IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シチズン・システムズ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005504
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/52 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
B65H3/52 330F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105686
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井ノ口 豊
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB04
3F343FC01
3F343GA03
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD09
3F343KB05
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC06
(57)【要約】
【課題】プリンタの本体に対する用紙トレイの差し込み深さの許容範囲におけるリタードローラの揺動によって、用紙の繰り出し方向が、大きく変動しないようにする。
【解決手段】プリンタ100は、本体に固定されたピックアップローラ81及びフィードローラ82と着脱可能に装着される用紙トレイ20とを備え、用紙トレイ20が装着された状態でフィードローラ82に接触し、収容された用紙Sをフィードローラ82とで挟んで搬送するリタードロータ84を有し、リタードローラ84は、用紙トレイ20の前部の下部に固定された基部材84dとフィードローラ82に接触するローラ部材84bと上端部においてローラ部材84bを回転自在に支持し、かつ、下端部が基部材84dに対して前後に回転可能に設けられ、高さ方向Hに延びた姿勢で配置され、ローラ部材84bがフィードローラ82により押圧されて、前方に揺動する揺動アーム部材84aとを有する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタの本体に固定されたフィードローラと、
前記プリンタの本体に対して着脱可能に装着される、多数の枚葉紙を収容した用紙トレイと、を備え、
前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記フィードローラに接触し、前記用紙トレイに収容された前記用紙を前記フィードローラとで挟んで搬送するリタードローラを有し、
前記リタードローラは、前記用紙トレイの前部の下部に固定された基部材と、前記フィードローラに接触するローラ部材と、上端部において前記ローラ部材を回転自在に支持し、かつ、下端部が前記基部材に対して前後に回転可能に設けられ、高さ方向に延びた姿勢で配置され、前記ローラ部材が前記フィードローラに当接すると、前方に揺動する揺動アーム部材と、を有するプリンタ。
【請求項2】
前記揺動アーム部材を、前記回転可能の範囲の後方に押圧し、前記ローラ部材が前記フィードローラから前方に押圧されて、前記回転可能の範囲の前方に揺動可能とするコイルバネを備えた、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記ローラ部材は、前記用紙を逆方向に送るときの逆転方向における逆方向へのトルクが、前記用紙を順方向に送るときの正転方向における逆方向へのトルクより小さく設定されている、請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記リタードローラは、前記用紙トレイの前部における、後ろ下がりの傾斜を有する傾斜板に形成された開口を通じて、前記フィードローラと接触している、請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記プリンタの本体に設けられ、前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記用紙トレイの前上方に配置される用紙ガイドを備え、
前記用紙トレイの傾斜板の幅方向の一部が、前記傾斜板の面よりも、前下方にえぐれて凹部を形成し、
前記用紙ガイドの下端部のうち、前記傾斜板に形成された前記凹部に対応する部分が、前記用紙ガイドの下端縁よりも下方に突出した突出片として形成され、
前記突出片が前記凹部に突入した状態である、請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記用紙トレイの前記傾斜板は、幅方向Wの両側部に近い範囲が、両側縁に近づくにしたがって、前記傾斜板の面に対して前下方に向けて連続的に深くなるえぐれ面に形成され、
前記用紙ガイドの後端部も、前記傾斜板の前記えぐれ面と同様に、幅方向Wの両側部に近い範囲が、前記両側縁に近づくにしたがって、前下方に向けて連続的に深くなるえぐれ面に形成されている、請求項5に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、本体に対して引き出し式の用紙トレイを備えている。用紙トレイは、所定の大きさに切断された枚葉紙(以下、用紙という。)を多数重ねて収容している。プリンタの本体は、用紙トレイに収容された多数の用紙のうち、最も上に重ねられた用紙に接して回転することで、その用紙を給紙路に送り出すピックアップローラとフィードローラを備えている。
【0003】
ここで、ピックアップローラとフィードローラで用紙を送り出すとき、その最上の用紙の直下に重ねられている2枚目の用紙(最上の用紙の次に配置された用紙)が、静電気等によって、最上の用紙に重なった状態で最上の用紙とともに送り出される重送が生じることがある。重送が生じると、その後の用紙の経路上で用紙詰まりが発生したり、プリント部でのプリントのずれが生じたりする恐れがある。
【0004】
そこで、重送を解消するために、フィードローラと対向して接するリタードローラを配置し、用紙を、フィードローラとリタードローラとで挟んで送ることが行われている。この場合、フィードローラに接した最上の用紙には、フィードローラのトルクが付与されるため、最上の用紙は送られる。リタードローラには、フィードローラの送り方向とは反対向きのトルクが掛けられているため、最上の用紙に重なって進行した2枚目の用紙は、リタードローラのトルクによって停止し、最上の用紙から分離され、重送が解消される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6035312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、フィードローラとリタードローラとが接触する圧力を予め定めた一定の範囲にする必要があるが、フィードローラをプリンタの本体に設け、リタードローラを用紙トレイに設けたプリンタでは、本体に対する用紙トレイの差し込み深さに応じて、フィードローラとリタードローラとが接触する圧力が変動することになり、本体に対する用紙トレイの差し込み深さは一定であることが望ましい。
【0007】
しかし、プリンタの製造上の誤差やプリンタの取り扱いの便宜により、本体に対する用紙トレイの差し込み深さが多少変動しても、プリンタは正常に動作する。つまり、プリンタは、本体に対する用紙トレイの差し込み深さが少ない状態であっても、その少ない深さが一定の範囲であれば、規定の差し込み深さの場合と同様に、プリンタは正常に動作する。
【0008】
このため、リタードローラは、フィードローラと接触する位置が変化して、揺動する角度が変化しても、接触圧力が大きく変動しないように構成される。しかも、プリンタは、本体に対する用紙トレイの差し込み深さの許容範囲(プリンタが正常に動作する範囲)におけるリタードローラの揺動によって、フィードローラとリタードローラとが接触する位置での共通接線の向きが、大きく変動しないことが求められる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本体に対する用紙トレイの差し込み深さの許容範囲におけるリタードローラの揺動によって、フィードローラとリタードローラとの共通接線の向きが、大きく変動しないプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、プリンタの本体に固定されたフィードローラと、前記プリンタの本体に対して着脱可能に装着される、多数の枚葉紙を収容した用紙トレイと、を備え、前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記フィードローラに接触し、前記用紙トレイに収容された前記用紙を前記フィードローラとで挟んで搬送するリタードロータを有し、前記リタードローラは、前記用紙トレイの前部の下部に固定された基部材と、前記フィードローラに接触するローラ部材と、上端部において前記ローラ部材を回転自在に支持し、かつ、下端部が前記基部材に対して前後に回転可能に設けられ、高さ方向に延びた姿勢で配置され、前記ローラ部材が前記フィードローラに当接すると、前方に揺動する揺動アーム部材と、を有するプリンタである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るプリンタは、本体に対する用紙トレイの差し込み深さの許容範囲におけるリタードローラの揺動によって、フィードローラとリタードローラとの共通接線の向きが、大きく変動するのを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】昇華型サーマルプリンタ(以下、プリンタという。)の幅方向Wの中心を通り、前後方向Lに沿った鉛直面による断面図である。
図2】用紙トレイを示す斜視図である。
図3図1を簡略化して模式的に表現した図である。
図4A】ピックアップローラ及びフィードローラとリタードローラの構造及び作用を説明するための、図1相当の一部断面図(その1)である。
図4B】ピックアップローラ及びフィードローラとリタードローラの構造及び作用を説明するための、図1相当の一部断面図(その2)である。
図5】リタードローラを示す斜視図である。
図6】リタードローラの内部を示す断面図である。
図7A】リタードローラのトルク差を発生させる構成を説明する斜視図(その1)である。
図7B】リタードローラのトルク差を発生させる構成を説明する斜視図(その2)である。
図8A】リタードローラのローラ部材が、ローラ部材よりも前方から前後方向の後方に延びた揺動アーム部材によって、揺動アーム部材の前端部の軸を回転支点として上下に揺動する比較例の構造及び作用を説明する、図4A相当の断面図である。
図8B】リタードローラのローラ部材が、ローラ部材よりも前方から前後方向の後方に延びた揺動アーム部材によって、揺動アーム部材の前端部の軸を回転支点として上下に揺動する比較例の構造及び作用を説明する、図4B相当の断面図である。
図9】用紙トレイと用紙ガイドとの位置関係を示す斜視図である。
図10】用紙トレイと用紙ガイドとの位置関係を示す平面図である。
図11A図10におけるA-A線に沿った鉛直面による断面を示す断面図である。
図11B図10におけるB-B線に沿った鉛直面による断面を示す断面図である。
図11C図10におけるC-C線に沿った鉛直面による断面を示す断面図である。
図11D図10におけるD-D線に沿った鉛直面による断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るプリンタの実施形態は、図面を参照して以下のように説明される。
【0014】
[プリンタの全体構成]
図1は昇華型サーマルプリンタ100(以下、プリンタ100という。)の幅方向Wの中心を通り、前後方向Lに沿った鉛直面による断面図である。
【0015】
図示のプリンタ100は、本発明に係るプリンタの一実施形態である。プリンタ100は、予め所定の大きさに切断された枚葉紙S(以下、単に用紙Sという)と、長尺で帯状に形成された1枚の長い用紙を巻いてロール状に形成したロール紙R(以下、単に用紙Rという)との両方を収容して、いずれか一方の用紙S,Rに選択的にプリントを行って出力することができる。
【0016】
プリンタ100は、ケース10と、用紙トレイ20と、プリント部30と、カッター部40と、筋入れ部50と、ロール紙収容部60と、搬送手段70と、制御部90と、搬送路Pと、を備えている。
【0017】
<ケース>
ケース10は、プリント部30、カッター部40、筋入れ部50、ロール紙収容部60、搬送手段70、制御部90及び搬送路Pを内部に備えた外装カバーであり、ケース10、プリント部30、カッター部40、筋入れ部50、ロール紙収容部60、搬送手段70、制御部90及び搬送路Pがプリンタ100の本体である。用紙トレイ20は、後述するように、このプリンタ100の本体に対して着脱自在である。ケース10の、長さ方向Lの前面を覆う前面板には、プリント済みの用紙S,Rを排出する排出口15が形成されている。
【0018】
<用紙トレイ>
図2は用紙トレイ20を示す斜視図である。用紙トレイ20は、多数の用紙S(枚葉紙S)を厚さ方向に積み重ねて収容する。用紙トレイ20は、プリンタ100の本体に対して、引き出し式で着脱可能に装着される。具体的には、用紙トレイ20は、プリンタ100の最下部に配置され、図1の白抜き矢印に示すように、前後方向Lの前方に引き出すことで、プリンタ100の本体から取り外すことができる。プリンタ100の本体から取り外した状態の用紙トレイ20は、図1に示すように、プリンタ100の本体に装着される。用紙トレイ20の詳細な構造等は後述する。
【0019】
<ロール紙収容部>
ロール紙収容部60は、用紙トレイ20の上方で、前後方向Lの前側に形成されている。ロール紙収容部60は、ロール紙Rを収容する部分である。ロール紙収容部60は、図1において、ロール紙Rの軸がプリンタ100の幅方向Wに平行となる姿勢で、かつ用紙が中心から外周側に向けて反時計回り巻かれた向きで、ロール紙Rを収容する。ロール紙収容部60に収容されたロール紙Rは、ロール紙Rの下端から図1の右方向に引き出さて巻き解かれることにより、図示の反時計回りに回転する。
【0020】
<プリント部>
プリント部30は、前後方向Lにおいて、ロール紙収容部60の後方に配置されている。プリント部30は、制御部90の制御によって、搬送路Pのうちロール紙収容部60の後方において略鉛直方向に立ち上がった部分(後述するプリント路P3)を通過する用紙S,Rにプリントを行う。
【0021】
プリント部30は、サーマルヘッド31と、インクリボン32と、プラテンローラ33と、を備えている。インクリボン32のリボンには、昇華染料が塗布されている。インクリボン32は、用紙S,Rの搬送に同期して、繰り出し側ロール32aから巻き取り側ロール32bにリボンを送り、インクリボン32に接したサーマルヘッド31の発熱によって、インクリボン32の昇華染料を用紙S,Rに拡散転写することで、プリントを行う。
【0022】
プラテンローラ33は、後述するプリント路P3を搬送される用紙S,Rを挟んでインクリボン32及びサーマルヘッド31の反対側に配置されている。プラテンローラ33は、用紙S,Rをインクリボン32に押し付ける。
【0023】
<カッター部>
カッター部40は、ロール紙収容部60の前方に配置されている。カッター部40は、制御部90の制御によって動作する。カッター部40は、搬送路Pのうちロール紙収容部60の上方から前方に延びた部分(後述する排出路P9)を通過する用紙Rを、幅方向Wに沿って切断する。なお、カッター部40は、上述したようにロール紙である用紙Rを所定の長さで切断するが、枚葉紙である用紙Sについても、不要な端部等を切断することもできる。
【0024】
<筋入れ部>
筋入れ部50は、前後方向Lにおいてロール紙収容部60の後方で、高さ方向Hにおいてプリント部30と用紙トレイ20との間に配置されている。筋入れ部50は、制御部90の制御によって動作する。筋入れ部50は、搬送路Pのうち、ロール紙収容部60の下方を、前後方向Lに沿って延びた部分(後述する筋入れ路P7)を通過する用紙Sに、幅方向Wに沿って延びた凹みである筋を形成する。なお、筋入れ部50は、上述したように枚葉紙である用紙Sに筋を形成するが、ロール紙である用紙Rについても、切断や搬送を制御することで、筋を形成してもよい。
【0025】
<搬送路>
図3は、搬送路Pを明瞭にするために、図1を簡略化して模式的に表現した模式図である。搬送路Pは、搬送手段70によって用紙S,Rが搬送される通路であり、図3において一点鎖線で示している。搬送路Pの傍らに示した符号Qは、用紙Sを用紙トレイ20から排出口15に向かって送る順方向及び用紙Rをロール紙収容部60から排出口15に向かって送る順方向を示し、符号-Qは、順方向Qとは向きが反対となる逆方向を示す。
【0026】
搬送路Pは、枚葉紙繰り出し路P1、枚葉紙給紙路P2、プリント路P3、待機路P4、プリント下流路P5、反転待機路P6、筋入れ路P7、ロール紙給紙路P8及び排出路P9を有する。
【0027】
枚葉紙繰り出し路P1(以下、単に、繰り出し路P1という)は、用紙トレイ20に収容された用紙Sが1枚ずつ繰り出される搬送路である。繰り出し路P1は、用紙トレイ20の前端から斜め上前方に向かって延びて形成されている。用紙Sを用紙トレイ20から繰り出し路P1に繰り出す手段は、プリンタ100の本体に設けられたピックアップローラ81及びフィードローラ82であるが、用紙Sの重送を防止すために、用紙トレイ20に設けられたリタードローラ84も用いられる。
【0028】
なお、用紙Sの繰り出しの際は、用紙トレイ20のホッパー21aが上げられるが、用紙Sの繰り出しの作用については、リタードローラ84の構造とともに後述する。
【0029】
枚葉紙給紙路P2(以下、単に、給紙路P2という。)は、繰り出し路P1に続く搬送路であり、繰り出し路P1の前端から上方に向かい、ロール紙収容部60の前方に形成された空間において後方及び下方に向かうように折り返して延び、ロール紙収容部60と用紙トレイ20の間の空間を後方に向かって延び、さらに、ロール紙収容部60の後方において上方に立ち上がった位置まで形成されている。
【0030】
プリント路P3は、給紙路P2に続いて、給紙路P2の前端からロール紙収容部60の後方に沿うように上方に立ち上がるように延び、さらに、ロール紙収容部60の上方の前部まで前方に向かって延びている。前述したプリント部30のプラテンローラ33とサーマルヘッド31は、プリント路P3を挟んで互いに対向するように配置されている。
【0031】
待機路P4は、プリント路P3に続いて、プリント路P3の前端からロール紙収容部60の上方の前部に延び、ロール紙収容部60の前方をロール紙収容部60の外周と同心円状に下方に向かって、給紙路P2に突き当たる手前の位置まで延びている。
【0032】
プリント下流路P5は、プリント路P3に続いて、プリント路P3の後端から、給紙路P2の外側を通るように、ロール紙収容部60の後方を斜め下前方に向かって延びて形成されている。
【0033】
反転待機路P6は、プリント下流路P5に続いて、プリント下流路P5の前端から、給紙路P2と用紙トレイ20の間の空間を、前後方向Lの前方に向かって延び、前端が、給紙路P2の後端に繋がるように形成されている。反転待機路P6を通る用紙Sは、図示の下を向いた面が既にプリントがされていて、反転待機路P6から、再度、給紙路P2を搬送されることで、反転待機路P6において用紙Sの上を向いた面が、次にプリント路P3を通るときにプリント部30でのプリントの対象となる。したがって、反転待機路P6と給紙路P2とが、用紙Sの表裏面を反転させる反転路を形成している。
【0034】
筋入れ路P7は、反転待機路P6に続いて、反転待機路P6の後端から用紙トレイ20の上方を、前後方向Lの後方に向けて延びて形成されている。筋入れ部50は、筋入れ路P7に配置されている。
【0035】
ロール紙給紙路P8は、ロール紙収容部60の略最下部から後方に向かって延び、ロール紙収容部60の後方において上方に立ち上がり、プリント路P3の後端まで形成されている。
【0036】
排出路P9は、プリント路P3に続いて、プリント路P3の前端から、ロール紙収容部60の上方を、前後方向Lの前方に向かって排出口15まで形成されている。カッター部40は、排出路P9に形成されている。
【0037】
<搬送手段>
搬送手段70は、搬送路Pに設けられている。搬送手段70は、制御部90の制御で動作する。搬送手段70は、用紙S,Rを搬送路Pに沿って搬送し、また、送るべき搬送路Pを切り替える。搬送手段70は、主に、制御部90に制御されたモータ(図示を省略)によって駆動される駆動ローラや、駆動力を有しない従動ローラ、搬送路Pを切り替える切替部材71,72,73によって構成されている。
【0038】
搬送手段70のうち、用紙S,Rを挟んで送る通常の駆動ローラ及び従動ローラからなるローラ対については、図示及び説明を省略する。搬送手段70は、後述するピックアップローラ81及びフィードローラ82とリタードローラ84を含む。これらピックアップローラ81及びフィードローラ82とリタードローラ84については後述する。
【0039】
切替部材71は、プリント路P3の前端に設けられている。切替部材71は、プリント路P3を順方向Qに送られた用紙S,Rを、待機路P4に送って用紙S,Rにこれからプリントを行うか又は排出路P9に送るって用紙S,Rを排出するか、を切り替える。切替部材71による搬送路の切替は、制御部90の制御によって行われる。
【0040】
切替部材72は、プリント路P3の後端に設けられている。切替部材72は、プリント路P3を逆方向-Qに送られた用紙Sを、誤ってロール紙給紙路P8に進入させずに、プリント下流路P5に戻す切替弁の役割を果たす。切替部材72は、ロール紙給紙路P8を塞ぐ側に、ばねで付勢されている。
【0041】
これにより、プリントされた用紙が枚葉紙である用紙Sの場合、切替部材72は、プリント路P3を逆方向-Qに送られた用紙Sを、プリント下流路P5に送る。
【0042】
一方、プリントされた用紙がロール紙である用紙Rの場合、切替部材72は、ロール紙給紙路P8を塞ぐ側にばねで付勢されているが、用紙Rは連続体であるため、用紙Rの先端側がプリント路P3に到達していても、ロール紙収容部60に収容されているロール状の用紙Rまで繋がった部分が、切替部材72を、ばねの付勢に逆らってロール紙給紙路P8への経路を開くように押し広げている。したがって、切替部材72は、プリント路P3を逆方向-Qに送られた用紙Rをロール紙給紙路P8に巻き戻す場合、用紙Rを支障なくロール紙給紙路P8に巻き戻すことができる。
【0043】
切替部材73は、プリント下流路P5の後端に設けられている。切替部材73は、反転待機路P6に送られた用紙Sを、逆方向-Qに搬送した際に、用紙Sを、プリント下流路P5に戻さずに、筋入れ路P7に確実に送るための切替弁の役割を果たす。
【0044】
切替部材73は、ばねによって、用紙Sを筋入れ路P7に送る側に付勢している。プリントが終了した用紙Sは、後端まで反転待機路P6に配置された状態となっているが、プリントを行なっている間は、用紙Sの後端はプリント下流路P5に残った状態となっている。つまり、プリント中は、用紙Sは、その後端まで反転待機路P6に送られず、その後端がプリント下流路P5に残った状態となっている。
【0045】
その後、2色目以降のプリントのために、用紙Sは、プリント下流路P5を逆方向-Qに送られて、再度、待機路P4まで戻される。そして、プリンタ100は、上述したプリント動作を繰り返すことで、多色のプリントやコーティングが行われる。
【0046】
このように、多色のプリントの途中の用紙Sは、反転待機路P6とプリント下流路P5とに跨って配置された状態となるため、その状態の用紙Sが、切替部材73を、ばねの付勢力に抗して、用紙Sをプリント下流路P5に通過させる側に押圧することで、用紙Sをプリント下流路P5に送る側に切り替えている。
【0047】
<制御部>
制御部90は、用紙トレイ20の上方で、プリント部30の後方に配置されている。制御部90は、プリント部30、カッター部40、筋入れ部50、及び搬送手段70の各動作を制御する。
【0048】
[プリンタの動作の概要]
<用紙S(枚葉紙S)に対して>
上述した搬送路Pを通る用紙Sに対して、プリンタ100は、以下のように動作する。まず、用紙トレイ20に収容された用紙Sは、繰り出し路P1を順方向Qに繰り出され、続いて給紙路P2を順方向Qに送られ、続いてプリント路P3を順方向Qに送られ、続いて待機路P4を順方向Qに送られる。
【0049】
用紙Sは、続いて待機路P4を逆方向-Qに送られ、続いてプリント路P3を逆方向-Qに送られながら、プリント部30で、一方の面(サーマルヘッド31に向いた面)にプリントが行われる。プリント部30で、用紙Sに、多色のプリントを行う場合や、プリント後のコーティングを行う場合は、プリント路P3及び待機路P4を順方向Qの送りと逆方向-Qの送りとを繰り返し行う。
【0050】
プリント部30でプリントされた用紙Sは、続いてプリント下流路P5を順方向Q(プリント路P3における逆方向-Qに相当)に送られ、続いて反転待機路P6を順方向Qに送られ、続いて給紙路P2の順方向Qに送られ、続いてプリント路P3を順方向Qに送られる。上述したように、用紙Sは、反転待機路P6と給紙路P2とを通過することにより、用紙Sの表裏面が反転する。
【0051】
プリンタ100が用紙Sの片面のプリントだけで終了する場合は、用紙Sは、続いて排出路P9を順方向Qに送られ、排出口15からプリンタ100の外部に排出されて終了する。
【0052】
プリンタ100が用紙Sの両面にプリントする場合は、プリント路P3を順方向Qに送られた用紙Sは、待機路P4を順方向Qに送られる。
【0053】
用紙Sは、続いて待機路P4を逆方向-Qに送られ、続いてプリント路P3を逆方向-Qに送られながら、プリント部30で、他方の面(サーマルヘッド31に向いた面)にプリントが行われる。プリント部30で、用紙Sに、多色のプリントを行う場合や、プリント後のコーティングを行う場合は、プリント路P3及び待機路P4を順方向Qの送りと逆方向-Qの送りとを繰り返し行う。
【0054】
プリント部30でプリントされた用紙Sは、続いてプリント下流路P5を順方向Qに送られ、続いて反転待機路P6を順方向Qに送られ、続いて給紙路P2の順方向Qに送られ、続いてプリント路P3を順方向Qに送られ、続いて排出路P9を順方向Qに送られ、排出口15からプリンタ100の外部に排出されて終了する。
【0055】
プリントされた用紙Sに対して筋入れを行う場合、片面プリントの場合は、片面プリントの後の用紙Sが反転待機路P6にあるときに、反転待機路P6を逆方向-Qに送られ、続いて筋入れ路P7を逆方向-Qに送られて、筋入れ部50で筋入れされる。
【0056】
プリントされた用紙Sに対して筋入れを行う場合、両面プリントの場合は、両面プリント後の用紙Sが反転待機路P6にあるときに、反転待機路P6を逆方向-Qに送られ、続いて筋入れ路P7を逆方向-Qに送られて、筋入れ部50で筋入れされる。
【0057】
<用紙R(ロール紙R)に対して>
上述した搬送路Pを通る用紙Rに対して、プリンタ100は、以下のように動作する。まず、ロール紙収容部60に収容された用紙Rは、ロール紙給紙路P8を順方向Qに繰り出される。ロール紙Rは繰り出されることでロールから巻き解かれる。
【0058】
用紙Rは、続いてプリント路P3を順方向Qに送られ、続いて待機路P4を順方向Qに送られる。
【0059】
用紙Rは、続いて待機路P4を逆方向-Qに戻され、続いてプリント路P3を逆方向-Qに戻されながら、プリント部30で、一方の面(サーマルヘッド31に向いた面)にプリントが行われる。用紙Rは逆方向-Qに戻されるとき、ロールに巻き戻される。
【0060】
プリント部30で、用紙Rに、多色のプリントを行う場合や、プリント後のコーティングを行う場合は、プリント路P3及び待機路P4を順方向Qの送りと逆方向-Qの送りとを繰り返し行う。
【0061】
プリント部30でプリントされた用紙Rは、続いてプリント路P3を順方向Qに送られ、続いて排出路P9を順方向Qに送られて、カッター部40で所定の長さに切断され、切断によってロールから分離されたプリント済みの用紙Rが、排出口15からプリンタ100の外部に排出されて終了する。
【0062】
プリント済みの部分が切断されてロールに繋がった部分の用紙Rは、ロール紙収容部60のロールに巻き戻されることで、排出路P9、プリント路P3、ロール紙給紙路P8を逆方向-Qに戻される。
【0063】
[リタードローラと用紙トレイ]
図4A,4Bは、ピックアップローラ81及びフィードローラ82とリタードローラ84の構造及び作用を説明するための、図1相当の一部断面図、図5はリタードローラ84を示す斜視図、図6はリタードローラ84の内部を示す断面図、図7A,7Bはリタードローラのトルク差を発生させる構成を説明する分解斜視図である。
【0064】
なお、図4Aは用紙トレイ20をプリンタ100の本体に対して、前後方向Lの正規の位置(基準位置)に装着した状態を示し、図4Bは用紙トレイ20を基準位置よりも手前の位置(基準位置に対して、前後方向Lの前方の位置)に装着した状態を示す。
【0065】
また、図7Aはリタードローラ84の幅方向Wの外側下方から見上げた状態を示し、図7Bはリタードローラ84の幅方向Wの内側上方から見降ろした状態を示す。
【0066】
ピックアップローラ81とフィードローラ82は、アーム83を介してプリンタ100の本体に固定されている。ピックアップローラ81とフィードローラ82は、プリンタ100の本体に用紙トレイ20が装着された状態で、用紙トレイ20の上方で、かつ前後方向Lにおける用紙トレイ20の前板22の形成されている付近、つまり用紙トレイ20の上方、かつ前部に対応する位置に配置されている。
【0067】
ピックアップローラ81とフィードローラ82は、アーム83によって一体的に構成されている。アーム83は、ピックアップローラ81をフィードローラ82よりも前後方向Lの後方に配置している。また、アーム83は、ピックアップローラ81をフィードローラ82よりも高さ方向Hの下方となるように、全体として傾斜した姿勢で、配置されているが、アーム83はフィードローラ82の回転軸と同軸に回動可能であり、ピックアップローラ81を、用紙トレイ20に収容された用紙Sに押し付ける方向に、ばねによって付勢されている。
【0068】
ピックアップローラ81とフィードローラ82は、単一のモータによって駆動される。したがって、ピックアップローラ81とフィードローラ82は、同期して回転、停止し、また、回転するときは互いに同一方向に回転する。
【0069】
<用紙トレイの詳細>
用紙トレイ20は、図2に示すように、用紙Sが積み重ねられる底板21と、幅方向Wの両側でそれぞれ用紙Sの厚さ方向(プリンタ100の高さ方向H)に立ち上がった側板24,25と、前後方向Lの後側で立ち上がった後板23と、前後方向Lの前側で立ち上がった前板22とによって、厚さが薄く、天板の無い箱状(トレイ)に形成されている。
【0070】
底板21の前側部分21aは、前側部分21aの後端部を軸C3として上方に向けて揺動自在に形成されている。つまり、前側部分21aは、上方に傾いた状態で、底板21上に配置された用紙Sの前側部分を上に持ち上げるホッパーとなっている。以下、この前側部分21aをホッパー21aという。ホッパー21aは、プリンタ100の本体に設けられた、図示を省略したモータの駆動によって上下動される。ホッパー21aを上下動するモータは、制御部90の制御によって駆動される。
【0071】
用紙トレイ20は、前板22の上端から斜め上方前に向けて延びた傾斜板27を有している。つまり、傾斜板27は、後ろ下がりの傾斜を有している。傾斜板27の、幅方向Wの中央部には、開口27dが形成されている。傾斜板27については、さらに後述する。
【0072】
用紙トレイ20は、両側板24,25のうち前板22よりも前方に延びた部分と傾斜板27とに繋がった前カバー部材26を有している。前カバー部材26は、前板22よりも前方において、幅方向Wに延びて形成されている。前カバー部材26は、側板24,25よりもそれぞれ幅方向Wの外側まで延びて形成されている。
【0073】
プリンタ100の本体から前後方向Lの前方に引き出された状態の用紙トレイ20は、プリンタ100の最下部に前後方向Lに延びて形成された空間に、前カバー部材26を、後方(図1における白抜き矢印の反対向き)に押し込むことで、図1に示すように、プリンタ100の本体に装着される。そして、用紙トレイ20がプリンタ100の本体に装着された状態で、前カバー部材26は、ケース10とともに、プリンタ100の前後方向Lの前面を形成する。
【0074】
用紙トレイ20は、図2に示すリタードローラ84を備えている。リタードローラ84は、前板22と前カバー部材26との間に形成された、用紙トレイ20の前部の空間に配置されている。そして、リタードローラ84の一部が、傾斜板27に形成された開口27dを通じて、傾斜板27の面よりも上方に突出している。
【0075】
用紙トレイ20のホッパー21aは、用紙トレイ20から用紙Sを繰り出す動作の際に、プリンタ100の本体に設けられ、制御部90の制御によって作動するプレート19(図1,4A,4B参照)が、用紙トレイ20の下面に形成された開口20A(図1参照)からホッパー21aを押し上げることで、上方に持ち上げられて傾斜した姿勢(図2において、二点鎖線で示す)となる。
【0076】
ホッパー21aは、用紙トレイ20に収容された用紙Sの枚数の多少に拘わらず、図4A,4Bに示すようにホッパー21aによって持ち上げられた用紙Sのうち最も上に積まれた用紙Sがピックアップローラ81に突き当たってピックアップローラ81を持ち上げ、かつ、その用紙Sの先端の延長線がフィードローラ82に接しないで傾斜板27の後端に突き当たる位置となるように、上方に傾斜するように構成されている。
【0077】
用紙トレイ20に設けられたリタードローラ84は、図2に示すように、用紙トレイ20の傾斜板27の開口27dから用紙トレイ20の内部側に臨んでいる。そして、図4Aに示すように、用紙トレイ20をプリンタ100の本体の正規の位置に装着した状態で、リタードローラ84はプリンタ100の本体に固定されたフィードローラ82と接触する配置となる。
【0078】
<リタードローラ>
(構成)
リタードローラ84は、従動ローラであり駆動しないが、駆動するフィードローラ82と、駆動しないリタードローラ84とで用紙Sを挟んで、フィードローラ82を駆動することにより、用紙Sを繰り出し路P1に搬送する。
【0079】
リタードローラ84は、詳しくは、図5に示すように、基部材84dと、2つの揺動アーム部材84aと、ローラ部材84bと、2つのコイルバネ84cと、を備えている。
【0080】
基部材84dは、図4Aに示すように、前板22と前カバー部材26との間の前部の空間に配置されて用紙トレイ20の下部に固定されている。基部材84dは、その前部から高さ方向Hの上方に向けて延びた縦壁84kを有する。
【0081】
ローラ部材84bは、フィードローラ82と接触する略円筒状のローラである。ローラ部材84bの詳細な構造について後述するが、ローラ部材84bは、軸C2回りに回転する際に、逆方向のトルク(回転方向に対する逆トルク)を発生して、回転に制動を与える。
【0082】
揺動アーム部材84aは、ローラ部材84bを基部材84dに支持する細長板状の部材である。揺動アーム部材84aは、その長手方向が、プリンタ100の高さ方向Hに沿う姿勢で配置されている。揺動アーム部材84aは、軸C2をプリンタ100の幅方向Wに沿う姿勢で配置されたローラ部材84bの軸C2方向の両端にそれぞれ、軸C2に直交して配置されている。
【0083】
揺動アーム部材84aは、長手方向における上側の一端部(上端部)において、ローラ部材84bを、軸C2回りに回転自在に支持し、長手方向における下側の一端部(下端部)において、基部材84dに、軸C2と平行な軸C1回りに回転自在に支持されている。これにより、揺動アーム部材84aは、図5の黒矢印に示すように、基部材84dに対して軸C1回りに前後に揺動可能に支持され、ローラ部材84bを前後に揺動させる。
【0084】
コイルバネ84cは、一端が揺動アーム部材84aに接し、他端が縦壁84kに接して、揺動アーム部材84aと縦壁84kとの間に、前後方向Lに沿って配置されている。これにより、コイルバネ84cは、揺動アーム部材84aを、揺動可能の範囲の後方に押し付けている。
【0085】
したがって、リタードローラ84は、ローラ部材84bに位置を規制する障害がないときは、コイルバネ84cの弾性力で付勢されて、揺動可能の範囲の後方に位置した状態となる。一方、リタードローラ84は、ローラ部材84bが前方に当接する部材等があるときは、揺動アーム部材84aが揺動してコイルバネ84cを縮め、揺動可能の範囲で前方に変位した状態となる。
【0086】
(リタードローラによる重送を解消する基本作用)
上述のように構成されたリタードローラ84は、フィードローラ82とともに、次のように動作する。
【0087】
用紙Sが収容された用紙トレイ20は、図4Aに示すように、プリンタ100の本体に対して、前後方向Lの基準位置に装着される。このとき、用紙トレイ20のリタードローラ84のローラ部材84bの上後方部に、プリンタ100の本体に固定されたフィードローラ82が突き当たり、ローラ部材84bは下前方に押圧される。
【0088】
これにより、ローラ部材84bを支持している揺動アーム部材84aが、揺動範囲の前方に押され、コイルバネ84cが、その押された荷重によって弾性変形し、リタードローラ84は、揺動アーム部材84aが揺動範囲の前方に変位した状態となる。
【0089】
そして、制御部90の制御により、ホッパー21aが持ち上げられて、用紙Sのうち最も上に積まれた1枚の用紙S(以下、最上の用紙Sという。)が、ピックアップローラ81に押圧される。
【0090】
次いで、制御部90の制御により、図示を省略したモータが正転し、ピックアップローラ81及びフィードローラ82が正転する。ピックアップローラ81及びフィードローラ82の正転方向は、用紙Sが繰り出し路P1を順方向Qに送られる方向である。
【0091】
ピックアップローラ81が正転すると、ピックアップローラ81に押し付けられた最上の用紙Sは、ピックアップローラ81の正転のトルクを受けて、順方向Qに送られる。最上の用紙Sは、順方向Qに送られると、用紙Sの先端が傾斜板27の後端に突き当たるが、用紙Sの先端の向きは上方に傾斜しているため、用紙Sの先端が傾斜板27の上方側に逃げるように用紙Sは屈曲する。そして、用紙Sの先端は、フィードローラ82に従動して正転しているリタードローラ84に接し、さらに、フィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれる。
【0092】
ここで、仮に、2枚目の用紙Sが最上の用紙Sに重なって重送されていた場合は、最上の用紙Sの先端は、傾斜板27の後端に突き当たることにより上方に逃げるように屈曲するが、2枚目の用紙Sは最上の用紙Sと同時に屈曲し難いため、2枚目の用紙Sをリタードローラ84に到達し難くする作用を奏する。
【0093】
最上の用紙Sが、フィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれると、最上の用紙Sは、水平方向に対する、フィードローラ82とリタードローラ84との共通接線Mの向きである繰り出し角度θ1で、繰り出し路P1に送られる。そして、最上の用紙Sが繰り出し路P1に一定距離だけ送られると、制御部90の制御により、ホッパー21aは、元の位置に下げられる。これにより、ピックアップローラ81は最上の用紙Sから離れる。
【0094】
ここで、リタードローラ84のローラ部材84bは、前述したように、正転方向Nに回転するときも逆方向-Nに回転するときも、その回転を制動するように、回転方向と反対向きの初期トルクを発生する。したがって、フィードローラ82との間に挟まれた用紙Sに対して、以下のように動作する。
【0095】
まず、ピックアップローラ81によって繰り出された用紙Sが正規の1枚だけの場合、つまり最上の用紙Sのみが繰り出されたときは、その最上の用紙Sのみが、フィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれる。フィードローラ82は正転しているので、最上の用紙Sの上面は、フィードローラ82との摩擦により、順方向Qに送られる推進力が作用する。
【0096】
一方、最上の用紙Sの下面は、リタードローラ84に接していて、最上の用紙Sが順方向Qに移動すると、リタードローラ84を正転方向Nに回転させようとするが、リタードローラ84には、上述したように回転する方向(正転方向N)と反対向きの初期トルクが掛かっているため、最上の用紙Sの下面には、順方向Qへの推進力とは反対向きの制動力が作用する。
【0097】
ここで、リタードローラ84の、正転方向Nと反対向きの初期トルクは、フィードローラ82の正転のトルクよりも小さく設定されているため、最上の用紙Sは、リタードローラ84から受ける制動力に拘わらず、フィードローラ82の推進力により、繰り出し路P1を順方向Qに送られる。
【0098】
次に、ピックアップローラ81によって繰り出された用紙Sが重送となった場合、つまり最上の用紙Sに接した2枚目の用紙Sが、静電気等によって最上の用紙Sに吸着されて、最上の用紙Sとともに繰り出されたときを説明する。
【0099】
重送が生じると、最上の用紙Sと2枚目の用紙Sが、フィードローラ82とリタードローラ84とに重なった状態で挟まれる。フィードローラ82に接している最上の用紙Sの上面は、リタードローラ84とフィードローラ82とによって挟まれたことによるフィードローラ82との摩擦により、順方向Qに送られる推進力が作用する。
【0100】
最上の用紙Sが順方向Qに移動すると、2枚目の用紙Sは、最上の用紙Sとの摩擦力を推進力として順方向Qに移動しようとするが、2枚目の用紙Sの下面は、リタードローラ84に接していて、リタードローラ84には、回転方向と反対向きの初期トルクが掛かっているため、2枚目の用紙Sの下面には、リタードローラ84による、順方向Qへの推進力とは反対向きの制動力が作用する。
【0101】
ここで、2枚目の用紙Sに作用している順方向Qへの推進力は、最上の用紙Sとの摩擦力であり、この摩擦力は、最上の用紙Sに作用しているフィードローラ82のトルクによる推進力に比べて相当小さく、リタードローラ84から受ける制動力を上回らない。この結果、最上の用紙Sは繰り出し路P1を順方向Qに送られるが、2枚目の用紙Sは、フィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれて停止した状態で維持される。
【0102】
これにより、最上の用紙Sを2枚目の用紙Sから分離して、繰り出し路P1に繰り出すことができる。
【0103】
(揺動アーム部材による作用)
本実施形態のプリンタ100は、リタードローラ84のローラ部材84bが、高さ方向Hに延びた揺動アーム部材84aによって、揺動アーム部材84aの下端部の軸C1を回転支点として揺動するため、リタードローラ84のローラ部材84bが、ローラ部材84bよりも前方から前後方向Lに延びた揺動アーム部材によって、揺動アーム部材の前端部の軸を回転支点として上下に揺動するものに比べて、用紙トレイ20の装着位置の前後方向Lのずれに応じた、用紙Sの繰り出し方向の変動を低減することができる。
【0104】
すなわち、用紙トレイ20は、プリンタ100の本体に対して、前後方向Lに差し込まれて基準位置に装着されるが、プリンタ100の製造上の誤差やプリンタ100の取り扱いの便宜により、プリンタ100の本体に対する用紙トレイ20の差し込み深さが多少変動しても、プリンタ100は正常に動作するように構成されている。
【0105】
プリンタ100は、正常に用紙Sを送り、また、重送を解消するために、フィードローラ82とリタードローラ84とが接触する圧力を予め定めた一定の範囲にする必要がある。このため、プリンタ100の本体に対する用紙トレイ20の差し込み深さに拘わらず、フィードローラ82とリタードローラ84のローラ部材84bとの接触圧力が大きく変動しないように、リタードローラ84のローラ部材84bがフィードローラ82に接触すると、揺動アーム部材84aが揺動してローラ部材84bの位置を変えることで、フィードローラ82とリタードローラ84のローラ部材84bとの接触圧力の変動を吸収する。
【0106】
ここで、用紙トレイ20が、プリンタ100の本体の基準位置(図4A)よりも、前後方向Lの手前の位置(基準位置に対して、前後方向Lの前方の位置)に配置した状態(図4B参照)では、フィードローラ82に接触するローラ部材84bの部分が、基準位置の場合よりも上前方になる。
【0107】
したがって、揺動アーム部材84aが前方に揺動する変位量が、基準位置の場合よりも小さくなり、フィードローラ82とリタードローラ84のローラ部材84bとの共通接線Mの繰り出し角度θ2が、基準位置の場合における共通接線Mの繰り出し角度θ1よりも大きくなる。共通接線Mが、フィードローラ82とリタードローラ84のローラ部材84bとに挟まれて、繰り出し路P1に繰り出される用紙Sの向き(繰り出し方向)となる
【0108】
実験によると、繰り出し角度θ1は例えば49.49[度]であり、繰り出し角度θ2は例えば50.12[度]であった。つまり、用紙トレイ20の装着位置の前後方向Lのずれに応じた、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθは、一例として0.63(=50.12-49.49)[度]である。
【0109】
図8A,8Bは、リタードローラ84のローラ部材84bが、ローラ部材84bよりも前方から前後方向Lの後方に延びた揺動アーム部材84a′によって、揺動アーム部材84a′の前端部の軸C4を回転支点として上下に揺動する比較例の構造及び作用を説明する図である。図8Aは用紙トレイ20をプリンタ100の本体の正規の位置(基準位置)に配置した、図4Aに対応した状態を示し、図8Bは用紙トレイ20を基準位置よりも手前の位置(基準位置に対して、前後方向Lの前方の位置)に配置した、図4Bに対応した状態を示す。
【0110】
図8A,8Bに示すように、リタードローラ84のローラ部材84bが、ローラ部材84bよりも前方から前後方向Lに延びた揺動アーム部材84a′の後端部に支持され、揺動アーム部材84a′が、前端部の軸C4を回転支点として上下に揺動する比較例の場合の、ローラ部材84bの変動を説明する。
【0111】
比較例の場合、図8Aに示すように、用紙トレイ20が、プリンタ100の本体の基準位置に差し込まれた状態では、リタードローラ84の上後部がフィードローラ82に突き当たると、リタードローラ84の揺動アーム部材84a′は、軸C4回りの揺動範囲において下方に変位した姿勢となる。この状態でのフィードローラ82とリタードローラ84との共通接線Mの繰り出し角度はθ1′である。
【0112】
一方、比較例の場合、図8Bに示すように、用紙トレイ20が、プリンタ100の本体の基準位置(図8A)よりも、前後方向Lの手前の位置(基準位置に対して、前後方向Lの前方の位置)に配置した状態では、フィードローラ82に接触するリタードローラ84の部分が、基準位置の場合よりも前上になる。なお、比較例における用紙トレイ20をプリンタ100の本体の基準位置よりも前後方向Lの手前の位置に配置した状態は、図4Bに示した本実施形態のプリンタ100における状態と同じ条件に設定されている。
【0113】
この場合、フィードローラ82とリタードローラ84との共通接線Mの繰り出し角度θ2′は、基準位置の場合での、フィードローラ82とリタードローラ84との共通接線Mの繰り出し角度θ1′よりも大きくなる。そして、実験によると、繰り出し角度θ1′は例えば51.83[度]であり、繰り出し角度θ2′は例えば59.87[度]であった。つまり、用紙トレイ20の装着位置の前後方向Lのずれに応じた、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθ′は、一例として8.04(=59.87-51.83)[度]である。
【0114】
このように、本実施形態のプリンタ100は、リタードローラ84が、高さ方向Hに沿って延びた揺動アーム部材84aによってローラ部材84bを前後に揺動する構造であるため、リタードローラ84が、前後方向Lに沿って延びた揺動アーム部材84a′によってローラ部材84bを上下に揺動する構造の比較例に比べて、用紙トレイ20の装着位置の前後方向Lのずれに応じた、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθを低減することができる。
【0115】
これにより、本実施形態のプリンタ100は、用紙トレイ20の装着位置の前後方向Lのずれに拘わらず、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθが小さいため、繰り出し路P1に繰り出された用紙Sが、繰り出し路P1を仕切っている周壁(特に内壁)に引っ掛かるのを抑制し、用紙Sが繰り出し路P1に詰まる恐れを抑制することができる。
【0116】
なお、本実施形態のプリンタ100の揺動アーム部材84aが、比較例の揺動アーム部材84a′よりも長いことも、本実施形態のプリンタ100が比較例に比べて、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθを小さくしている一つの要因ではあるが、繰り出し方向の変動Δθを小さくしている主たる要因は、揺動アーム部材84aを前後に揺動させる構造である。
【0117】
また、本実施形態のプリンタ100は、揺動アーム部材84aの向きを高さ方向Hに沿った姿勢とすることで、用紙トレイ20の装着位置の前後方向Lのずれに応じた、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθを低減するが、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθを低減する作用は、揺動アーム部材84aで支持されるローラ部材84bが、リタードローラ84として機能するものに限定されない。
【0118】
すなわち、揺動アーム部材84aの向きを高さ方向Hに沿った姿勢としたプリンタは、揺動アーム部材84aが支持するローラ部材84bが回転方向とは反対方向に初期的なトルク(制動)を掛けるものではない単なる従動ローラであっても、用紙トレイ20の装着位置の前後方向Lのずれに応じた、用紙Sの繰り出し方向の変動Δθを低減することができる。したがって、揺動アーム部材84aの向きを高さ方向Hに沿った姿勢としたプリンタは、揺動アーム部材84aが支持するローラ部材84bが単なる従動ローラであってもよい。
【0119】
(リタードローラの詳細な構造と逆回転時の作用)
リタードローラ84による重送を解消する基本作用は上述した通りであるが、最上の用紙Sの順方向Qの後端がフィードローラ82から離れた後もフィードローラ82が正転し続けると、リタードローラ84に接して停止している2枚目の用紙Sにフィードローラ82のトルクが作用して、2枚目の用紙Sが繰り出し路P1に繰り出される。この場合、繰り出し路P1に繰り出された最上の用紙Sとの間隔がほとんどない状態で2枚目の用紙Sが繰り出される続け給紙となる。
【0120】
このような続け給紙を避けるために、最上の用紙Sの先端が、繰り出し路P1に続く給紙路P2に繰り出された後は、制御部90が、給紙路P2に設けられた別の駆動ローラ(搬送手段70の一つ:図示省略)を駆動して最上の用紙Sを順方向Qに送りつつ、フィードローラ82を停止することで、2枚目の用紙Sの続け給紙を防止することができる。
【0121】
しかし、プリンタ100が、給紙路P2に設けられた別の駆動ローラとフィードローラ82を単一のモータで駆動する構成の場合、給紙路P2に設けられた別の駆動ローラだけを駆動し、フィードローラ82を停止することができない。
【0122】
そこで、このプリンタ100は、制御部90が、最上の用紙Sの順方向Qの後端がフィードローラ82から離れる前に、フィードローラ82を逆転する。つまり、このとき最上の用紙Sと2枚目の用紙Sとは、順方向Qの先端の位置がずれた状態になっている。
【0123】
そこで、フィードローラ82を逆回転することで、最上の用紙Sと、それに重なった2枚目の用紙Sとを一体に、用紙トレイ20の側に後退させる。これにより、順方向Qの先端の位置が後方に位置している2枚目の用紙Sが、最上の用紙Sよりも先に、フィードローラ82とリタードローラ84とで挟まれた位置から離れ、2枚目の用紙Sだけを用紙トレイ20に戻すことができる。
【0124】
しかし、リタードローラ84が、単に、回転方向とは逆方向のトルク(逆トルク)を発生するだけの構成であると、前述した正転方向に回転する場合と同じ作用によって、リタードローラ84は、最上の用紙Sだけを逆方向-Qに送り、2枚目の用紙Sを停止したままの状態として、想定したように2枚目の用紙Sだけを用紙トレイ20に戻すことができない。
【0125】
そこで、本実施形態のプリンタ100は、リタードローラ84を、正転方向の回転時と逆転方向への回転時とで、異なる逆トルクを発生させるものとしている。以下、この異なる逆トルクを発生させるリタードローラ84の詳しい構造を説明する。
【0126】
(詳細な構造)
ローラ部材84bは、図6,7A,7Bに示すように、ゴムローラ84eと、ハウジング84fと、内輪84gと、第1トルクスプリング84hと、トルクスプリング84iと、を備えた構造である。第1トルクスプリング84hとトルクスプリング84iとは、内輪84gに対する巻方向が同じ方向に形成されている。
【0127】
ゴムローラ84eは、ハウジング84fの外周面に密着して設けられて、ゴムローラ84eとハウジング84fは一体に回転する。内輪84gは、軸方向の一端側の部分84g1(以下、第1部分84g1という。)がハウジング84fの内側に配置され、軸方向の他端側の部分84g2(以下、第2部分84g2という。)が、ハウジング84fの幅方向Wの端部から外側に突出して、揺動アーム部材84aの内側に配置されている。内輪84gは、ハウジング84f及び揺動アーム部材84aに対して、それぞれ回転自在となっている。
【0128】
第1トルクスプリング84hは、内輪84gの第1部分84g1の外周面に巻き付けられるように配置され、一端が半径方向の外側に立ち上がって、その一端はハウジング84fの内周面に固定されている。第2トルクスプリング84iは、内輪84gの第2部分84g2の外周面に巻き付けられるように配置され、一端が半径方向の外側に立ち上がって、その一端は揺動アーム部材84aの内周面に固定されている。
【0129】
第1トルクスプリング84hと第2トルクスプリング84iは、コイルの巻き方が互いに同じ向きになっていて、第1トルクスプリング84hを形成しているスプリングの線径は、第2トルクスプリング84iを形成しているスプリングの線径よりも太い。
【0130】
揺動アーム部材84aに対してローラ部材84bが軸C2回りに回転するときの動作について説明する。揺動アーム部材84aに対してハウジング84f及びゴムローラ84eが軸C2回りに正転方向Nに回転しようとすると、第1トルクスプリング84hの一端84h1がハウジング84fの溝84f1に嵌められていることで、第1トルクスプリング84hの一端84h1がハウジング84fと一体に正転方向Nに回転しようとする。
【0131】
ここで、第1トルクスプリング84hは内輪84gの第1部分84g1に巻き付けられているため、第1トルクスプリング84hの一端84h1が正転方向Nに回転するためには、第1トルクスプリング84hが内輪84gと一体に正転方向Nに回転するか、又は、第1トルクスプリング84hの一端84h1だけが正転方向Nに回転すればよい。内輪が回転しないで、第1トルクスプリング84hの一端84h1だけが正転方向Nに回転する場合は、第1トルクスプリング84hの巻き径が大きくなる方向への弾性変形となる。したがって、内輪84gが正転方向Nに回転しなくても、ハウジング84f及びゴムローラ84eの正転方向Nへの回転は阻害されない。
【0132】
仮に、内輪84gが、第1トルクスプリング84hと一体に正転方向Nに回転しようとすると、内輪84gの一部である第2部分84g2も正転方向Nに回転することになる。第2部分84g2には、第2トルクスプリング84iが巻き付けられているため、第2トルクスプリング84iも正転方向N回転しようとする。しかし、第2トルクスプリング84iの一端84i1は、揺動アーム部材84aの内周面に形成された溝84a1に嵌められて固定されているため、第2トルクスプリング84iの一端84i1は回転しない。この場合、第2トルクスプリング84iは、巻径を小さくする方向に弾性変形する必要がある。
【0133】
しかし、第2トルクスプリング84iの巻径を小さくすると、第2トルクスプリング84iが第2部分84g2の外周面に巻き付く締め付けが強くなり、第2部分84g2は第2トルクスプリング84iに対してスリップしなくなる。したがって、内輪84gは、正転方向Nに回転することは無く、停止した状態を維持する。
【0134】
上述した動作により、第1トルクスプリング84hの一端はハウジング84fと一体に正転方向Nに回転しようとするが、第1トルクスプリング84hが巻きつけられた第1部分84g1は回転しない。ハウジング84fが正転方向Nに回転するには、第1トルクスプリング84hの巻径を大きくするように、第1トルクスプリング84hを弾性変形させるトルクが必要となる。
【0135】
つまり、リタードローラ84が、正転方向Nに回転するためには、第1トルクスプリング84hの巻径を大きくするように弾性変形させる正転方向Nへのトルクを、ゴムローラ84e及びハウジング84fに与える必要があり、リタードローラ84には、初期的に、正転方向Nとは反対向きである逆方向-Nへのトルクが制動力として発生していることになる。
【0136】
これに対して、揺動アーム部材84aに対してハウジング84f及びゴムローラ84eが軸C2回りに逆方向-Nに回転しようとすると、第1トルクスプリング84hの一端がハウジング84fと一体に逆方向-Nに回転しようとする。
【0137】
ここで、仮に、内輪84gが回転しないとすると、第1トルクスプリング84hの一端はハウジング84fと一体に逆方向-Nに回転し、第1部分84g1に巻き付いている第1トルクスプリング84hは回転しないことになるので、第1トルクスプリング84hの巻径を小さくように第1トルクスプリング84hを弾性変形する必要がある。
【0138】
第1トルクスプリング84hの巻径を小さくすると、第1トルクスプリング84hが第1部分84g1の外周面に巻き付く締め付けが強くなり、第1部分84g1は第1トルクスプリング84hと一体となる。第1トルクスプリング84hは、一端がハウジング84fに固定されているためハウジング84fとともに回転し、したがって、内輪84gも、第1トルクスプリング84hと一体に逆方向-Nに回転することになる。
【0139】
内輪84gが回転すると、第2部分84g2に巻き付けられた第2トルクスプリング84iが第2部分84g2と一体に、逆方向-Nに回転することになるが、第2トルクスプリング84iの一端は、揺動アーム部材84aに固定されているため、内輪84gが逆方向-Nに回転するには、第2トルクスプリング84iの巻径を大きくするように第2トルクスプリング84iを弾性変形させるトルクが必要となる。
【0140】
つまり、リタードローラ84が、逆方向-Nに回転するためには、第2トルクスプリング84iの巻径を大きくするように弾性変形させる正転方向Nへのトルクを、ゴムローラ84e及びハウジング84fに与える必要があり、リタードローラ84には、初期的に、逆方向-Nとは反対向きの正転方向Nへのトルクが制動力として発生していることになる。
【0141】
ここで、第1トルクスプリング84hの線径は、第2トルクスプリング84iの線径よりも太いため、リタードローラ84は、線径の太い第1トルクスプリング84hの巻径を大きくするのに要するトルク(正転方向Nに対する初期トルク)が、線径の細い第2トルクスプリング84iの巻径を大きくするのに要するトルク(逆方向-Nに対する初期トルク)よりも大きく設定され、逆方向-Nに対する初期トルクが正転方向Nに対する初期トルクよりも小さく設定されていることになる。
【0142】
(逆回転時の作用)
このように構成されたリタードローラ84を備えたプリンタ100は、リタードローラ84による順方向Qへの重送解消の作用によって、繰り出し路P1に送られた最上の用紙Sの順方向Qの後端がフィードローラ82から離れる前に、フィードローラ82を逆転する。このとき、最上の用紙Sと2枚目の用紙Sとは、順方向Qの先端の位置がずれた状態になっている。そして、フィードローラ82に接している最上の用紙Sの上面は、フィードローラ82との摩擦により、逆方向-Qに送られる推進力が作用する。
【0143】
最上の用紙Sが逆方向-Qに移動すると、最上の用紙Sとの摩擦力を推進力として、2枚目の用紙Sも逆方向-Qに移動しようとするが、2枚目の用紙Sの下面は、リタードローラ84に接していて、リタードローラ84には、回転方向と反対向きの初期トルクが掛かっているため、2枚目の用紙Sの下面には、逆方向-Qへの推進力とは反対向きの制動力が作用する。
【0144】
ここで、リタードローラ84は、逆方向-Nに対する初期トルクが正転方向Nに対する初期トルクよりも小さく設定されていて、この逆方向-Nに対する初期トルクは、逆方向-Qに送られる最上の用紙Sから受ける摩擦力よりも小さく設定されている。この結果、2枚目の用紙Sが最上の用紙Sとの摩擦力によって逆方向-Qに移動しようとすると、リタードローラ84は、2枚目の用紙Sの移動に従動して逆方向-Nに回転する。
【0145】
このようにして、フィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれた最上の用紙Sと2枚目の用紙Sは、逆方向-Qに移動する。
【0146】
最上の用紙Sと2枚目の用紙Sとは、順方向Qの先端の位置がずれているため、逆方向-Qへの移動によって、2枚目の用紙Sが最上の用紙Sよりも先に、フィードローラ82とリタードローラ84とから離れ、2枚目の用紙Sは、重力により、用紙トレイ20に落下し、最上の用紙Sから離れる。
【0147】
そして、制御部90が、2枚目の用紙Sが用紙トレイ20に落下した後で、かつ最上の用紙Sがフィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれた状態で、フィードローラ82を再度正転させて、重送が解消された状態で、最上の用紙Sを繰り出し路P1に、順方向Qに送る。
【0148】
このように、本実施形態のプリンタ100は、リタードローラ84が、用紙Sを順方向Qに送る正転方向Nに回転するときと、用紙Sを逆方向-Qに送る逆方向-Nに回転するときとで、回転を抑制する逆トルクの大きさが異なるように設定されている。具体的には、リタードローラ84は、用紙Sを順方向Qに送る正転方向Nに回転するときの回転を抑制する逆トルクよりも、用紙Sを逆方向-Qに送る逆方向-Nに回転するときの回転を抑制する逆トルクが小さく設定されている。
【0149】
これにより、リタードローラ84は、正転方向Nの回転において、重送した2枚目の用紙Sの送りを停止し、重送した2枚目の用紙Sの逆方向-Nへの送りを許容して、用紙Sの重送を確実に解消することができる。
【0150】
したがって、本実施形態のプリンタ100は、続け給紙及び重送を確実に防止することができる。
【0151】
(用紙トレイの傾斜板)
ここで、用紙トレイ20の傾斜板27は、詳細には以下のように構成されている。上述したように、プリンタ100は、フィードローラ82を逆転方向-Nに回転することにより、フィードローラ82とリタードローラ84に挟まれた最上の用紙Sと2枚目の用紙Sとを用紙トレイ20に戻す方向に後退させる。
【0152】
そして、2枚目の用紙Sは、フィードローラ82とリタードローラ84とから離れると、自重により用紙トレイ20に落下するが、2枚目の用紙Sは、フィードローラ82とリタードローラ84とから離れた瞬間に、後退する推進力を供給されなくなる。このため、2枚目の用紙Sは、フィードローラ82とリタードローラ84とから離れた瞬間に、後退する推進力を失う。
【0153】
ここで、リタードローラ84は、図2,4Aに示すように、用紙トレイ20の傾斜板27に形成された開口27dから一部が突出した配置であるため後退する2枚目の用紙Sの後端部がリタードローラ84から離れた直後のタイミングで、2枚目の用紙Sの後端部は、図4Bに示す傾斜板27に載る。
【0154】
傾斜板27は、前後方向Lの前側が後ろ側よりも高い、後ろ下がりの傾斜を有して形成されている。したがって、後退する推進力を失った2枚目の用紙Sも、その後端部が、前側に比べて後ろ側が低い傾斜板27に載ることで、自重により、傾斜板27の傾斜面に沿って移動する。これにより、プリンタ100は、フィードローラ82とリタードローラ84からの後退する推進力が与えられない状態であっても、2枚目の用紙Sを後退して、用紙トレイ20に落下することができる。
【0155】
ここで、2枚目の用紙Sが、フィードローラ82とリタードローラ84とから離れた直後の位置で停止し、用紙トレイ20に落下しない場合は、2枚目の用紙Sの後端部が、フィードローラ82とリタードローラ84とに近接した状態となる。そして、最上の用紙Sを順方向Qに送り直すためにフィードローラ82を、再度、正転方向Nに回転したとき、フィードローラ82とリタードローラ84とに近接した位置でとどまっている2枚目の用紙Sの後端部が、順方向Qに移動し始めた最上の用紙Sとのわずかな接触で、順方向Qに引かれ、再度、重送や続け給紙が発生し得るが、本実施形態のプリンタ100は、そのような事態を回避することができる。
【0156】
なお、傾斜板27の、水平方向に対する勾配(傾斜)の度合いは、2枚目の用紙Sの後端部が、フィードローラ82とリタードローラ84とから離れた直後の部分に載ったときに、2枚目の用紙Sが、自重で、傾斜板27から滑り落ちる程度に設定されていればよい。このような勾配の度合いとしては、一例として25[度]以上であることが好ましく、さらに、35[度]以上であることが、より好ましい。
【0157】
なお、本実施形態のプリンタ100は、傾斜板27に用紙Sが引っ掛かった状態を確実に回避するために、制御部90が、ホッパー21aの上下動を繰り返すように制御してもよい。この場合、仮に、用紙Sが傾斜板27に引っ掛かった状態となっても、制御部90がホッパー21aを上下動させることで、上下動によるホッパー21aの振動が用紙Sに伝わって、用紙Sの傾斜板27への引っ掛かりが解消し、用紙Sを用紙トレイ20に確実に戻すことができる。
【0158】
(用紙ガイド)
図9は、用紙トレイ20と用紙ガイド89との位置関係を示す斜視図、図10は、用紙トレイ20と用紙ガイド89との位置関係を示す平面図、図11A図10におけるA-A線に沿った鉛直面による断面を示す断面図、図11B図10におけるB-B線に沿った鉛直面による断面を示す断面図、図11C図10におけるC-C線に沿った鉛直面による断面を示す断面図、図11D図10におけるD-D線に沿った鉛直面による断面を示す断面図である。
【0159】
本実施形態のプリンタ100は、図1に示すように、繰り出し路P1及び給紙路P2の断面で円弧状の一部のそれぞれ、各搬送路P1,P2の外側を仕切る用紙ガイド89を備えている。
【0160】
用紙ガイド89は、プリンタ100の本体に設けられていて、用紙トレイ20がプリンタ100の本体に装着された状態において、図9に示すように、用紙トレイ20の前上方に配置される。フィードローラ82とリタードローラ84とによって挟まれて繰り出し路P1に送られる用紙Sは、フィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれた部分よりも順方向Qにおいて、下面が傾斜板27に接触しながら繰り出し路P1に送られる。
【0161】
用紙ガイド89の下端縁89bは、図9に示すように、傾斜板27の上端縁27fよりも前上方に位置している。このため、傾斜板27の上端縁27fと用紙ガイド89の下端縁89bとの間には、図9,10,11A,11C,11Dに示すように、隙間が形成されている。
【0162】
ここで、用紙Sのコシが強い場合は、用紙トレイ20からフィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれて傾斜板27に接触しながら上端縁27fを通過した用紙Sの順方向Qの前端が、傾斜板27の上端縁27fと用紙ガイド89の下端縁89bとの間の隙間に入り込むことが起こり易い。
【0163】
しかし、本実施形態のプリンタ100は、用紙トレイ20の傾斜板27の幅方向Wの一部が、図2,9に示すように、傾斜板27の面よりも、前下方にえぐれて凹部27cを形成している。この凹部27cは、幅方向Wの中央部に設けられたリタードローラ84の直近で、幅方向Wの両側にそれぞれ形成されている。
【0164】
一方、本実施形態のプリンタ100は、用紙ガイド89の下端縁89bが幅方向Wに沿って一直線状ではなく、用紙ガイド89の下端部のうち、用紙トレイ20の傾斜板27に形成された2つの凹部27cに対応する部分が、図9,11Bに示すように、下端縁89bよりも下方に突出した突出片89aとして形成されている。そして、この2つの突出片89aが、それそれ、凹部27cに突入した状態となる。
【0165】
ここで、突出片89aが凹部27cに突入した状態は、図11Bに示すように突出片89aの面が傾斜板27のうちリタードローラ84の両側に配置された部分27a、及び図11Cに示すように幅方向Wにおける凹部27cの外側の部分27bよりも低い位置となる。そして、突出片89aの下端縁は、前後方向Lにおいて傾斜板27の延在範囲まで延びている。
【0166】
これにより、本実施形態のプリンタ100は、用紙トレイ20からフィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれて順方向Qに送られる用紙Sの前端は、傾斜板27に接触しながら、用紙ガイド89の突出片89aの上方を通過し始める。
【0167】
そして、用紙Sの前端が傾斜板27の上端縁27fを通過した状態で、用紙Sの前端の一部は、既に、突出片89aの面で用紙ガイド89に案内されているため、用紙Sの前端が、傾斜板27の上端縁27fと用紙ガイド89の下端縁89bとの間の隙間の上方を通過する際に、上端縁27fと下端縁89bとの間の隙間に用紙Sが入り込むことはない。
【0168】
したがって、本実施形態のプリンタ100は、用紙Sのコシの強さの強弱に拘わらず、用紙トレイ20の上端縁27fと用紙ガイド89の下端縁89bとの間の隙間に、用紙Sが入り込むのを防止することができる。
【0169】
なお、上述した用紙トレイ20の凹部27cと用紙ガイド89の突出片89aは、用紙Sに接して用紙Sを送るリタードローラ84の直近である幅方向Wの中央部に近い位置に形成されているため、凹部27cと突出片89aが、幅方向Wの両側に近い位置に形成されている場合よりも、上述した隙間に用紙Sが入り込むのを防止する効果を高めることができる。
【0170】
また、用紙トレイ20の傾斜板27は、幅方向Wの両側部に近い範囲が、図2,9,11Dに示すように、両側縁に近づくにしたがって、傾斜板27の部分27bの面に対して前下方に向けて連続的に深くなるえぐれ面27eに形成されている。
【0171】
また、用紙ガイド89の後端部も、用紙トレイ20の傾斜板27のえぐれ面27eと同様に、幅方向Wの両側部に近い範囲が、図9,11Dに示すように、両側縁に近づくにしたがって、前下方に向けて連続的に深くなるえぐれ面89cに形成されている。
【0172】
ここで、フィードローラ82とリタードローラ84とに挟まれて順方向Qに送られる用紙Sは、幅方向Wの中央部が、フィードローラ82とリタードローラ84とに支持されているため、支持されていない用紙Sの前端の幅方向Wの両側部は、厚さ方向に反って、幅方向Wの両側部が中央部よりも下方に垂れ下がり易い。そのため、用紙Sの前端が傾斜板27の上端縁27fを通過すると、傾斜板27の支えが無くなって、用紙Sの前端の側部が垂れ下がり、中央部に比べて、傾斜板27の上端縁27fと用紙ガイド89の下端縁89bとの間の隙間に入り込み易くなる。
【0173】
しかし、本実施形態のプリンタ100は、図9,11Dに示すように、用紙Sの垂れ下がる両側部が通過する傾斜板27の部分と用紙ガイド89の部分に、それぞれえぐれ面27e,89cが形成されているため、中央部に比べて垂れ下がった用紙Sの前端の側部を、傾斜板27の上端縁27fと用紙ガイド89の下端縁89bとの隙間に入り込み難くすることができる。
【0174】
本実施形態のプリンタ100は、昇華型サーマルプリンタを適用した一例であるが、本発明に係るプリンタは、昇華型サーマルプリンタに限定されず、他の方式のプリンタ、例えば、インクジェット方式のプリンタ、感熱方式のサーマルプリンタ等を適用することもできる。
【0175】
本発明の第1は、
プリンタの本体に固定されたフィードローラと、
前記プリンタの本体に対して着脱可能に装着される、多数の枚葉紙を収容した用紙トレイと、を備え、
前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記フィードローラに接触し、前記用紙トレイに収容された前記用紙を前記フィードローラとで挟んで搬送するリタードロータを有し、
前記リタードローラは、前記用紙トレイの前部の下部に固定された基部材と、前記フィードローラに接触するローラ部材と、上端部において前記ローラ部材を回転自在に支持し、かつ、下端部が前記基部材に対して前後に回転可能に設けられ、高さ方向に延びた姿勢で配置され、前記ローラ部材が前記フィードローラにより押圧されて、前方に揺動する揺動アーム部材と、を有するプリンタである。
【0176】
本発明の第2は、
プリンタの本体に固定されたフィードローラと、
前記プリンタの本体に対して着脱可能に装着される、多数の枚葉紙を収容した用紙トレイと、を備え、
前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記フィードローラに接触し、前記用紙トレイに収容された前記用紙を前記フィードローラとで挟んで搬送するリタードロータを有し、
前記リタードローラの、前記フィードローラに接触するローラ部材は、前記用紙を逆方向に送るときの逆転方向における逆方向へのトルクが、前記用紙を順方向に送るときの正転方向における逆方向へのトルクより小さく設定されているプリンタである。
【0177】
本発明の第3は、
プリンタの本体に固定されたフィードローラと、
前記プリンタの本体に対して着脱可能に装着される、多数の枚葉紙を収容した用紙トレイと、を備え、
前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記フィードローラに接触し、前記用紙トレイに収容された前記用紙を前記フィードローラとで挟んで搬送するリタードロータを有し、
前記リタードローラは、前記用紙トレイの前部における、後ろ下がりの傾斜を有する傾斜板に形成された開口を通じて、前記フィードローラと接触しているプリンタである。
【0178】
本発明の第4は、
プリンタの本体に固定されたフィードローラと、
前記プリンタの本体に対して着脱可能に装着される、多数の枚葉紙を収容した用紙トレイと、を備え、
前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記フィードローラに接触し、前記用紙トレイに収容された前記用紙を前記フィードローラとで挟んで搬送するリタードロータを有し、
前記プリンタの本体に設けられ、前記プリンタの本体に前記用紙トレイが装着された状態で、前記用紙トレイの前上方に配置される用紙ガイドを備え、
前記用紙トレイの傾斜板の幅方向の一部が、前記傾斜板の面よりも、前下方にえぐれて凹部を形成し、
前記用紙ガイドの下端部のうち、前記傾斜板に形成された前記凹部に対応する部分が、前記用紙ガイドの下端縁よりも下方に突出した突出片として形成され、
前記突出片が前記凹部に突入した状態であるプリンタである。
【符号の説明】
【0179】
20 用紙トレイ
81 ピックアップローラ
82 フィードローラ
84 リタードローラ
84a,84a′ 揺動アーム部材
84b ローラ部材
84c コイルバネ
84d 基部材
100 昇華型サーマルプリンタ(プリンタ)
S 枚葉紙(用紙)
H 高さ方向
L 前後方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D