(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005596
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】作業機械を制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20250109BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20250109BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20250109BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/26 B
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105823
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】原田 純仁
(72)【発明者】
【氏名】石橋 永至
(72)【発明者】
【氏名】有松 大毅
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮平
(72)【発明者】
【氏名】森安 淳吾
(72)【発明者】
【氏名】古川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 智幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 準紀
(72)【発明者】
【氏名】西原 健
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5H301
【Fターム(参考)】
2D003AA02
2D003AC02
2D003BA03
2D003BA04
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
5H301BB02
5H301CC03
5H301CC06
5H301DD05
5H301FF11
5H301GG16
(57)【要約】
【課題】作業機械によって土砂などのマテリアルを所定領域の周囲から所定領域に容易に集める。
【解決手段】システムは、走行操作装置と、センサと、コントローラとを備える。走行操作装置は、作業機械を走行させる走行指令を出力する。センサは、作業機械の位置を検出する。コントローラは、作業機械の走行方向を制御する。コントローラは、目標位置を設定する。コントローラは、作業機械の位置を取得する。コントローラは、作業機械を走行させる走行指令を受信したときの作業機械の位置を、スタート位置として設定する。コントローラは、スタート位置と目標位置とを通る経路を、目標経路として決定する。コントローラは、作業機械が目標経路に従って走行するように、作業機械の走行方向を制御する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を制御するためのシステムであって、
前記作業機械を走行させる走行指令を出力する走行操作装置と、
前記作業機械の位置を検出するセンサと、
前記作業機械の走行方向を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
目標位置を設定し、
前記作業機械の位置を取得し、
前記作業機械を走行させる走行指令を受信したときの前記作業機械の位置を、スタート位置として設定し、
前記スタート位置と前記目標位置とを通る経路を、前記目標経路として決定し、
前記作業機械が前記目標経路に従って走行するように、前記作業機械の走行方向を制御する、
システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記走行指令が解除されても前記目標位置の設定を維持する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前回の前記走行指令が解除された後、次の走行指令を受信した場合には、前記次の走行指令を受信したときの前記作業機械の位置を、次のスタート位置として再設定し、
前記次のスタート位置と前記目標位置とを通る経路を、次の目標経路として決定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記走行操作装置は、中立位置から前進位置と後進位置とに手動操作可能であり、
前記コントローラは、
前記走行操作装置が前記前進位置に操作されることで前記走行指令を受信したときの前記作業機械の位置を、前記目標経路のスタート位置として設定し、
前記走行操作装置が前記中立位置又は前記後進位置に操作された場合には、前記走行指令が解除されたと判定する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記作業機械を手動で操舵するために操作可能なステアリング操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前回の前記走行指令が解除された後、前記ステアリング操作装置の操作に応じて前記作業機械が前回の前記目標経路から外れた位置に移動しても、前記目標位置の設定を維持し、
次の走行指令を受信した場合には、前記次の走行指令を受信したときの前記作業機械の位置を、次のスタート位置として再設定し、
前記次のスタート位置と前記目標位置とを通る経路を、次の目標経路として決定する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
作業機械を制御するためのシステムであって、
前記作業機械の位置を検出するセンサと、
前記作業機械の走行方向を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
目標位置を設定し、
前記作業機械の位置を取得し、
前記目標位置を通る第1目標経路と、前記目標位置を通り前記第1目標経路とは異なる方位に向かって延びる第2目標経路とを含む複数の目標経路を決定し、
前記複数の目標経路のそれぞれに従って走行するように前記作業機械の走行方向を制御する、
システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記目標位置を中心として放射状に延びるように、前記複数の目標経路を決定する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記目標位置を中心として等角度に延びるように、前記複数の目標経路を決定する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
オペレータによって操作可能な入力装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記複数の目標経路のうち、前記入力装置によって選択された目標経路に従って走行するように前記作業機械の走行方向を制御する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
作業機械を制御するためのシステムであって、
前記作業機械を走行させる走行指令を出力する走行操作装置と、
前記作業機械の位置を検出するセンサと、
前記作業機械の走行方向を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
目標位置を設定し、
前記作業機械の位置を取得し、
前記作業機械を走行させる走行指令を受信した場合に、前記作業機械が前記目標位置に向かうように、前記作業機械の走行方向を制御し、
前記走行指令が解除されても前記目標位置の設定を維持する、
システム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前回の前記走行指令が解除された後、次の走行指令を受信した場合には、前記作業機械が再び前記目標位置に向かうように、前記作業機械の走行方向を制御する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記走行操作装置は、中立位置から前進位置と後進位置とに手動操作可能であり、
前記コントローラは、
前記走行操作装置が前記前進位置に操作されることで前記走行指令を受信した場合に、前記作業機械が前記目標位置に向かうように、前記作業機械の走行方向を制御し、
前記走行操作装置が前記中立位置又は前記後進位置に操作された場合には、前記走行指令が解除されたと判定する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記作業機械を手動で操舵するために操作可能なステアリング操作装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前回の前記走行指令が解除された後、前記ステアリング操作装置に応じて前記作業機械の走行方向が変更されても、前記目標位置の設定を維持し、
次の走行指令を受信した場合には、前記作業機械が再び前記目標位置に向かうように、前記作業機械の走行方向を制御する、
請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械を制御するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の目標経路に従って走行するように作業機械を自動制御する技術が知られている。例えば、特許文献1の作業機械の制御システムでは、互いに平行に延びる複数のスロット(目標経路)が設定される。複数のスロットは、それぞれ開始位置と終了位置とを含む。制御システムは、作業機械が複数のスロットのそれぞれに従って走行するように、作業機械を制御する。
【0003】
例えば、作業機械は、第1スロットに従って、第1開始位置から第1終了位置まで、走行しながら、作業機によって掘削を行う。次に、作業機械は、第2スロットの第2開始位置に移動し、第2スロットに従って、第2開始位置から第2終了位置まで、走行しながら、作業機によって掘削を行う。上記の作業が繰り返されることで、各スロットに沿って地面が掘削される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業機械が行う作業には、土砂などのマテリアルを一か所に集めるものがある。例えば、整地作業を行う現場においては、整地作業によって掘削した土砂が、油圧ショベルによってダンプトラックに積み込まれる。その場合、油圧ショベルによる積込作業を効率よく行うために、掘削した土砂を、油圧ショベルの周囲から、油圧ショベルの近くの所定領域に集めることが望まれる。本開示の目的は、作業機械によって土砂などのマテリアルを所定領域の周囲から所定領域に容易に集めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係るシステムは、作業機械を制御するためのシステムであって、走行操作装置と、センサと、コントローラとを備える。走行操作装置は、作業機械を走行させる走行指令を出力する。センサは、作業機械の位置を検出する。コントローラは、作業機械の走行方向を制御する。コントローラは、目標位置を設定する。コントローラは、作業機械の位置を取得する。コントローラは、作業機械を走行させる走行指令を受信したときの作業機械の位置を、スタート位置として設定する。コントローラは、スタート位置と目標位置とを通る経路を、目標経路として決定する。コントローラは、作業機械が目標経路に従って走行するように、作業機械の走行方向を制御する。
【0007】
第1の態様に係るシステムでは、作業機械を任意の位置に移動させてから走行指令を出力させることで、任意の位置が目標経路のスタート位置として設定される。そのため、任意のスタート位置から目標位置に向かって目標経路に従って走行するように、作業機械の走行方向が自動制御される。それにより、目標位置の周囲の任意のスタート位置から目標位置に、マテリアルを容易に集めることができる。
【0008】
本開示の第2の態様に係るシステムは、作業機械を制御するためのシステムであって、センサとコントローラとを備える。センサは、作業機械の位置を検出する。コントローラは、作業機械の走行方向を制御する。コントローラは、目標位置を設定する。コントローラは、作業機械の位置を取得する。コントローラは、第1目標経路と第2目標経路とを含む複数の目標経路を決定する。第1目標経路は、目標位置を通る。第2目標経路は、目標位置を通り、第1目標経路とは異なる方位に向かって延びる。コントローラは、複数の目標経路のそれぞれに従って走行するように作業機械の走行方向を制御する。
【0009】
第2の態様に係るシステムでは、互いに異なる方位から目標位置に向かって延びる複数の目標経路が設定される。そのため、互いに異なる方位から目標位置に向かって、目標経路に従って走行するように、作業機械の走行方向が自動制御される。それにより、目標位置の周囲から目標位置に、マテリアルを容易に集めることができる。
【0010】
本開示の第3の態様に係るシステムは、作業機械を制御するためのシステムであって、走行操作装置と、センサと、コントローラとを備える。走行操作装置は、作業機械を走行させる走行指令を出力する。センサは、作業機械の位置を検出する。コントローラは、作業機械の走行方向を制御する。コントローラは、目標位置を設定する。コントローラは、作業機械の位置を取得する。コントローラは、作業機械を走行させる走行指令を受信した場合に、作業機械が目標位置に向かうように、作業機械の走行方向を制御する。コントローラは、走行指令が解除されても目標位置の設定を維持する。
【0011】
第3態様に係るシステムでは、作業機械を任意の位置に移動させてから走行指令を出力させることで、任意の位置から目標位置に向かって作業機械の走行方向が自動制御される。それにより、目標位置の周囲の任意の位置から目標位置に、マテリアルを容易に集めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、作業機械によって土砂などのマテリアルを所定領域の周囲から所定領域に容易に集めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
【
図2】作業機械の駆動系と制御システムとの構成を示すブロック図である。
【
図3】作業機械によって実行される作業の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る作業機械の自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る作業機械の自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図13】第2実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図14】第2実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図15】第2実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図16】第3実施形態に係る作業機械の自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図17】第3実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【
図18】第3実施形態に係る自動制御における作業機械の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態に係る作業機械について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る作業機械1を示す側面図である。本実施形態に係る作業機械1は、ブルドーザである。作業機械1は、車体11と作業機12とを備えている。
【0015】
車体11は、運転室13と、エンジン室14と、走行装置15とを含む。運転室13には、図示しない運転席が配置されている。エンジン室14は、運転室13の前方に配置されている。走行装置15は、車体11の下部に設けられている。走行装置15は、左右一対の履帯16を含む。なお、
図1では、左側の履帯16のみが図示されている。履帯16が回転することによって、作業機械1が走行する。
【0016】
作業機12は、車体11に取り付けられている。作業機12は、リフトフレーム17と、ブレード18と、リフトアクチュエータ19とを有する。リフトフレーム17は、車体11に対してリフト軸X1回りに回動可能に支持される。ブレード18は、車体11の前方に配置されている。ブレード18は、リフトフレーム17に支持されている。リフトアクチュエータ19は、車体11とリフトフレーム17とに連結されている。或いは、リフトアクチュエータ19は、車体11とブレード18とに連結されてもよい。リフトアクチュエータ19は、油圧シリンダである。リフトアクチュエータ19が伸縮することによって、リフトフレーム17は、上下に動作する。ブレード18は、リフトフレーム17の上下動に伴って上下に移動する。
【0017】
図2は、作業機械1の駆動系2と制御システム3との構成を示すブロック図である。
図2に示すように、駆動系2は、駆動源22と、油圧ポンプ23と、動力伝達装置24と、を備えている。駆動源22は、例えば内燃エンジンを含む。駆動源22は、電動モータを含んでもよい。油圧ポンプ23は、駆動源22によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ23から吐出された作動油は、リフトアクチュエータ19に供給される。なお、
図2では、1つの油圧ポンプ23が図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0018】
動力伝達装置24は、駆動源22の駆動力を走行装置15に伝達する。動力伝達装置24は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置24は、例えば、トルクコンバータ、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。
【0019】
制御システム3は、コントローラ26と制御弁27とを備える。コントローラ26は、取得したデータに基づいて作業機械1を制御するようにプログラムされている。コントローラ26は、記憶装置28とプロセッサ29とを含む。プロセッサ29は、例えばCPUを含む。記憶装置28は、例えばメモリと補助記憶装置とを含む。記憶装置28は、例えば、RAM、或いはROMなどであってもよい。記憶装置28は、半導体メモリ、或いはハードディスクなどであってもよい。記憶装置28は、プロセッサ29によって実行可能であり作業機械1を制御するためのコンピュータ指令を記録している。
【0020】
制御弁27は、比例制御弁であり、コントローラ26からの指令信号によって制御される。制御弁27は、リフトアクチュエータ19などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ23との間に配置される。制御弁27は、油圧ポンプ23からリフトアクチュエータ19に供給される作動油の流量を制御する。なお、制御弁27は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁27は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0021】
制御システム3は、走行操作装置31Aと、ステアリング操作装置31Bと、作業機操作装置31Cとを含む。走行操作装置31Aは、作業機械1の前進と後進の走行を手動操作するために、オペレータによって操作可能である。走行操作装置31Aは、例えば走行レバーを含む。ただし、走行操作装置31Aは、スイッチなどの他の部材を含んでもよい。走行操作装置31Aは、中立位置N1から前進位置A1と後進位置B1とに操作可能である。走行操作装置31Aは、オペレータの操作に応じた走行指令をコントローラ26に出力する。
【0022】
ステアリング操作装置31Bは、作業機械1を手動操舵するために、オペレータによって操作可能である。ステアリング操作装置31Bは、例えばステアリングレバーを含む。ただし、ステアリング操作装置31Bは、ステアリングホイール、或いはスイッチなどの他の部材を含んでもよい。ステアリング操作装置31Bは、中立位置N2から右旋回方向A2と左旋回方向B2とに操作可能である。ステアリング操作装置31Bは、オペレータの操作に応じたステアリング指令をコントローラ26に出力する。
【0023】
作業機操作装置31Cは、作業機12を手動操作するために、オペレータによって操作可能である。作業機操作装置31Cは、例えば作業機レバーを含む。ただし、作業機操作装置31Cは、スイッチなどの他の部材を含んでもよい。作業機操作装置31Cは、オペレータの操作に応じた作業指令をコントローラ26に出力する。なお、操作装置31A-33Cのそれぞれは、共通の部材によって構成されてもよい。
【0024】
コントローラ26は、走行操作装置31Aからの走行指令に応じて、作業機械1を走行させるように、駆動源22及び動力伝達装置24を制御する。それにより、作業機械1は、オペレータによる走行操作装置31Aの操作に応じて、前進又は後進する。
【0025】
コントローラ26は、ステアリング操作装置31Bからのステアリング指令に応じて、作業機械1を左右に操舵するように、駆動源22及び動力伝達装置24を制御する。例えば、コントローラ26は、左右の履帯16の速度差により、作業機械1を左右に旋回させる。それにより、作業機械1は、オペレータによるステアリング操作装置31Bの操作に応じて、左方又は右方に旋回する。
【0026】
コントローラ26は、作業機操作装置31Cからの作業指令に応じて、作業機12を動作させるように、制御弁27を制御する。それにより、作業機12は、オペレータによる作業機操作装置31Cの操作に応じて、上下に動作する。
【0027】
制御システム3は、入力装置32を含む。入力装置32は、例えばタッチパネルを含む。ただし、入力装置32は、スイッチなどの他の装置を含んでもよい。オペレータは、入力装置32を用いて、作業機械1の自動制御の設定を行うことができる。作業機械1の自動制御については、後に詳細に説明する。
【0028】
制御システム3は、位置センサ34と、車体センサ35と、作業機センサ36とを含む。位置センサ34は、車体11に取り付けられている。位置センサ34は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)によるセンサを含む。位置センサ34は、車体11の位置と方位とを検出する。位置センサ34は、車体11の位置と方位とを示す検出信号を出力する。
【0029】
車体センサ35は、車体11に取り付けられている。車体センサ35は、車体11の姿勢を検出する。例えば、車体センサ35は、車体11のピッチ角とロール角とを検出する。作業機センサ36は、作業機12に取り付けられている。作業機センサ36は、作業機12の姿勢を検出する。例えば、作業機センサ36は、作業機12のピッチ角を検出する。
【0030】
車体センサ35と作業機センサ36とは、それぞれIMU(慣性計測装置、Inertial Measurement Unit)である。ただし、作業機センサ36は、IMUに限らず、角度センサ、或いはシリンダのストロークセンサなどの他のセンサであってもよい。車体センサ35と作業機センサ36とは、それぞれ検出した角度を示す検出信号を出力する。
【0031】
コントローラ26は、位置センサ34と、車体センサ35と、作業機センサ36とから検出信号を受信する。コントローラ26は、検出信号に基づいて、作業機械1の位置と方位とを算出する。コントローラ26は、作業機械1の位置と方位とに基づいて、作業機械の走行方向を制御する自動制御を行う。以下、作業機械の自動制御について説明する。
【0032】
図3に示すように、作業機械1は、土砂などのマテリアルを所定の目標位置Pt1の周囲から目標位置Pt1に集める作業を行う。目標位置Pt1は、例えばショベル100の近くに位置する。コントローラ26は、この作業において作業機械1の走行方向を自動制御することで、オペレータによる作業機械1の操作をアシストする。
【0033】
図4は、第1実施形態に係る作業機械1の自動制御の処理を示すフローチャートである。
図4に示すように、ステップS101で、コントローラ26は、目標位置Pt1を設定する。
図5に示すように、目標位置Pt1は、作業機械1が配置された作業現場に設定される。目標位置Pt1は、オペレータが入力装置32を操作することで、設定される。例えば、入力装置32に作業現場の地図が表示され、オペレータがタッチした地図上の位置を、コントローラ26は、目標位置Pt1として設定する。
【0034】
ステップS102で、コントローラ26は、前進の走行指令を受信したかを判定する。コントローラ26は、走行操作装置31Aが前進位置A1に操作されたときに、前進の走行指令を受信したと判定する。コントローラ26が前進の走行指令を受信した場合には、処理はステップS103に進む。
【0035】
ステップS103では、コントローラ26は、基準点Pr1の位置を取得する。基準点Pr1は、作業機械1に含まれる所定部分である。
図5に示すように、基準点Pr1の位置は、例えばブレード18の刃先の中央である。コントローラ26は、位置センサ34と、車体センサ35と、作業機センサ36とから受信した検出信号により、基準点Pr1の位置を算出する。
【0036】
ステップS104で、コントローラ26は、スタート位置Ps1を設定する。コントローラ26は、前進の走行指令を受信したときの基準点Pr1の位置を、スタート位置Ps1として設定する。ステップS105で、コントローラ26は、目標経路R1を決定する。
図6に示すように、コントローラ26は、スタート位置Ps1と目標位置Pt1とを通る経路を、目標経路R1として決定する。
【0037】
ステップS106で、コントローラ26は、作業機械1の自動制御を実行する。
図7に示すように、コントローラ26は、前進の走行指令に応じて、作業機械1を前進させると共に、作業機械1が目標経路R1に従って走行するように、作業機械1の走行方向を制御する。すなわち、コントローラ26は、作業機械1が、目標経路R1に沿って目標位置Pt1に向かって走行するように、作業機械1を操舵する。詳細には、コントローラ26は、基準点Pr1が、目標経路R1に沿って目標位置Pt1に向かって走行するように、作業機械1を旋回させる。それにより、オペレータがステアリング操作装置31Bを操作することなく、走行操作装置31Aを操作するだけで、作業機械1が目標位置Pt1に向かって旋回しながら前進する。
【0038】
ステップS107で、コントローラ26は、前進の走行指令が解除されたかを判定する。コントローラ26は、走行操作装置31Aが、中立位置N1、或いは、後進位置B1に操作された場合に前進の走行指令が解除されたと判定する。例えば、
図8に示すように、作業機械1が目標位置Pt1に到達した後、オペレータは、走行操作装置31Aを前進位置A1から後進位置B1に切り替える。それにより、コントローラ26は、作業機械1を後進させると共に、前進の走行指令が解除されたと判定する。前進の走行指令が解除された場合には、処理はステップS108に進む。
【0039】
ステップS108では、コントローラ26は、自動制御を停止する。それにより、オペレータは、作業機械1の走行方向を手動で操作する。例えば、
図9に示すように、オペレータは、走行操作装置31Aとステアリング操作装置31Bとを手動で操作し、作業機械1を目標経路R1から外れた位置に移動させる。なお、自動制御の実行中にオペレータがステアリング操作装置31Bを操作した場合にも、コントローラ26は、自動制御を停止する。
【0040】
その後、オペレータが再び、走行操作装置31Aを前進位置A1に操作すると、コントローラ26は、次の前進の走行指令を受信する。それにより、
図10に示すように、コントローラ26は、次の前進の走行指令を受信したときの作業機械1の基準点Pr1の位置を、次のスタート位置Ps2として再設定する。ただし、コントローラ26は、目標位置Pt1の設定を維持する。そして、コントローラ26は、次のスタート位置Ps2と目標位置Pt1とを通る経路を、次の目標経路R2として決定する。
【0041】
そして、
図11に示すように、コントローラ26は、前進の走行指令に応じて、作業機械1を前進させると共に、自動制御により、作業機械1が目標経路R2に従って走行するように、作業機械1の走行方向を制御する。上記の動作が繰り返されることで、作業機械1は、土砂などのマテリアルを目標位置Pt1の周囲から目標位置Pt1に集める。
【0042】
以上説明した第1実施形態に係る作業機械1の自動制御では、作業機械1を任意の位置に移動させてから前進の走行指令を出力させることで、任意の位置が目標経路のスタート位置として設定される。例えば、
図3に示すように、目標位置Pt1の周囲の任意の位置が、スタート位置Ps1-Ps4として設定される。そして、任意のスタート位置Ps1-Ps4から目標位置Pt1に向かう目標経路R1-R4が決定され、目標経路R1-R4のそれぞれに従って走行するように、作業機械1の走行方向が自動制御される。それにより、目標位置Pt1の周囲の任意のスタート位置Ps1-Ps4から目標位置Pt1に、マテリアルを容易に集めることができる。
【0043】
次に、第2実施形態に係る作業機械1の自動制御について説明する。
図12は、第2実施形態に係る作業機械1の自動制御の処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、ステップS201で、コントローラ26は、目標位置Pt1を設定する。ステップS202で、コントローラ26は、作業機械1の基準点Pr1の位置を取得する。
図13に示すように、目標位置Pt1と基準点Pr1とは、上述した第1実施形態と同様である。
【0044】
ステップS203で、コントローラ26は、複数の目標経路R1-R12を決定する。
図14に示すように、複数の目標経路R1-R12は、目標位置Pt1を中心として放射状に延びている。複数の目標経路R1-R12は、目標位置Pt1を中心として等角度に延びている。
【0045】
例えば、コントローラ26は、基準点Pr1と目標位置Pt1とを通る第1目標経路R1を決定する。また、複数の目標経路R1-R12の数が設定されており、コントローラ26は、複数の目標経路R1-R12の数から、複数の目標経路R1-R12の間の目標角度を算出する。コントローラ26は、目標位置Pt1を中心として、第1目標経路R1から目標角度ずつ間隔をおくように、他の目標経路R2-12を決定する。
【0046】
例えば、
図14に示す例では、複数の目標経路R1-R12は、第1~第12目標経路R1-R12を含む。第1~第12目標経路R1-R12は、それぞれ目標位置Pt1を通り互いに異なる方位に向かって延びている。なお、
図14に示す例では、複数の目標経路R1-R12の数は12である。しかし、複数の目標経路の数は、12に限らず、12より少なくてもよく、12より多くてもよい。
【0047】
ステップS204で、コントローラ26は、目標経路R1が選択されたかを判定する。オペレータは、例えば入力装置32を操作することで、複数の目標経路R1-R12から1つの目標経路を選択する。ここでは、第1目標経路R1が選択されたものとする。
【0048】
ステップS205で、コントローラ26は、前進の走行指令を受信したかを判定する。コントローラ26は、前進の走行指令を受信した場合には、ステップS206において自動制御を実行する。それにより、
図15に示すように、コントローラ26は、作業機械1を前進させると共に、入力装置32によって選択された第1目標経路R1に従って走行するように作業機械1の走行方向を制御する。
【0049】
ステップS207では、コントローラ26は、第1実施形態と同様に、前進の走行指令が解除されたかを判定する。前進の走行指令が解除された場合には、ステップS208において、コントローラ26は、第1実施形態と同様に、自動制御を停止する。
【0050】
次に、オペレータが次の目標経路を選択すると、ステップS204~S206で、コントローラ26は、作業機械1を前進させると共に、入力装置32によって選択された次の目標経路に従って走行するように作業機械1の走行方向を制御する。上記の動作が繰り返されることで、作業機械1は、土砂などのマテリアルを目標位置Pt1の周囲から目標位置Pt1に集める。
【0051】
以上説明した第2実施形態に係る作業機械1の自動制御では、互いに異なる方位から目標位置Pt1に向かって延びる複数の目標経路R1-R12が設定される。そのため、互いに異なる方位から目標位置Pt1に向かって、目標経路R1に従って走行するように、作業機械1の走行方向が自動制御される。それにより、目標位置Pt1の周囲から目標位置Pt1に、マテリアルを容易に集めることができる。
【0052】
次に、第3実施形態に係る作業機械1の自動制御について説明する。
図16は、第3実施形態に係る作業機械1の自動制御の処理を示すフローチャートである。
図16に示すように、ステップS301で、コントローラ26は、目標位置Pt1を設定する。ステップS302で、コントローラ26は、前進の走行指令を受信したかを判定する。ステップS303で、コントローラ26は、基準点Pr1の位置を取得する。ステップS301~S303は、第1実施形態のステップS101~S103と同様である。
図17に示すように、目標位置Pt1と基準点Pr1とは、上述した第1実施形態と同様である。
【0053】
ステップS304で、コントローラ26は、自動制御を実行する。コントローラ26は、作業機械1が目標位置Pt1に向かうように、作業機械1の走行方向を制御する。詳細には、
図18に示すように、コントローラ26は、作業機械1の基準点Pr1が目標位置Pt1に向かうように、作業機械1の走行方向を制御する。なお、第3実施形態に係る自動制御では、コントローラ26は、目標経路R1を設定せず、作業機械1が目標位置Pt1に向かうように、作業機械1の走行方向を制御する。
【0054】
ステップS305で、コントローラ26は、前進の走行指令が解除されたかを判定する。前進の走行指令が解除された場合には、ステップS306で、コントローラ26は、自動制御を停止する。ステップS305とステップS306とは、第1実施形態のステップS107~S108と同様である。
【0055】
例えば、作業機械1が目標位置Pt1に到達した後、オペレータは、走行操作装置31Aとステアリング操作装置31Bとを手動で操作し、作業機械1を、前回の前進の走行指令を受信した位置と異なる位置に移動させる。このとき、コントローラ26は、ステアリング操作装置31Bに応じて作業機械1の走行方向が変更されても、目標位置Pt1の設定を維持する。
【0056】
その後、オペレータが再び、走行操作装置31Aを前進位置A1に操作すると、コントローラ26は、次の前進の走行指令を受信する。それにより、コントローラ26は、次の前進の走行指令を受信したときの作業機械1の位置から、再び作業機械1が目標位置Pt1に向かって移動するように、作業機械1の走行方向を制御する。上記の動作が繰り返されることで、作業機械1は、土砂などのマテリアルを目標位置Pt1の周囲から目標位置Pt1に集める。
【0057】
以上説明した第3実施形態に係る作業機械1の自動制御では、作業機械1を任意の位置に移動させてから前進の走行指令を出力させることで、任意の位置から目標位置Pt1に向かって作業機械1の走行方向が自動制御される。それにより、目標位置Pt1の周囲の任意の位置から目標位置Pt1に、マテリアルを容易に集めることができる。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
作業機械1は、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の車両であってもよい。作業機械1は、遠隔から操作可能であってもよい。その場合、操作装置31A-31Cと入力装置32とは、作業機械1の外部に配置されてもよい。作業機械1は、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。上述したコントローラ26による処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。
【0060】
コントローラ26による自動制御の処理は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。目標位置Pt1を設定する方法は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、コントローラ26は、ショベル100から目標位置Pt1を取得してもよい。コントローラ26は、前回の作業履歴から目標位置Pt1を決定してもよい。例えば、コントローラ26は、前回の作業において、走行操作装置31Aが前進位置A1から後進位置B1に切り替えられたときの作業機械1の位置を、目標位置Ot1として決定してもよい。
【0061】
基準点Pr1は、ブレード18の刃先の中央に限らず、他の位置であってもよい。例えば、基準点Pr1は、車体11に設けられてもよい。基準点Pr1は、作業機械1の旋回中心であってもよい。
【0062】
第2実施形態において、複数の目標経路R1-R12は、等間隔に配置されなくてもよい。第1目標経路R1の設定方法は、上記の第2実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1目標経路R1は、オペレータが入力装置32を操作することで、設定されてもよい。第2実施形態において、コントローラ26は、目標経路R1が選択された場合に、自動制御を開始してもよい。或いは、コントローラ26は、目標経路R1の選択後にオペレータが入力装置32を操作することで、自動制御を開始してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示によれば、作業機械によって土砂などのマテリアルを所定領域の周囲から所定領域に容易に集めることができる。
【符号の説明】
【0064】
1:作業機械
26:コントローラ
31A:走行操作装置
31B:ステアリング操作装置
32:入力装置
34:位置センサ