(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005634
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】オレアノール酸含有抽出液の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07J 63/00 20060101AFI20250109BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20250109BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20250109BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20250109BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
C07J63/00
A61K8/63
A61K8/9789
A61Q11/00
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105886
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(71)【出願人】
【識別番号】510010182
【氏名又は名称】恵比須化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】浦川 雅満
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 豊展
(72)【発明者】
【氏名】田中 江里
【テーマコード(参考)】
4C083
4C091
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AD531
4C083CC03
4C083CC41
4C083EE12
4C083EE32
4C083FF01
4C091AA06
4C091BB20
4C091CC03
4C091DD01
4C091EE04
4C091FF02
4C091FF06
4C091GG03
4C091GG05
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK01
4C091LL01
4C091MM01
4C091NN20
4C091PA20
4C091QQ06
4C091QQ15
4C091RR13
(57)【要約】
【課題】高濃度の有機溶媒を用いることなく、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を含有する抽出液を簡便に得ることが可能なオレアノール酸含有抽出液の製造方法を提供する。
【解決手段】甜菜由来のベタインを水素結合アクセプターとする天然深共晶溶媒と、ブドウ搾汁滓と、を含む混合液を得る第1の工程と、第1の工程にて得られた混合液からオレアノール酸を含有する抽出液を得る第2の工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
甜菜由来のベタインを水素結合アクセプターとする天然深共晶溶媒と、ブドウ搾汁滓と、を含む混合液を得る第1の工程と、
前記第1の工程にて得られた前記混合液からオレアノール酸を含有する抽出液を得る第2の工程と、
を含む、オレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【請求項2】
前記天然深共晶溶媒の水素結合ドナーとして、L-乳酸、グリセロール、スクロース、キシリトール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を用いる、請求項1に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【請求項3】
前記ブドウ搾汁滓が、ワイン醸造時にできるブドウの果肉、果皮の搾り滓である、請求項1又は2に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【請求項4】
前記第2の工程が、前記第1の工程にて得られた前記混合液を撹拌した後、撹拌した前記混合液を遠心分離し、分離した上澄み液と沈殿物を濾過する操作を含む、請求項1又は2に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【請求項5】
前記第2の工程で得られた前記抽出液を、化粧品原料として用いる、請求項1又は2に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレアノール酸含有抽出液の製造方法に関する。更に詳しくは、高濃度の有機溶媒を用いることなく、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を含有する抽出液を簡便に得ることが可能なオレアノール酸含有抽出液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイン醸造時にできるブドウの果肉、果皮の搾汁滓(例えば、ブドウの果皮や種などの残渣)からなるワインパミスには、トリテルペノイド天然有機酸であるオレアノール酸を豊富に含むことが知られている。そして、このようなオレアノール酸は、抗酸化作用や虫歯菌増殖抑制作用などの生物活性をもつことが報告されている。また、ワインパミスなどから得られる天然物由来のオレアノール酸は化粧品などに応用されることもある。
【0003】
従来、ワインパミスのようなブドウ搾汁滓からオレアノール酸を抽出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ブドウの果皮からトリテルペン類の抽出する方法として、例えば、原料ブドウの果皮を90%エタノール溶液で抽出した後に、得られた抽出液を濾過する技術などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の抽出方法においては、抽出溶媒としてエタノールやアセトンのような有機溶媒を80%以上の高濃度で使用する抽出方法が一般的であった。このため、抽出溶媒として高濃度の有機溶媒を用いることなく、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を簡便に抽出する方法の開発が切望されている。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、高濃度の有機溶媒を用いることなく、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を含有する抽出液を簡便に得ることが可能なオレアノール酸含有抽出液の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下に示すオレアノール酸含有抽出液の製造方法が提供される。
【0008】
[1] 甜菜由来のベタインを水素結合アクセプターとする天然深共晶溶媒と、ブドウ搾汁滓と、を含む混合液を得る第1の工程と、前記第1の工程にて得られた前記混合液からオレアノール酸を含有する抽出液を得る第2の工程と、を含む、オレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【0009】
[2] 前記天然深共晶溶媒の水素結合ドナーとして、L-乳酸、グリセロール、スクロース、キシリトール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種を用いる、前記[1]に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【0010】
[3] 前記ブドウ搾汁滓が、ワイン醸造時にできるブドウの果肉、果皮の搾り滓である、前記[1]又は[2]に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【0011】
[4] 前記第2の工程が、前記第1の工程にて得られた前記混合液を撹拌した後、撹拌した前記混合液を遠心分離し、分離した上澄み液と沈殿物を濾過する操作を含む、前記[1]又は[2]に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【0012】
[5] 前記第2の工程で得られた前記抽出液を、化粧品原料として用いる、前記[1]又は[2]に記載のオレアノール酸含有抽出液の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のオレアノール酸含有抽出液の製造方法によれば、高濃度の有機溶媒を用いることなく、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を含有する抽出液を簡便に得ることができる。また、本発明のオレアノール酸含有抽出液の製造方法は、高濃度の有機溶媒を用いた従来法と比較しても、オレアノール酸の抽出率を遜色ない値とすることができる。更に、本発明のオレアノール酸含有抽出液の製造方法は、オレアノール酸を抽出する深共晶溶媒として、水素結合アクセプター及び水素結合ドナーの双方が天然物からなる天然深共晶溶媒を用いているため、オレアノール酸を含有する抽出液は、例えば、そのままの状態で、化粧品原料として用いることができる。特に、甜菜由来のベタインを水素結合アクセプターとする天然深共晶溶媒に含まれる成分は全て化粧品原料として通常用いられる物質であり、その抽出液は化粧品原料として極めて好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0015】
〔オレアノール酸含有抽出液の製造方法〕
本発明のオレアノール酸含有抽出液の製造方法の一の実施形態は、ブドウを搾汁した後に残る残渣(以下、「ブドウ搾汁滓」という)からオレアノール酸を抽出し、抽出したオレアノール酸を含む抽出液を得るための製造方法である。オレアノール酸は、トリテルペノイド天然有機酸の1種であり、下記構造式(1)で表される。
【0016】
【0017】
本実施形態のオレアノール酸含有抽出液の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」ともいう)は、以下に示す、第1の工程と、第2の工程とを含む。第1の工程は、甜菜由来のベタインを水素結合アクセプターとする天然深共晶溶媒と、ブドウ搾汁滓と、を含む混合液を得る工程である。第2の工程は、第1の工程にて得られた混合液(即ち、上記した天然深共晶溶媒とブドウ搾汁滓とを含む混合液)から、オレアノール酸を含有する抽出液を得る工程である。
【0018】
このような本実施形態の製造方法によれば、高濃度の有機溶媒を用いることなく、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を含有する抽出液を簡便に得ることができる。また、本実施形態の製造方法は、高濃度の有機溶媒を用いた従来法と比較しても、オレアノール酸の抽出率を遜色ない値とすることができる。以下、本実施形態の製造方法における第1の工程及び第2の工程について更に詳細に説明する。
【0019】
第1の工程は、甜菜由来のベタインを水素結合アクセプター(HBA)とする天然深共晶溶媒と、ブドウ搾汁滓と、を含む混合液を得る工程である。ここで、深共晶溶媒(DES:Deep Eutectic Solvent)とは、水素結合ドナー(HBD)及び水素結合アクセプター(HBA)の性質を持つ2種類以上の個体物質を一定のモル比で混合することで得られる溶媒(共晶混合物)である。即ち、深共晶溶媒とは、水素結合ドナーと水素結合アクセプターを混合することによって共晶と呼ばれる現象が起こり、室温~100℃未満で液化したもののことをいう。なお、深共晶溶媒は、イオン液体と類似した性質を持つ溶媒であるが、共晶と呼ばれる現象、即ち、2種類以上の個体物質を混合することで共晶融点降下が起こって液化した溶媒であり、イオン液体とは全く異なるものである。
【0020】
本実施形態の製造方法においては、深共晶溶媒として、天然有機資源を原料とした天然深共晶溶媒であって、特に、甜菜由来のベタインを水素結合アクセプターとしたものを使用する。甜菜は、ビートとも呼ばれ、例えば、甜菜糖を生産する目的などとしても栽培されている作物である。そして、この甜菜には、ベタインが含まれている。ベタインは、正電荷と負電荷を同一分子内の隣り合わない位置に持ち、正電荷を持つ原子には解離し得る水素が結合しておらず、分子全体としては電荷を持たない化合物(分子内塩)である。このようにベタインは、甜菜に含まれる両性イオン物質であり、食品添加物では調味料として、また、化粧品原料では保湿剤として用いられることがある。特に、甜菜には、ベタインとして、下記構造式(2)で表される化合物が含まれる。下記構造式(2)で表されるベタインは、トリメチルグリシンとも言われ、天然アミノ酸の一種である。
【0021】
【0022】
天然深共晶溶媒の水素結合ドナーについては特に制限はなく、水素結合アクセプターとしてのベタインと共晶を形成するものであればよい。例えば、水素結合ドナーとして、カルボン酸やアルコールを用いることができる。例えば、カルボン酸としては、下記構造式(3)に示すL-乳酸を挙げることができる。また、アルコールとしては、下記構造式(4)に示すグリセロール、下記構造式(5)に示すスクロース、下記構造式(6)に示すキシリトール、下記構造式(7)に示す1,3-ブチレングリコールを挙げることができる。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
天然深共晶溶媒の調製方法について特に制限はないが、例えば、以下のような方法を挙げることができる。まず、使用する水素結合アクセプターと水素結合ドナーを準備する。次に、準備した水素結合アクセプターと水素結合ドナーを、例えば、ナスフラスコ等の容器に入れ、深共晶溶媒の共晶点以上の温度に加熱して撹拌する。このようにして、使用した水素結合アクセプター及び水素結合ドナーに対応する深共晶溶媒を調製することができる。
【0029】
第1の工程では、これまでに説明した天然深共晶溶媒にブドウ搾汁滓を加えて、これらを含む混合液を得る。ブドウ搾汁滓は、ブドウを搾汁した後に残る残渣であればよく、例えば、粉末状のブドウ搾汁滓であってもよい。ブドウ搾汁滓は、特に、ワイン醸造時にできるブドウの果肉、果皮の搾り滓からなるワインパミスを好適に用いることができる。
【0030】
第1の工程における、天然深共晶溶媒とブドウ搾汁滓の配合比については特に制限はない。
【0031】
また、第1の工程にて得られる混合液は、上述した天然深共晶溶媒及びブドウ搾汁滓以外に、更に他の溶媒を含んでいてもよい。例えば、第1の工程において、天然深共晶溶媒以外の溶媒を、更に混合液に加えてもよい。このような溶媒としては、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を抽出可能な有機溶媒であって、且つ人体に悪影響を及ぼすことのない物質であることが好ましい。例えば、このような溶媒は、エタノールや1,3-ブチレングリコールなどのアルコールを挙げることができる。例えば、1,3-ブチレングリコールは、従来、化粧品原料の抽出溶媒として用いられている。このように、混合液が更に他の溶媒を含んでいる場合であっても、これらの他の溶媒は、例えば、化粧品原料の用途として従来から用いられている物質であることがより好ましい。また、第1の工程にて得られる混合液には水などの更に他の液体が含まれていてもよい。天然深共晶溶媒と他溶媒の混合比率の範囲は「9:1から1:1」であり、より望ましくは「3:1から1:1」、さらに望ましくは「2:1から1:1」である。
【0032】
以上のような第1の工程を行うことで、天然深共晶溶媒とブドウ搾汁滓とを含む混合液を得る。そして、次の第2の工程にて、得られた混合液からオレアノール酸を含有する抽出液を得る。すなわち、第2の工程は、オレアノール酸をブドウ搾汁滓から天然深共晶溶媒中に抽出液として抽出する工程である。
【0033】
第2の工程において、抽出温度は、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を効率的に抽出できる範囲であれば特に制限はない。また、抽出方法は、自然抽出、すなわち静置抽出であってもよいが、オレアノール酸を効率良く抽出するという観点から、撹拌抽出や遠心分離抽出などの公知の抽出方法を用いることができる。撹拌抽出や遠心分離抽出のような公知の抽出方法の二種以上を併用してもよい。例えば、第2の工程が、第1の工程にて得られた混合液を撹拌した後、撹拌した混合液を遠心分離し、遠心分離にて分離した上澄み液と沈殿物を濾過する操作を含むものであってもよい。混合液の撹拌は、特に限定されることはないが、混合液の温度を40℃とし2時間行うことができる。
【0034】
以上のような第2の工程により、オレアノール酸を含有する抽出液を得ることができる。このように、本実施形態の製造方法は、オレアノール酸を抽出する深共晶溶媒として、水素結合アクセプター及び水素結合ドナーの双方が天然物からなる天然深共晶溶媒を用いているため、オレアノール酸を含有する抽出液は、例えば、そのままの状態で、化粧品原料として用いることができる。すなわち、ベタインを水素結合アクセプターとした天然深共晶溶媒に含まれる成分は全て化粧品原料として通常用いられる物質であり、その抽出液は化粧品原料として極めて好適に用いることができる。また、甜菜由来のベタインを天然深共晶溶媒の水素結合アクセプターとしているため、得られる抽出液は、高付加価値の化粧品原料となる。
【実施例0035】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0036】
〔天然深共晶溶媒の作製〕
水素結合アクセプターを天然アミノ酸である甜菜由来のベタインに固定し、L-乳酸、グリセロール、スクロース、キシリトール、及び1,3-ブチレングリコールのそれぞれを水素結合ドナーとして、5種類の天然深共晶溶媒を作製した。天然深共晶溶媒は、水素結合アクセプター及び水素結合ドナーのそれぞれをナスフラスコに入れ、ナスフラスコ内で加熱し撹拌して作製した。
【0037】
(実施例1)
実施例1では、ブドウ搾汁滓として粉状のワインパミスを用意し、このワインパミスからオレアノール酸を抽出して、オレアノール酸を含有する抽出液を製造した。具体的には、まず、粉状のワインパミス0.1gに、水素結合ドナーとしてL-乳酸を用いた天然深共晶溶媒500μL、及びエタノール500μLを加えて、これらを混合して混合液を得た。次に、得られた混合液を2時間40℃で撹拌し、その後、遠心分離を1分行った。次に、遠心分離にて分離した混合液の上澄み液と沈殿物を濾過して、その抽出液を得た。
【0038】
以上のようにして得られた抽出液について、逆相カラムクロマトグラフィーを用いてオレアノール酸の検出及びその定量分析を行った。そして、定量分析結果から、原料としたワインパミスからのオレアノール酸の抽出率(%)を求めた。結果を、表1に示す。
【0039】
【0040】
(実施例2~5)
使用する天然深共晶溶媒を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオレアノール酸を含有する抽出液を製造した。得られた各抽出液についてオレアノール酸の抽出率(%)を求めた。結果を、表1に示す。
【0041】
(比較例1)
抽出溶媒として水を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でオレアノール酸を含有する抽出液を製造した。得られた各抽出液についてオレアノール酸の抽出率(%)を求めた。結果を、表1に示す。
【0042】
(比較例2)
抽出溶媒として1,3-ブチレングリコールを使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でオレアノール酸を含有する抽出液を製造した。得られた各抽出液についてオレアノール酸の抽出率(%)を求めた。結果を、表1に示す。
【0043】
(結果)
表1に示すように、抽出溶媒として天然深共晶溶媒を使用してオレアノール酸を含有する抽出液を製造した実施例1~5は、抽出溶媒として水を使用した比較例1よりも、オレアノール酸の抽出率が高いものであった。特に、水素結合アクセプターをベタインとし、水素結合ドナーをキシリトールとした天然深共晶溶媒を使用した実施例5は、最も高効率(抽出率0.25%)でワインパミスからオレアノール酸を抽出することができた。この抽出率は、化粧品原料の抽出溶媒として頻繁に用いられる1,3-ブチレングリコール(比較例2)と比較して遜色ない値を示すものであった。
本発明のオレアノール酸含有抽出液の製造方法は、ブドウ搾汁滓からオレアノール酸を含有する抽出液を製造する方法として利用することができる。特に、得られる抽出液は、化粧品原料として利用することができる。