IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 極東開発工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-機械式駐車装置 図1
  • 特開-機械式駐車装置 図2
  • 特開-機械式駐車装置 図3
  • 特開-機械式駐車装置 図4
  • 特開-機械式駐車装置 図5
  • 特開-機械式駐車装置 図6
  • 特開-機械式駐車装置 図7
  • 特開-機械式駐車装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005484
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20250109BHJP
   E04H 6/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105641
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】坂田 優
(72)【発明者】
【氏名】吉満 勇矢
(72)【発明者】
【氏名】野上 達矢
(57)【要約】
【課題】場内で充電を行うことが可能な機械式駐車装置を提供することを課題とする。
【解決手段】車両収容可能な入出庫階5があり、その上及び/又は下にも車両収容可能な階があり、前記各階に複数の車両設置エリア10があり、車両が載置されるパレット15が前記車両設置エリア10に配置され、パレット移動手段を有し、入出庫の際に、必要に応じて前記パレット移動手段によってパレット15が移動される機械式駐車装置1において、一又は複数のパレットは、給電器具31と、受電器具32を備えた給電パレット30であり、前記入出庫階5の一又は複数の車両設置エリアは、送電器具33が配置された特定車両設置エリア35であり、前記給電パレット30が前記特定車両設置エリア35にあるときに前記給電器具31と送電器具33が接続状態となることを特徴とする機械式駐車装置1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を収容可能な入出庫階があり、その上及び/又は下にも車両を収容可能な階があり、前記各階に複数の車両設置エリアがあり、車両が載置されるパレットが前記車両設置エリアに配置され、パレット移動手段を有し、入出庫の際に、必要に応じて前記パレット移動手段によってパレットが移動される機械式駐車装置において、
一又は複数のパレットは、給電器具と、受電器具を備えた給電パレットであり、
前記入出庫階の一又は複数の車両設置エリアは、送電器具が配置された特定車両設置エリアであり、
前記給電パレットが前記特定車両設置エリアにあるときに前記給電器具と送電器具とが接続状態となることを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
車両を入出庫する際には、必要に応じて前記パレット移動手段によって前記給電パレットが前記特定車両設置エリアを離れ、その後に前記給電パレットが前記特定車両設置エリアに復帰することを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
車両を収容可能な入出庫階があり、その上及び/又は下にも車両を収容可能な階があり、前記各階に複数の車両設置エリアがあり、車両が載置されるパレットが前記車両設置エリアに配置され、パレット移動手段を有し、入出庫の際に、必要に応じて前記パレット移動手段によってパレットが移動される機械式駐車装置において、
一又は複数のパレットは、給電器具と、受電器具を備えた給電パレットであり、
一又は複数の車両設置エリアは、送電器具が配置された特定車両設置エリアであり、
前記給電パレットが前記特定車両設置エリアにあるときに前記給電器具と送電器具が接続状態となり、
車両を入出庫する際には、必要に応じて前記パレット移動手段によって前記給電パレットが前記特定車両設置エリアを離れ、その後に前記給電パレットが前記特定車両設置エリアに復帰することを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項4】
前記給電パレットは、常時の設置階が二階以上または地下階であり、前記給電パレットは前記移動手段によって昇降可能であり、他の前記車両設置エリアから前記特定車両設置エリアに移動することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
入出庫階のいずれかの車両設置エリアにパレットが無い場合は、前記パレット移動手段が駆動されて他の階の車両設置エリアからパレットを移動させ、入出庫階の車両設置エリアの全てにパレットを配置する空き埋め動作が実施されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体式の機械式駐車装置に関するものであり、特に駐車中に電気自動車等の蓄電池を充電することができる機械式駐車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
限られた面積の土地を有効利用し、より多数の車両を駐車させる装置として、機械式駐車装置が知られている。
機械式駐車装置は、自動車等の車両を立体的に駐車させる装置である。代表的な機械式駐車装置は、車両を載置するパレットと、このパレットを昇降移動させる移動手段を有している。
また機械式駐車装置では、特定の階が入出庫階となっている。
仮にパレットが入出庫階にある場合には、パレットをその位置においたままの状態で車両の出し入れを行う。仮にパレットが他の階にある場合には、パレットを昇降移動して入出庫階に移動させ、当該パレットに対して車両の出し入れを行う。
【0003】
またパズル式立体駐車装置と称されるものは、パレットを昇降移動させるだけでなく、パレットを横行移動させる機能も有している。
機械式駐車装置は、例えば特許文献1、2、3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3189078号公報
【特許文献2】特開平7-42388号公報
【特許文献3】特開平9-137619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータで走行する機能を備えた自動車が開発されている。例えば電気自動車と称される自動車は、蓄電池を搭載しており、当該蓄電池から電力供給を受けて走行する。蓄電池は外部電源から給電されて充電される。
プラグインハイブリッド車と称される自動車は、外部充電機能を加えたハイブリッド車であり、蓄電池を内蔵しており、当該蓄電池を外部電源によって充電することもできる。以下、これらを総称して電気自動車と称する。
【0006】
電気自動車は蓄電池を充電する必要があるが、充電には相当の時間がかかる。そのため電気自動車のユーザーは、自宅の駐車場に駐車中、自宅のコンセントに電気自動車を接続して充電を行う場合が多い。
一方、マンション等の集合住宅では、立体駐車場等の機械式駐車装置を併設し、マンションの居住者は、当該機械式駐車装置に自己の自動車を駐車する。そのためマンション等の居住者は、駐車中に充電を行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、場内で充電を行うことが可能な機械式駐車装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、車両を収容可能な入出庫階があり、その上及び/又は下にも車両を収容可能な階があり、前記各階に複数の車両設置エリアがあり、車両が載置されるパレットが前記車両設置エリアに配置され、パレット移動手段を有し、入出庫の際に、必要に応じて前記パレット移動手段によってパレットが移動される機械式駐車装置において、一又は複数のパレットは、給電器具と、受電器具を備えた給電パレットであり、前記入出庫階の一又は複数の車両設置エリアは、送電器具が配置された特定車両設置エリアであり、前記給電パレットが前記特定車両設置エリアにあるときに前記給電器具と送電器具とが接続状態となることを特徴とする機械式駐車装置である。
【0009】
本態様の機械式駐車装置では、入出庫階の車両設置エリアのいくつかが、送電器具が配置された特定車両設置エリアとなっている。使用者は入出庫階から自動車を導入し、その階で充電を行うことができる。
本態様によると、入出庫階の車両設置エリアに自動車が留まる機会が多いので、誤って機械式駐車装置に人が入ることが少ない。また例え人が入っても、ピット等に落下することを防ぐことができる。
また本態様の機械式駐車装置では、特定車両設置エリアが入出庫階にあるので、配線工事が容易である。
【0010】
上記した態様において、車両を入出庫する際には、必要に応じて前記パレット移動手段によって前記給電パレットが前記特定車両設置エリアを離れ、その後に前記給電パレットが前記特定車両設置エリアに復帰することが望ましい。
【0011】
本態様によると、他の自動車が入出庫する際に充電中の自動車が載置された給電パレットが移動しても、自動的に元の特定車両設置エリアに戻り、充電を継続することができる。
また本態様によると、入出庫階の車両設置エリアに自動車が留まる機会が多いので、誤って機械式駐車装置に人が入ることが少ない。また例え人が入っても、ピット等に落下することを防ぐことができる。
【0012】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、車両を収容可能な入出庫階があり、その上及び/又は下にも車両を収容可能な階があり、前記各階に複数の車両設置エリアがあり、車両が載置されるパレットが前記車両設置エリアに配置され、パレット移動手段を有し、入出庫の際に、必要に応じて前記パレット移動手段によってパレットが移動される機械式駐車装置において、一又は複数のパレットは、給電器具と、受電器具を備えた給電パレットであり、一又は複数の車両設置エリアは、送電器具が配置された特定車両設置エリアであり、前記給電パレットが前記特定車両設置エリアにあるときに前記給電器具と送電器具が接続状態となり、車両を入出庫する際には、必要に応じて前記パレット移動手段によって前記給電パレットが前記特定車両設置エリアを離れ、その後に前記給電パレットが前記特定車両設置エリアに復帰することを特徴とする機械式駐車装置である。
【0013】
本態様の機械式駐車装置によると、駐車中の電気自動車に充電することができる。本態様によると、他の自動車が入出庫する際に、充電中の自動車が載置された給電パレットが移動しても、自動的に元の特定車両設置エリアに戻り、充電を継続することができる。
【0014】
上記した各態様において、前記給電パレットは、常時の設置階が二階以上または地下階であり、前記給電パレットは前記移動手段によって昇降可能であり、他の前記車両設置エリアから前記特定車両設置エリアに移動することが可能であることが望ましい。
【0015】
本態様によると、出庫階の車両設置エリアの全てにパレットが配置されるので、機械式駐車装置内に人が入っても、ピット等に落下することを防ぐことができる。
【0016】
上記した各態様において、入出庫階のいずれかの車両設置エリアにパレットが無い場合は、前記パレット移動手段が駆動されて他の階の車両設置エリアからパレットを移動させ、入出庫階の車両設置エリアの全てにパレットを配置する空き埋め動作が実施されることが望ましい。
【0017】
本態様によると、出庫階の車両設置エリアの全てにパレットが配置されるので、機械式駐車装置内に人が入っても、ピット等に落下することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の機械式駐車装置によると、電気自動車を駐車している間に充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態の機械式駐車装置の斜視図及び制御装置の拡大図である。
図2図1の機械式駐車装置の正面図である。
図3図1の機械式駐車装置の特定車両設置エリアの側面図であり、(a)は、給電パレットが特定車両設置エリアに到着した直後の様子であり、(b)は、給電パレットが特定車両設置エリアに到着してから時間が経過した後の様子を示す。
図4図1の機械式駐車装置をモデル化したものであり、(a)は、その全体図であり、(b)は、特定車両設置エリアを拡大した拡大図である。
図5】本発明の第一実施形態の機械式駐車装置の一連の動作を説明する説明図である。
図6】本発明の第二実施形態の機械式駐車装置の一連の動作を説明する説明図である。
図7】本発明の第三実施形態の機械式駐車装置の一連の動作の第1例を説明する説明図である。
図8】本発明の第三実施形態の機械式駐車装置の一連の動作の第2例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の機械式駐車装置1について説明する。
本実施形態の機械式駐車装置1(以下、 駐車装置1と略称する場合がある。)は、パズル式の立体駐車装置である。駐車装置1は、図1図2図4の様に、地下1階、地上2階の3階建構造であり、複数台の自動車(車両)を駐車することができる車両設置エリア10がある。
駐車装置1の一階部分は、実際には図2等の様に地下階BFとなるが、作図の関係上、図1は、あたかも地上に設置した様に図示されている。
本実施形態の機械式駐車装置1では、図2の様に、地下1階部分が地面より下に位置している。駐車装置1の2階部分は、地上階GFとなっている。駐車装置1では、地上階GFが入出庫階5であり、地上階GFから自動車が出入りする。駐車装置1の3階部分は上層階HFである。
【0021】
駐車装置1は、図1の様にフレーム2を有している。フレーム2は、支柱3と図示しない梁等によって構築された構造物であり、3階構造となっている。
そしてフレーム2によって各階にそれぞれ3室の車両設置エリア10が作られている。車両設置エリア10には、図2の様に、パレット支持枠11がある。
図2の様に、車両設置エリア10のパレット支持枠11には、いずれか一つの車両設置エリア10を除いてパレット15が載置されている。
【0022】
駐車装置1は、パレット15を昇降及び横行させるパレット移動手段を備えている。
パレット移動手段は、パレット15が載置された状態のパレット支持枠11を昇降させる昇降機構と、パレット支持枠11を横行させる横行機構によって構成されている。
パレット支持枠11を横行させる横行機構は、パレット支持枠11自身に横行車輪(図示せず)を設け、横行レールに横行車輪が載置されたものであり、横行モータ(図示せず)を駆動してパレット支持枠11を横方向に移動させるものである。パレット支持枠11を横行させる機構は、公知であるから詳細な説明を省略する。横行機構は、前記した構造のものに限定されるものではない。
【0023】
昇降機構は、例えばパレット支持枠11をチェーン12で吊り下げて昇降する構造のものである。昇降機構についても、公知であるから詳細な説明を省略する。昇降機構についても、前記した構造のものに限定されるものではない。
【0024】
駐車装置1内の各パレット15は、前記したパレット移動手段(昇降機構及び横行機構)によって、昇降方向および横行方向にパズル式に移動が可能である。
本実施形態では、駐車装置1の2階部分(地上1階部分)が入出庫階5であり、自動車を出入りさせる車両出入り部16a~16cが設けられている。
【0025】
駐車装置1の入出庫階5は、駐車装置1において横列したパレット15の最大数に対し、少なくとも1枚のパレットが少ない数が配置される。本実施形態では、図1図2図4に示すように、駐車装置1の1階と2階(地上階GF、入出庫階5)には横3列のパレットがあるが、駐車装置1の3階のパレットは横2列のパレットのみがある。そして、駐車装置1の1階と3階のパレットは昇降のみ可能であり、2階(地上階GF、入出庫階5)のパレットは横行のみ可能である。
【0026】
駐車装置1には、各車両出入り部16a~16cに、ゲート(駐車場用ゲート)17a、17b、17cが設けられている。図2では、ゲート17a、17b、17cを省略している。
【0027】
また図1の様に、駐車装置1のフレーム2の近傍に、パレット15の昇降を制御する制御装置18がある。 制御装置18は、コンピュータであり、パレット15に各種の動作を行わせるプログラムが記憶されている。
制御装置18にテンキー20と、パレット15を動作させる操作スイッチ21ある。操作スイッチ21には、呼び出しスイッチ22と、戻しスイッチ23及びゲート開閉スイッチ25がある。使用者は、テンキー20を操作して自己が使用するパレット15を特定し、呼び出しスイッチ22を操作して所望のパレット15を呼び出す。
【0028】
自動車の入庫時には、パレット移動手段を駆動して、空いているパレット15を地上階GFに移動し、いずれかのゲート17a、17b、17cを開いて自動車をパレット15上に載置する。
自動車の出庫時には、パレット移動手段によって当該自動車が載置されたパレット15を地上階GFに移動させ、いずれかのゲート17a、17b、17cを開いてパレット15上の自動車を駐車装置1の外部へ出す(出庫する)。
【0029】
即ち、操作スイッチ21の呼び出しスイッチ22をオンすることによって、使用者が使用するパレット15が地上階GFに呼び出される。また戻しスイッチ23をオンすることにより、自己の車両を載置したパレット15が、所定の車両設置エリア10に戻される。
使用者が使用するパレット15が入出庫階5にある場合には、パレット移動手段によるパレット15の移動はなされない。
【0030】
本実施形態の駐車装置1は、自動的に空き埋め動作を実施するようプログラムされている。そのため、入出庫階(地上階GF)のいずれかの車両設置エリア10にパレット15が無い場合は、自動的にパレット移動手段が駆動されて他の階の車両設置エリア10からパレット15を移動させ、入出庫階の車両設置エリア10の全てにパレット15が配置される。
【0031】
本実施形態の駐車装置1は、駐車中に電気自動車を充電することができる。以下、この構成について説明する。
本実施形態の駐車装置1は、パレット15を8個有するが、その内の一つが図3の様に、給電器具31と、受電器具32を備えた給電パレット30となっている。
また本実施形態の駐車装置1は、車両設置エリア10を9エリア有しているが、その内の一つが、図3の様に、送電器具33が配置された特定車両設置エリア35となっている。本実施形態では、特定車両設置エリア35は、一か所だけである。
【0032】
給電パレット30は、通常のパレット15に、給電器具31と受電器具32が取り付けられたものである。
受電器具32はコネクター片であり、給電パレット30の後端側の下部に固定されている。
給電器具31はコンセントである。給電器具31は給電パレット30に後端側に設けられた支持箱36に取り付けられている。
給電器具31は、図示しない送電線で受電器具32に接続されている。
【0033】
特定車両設置エリア35では、フレーム2に送電器具33が配置されている。送電器具33は、コネクター片である。本実施形態では、フレーム2の奥側に送電器具33が取り付けられている。送電器具33は、図示しない送電線によって制御装置18に接続されており、制御装置18を経由して商業電源に接続されている。なお、本実施形態では制御装置18が電気自動車Aの充電を制御する給電制御装置を兼用する。
【0034】
また給電制御装置は、電気自動車Aの充電状態を監視することができる。即ち給電制御装置は、電気自動車Aの蓄電池が満充電か否かを検知することができる。また現在の充電量が満充電に対して何パーセントであるかを検知することができる。
本実施形態では、制御装置18が電気自動車Aと通信し、電気自動車A側から充電量に対する情報が制御装置18に送信される。なお蓄電池の端子電圧を監視し、制御装置18単独で充電量を検知してもよい。
本実施形態では、制御装置18を操作して、必要な充電量を指定することができる。例えば、80パーセント充電と言うよう数値を指定して充電を行うこともできる。使用者は、制御装置18を操作して、充電を強制的に終了することもできる
本実施形態では、フレーム2に伸縮部材40が設けられ、当該伸縮部材40に送電器具33が取り付けられている。
【0035】
給電パレット30が、他の車両設置エリア10から特定車両設置エリア35に移動する際や、給電パレット30が、特定車両設置エリア35から他の車両設置エリア10に移動する際には、図3(a)の様に、伸縮部材40が収縮して送電器具33が受電器具32から切り離される。
給電パレット30が特定車両設置エリア35に停止すると、図3(b)の様に、伸縮部材40が自動的に伸長して送電器具33が受電器具32に接続される。
前記した様に、送電器具33が商業電源に接続されているから、送電器具33が受電器具32に接続されると、給電パレット30上の給電器具(コンセント等)31が商用電源と繋がり、給電器具31から例えば200Vや100Vの電力供給を受けることができる。
【0036】
電気自動車Aを充電する場合には、電気自動車Aに付属する車載充電ケーブル42を使用し、当該車載充電ケーブル42で電気自動車Aの充電ポート45と、給電パレット30上の給電器具(コンセント等)31を接続する。
その結果、電気自動車Aに200Vや100Vの電力が供給されて蓄電池が充電される。
【0037】
次に機械式駐車装置1の動作について説明する。なお説明の便宜上、各階の車両設置エリア10を特定するために、車両設置エリア10を地上1階-A、地上1階-B、地上1階-C、地上2階-A、地上2階-B、地上2階-C、地下1階-A、地下1階-B、地下1階-Cの様に表示する(図4参照)。また送電器具33と受電器具32を三角のモデル記号で表示する。
地上1階は、入出庫階であり、本実施形態では、地上1階-Cが特定車両設置エリア35である。
【0038】
本実施形態の機械式駐車装置1は、パズル式の立体駐車場であり、車両設置エリア10が9エリア有るのに対して、パレット15の数が8個であり、常に一つの車両設置エリア10が空き状態となっている。
入出庫の際にパレット15を入出庫階に移動する場合は、パレット移動手段を駆動して移動経路上のパレット15を移動し、移動経路を開いて目的のパレット15を入出庫階5に移動される。
【0039】
一例として、図5(a)の様に、電気自動車Aが地上1階-Cの特定車両設置エリア35に駐車中されていて充電中であり、この状況下にあって、地下1階-Bに収容されている自動車Bを出庫させる場合の動作を説明する。
自動車Bを出庫させるには、当該自動車Bを地上1階Bに移動させる必要がある。図5(a)の状況では、地上1階-Bにはパレット15がある。空き状態の車両設置エリア10は、地上2階-Cである。
【0040】
使用者が、自動車Bが載置された地下1階-Bを指定し、操作スイッチ21の呼び出しスイッチ22をオンすると、制御装置18が経路を演算し、図5(b)から図5(d)までの動作が自動的に実行される。
即ち、図5(b)の様に、地上1階-Cの特定車両設置エリア35にあった給電パレット30が上昇して空きエリアの地上2階-Cに移動し、地上1階-Cが空きエリアになる。
このとき給電パレット30は特定車両設置エリア35を離れ、電気自動車Aに対する充電は中断する。ここで給電制御装置たる制御装置18は、充電が終了しているか否かを記憶する。充電完了であれば充電完了フラグをONとして記憶する。また充電が未完了であれば、充電完了フラグがOFFのままの状態となる。
続いて図5(c)の様に、地上1階-Bの車両設置エリア10にあったパレット15が横行して空きエリアの地上1階-Cに移動し、地上1階-Bが空きエリアになる。
さらに続いて図5(d)の様に、地下1階-Bにあって自動車Bが載置されたパレット15が上昇して空きエリアの地上1階-Bに移動する。即ち自動車Bが載置されたパレット15が、入出庫階5に到達する。
【0041】
この状態で使用者がゲート開閉スイッチ25を操作すると、図5(e)の様に、中央のゲート17bが開き、自動車Bを発進させると、図5(f)の様に地上1階-Bに空のパレット15が残る。
【0042】
この状態で使用者がゲート開閉スイッチ25を操作すると、中央のゲート17bが閉じる。そしてこのとき記憶した充電完了フラグがOFFであれば、地上2階-Cに退避していた給電パレット30が降下して地上1階-Cの特定車両設置エリア35に復帰して充電が再開される。
即ち使用者がゲート開閉スイッチ25を操作すると、図5(h)の様に中央のゲート17bが閉じる。
並行して、制御装置18が給電パレット30の経路を演算し、図5(i)から図5(k)までの動作が自動的に実行される。
【0043】
即ち、図5(i)の様に、地上1階-Bの車両設置エリア10にあったパレット15が降下して空きエリアの地下1階-Bに移動し、地上1階-Bが空きエリアになる。
続いて図5(j)の様に、地上1階-Cの特定車両設置エリア35にあったパレット15が横行して空きエリアの地上1階-Bに移動し、地上1階-Cが空きエリアになる。
さらに続いて図5(k)の様に、地上2階-Cにあって、電気自動車Aが載置された給電パレット30が降下して特定車両設置エリア35に到達する。
給電パレット30が特定車両設置エリア35に到達すると、伸縮部材40が自動的に伸長して送電器具33が受電器具32に接続され、電気自動車Aに対する充電が再開される。このように給電パレット30が地上階GF(入出庫階5)にある特定車両設置エリア35に移動される動作が入出庫階5の空き埋め動作に相当する。
【0044】
本実施形態の機械式駐車装置1によると、自動車を入出庫する際に一次的に充電が中断しても、入出庫が完了すると、自動的に充電が再開する。
【0045】
本実施形態の機械式駐車装置1では、前記した様に、給電パレット30が特定車両設置エリア35を離れる際に、制御装置18が充電が終了しているか否かを記憶し、充電完了であれば充電完了フラグをONとして記憶する。
以下、充電完了フラグがON、OFFされる条件について説明する。
【0046】
充電完了フラグは、例えば次の3条件のいずれかが満足されるとONになる。
(ON条件1)
電気自動車Aから満充電である旨を受信したとき。
前記した様に、制御装置18の給電制御装置は、電気自動車Aの充電状態を監視することができ、蓄電池が満充電に達すると蓄電池に対する給電が自動的に停止する。本実施形態では、満充電となった旨の情報が電気自動車Aから制御装置18に送信される。制御装置18は、電気自動車Aから満充電である旨を受信すると、充電完了フラグがONになる。
【0047】
(ON条件2)
所定の充電量に達したとき。
前記した様に、使用者は制御装置を操作して、必要な充電量を指定することができる。使用者が指定した充電量に達すると、蓄電池に対する給電が自動的に停止する。本実施形態では、所定の充電量に達すると充電完了フラグがONになる。
【0048】
(ON条件3)
充電ケーブル42が取り外されたとき。
使用者やその他の人によって、充電ケーブル42が外される場合がある。制御装置18
は、充電ケーブル42の着脱状態を監視しており、充電ケーブル42が外されると、意図的に充電を停止したものと判断して充電完了フラグをONにする。
【0049】
(ON条件4)
制御装置18に充電終了指示があったとき。
前記した様に、使用者は、制御装置18を操作して、充電を強制的に終了することができる。この場合についても充電完了フラグをONにする。
【0050】
前記したON条件が成立し、一旦充電完了フラグをONとなった場合でも、例えば次の、OFFの条件を満足すると、フラグがOFFに戻る。
(OFF条件1)
充電ケーブル42が接続されたとき。
前記した様に、充電ケーブル42が取り外されると、充電完了フラグがONになるが、再接続されると、フラグがOFFに戻る。
【0051】
(OFF条件2)
制御装置18に充電開始または再開指示がなされたとき。
前記した様に、制御装置18に充電終了指示があると充電完了フラグがONになるが、制御装置18に充電開始または再開指示がなされるとフラグがOFFに戻る。
また新たに充電開始の指示があった場合も、フラグがOFFに戻る。
【0052】
また本実施形態の機械式駐車装置1では、入出庫階にパレット15、30が滞在する機会が多いので、人がゲート17を潜り抜けて機械式駐車装置1に入ったとしても、地下に落下することがない。
【0053】
以上説明した実施形態では、入出庫階に特定車両設置エリア35を設定したが、他の階に特定車両設置エリア35を設定してもよい。
図6は、本発明の第2実施形態の機械式駐車装置50であり、地上2階-Cが特定車両設置エリア35となっている。
図6は、空の給電パレット30を呼び出して、電気自動車Aを載置し、機械式駐車装置50に収容する際の一連の動作を示すものである。
【0054】
電気自動車Aを入庫して充電するには、地上2階-Cの特定車両設置エリア35にある給電パレット30を地上1階-Cに移動させる必要がある。図6(a)の状況では、地上1階-Cにパレット15がある。空き状態の車両設置エリア10は、地上1階-Bである。
【0055】
使用者が、車両設置エリア10となっている地上2階-Cを指定し、操作スイッチ21の呼び出しスイッチ22をオンすると、制御装置18が経路を演算し、図6(b)、図6(c)の動作が自動的に実行される。
即ち、図6(b)の様に、地上1階-Cの特定車両設置エリア35にあったパレット15が横行して空きエリアの地上1階-Bに移動し、地上1階-Cが空きエリアになる。
続いて図6(c)の様に、地上2階-Cの特定車両設置エリア35にある給電パレット30が降下して空きエリアの地上1階-Cに移動する。即ち空の給電パレット30が、入出庫階5に到達する。
【0056】
この状態で、使用者がゲート開閉スイッチ25を操作すると、図6(d)の様に、右端ゲート17cが開き、地上1階-Cの前が解放さる。
使用者は、この状態で電気自動車Aを走行させ、図6(f)の様に、地上1階-Cにある給電パレット30に電気自動車Aを載せる。そして使用者は、充電ケーブル42により充電ポート45と給電器具31とを接続する。
【0057】
この状態で使用者がゲート開閉スイッチ25を操作すると、図6(g)の様に、ゲート17cが閉じる。
そして、制御装置18に記憶された充電完了フラグは前回の電気自動車Aの出庫時にOFFに記憶し直されてあるため、図6(h)の様に、地上1階-Cに移動していた給電パレット30が、地上2階-Cの特定車両設置エリア35に復帰する。その結果、給電パレット30の受電器具32が送電器具33に接続され、電気自動車Aに対する充電が開始される。
【0058】
なおその後、自動的に空き埋め動作が実施され、図6(i)の様に、地下1階-Cのパレット15が上昇し、地上1階-Cに至る。その結果、入出庫階の車両設置エリア10の全てにパレット15が配置される。
【0059】
以上説明した実施形態の機械式駐車装置1、50は、いずれも地下1階、地上2階の3階建構造であり、各階に車両設置エリア10が3エリアずつあるものであるが、階数や、各階の車両設置エリア10の数は任意である。
また以上説明した実施形態の機械式駐車装置1、50では、特定車両設置エリア35及び給電パレット30の数が、それぞれ一個ずつであるが、これらの数についても任意である。また、特定車両設置エリア35の個数と給電パレット30の個数が違っていてもよい。
【0060】
例えば図7図8に示す機械式駐車装置51は、地下2階、地上3階の5階建構造であり、この様な構造のものに本発明を適用することもできる。
本実施形態の機械式駐車装置51では、同じ列の地下の2階部分が連動して昇降する。3階部分は地上階GFでありパレットは横行のみ可能である。4階のパレットは横行と昇降のいずれもの動作が可能であり、5階(最上階)のパレットは、昇降のみ可能である。例えば、地下2階-Bの車両設置エリア10からパレット15を入出庫階に移動させる場合には、図7(b)の様に、地上1階-Bの車両設置エリア10にあるパレット15と、地上2階-Bの車両設置エリア10にあるパレット15を横行してそれぞれ地上1階-C、地上2階-Cに移動し、地上1階-Bと地上2階-Bを空き状態とする。
続いて、図7(c)の様に、地下であって、B列の地下1階-Bと地下2階-Bのパレット15を地上階GFに上昇させて、地下2階-Bの車両設置エリア10からパレット15を入出庫階に移動させる。
【0061】
図8は、機械式駐車装置51において、空き埋め動作として例えば、地上3階-Bの車両設置エリア10からパレット15を入出庫階に移動させる場合の動作を説明するものである。
その場合には、図8(b)の様に、地上1階-Bの車両設置エリア10にあるパレット15と、地上2階-Bの車両設置エリア10にあるパレット15をそれぞれ地上1階-C、地上2階-Cに移動して、地上1階-Bと地上2階-Bを空き状態とする。
続いて図8(c)の様に、地上3階-Bの車両設置エリア10からパレット15を入出庫階に降下させる。これにより給電パレット30を商用電源に接続しつつ、地上階GF(入出庫階5)の区画の全てにパレットを配置することができる。
【0062】
以上説明した機械式駐車装置は、車載充電ケーブル42を使用して電気自動車Aを充電することを前提としたものであり、給電器具31は、商用電源と繋がったコンセント等である。
電気自動車への給電には、普通充電器や急速充電器を使用する方法もあり、本発明はこのような充電器を使用するものにも対応することができる。
この場合は、普通充電器や急速充電器を給電器具として使用する。即ち普通充電器や急速充電器をパレットに搭載する。充電器は、受電器具32に接続される。
【0063】
以上説明した機械式駐車装置は、空きエリアが一つだけであり、全てのパレットを上下左右に移動することができるものであるが、各縦列に一つずつ空きエリアが存在する構造の機械式駐車装置に本発明を採用することもできる。
【0064】
以上説明した実施形態では伸縮部材40に送電器具33が取り付けられており、伸縮部材40を伸縮させて送電器具33と受電器具32を断続したが、送電器具33と受電器具32を断続する断続機構は、この構成に限定されるものでない。例えば、給電パレット30が移動することによって送電器具33と受電器具32を断続するものであってもよい。 即ち、昇降パレットが上昇もしくは下降する動作に伴い送電器具33に受電器具32が断続したり、横行パレットが左もしくは右への横行の動作に伴い送電器具33に受電器具32が断続するものであってもよい。
【0065】
電気自動車Aの充電を制御する給電制御装置を機械式駐車装置1の制御装置18が兼用したが、給電制御装置は制御装置18とは別の専用の制御装置を備えてもよい。この場合、専用の給電制御装置は電気自動車Aの充電を制御し、その状況を制御装置18に送信して制御装置18が充電状況から他のパレット15への入出庫後(ゲート17の閉鎖後)に空き埋め動作を実行するか否かを判断してもよく、専用の給電制御装置が充電状況から空き埋め動作を実施要否を判断して、制御装置18に指示を出してもよい。
また、駐車装置1、50、51をネットワークに接続し、ネットワークに接続された制御装置、例えば充電管理サーバが充電や空き埋め動作の実施要否を判断して制御装置18に指示を出してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、50、51 機械式駐車装置(駐車装置)
5 入出庫階
10 車両設置エリア
15 パレット
30 給電パレット
31 給電器具
32 受電器具
33 送電器具
35 特定車両設置エリア
42 車載充電ケーブル
A 電気自動車
B 自動車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8