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特開2025-5643コイル製造装置、コイル製造方法、コイル製造プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005643
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コイル製造装置、コイル製造方法、コイル製造プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20250109BHJP
   H02K 15/04 20250101ALI20250109BHJP
   H01F 41/066 20160101ALI20250109BHJP
【FI】
H01F41/04 F
H02K15/04 Z
H01F41/066
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105900
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】山内 淳一
(72)【発明者】
【氏名】針生 誠
【テーマコード(参考)】
5E002
5H615
【Fターム(参考)】
5E002AA14
5H615AA01
5H615QQ02
5H615SS18
5H615SS24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイル製造の生産性を向上させるコイル製造装置、コイル製造方法、コイル製造プログラム及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【解決手段】コイル製造装置1は、巻治具10、加熱部20、冷却部40、及び制御部60を備え、巻治具10は、コイル用部材を旋回させてコイル用部材を所定形状に成形し、加熱部20は、熱気発生器22と第1送風路24とを有すると共に、熱気発生器22から第1送風路24を経由して供給される第1送風の第1吹付動作により巻治具10及びコイル用部を加熱し、冷却部40は、冷気発生器42と第2送風路44とを有すると共に、冷気発生器42から第2送風路44を経由して供給される第2送風の第2吹付動作により巻治具10及びコイル用部材を冷却し、制御部60は、第1吹付動作及び/又は第2吹付動作における気流制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置であって、
巻治具、加熱部、冷却部、及び制御部を備え、
前記巻治具は、前記コイル用部材を旋回させて前記コイル用部材を所定形状に成形し、
前記加熱部は、熱気発生器と第1送風路とを有すると共に、熱気発生器から第1送風路を経由して供給される第1送風の第1吹付動作により前記巻治具及び前記コイル用部材を加熱し、
前記冷却部は、冷気発生器と第2送風路とを有すると共に、冷気発生器から第2送風路を経由して供給される第2送風の第2吹付動作により前記巻治具及び前記コイル用部材を冷却し、
前記制御部は、前記第1吹付動作及び/又は前記第2吹付動作における気流制御を行うことを特徴とするコイル製造装置。
【請求項2】
前記気流制御には、前記第1吹付動作及び前記第2吹付動作における、起動/停止、気流方向、気流速度、に係る制御の一部又は全てを含むことを特徴とする請求項1に記載のコイル製造装置。
【請求項3】
前記加熱部は、更に、第1駆動部を有し、前記第1駆動部は、前記気流制御に基づいて、前記第1送風の前記気流方向を変化させるよう、前記熱気発生器及び/又は前記第1送風路を移動または方向変化させることを特徴とする請求項2に記載のコイル製造装置。
【請求項4】
前記冷却部は、更に、第2駆動部を有し、前記第2駆動部は、前記気流制御に基づいて、前記第2送風の前記気流方向を変化させるよう、前記冷気発生器及び/又は前記第2送風路を移動または方向変化させることを特徴とする請求項2に記載のコイル製造装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記気流制御に基づいて、前記第1送風路および前記第2送風路の気流方向を変化させ、前記第1送風路、前記第2送風路を経由して供給される第1送風の第1吹付動作および第2送風の第2吹付動作により前記巻治具及び前記コイル用部材に前記第1送風および前記第2送風が当たらない様にし、前記融着層の融点を基準として温度が前記融着層の融点を超える様に前記熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、前記融着層の融点を基準として温度が前記融着層の融点を下回るように前記冷気発生器が冷気を発生させ、
前記気流制御に基づいて、前記加熱部の向きを変えて前記巻治具及び前記コイル用部材への第1吹付動作を開始し、
前記融着層が融点に到達する迄に前記巻治具に前記コイル用部材を旋回させて所定形状に成形し、前記融着層が融点を超えた状態で前記旋回を停止させ所定時間保持し、
前記気流制御に基づいて前記第1送風路の気流方向を変化させ前記巻治具及び前記コイル用部材への噴射を避ける様にし、
前記第2送風路の気流方向を変化させ、前記冷気発生器から前記第2送風路を経由して供給される前記第2送風の前記第2吹付動作により前記巻治具及び前記コイル用部材を冷却し、
前記融着層が融点未満となるようにして前記コイル用部材を所定形状に固定化するように制御することを特徴とする請求項1に記載のコイル製造装置。
【請求項6】
前記第1送風路及び/又は前記第2送風路は、複数であることを特徴とする請求項1に記載のコイル製造装置。
【請求項7】
前記融点が異なる複数種の前記コイル用部材毎の融点温度と、前記コイル用部材毎の断面形状情報と、前記融点温度に必要十分な前記熱気の必要熱気温度情報と、が登録された温度情報テーブルを備え、
前記制御部は、コイル用部材融点情報テーブルに基づいて、前記温度制御を行うことを特徴とする請求項2に記載のコイル製造装置。
【請求項8】
温度検出器を備え、
前記制御部は、前記温度検出器の検出温度情報と前記必要熱気温度情報とに基づいて、前記温度制御及び/又は開閉制御を行うことを特徴とする請求項4に記載のコイル製造装置。
【請求項9】
前記巻治具は、前記温度検出器を備えていることを特徴とする請求項5に記載のコイル製造装置。
【請求項10】
前記巻治具は、前記コイル用部材を前記巻治具に旋回させる回転駆動モータを備え、
前記制御部は、
前記温度検出器の検出温度情報と前記必要熱気温度情報とに基づいて、前記回転駆動モータの回転速度制御を行うことを特徴とする請求項5又は6いずれかに記載のコイル製造装置。
【請求項11】
前記コイル用部材は、断面が四角形であることを特徴とする請求項1に記載のコイル製造装置。
【請求項12】
前記コイルの所定形状は、外観がα形状であることを特徴とする請求項1に記載のコイル製造装置。
【請求項13】
導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置であって、
開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順を実行させる第1手順実行部と、
温度制御により、前記融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、前記融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順を実行させる第2手順実行部と、
前記開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順を実行させる第3手順実行部と、
第1送風路を介して前記熱気発生器から前記熱気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を加熱する第4手順を実行させる第4手順実行部と、
前記融着層が前記融点に到達する迄に前記巻治具に前記コイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順を実行させる第5手順実行部と、
前記融着層が前記融点を超えた状態で前記旋回を停止させ所定時間保持する第6手順を実行させる第6手順実行部と、
前記開閉制御により、前記第1開閉部材を閉状態にし、前記第2開閉部材を開状態にする第7手順を実行させる第7手順実行部と、
前記第2送風路を介して前記冷気発生器から前記冷気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を冷却し、前記融着層が前記融点未満となるようにして前記コイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させる第8手順実行部と、
に基づいてコイルを製造することを特徴とするコイル製造装置。
【請求項14】
導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造方法であって、
開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順と、
温度制御により、前記融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、前記融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順と、
前記開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順と、
第1送風路を介して前記熱気発生器から前記熱気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を加熱する第4手順と、
前記融着層が前記融点に到達する迄に前記巻治具に前記コイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順と、
前記融着層が前記融点を超えた状態で前記旋回を停止させ所定時間保持する第6手順と、
前記開閉制御により、前記第1開閉部材を閉状態にし、前記第2開閉部材を開状態にする第7手順と、
前記第2送風路を介して前記冷気発生器から前記冷気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を冷却し、前記融着層が前記融点未満となるようにして前記コイル用部材を所定形状に固定化する第8手順と、
に基づいてコイルを製造することを特徴とするコイル製造方法。
【請求項15】
導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造プログラムであって、
開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順と、
温度制御により、前記融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、前記融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順と、
前記開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順と、
第1送風路を介して前記熱気発生器から前記熱気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を加熱する第4手順と、
前記融着層が前記融点に到達する迄に前記巻治具に前記コイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順と、
前記融着層が前記融点を超えた状態で前記旋回を停止させ所定時間保持する第6手順と、
前記開閉制御により、前記第1開閉部材を閉状態にし、前記第2開閉部材を開状態にする第7手順と、
前記第2送風路を介して前記冷気発生器から前記冷気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を冷却し、前記融着層が前記融点未満となるようにして前記コイル用部材を所定形状に固定化する第8手順と、
を実行させることを特徴とするコイル製造プログラム。
【請求項16】
導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置のコンピュータを、
開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順を実行させる第1手順実行部と、
温度制御により、前記融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、前記融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順を実行させる第2手順実行部と、
前記開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順を実行させる第3手順実行部と、
第1送風路を介して前記熱気発生器から前記熱気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を加熱する第4手順を実行させる第4手順実行部と、
前記融着層が前記融点に到達する迄に前記巻治具に前記コイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順を実行させる第5手順実行部と、
前記融着層が前記融点を超えた状態で前記旋回を停止させ所定時間保持する第6手順を実行させる第6手順実行部と、
前記開閉制御により、前記第1開閉部材を閉状態にし、前記第2開閉部材を開状態にする第7手順を実行させる第7手順実行部と、
前記第2送風路を介して前記冷気発生器から前記冷気を送風し、前記巻治具及び前記コイル用部材を冷却し、前記融着層が前記融点未満となるようにして前記コイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させる第8手順実行部として機能させることを特徴とするコイル製造プログラム。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載のコイル製造プログラムを記憶することを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル製造装置、コイル製造方法、コイル製造プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、加熱および冷却によりコイルを製造するコイル製造装置及び製造方法が知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、以下の発明が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された発明おいては、第1側板24と、突起部26を有する第2側板28とを互いに対向配置し、前記突起部26に絶縁部材14を巻装する。前記絶縁部材14に導線70を巻回し、前記導線70に熱可塑性樹脂からなる接着剤を塗布して電極18を接続し、導線70を通電して発熱させ、前記接着剤を溶融させて前記巻回された導線70に浸透させる。圧縮空気用ノズル20a、20bで圧縮空気を前記導線70に吐出して冷却し、前記接着剤を固化させる。第1側板24を突起部26から外して前記巻回された導線70を取り出すと、コイル72が得られる。
【0004】
特許文献2に開示された発明おいては、線材10を螺旋状に巻回して鼓状螺旋体(螺旋体)20aを形成する螺旋化工程と、鼓状螺旋体20aをその巻中心軸CL1方向に縮める縮小化工程と、鼓状螺旋体20aが縮んだ状態を保持させる定形化工程と、によりコイル20を製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09-007872公報
【特許文献2】特開2014-013814公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている発明では、接着剤を塗布する工程が発生し、かつ塗布位置や塗布量のコントロール、さらには外形的な寸法に配慮する必要がある。特許文献2に開示されている発明は、装置に加熱部は備えられているが、被加熱部の温度は精密に測定し適切かつ迅速にコントロールされておらず、さらに冷却部は備えていない為特に太く熱容量の大きなコイル製造においてより迅速にコイルの形状保持力を得ることが出来ない。以上のように、従来技術においては、コイル製造の生産性の点において課題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決することができるコイル製造装置、コイル製造方法、コイル製造プログラム、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るコイル製造装置は、導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置であって、巻治具、加熱部、冷却部、及び制御部を備え、巻治具は、コイル用部材を旋回させてコイル用部材を所定形状に成形し、 加熱部は、熱気発生器と第1送風路とを有すると共に、熱気発生器から第1送風路を経由して供給される第1送風の第1吹付動作により巻治具及びコイル用部材を加熱し、冷却部は、冷気発生器と第2送風路とを有すると共に、冷気発生器から第2送風路を経由して供給される第2送風の第2吹付動作により巻治具及びコイル用部材を冷却し、制御部は、第1吹付動作及び/又は第2吹付動作における気流制御を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るコイル製造装置において、巻治具は、コイル用部材を旋回させてコイル用部材を所定形状に成形し、加熱部は、熱気発生器と第1送風路とを有すると共に、熱気発生器から第1送風路24を経由して供給される第1送風の第1吹付動作により巻治具及びコイル用部材を加熱し、冷却部は、冷気発生器と第2送風路とを有すると共に、冷気発生器から第2送風路を経由して供給される第2送風の第2吹付動作により巻治具及びコイル用部材を冷却し、制御部は、第1吹付動作及び/又は第2吹付動作における気流制御を行う。
【0010】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【0011】
本発明に係るコイル製造装置は、絶縁被覆膜と絶縁被覆膜の外層に融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置であって、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順を実行させる第1手順実行部と、温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順を実行させる第2手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順を実行させる第3手順実行部と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順を実行させる第4手順実行部と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順を実行させる第5手順実行部と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順を実行させる第6手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順を実行させる第7手順実行部と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させる第8手順実行部と、に基づいてコイルを製造することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るコイル製造装置において、絶縁被覆膜と絶縁被覆膜の外層に融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置であって、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順を実行させる第1手順実行部と、温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順を実行させる第2手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順を実行させる第3手順実行部と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順を実行させる第4手順実行部と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順を実行させる第5手順実行部と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順を実行させる第6手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順を実行させる第7手順実行部と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させる第8手順実行部と、に基づいてコイルを製造する。
【0013】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【0014】
本発明に係るコイル製造方法は、導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造方法であって、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順と、 温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順に基づいてコイルを製造することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るコイル製造方法において、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順と、温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順に基づいてコイルを製造する。
【0016】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【0017】
本発明に係るコイル製造プログラムは、導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造プログラムであって、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順と、温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコイル製造プログラムにおいて、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順と、温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させる。
【0019】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【0020】
本発明に係るコイル製造プログラムは、導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置のコンピュータを、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順を実行させる第1手順実行部と、温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順を実行させる第2手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順を実行させる第3手順実行部と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順を実行させる第4手順実行部と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順を実行させる第5手順実行部と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順を実行させる第6手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順を実行させる第7手順実行部と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させる第8手順実行部として機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係るコイル製造プログラムにおいて、導電性部材の外層に、順次、絶縁被覆膜と融着層で覆われたコイル用部材を使用してコイルを製造するコイル製造装置のコンピュータを、開閉制御により、第1開閉部材及び第2開閉部材を閉状態にする第1手順を実行させる第1手順実行部と、温度制御により、融着層の融点を基準として熱気発生器が熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器が冷気を発生させる第2手順を実行させる第2手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を開状態にする第3手順を実行させる第3手順実行部と、第1送風路を介して熱気発生器から熱気を送風し、巻治具及びコイル用部材を加熱する第4手順を実行させる第4手順実行部と、融着層が融点に到達する迄に巻治具にコイル用部材を旋回させて所定形状に成形する第5手順を実行させる第5手順実行部と、融着層が融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順を実行させる第6手順実行部と、開閉制御により、第1開閉部材を閉状態にし、第2開閉部材を開状態にする第7手順を実行させる第7手順実行部と、第2送風路を介して冷気発生器から冷気を送風し、巻治具及びコイル用部材を冷却し、融着層が融点未満となるようにしてコイル用部材を所定形状に固定化する第8手順を実行させる第8手順実行部として機能させる。
【0022】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、コイル製造の生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るコイル製造装置の全体構成の概要を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るコイル製造装置の全体構成の概要を示す別の図である。
図3】同コイル製造装置におけるコイル用部材の構成を示す図である。
図4】同コイル製造装置におけるコイルの構成を示す図である。
図5】同コイル製造装置における制御部の制御項目を示す図である。
図6】同コイル製造装置において複数の第1送風路、第2送風路が配置された例を示す図である。
図7】同コイル製造装置において複数の第1送風路、第2送風路が配置された例を示す別の図である。
図8】同コイル製造装置における温度情報テーブルを示す図である。
図9】同コイル製造装置における温度検出器の構成を示す図である。
図10】同コイル製造装置における温度検出器を搭載した巻治具の構成を示す図である。
図11】同コイル製造装置における回転駆動モータを搭載した巻治具の構成を示す図である。
図12】同コイル製造装置におけるコイル用部材の構成を示す別の図である。
図13】同コイル製造装置におけるコイルの構成を示す別の図である。
図14】同コイル製造装置における第1手順実行部乃至第8手順実行部を示す図である。
図15】同コイル製造装置におけるコンピュータの構成を示す図である。
図16】同コイル製造装置における第1手順乃至第8手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態の一例を説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定するものでなく、発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0026】
図1乃至図4に示すように、本発明に係るコイル製造装置1は、導電性部材102の外層に、順次、絶縁被覆膜104と融着層106で覆われたコイル用部材108を使用してコイル100を製造するコイル製造装置1であって、巻治具10、加熱部20、冷却部40、及び制御部60を備え、巻治具10は、コイル用部材108を巻治具10の回転軸10Aまわりに旋回(回転)させてコイル用部材108を所定形状に成形し、加熱部20は、熱気発生器22と第1送風路24とを有すると共に熱気発生器22から第1送風路24を経由して供給される第1送風の第1吹付動作により巻治具10及びコイル用部材108を加熱し、冷却部40は、冷気発生器42と第2送風路44とを有するとともに冷気発生器42から第2送風路44を経由して供給される第2送風の第2吹付動作により巻治具10及びコイル用部材108を冷却し、制御部60は、第1吹付動作及び/又は第2吹付動作における気流制御を行う。
【0027】
絶縁被覆膜104は、例えばポリウレタン、ポリウレタンナイロン、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、などが使用される。融着層106には、ポリビニルブチラール、ポリアミド、熱硬化型SVワニスなどが使用され市販されている。なお、絶縁被覆膜104および融着層106は、上記に限定されず、コイル100に要求される耐圧性、耐湿性また製造時に要求される融点、耐熱性などを考慮して構成すると、コイル100の品質、コストおよび生産性の点で効果が発揮される。
【0028】
気流制御には、第1吹付動作及び第2吹付動作における、起動/停止、気流方向、気流速度、に係る制御の一部又は全てを含むことが好ましい。
【0029】
本発明に係るコイル製造装置1において、巻治具10は、コイル用部材108を旋回させてコイル用部材108を所定形状に成形し、加熱部20は、熱気発生器22と第1送風路24とを有すると共に、熱気発生器22から第1送風路24を経由して供給される第1送風の第1吹付動作により巻治具10及びコイル用部材108を加熱し、冷却部40は、冷気発生器42と第2送風路44とを有するとともに冷気発生器42から第2送風路44を経由して供給される第2送風の第2吹付動作により巻治具10及びコイル用部材108を冷却し、制御部60は、第1吹付動作及び/又は第2吹付動作における気流制御を行う。これにより、コイル100製造の生産性が向上する。
【0030】
なお、本実施形態に係るコイル製造装置1、コイル100,導電性部材102、絶縁被覆膜104、融着層106、コイル用部材108、巻治具10、加熱部20、熱気発生器22、第1送風路24、第1開閉部材26、冷却部40、冷気発生器42、第2送風路44、第2開閉部材46及び制御部60は、本発明に係るコイル製造装置、コイル、絶縁被覆膜、融着層、コイル用部材、巻治具、加熱部、熱気発生器、第1送風路、第1開閉部材、冷却部、冷気発生器、第2送風路、第2開閉部材及び制御部に相当する。第1開閉部材26は、第1送風路24を開閉し、第2開閉部材46は、第2送風路44を開閉する(図2は、開閉部材26,46により送風路24,44を開閉した状態を示す)。
【0031】
また、加熱部20は、更に、第1駆動部27を有し、第1駆動部27は、気流制御に基づいて、第1送風の気流方向を変化させるよう、熱気発生器22及び/又は第1送風路24を移動または方向変化させ巻治具10及びコイル用部材108に噴射したり避けたりする。第1駆動部27は、移動、回転、反転などの動作を行うものである(図1の加熱部20内の点線は、熱気発生器22及び/又は第1送風路24を移動または方向変化させた状態を示す)。
【0032】
更に、冷却部40は、第2駆動部46を有し、第2駆動部46は、気流制御に基づいて、第2送風44の気流方向を変化させるよう、冷気発生器42及び/又は第2送風路44を移動または方向変化させ巻治具10及びコイル用部材108に噴射したり避けたりする。第2駆動部46は移動、回転、反転などの動作を行うものである(図1の冷却部40内の点線は、冷気発生器42及び/又は第2送風路44を移動または方向変化させた状態を示す)。
【0033】
制御部60は、図5に示すように、制御項目1乃至制御項目7に基づいて制御を行う。
すなわち、制御部60は、制御により気流制御に基づいて、第1送風路24および第2送風路44の気流方向を変化させ、第1送風路24、第2送風路44を経由して供給される第1送風の第1吹付動作および第2送風の第2吹付動作により巻治具10及びコイル用部材108に第1送風および第2送風が当たらない様にする(制御項目1)。融着層106の融点を基準として温度が融着層106の融点を超える様に熱気発生器22が熱気を発生させ、かつ、融着層106の融点を基準として温度が融着層106の融点を下回るように冷気発生器42が冷気を発生させ、加熱部20、冷却部40、ともに準備をする(制御項目2)。
【0034】
気流制御に基づいて、まず加熱部20の向きを変えて巻治具10及びコイル用部材108への第1吹付動作を開始する(制御項目3)。
【0035】
融着層106が融点に到達する迄に巻治具10にコイル用部材108を旋回させて所定形状に成形し、融着層106が融点を超えた状態でコイル用部材108の旋回を停止させ所定時間保持する(制御項目4)。
【0036】
気流制御に基づいて、第1送風路24の気流方向を変化させ巻治具10及びコイル用部材108への噴射を避ける(制御項目5)。
【0037】
第2送風路44の気流方向を変化させ、冷気発生器42から第2送風路44を経由して供給される第2送風の第2吹付動作により巻治具10及びコイル用部材108を冷却する(制御項目6)。
【0038】
その後融着層106が融点未満となるようにしてコイル用部材108を所定形状に固定化するように制御を行うものである(制御項目7)。
【0039】
本実施形態に係る第1送風路24及び/又は第2送風路44は、図6および図7に示すように、複数であっても良い(図6の加熱部20内の点線は、熱気発生器22及び/又は第1送風路24を移動または方向変化させた状態を示し、冷却部40内の点線は、冷気発生器42及び/又は第2送風路44を移動または方向変化させた状態を示し、図7は、開閉部材26,46により送風路24,44を開閉した状態を示す)。
【0040】
本実施形態に係る、巻治具10A、熱気発生器22A,22B,22C、第1送風路24A,24B,24C、冷気発生器42A,42B、第2送風路44A,44Bは、本発明に係る巻治具、熱気発生器、第1送風路、冷気発生器、第2送風路、に相当する。
【0041】
本実施形態に係るコイル製造装置1は、図8に示すように、融点が異なる複数種のコイル用部材108毎の融点温度と、コイル用部材108毎の断面形状情報と、融点温度に必要十分な熱気の必要熱気温度情報と、が登録された温度情報テーブルを備え、制御部60は、コイル用部材108の温度情報テーブルに基づいて、温度制御を行うものである。
【0042】
本実施形態に係る巻き治具10Bは、図9に示すように、非接触温度検出器12を備え、制御部40は、非接触温度検出器12の検出温度情報と必要熱気温度情報とに基づいて、温度制御及び/又は開閉制御を行うものである。
【0043】
本実施形態に係る巻き治具10B及び非接触温度検出器12は、本発明に係る巻き治具及び温度検出器に相当する。
【0044】
本発明に係る巻治具10Cは、図10に示すように、非接触温度検出器16を備えているものである。制御部60は、非接触温度検出器16の検出温度情報と必要熱気温度情報とに基づいて、温度制御及び/又は開閉制御を行うものである。
【0045】
本実施形態に係る巻き治具10C及び温度検出器16は、本発明に係る巻治具及び温度検出器に相当する。
【0046】
本実施形態に係る巻治具10Dは、図11に示すように、コイル用部材108を巻治具に旋回させる回転駆動モータ18を備え、制御部60は、温度検出器12,16の検出温度情報と必要熱気温度情報とに基づいて、回転駆動モータ18の回転速度制御を行うものである。
【0047】
本実施形態に係る回転駆動モータ18は、本発明に係る回転駆動モータに相当する。
【0048】
本発明に係るコイル用部材108A,108Bは、図12に示すように、断面が四角形であってもよい。断面が四角形のコイル用部材でコイルを製造する場合は、コイルの形状保持力が得られ堅牢なコイルの製造が可能となり生産の安定性の面で極めて有利である。また、断面が四角形以外の多角形のコイル用部材を用いてコイルを製造する場合であっても、迅速にコイルの形状保持力を得ることができるという点で極めて有利である。これらの有利性は、特に、太く熱容量の大きなコイルの製造においては、顕著である。なお、コイル用部材の断面が円形を含む場合であっても、コイルの製造に関する生産の安定性の点で従来技術よりも顕著に優れている。
【0049】
本実施形態に係るコイル用部材108A,108B、導電性部材102A,102B、絶縁被覆膜104A,104B及び融着層106A,106Bは、本発明に係るコイル用部材、導電性部材、絶縁被覆膜及び融着層に相当する。
【0050】
本実施形態に係るコイル100Aの所定形状は、図13に示すように、外観がα形状であっても良い。このような、α形状のコイルの製造においては、迅速にコイルの形状保持力を得つつ安定的に生産することは従来技術では困難性を伴っていたが、本発明によれば、上記困難性は解消可能であり、コイルの製造に関し生産性の向上と共に生産の品質向上に寄与する。
【0051】
本実施形態に係るコイル100Aは、本発明に係るコイルに相当する。
【0052】
また、本発明に係るコイル製造装置1は、導電性部材102,102A,102Bの外層に、順次、絶縁被覆膜104,104A,104Bと融着層106,106A,106Bで覆われたコイル用部材108,108A,108Bを使用してコイル100,100Aを製造するコイル製造装置1であって、図14に示すように、開閉制御により、第1開閉部材26及び第2開閉部材46を閉状態にする第1手順P1を実行させる第1手順実行部210と、温度制御により、融着層106,106A,106Bの融点を基準として熱気発生器22,22A,22B,22Cが熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器42,42A,42Bが冷気を発生させる第2手順P2を実行させる第2手順実行部220と、開閉制御により、第1開閉部材26を開状態にする第3手順P3を実行させる第3手順実行部230と、第1送風路24を介して熱気発生器22,22A,22B,22Cから熱気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを加熱する第4手順P4を実行させる第4手順実行部240と、融着層106,106A,106Bが融点に到達する迄に巻治具10,10A,10B,10C,10Dにコイル用部材108,108A,108Bを旋回させて所定形状に成形する第5手順P5を実行させる第5手順実行部250と、融着層106,106A,106Bが融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順P6を実行させる第6手順実行部260と、開閉制御により、第1開閉部材26を閉状態にし、第2開閉部材46を開状態にする第7手順P7を実行させる第7手順実行部270と、第2送風路44,44A,44Bを介して冷気発生器42,42A,42Bから冷気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを冷却し、融着層106,106A,106Bが融点未満となるようにしてコイル用部材108,108A,108Bを所定形状に固定化する第8手順P8を実行させる第8手順実行部280と、に基づいてコイルを製造する。第1手順実行部210乃至第8手順実行部280は、独立した構成としてもよく、制御部60内に構成してもよい。
【0053】
なお、本発明に係るコイル製造装置1は、コンピュータとしての一般的構成を備えている。すなわち、コイル製造装置は、図15に示すように、相互にバス1Aを介して接続された中央処理装置(CPU、GPU、DSP)1B、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク、キャッシュメモリ)1C、入力装置(キーボード、タッチパネル、マウス)1D、表示装置(液晶ディスプレー)1E等を有している。記憶装置1Cは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体として機能する。
【0054】
本実施形態に係るコイル製造方法は、導電性部材102,102A,102Bの外層に、順次、絶縁被覆膜104,104A,104Bと融着層106,106A,106Bで覆われたコイル用部材108,108A,108Bを使用してコイル100,100Aを製造するコイル製造方法であって、図16に示すように、開閉制御により、第1開閉部材26及び第2開閉部材46を閉状態にする第1手順P1と、温度制御により、融着層106,106A,106Bの融点を基準として熱気発生器22,22A,22B,22Cが熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器42,42A,42Bが冷気を発生させる第2手順P2と、開閉制御により、第1開閉部材26を開状態にする第3手順P3と、第1送風路24を介して熱気発生器22,22A,22B,22Cから熱気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを加熱する第4手順P4と、融着層106,106A,106Bが融点に到達する迄に巻治具10,10A,10B,10C,10Dにコイル用部材108,108A,108Bを旋回させて所定形状に成形する第5手順P5と、融着層106,106A,106Bが融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順P6と、開閉制御により、第1開閉部材26を閉状態にし、第2開閉部材46を開状態にする第7手順P7と、第2送風路44,44A,44Bを介して冷気発生器42,42A,42Bから冷気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを冷却し、融着層106,106A,106Bが融点未満となるようにしてコイル用部材108,108A,108Bを所定形状に固定化する第8手順P8に基づいてコイル100,100Aを製造するものである。
【0055】
すなわち、本実施形態に係るコイル製造方法において、開閉制御により、第1開閉部材26及び第2開閉部材46を閉状態にする第1手順P1と、温度制御により、融着層106,106A,106Bの融点を基準として熱気発生器22,22A,22B,22Cが熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器42,42A,42Bが冷気を発生させる第2手順P2と、開閉制御により、第1開閉部材26を開状態にする第3手順P3と、第1送風路24を介して熱気発生器22,22A,22B,22Cから熱気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを加熱する第4手順P4と、融着層106,106A,106Bが融点に到達する迄に巻治具10,10A,10B,10C,10Dにコイル用部材108,108A,108Bを旋回させて所定形状に成形する第5手順P5と、融着層106,106A,106Bが融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順P6と、開閉制御により、第1開閉部材26を閉状態にし、第2開閉部材46を開状態にする第7手順P7と、第2送風路44,44A,44Bを介して冷気発生器42,42A,42Bから冷気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを冷却し、融着層106,106A,106Bが融点未満となるようにしてコイル用部材108,108A,108Bを所定形状に固定化する第8手順P8に基づいてコイル100,100Aを製造する。
【0056】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【0057】
本実施形態に係る第1手順P1、第2手順P2、第3手順P3、第4手順P4、第5手順P5、第6手順P6、第7手順P7及び第8手順P8は、本発明に係る第1手順、第2手順、第3手順、第4手順、第5手順、第6手順、第7手順及び第8手順に相当する。
【0058】
本実施形態に係るコイル製造プログラム1Fは、導電性部材102,102A,102Bの外層に、順次、絶縁被覆膜104,104A,104Bと融着層106,106A,106Bで覆われたコイル用部材108,108A,108Bを使用してコイル100,100Aを製造するコイル製造プログラム1Fであって、開閉制御により、第1開閉部材26及び第2開閉部材46を閉状態にする第1手順P1と、温度制御により、融着層106,106A,106Bの融点を基準として熱気発生器22,22A,22B,22Cが熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器42,42A,42Bが冷気を発生させる第2手順P2と、開閉制御により、第1開閉部材26を開状態にする第3手順P3と、第1送風路24,24A,24B,24Cを介して熱気発生器22,22A,22B,22Cから熱気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを加熱する第4手順P4と、融着層106,106A,106Bが融点に到達する迄に巻治具10,10A,10B,10C,10Dにコイル用部材108,108A,108Bを旋回させて所定形状に成形する第5手順P5と、融着層106,106A,106Bが融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順P6と、開閉制御により、第1開閉部材26を閉状態にし、第2開閉部材46を開状態にする第7手順P7と、第2送風路44,44A,44Bを介して冷気発生器42,42A,42Bから冷気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを冷却し、融着層106,106A,106Bが融点未満となるようにしてコイル用部材108,108A,108Bを所定形状に固定化する第8手順P8を実行させるものである。
【0059】
すなわち、本実施形態に係るコイル製造プログラム1Fにおいて、開閉制御により、第1開閉部材26及び第2開閉部材46を閉状態にする第1手順P1と、温度制御により、融着層106,106A,106Bの融点を基準として熱気発生器22,22A,22B,22Cが熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器42,42A,42Bが冷気を発生させる第2手順P2と、開閉制御により、第1開閉部材26を開状態にする第3手順P3と、第1送風路24,24A,24B,24Cを介して熱気発生器22,22A,22B,22Cから熱気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを加熱する第4手順P4と、融着層106,106A,106Bが融点に到達する迄に巻治具10,10A,10B,10C,10Dにコイル用部材108,108A,108Bを旋回させて所定形状に成形する第5手順P5と、融着層106,106A,106Bが融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順P6と、開閉制御により、第1開閉部材26を閉状態にし、第2開閉部材46を開状態にする第7手順P7と、第2送風路44,44A,44Bを介して冷気発生器42,42A,42Bから冷気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを冷却し、融着層106,106A,106Bが融点未満となるようにしてコイル用部材108,108A,108Bを所定形状に固定化する第8手順P8を実行させる。
【0060】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【0061】
より詳しくは、本実施形態に係るコイル製造プログラム1Fは、導電性部材102,102A,102Bの外層に、順次、絶縁被覆膜104,104A,104Bと融着層106,106A,106Bで覆われたコイル用部材108,108A,108Bを使用してコイル100,100Aを製造するコイル製造装置1のコンピュータを、開閉制御により、第1開閉部材26及び第2開閉部材46を閉状態にする第1手順P1を実行させる第1手順実行部210と、温度制御により、融着層106,106A,106Bの融点を基準として熱気発生器22,22A,22B,22Cが熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器42,42A,42Bが冷気を発生させる第2手順P2を実行させる第2手順実行部220と、開閉制御により、第1開閉部材26を開状態にする第3手順P3を実行させる第3手順実行部230と、第1送風路24を介して熱気発生器22,22A,22Bから熱気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを加熱する第4手順P4を実行させる第4手順実行部240と、融着層106,106A,106Bが融点に到達する迄に巻治具10,10A,10B,10C,10Dにコイル用部材108,108A,108Bを旋回させて所定形状に成形する第5手順P5を実行させる第5手順実行部250と、融着層10,10A,10B,10C,10Dが融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順P6を実行させる第6手順実行部260と、開閉制御により、第1開閉部材26を閉状態にし、第2開閉部材46を開状態にする第7手順P7を実行させる第7手順実行部270と、第2送風路44,44A,44Bを介して冷気発生器42,42A,42Bから冷気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを冷却し、融着層106,106A,106Bが融点未満となるようにしてコイル用部材108,108A,108Bを所定形状に固定化する第8手順P8を実行させる第8手順実行部280として機能させるものである。
【0062】
すなわち、本実施形態に係るコイル製造プログラム1Fにおいて、導電性部材102,102A,102Bの外層に、順次、絶縁被覆膜104,104A,104Bと融着層106,106A,106Bで覆われたコイル用部材108,108A,108Bを使用してコイル100,100Aを製造するコイル製造装置1のコンピュータを、開閉制御により、第1開閉部材26及び第2開閉部材46を閉状態にする第1手順P1を実行させる第1手順実行部210と、温度制御により、融着層106,106A,106Bの融点を基準として熱気発生器22,22A,22B,22Cが熱気を発生させ、かつ、融点を基準として冷気発生器42,42A,42Bが冷気を発生させる第2手順P2を実行させる第2手順実行部220と、開閉制御により、第1開閉部材26を開状態にする第3手順P3を実行させる第3手順実行部230と、第1送風路24を介して熱気発生器22,22A,22Bから熱気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを加熱する第4手順P4を実行させる第4手順実行部240と、融着層106,106A,106Bが融点に到達する迄に巻治具10,10A,10B,10C,10Dにコイル用部材108,108A,108Bを旋回させて所定形状に成形する第5手順P5を実行させる第5手順実行部250と、融着層10,10A,10B,10C,10Dが融点を超えた状態で旋回を停止させ所定時間保持する第6手順P6を実行させる第6手順実行部260と、開閉制御により、第1開閉部材26を閉状態にし、第2開閉部材46を開状態にする第7手順P7を実行させる第7手順実行部270と、第2送風路44,44A,44Bを介して冷気発生器42,42A,42Bから冷気を送風し、巻治具10,10A,10B,10C,10D及びコイル用部材108,108A,108Bを冷却し、融着層106,106A,106Bが融点未満となるようにしてコイル用部材108,108A,108Bを所定形状に固定化する第8手順P8を実行させる。
【0063】
これにより、コイル製造の生産性が向上する。
【0064】
本実施形態に係る第1手順P1、第2手順P2、第3手順P3、第4手順P4、第5手順P5、第6手順P6、第7手順P7及び第8手順P8は、本発明に係る第1手順、第2手順、第3手順、第4手順、第5手順、第6手順、第7手順及び第8手順に相当する。
【0065】
なお、上述したコイル製造プログラム1Fは、記憶装置1Cに記憶されている。
【符号の説明】
【0066】
P1 第1手順
P2 第2手順
P3 第3手順
P4 第4手順
P5 第5手順
P6 第6手順
P7 第7手順
P8 第8手順
1 コイル製造装置
1A バス
1B 中央処理装置
1C 記憶装置
1D 入力装置
1E 表示装置
1F コイル製造プログラム
10 巻治具
10A 巻治具
10B 巻治具
10C 巻治具
10D 巻治具
12 温度検出器
14 表示モニター
14A 表示モニター
15 温度検出器
16 温度検出器
18 回転駆動モータ
20 加熱部
22 熱気発生器
22A,22B,22C 熱気発生器
24 第1送風路
24A,24B,24C 第1送風路
26 第1開閉部材
27 第1駆動部
40 冷却部
42 冷気発生器
42A,42B 冷気発生器
44 第2送風路
44A,44B 第2送風路
46 第2開閉部材
47 第2駆動部
60 制御部
100,100A コイル
102 導電性部材
102A,102B 導電性部材
104 絶縁被覆膜
104A,104B 絶縁被覆膜
106 融着層
106A,106B 融着層
108 コイル用部材
108A,108B コイル用部材
210 第1手順実行部
220 第2手順実行部
230 第3手順実行部
240 第4手順実行部
250 第5手順実行部
260 第6手順実行部
270 第7手順実行部
280 第8手順実行部
図1
図2
図3
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