(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005645
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】バックパック
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20250109BHJP
A45F 3/02 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A45F3/04 300
A45F3/02 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105902
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】507097073
【氏名又は名称】COSMO・A株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳美
【テーマコード(参考)】
2E181
3B045
【Fターム(参考)】
2E181BB02
2E181BC07
2E181BD01
3B045CE07
3B045CE08
3B045DA00
3B045EA02
3B045EA03
3B045EA06
3B045EB11
3B045EB12
3B045GA01
3B045GA03
3B045GB01
3B045GB02
3B045GC01
3B045GD01
3B045KA01
3B045KB03
(57)【要約】
【課題】 小物バッグを、バックパックを降ろすことなく背負ったまま容易に出し入れすることができ、且つ外部からの抜き取り被害をも防止することができる新規なバックパックを開発することを技術課題とした。
【解決手段】バックパック本体1の収納部5下方に下部収納部5Bが設けられ、更に下部収納部5Bには、バックパック本体1と別体の小物バック2が組み込まれ、この小物バッグ2には、引き出し用ストラップ6と戻し用ストラップ7とがそれぞれ小物バッグ2の側部から互いに反対方向に向けて設けられ、バックパック本体1を背負った状態で引き出し用ストラップ6を引くことにより小物バッグ2の取り出し操作ができ、一方、戻し用ストラップ7を引くことにより小物バッグ2の収納操作ができるように構成されていることを特徴として成る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショルダベルトを具えたバックパック本体の収納部下方に下部収納部が設けられ、
この下部収納部は、バックパック本体の少なくとも一方の側面に開口部を設けることにより外部と連通すると共に、
前記開口部には閉鎖フラップが設けられ、
更に下部収納部には、バックパック本体と別体の小物バックが組み込まれ、
この小物バッグには、引き出し用ストラップと戻し用ストラップとがそれぞれ小物バッグの側部から互いに反対方向に向けて設けられると共に、
これらストラップの自由端はバックパック本体の外側に引き出され、
バックパック本体を背負った状態で引き出し用ストラップを引くことにより、閉鎖フラップが開放された開口部からの小物バッグの取り出し操作ができ、
一方、戻し用ストラップを引くことにより、小物バッグの下部収納部への収納操作ができるように構成されていることを特徴とするバックパック。
【請求項2】
前記引き出し用ストラップと戻し用ストラップとは、それぞれ自由端側をショルダベルトに係止できるように構成されていることを特徴とする前記請求項1記載のバックパック。
【請求項3】
前記開口部を閉鎖する閉鎖フラップは、開放状態を維持できるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のバックパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックパックに関するものであって、特に貴重品等を別途入れることの多い小物バッグを、バックパックを背負ったまま出し入れすることができるようにしたバックパックの改良にかかるものである。
【背景技術】
【0002】
バックパックは、収納した荷物を背負って携行し、両手を開けて行動できるため、旅行等にとどまらず、日常的にも多く利用されている。
このようなバックパックの利用の際、現金や貴重品等は小物バッグに入れた状態で、これをバックパック内に収納して携行することが多い。このような使用形態は、携行品を仕分けして収納している点で扱い易いものの、小物バッグを取り出すどきには、必ず背負っているバックパックを一旦降ろしてから、小物バッグを取り出さなければならず、かなり煩わしいものであった。
【0003】
このような煩わしさを解消すべく、バックパック(リュック)を背負ったまま小物バッグ(ポーチ)を出し入れすることのできるポーチ付きリュックが案出されている(例えば特許文献1参照)。
このものは、チェーンリールでつながれたポーチをリュックの側面から内部に格納するものであり、リュックを背負ったままポーチを出し入れできるようにしたものであるが、防犯に関する配慮がなされたものではない。
すなわちポーチがリュックの側面に設けられた開口部に格納された状態で、ポーチに取り付けられたクリップが開口部から外部に露見しており、このため背後等から不心得な者による抜き取り等の被害にも遭いかねない
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景を考慮してなされたものであって、小物バッグを、バックパックを降ろすことなく背負ったまま容易に出し入れすることができ、且つ外部からの抜き取り被害をも防止することができる新規なバックパックを開発することを技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち請求項1記載のバックパックは、ショルダベルトを具えたバックパック本体の収納部下方に下部収納部が設けられ、この下部収納部は、バックパック本体の少なくとも一方の側面に開口部を設けることにより外部と連通すると共に、前記開口部には閉鎖フラップが設けられ、更に下部収納部には、バックパック本体と別体の小物バックが組み込まれ、この小物バッグには、引き出し用ストラップと戻し用ストラップとがそれぞれ小物バッグの側部から互いに反対方向に向けて設けられると共に、これらストラップの自由端はバックパック本体の外側に引き出され、バックパック本体を背負った状態で引き出し用ストラップを引くことにより、閉鎖フラップが開放された開口部からの小物バッグの取り出し操作ができ、一方、戻し用ストラップを引くことにより、小物バッグの下部収納部への収納操作ができるように構成されていることを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項2記載のバックパックは、前記要件に加えて、前記引き出し用ストラップと戻し用ストラップとは、それぞれ自由端側をショルダベルトに係止できるように構成されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項3記載のバックパックは、前記要件に加えて、前記開口部を閉鎖する閉鎖フラップは、開放状態を維持できるように構成されていることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0009】
まず請求項1記載の発明によれば、バックパック本体からの小物バックの取出し及びバックパック本体への小物バックの収納を、バックパック本体を背負ったまま行うことができるため、使用者は煩わしさから解放されるとともに、下部収納部内に小物バッグが収納された状態でその開口部が閉鎖フラップによって閉鎖されるため、小物バッグが下部収納部内に収容されていることが、外部から覚られてしまうのを回避することができる。
【0010】
また請求項2記載の発明によれば、引き出し用ストラップと戻し用ストラップとをショルダベルトと一体化させることができるため、邪魔にならない状態で見た目にもスッキリと収めることができる。更に戻し用ストラップがショルダベルトに係止されるため、小物バッグが下部収納部から抜き出されるのを防止することができる。
【0011】
更にまた請求項3記載の発明によれば、小物バッグを下部収納部から出し入れする際に、閉鎖フラップが開放状態を維持できるため、閉鎖フラップがバタついて邪魔になってしまうようなことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のバックパックの使用状態を示す斜視図及び一部透視して示す斜視図である。
【
図2】本発明のバックパックを示す正面図(a)及び背面図(b)である。
【
図3】本発明のバックパックを示す右側面図(a)及び左側面図(b)である。
【
図4】バックパックの右側面に形成された開口部が閉鎖フラップによって閉鎖された状態を示す図(a)及び解放された状態を示す図(b)である。
【
図5】本発明のバックパックを示す平面図(a)及び底面図(b)である。
【
図6】本発明のバックパックの使用状態を段階的に示す斜視図である。
【
図7】本発明のバックパックの使用状態を段階的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
以下、本発明のバックパックPについて具体的に説明すると、このバックパックPは、バックパック本体1と小物バッグ2とを主要部材とし、これらが組み合わされて成るものである。
なお本明細書においては、利用者がバックパックPを背負った状態で、利用者を後方側から見た面をバックパックPの正面とするものであって(
図2(a))、ショルダベルト3が設けられる面が背面となる(
図2(b))。
【0014】
まずバックパック本体1について説明すると、このものは適宜の容量のバッグ状のものであって、例えば上部から両サイドに一定範囲に設けたスライドファスナ11等により開閉できるように構成されるものであり、背負うためのショルダベルト3が一対設けられている。
なお以下、左右一対で設けられる部材について、左右区別して扱う場合には、図中においてそれぞれ符号L、Rを付するものとする。
【0015】
このショルダベルト3は適宜利用者の体格等に応じて適切な長さに設定できるようアジャスタ31を具えると共に、途中に分岐ストラップ32を具え、更にその先端に前記小物バッグに設けられる引き出し用ストラップ6又は戻し用ストラップ7を接続させるためのバックル片33を設ける。
【0016】
更にバックパック本体1の内部空間である収納部5は、上部収納部5Aと下部収納部5Bとに区画されるものであり、下部収納部5Bに前記小物バッグ2が収納される。
この下部収納部5Bは、一例として一定の保形状態を維持できる強度を有するケーシング51により構成されることが好ましく、このケーシング51は開口部52において、バックパック本体1の側部、少なくとも一例として一方の側部を開口部52として下部収納部5Bを外部と連通するような構成としている。
【0017】
また開口部52には、バックパック本体1に固定される閉鎖フラップ53が設けられるものであって、一例としてその閉鎖フラップ53の自由端はバックパック本体1のショルダベルト3側を自由状態として扉状に開閉される形状が採られる(
図4参照)。
【0018】
そして閉鎖フラップ53の内側面の自由端側には、閉鎖用面ファスナ53Aが設けられ、更にその外側面には、開放用面ファスナ53Bが設けられる。
なおこの閉鎖用面ファスナ53Aに対応して、前記バックパック本体1には閉鎖フラップ受け用面ファスナ13Aが設けられ、一方、開放用面ファスナ53Bに対応して閉鎖フラップ開放用面ファスナ13Bが設けられている。
結果的にこれら面ファスナは、それぞれの係止対偶要素、即ちループとフックとの係止作用により、開口部52の閉鎖状態及び開放状態の維持を行う。
【0019】
次に前記小物バッグ2について説明する。このものは、ポーチ状あるいはウエストバッグ状等の適宜の収納形態を採るバッグであればよいものであって、この実施例では略直形状であり、一例としてスライドファスナ21により開閉がされるものが採用される。
この小物バッグ2には、その一方の側部に伸びる引き出し用ストラップ6が具えられる。この引き出し用ストラップ6の自由端側にはバックル片61が具えられるとともに、その途中にアジャスタ62が設けられて、引き出し用ストラップ6の長さ調節ができるように構成されている。
【0020】
更に、前記引き出し用ストラップ6と正面視で反対方向の側部に伸びるように、戻し用ストラップ7が具えられる。この戻し用ストラップ7も、その自由端側にバックル片71を具えるとともに、戻し用ストラップ7の長さ調節のためのアジャスタ72を具える。
【0021】
なお引き出し用ストラップ6の小物バッグ2への取り付けは、後述する非閉鎖スペース53Sに対応させて、一例として小物バッグ2の背面上部に長手方向略全域に亘って縫い付けるようにした。
一方、戻し用ストラップ7の小物バッグ2への取り付けは、後述するストラップスリット12に対応させて、一例として小物バッグ2の底面に長手方向略全域に亘って縫い付けるようにした。
【0022】
そして前記閉鎖フラップ53における閉鎖用面ファスナ53Aは、上下方向全範囲に設けずに、上下方向の一部に非閉鎖状態とされる部位である非閉鎖スペース53Sを設けるようにする。このような非閉鎖スペース53Sが設けられると、小物バッグ2が下部収納部5Bに収容されて閉鎖フラップ53が閉じられた状態において、引き出し用ストラップ6が、非閉鎖スペース53Sを通じて外部に引き出されるため、歩行の振動等により引き出し用ストラップ6に力が加わっても、閉鎖フラップ53の閉鎖状態が維持されることとなる。
一方、戻し用ストラップ7は、バックパック本体1の側部にストラップスリット12を設けて、そこから外部に引き出されるように組み合わされる。
【0023】
本発明の構成は、一例として以上述べたような形態が採られるものであって、次のように用いられる。
まず、始発状態は、
図6(a)に示すようにバックパック本体1における収納部5内に小物バッグ2が収納された状態とする。
この始発状態では、小物バッグ2が収納部5における下部収納部5Bを構成するケーシング51内に収まると共に、引き出し用ストラップ6は、閉鎖状態の閉鎖フラップ53における、閉鎖用面ファスナ53Aが設けられていない非閉鎖スペース53Sから外側に引き出された状態とされている。
そして引き出し用ストラップ6の自由端側のバックル片61は、分岐ストラップ32に具えられたバックル片33に接続されている。
【0024】
なおこのバックル片61とバックル片33との接続は、いわゆるサイドプッシュ型のバックルの、それぞれ対偶するバックル片要素であって、使い勝手が比較的良いものであるが、要は引き出し用ストラップ6と分岐ストラップ32とが接続されればよいものであるから、このような接続形態に限られるものではない。
例えば他の接続形態としては、分岐ストラップ32に環状の接続リング等を設けておき、このものに対して引き出し用ストラップ6の先端にいわゆるナスカン、カラビナ等を設け、それを係止させるような形態を採ることができる。
もちろん環状の接続リング等に対して、引き出し用ストラップ6側は、その自由端側に面ファスナの要素片をそれぞれ設けておき、引き出し用ストラップ6をリング状の接続片に通して面ファスナ等によって固定するような固定手段をとってもよい。
更にこのような引き出し用ストラップ6の係止手法は、ショルダベルト3に対して直接行うような手法としてもよい。
【0025】
一方、小物バッグ2の戻し用ストラップ7は、バックパック本体1のストラップスリット12から外部に引き出され、その先端の自由端側のバックル片71が、他の一方のショルダベルト3に設けられた分岐ストラップ32に具えられたバックル片33に接続される。
なおこれらバックル片71とバックル片33との接続に当っても、適宜前述したバックル片61とバックル片33との接続に代わる他の手段が用いられることができることは言うまでもない。
【0026】
このような状態で
図1に示すように、使用者がバックパック本体1のショルダベルト3を両肩に掛けるようにして背負った状態でバックパックPを使用する。
そして小物バッグ2を取り出す必要が生じた際には、
図6(b)に示すように、使用者は、まず前記収納部5の開口部52を閉鎖していた閉鎖フラップ53の閉鎖用面ファスナ53Aと、バックパック本体1側の閉鎖フラップ受け用面ファスナ13Aとの固定を解除し、閉鎖フラップ53を一例として後方に捲り返すような操作を行う。この操作により閉鎖フラップ53の開放用面ファスナ53Bが、バックパック本体1側の閉鎖フラップ開放用面ファスナ13Bに係合して開放状態を維持する(
図4参照。)。
【0027】
このような状態とした後、使用者は
図6(c)に示すように引き出し用ストラップ6のバックル片61と、分岐ストラップ32側のバックル片33との係合、及び戻し用ストラップ7のバックル片71と、分岐ストラップ32側のバックル片33との係合の双方の係合を解除し、引き出し用ストラップ6の自由端と、戻し用ストラップ7との自由端とをそれぞれ自由状態とする。
この状態で
図6(d)に示すように、使用者が引き出し用ストラップ6を体の前方に引き出すと、これに伴い小物バッグ2は収納部5におけるケーシング51から引き出され、やがて
図7(e)に示すように手元側に引き寄せられる。
このようにして通常の小物バッグ2の操作、即ちスライドファスナ21等を開けて内部の必要な携行品を取り出すようにする。
【0028】
そして小物バッグ2を再度収納部5に収める場合には、使用者は小物バッグ2のスライドファスナ21を閉じた状態で、
図7(f)に示すように戻し用ストラップ7を体の前方に引くように操作する。この操作により、小物バッグ2は収納部5におけるケーシング51内に引き戻されるように移動する。
この状態で使用者は、
図7(g)に示すように閉鎖フラップ53を再度閉じるとともに、
図7(h)に示すように引き出し用ストラップ6のバックル片61と、分岐ストラップ32側のバックル片33とを係合し、更に戻し用ストラップ7のバックル片71と、分岐ストラップ32側のバックル片33とを係合して始発状態とする。
【0029】
この際、戻し用ストラップ7は、好ましくはアジャスタ72により充分に小物バッグ2がケーシング51内に収まった状態を保ようにして、更に戻し用ストラップ7をショルダベルト3に係止させた場合に、いわば戻し用ストラップ7の長さ方向でのいわゆる遊びがないような状態に設定しておく。
このようにしたときには、別途小物バッグ2を収納部5から他者が無理やり引き出そうとした場合であっても、戻し用ストラップ7により小物バッグ2がケーシング51内に収められた状態を維持しているから、収納部5のケーシング51から小物バッグ2が抜き出されることはない。
また引き出し用ストラップ6についてもこのものの自由端側を再度ショルダベルト3に係止させておくことにより、不用意に引き出し用ストラップ6が引き出されるような操作がなされない状態を維持することができる。