理を実行する。
【0009】
本開示の一態様におけるプログラムは、タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得し、一次配列データに基づき、タンパク質の三次元構造を予測し、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させ、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付し、購入を受付した場合、顧客に対して課金処理を実行することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による効果の一例は、顧客が予測結果を購入する価値があると考えた場合に課金することが可能な課金処理装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示における課金処理装置を含む構成を示す図である。
図2図2は、本開示における課金処理装置をコンピュータ装置とその周辺装置で実現したハードウェア構成を示す図である。
図3A図3Aは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図3B図3Bは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図3C図3Cは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図3D図3Dは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図4A図4Aは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図4B図4Bは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図4C図4Cは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図4D図4Dは、出力部における三次元構造の動画像の出力例を示した図である。
図5図5は、本開示における課金処理の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、本開示における課金処理装置を含む構成を示す図である。
図7図7は、本開示における課金処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本開示における課金処理装置100の構成を含む図である。図1を参照すると、課金処理装置100は、取得部101と、予測部102と、出力部103と、購入受付部104と、課金部105を備える。課金処理装置100は、アミノ酸の一次配列からタンパク質の三次元構造を予測し、予測結果データを顧客が購入する際に課金処理するための装置である。
【0014】
課金処理装置100は、例えば、予測対象のタンパク質のアミノ酸の一次配列データを入力すると、タンパク質の三次元構造が把握可能な態様で動画像を出力する。顧客がその動画像を判断材料として、三次元構造の予測結果データを購入するか否かを決定する。そして、課金処理装置100は、顧客が予測結果データを購入する場合に課金処理を実行する。
【0015】
本実施形態において、予測対象のタンパク質としては、例えば、ヒト又は動植物の臓器(心臓、脳)、ヒト又は動植物の組織(網膜、血管)、花粉(大きさ約30μm)、細胞(6~25μm)、細胞核(6μm)、細菌(1~5μm)、染色体(1~2μm)、高分子タンパク質(数十nm~数百nm)、ウイルス(100nm)、抗体(10~15nm)、低分子タンパク質(数nm~数十nm)、及び、酵素(3nm~5nm)などが挙げられる。これらのタンパク質は、一例であってこれらに限定されない。予測対象のタンパク質は、タンパク質単体であっても、タンパク質複合体であってもよい。また、予測対象は、特定の細菌やウイルスなどの抗原と薬などの抗体とが結合したタンパク質であってもよい。この場合、抗原と抗体のドッキング具合を確認することができる。さらに、予測対象のタンパク質は、コロナウィルスと薬とが結合したタンパク質であってもよい。特に、コロナウィルス表面にあるスパイクタンパク質への薬のドッキング、又はドッキングによるスパイクタンパク質の構造変化を予測対象としてもよい。予測対象のタンパク質の他の例としては、タンパク質とリガンド複合体との結合、及び、植物に含まれる酵素と農薬との結合が挙げられる。
【0016】
図2は、本開示における課金処理装置100を、プロセッサを含むコンピュータ装置500で実現したハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるように、課金処理装置100は、プロセッサ501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503などのメモリ、プログラム504を格納するハードディスクなどの記憶装置505、ネットワーク接続用の通信インタフェース508、データの入出力を行う入出力インタフェース509を含む。プロセッサ501としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、または、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0017】
第一の実施形態において、課金処理装置100における各構成部は、例えば、バス510を介してそれぞれ接続される。また、図1に示す第一の実施形態における課金処理装置100は、クラウドコンピューティングなどで構成することもできる。
【0018】
プロセッサ501は、オペレーティングシステムを動作させて課金処理装置100の全体を制御する。また、プロセッサ501は、例えばドライブ装置507などに装着された記録媒体506からメモリにプログラムやデータを読み出す。また、プロセッサ501は、取得部101と、予測部102と、出力部103と、購入受付部104と、課金部105及びこの一部として機能し、プログラムに基づいて後述する図5に示すフローチャートにおける処理または命令を実行する。
【0019】
記録媒体506は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、または半導体メモリなどである。記録媒体の一部である半導体メモリなどは、不揮発性記憶装置であり、そこにプログラムを記録する。また、プログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされてもよい。
【0020】
以上のように、図1に示す第一の実施形態は、図2に示されるコンピュータ・ハードウェアによって実現される。ただし、図1の課金処理装置100が備える各部の実現手段は、以上説明した構成に限定されない。また課金処理装置100は、物理的に結合した一つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した二つ以上の装置を有線または無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。また、課金処理装置100は、三次元構造の動画像を表示するディスプレイなどの表示装置を更に備えても構わない。また、課金処理装置100と、表示装置とが別々の装置により実現されたシステムとして構成されていてもよい。
【0021】
取得部101は、タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得する手段である。一次配列データとは、タンパク質を構成するアミノ酸の並ぶ順序を示したFASTA形式などのデータである。タンパク質の一次配列が把握できるデータであれば、形式はこれに限られない。取得部101は、例えば、顧客が三次元構造の予測のために用意されたサーバに格納した一次配列データを取得する。取得部101は、一次配列データを取得すると、その一次配列データを予測部102に出力する。
【0022】
予測部102は、一次配列データに基づき、タンパク質の三次元構造を予測する手段である。予測部102は、例えば、既知のタンパク質のデータベースで公開されている三次元構造を教師データとして、既に形状が判明しているタンパク質のアミノ酸のつながり方を学習させることで得られた学習モデルを用いて、三次元構造を予測する。この学習モデルは、複雑な多層構造をもつニューラルネットワークから構成されていてよい。また、予測部102は、公開されている構造予測ツールで構成されていてもよい。例えば、予測部102は、構造予測ツールに一次配列データを入力し、タンパク質を構成するアミノ酸同士の距離及びタンパク質の曲がる角度などを計算して、予測した三次元構造を出力する。また、予測部102が出力する三次元構造のデータは、複数(例えば、2~5種類)であってもよく、出力データの数は構造予測ツール上で変更可能である。この場合、予測部102は、異なる学習モデルを用いて予測した三次元構造を出力し、出力する三次元構造の信頼性を異ならせてもよい。
【0023】
出力部103は、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる手段である。三次元構造を把握可能な態様とは、例えば、タンパク質のらせん構造、折り畳まれた構造、又は、球状に丸まった構造などの三次元構造が視認可能な態様である。
【0024】
動画像が、平面(2D)の画像である場合、三次元構造を複数方向から視認可能な画像が必要であり、例えば、三次元構造を前後左右上下の6方向から撮影した画像と、斜め45度から撮影した画像が必要である。動画である場合、例えば、互いに直交する軸で三次元構造をそれぞれ回転させた動画である。具体的に、出力部103は、三次元構造を表示させた画面上において、横軸と縦軸でそれぞれ回転させた動画を出力してもよい。また、出力部103は、これらの動画の中から、三次元構造が所定の方向を向いている際に切り出した複数の画像を出力してもよい。出力部103は、課金処理装置100と接続しているディスプレイなどの表示装置に動画像を表示させる。また、出力部103は、顧客が所持する端末に動画像ファイルを送信してもよい。動画像ファイルの形式としては、例えば、MP4が挙げられる。
【0025】
図3及び図4は、出力部103によるタンパク質の三次元構造の動画像の出力例を示した図である。図3は、縦軸(A1)を軸として反時計回りで回転させた場合の画像である。図3Aにおける左面が正面を向いているときを切り出した画像が図3Bであり、図3Aにおける裏面が正面を向いているときを切り出した画像が図3Cであり、図3Aにおける右面が正面を向いているときを切り出した画像が図3Dである。図4は、横軸(A2)を軸として回転させた場合の画像である。図4Aにおける上面が正面を向いているときを切り出した画像が図4Bであり、図4Aにおける裏面が正面を向いているときを切り出した画像が図4Cであり、図4Aにおける下面が正面を向いているときを切り出した画像が図4Dである。図3及び図4に示した画像は出力部103が出力する動画像の一例でありこれに限らない。
【0026】
購入受付部104は、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付する手段である。購入受付部104は、顧客からの予測結果データの購入依頼を受付する。購入受付部104が受付する購入依頼の形式は特に制限されず、出力部103が動画像を表示した画面上で購入することが選択されたことを受付してもよいし、顧客の所持する端末から受信した購入依頼の内容を含む情報を受付してもよい。また、購入受付部104は、購入依頼を受付する場合に、顧客を識別する情報及び課金するために必要な決済情報などを受付してもよい。
【0027】
課金部105は、購入した顧客に対して課金処理を実行する手段である。課金部105は、受付した決済情報に基づいて課金処理を行う。具体的に、課金部105は、予め登録された顧客の決済情報を用いて、公知の方法により購入する三次元構造の予測結果データの購入費用の決済処理を進める。
【0028】
本実施形態において、出力部103は、更に、購入を受付した場合に三次元構造の予測結果データを顧客に出力してもよい。予測結果データとは、顧客が所持する端末上で、三次元構造の表示、又は、三次元構造の動画像ファイルの出力が可能なファイル形成のデータであって、例えば、PDB(Protein Data Bank)形式のデータである。出力部103が三次元構造の予測結果データを顧客に出力するタイミングは、購入受付部104が予測結果データの購入を受付した後であれば特に限定されない。例えば、出力部103は、課金部105により課金処理が完了した後に、三次元構造の予測結果データを出力してもよい。ただし、課金処理装置100において、出力部103が予測結果データを顧客に出力する構成は、本開示の発明の課題を解決するための必要最小限の構成に含まれない。
【0029】
以上のように構成された課金処理装置100の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
図5は、本開示における課金処理装置100の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0031】
図5に示すように、まず、取得部101は、タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得する(ステップS101)。次に、予測部102は、一次配列データに基づき、タンパク質の三次元構造を予測する(ステップS102)。次に、出力部103は、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる(ステップS103)。次いで、購入受付部104は、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付した場合(S104;YES)、課金部105は、購入した顧客に対して課金処理を実行し(ステップS105)、出力部103は、予測結果データを顧客に出力する(ステップS106)。一方、購入受付部104は、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付しなかった場合(S104;NO)、フローを終了する。以上で、課金処理装置100は、課金処理の動作を終了する。
【0032】
上述した課金処理装置100において、出力部103は、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる。そして、購入受付部104は、顧客から三次元構造の予測結果データの購入を受付した場合、課金部105は、購入した顧客に対して課金処理を実行する。この場合、顧客は、タンパク質の三次元構造を把握可能な態様で出力した動画像を判断材料として、三次元構造の予測結果データを購入する価値があるか否かを決定する。よって、顧客が予測結果を購入する価値があると考えた場合に、課金することが可能となる。
【0033】
[変形例1]
次に、本実施形態の変形例について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。本開示の各実施形態における各構成要素は、図2に示すコンピュータ装置と同様に、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、プログラム制御に基づくコンピュータ装置、ソフトウェアで実現することができる。
【0034】
図6は、本開示の課金処理装置110を含む構成を示す図である。図6を参照して、課金処理装置100と異なる部分を中心に、課金処理装置110を説明する。
【0035】
課金処理装置110は、取得部111と、予測部112と、出力部113と、購入受付部114と、課金部115と、再予測受付部116を備える。なお、取得部111と、予測部112と、出力部113と、購入受付部114と、課金部115の構成は、第一の実施形態における対応する構成部と基本的に同じであるため、説明を省略する。
【0036】
本変形例では、顧客が三次元構造の予測結果に満足しなかった場合、予測のやり直しを受付する。具体的に、再予測受付部116が、三次元構造を再予測することを受付する。再予測受付部116は、同じ三次元構造の予測を受付した回数をカウントし、予め決められた所定回数まで(例えば、3回まで)三次元構造を再予測することを受付してもよい。再予測受付部116は、入力された一次配列データが、過去に三次元構造の予測に用いた一次配列データと所定の条件で一致する場合、受付した回数を一回増やす。再予測受付部116は、例えば、過去に入力した一次配列の任意の箇所に対して、新しく入力した一次配列の所定割合(例えば、80%)以上が一致する場合、又は、過去に入力した一次配列の所定割合(例えば、80%)以上が、新しく入力した一次配列の任意の箇所に一致する場合、同じ三次元構造の予測を受付したとみなす。このように、再予測の回数が制限されている場合、顧客が無制限に三次元構造の予測のための計算資源を使うことを防ぐことができる。なお、再予測受付部116は、予め決められた上限カウント数に達した後、顧客が三次元構造の予測結果を購入した場合は、カウントした回数をリセットしてもよい。
【0037】
再予測受付部116が、三次元構造を再予測することを受付すると、予測部112は、予測条件を変更して、三次元構造を再予測する。予測条件としては、例えば、予測するタンパク質のアミノ酸残基数を絞ることが挙げられる。予測するタンパク質のアミノ酸残基数を絞る場合、予測部112は、例えば、最初に三次元構造を予測したタンパク質のアミノ酸残基数が2000であったとすると、アミノ酸残基数を1/2の1000に絞って再予測する。この場合、タンパク質の右半分の三次元構造、左半分の三次元構造などといったように2回に分けて予測する必要がある。よって、予測部112は、三次元構造の予測を計3回行うことになる。また、別の方法として、アミノ酸残基数を1/2の1000に絞って再予測した後、さらに、アミノ酸残基数を1/2の500(最低限必要な残基数)に絞って3回目の予測を行ってもよい。この場合、予測部112は、例えば、独自性の高い部位などの注目部位に絞って三次元構造を予測する。
【0038】
予測対象のタンパク質が、抗原と抗体とが結合したタンパク質複合体である場合、再予測受付部116が、三次元構造の再予測することを受付すると、予測部112は、共通性高い部位及び独自性高い部位の特定部位に絞って三次元構造を予測してもよい。この場合、予測部112は、タンパク質全体、共通性の高い部位、及び、独自性の高い部位の計3回三次元構造の予測を行うことになる。
【0039】
上述した例では、三次元構造の再予測時の予測条件の変更は、予測部112が行っていたが、再予測受付部116が、再予測する際の条件を受付してもよい。具体的に、タンパク質の三次元構造の動画像を表示した画面上で、三次元予測するタンパク質の部位やアミノ酸残基数を選択できるような仕様になっていてもよい。
【0040】
図7は、変形例における課金処理装置110の動作の概要を示すフローチャートである。尚、このフローチャートによる処理は、前述したプロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0041】
図7に示すように、まず、取得部111は、タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得する(ステップS111)。次に、予測部112は、一次配列データに基づき、タンパク質の三次元構造を予測する(ステップS112)。次に、出力部103は、三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる(ステップS113)。次いで、再予測受付部116が顧客から三次元構造の再予測を受付した場合(S114;YES)、その回数が所定回数以内であれば(S115;YES)、予測部112が予測条件を変更し(ステップS116)、S112~S113を繰り返す。一方、再予測受付部116が顧客から三次元構造の再予測を受付した場合(S114;YES)、その回数が所定回数を超えていれば(S115;NO)、課金処理装置110は、フローを終了する。
【0042】
次いで、購入受付部114は、顧客から三次元構造の予測結果の購入を受付した場合(S117;YES)、課金部115は、購入した顧客に対して課金処理を実行し(ステップS118)、出力部113は、予測結果データを顧客に出力する(ステップS119)。一方、購入受付部114は、顧客から三次元構造の予測結果の購入を受付しなかった場合(S117;NO)、課金処理装置110は、フローを終了する。以上で、課金処理装置110は、課金処理の動作を終了する。
【0043】
課金処理装置110において、再予測受付部116が顧客から三次元構造の再予測を受付した場合、予測部112が予測条件を変更して三次元構造の予測を繰り返す。よって、条件を変更して再予測することで顧客にとって価値があると考える三次元構造を示す可能性が高まる。
【0044】
[変形例2]
次に、本実施形態の他の変形例について図面を参照して詳細に説明する。以下、本実施形態の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0045】
本変形例では、出力部103又は出力部113が予測結果データを顧客に対して出力した後、三次元構造の構造信頼性の情報を出力する。構造信頼性とは、構造座標の真値と、推定値のずれ度合いである。構造信頼性は、予測した立体構造と教師データの立体構造と間で特定の基ごとの構造座標のずれ度合いをスコア化したものであってもよい。
【0046】
出力部103又は出力部113は、タンパク質の三次元構造の表示可能な3Dビューアなどで、顧客により選択された箇所の構造信頼性の情報を出力してもよい。本変形例において、予め構造信頼性を出力する箇所の数の制限が設けられていてもよい。また、課金部105又は課金部115は、構造信頼性の情報を出力する場合に、更に、顧客に対して課金処理を行ってもよい。
【0047】
上述した変形例における課金処理装置において、出力部103又は出力部113は、三次元構造の構造信頼性の情報を出力する。これにより、顧客に対して、予測した三次元構造の信頼度を把握させることができる。
【0048】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0049】
例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0050】
上記実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限られない。
【0051】
(付記1)
タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得する、取得手段と、
前記一次配列データに基づき、前記タンパク質の三次元構造を予測する、予測手段と、
前記三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させる、出力手段と、
顧客から前記三次元構造の予測結果データの購入を受付する、購入受付手段と、
前記購入を受付した場合、前記顧客に対して課金処理を実行する、課金手段と、
を備える、課金処理装置。
【0052】
(付記2)
前記動画像は、互いに直交する軸により前記三次元構造をそれぞれ回転させた動画像である、付記1に記載の課金処理装置。
【0053】
(付記3)
前記出力手段は、前記購入を受付した場合、前記顧客に対して前記予測結果データを出力する、付記1に記載の課金処理装置。
【0054】
(付記4)
前記動画像を出力した後、三次元構造を再予測することを受付する、再予測受付手段を更に備え、
前記予測手段は、前記再予測を受付した場合に、条件を変更して前記タンパク質の三次元構造を予測する、付記1に記載の課金処理装置。
【0055】
(付記5)
前記再予測受付手段は、同じ三次元構造の予測を受付した回数をカウントし、所定回数まで再予測することを受付する、付記4に記載の課金処理装置。
【0056】
(付記6)
前記再予測受付手段は、前記一次配列データが、過去に三次元構造の予測に用いた一次配列データと所定の条件で一致する場合、前記回数をカウントする、付記5に記載の課金処理装置。
【0057】
(付記7)
前記出力手段は、更に、前記三次元構造の中から、所定箇所数までの構造信頼性を出力する、付記3に記載の課金処理装置。
【0058】
(付記8)
前記タンパク質は、タンパク質複合体である、付記1に記載の課金処理装置。
【0059】
(付記9)
コンピュータが、
タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得し、
前記一次配列データに基づき、前記タンパク質の三次元構造を予測し、
前記三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させ、
顧客から前記三次元構造の予測結果データの購入を受付し、
前記購入を受付した場合、前記顧客に対して課金処理を実行する、課金処理方法。
【0060】
(付記10)
タンパク質を構成するアミノ酸の一次配列データを取得し、
前記一次配列データに基づき、前記タンパク質の三次元構造を予測し、
前記三次元構造を把握可能な態様で動画像を出力させ、
顧客から前記三次元構造の予測結果データの購入を受付し、
前記購入を受付した場合、前記顧客に対して課金処理を実行することをコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0061】
100、110 課金処理装置
101、111 取得部
102、112 予測部
103、113 出力部
104、114 購入受付部
105、115 課金部
116 再予測受付部
501 プロセッサ
502 ROM
503 RAM
504 プログラム
505 記憶装置
506 記録媒体
507 ドライブ装置
508 通信インタフェース
509 入出力インタフェース
510 バス
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7