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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005520
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】DMドキュメント生成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20250109BHJP
   G06Q 30/015 20230101ALI20250109BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G06F3/12 343
G06Q30/015
G06Q30/0241
G06F3/12 303
G06F3/12 357
G06F3/12 347
G06F3/12 378
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105713
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】591211205
【氏名又は名称】福島印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】天野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】後山 晃希
(72)【発明者】
【氏名】新保 征也
(72)【発明者】
【氏名】高谷 浩一
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】チェシャー・ラベルを用いた画一的なDM(ダイレクトメール)発行の体制から、顧客毎に媒体や内容を異ならせたDM発行の体制に、容易に移行させるDMドキュメント生成システムを提供する。
【解決手段】テンプレート記憶部16と、複数の画像データを格納しておく素材データ記憶部18と、抽出部12と、コンテンツ生成部14を備えたDMドキュメント生成システム10であって、抽出部12は、宛名ラベル位置情報に基づき、宛名PDFファイルに含まれる個々の宛名ラベルを切り出す処理を実行し、コンテンツ生成部14は、宛名PDFファイルに含まれる制御コードに基づき、各宛名ラベルに適用されるDMの媒体及び企画を特定する処理と、当該媒体及び企画に対応したテンプレート上に宛名ラベルを配置する処理と、テンプレート上に必要な画像データを配置して、宛名ラベル毎のDMドキュメントを生成する処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PDFファイル中の各ページに、少なくとも顧客の住所及び氏名を固有のレイアウト及びデザインで表示させた複数の宛名ラベルが配置された宛名PDFファイルと、
上記宛名PDFファイルの各ページに配置された宛名ラベルの位置を指定する宛名ラベル位置情報と、
DMの枠組みとなるテンプレートを格納しておく記憶手段と、
テンプレート上に設定された枠に配置される複数の画像データを格納しておく記憶手段と、
上記宛名ラベル位置情報に基づき、宛名PDFファイルに含まれる個々の宛名ラベルを切り出す手段と、
上記宛名PDFファイルに含まれる制御コードに基づき、各宛名ラベルに適用されるDMの媒体及び企画の少なくとも一方を特定する手段と、
当該媒体及び企画の少なくとも一方に対応したテンプレート上に設定された宛名表示枠に、宛名ラベルを配置する手段と、
当該テンプレート上に必要な画像データを配置してDMドキュメントを生成する手段と、
を備えたDMドキュメント生成システム。
【請求項2】
PDFファイル中の各ページに、少なくとも顧客の住所及び氏名を固有のレイアウト及びデザインで表示させた複数の宛名ラベルが配置された宛名PDFファイルと、
上記宛名PDFファイルの各ページに配置された宛名ラベルの位置を指定する宛名ラベル位置情報と、
DMの枠組みとなるテンプレート上の各枠に、所定の画像データを配置させた版面データを、DMの媒体及び企画の少なくとも一方毎に格納しておく記憶手段と、
上記宛名ラベル位置情報に基づき、宛名PDFファイルに含まれる個々の宛名ラベルを切り出す手段と、
上記宛名PDFファイルに含まれる制御コードに基づき、当該宛名PDFファイルに含まれる各宛名ラベルに適用されるDMの媒体及び企画の少なくとも一方を特定する手段と、
当該媒体及び企画の少なくとも一方に対応した版面データ上に設定された宛名表示枠に、上記宛名ラベルを配置してDMドキュメントを生成する手段と、
を備えたDMドキュメント生成システム。
【請求項3】
上記制御コードが、宛名PDFファイルの各宛名ラベル中に記述されていることを特徴とする請求項1または2に記載のDMドキュメント生成システム。
【請求項4】
上記制御コードが、宛名PDFファイルの各ページ中に記述されていることを特徴とする請求項1または2に記載のDMドキュメント生成システム。
【請求項5】
上記制御コードが、宛名PDFファイルのファイル名中に記述されていることを特徴とする請求項1または2に記載のDMドキュメント生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はDMドキュメント生成システムに係り、特に、送り先毎に内容の異なるダイレクトメールを印刷する際に用いるDMドキュメントの生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信販売事業者は、顧客に対する販売促進活動の一環として大量のDM(ダイレクトメール)を定期的に発行しており、DMの宛名欄には、図8(a)に示すように、顧客の郵便番号、住所、氏名等が印刷された宛名ラベル60が貼付される。
このような宛名ラベル60としては様々なタイプのものが存在しているが、その一つとしてチェシャー・ラベルシステムを用いたものがある。
これは、図8(b)に示すように、連続帳票(ストックフォーム)62の各ページに複数枚の宛名ラベル60を配置したものを専用の機械を用いて印刷した後、糊付けや裁断、貼り付けまでの作業が自動的に実行されるシステムである。
【非特許文献1】一般社団法人日本ダイレクトメール協会/DM用語集/チェシャー・ラベル(Cheshire Label) インターネットURL:https://www.jdma.or.jp/data/term.php 検索日:2023年6月19日
【0003】
このチェシャー・ラベルシステムを用いることにより、通信販売事業者は宛名ラベルを個々のタックシールに印字してDMに貼り付けるという手作業から解放され、大量の印刷物を膨大な数の顧客に対して郵送することが可能となるのであるが、DMの記述内容や媒体(封書/はがき等)は画一的とならざるを得ない。
【0004】
一方で、バリアブル印刷技術を用いることにより、顧客毎に内容を異ならせたパーソナライズドDMを発行することが行われている。
これは、顧客の住所、氏名、性別、生年月日等の属性情報や購入履歴、適用企画等が記述されたトランザクションデータに基づき、所定のテンプレート上に最適なテキストデータや画像データを配置することにより、宛名を含め顧客毎に内容や媒体の異なるDMドキュメントを生成し、高速デジタルプリンタで一気に印刷する技術である。
【特許文献1】特開2019-067244
【0005】
このようなバリアブル印刷技術の登場を受け、これまでチェシャー・ラベルシステムを用いて画一的な内容のDMを発行していた通信販売事業者であっても、バリアブル印刷技術を用いたパーソナライズドDMを発行する体制に移行したいと希望するのは当然の流れといえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまで自社において管理してきた顧客リストのデータを、バリアブル印刷技術によるDMドキュメントの生成工程に繋げるためには、宛名のレイアウトやデザインを規定するプログラムの開発が新たに必要となるという問題があった。
すなわち、バリアブル印刷を請け負う印刷事業者に対しては、一般にCSV等の汎用的なファイル形式で顧客リストのデータが渡されるため、郵便番号や住所、名前、敬称、顧客番号等の印字項目毎に、フォントや大きさ、色彩、字間、行間、配置等(レイアウト及びデザイン)を定義するためのコーディングが必要となり、当然ながらそれに伴うデバッグ作業も発生する。
【0007】
また、バリアブル印刷技術によるパーソナライズドDMの発行に際しては、顧客毎にDMの内容や媒体をどのように変化させるのかを規定したトランザクションデータの生成が必要となり、このことも新体制への移行を企図する通信販売事業者にとって大きな障壁となっていた。
【0008】
この発明は、このような画一的なDM発行の体制から顧客毎に内容を異ならせたDM発行の体制に移行する際に生じる余計な手間を解消し、旧来型の通信販売事業者がバリアブル印刷の恩恵を受け易くする技術の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載したDMドキュメント生成システムは、PDFファイル中の各ページに、少なくとも顧客の住所及び氏名を固有のレイアウト及びデザインで表示させた複数の宛名ラベルが配置された宛名PDFファイルと、上記宛名PDFファイルの各ページに配置された宛名ラベルの位置を指定する宛名ラベル位置情報と、DMの枠組みとなるテンプレートを格納しておく記憶手段と、テンプレート上に設定された枠に配置される複数の画像データを格納しておく記憶手段と、上記宛名ラベル位置情報に基づき、宛名PDFファイルに含まれる個々の宛名ラベルを切り出す手段と、上記宛名PDFファイルに含まれる制御コードに基づき、各宛名ラベルに適用されるDMの媒体及び企画の少なくとも一方を特定する手段と、当該媒体及び企画の少なくとも一方に対応したテンプレート上に設定された宛名表示枠に、宛名ラベルを配置する手段と、当該テンプレート上に必要な画像データを配置してDMドキュメントを生成する手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載したDMドキュメント生成システムは、PDFファイル中の各ページに、少なくとも顧客の住所及び氏名を固有のレイアウト及びデザインで表示させた複数の宛名ラベルが配置された宛名PDFファイルと、上記宛名PDFファイルの各ページに配置された宛名ラベルの位置を指定する宛名ラベル位置情報と、DMの枠組みとなるテンプレート上の各枠に、所定の画像データを配置させた版面データを、DMの媒体及び企画の少なくとも一方毎に格納しておく記憶手段と、上記宛名ラベル位置情報に基づき、宛名PDFファイルに含まれる個々の宛名ラベルを切り出す手段と、上記宛名PDFファイルに含まれる制御コードに基づき、当該宛名PDFファイルに含まれる各宛名ラベルに適用されるDMの媒体及び企画の少なくとも一方を特定する手段と、当該媒体及び企画の少なくとも一方に対応した版面データ上に設定された宛名表示枠に、上記宛名ラベルを配置してDMドキュメントを生成する手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載したDMドキュメント生成システムは、請求項1または2のシステムであって、上記制御コードが、宛名PDFファイルの各宛名ラベル中に記述されていることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載したDMドキュメント生成システムは、請求項1または2のシステムであって、上記制御コードが、宛名PDFファイルの各ページ中に記述されていることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載したDMドキュメント生成システムは、請求項1または2のシステムであって、上記制御コードが、宛名PDFファイルのファイル名中に記述されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るDMドキュメント生成システムの場合、固有のレイアウトやデザインが施された宛名ラベルを宛名PDFファイル中から切り出し、そのままDMドキュメント中の宛名表示枠に配置する仕組みであるため、既存のチェシャー・ラベルデータを宛名PDFファイルに変換するだけでDMドキュメント中にレイアウトやデザインが完成された宛名ラベルを配置することが可能となり、新たなコーディングやデバッグ作業をすることなく、バリアブル印刷技術を利用したパーソナライズドDMの発行が可能となる。
しかも、宛名PDFファイル中に制御コードを追加するだけで、DMの媒体や企画を宛名ラベル毎に異ならせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明に係るDMドキュメント生成システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】このシステムの準備段階における処理手順を示すフローチャートである。
図3】宛名PDFファイルのイメージを示す図である。
図4】制御コードの一例を示す図である。
図5】DMドキュメントの生成段階における処理手順を示すフローチャートである。
図6】DMの一例を示す図である。
図7】宛名PDFファイルを構成する各ページのフッタ部分に制御コードを記述した例を示す図である。
図8】従来のチェシャー・ラベルを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に示すように、この発明に係るDMドキュメント生成システム10は、例えば印刷事業者が管理するコンピュータよりなり、抽出部12と、コンテンツ生成部14と、テンプレート記憶部16と、素材データ記憶部18と、版面データ記憶部19と、DMドキュメント記憶部20を備えている。
【0017】
抽出部12及びコンテンツ生成部14は、コンピュータのCPUが、専用のアプリケーションプログラムに従って動作することにより実現される。
また、テンプレート記憶部16、素材データ記憶部18、版面データ記憶部19及びDMドキュメント記憶部20は、同コンピュータの記憶装置内に格納されている。
【0018】
テンプレート記憶部16には、DMの基になるテンプレートが複数格納されている。
ここで「テンプレート」とは、DMの用紙サイズやページ構成、各ページに含まれる枠(領域)の大きさや位置などを規定する定義情報を意味しており、DMの媒体及び企画毎に格納されている。
【0019】
また、素材データ記憶部18には、DM中に配置される画像データ(PDFファイル)が多数格納されている。
各画像データは、DMの媒体及び企画毎に予め用意されており、それぞれのファイル名によって適用される媒体、企画、媒体中の適用枠(位置)等が規定されている。
例えば、「01-02-01-03.pdf」というファイル名の画像データが存在した場合に、最初の2桁の数値(01)が当該画像データが配置される媒体を、つぎの2桁の数値(02)が当該画像データに係る企画を、つぎの2桁の数値(01)が当該画像データが配置される媒体中のページを、最後の2桁の数値(03)がページ中の枠(位置)を表している。
【0020】
版面データ記憶部19には、上記テンプレートに必要な画像データが予め配置され、DMコンテンツとして完成された版面データ(PDFファイル)が、媒体×企画毎に複数格納されている。
【0021】
抽出部12は、通信ネットワークを介してDBサーバ22と接続されている。
このDBサーバ22は、例えば通信販売事業者が管理するコンピュータよりなり、宛名ラベルデータ記憶部26と、宛名PDFファイル記憶部28と、抽出設定情報記憶部30を備えている。
【0022】
宛名ラベルデータ記憶部26には、通信販売事業者の顧客リストに従って生成されたチェシャー・ラベル等の既存の宛名ラベルデータが格納されている。
この宛名ラベルデータは、連続帳票用の各ページに複数の顧客の宛名ラベルが配置された形式を備えており(図8(b)参照)、各宛名ラベルには特有のデザインやレイアウトが通信販売事業者によって施されている。
【0023】
抽出設定情報記憶部30には、宛名PDFファイルに含まれる各ページの用紙サイズや、1ページに含まれている宛名ラベルの件数情報(面付け情報)、各宛名ラベルの位置情報(例えば2つの対角点の座標)等が格納されている。
【0024】
以下、図2のフローチャートに従い、このシステム10の準備段階における処理手順について説明する。
まず、通信販売事業者のスタッフ32は、PC端末34上にチェシャー・ラベル編集用のアプリケーションプログラムを起動し、宛名ラベルデータ記憶部26に格納された既存の宛名ラベルデータ(チェシャー・ラベルデータ)を読み込む(S10)。
【0025】
つぎにスタッフ32は、PDFプリンタードライバを用いて上記の宛名ラベルデータをマルチページの宛名PDFファイルに変換する(S12)。
図3は、この宛名PDFファイルのイメージを示すものであり、各ページ40に複数の宛名ラベル42が配置されている。
各宛名ラベル42は基になった宛名ラベルデータのレイアウトやデザインをそのまま引き継いでいると共に、表示された文字のテキストデータも保持している。
【0026】
つぎにスタッフ32は、PC端末34上にPDF編集用のアプリケーションプログラムを起動し、宛名PDFファイルに必要な制御コードを追加していく(S14)。
ここで制御コードとは、DMドキュメント生成時に参照され、DMの媒体やデザイン等を制御する機能を発揮するものを指す。
【0027】
図4は、制御コードの種類を例示するものである。
例えばNO.1の「媒体振分コード」は、2文字の符号を記述することでDMの媒体を指定するものである。
またNO.2の「企画コード」は、2文字の符号を記述することでDMに適用される企画を指定するものである。
NO.3の「発行フラグ」は、1文字の符号を記述することで、今回の企画においてDMを発行するのか(1:発行)、今回はDMの発行を見合わせるのか(2:削除)を制御するものである。
【0028】
NO.4の「差出要件コード」は、2文字の符号を記述することで印刷されたDMをそのまま郵便局に搬送して投函するのか(01:郵送)、依頼人の会社に搬送するのか(02:直送)を振り分けるものである。
NO.5の「差出人コード」は、2文字の符号を記述することでDM中に記述される差出人の名称及び所在地情報を切り替えるものである。
NO.6の「納品先コード」は、2文字の符号を記述することで作成したDMの納品先企業を振り分けるものである。
NO.7の「郵便番号」は、7桁の郵便番号を記述するものであり、宛名ラベル中に郵便番号のテキストデータが埋設されていない場合の郵便ソートに使用される(詳細は後述)。
【0029】
これら制御コードの数値を所定の順番で記述しておくことで、DMドキュメントの生成時に対応の処理が実行される。
これらの制御コードの全てが利用される必要はなく、また記述場所や記述方法にも限定はない。
また、制御コードは数値に限定されるものではなく、アルファベットや記号、片仮名、平仮名、漢字等であってもよい。
【0030】
図3の例では、各宛名ラベル42の右上に媒体振分コードと企画コード及び発行フラグを規定する「01-01-1」や「01-02-1」が記述されている。
これらの制御コードは、実際には白文字で記述されているため、宛名ラベルとして印字された際、肉眼では認識できない。
ただし、テキストデータとしては該当箇所に確かに存在しているため、コンピュータによる読取りは可能となされている。
【0031】
必要な制御コードの追加を完了したスタッフ32は、宛名PDFファイルを宛名PDFファイル記憶部28に格納する(S16)。
【0032】
つぎにスタッフ32は、抽出設定情報を抽出設定情報記憶部30に登録する(S18)。
ここで抽出設定情報とは、上記のように宛名PDFファイルに含まれるページのサイズや、各ページに含まれる宛名ラベルの数、各宛名ラベルの位置情報等で構成される。
図3における符号α、βは、各宛名ラベル42の対角点を示しており、それぞれの座標が宛名ラベルの位置情報として格納される。
なお、宛名ラベル位置の特定方法はこれに限定されるものではなく、例えば各宛名ラベルの中心点の座標及びラベルサイズ(縦横寸法)によって特定することもできる。
【0033】
つぎに、図5のフローチャートに従い、DMドキュメントの生成段階における処理手順について説明する。
まずDMドキュメント生成システム10の抽出部12が、宛名PDFファイル記憶部28に格納された宛名PDFファイルを読み込む(S30)。
【0034】
つぎに抽出部12は、抽出設定情報記憶部30に格納された抽出設定情報を参照し、宛名PDFファイル中の各ページから個々の宛名ラベルを切り出す(S32)。
【0035】
つぎにコンテンツ生成部14が、各宛名ラベル中に記述された媒体振分コードに従い、各宛名ラベルを媒体単位に振り分ける(S34)。例えば、今回のキャンペーンでは顧客によって「4面V圧着はがき」あるいは「6面Z圧着はがき」の2種類の媒体が用いられるとすると、コンテンツ生成部14は宛名ラベルを4面V圧着はがき用と6面Z圧着はがき用に二分する。
【0036】
発行フラグとして「2(削除)」が設定されている宛名ラベルについては、今回のキャンペーンの対象外であることが示されているため、コンテンツ生成部14はこれを削除する(S36)。
【0037】
つぎにコンテンツ生成部14は、各宛名ラベルの媒体振分コード及び企画コードにマッチしたテンプレートをテンプレート記憶部16から取り出すと共に、対応の画像データを素材データ記憶部18から取り出す(S38)。
【0038】
つぎにコンテンツ生成部14は、各画像データをテンプレート上の対応箇所に配置することにより、宛名ラベル1件分のDMドキュメントを生成する(S40)。この際、宛名ラベルもテンプレート中の宛名領域に配置される。
このDMドキュメントは、表裏が連続したマルチページのPDFファイルよりなる。
【0039】
コンテンツ生成部14は、上記S38及びS40の処理を切り出した宛名ラベル毎に繰り返し(S42/N)、全ての宛名ラベルについての処理が完了した時点で(S42/Y)、各DMドキュメントを宛名の郵便番号に基づき媒体単位でソートする(S44)。
この郵便番号に基づくソートは、区分郵便物として郵送料の割引を受けるために行われる処理である。
【0040】
つぎにコンテンツ生成部14は、ソートの完了したDMドキュメントを媒体単位で1つのPDFファイルに結合して媒体単位のDMドキュメント(PDFファイル)を生成し(S46)、DMドキュメント記憶部20に格納する(S48)。
【0041】
このDMドキュメント記憶部20に格納された媒体単位のDMドキュメント(PDFファイル)は、大型のデジタルプリンタ44に出力され、媒体に対応した用紙に印刷される。
例えば、媒体として「6面Z圧着はがき」が指定されていた場合、DMドキュメントが専用の圧着ハガキ用紙に印刷され、通常のハガキサイズに折りたたまれた後、接触する面同士が剥離可能に接着されてDM50として完成する。
このDM50の宛名欄には、対応の宛名ラベル42が印刷されている。
【0042】
図6(a)及び(b)は、DM50の具体例を示すものであり、それぞれ表面の左欄に宛名ラベル42が印刷されている。
この宛名ラベル42は、基になった宛名ラベルデータ(チェシャー・ラベルデータ)と同一のレイアウト及びデザインを保持している。
【0043】
また表面の右欄には、宛名ラベルに設定された企画コードに従い、異なった内容の画像データが表示されている。
例えば、同図(a)に示された「田中次郎」氏については制御コードの企画コードとして「01:PDマルチカード(カードローン)」が設定されていたため、右欄下方には「PDマルチカードのカードローン」に関する広告52が表示されている。
これに対し、同図(b)に示された「斉藤恵子」氏については、制御コードの企画コードとして「02:PDマルチカード(優待サービス)」が設定されていたため、右欄下方には「PDマルチカードの優待サービス」に関する広告54が表示されている。
【0044】
上記においては、個々の宛名ラベル42に制御コードが記述されている例を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、複数の宛名ラベル42に対して同一の制御コードを付与することもできる。
図7はその一例を示すものであり、宛名PDFファイルに含まれる各ページ40のフッタ部分に制御コードが記述されている。
この場合、各ページに含まれる10件の宛名ラベルに関しては共通の制御が及ぶこととなる。
【0045】
例えば、1ページ目のフッタには「01-01-1-01-01-01-1010044」の制御コードが記載されているため、10件の宛名ラベルに関して以下の制御が共通して適用される。
・媒体振分コード:01・・・4面V圧着はがき
・企画コード:01・・・PDマルチカード(カードローン)
・発行フラグ:1・・・発行
・差出要件コード:01・・・郵送
・差出人コード:01・・・A社
・納品先コード:01・・・D社
・郵便番号:1010044
【0046】
これに対し、4ページ目のフッタには「03-02-1-02-02-01-2350019」の制御コードが記載されているため、同ページに含まれる宛名ラベルに関して以下の制御が適用される。
・媒体振分コード:03・・・6面往復はがき
・企画コード:02・・・PDマルチカード(優待サービス)
・発行フラグ:1・・・発行
・差出要件コード:02・・・直送
・差出人コード:02・・・B社
・納品先コード:01・・・D社
・郵便番号:2350019
【0047】
因みに、差出要件コードとして「郵送」が指定されていた場合、当該宛名ラベルに係るDM50は印刷事業者によって最寄りの郵便局に搬送され、そのまま投函される。
これに対し、差出要件コードとして「直送」が指定されていた場合、当該宛名ラベルに係るDM50は通信販売事業者の営業所等に搬送され、通信販売事業者によって最寄りの郵便局に投函される。
【0048】
制御コード中にこの差出要件コードが含まれている場合、抽出部12によって切り出された宛名ラベル42が、コンテンツ生成部14によって「郵送」と「直送」に振り分けられ、差出要件単位でDMドキュメントが生成された後、デジタルプリンタ44によって別々のロットとして印刷される。
【0049】
また、制御コード中に差出人コードが含まれている場合、コンテンツ生成部14は指定の差出人コードに関連付けられた名称、住所、電話番号等をDM50の差出人としてDMコンテンツ中に記述する。
【0050】
制御コード中に納品先コードが含まれている場合、抽出部12によって切り出された宛名ラベル42が、コンテンツ生成部14によって指定の納品先毎に振り分けられ、納品先単位でDMドキュメントが生成された後、デジタルプリンタ44によって別々のロットとして印刷される。
【0051】
制御コードを、宛名ラベル42やページ40中に記述する代わりに、以下のように宛名PDFファイルのファイル名として付与しておくこともできる。
01-01-1-01-01-01-1010044.pdf
02-02-1-01-02-01-1050001.pdf
03-02-1-01-01-03-1050005.pdf
03-02-1-02-02-01-2350019.pdf
この場合、同一の宛名PDFファイル中に含まれる全ての宛名ラベル42について共通の制御が適用されることとなる。
【0052】
上記のように、コンテンツ生成部14が制御コード中の媒体振分コード及び企画コードにマッチしたテンプレートをテンプレート記憶部16から取得すると共に、当該テンプレートに対応の画像データ及び宛名データを配置することにより、多様なDMドキュメントを柔軟に生成することが可能となるが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
すなわち、コンテンツ生成部14が制御コード中の媒体振分コード及び企画コードにマッチした版面データを版面データ記憶部19から抽出し、当該版面データ中に設定された宛名表示枠に宛名データを配置することにより、DMドキュメントを簡易的に生成することもできる。
この場合、宛名PDFファイルのファイル名に版面データを特定する制御コードを含ませておき、同一の宛名PDFファイルに含まれる各宛名ラベルについては共通の版面データが適用されるように運用することで、より簡易的な制御が可能となる。
【0054】
上記においては、DBサーバ22の宛名PDFファイル記憶部28及び抽出設定情報記憶部30を、DMドキュメント生成システム10の抽出部12が直接参照する例を示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
例えば、通信販売事業者のスタッフ32によって作成された宛名PDFファイルや抽出設定情報を、電子メールへの添付やUSBメモリへの格納によって印刷事業者に提供することもできる。
この場合、適当な記憶装置にコピーされた宛名PDFファイルや抽出設定情報が、抽出部12によって参照されることとなる。
【符号の説明】
【0055】
10 DMドキュメント生成システム
12 抽出部
14 コンテンツ生成部
16 テンプレート記憶部
18 素材データ記憶部
19 版面データ記憶部
20 DMドキュメント記憶部
22 DBサーバ
26 宛名ラベルデータ記憶部
28 宛名PDFファイル記憶部
30 抽出設定情報記憶部
34 PC端末
40 宛名PDFファイルのページ
42 宛名ラベル
44 デジタルプリンタ
50 DM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8