(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005498
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
F24H9/02 301J
F24H9/02 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105676
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 由記
(72)【発明者】
【氏名】樫原 康司
【テーマコード(参考)】
3L037
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB01
3L037AB04
3L037AC01
3L037AC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケースに収容された電気部品が雨水によって被水しないように構成した給湯装置を提供すること。
【解決手段】排気筒を挿通させる開口部(12)及びこの開口部よりも下方に給気口を有するフロントパネル(11)を備えた箱状のケース内に、燃焼部とこの燃焼部の燃焼制御を行う制御部が収容され、燃焼部で発生させた燃焼熱を利用して上水を加熱して給湯する給湯装置において、フロントパネルの後面には、給気口からケース内への雨水の浸入を防ぐ防雨板(13)が装備されて、フロントパネルと防雨板の間に給気通路(14)が形成され、防雨板は、開口部から浸入する雨水を受け止めて給気通路へ流下させるために、開口部よりも下方の給気通路の出口に形成された雨水導入部(15)を有し、雨水導入部は、出口を形成する防雨板の上端部分をフロントパネルから離隔させて膨出状に形成された。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気筒を挿通させる開口部及びこの開口部よりも下方に給気口を有するフロントパネルを備えた箱状のケース内に、燃焼部とこの燃焼部の燃焼制御を行う制御部が収容され、前記燃焼部で発生させた燃焼熱を利用して上水を加熱して給湯する給湯装置において、
前記フロントパネルの後面には、前記給気口から前記ケース内への雨水の浸入を防ぐ防雨板が装備されて、前記フロントパネルと前記防雨板の間に給気通路が形成され、
前記防雨板は、前記開口部から浸入する雨水を受け止めて前記給気通路へ流下させるために、前記開口部よりも下方の前記給気通路の出口に形成された雨水導入部を有し、
前記雨水導入部は、前記出口を形成する前記防雨板の上端部分を前記フロントパネルから離隔させて膨出状に形成されたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記雨水導入部は、前記開口部からの雨水を前記給気通路に誘導するために、前記上端部分から後方且つ斜め上方に向かって延びる第1誘導部を有することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記雨水導入部は、前記防雨板の後面を伝って流下する雨水を前記給気通路に誘導するために、前記防雨板に形成された水平方向に延びるスリットと、このスリットの下縁部分を前記防雨板の後方且つ斜め上方に向かって延びるように起こして形成された第2誘導部を有することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記雨水導入部よりも下方に配設され、
前記防雨板は、前記制御部に対応する部分に前記制御部の冷却用空気を通す通気口を有すると共に、前記雨水導入部と前記通気口の間に、前記給気通路に導入された雨水を前記通気口の左右に遠ざけるように誘導する浸入防止部であって、前記防雨板を前記フロントパネルに向けて突出させて形成された浸入防止部を有することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱状のケース内に燃焼部とこの燃焼部の燃焼制御を行う制御部とが収容され、燃焼部で発生させた燃焼熱を利用して給湯する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば燃料ガスを燃焼部で燃焼させて燃焼熱を発生させ、この燃焼熱を利用して加熱した湯水を給湯する燃焼式の給湯装置が広く利用されている。給湯装置は、例えば特許文献1,2のように、箱状のケース内に、バーナと、バーナに燃焼用の空気を送る送風ファンと、バーナに供給する燃料を調整する燃料供給部と、燃焼熱を利用して上水を加熱する熱交換器と、燃焼部の燃焼制御を行う制御部等が収容されて形成されている。
【0003】
給湯装置は屋外に設置される場合が多いので、箱状のケースに収容された送風ファンや制御部のような被水による故障や誤作動の虞がある電気部品は、このケースよって降雨時に被水しないように保護されている。ケースは、例えばその内部の機器類のメンテナンスの際に開放できるように、着脱可能なフロントパネルを有する。フロントパネルには、ケース外から送風ファンに空気を供給するための複数の給気口が設けられている。
【0004】
降雨時にフロントパネルの給気口からケース内に導入される空気と一緒に雨水が浸入して、ケース内の電気部品が被水しないように、フロントパネルの後面には防雨板が装備されている。防雨板は、給気口から導入された空気の流動方向を変更させて、空気と共に入り込む雨水を受け止め、落下させる。また、防雨板は、フロントパネルとの間の給気通路に、給気口からの空気を上方に流動させてケース内に導く。これにより、給気口から入り込む雨水は、防雨板を超えてケース内に浸入することなくケース外に排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-329356号公報
【特許文献2】特開2020-16382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給湯装置は、熱交換器で熱交換されて温度が下がった燃焼排気を外部に排出するための排気筒を有する。この排気筒は、ケースのフロントパネルに設けられた開口部に挿通されている。排気筒は、高い位置から排出して給湯装置の前方にいる人に燃焼排気が当たり難くなるようにするために給湯装置の上段部に配設されている。それ故、フロントパネルの開口部は、給気通路の上端よりも上方のフロントパネルの上段部に形成されている。この開口部と排気筒との間には、組み立て誤差を許容するために隙間があるため、この開口部から雨水が防雨板を超えてケース内に浸入し、電気部品が被水する場合がある。
【0007】
一方、制御部は、燃焼熱の影響を受け難いケース下部に、防雨板に近接するように配設される。この制御部は通電状態で発熱するので、冷却用の空気が吸気通路から供給されるように、防雨板の制御部に対応する部分に通気口が設けられる。しかし、降雨時にはこの通気口を介して雨水が制御部に到達し、制御部が被水する虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、ケースに収容された電気部品が雨水によって被水しないように構成された給湯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の給湯装置は、排気筒を挿通させる開口部及びこの開口部よりも下方に給気口を有するフロントパネルを備えた箱状のケース内に、燃焼部とこの燃焼部の燃焼制御を行う制御部が収容され、前記燃焼部で発生させた燃焼熱を利用して上水を加熱して給湯する給湯装置において、前記フロントパネルの後面には、前記給気口から前記ケース内への雨水の浸入を防ぐ防雨板が装備されて、前記フロントパネルと前記防雨板の間に給気通路が形成され、前記防雨板は、前記開口部から浸入する雨水を受け止めて前記給気通路へ流下させるために、前記開口部よりも下方の前記給気通路の出口に形成された雨水導入部を有し、前記雨水導入部は、前記出口を形成する前記防雨板の上端部分を前記フロントパネルから離隔させて膨出状に形成されたことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、箱状のケースに燃焼部と制御部が収容されて形成された給湯装置は、そのケースのフロントパネルに排気筒を挿通させるための開口部と、この開口部よりも下方に給気口を有する。そして、給気口からの雨水の浸入を防ぐ防雨板がフロントパネルの後面に装備されて、フロントパネルと防雨板の間に給気通路が形成されいる。その上、フロントパネルの開口部よりも下方の給気通路の出口を形成する防雨板の上端部分を、フロントパネルから離隔させることにより、膨出状の雨水導入部が形成されている。これにより、給気口からの雨水の浸入を防雨板で防ぐと共に、フロントパネルの開口部から浸入した雨水を、雨水導入部で受けて給気通路へ流下させることができる。従って、ケース内の電気部品が被水しないようにすることができる。
【0011】
請求項2の発明の給湯装置は、請求項1の発明において、前記開口部からの雨水を前記給気通路に誘導するために、前記上端部分から後方且つ斜め上方に向かって延びる第1誘導部を有することを特徴としている。
上記構成によれば、雨水導入部の上端部分には、後方且つ斜め上方に向かって延びる第1誘導部が形成されている。この第1誘導部によって、フロントパネルの開口部から浸入する雨水を一層多く給気通路に誘導することができ、ケース内の電気部品が被水しないようにすることができる。
【0012】
請求項3の発明の給湯装置は、請求項1の発明において、前記雨水導入部は、前記防雨板の後面を伝って流下する雨水を前記給気通路に誘導するために、前記防雨板に形成された水平方向に延びるスリットと、このスリットの下縁部分を前記防雨板の後方且つ斜め上方に向かって延びるように起こして形成された第2誘導部を有することを特徴としている。
上記構成によれば、雨水導入部は、防雨板に水平方向に延びるように形成されたスリットの下縁部分が後方に張り出すように形成された第2誘導部を有する。フロントパネルの開口部から浸入して雨水導入部の上端に到達し、防雨板の後面を伝って流下する雨水が、この第2誘導部によって誘導され、スリットから給気通路に導入される。従って、フロントパネルの開口部から浸入する雨水を一層多く給気通路に誘導することができ、ケース内の電気部品が被水しないようにすることができる。
【0013】
請求項4の発明の給湯装置は、請求項1の発明において、前記制御部は、前記雨水導入部よりも下方に配設され、前記防雨板は、前記制御部に対応する部分に前記制御部の冷却用空気を通す通気口を有すると共に、前記雨水導入部と前記通気口の間に、前記給気通路に導入された雨水を前記通気口の左右に遠ざけるように誘導する浸入防止部であって、前記防雨板を前記フロントパネルに向けて突出させて形成された浸入防止部を有することを特徴としている。
上記構成によれば、防雨板の制御部に対応する部分に形成された冷却用空気の通気口と雨水導入部との間に、通気口からの雨水の浸入を防止するための浸入防止部を有する。浸入防止部は、防雨板をフロントパネルに向けて突出させて形成され、フロントパネルと防雨板の間に導入された雨水を通気口の左右に遠ざけるように誘導する。雨水導入部によってフロントパネルと防雨板の間を、防雨板を伝って流下する雨水が増加するが、この雨水は通気口の上方の浸入防止部によって通気口から遠ざかるように誘導され、通気口の左方又は右方を流下する。従って、防雨板を伝ってフロントパネルとの間を流下する雨水が通気口に到達することがなく、通気口を介して制御部が被水することを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の給湯装置によれば、ケースに収容された電気部品の雨水による被水を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係る給湯装置の構成を示す図である。
【
図2】
図1の給湯装置のケースの外観斜視図である。
【
図3】
図2のケースのフロントパネルの後面側を示す斜視図である。
【
図4】
図3の給気通路の出口を含む要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0017】
図1に示すように、給湯装置1は、箱状のケース10内に燃焼部2と、燃焼部2の燃焼制御を行う制御部7等が収容されて構成されている。燃焼部2は、燃料を燃焼させるバーナ2aと、バーナ2aに燃料を供給する燃料供給部2bと、バーナ2aに燃焼用の空気を供給する送風ファン2cと、放電を利用してバーナ2aに点火する点火装置2dを有する。この燃焼部2で発生させた燃焼ガスの熱(燃焼熱)を利用して上水を加熱する熱交換器3には、給水通路4から上水が供給される。熱交換器3で加熱された湯水は、出湯通路5に出湯される。熱交換器3で上水の加熱に利用された燃焼ガス(燃焼排気)は、排気筒6を介して外部に排出される。
【0018】
給水通路4には、熱交換器3への上水の供給流量を検知する給水流量センサ4aと、上水の温度を検知する給水温度センサ4bと、これらの上流側の分配弁4cとが配設されている。分配弁4cにおいて給水通路4から分岐されたバイパス通路8は、出湯通路5に接続されている。出湯通路5のバイパス通路8との接続部よりも下流側には、給湯流量を調整する給湯流量調整弁5aと、給湯温度を検知する給湯温度センサ5bが配設されている。
【0019】
制御部7は、給水流量センサ4aの検知流量と給水温度センサ4bの検知温度に基づいて、給湯設定温度での給湯に必要となる熱量(必要熱量)を設定する。そして、必要熱量を発生させるために、燃料供給部2bの燃料ガスの供給と送風ファン2cの空気の供給を制御して燃焼制御を行う。
【0020】
また、制御部7は、熱交換器3で加熱された湯水とバイパス通路8からの上水との混合によって給湯温度センサ5bの検知温度、即ち給湯する湯水の温度が給湯設定温度となるように給湯制御を行う。給湯制御では、分配弁4cの調整によってバイパス通路8と熱交換器3への上水の分配比を調整し、例えば高温の給湯のために必要がある場合には給湯流量調整弁5aによって流量調整を行う。
【0021】
給湯装置1は、不図示の浴槽の湯水を循環させるための追い焚き通路21とふろポンプ22と、追い焚き通路21を流動する湯水を加熱するためのふろ熱交換器23を有する。ふろ熱交換器23は、燃焼部2の追い焚きバーナ2eで発生させた燃焼熱を利用して浴槽の湯水を加熱する。制御部7は、ふろポンプ22を駆動し、放電を利用する点火装置2fを作動させて追い焚きバーナ2eに点火して燃焼させ、追い焚きを行う。
【0022】
給湯流量調整弁5aにおいて出湯通路5から分岐された注湯通路24は、追い焚き通路21に接続されている。注湯通路24には注湯弁25と注湯流量センサ26と、浴槽の水位を検知する水位センサ27が配設されている。制御部7は、注湯弁25を開け、出湯通路5から供給される温度調整された湯水を、注湯通路24及び追い焚き通路21を介して浴槽に湯張りし、予め設定された量(水位)の湯張りが完了すると注湯弁25を閉じる。
【0023】
熱交換器3及びふろ熱交換器23は、燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器と燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器を夫々有する。燃焼ガスに含まれる水分が二次熱交換器において凝縮した酸性のドレン水は、中和剤が収容されている中和器28に集められて中和され、排水される。
【0024】
図2に示すように、箱状のケース10は、着脱可能なフロントパネル11を有する。図中の矢印U、矢印F、矢印Lは、給湯装置1(ケース10)の上方(U)、前方(F)、左方(L)を夫々示す。このフロントパネル11は前方膨出状に形成され、その上段部には排気筒6を挿通させる開口部12が形成されている。また、フロントパネル11の開口部12よりも下方には、フロントパネル11の前方及び側方から空気をケース10内に供給するために、複数の給気口11aが形成されている。尚、図示を省略するが、フロントパネル11には、下方から空気を取り込む給気口が形成されている。
【0025】
図3に示すように、ケース10の内側となるフロントパネル11の後面には、フロントパネル11と略同じ大きさの防雨板13であって、開口部12を避けるように上部が切り欠かれた防雨板13が装着されている。防雨板13は、その切り欠きの左右縁部と、防雨板13の左右端部及び下端部が、フロントパネル11に固定されている。切欠きの左右部分を接続する補強部が、開口部12の下方でフロントパネル11に固定されていてもよい。防雨板13は、ケース10内の燃焼部2のような機器類及び配管類との干渉を避けるために、その大部分を前方のフロントパネル11に近づくように突出させている。
【0026】
フロントパネル11と防雨板13の間には、複数の給気口11aからの空気が通る給気通路14が形成されている。開口部12の下方には、防雨板13のフロントパネル11から離隔させた上端部分によって、給気通路14の出口が形成されている。給気口11aから導入された空気は、防雨板13によって流動方向が変更され、給気通路14を上方に流動して、給気通路14の出口からケース10内に到達する。給気通路14の出口よりも上方にある給気口11aからの空気は、防雨板13によって下方に流動してから向きを変え上方に流動して給気通路14の出口に到達する。尚、一部の空気は、開口部12の左右において上下に延びるフロントパネル11と防雨板13の間のスペースを上昇してケース10内に到達する。
【0027】
防雨板13は、給気口11aから導入される空気と共に給気通路14に入り込む雨水を受け止めて落下させ、フロントパネル11の下端に設けられている図示外の給気口に誘導して排水する。水は空気よりも重いため、給気口11aから入り込んだ雨水が給気通路14を上方に移動して防雨板13を超えてケース10内に到達することは困難である。
【0028】
また、防雨板13は、開口部12から浸入した雨水を、フロントパネル11との間の給気通路14に導入し、流下させて排水する。そのため開口部12よりも下方の給気通路14の出口に、雨水導入部15を有する。雨水導入部15は、給気通路14の出口を形成する防雨板13の上端部分を、フロントパネル11に向かって突出させずに又は突出量を小さくして、フロントパネル11から離隔させることにより後方膨出状に形成されている。この雨水導入部15は、ケース10内の機器類や配管類に干渉しないように、左右方向において、フロントパネル11からの離隔距離が大きい部分と小さい部分の2段形状になっている。
【0029】
雨水導入部15の離隔距離が大きい部分には、防雨板13とフロントパネル11との間に雨水を誘導するための第1誘導部16を有する。
図4に示すように、第1誘導部16は、雨水導入部15の離隔距離が大きい部分の上端部分が後方且つ斜め上方に向かって延びるように形成され、雨水導入部15よりもケース10の内方(後方)に延びている。尚、第1誘導部16がケース10内の機器類や配管類と干渉する場合には、第1誘導部16が部分的に形成されてもよく、第1誘導部16が形成されなくてもよい。
【0030】
雨水導入部15の離隔距離が小さい部分は、例えば水配管のような被水しても問題にならない部材との干渉を避けている。しかし、フロントパネル11からの離隔距離が小さいため、開口部12から浸入した雨水の一部が給気通路14へ誘導されず、防雨板13の後面を伝って流下する。この雨水を給気通路14に導入するために、雨水導入部15はケース10内の機器類や配管類と干渉しない上端よりも下方に、第2誘導部17とスリット18を有する。
【0031】
第2誘導部17は、雨水導入部15の離隔距離が小さい部分に水平方向に形成したスリット18の下縁部分を、後方且つ斜め上方に向かって延びるように起こして、防雨板13の後方に張り出すように形成されている。防雨板13の後面を伝って流下する雨水は、このスリット18の上端部分から落下して、第2誘導部17によりスリット18を介して防雨板13とフロントパネル11の間の給気通路14へ誘導される。尚、第2誘導部17がケース10内の機器類や配管類と干渉する場合には、第2誘導部17が部分的に形成されてもよく、第2誘導部17が形成されなくてもよい。また、ケース10内の機器等と干渉しなければ、雨水導入部15の離隔距離が大きい部分において第2誘導部17が形成されてもよく、雨水導入部15の離隔距離が小さい部分において第1誘導部16が形成されてもよい。
【0032】
ケース10に収容された機器類である燃料供給部2b、送風ファン2c、点火装置2d、給水流量センサ4aのようなセンサ類、分配弁4cのような弁類、ふろポンプ22は、電力により作動する電気部品であり、これらを制御する制御部7も電気部品である。制御部7は通電中には発熱するので、その冷却のために給気通路14からの空気を通す複数の通気口13aが、
図3及び
図5に示すように防雨板13の雨水導入部15よりも下方の制御部7に対応する部分に形成されている。制御部7は、燃焼部2の熱及び排気筒6の熱の影響を受け難いケース10内の下段にフロントパネル11に近接するように配設され、給気口11aから導入されて通気口13aを介して供給される空気によって冷却される。
【0033】
降雨時には、雨水導入部15によって、防雨板13とフロントパネル11の間の給気通路14を流下する雨水が増加する。雨水導入部15が第1誘導部16と第2誘導部17のうちの一方又は両方を備えている場合には、給気通路14を流下する雨水がさらに増加する。この雨水が複数の通気口13aを介してケース10内に浸入して制御部7が被水しないように、防雨板13はこれら通気口13aと雨水導入部15の間に浸入防止部19を有する。
【0034】
浸入防止部19は、防雨板13をフロントパネル11に向けて給気通路14内に突出させて形成された庇であり、防雨板13のフロントパネル11側を伝って給気通路14内を流下する雨水を、通気口13aから遠ざけるように左右方向に誘導する傘形状に形成されている。防雨板13を伝って流下し浸入防止部19に到達した雨水は、複数の通気口13aの右方又は左方を流下するように誘導されるので、これら通気口13aには雨水が到達しない。
【0035】
送風ファン2cの非作動時には、制御部7の熱でその周囲の空気が温められて上方に流動し、複数の通気口13aを介して給気通路14から空気が制御部7の周囲に供給される。送風ファン2cの作動時には複数の通気口13aを介して供給される空気が増加する。複数の通気口13aには、浸入防止部19によって降雨時に雨水が到達しないので、送風ファン2cの作動状態によらず通気口13aからの雨水によって制御部7が被水することが防止される。
【0036】
上記の給湯装置1の作用、効果について説明する。
箱状のケース10に燃焼部2と制御部7が収容されて形成された給湯装置1は、そのケース10のフロントパネル11に排気筒6を挿通させるための開口部12及び給気口11aを有する。そして給気口11aからの雨水の浸入を防ぐ防雨板13が、フロントパネル11の後面に装備され、フロントパネル11と防雨板13の間に給気通路14が形成されている。
【0037】
防雨板13は、フロントパネル11の開口部12よりも下方の給気通路14の出口を形成する防雨板13の上端部分に、フロントパネル11から離隔させて形成された膨出状の雨水導入部15を有する。これにより、給気口11aからの雨水の浸入を防雨板13で防ぐと共に、フロントパネル11の開口部12から浸入した雨水を、雨水導入部15で受けて給気通路14へ流下させることができる。従って、ケース10内の例えば制御部7のような電気部品が被水しないようにすることができる。
【0038】
雨水導入部15の上端部分には、後方且つ斜め上方に向かって延びる第1誘導部16が形成されている。この第1誘導部16によって、フロントパネル11の開口部12から浸入する雨水を一層多く給気通路14へ誘導することができ、ケース10内の電気部品が被水しないようにすることができる。
【0039】
雨水導入部15は、防雨板13に水平方向に延びるように形成されたスリット18の下縁部分が後方に張り出すように形成された第2誘導部17を有する。フロントパネル11の開口部12から浸入して雨水導入部15の上端に到達し、防雨板13の後面を伝って流下する雨水が、第2誘導部17によって誘導され、スリット18から給気通路14に導入される。従って、フロントパネル11の開口部12から浸入する雨水を一層多く給気通路14へ誘導することができ、ケース10内の電気部品が被水しないようにすることができる。
【0040】
防雨板13は、制御部7に対応する部分に形成された冷却用空気の通気口13aと雨水導入部15との間に、通気口13aからの雨水の浸入を防止するための浸入防止部19を有する。浸入防止部19は、防雨板13をフロントパネル11に向けて突出させて形成され、給気通路14に導入されて防雨板13を伝って流下する雨水を通気口13aの左右に遠ざけるように誘導する。雨水導入部15によって防雨板13を伝って給気通路14を流下する雨水が増加するが、この雨水は通気口13aの上方の浸入防止部19によって通気口13aから遠ざかるように誘導され、通気口13aの左方又は右方を流下する。従って、防雨板13を伝ってフロントパネル11との間を流下する雨水が通気口13aに到達することがなく、通気口13aを介して制御部7が被水することを防止できる。
【0041】
雨水導入部15は、ケース10内の機器類と干渉しないように防雨板13を後方(ケース10の内方)に突出させて形成されてもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。