(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005593
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】増幅回路
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20250109BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20250109BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H03F1/02 188
H03F3/24
H03F3/68 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105818
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】徳田 郁実
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AA62
5J500AA63
5J500AA65
5J500AC21
5J500AC36
5J500AF07
5J500AF08
5J500AF15
5J500AH06
5J500AH10
5J500AH25
5J500AH32
5J500AH33
5J500AH35
5J500AK16
5J500AK29
5J500AK44
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT02
5J500CK06
5J500CK07
(57)【要約】
【課題】電力効率の改善および信号歪みの抑制を実現できるドハティ型の増幅回路を提供する。
【解決手段】増幅回路10は、キャリアアンプ11およびピークアンプ21と、移相線路42と、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、キャリアアンプ11は信号入力端子120と第1端子との間に接続され、ピークアンプ21は信号入力端子120と移相線路42の一端との間に接続され、移相線路42の他端は第2端子に接続され、信号出力端子110は第3端子に接続され、インピーダンス素子の一端は第2端子に接続され、インピーダンス素子の他端は信号出力端子110に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子および出力端子と、
キャリアアンプおよびピークアンプと、
第1移相回路と、
第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、
抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、
前記キャリアアンプは、前記入力端子と前記第1端子との間に接続され、
前記ピークアンプは、前記入力端子と前記第1移相回路の一端との間に接続され、
前記第1移相回路の他端は前記第2端子に接続され、
前記出力端子は前記第3端子に接続され、
前記インピーダンス素子の一端は前記第2端子に接続され、
前記インピーダンス素子の他端は前記出力端子に接続される、
増幅回路。
【請求項2】
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのそれぞれは、反転増幅器であり、
前記第1移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、
請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの一端は前記第3端子に接続され、
前記第2コイルの他端はグランドに接続される、
請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端および前記第2コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの他端は前記第3端子に接続される、
請求項1または2に記載の増幅回路。
【請求項5】
入力端子および出力端子と、
キャリアアンプおよびピークアンプと、
第1移相回路と、
第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、
抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、
前記キャリアアンプは、前記入力端子と前記第1端子との間に接続され、
前記ピークアンプは、前記入力端子と前記第1移相回路の一端との間に接続され、
前記第1移相回路の他端は前記第2端子に接続され、
前記出力端子は前記第3端子に接続され、
前記インピーダンス素子の一端は前記第1端子に接続され、
前記インピーダンス素子の他端は前記出力端子に接続される、
増幅回路。
【請求項6】
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのそれぞれは、反転増幅器であり、
前記第1移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、
請求項5に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端および前記第2コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの他端は前記第3端子に接続される、
請求項5または6に記載の増幅回路。
【請求項8】
入力端子および出力端子と、
キャリアアンプおよびピークアンプと、
第1移相回路と、
第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、
抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、
前記キャリアアンプは、前記入力端子と前記第1端子との間に接続され、
前記ピークアンプは、前記入力端子と前記第1移相回路の一端との間に接続され、
前記第1移相回路の他端は前記第2端子に接続され、
前記出力端子は前記第3端子に接続され、
前記インピーダンス素子の一端は前記第2端子に接続され、
前記インピーダンス素子の他端は前記第1端子に接続される、
増幅回路。
【請求項9】
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのそれぞれは、反転増幅器であり、
前記第1移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、
請求項8に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端および前記第2コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの他端は前記第3端子に接続される、
請求項8または9に記載の増幅回路。
【請求項11】
さらに、
前記入力端子と前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端との間に接続された電力分配器と、
前記入力端子と前記ピークアンプの入力端との間に接続された第2移相回路と、を備える、
請求項1、5および8のいずれか1項に記載の増幅回路。
【請求項12】
前記第2移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、
請求項11に記載の増幅回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャリアアンプおよびピークアンプを備えたドハティ増幅回路が開示されている。ドハティ増幅回路では、入力信号の電力レベルが大きくなるとピークアンプが動作することでキャリアアンプの出力端の負荷インピーダンスが調整される。これにより、ドハティ増幅回路の効率や線形性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドハティ増幅回路の場合、ピークアンプ動作時にはキャリアアンプおよびピークアンプの合成出力信号がキャリアアンプから出力される。しかしながら、キャリアアンプの出力端の負荷インピーダンスが理想的とならないことにより、ピークアンプの出力信号の一部がキャリアアンプの出力信号と合成されずに単独でドハティ増幅回路の出力端子へ漏れてしまう場合がある。これにより、ドハティ増幅回路の電力効率が劣化し、また、利得の線形性が悪化して信号歪みが発生する場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、電力効率の改善および信号歪みの抑制を実現できるドハティ型の増幅回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る増幅回路は、入力端子および出力端子と、キャリアアンプおよびピークアンプと、第1移相回路と、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、キャリアアンプは、入力端子と第1端子との間に接続され、ピークアンプは、入力端子と第1移相回路の一端との間に接続され、第1移相回路の他端は第2端子に接続され、出力端子は第3端子に接続され、インピーダンス素子の一端は第2端子に接続され、インピーダンス素子の他端は出力端子に接続される。
【0007】
また、本発明の一態様に係る増幅回路は、入力端子および出力端子と、キャリアアンプおよびピークアンプと、第1移相回路と、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、キャリアアンプは、入力端子と第1端子との間に接続され、ピークアンプは、入力端子と第1移相回路の一端との間に接続され、第1移相回路の他端は第2端子に接続され、出力端子は第3端子に接続され、インピーダンス素子の一端は第1端子に接続され、インピーダンス素子の他端は出力端子に接続される。
【0008】
また、本発明の一態様に係る増幅回路は、入力端子および出力端子と、キャリアアンプおよびピークアンプと、第1移相回路と、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、キャリアアンプは、入力端子と第1端子との間に接続され、ピークアンプは、入力端子と第1移相回路の一端との間に接続され、第1移相回路の他端は第2端子に接続され、出力端子は第3端子に接続され、インピーダンス素子の一端は第2端子に接続され、インピーダンス素子の他端は第1端子に接続される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力効率の改善および信号歪みの抑制を実現できるドハティ型の増幅回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に係る増幅回路、高周波回路および通信装置の回路構成図である。
【
図3】実施例および比較例に係る増幅回路の利得および負荷インピーダンスの特性を模式的に示すグラフである。
【
図4】実施例2に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図5】実施例3に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図6】実施例4に係る増幅回路の回路構成図である。
【
図7】実施例5に係る増幅回路の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施例および変形例における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさまたは大きさの比は、必ずしも厳密ではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する場合がある。
【0012】
また、以下において、平行および垂直等の要素間の関係性を示す用語、矩形状等の要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する。
【0013】
本開示の回路構成において、「接続される」とは、接続端子および/または配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路素子を介して電気的に接続される場合も含む。「AとBとの間に接続される」とは、AおよびBの間でAおよびBの両方に接続されることを意味し、AおよびBを結ぶ経路に直列接続されることに加えて、当該経路とグランドとの間に並列接続(シャント接続)されることを含む。
【0014】
また、本開示において、「信号経路」とは、高周波信号が伝搬する配線、当該配線に直接接続された電極、および当該配線または当該電極に直接接続された端子等で構成された伝送線路であることを意味する。
【0015】
また、本開示の回路接続構成において、「部品(素子)Aが経路Bに直列配置される」とは、部品(素子)Aの信号入力端および信号出力端の双方が、経路Bを構成する配線、電極、または端子に接続されていることを意味する。また、「複数の経路が並列接続される」とは、複数の経路のそれぞれの一端同士が、同一の配線、電極、または端子に接続されていることを意味する。
【0016】
(実施の形態)
[1.増幅回路10、高周波回路1および通信装置4の回路構成]
本実施の形態の実施例1に係る増幅回路10、高周波回路1および通信装置4の回路構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、実施例1に係る増幅回路10、高周波回路1および通信装置4の回路構成図である。
【0017】
[1.1 通信装置4の回路構成]
まず、通信装置4の回路構成について説明する。
図1に示すように、実施例1に係る通信装置4は、高周波回路1と、アンテナ2と、RF信号処理回路(RFIC)3と、を備える。
【0018】
高周波回路1は、アンテナ2とRFIC3との間で高周波信号を伝送する。高周波回路1の詳細な回路構成については後述する。
【0019】
アンテナ2は、高周波回路1のアンテナ接続端子100に接続され、高周波回路1から出力された高周波信号を送信し、また、外部から高周波信号を受信して高周波回路1へ出力する。
【0020】
RFIC3は、高周波信号を処理する信号処理回路の一例であり、高周波回路1の信号入力端子120および信号出力端子130に接続される。具体的には、RFIC3は、高周波回路1の受信経路を介して入力された受信信号をダウンコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された受信信号をベースバンド信号処理回路(BBIC、図示せず)へ出力する。また、RFIC3は、BBICから入力された送信信号をアップコンバート等により信号処理し、当該信号処理して生成された送信信号を、高周波回路1の送信経路に出力する。また、RFIC3は、高周波回路1が有する回路部品を制御する制御部を有する。なお、RFIC3の制御部としての機能の一部または全部は、RFIC3の外部に実装されてもよく、例えば、BBICまたは高周波回路1に実装されてもよい。
【0021】
また、RFIC3は、高周波回路1が有する各アンプに供給される電源電圧およびバイアス電圧(またはバイアス電流)を制御する制御部としての機能も有する。具体的には、RFIC3は、制御信号を高周波回路1に出力する。高周波回路1の各アンプには、上記制御信号により制御された電源電圧およびバイアス電圧(またはバイアス電流)が供給される。
【0022】
なお、本実施例に係る通信装置4において、アンテナ2は、必須の構成要素ではない。
【0023】
[1.2 高周波回路1の回路構成]
次に、高周波回路1の回路構成について説明する。
図1に示すように、高周波回路1は、増幅回路10と、フィルタ61および62と、低雑音増幅器31と、キャパシタ71と、インダクタ72と、アンテナ接続端子100と、信号入力端子120と、信号出力端子130と、を備える。
【0024】
フィルタ61は、信号出力端子110およびアンテナ接続端子100の間に接続され、増幅回路10で増幅された送信信号のうち、バンドAの送信信号を通過させる。フィルタ62は、低雑音増幅器31およびアンテナ接続端子100の間に接続され、アンテナ2で受信した受信信号のうち、バンドAの受信帯域の信号を通過させる。
【0025】
なお、フィルタ61および62は、バンドAの信号を送受信するデュプレクサを構成していてもよいし、時分割複信(TDD:Time Division Duplex)方式で伝送する1つのフィルタであってもよい。フィルタ61および62がTDD用のフィルタである場合には、上記1つのフィルタの前段および後段の少なくとも一方に、送信および受信を切り替えるスイッチが配置される。
【0026】
低雑音増幅器31は、フィルタ62および信号出力端子130の間に接続され、バンドAの受信信号を増幅してRFIC3へ出力する。
【0027】
キャパシタ71は、信号出力端子110とフィルタ61との間に直列配置されたインピーダンス整合用の回路素子である。なお、キャパシタ71は、信号出力端子110とフィルタ61とを結ぶ経路とグランドとの間に接続(シャント配置)されてもよく、また無くてもよい。
【0028】
インダクタ72は、フィルタ61とアンテナ接続端子100とを結ぶ経路とグランドとの間に接続(シャント配置)されたインピーダンス整合用の回路素子である。なお、インダクタ72は、フィルタ61とアンテナ接続端子100との間に直列配置されてもよく、また無くてもよい。
【0029】
なお、高周波回路1は、バンドAと異なるバンドBの送信信号をアンテナ2へ伝送する送信回路、および、アンテナ2から受信されたバンドBの受信信号を、RFIC3へ伝送する受信回路を備えていてもよい。さらに、高周波回路1は、3以上のバンドの高周波信号を送受信する回路を構成していてもよい。
【0030】
[1.3 実施例1に係る増幅回路10の回路構成]
次に、増幅回路10の回路構成について、詳細に説明する。
【0031】
図1に示すように、増幅回路10は、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11と、ピークアンプ21と、移相線路41および42と、分配器50と、トランス80と、抵抗素子70と、を備える。
【0032】
信号入力端子120は、入力端子の一例であり、RFIC3に接続されている。信号出力端子110は、出力端子の一例であり、キャパシタ71およびフィルタ61を介してアンテナ接続端子100に接続されている。なお、信号入力端子120、信号出力端子110およびアンテナ接続端子100のそれぞれは、金属電極および金属バンプなどの金属導体であってもよく、また、金属配線上の一点であってもよい。
【0033】
キャリアアンプ11は、キャリアアンプ11に入力される高周波信号を増幅する。キャリアアンプ11は、例えばキャリアアンプ11に入力される信号の全ての電力レベルに対して増幅動作可能なA級(またはAB級)増幅回路であり、特に、低出力領域および中出力領域において高効率な増幅動作が可能である。キャリアアンプ11は、例えば、反転増幅器であり、入力信号の位相を反転させて出力する。キャリアアンプの入力端は分配器50を介して信号入力端子120に接続され、出力端はトランス80に接続される。
【0034】
ピークアンプ21は、ピークアンプ21に入力される高周波信号を増幅する。ピークアンプ21は、例えばピークアンプ21に入力される信号の電力レベルが高い領域で増幅動作可能なC級増幅回路である。ピークアンプ21が有する増幅トランジスタには、例えば、キャリアアンプ11が有する増幅トランジスタに印加されるバイアス電圧よりも小さいバイアス電圧が印加される。これによれば、ピークアンプ21に入力される信号の電力レベルが高くなるほど、出力インピーダンスが低くなる。これにより、ピークアンプ21は、高出力領域において低歪の増幅動作が可能である。ピークアンプ21は、例えば、反転増幅器であり、入力信号の位相を反転させて出力する。ピークアンプ21の入力端は移相線路41に接続され、出力端は移相線路42に接続される。
【0035】
キャリアアンプ11およびピークアンプ21のそれぞれは、増幅トランジスタを有する。上記増幅トランジスタは、例えば、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタ、または、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)等の電界効果トランジスタである。
【0036】
移相線路42は、第1移相回路の一例であり、例えば1/4波長伝送線路である。移相線路42は、その一端から入力された高周波信号の位相を90°(1/4波長)遅らせてその他端から出力する。なお、移相線路42(第1移相回路)は、移相線路という形態を有していなくてもよく、例えば、ピークアンプ21とトランス80とを結ぶ経路に直列配置されたインダクタ素子、または、インダクタおよびキャパシタで構成されたローパスフィルタであってもよい。移相線路42の一端は、ピークアンプ21の出力端に接続され、他端はトランス80に接続される。
【0037】
移相線路41は、第2移相回路の一例であり、例えば1/4波長伝送線路である。移相線路41は、その一端から入力された高周波信号の位相を90°(1/4波長)遅らせてその他端から出力する。なお、移相線路41(第2移相回路)は、移相線路という形態を有していなくてもよく、例えば、分配器50とピークアンプ21とを結ぶ経路に直列配置されたインダクタ素子、または、インダクタおよびキャパシタで構成されたローパスフィルタであってもよい。移相線路41の一端は、分配器50を介して信号入力端子120に接続され、他端はピークアンプ21の入力端に接続される。
【0038】
なお、移相線路41および42のそれぞれは、入力されたバンドAの高周波信号の位相を厳密に90°遅らせることに限定されず、入力されたバンドAの高周波信号の位相を(90°±20°)の範囲で遅らせる回路であればよい。
【0039】
トランス80は、電力合成器の一例であり、第1端子、第2端子および第3端子(
図1に図示せず)を有し、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する。トランス80は、互いに電磁界結合するコイル801(第1コイル)および802(第2コイル)を有する。コイル801の一端は第1端子を介してキャリアアンプ11の出力端に接続され、コイル801の他端は第2端子を介して移相線路42の他端に接続される。コイル802の一端は第3端子を介して信号出力端子110に接続され、コイル802の他端はグランドに接続される。なお、コイル801の一端が第1端子であり、コイル801の他端が第2端子であり、コイル802の一端が第3端子であってもよい。
【0040】
分配器50は、電力分配器の一例であり、信号入力端子120と、キャリアアンプ11の入力端およびピークアンプ21の入力端と、の間に接続される。分配器50は、第4端子、第5端子および第6端子(
図1に図示せず)を有し、第4端子に入力された高周波信号を、所定の分配比で電力分配し、当該電力分配された高周波信号の一方を第5端子から出力し、当該電力分配された高周波信号の他方を第6端子から出力する。第4端子は信号入力端子120に接続され、第5端子はキャリアアンプ11の入力端に接続され、第6端子は移相線路41の一端に接続される。
【0041】
抵抗素子70は、第1抵抗素子の一例であり、また、インピーダンス素子の一例である。抵抗素子70の一端はコイル801の他端(第2端子)に接続され、抵抗素子70の他端は信号出力端子110に接続されている。抵抗素子70は、第2端子、コイル801および802、ならびに信号出力端子110を結ぶ経路と異なるバイパス経路に直列配置されている。
【0042】
ここで、キャリアアンプおよびピークアンプを有するドハティ型の増幅回路の動作について、比較例に係る増幅回路500を参照して説明する。
【0043】
ドハティ型の増幅回路とは、複数の増幅器をキャリアアンプおよびピークアンプとして用いることで高効率を実現する増幅回路である。キャリアアンプとは、ドハティ型の増幅回路において、高周波信号(入力)の電力が低くても高くても動作する増幅器を意味する。ピークアンプとは、ドハティ型の増幅回路において、高周波信号(入力)の電力が高い場合に主として動作する増幅器を意味する。したがって、高周波信号の入力電力が低い場合は、高周波信号は主としてキャリアアンプで増幅され、高周波信号の入力電力が高い場合には、高周波信号はキャリアアンプおよびピークアンプで増幅され合成される。このような動作により、ドハティ型の増幅回路では、低出力電力領域においてキャリアアンプからみた負荷インピーダンスが増大し、低出力電力における効率が向上する。また、高出力電力領域においてキャリアアンプからみた負荷インピーダンスが低下し、高出力電力における線形性が向上する。
【0044】
図2は、比較例に係る増幅回路500の回路構成図である。同図に示された増幅回路500は、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11と、ピークアンプ21と、移相線路41および43と、分配器50と、を備える。比較例に係る増幅回路500は、実施例1に係る増幅回路10と比較して、移相線路42に代わって移相線路43が付加されている点、および、トランス80が配置されていない点が、構成として異なる。
【0045】
まず、キャリアアンプ11およびピークアンプ21が動作(ON)している場合(大信号入力時)のキャリアアンプ11の負荷インピーダンスは、移相線路43によりインピーダンス変換され、キャリアアンプ11が動作(ON)し、ピークアンプ21が動作していない(OFF)場合(小信号入力時)のキャリアアンプ11の負荷インピーダンスと比較して小さくなる。よって、大信号入力時には、キャリアアンプ11およびピークアンプ21が動作することで大電力信号を出力することができる。
【0046】
次に、キャリアアンプ11が動作(ON)し、ピークアンプ21が動作していない(OFF)場合(小信号入力時)、ピークアンプ21の負荷インピーダンスはオープン状態となり、大信号入力時に対して小信号入力時には、キャリアアンプ11の負荷インピーダンスは高くなる。よって、小信号入力時には、キャリアアンプ11の負荷インピーダンスが高くなることで、増幅回路500は高効率動作することが可能となる。
【0047】
しかしながら、キャリアアンプ11とピークアンプ21とが動作しているとき(大信号入力時)、キャリアアンプ11は有限のインピーダンスを有し、理想的なインピーダンスを有さないため、ピークアンプ21の出力信号の一部がキャリアアンプ11の出力信号と合成されずに、単独で信号出力端子110へ漏れてしまう場合がある。これにより、増幅回路500の電力効率が劣化し、また、利得の線形性が悪化して信号歪みが発生する場合がある。
【0048】
これに対して、本実施例に係る増幅回路10では、抵抗素子70が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21からトランス80を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。
【0049】
以下、本実施例に係る増幅回路10の回路状態について、
図1を参照して具体的に説明する。
【0050】
図1に示すように、まず、信号入力端子120から高周波主信号が入力される。ここで、信号入力端子120と分配器50とを結ぶ経路上のノードn1において、高周波主信号の位相が0°であるとする。高周波主信号が分配器50で電力分配され、キャリアアンプ11側にキャリア主信号として出力され、ピークアンプ21側にピーク信号およびピーク補助信号として出力されたとする。分配器50とキャリアアンプ11とを結ぶ経路上のノードn2において、キャリア主信号の位相は変化せず0°となる。一方、移相線路41とピークアンプ21とを結ぶ経路上のノードn4において、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は移相線路41により90°遅れて-90°となる。
【0051】
次に、キャリア主信号の位相は、キャリアアンプ11で反転し、キャリアアンプ11の出力端とコイル801とを結ぶ経路上のノードn3において、-180°となる。一方、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は、ピークアンプ21で反転し、ピークアンプ21の出力端のノードn5において-270°となり、コイル801の他端のノードn6において、移相線路42により90°遅れて0°となる。
【0052】
次に、ピークアンプ21で増幅される信号は、コイル801の他端でピーク信号およびピーク補助信号に分岐される。ピーク信号は、コイル801および802を経由してコイル802と信号出力端子110とを結ぶ経路上のノードn7に到達する。ピーク補助信号は、抵抗素子70を経由してノードn7に到達する。ここで、ピーク信号は、コイル801の他端からコイル802の一端へと伝送されるので、ピーク信号の位相は反転し、ノードn7において-180°となる。一方、ピーク補助信号は、抵抗素子70を通過し、位相シフトしないので、ノードn7において0°となる。つまり、ノードn7では、ピーク信号およびピーク補助信号の位相が逆相関係となるため、ピーク信号とピーク補助信号とはノードn7において略相殺される。
【0053】
なお、抵抗素子70の抵抗値は、ノードn7においてピーク信号とピーク補助信号との振幅が略等しくなるよう決定される。
【0054】
これによれば、ピークアンプ21の出力信号の一部が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できる。
【0055】
図3は、実施例1および比較例に係る増幅回路の利得および負荷インピーダンスの特性を模式的に示すグラフである。同図の上段には、増幅回路の出力電力に対するキャリアアンプ11およびピークアンプ21の利得が示されており、同図の下段には、キャリアアンプ11の出力端における負荷インピーダンスが示されている。
【0056】
図3に示すように、増幅回路の出力電力が高い領域ではピークアンプ21がオン状態となる。これとともに、キャリアアンプ11の負荷インピーダンスは低下し、キャリアアンプ11は大電力信号を出力することができる。
【0057】
また、比較例に係る増幅回路500では、ピークアンプ21の出力信号が、単独で信号出力端子110へ漏洩するため、増幅回路500としての利得が、出力電力の増加とともに上昇してしまう。よって、利得の線形性が悪化して信号歪みが大きくなる。
【0058】
これに対して、本実施例に係る増幅回路10によれば、ピークアンプ21の出力信号が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できるので、増幅回路10としての利得はキャリアアンプ11の利得と略等しくなり、利得を一定に維持することができるので、信号歪みを抑制できる。
【0059】
[1.4 実施例2に係る増幅回路10Aの回路構成]
次に、実施例2に係る増幅回路10Aの回路構成について、詳細に説明する。
図4は、実施例2に係る増幅回路10Aの回路構成図である。同図に示すように、増幅回路10Aは、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11と、ピークアンプ21と、移相線路41および42と、分配器50と、トランス81と、抵抗素子73と、を備える。本実施例に係る増幅回路10Aは、実施例1に係る増幅回路10と比較して、トランス81の構成が異なる。以下、本実施例に係る増幅回路10Aについて、実施例1に係る増幅回路10と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0060】
キャリアアンプ11の入力端は分配器50を介して信号入力端子120に接続され、出力端はトランス81に接続される。ピークアンプ21の入力端は移相線路41に接続され、出力端は移相線路42に接続される。
【0061】
移相線路42は、第1移相回路の一例であり、例えば1/4波長伝送線路である。移相線路42の一端は、ピークアンプ21の出力端に接続され、他端はトランス81に接続される。移相線路41の一端は、分配器50を介して信号入力端子120に接続され、他端はピークアンプ21の入力端に接続される。
【0062】
トランス81は、電力合成器の一例であり、第1端子、第2端子および第3端子(
図4に図示せず)を有し、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する。トランス81は、互いに電磁界結合するコイル811(第2コイル)および812(第1コイル)を有する。コイル811の一端およびコイル812の一端は第1端子を介してキャリアアンプ11の出力端に接続される。コイル811の他端は第2端子を介して移相線路42の他端に接続される。コイル812の一端は第3端子を介して信号出力端子110に接続される。なお、コイル811の一端およびコイル812の一端が第1端子であり、コイル812の他端が第2端子であり、コイル811の他端が第3端子であってもよい。
【0063】
なお、電力合成器は、トランス81の代わりに、互いに電磁界結合する2本の伝送線路で構成された伝送線路トランスであってもよい。
【0064】
抵抗素子73は、第1抵抗素子の一例であり、また、インピーダンス素子の一例である。抵抗素子73の一端はコイル812の他端(第2端子)に接続され、抵抗素子73の他端は信号出力端子110に接続されている。抵抗素子73は、第2端子、コイル812および811、ならびに信号出力端子110を結ぶ経路と異なるバイパス経路に直列配置されている。
【0065】
本実施例に係る増幅回路10Aでは、抵抗素子73が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21からトランス81を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。
【0066】
以下、本実施例に係る増幅回路10Aの回路状態について、
図4を参照して具体的に説明する。
【0067】
図4に示すように、まず、信号入力端子120から高周波主信号が入力される。ここで、信号入力端子120と分配器50とを結ぶ経路上のノードn1において、高周波主信号の位相が0°であるとする。高周波主信号が分配器50で電力分配され、キャリアアンプ11側にキャリア主信号として出力され、ピークアンプ21側にピーク信号およびピーク補助信号として出力されたとする。分配器50とキャリアアンプ11とを結ぶ経路上のノードn2において、キャリア主信号の位相は変化せず0°となる。一方、移相線路41とピークアンプ21とを結ぶ経路上のノードn4において、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は移相線路41により90°遅れて-90°となる。
【0068】
次に、キャリア主信号の位相は、キャリアアンプ11で反転し、キャリアアンプ11の出力端とコイル811とを結ぶ経路上のノードn3において、-180°となる。一方、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は、ピークアンプ21で反転し、ピークアンプ21の出力端のノードn5において-270°となり、コイル812の他端のノードn6において、移相線路42により90°遅れて0°となる。
【0069】
次に、ピークアンプ21で増幅される信号は、コイル812の他端でピーク信号およびピーク補助信号に分岐される。ピーク信号は、コイル812および811を経由してコイル811と信号出力端子110とを結ぶ経路上のノードn7に到達する。ピーク補助信号は、抵抗素子73を経由してノードn7に到達する。ここで、ピーク信号は、コイル812の他端からコイル811の他端へと伝送されるのでピーク信号の位相は反転し、ノードn7において-180°となる。一方、ピーク補助信号は、抵抗素子73を通過し、位相シフトしないので、ノードn7において0°となる。つまり、ノードn7では、ピーク信号およびピーク補助信号の位相が逆相関係となるため、ピーク信号とピーク補助信号とはノードn7において略相殺される。
【0070】
なお、抵抗素子73の抵抗値は、ノードn7においてピーク信号とピーク補助信号との振幅が略等しくなるよう決定される。
【0071】
これによれば、ピークアンプ21の出力信号の一部が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Aを提供できる。
【0072】
[1.5 実施例3に係る増幅回路10Bの回路構成]
次に、実施例3に係る増幅回路10Bの回路構成について、詳細に説明する。
図5は、実施例3に係る増幅回路10Bの回路構成図である。同図に示すように、増幅回路10Bは、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11と、ピークアンプ21と、移相線路41および42と、分配器50と、トランス81と、抵抗素子74と、を備える。本実施例に係る増幅回路10Bは、実施例2に係る増幅回路10Aと比較して、抵抗素子74の接続構成が異なる。以下、本実施例に係る増幅回路10Bについて、実施例2に係る増幅回路10Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0073】
抵抗素子74は、第1抵抗素子の一例であり、また、インピーダンス素子の一例である。抵抗素子74の一端はコイル811の一端およびコイル812の一端(第1端子)に接続され、抵抗素子74の他端は信号出力端子110に接続されている。抵抗素子74は、コイル811と並列接続されている。
【0074】
本実施例に係る増幅回路10Bでは、抵抗素子74が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21からコイル812および811を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。
【0075】
以下、本実施例に係る増幅回路10Bの回路状態について、
図5を参照して具体的に説明する。
【0076】
図5に示すように、まず、信号入力端子120から高周波主信号が入力される。ここで、信号入力端子120と分配器50とを結ぶ経路上のノードn1において、高周波主信号の位相が0°であるとする。高周波主信号が分配器50で電力分配され、キャリアアンプ11側にキャリア主信号として出力され、ピークアンプ21側にピーク信号およびピーク補助信号として出力されたとする。分配器50とキャリアアンプ11とを結ぶ経路上のノードn2において、キャリア主信号の位相は変化せず0°となる。一方、移相線路41とピークアンプ21とを結ぶ経路上のノードn4において、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は移相線路41により90°遅れて-90°となる。
【0077】
次に、キャリア主信号の位相は、キャリアアンプ11で反転し、キャリアアンプ11の出力端とコイル811とを結ぶ経路上のノードn3において、-180°となる。一方、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は、ピークアンプ21で反転し、ピークアンプ21の出力端のノードn5において-270°となり、コイル812の他端のノードn6において、移相線路42により90°遅れて0°となる。
【0078】
次に、ピークアンプ21で増幅される信号は、コイル812の一端とコイル811の一端との接続点でピーク信号およびピーク補助信号に分岐される。ピーク信号は、コイル812および811を経由してコイル811と信号出力端子110とを結ぶ経路上のノードn7に到達する。ピーク補助信号は、コイル812および抵抗素子74を経由してノードn7に到達する。ここで、ピーク信号は、互いに電磁界結合するコイル812および811を通過するので、ピーク信号の位相は反転し、ノードn7において-180°となる。一方、ピーク補助信号は、互いに電磁界結合しないコイル812および抵抗素子74を通過し位相シフトしないので、ノードn7において0°となる。つまり、ノードn7では、ピーク信号およびピーク補助信号の位相が逆相関係となるため、ピーク信号とピーク補助信号とはノードn7において略相殺される。
【0079】
なお、抵抗素子74の抵抗値は、ノードn7においてピーク信号とピーク補助信号との振幅が略等しくなるよう決定される。
【0080】
これによれば、ピークアンプ21の出力信号の一部が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Bを提供できる。
【0081】
なお、本実施例に係る増幅回路10Bにおいて、抵抗素子74に替えて、第1キャパシタが配置されてもよい。第1キャパシタは、インピーダンス素子の一例であり、第1キャパシタの一端はコイル811の一端およびコイル812の一端(第1端子)に接続され、第1キャパシタの他端は信号出力端子110に接続される。第1キャパシタは、コイル811と並列接続される。
【0082】
これによれば、ピークアンプ21の出力信号の一部が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Bを提供できる。
【0083】
[1.6 実施例4に係る増幅回路10Cの回路構成]
次に、実施例4に係る増幅回路10Cの回路構成について、詳細に説明する。
図6は、実施例4に係る増幅回路10Cの回路構成図である。同図に示すように、増幅回路10Cは、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11と、ピークアンプ21と、移相線路41および42と、分配器50と、トランス81と、抵抗素子75と、を備える。本実施例に係る増幅回路10Cは、実施例2に係る増幅回路10Aと比較して、抵抗素子75の接続構成が異なる。以下、本実施例に係る増幅回路10Cについて、実施例2に係る増幅回路10Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0084】
抵抗素子75は、第1抵抗素子の一例であり、また、インピーダンス素子の一例である。抵抗素子75の一端はコイル812の他端(第2端子)に接続され、抵抗素子75の他端はコイル811の一端およびコイル812の一端(第1端子)に接続されている。抵抗素子75は、コイル812と並列接続されている。
【0085】
本実施例に係る増幅回路10Cでは、抵抗素子75が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21からコイル812および811を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。
【0086】
以下、本実施例に係る増幅回路10Cの回路状態について、
図6を参照して具体的に説明する。
【0087】
図6に示すように、まず、信号入力端子120から高周波主信号が入力される。ここで、信号入力端子120と分配器50とを結ぶ経路上のノードn1において、高周波主信号の位相が0°であるとする。高周波主信号が分配器50で電力分配され、キャリアアンプ11側にキャリア主信号として出力され、ピークアンプ21側にピーク信号およびピーク補助信号として出力されたとする。分配器50とキャリアアンプ11とを結ぶ経路上のノードn2において、キャリア主信号の位相は変化せず0°となる。一方、移相線路41とピークアンプ21とを結ぶ経路上のノードn4において、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は移相線路41により90°遅れて-90°となる。
【0088】
次に、キャリア主信号の位相は、キャリアアンプ11で反転し、キャリアアンプ11の出力端とコイル811とを結ぶ経路上のノードn3において、-180°となる。一方、ピーク信号およびピーク補助信号の位相は、ピークアンプ21で反転し、ピークアンプ21の出力端のノードn5において-270°となり、コイル812の他端のノードn6において、移相線路42により90°遅れて0°となる。
【0089】
次に、ピークアンプ21で増幅される信号は、ノードn6でピーク信号およびピーク補助信号に分岐される。ピーク信号は、コイル812および811を経由してコイル811と信号出力端子110とを結ぶ経路上のノードn7に到達する。ピーク補助信号は、抵抗素子75およびコイル811を経由してノードn7に到達する。ここで、ピーク信号は、互いに電磁界結合するコイル812およびコイル811を通過するのでピーク信号の位相は反転し、ノードn7において-180°となる。一方、ピーク補助信号は、互いに電磁界結合しないコイル812および抵抗素子75を通過し位相シフトしないので、ノードn7において0°となる。つまり、ノードn7では、ピーク信号およびピーク補助信号の位相が逆相関係となるため、ピーク信号とピーク補助信号とはノードn7において略相殺される。
【0090】
なお、抵抗素子75の抵抗値は、ノードn7においてピーク信号とピーク補助信号との振幅が略等しくなるよう決定される。
【0091】
これによれば、ピークアンプ21の出力信号の一部が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Cを提供できる。
【0092】
なお、本実施例に係る増幅回路10Cにおいて、抵抗素子75に替えて、第1キャパシタが配置されてもよい。第1キャパシタは、インピーダンス素子の一例であり、第1キャパシタの一端はコイル812の他端(第2端子)に接続され、第1キャパシタの他端はコイル811の一端およびコイル812の一端(第1端子)に接続される。第1キャパシタは、コイル812と並列接続される。
【0093】
これによれば、ピークアンプ21の出力信号の一部が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Cを提供できる。
【0094】
[1.7 実施例5に係る増幅回路10Dの回路構成]
次に、実施例5に係る増幅回路10Dの回路構成について、詳細に説明する。
図7は、実施例5に係る増幅回路10Dの回路構成図である。同図に示すように、増幅回路10Dは、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11と、ピークアンプ21と、移相線路41および42と、分配器50と、トランス81と、キャパシタ76と、を備える。本実施例に係る増幅回路10Dは、実施例2に係る増幅回路10Aと比較して、抵抗素子73がキャパシタ76に置き替えられたことのみが異なる。以下、本実施例に係る増幅回路10Dについて、実施例2に係る増幅回路10Aと同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0095】
キャパシタ76は、第1キャパシタの一例であり、また、インピーダンス素子の一例である。キャパシタ76の一端はコイル812の他端(第2端子)に接続され、キャパシタ76の他端は信号出力端子110に接続されている。キャパシタ76は、第2端子、コイル812および811、ならびに信号出力端子110を結ぶ経路と異なるバイパス経路に直列配置されている。
【0096】
本実施例に係る増幅回路10Dでは、キャパシタ76が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21からトランス81を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。
【0097】
以下、本実施例に係る増幅回路10Dの回路状態について、
図7を参照して具体的に説明する。
【0098】
図7に示すように、ピークアンプ21で増幅される信号は、コイル812の他端でピーク信号およびピーク補助信号に分岐される。ピーク信号は、コイル812および811を経由してコイル811と信号出力端子110とを結ぶ経路上のノードn7に到達する。ピーク補助信号は、キャパシタ76を経由してノードn7に到達する。ここで、ピーク信号は、コイル812の他端からコイル811の他端へと伝送されるのでピーク信号の位相は反転し、ノードn7において-180°となる。一方、ピーク補助信号は、キャパシタ76を通過し位相シフトしないので、ノードn7において0°となる。つまり、ノードn7では、ピーク信号およびピーク補助信号の位相が逆相関係となるため、ピーク信号とピーク補助信号とはノードn7において略相殺される。
【0099】
なお、キャパシタ76の容量値は、ノードn7においてピーク信号とピーク補助信号との振幅が略等しくなるよう決定される。
【0100】
これによれば、ピークアンプ21の出力信号の一部が単独で信号出力端子110へ漏れてしまうことを抑制できる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Dを提供できる。
【0101】
[2.効果など]
以上のように、実施例1に係る増幅回路10、実施例2に係る増幅回路10Aおよび実施例5に係る増幅回路10Dは、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11およびピークアンプ21と、移相線路42と、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、キャリアアンプ11は信号入力端子120と第1端子との間に接続され、ピークアンプ21は信号入力端子120と移相線路42の一端との間に接続され、移相線路42の他端は第2端子に接続され、信号出力端子110は第3端子に接続され、インピーダンス素子の一端は第2端子に接続され、インピーダンス素子の他端は信号出力端子110に接続される。
【0102】
これによれば、インピーダンス素子が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21から電力合成器を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10、10Aおよび10Dを提供できる。
【0103】
また例えば、増幅回路10、10Aおよび10Dにおいて、キャリアアンプ11およびピークアンプ21のそれぞれは、反転増幅器であり、移相線路42は、入力信号を90°遅らせる移相線路である。
【0104】
これによれば、低出力電力領域における効率、および、高出力電力領域における線形性が向上したドハティ型の増幅回路10、10Aおよび10Dを提供できる。
【0105】
また例えば、増幅回路10において、電力合成器は、コイル801および802を有するトランス80であり、コイル801の一端は第1端子に接続され、コイル801の他端は第2端子に接続され、コイル802の一端は第3端子に接続され、コイル802の他端はグランドに接続される。
【0106】
これによれば、電力効率が改善され、また、信号歪みが抑制された増幅回路10を提供できる。
【0107】
また例えば、増幅回路10Aおよび10Dにおいて、電力合成器は、コイル811および812を有するトランス81であり、コイル811の一端およびコイル812の一端は第1端子に接続され、コイル812の他端は第2端子に接続され、コイル811の他端は第3端子に接続される。
【0108】
これによれば、電力効率が改善され、また、信号歪みが抑制された増幅回路10Aおよび10Dを提供できる。
【0109】
また、実施例3に係る増幅回路10Bは、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11およびピークアンプ21と、移相線路42と、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、キャリアアンプ11は信号入力端子120と第1端子との間に接続され、ピークアンプ21は信号入力端子120と移相線路42の一端との間に接続され、移相線路42の他端は第2端子に接続され、信号出力端子110は第3端子に接続され、インピーダンス素子の一端は第1端子に接続され、インピーダンス素子の他端は信号出力端子110に接続される。
【0110】
これによれば、インピーダンス素子が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21から電力合成器を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Bを提供できる。
【0111】
また例えば、増幅回路10Bにおいて、キャリアアンプ11およびピークアンプ21のそれぞれは、反転増幅器であり、移相線路42は、入力信号を90°遅らせる移相線路である。
【0112】
これによれば、低出力電力領域における効率、および、高出力電力領域における線形性が向上したドハティ型の増幅回路10Bを提供できる。
【0113】
また例えば、増幅回路10Bにおいて、電力合成器は、コイル811および812を有するトランス81であり、コイル811の一端およびコイル812の一端は第1端子に接続され、コイル812の他端は第2端子に接続され、コイル811の他端は第3端子に接続される。
【0114】
これによれば、電力効率が改善され、また、信号歪みが抑制された増幅回路10Bを提供できる。
【0115】
また、実施例4に係る増幅回路10Cは、信号入力端子120および信号出力端子110と、キャリアアンプ11およびピークアンプ21と、移相線路42と、第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、キャリアアンプ11は信号入力端子120と第1端子との間に接続され、ピークアンプ21は信号入力端子120と移相線路42の一端との間に接続され、移相線路42の他端は第2端子に接続され、信号出力端子110は第3端子に接続され、インピーダンス素子の一端は第2端子に接続され、インピーダンス素子の他端は第1端子に接続される。
【0116】
これによれば、インピーダンス素子が設けられたバイパス経路により、ピークアンプ21から電力合成器を経由して信号出力端子110に漏洩する信号を、上記バイパス経路を伝送する信号により相殺することで、ピークアンプ21の動作による出力信号の歪みを抑制することができる。よって、電力効率が改善され、また、利得の線形性が向上して信号歪みが抑制された増幅回路10Cを提供できる。
【0117】
また例えば、増幅回路10Cにおいて、キャリアアンプ11およびピークアンプ21のそれぞれは、反転増幅器であり、移相線路42は、入力信号を90°遅らせる移相線路である。
【0118】
これによれば、低出力電力領域における効率、および、高出力電力領域における線形性が向上したドハティ型の増幅回路10Cを提供できる。
【0119】
また例えば、増幅回路10Cにおいて、電力合成器は、コイル811および812を有するトランス81であり、コイル811の一端およびコイル812の一端は第1端子に接続され、コイル812の他端は第2端子に接続され、コイル811の他端は第3端子に接続される。
【0120】
これによれば、電力効率が改善され、また、信号歪みが抑制された増幅回路10Cを提供できる。
【0121】
また例えば、増幅回路10、10A、10B、10Cおよび10Dは、さらに、信号入力端子120とキャリアアンプ11の入力端およびピークアンプ21の入力端との間に接続された分配器50と、信号入力端子120とピークアンプ21の入力端との間に接続された移相線路41と、を備える。
【0122】
これによれば、入力される高周波信号を、所定の位相差を有する2つの高周波信号に分配することが可能となる。
【0123】
また例えば、増幅回路10、10A、10B、10Cおよび10Dにおいて、移相線路41は、入力信号を90°遅らせる移相線路である。
【0124】
これによれば、入力される高周波信号を、90°の位相差を有する2つの高周波信号に分配することが可能となる。
【0125】
(その他の実施の形態など)
以上、本発明の実施の形態に係る増幅回路について、実施例を挙げて説明したが、本発明に係る増幅回路は、上記実施例に限定されるものではない。上記実施例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施例や、上記実施例に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記増幅回路を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0126】
また例えば、上記実施例に係る増幅回路、高周波回路および通信装置において、図面に開示された各回路素子および信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子および配線などが挿入されていてもよい。
【0127】
以下に、上記各実施例に基づいて説明した増幅回路の特徴を示す。
【0128】
<1>
入力端子および出力端子と、
キャリアアンプおよびピークアンプと、
第1移相回路と、
第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、
抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、
前記キャリアアンプは、前記入力端子と前記第1端子との間に接続され、
前記ピークアンプは、前記入力端子と前記第1移相回路の一端との間に接続され、
前記第1移相回路の他端は前記第2端子に接続され、
前記出力端子は前記第3端子に接続され、
前記インピーダンス素子の一端は前記第2端子に接続され、
前記インピーダンス素子の他端は前記出力端子に接続される、増幅回路。
【0129】
<2>
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのそれぞれは、反転増幅器であり、
前記第1移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、<1>に記載の増幅回路。
【0130】
<3>
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの一端は前記第3端子に接続され、
前記第2コイルの他端はグランドに接続される、<1>または<2>に記載の増幅回路。
【0131】
<4>
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端および前記第2コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの他端は前記第3端子に接続される、<1>または<2>に記載の増幅回路。
【0132】
<5>
入力端子および出力端子と、
キャリアアンプおよびピークアンプと、
第1移相回路と、
第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、
抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、
前記キャリアアンプは、前記入力端子と前記第1端子との間に接続され、
前記ピークアンプは、前記入力端子と前記第1移相回路の一端との間に接続され、
前記第1移相回路の他端は前記第2端子に接続され、
前記出力端子は前記第3端子に接続され、
前記インピーダンス素子の一端は前記第1端子に接続され、
前記インピーダンス素子の他端は前記出力端子に接続される、増幅回路。
【0133】
<6>
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのそれぞれは、反転増幅器であり、
前記第1移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、<5>に記載の増幅回路。
【0134】
<7>
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端および前記第2コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの他端は前記第3端子に接続される、<5>または<6>に記載の増幅回路。
【0135】
<8>
入力端子および出力端子と、
キャリアアンプおよびピークアンプと、
第1移相回路と、
第1端子および第2端子に入力される高周波信号を合成して第3端子から出力する電力合成器と、
抵抗素子またはキャパシタであるインピーダンス素子と、を備え、
前記キャリアアンプは、前記入力端子と前記第1端子との間に接続され、
前記ピークアンプは、前記入力端子と前記第1移相回路の一端との間に接続され、
前記第1移相回路の他端は前記第2端子に接続され、
前記出力端子は前記第3端子に接続され、
前記インピーダンス素子の一端は前記第2端子に接続され、
前記インピーダンス素子の他端は前記第1端子に接続される、増幅回路。
【0136】
<9>
前記キャリアアンプおよび前記ピークアンプのそれぞれは、反転増幅器であり、
前記第1移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、<8>に記載の増幅回路。
【0137】
<10>
前記電力合成器は、第1コイルおよび第2コイルを有するトランスであり、
前記第1コイルの一端および前記第2コイルの一端は前記第1端子に接続され、
前記第1コイルの他端は前記第2端子に接続され、
前記第2コイルの他端は前記第3端子に接続される、<8>または<9>に記載の増幅回路。
【0138】
<11>
さらに、
前記入力端子と前記キャリアアンプの入力端および前記ピークアンプの入力端との間に接続された電力分配器と、
前記入力端子と前記ピークアンプの入力端との間に接続された第2移相回路と、を備える、<1>~<10>のいずれかに記載の増幅回路。
【0139】
<12>
前記第2移相回路は、入力信号を90°遅らせる移相線路である、<11>に記載の増幅回路。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、マルチバンド対応のフロントエンド部に配置される増幅回路として、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0141】
1 高周波回路
2 アンテナ
3 RF信号処理回路(RFIC)
4 通信装置
10、10A、10B、10C、10D、500 増幅回路
11 キャリアアンプ
21 ピークアンプ
31 低雑音増幅器
41、42、43 移相線路
50 分配器
61、62 フィルタ
70、73、74、75 抵抗素子
71、76 キャパシタ
72 インダクタ
80、81 トランス
100 アンテナ接続端子
110、130 信号出力端子
120 信号入力端子
801、802、811、812 コイル