(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005653
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
E05F 11/38 20060101AFI20250109BHJP
E05F 11/48 20060101ALI20250109BHJP
E05F 15/689 20150101ALI20250109BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E05F11/38 F
E05F11/48 D
E05F15/689
B60J1/17 B
B60J1/17 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105913
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛史
【テーマコード(参考)】
2E052
3D127
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052DA01
2E052DA03
2E052DB01
2E052DB03
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC01
3D127AA19
3D127CB05
3D127DF09
3D127DF15
3D127DF26
(57)【要約】
【課題】本発明は、第1部材と第2部材とが互いに接続される接続構造において、第1部材と第2部材との間の接続が容易になり、第1部材と第2部材とが互いに外れることが抑制される接続構造の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の接続構造Sは、第1部材1と第2部材2とを備え、第1部材1は、本体11と、回転中心RCまわりに回転するように構成された弾性爪12とを備え、弾性爪12は、アーム部121と爪部122とを備え、爪部122は、被押圧部122aと、第2部材2と係合可能な係合部122bとを備え、第2部材2に対して離脱方向MD2に力が加わったときに、係合部122bに対して加わる力F1の方向が、仮想線Lに対して、第2の回転方向RD2側を向いて、弾性爪12が第2の回転方向RD2に回転する力を第2部材2から受けるように、回転中心RCの位置が設定されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを備え、前記第2部材が前記第1部材に対して所定の移動方向に相対移動することで、前記第2部材が前記第1部材に接続される接続構造であって、
前記第1部材は、
本体と、
前記本体から延び、前記本体との接続箇所に設けられた回転中心まわりに回転するように弾性変形可能に構成された弾性爪と
を備え、
前記弾性爪は、前記回転中心から延びるアーム部と、前記アーム部の前記回転中心とは反対側の端部に設けられた爪部とを備え、
前記爪部は、前記第2部材が前記移動方向に移動する際に、前記第2部材と接触して押圧される被押圧部と、前記第2部材が前記第1部材に接続された状態となる接続完了位置にあるときに、前記第2部材に対して、前記移動方向とは反対方向となる離脱方向側に位置し、前記第2部材と係合可能な係合部とを備え、
前記弾性爪は、前記第2部材が前記第1部材に接続される際に、前記第2部材によって前記被押圧部が押圧されることで、前記回転中心を中心とした第1の回転方向に撓むように構成され、
前記第2部材に対して前記離脱方向に力が加わったときに、前記第2部材から前記係合部に対して加わる力の方向が、前記回転中心と前記係合部とを通る仮想線に対して、前記第1の回転方向とは反対側となる第2の回転方向側を向いて、前記弾性爪が前記第2の回転方向に回転する力を前記第2部材から受けるように、前記回転中心の位置が設定されている、接続構造。
【請求項2】
前記第1部材の前記本体は、第1の面および前記第1の面とは反対側の第2の面を有する板状部材であり、
前記アーム部は、
前記第1の面および第2の面を繋ぐ方向である前記本体の厚さ方向に、前記第1の面から突出して延びる第1延在部と、
前記第1延在部から前記回転中心に向かって、前記爪部の前記第1延在部からの突出方向と同方向に、前記爪部の前記第1延在部からの突出量よりも長い長さで延びる第2延在部と、
を備えている、請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記本体が前記第1の面から前記第2の面に向かって延びる凹部を備え、前記第1延在部の一部および前記第2延在部が前記凹部内に配置されている、請求項2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記第1部材は、ウインドレギュレータのキャリアプレートであり、
前記第2部材は、前記ウインドレギュレータのガイドレールであり、
前記ウインドレギュレータは、駆動部と、前記駆動部に接続された第1ケーブルと、前記駆動部に接続された第2ケーブルとを備え、
前記第1部材の前記弾性爪は、前記第2部材の幅方向の両側部のうちの一方に係合するように構成され、
前記第1部材は、前記第2部材を挟んで前記弾性爪とは前記幅方向で反対側に設けられた、前記第1ケーブルが嵌合する第1嵌合部と、前記第2部材を挟んで前記弾性爪とは前記幅方向で反対側に設けられた、前記第2ケーブルが嵌合する第2嵌合部とを備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、窓ガラスを昇降させるウインドレギュレータにおいて、キャリアプレートに設けられた弾性変形可能な爪を用いてスナップフィットによりキャリアプレートをガイドレールに接続する構造が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したキャリアプレートおよびガイドレールのように、弾性変形可能な爪を用いて2つの部材が互いに接続される構造において、部材を取り付けやすくするために爪を撓みやすくすると、一方の部材が他方の部材から外れやすくなる。一方、一方の部材が他方の部材から外れにくくするために、爪を撓みにくくすると、部材を取り付けにくくなる。
【0005】
そこで、本発明は、第1部材と第2部材とが互いに接続される接続構造において、第1部材と第2部材との間の接続が容易になり、第1部材と第2部材とが互いに外れることが抑制される接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接続構造は、第1部材と第2部材とを備え、前記第2部材が前記第1部材に対して所定の移動方向に相対移動することで、前記第2部材が前記第1部材に接続される接続構造であって、前記第1部材は、本体と、前記本体から延び、前記本体との接続箇所に設けられた回転中心まわりに回転するように弾性変形可能に構成された弾性爪とを備え、前記弾性爪は、前記回転中心から延びるアーム部と、前記アーム部の前記回転中心とは反対側の端部に設けられた爪部とを備え、前記爪部は、前記第2部材が前記移動方向に移動する際に、前記第2部材と接触して押圧される被押圧部と、前記第2部材が前記第1部材に接続された状態となる接続完了位置にあるときに、前記第2部材に対して、前記移動方向とは反対方向となる離脱方向側に位置し、前記第2部材と係合可能な係合部とを備え、前記弾性爪は、前記第2部材が前記第1部材に接続される際に、前記第2部材によって前記被押圧部が押圧されることで、前記回転中心を中心とした第1の回転方向に撓むように構成され、前記第2部材に対して前記離脱方向に力が加わったときに、前記第2部材から前記係合部に対して加わる力の方向が、前記回転中心と前記係合部とを通る仮想線に対して、前記第1の回転方向とは反対側となる第2の回転方向側を向いて、前記弾性爪が前記第2の回転方向に回転する力を前記第2部材から受けるように、前記回転中心の位置が設定されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の接続構造によれば、第1部材と第2部材とが互いに接続される接続構造において、第1部材と第2部材との間の接続が容易になり、第1部材と第2部材とが互いに外れることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の接続構造が設けられたウインドレギュレータを示す概略図である。
【
図2】
図1の接続構造が設けられた部分の拡大図である。
【
図3】キャリアプレートにガイドレールが接続される状態を示す図である。
【
図5A】キャリアプレートの弾性爪を本体の厚さ方向に見た図である。
【
図6】ガイドレールが離脱する方向に力を受けたときに、ガイドレールから弾性爪に加わる力を示す模式図である。
【
図7】ガイドレールがキャリアプレートに接続される際に、弾性爪が第1の回転方向に撓んだ状態を示す概略図である。
【
図8】ガイドレールがキャリアプレートから離脱する力を受けた際に、弾性爪が第2の回転方向に撓んだ状態を示す概略図である。
【
図9】弾性爪が本体の第1の面から垂直に延びる参考例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の接続構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の接続構造は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0011】
本実施形態の接続構造S(
図1参照)は、第1部材1と第2部材2とを備え、第2部材2が第1部材1に対して所定の移動方向MD1(
図3参照)に相対移動することで、第2部材2が第1部材1に接続される。ここで、第2部材2が第1部材1に対して「相対移動する」とは、第1部材1が静止した状態で第2部材2が第1部材1に対して移動すること、第2部材2が静止した状態で第1部材1が第2部材2に対して移動すること、および、第1部材1および第2部材2の両方が互いに対して移動することを含む。また、「所定の移動方向」は、上述した第1部材1と第2部材2との間の相対移動によって、第2部材2と第1部材1とが近付くように移動する方向であり、この方向は直線的な移動方向であってもよいし、曲線的な移動方向であってもよい。なお、本実施形態では、第2部材2は第1部材1に対して移動方向MD1に略垂直な方向(後述する幅方向D2)の移動が規制された状態で、第2部材2が第1部材1に対して所定の移動方向MD1に相対移動する。
【0012】
本実施形態では、
図1に示されるように、第1部材1は、ウインドレギュレータWRのキャリアプレート(以下、第1部材1をキャリアプレート1とも呼ぶ)であり、第2部材2は、ウインドレギュレータWRのガイドレール(以下、第2部材2をガイドレール2とも呼ぶ)である。しかし、第1部材1および第2部材2の組み合わせは、キャリアプレートおよびガイドレールの組み合わせに限定されない。第1部材および第2部材の組み合わせは、例えば、車両において互いに対して接続されるケーシングおよびケーシングを閉鎖する蓋の組み合わせなど、他の部材の組み合わせであってもよい。本明細書の以下の記載において、「キャリアプレート」は「第1部材」に読み替えることができ、「第1部材」は「キャリアプレート」に読み替えることができる。同様に、「ガイドレール」は「第2部材」に読み替えることができ、「第2部材」は「ガイドレール」に読み替えることができる。なお、本実施形態では、第1部材1および第2部材2は互いに別体によって構成されているが、第1部材と第2部材とが相対移動可能であり、互いに対して接続可能であれば、第1部材および第2部材は一体に設けられていてもよい(例えば、第1部材および第2部材がヒンジによって一体に設けられており、互いに対して回転移動することで接続されるように構成されていてもよい)。
【0013】
以下、接続構造Sについて、第1部材がキャリアプレート1であり、第2部材がガイドレール2である、ウインドレギュレータWRに設けられた接続構造Sを例に挙げて説明するが、接続構造Sは以下の例によって限定されるものではない。
【0014】
本実施形態では、ウインドレギュレータWRは、
図1に示されるように、駆動部DRと、駆動部DRに接続された第1ケーブルC1と、駆動部DRに接続された第2ケーブルC2とを備えている。また、ウインドレギュレータWRは、第1部材であるキャリアプレート1と、第2部材であるガイドレール2とを備えている。本実施形態では、接続構造Sは、
図1に示されるように、ウインドレギュレータWRの一部、具体的には、キャリアプレート1およびガイドレール2が接続される部分に設けられている。
【0015】
ウインドレギュレータWRは、駆動部DRによって第1ケーブルC1および第2ケーブルC2を駆動し、キャリアプレート1をガイドレール2に沿って移動させる。これにより、キャリアプレート1に取り付けられた窓ガラスWが昇降する。ウインドレギュレータWRは、所定の取付対象に取り付けられる。具体的には、ウインドレギュレータWRは、取付対象となる車体のドアパネル(図示せず)に取り付けられる。
【0016】
駆動部DRは、第1ケーブルC1および第2ケーブルC2(以下、単にまとめてケーブルCと呼ぶ)を駆動する駆動源である。駆動部DRは、電動でケーブルCを駆動するものであっても、手動でケーブルCを駆動するものであってもよい。本実施形態では、駆動部DRは、
図1に示されるように、モータDR1とドラムDR2とを備えている。モータDR1は正逆回転可能に構成され、ドラムDR2を正逆回転させる。これにより、ドラムDR2に接続されたケーブルCがドラムDR2に巻き取りされ、ドラムDR2から繰り出しされる。
【0017】
ケーブルCは、駆動部DRによって操作され、ケーブルCに接続されたキャリアプレート1を窓ガラスWの昇降方向(
図1における上下方向)に移動させる。ケーブルCは、第1ケーブルC1および第2ケーブルC2を有している。本実施形態では、第1ケーブルC1は、窓ガラスWを上昇させる際にキャリアプレート1を上昇方向に牽引する上昇用ワイヤである。また、第2ケーブルC2は、窓ガラスWを下降させる際にキャリアプレート1を下降方向に牽引する下降用ワイヤである。なお、第1ケーブルC1および第2ケーブルC2は、公知のウインドレギュレータに用いられるケーブルを用いることができる。
【0018】
第1ケーブルC1の一端C11はキャリアプレート1に接続され、第1ケーブルC1の他端(図示せず)は駆動部DRのドラムDR2に接続されている。本実施形態では、第1ケーブルC1の一端C11は、
図1および
図2に示されるように、キャリアプレート1に設けられた第1嵌合部111aに接続されている。第1ケーブルC1の他端は、ドラムDR2に巻き付けられた後、ドラムDR2の端面等に設けられた端部固定部(図示せず)に接続されている。また、第2ケーブルC2の一端C21はキャリアプレート1に接続され、第2ケーブルC2の他端(図示せず)は駆動部DRのドラムDR2に接続されている。本実施形態では、第2ケーブルC2の一端C21は、
図1および
図2に示されるように、キャリアプレート1に設けられた第2嵌合部111bに接続されている。第2ケーブルC2の他端は、ドラムDR2に巻き付けられた後、ドラムDR2の端面等に設けられた端部固定部(図示せず)に接続されている。
【0019】
図1に示されるように、第1ケーブルC1は、キャリアプレート1に接続された一端C11からガイドレール2の上端に向かって延び、ガイドレール2の上端側に設けられた方向転換部材3によって方向転換されて、ガイドレール2の下端(
図1参照)に向かって延びている。第2ケーブルC2は、キャリアプレート1に接続された一端C21からガイドレール2の下端に向かって延びている。
【0020】
第2部材であるガイドレール2は、
図1~
図3に示されるように、第1部材であるキャリアプレート1に接続される。ガイドレール2は、キャリアプレート1が所定の移動経路に沿って移動するように、キャリアプレート1を案内する。ガイドレール2は、キャリアプレート1を所定の移動長さで移動させるために所定の長さを有している。本実施形態では、
図1に示されるように、ガイドレール2の下端側には駆動部DRが設けられ、上端側には方向転換部材3が設けられている。ガイドレール2は、例えば車両のドアパネルなどの取付対象に、ボルト等の公知の固定手段により固定される。ガイドレール2は、本実施形態では、キャリアプレート1の移動経路に沿って延びる細長い板状に形成され、取付対象(例えばドアパネルなど)の湾曲に沿うように、ガイドレールの長さ方向に沿って弓状に湾曲している。しかし、ガイドレール2は、キャリアプレート1を所定の移動経路に沿って案内することができれば、その形状は特に限定されない。ガイドレール2の材料は、例えば金属や硬質樹脂とすることができるが、ケーブルCにより加わる張力に耐えるのに必要な所定の剛性を有する材料であれば特に限定されない。
【0021】
ガイドレール2は、
図2および
図3に示されるように、ガイドレール2の幅方向(
図2における左右方向)の両側部のうちの一方側に設けられ、キャリアプレート1の後述する弾性爪12とガイドレール2の厚さ方向で係合する被係合部(第1被係合部)21aと、幅方向の他方側に設けられ、キャリアプレート1の後述する係合爪112とガイドレール2の厚さ方向(
図2における紙面に垂直な方向)で係合する被係合部(第2被係合部)21bとを備えている。本実施形態では、第1被係合部21aおよび第2被係合部21bは、ガイドレール2のキャリアプレート1への接続が完了した状態である接続完了位置(
図3の実線の位置)において、キャリアプレート1の第1の面11aに略平行となるような、ガイドレール2の幅方向の端部に設けられた平板状の部位である。本実施形態では、ガイドレール2は、ガイドレール2の幅方向で第1被係合部21aと第2被係合部21bとの間に設けられた中央部21cを有している。中央部21cは、第1被係合部21aおよび第2被係合部21bに略平行に延び、中央部21cの幅方向の両側から中央部21cに対して略垂直に折れ曲がって延びる延在部21dによって、第1被係合部21aおよび第2被係合部21bに繋がっている。なお、ガイドレールは、
図3に示される形状に限定されず、公知の種々の形状を採用することができる。第1被係合部21aの裏面(第1の面11aに対向する面)は、後述する弾性爪12の被押圧部122aを押圧する押圧部21eとなる。
【0022】
第1部材であるキャリアプレート1は、第2部材であるガイドレール2に接続される。本実施形態では、キャリアプレート1は、ガイドレール2に沿って移動するように構成されている。なお、上述したように、第1部材はキャリアプレート1に限定されるものではない。
【0023】
第1部材であるキャリアプレート1は、
図2~
図4に示されるように、本体11と、本体11から延び、本体11との接続箇所に設けられた回転中心まわりに回転するように弾性変形可能に構成された弾性爪12とを備えている。また、本実施形態では、キャリアプレート1は、
図2に示されるように、窓ガラス接続部13を有している。窓ガラスWは窓ガラス接続部13に直接または間接的に取り付けられる。なお、キャリアプレート1を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、公知のキャリアプレートに用いられる合成樹脂によって構成することができる。
【0024】
本体11は、弾性爪12が設けられる基体となる部位である。本体11は、
図2および
図3に示されるように、弾性爪12とともに第2部材であるガイドレール2を保持するように構成されている。本体11の形状および構造は、本体11が弾性爪12が設けられる基体となり、ガイドレール2を保持することができれば、特に限定されない。本実施形態では、本体11は、
図3に示されるように、第1の面11aおよび第1の面11aとは反対側の第2の面11bを有する板状部材によって構成されている。なお、第1の面11aおよび第2の面11bは、平坦面である必要は無く、表面に凹凸を有していてもよいし、平面ではなく曲面であってもよい。また、第1の面11aと第2の面11bとは、本実施形態では互いに平行であるが、互いに対して非平行であってもよい。
【0025】
本実施形態では、キャリアプレート1(本体11)は、
図2に示されるように、第1ケーブルC1が嵌合する第1嵌合部111aと、第2ケーブルC2が嵌合する第2嵌合部111bとを備えている。第1嵌合部111aに第1ケーブルC1の一端C11が係合し、第2嵌合部111bに第2ケーブルC2の一端C21が係合する。これにより、キャリアプレート1にケーブルCが接続され、ケーブルCが駆動されることで、キャリアプレート1がガイドレール2に沿って駆動可能となる。なお、第1嵌合部111aおよび第2嵌合部111bには、例えばケーブルCの伸び取り用のバネなど、弾性部材が設けられていてもよい。
【0026】
本実施形態では、
図2に示されるように、第1嵌合部111aは、第2部材であるガイドレール2を挟んで弾性爪12とは幅方向で反対側に設けられ、第2嵌合部111bも、第2部材であるガイドレール2を挟んで弾性爪12とは幅方向で反対側に設けられている。すなわち、第1嵌合部111aおよび第2嵌合部111bは、幅方向でガイドレール2と重なった位置に設けられておらず、ガイドレール2の幅方向の側縁に対してガイドレール2の外側に位置している。なお、本実施形態では、第2嵌合部111bは、第1嵌合部111aに対して幅方向でオフセットした位置に設けられているが、第1嵌合部111aおよび第2嵌合部111bは、幅方向で同じ位置(ガイドレール2の側縁から幅方向で同じ距離で離れた位置)に位置していてもよい。
【0027】
本実施形態では、本体11は、
図2に示されるように、ガイドレール2の幅方向の両側部のうちの他方(第2被係合部21b)が係合する係合爪112を有している。ガイドレール2の幅方向の両側部のうちの他方(第2被係合部21b)が係合爪112に係合し、ガイドレール2の幅方向の一方(第1被係合部21a)が弾性爪12に係合することで、ガイドレール2のキャリアプレート1への接続が完了する(
図3の実線参照。接続完了位置)。係合爪112は、キャリアプレート1がガイドレール2に沿って移動できるように、ガイドレール2の厚さ方向で係合し、ガイドレール2の長さ方向では係合していない。本実施形態では、
図3に示されるように、本体11の一方の面11aに、ガイドレール2の第2被係合部21bが入り込む係合凹部14が設けられ、係合爪112は、係合凹部14に入った第2被係合部21bにガイドレール2の厚さ方向で対向するように設けられている。係合爪は、ガイドレール2と係合可能であれば、本体11の一方の面11aから突出した係合爪など、他の構成を有していてもよい。後述するように、ガイドレール2は、係合爪112との係合箇所(係合凹部14内)を支点として、
図3の二点鎖線の状態から実線の状態へと、弾性爪12に向かって回転する(移動方向MD1(
図3参照)に移動する)。これにより、ガイドレール2の一部(第1被係合部21a)が弾性爪12に係合して、ガイドレール2がキャリアプレート1に接続される。
【0028】
弾性爪12は、第2部材であるガイドレール2に接続される際に弾性変形する。具体的には、ガイドレール2がキャリアプレート1に対して(または、キャリアプレート1がガイドレール2に対して)所定の移動方向MD1に移動する際に、弾性爪12が弾性変形して(
図7参照)、ガイドレール2が最終的な接続完了位置(
図3の実線参照)に移動することを可能にする。弾性爪12は、ガイドレール2が最終的な接続完了位置に到達すると弾性復帰して、初期状態へと戻り、ガイドレール2と係合する。これにより、ガイドレール2がキャリアプレート1から離脱することが抑制される。本実施形態では、弾性爪12は、ガイドレール2の幅方向の両側部のうちの一方(第1被係合部21a)に係合し、係合爪112がガイドレール2の幅方向の他方(第2被係合部21b)に係合する。これにより、ガイドレール2がキャリアプレート1から離脱することが抑制される。本実施形態では、弾性爪12は、本体11と一体に形成された樹脂材料によって構成されている。詳細は後述するが、弾性爪12は、
図7に示されるように、第2部材であるガイドレール2が第1部材であるキャリアプレート1に接続される際に、ガイドレール2によって後述する弾性爪12の被押圧部122aが押圧されることで、回転中心RCを中心とした第1の回転方向RD1に撓むように構成されている。
【0029】
本実施形態では、弾性爪12の回転中心RCは、本体11と一体的に設けられた弾性爪12のうち、弾性爪12に力が加わったときに、弾性爪12の全体が姿勢を変えるように撓む、本体11との接続部分である。本実施形態では、弾性爪12は、主として回転中心RCの部分で弾性変形し、回転中心RCを中心として弾性爪12全体が回転するように構成されている(
図7参照)。本実施形態では、弾性爪12の回転中心RCとなる部分は、弾性爪12の他の部分(例えば、回転中心RCの周辺部分以外の、後述するアーム部121や爪部122など)よりも剛性が低く、弾性爪12にガイドレール2から力が加わったときに、弾性爪12の他の部分よりも変形しやすくなるように構成されている。これにより、回転中心RCを中心に弾性爪12が回転するように構成されている。なお、弾性爪12が回転中心RCを中心として回転する際に、弾性爪12の他の部分(例えば、アーム部121や爪部122)も多少変形しても構わない。本明細書において、弾性爪12の回転中心RCを中心とした回転方向のうち、ガイドレール2がキャリアプレート1に接続される際に、ガイドレール2によって弾性爪12の被押圧部122aが押圧されて回転する方向を第1の回転方向RD1と呼び、第1の回転方向RD1とは反対の回転方向を第2の回転方向RD2と呼ぶ。
【0030】
弾性爪12は、
図4および
図5Bに示されるように、回転中心RCから延びるアーム部121と、アーム部121の回転中心RCとは反対側の端部に設けられた爪部122とを備えている。
【0031】
アーム部121は、回転中心RCから爪部122まで延びる部分である。アーム部121は主として回転中心RCを中心に回転するように構成されている。アーム部121の形状および構造は、図示する構造に限定されない。本実施形態では、アーム部121は、
図4および
図5Bに示されるように、第1延在部121aと、第2延在部121bとを備えている。
【0032】
第1延在部121aは、
図4および
図5Bに示されるように、第1の面11aおよび第2の面11bを繋ぐ方向である本体11の厚さ方向D1に、第1の面11aから突出して延びている。第1延在部121aは第2延在部121bと繋がっており、本実施形態では、第1延在部121aおよび第2延在部121bとは、略L字状に配置されている。第1延在部121aの第2延在部121bと繋がった方の端部とは反対側の端部からは爪部122が突出している。なお、本体11において、ガイドレール2の幅方向に沿う方向を本体11の幅方向D2と呼び、ガイドレール2の長手方向に沿う方向を本体11の高さ方向D3と呼ぶ。なお、本体11の厚さ方向D1はガイドレール2の厚さ方向と、本体11の幅方向D2はガイドレール2の幅方向と、本体11の高さ方向D3はガイドレール2の長手方向と言い換えることもできる。
【0033】
本実施形態では、第1延在部121aは、第2延在部121bよりも剛性が高くなるように構成されている。この場合、弾性爪12がガイドレール2によって押圧されたときの第1延在部121aの変形量が抑制され、弾性爪12全体が回転中心RCを中心として回転しやすくなる。本実施形態では、第1延在部121aは柱状(四角柱状)に形成されており、板状の第2延在部121bよりも剛性が高くなっている。
【0034】
第2延在部121bは、第1延在部121aから回転中心RCに向かって、延びている。本実施形態では、第2延在部121bは、
図5Bに示されるように、爪部122の第1延在部121aからの突出方向と同方向(
図5Bにおける右方向)に延びている。第2延在部121bは、回転中心RCとなる部分(第2延在部121bと本体11との接続部位)において、第2延在部121bの他の部位よりも断面積が小さくなるように構成されている。この場合、第2延在部121bと本体11との間の接続部位である回転中心RCにおいて弾性変形しやすくなり、弾性爪12全体が回転中心RCを中心に回転しやすくなる。本実施形態では、第2延在部121bは、
図4および
図5Aに示されるように、第1延在部121aから本体11に向かって延びる板状体によって構成されている。第2延在部121bと本体11との接続部位において、第2延在部121bの他の部位よりも幅が狭くなることで断面積が小さくなっている。これにより、第2延在部121bと本体11との接続部位となる幅狭部121cが、第2延在部121bの他の部位よりも変形しやすくなり、弾性爪12の回転中心RCとなる。より具体的には、
図4および
図5Bに示されるように、第2延在部121bは、本体11の高さ方向D3(ガイドレール2の長手方向)に離間して配置された一対の板状体によって構成されている。板状体によって構成された第2延在部121bのうち、本体11の幅方向D2で第1延在部121aとは反対側の基端部E(
図5B参照)から、本体11の厚さ方向D1に幅狭部121cが突出して、本体11の接続部113と繋がっている。本実施形態では、本体11の接続部113は、後述する凹部CPを画定する壁部のうち、第2延在部121bの基端部Eと対向する壁部WLの第1の面11a側から第2延在部121bに向かって延びている。第2延在部121bの基端部Eと壁部WLとの間(
図5Bにおいて接続部113の下方)には、本体11の幅方向D2に隙間が設けられている。これにより、弾性爪12が回転中心RCを中心に第1の回転方向RD1に回転したときに、基端部Eと壁部WLとが接触せずに、弾性爪12の第1の回転方向RD1の回転が妨げられない。なお、図面において、回転中心RCは説明の便宜上、1つの点によって示されているが、回転中心は図示した点の箇所のみである必要はない。
【0035】
なお、本実施形態では、弾性爪12は第1延在部121aおよび第2延在部121bを有し、本体11の高さ方向D3に見たときに略L字状となるように構成されているが、弾性爪は、略L字状以外、例えば湾曲した略C字状など、他の形状を有していてもよい。
【0036】
爪部122は、
図7に示されるように、第2部材であるガイドレール2が移動方向MD1に移動する際に、ガイドレール2と接触して押圧される被押圧部122aと、ガイドレール2がキャリアプレート1に接続された状態となる接続完了位置(
図3の実線および
図6参照)にあるときに、ガイドレール2に対して、移動方向MD1とは反対方向となる離脱方向MD2側に位置し、ガイドレール2と係合可能な係合部122bとを備えている。
【0037】
被押圧部122aは、
図7に示されるように、ガイドレール2がキャリアプレート1に接続される前の状態から接続完了位置に移動する際に、ガイドレール2と接触する部位である。被押圧部122aは、移動方向MD1に移動するガイドレール2から押圧されたときに、ガイドレール2から弾性爪12に加わる力を、第1の回転方向RD1の力へと変換するように構成されている。具体的には、被押圧部122aは、
図7に示されるように、ガイドレール2と被押圧部122aとの接触箇所において、ガイドレール2の押圧部21eから被押圧部122aに加わる力の分力が、第1の回転方向RD1に向くように移動方向MD1に対して傾斜している。これにより、
図7に示されるように、ガイドレール2が移動方向MD1に移動する際に、弾性爪12は回転中心RCを中心として第1の回転方向RD1に回転する。
【0038】
係合部122bは、ガイドレール2が接続完了位置に位置する際に、ガイドレール2に対して移動方向MD1とは反対方向となる離脱方向MD2側(
図6において上側)に位置する。これにより、係合部122bは、ガイドレール2(第1被係合部21a)と本体11の厚さ方向D1で係合して、ガイドレール2を接続完了位置に保持する。
【0039】
また、本実施形態では、キャリアプレート1は、係合部122bとの間でガイドレール2の第1被係合部21aを本体11の厚さ方向D1に挟み込む補助爪15を備えている。補助爪15は本体11の第1の面11aから係合部122bに向かって片持ち式に突出し、移動方向MD1に弾性変形できるように構成されている。補助爪15は、ガイドレール2が接続完了位置にあるときに、第1被係合部21aを係合部122bに向かって押圧し、係合部122bとともにガイドレール2の第1被係合部21aを挟み込む。これにより、ガイドレール2はガタつきが抑制された状態で保持される。なお、補助爪15は他の構成を有していてもよいし、設けられなくてもよい。
【0040】
本実施形態では、
図6に示されるように、ガイドレール2に対して離脱方向MD2に力が加わったときに、ガイドレール2から係合部122bに対して加わる力F1の方向が、回転中心RCと係合部122bとを通る仮想線Lに対して、第1の回転方向RD1とは反対側となる第2の回転方向RD2側を向いて、弾性爪12が第2の回転方向RD2に回転する力(後述する力F3)をガイドレール2から受けるように、回転中心RCの位置が設定されている。ここで、「ガイドレール2から係合部122bに対して加わる力F1の方向」は、ガイドレール2が離脱方向MD2に力を受けることで、ガイドレール2の第1被係合部21aと係合部122bとの接触部位において、係合部122bに作用する力の方向である。力F1は、本実施形態では、ガイドレール2がキャリアプレート1に対して移動する力が加わったときに、ガイドレール2から係合部122bに対して加わる力であるが、キャリアプレート1がガイドレール2に対して移動する力が加わったときに、ガイドレール2から係合部122bに対して加わる力であってもよいし、キャリアプレート1およびガイドレール2の両方に力が加わったときに、ガイドレール2から係合部122bに対して加わる力であってもよい。なお、
図6において、仮想線Lは、回転中心RCと、ガイドレール2(第1被係合部21a)および係合部122bの接触部位とを結んだ線(後述する仮想円CCの回転半径)の延長線である。また、
図6において、参照符号CCで示される仮想円は、弾性爪12が回転中心RCを中心として回転するときの、ガイドレール2の第1被係合部21aと係合部122bとの接触部位の回転軌跡を延長した円である。本実施形態では、ガイドレール2から加わった力F1は、仮想線Lに沿った力F2と、仮想円CCの接線方向に沿う力F3とに分解でき、弾性爪12には、仮想円CCの接線方向に沿う力F3が第2の回転方向RD2に向かって作用する。これにより、ガイドレール2に離脱方向MD2の力が加わると、弾性爪12は第2の回転方向RD2に回転するように力を受ける。
【0041】
本実施形態では、回転中心RCの位置が、上述したように、弾性爪12が第2の回転方向RD2に回転する力F3をガイドレール2から受けるように設定されている。この場合、
図8に示されるように、ガイドレール2に離脱方向MD2の力が加わっても、弾性爪12は係合が解除される回転方向である第1の回転方向RD1に回転する力は受けず、より係合が強まる方向となる第2の回転方向RD2(
図8において時計方向)に力を受ける。したがって、弾性爪12とガイドレール2との間の係合が解除されにくくなる。
【0042】
一方、
図9に、弾性爪120が、キャリアプレート10の本体110の第1の面110aから垂直に延びている参考例を示す。この参考例において、ガイドレール20に対して離脱方向MD2に力が加わったときに、ガイドレール20から係合部1220bに対して加わる力F10の方向は、回転中心RCと係合部1220bとを通る仮想線Lrに対して、第1の回転方向RD1を向いている。ガイドレール20から加わった力F10は、仮想線Lrに沿った力F20と、仮想円Crの接線方向に沿う力F30とに分解でき、弾性爪120には、仮想円Crの接線方向に沿う力F30が第1の回転方向RD1に向かって作用する。したがって、ガイドレール20を接続する際に弾性爪120が回転する方向と、ガイドレール20が離脱しようとする際に弾性爪120が回転する方向とが同じ方向(第1の回転方向RD1)となる。そのため、ガイドレール20に離脱方向MD2の力が加わったとき、弾性爪120は、弾性爪120とガイドレール20との間の係合が解除される方向となる第1の回転方向RD1に回転し、ガイドレール20が離脱してしまう可能性がある。これに対して、本実施形態では、上述したように、ガイドレール2に離脱方向MD2の力が加わったとき、弾性爪12は、弾性爪12とガイドレール2との間の係合がより強まる方向となる第2の回転方向RD2に回転する。したがって、ガイドレール2がキャリアプレート1から離脱することが抑制される。
【0043】
上述したように、本実施形態では、ガイドレール2を接続する場合と、ガイドレール2が離脱しようとする場合とで、弾性爪12に加わる力の方向が逆方向になる。したがって、ガイドレール2を接続する際に弾性爪12が弾性変形しやすくなるように弾性爪12全体や回転中心RC周辺を撓みやすくしても、ガイドレール2が離脱しようとする際に、弾性爪12は第2の回転方向RD2に回転しやすくなるだけである。よって、ガイドレール2のキャリアプレート1への接続を容易にするために弾性爪を変形しやすくしたとしても、ガイドレール2のキャリアプレート1への離脱を抑制することができる。
【0044】
図9に示される参考例の場合は、弾性爪120全体や回転中心RC周辺を細くするなどして撓みやすくすると、ガイドレール20をキャリアプレート10に接続する際に弾性爪120が撓みやすくなってガイドレール20の接続は容易になる。その一方で、ガイドレール20がキャリアプレート10から離脱しようとする場合も、弾性爪120は第1の回転方向RD1に回転するので、ガイドレール20のキャリアプレート10からの離脱も容易になってしまう。これに対して、本実施形態では、ガイドレール2をキャリアプレート1に小さな力で組み付けやすくするために弾性爪12を弾性変形しやすくしても、ガイドレール2がキャリアプレート1から離脱しやすくなることがない。
【0045】
また、上述したように、キャリアプレート1は、
図2に示されるように、ガイドレール2を挟んで弾性爪12とはガイドレール2の幅方向で反対側に設けられた、第1嵌合部111aおよび第2嵌合部111bを備え、第1ケーブルC1および第2ケーブルC2はそれぞれ、第1嵌合部111aおよび第2嵌合部111bに嵌合する。このような構成を有するウインドレギュレータWRにおいて、ガイドレール2とキャリアプレート1との係合箇所において、ガイドレール2の延在方向に延びる回転軸まわりに回転モーメントが作用する。特に、ガイドレール2が湾曲しており、キャリアプレート1が中間位置に配置されているような場合には、回転モーメントが作用しやすくなり、キャリアプレート1がガイドレール2からより外れやすくなる。この場合、一旦弾性爪12がガイドレール2との係合が解除される位置まで回転してしまうと、キャリアプレート1に加わる回転モーメントにより、キャリアプレート1がガイドレール2から大きく外れた位置まで回転してしまい、再度ガイドレール2をキャリアプレート1に接続するのが困難になる。また、このような回転モーメントによって、係合部122bとガイドレール2との間には互いに押し付ける力が加わる。この力は、
図9の参考例のような構造の場合、弾性爪12を第1の回転方向RD1に回転させる方向の力に加算されるため、より係合が解除されやすくなる。一方、本実施形態の場合、上述したキャリアプレート1に加わる回転モーメントは、弾性爪12を第2の回転方向RD2に回転させる力となるので、より弾性爪12とガイドレール2との間の係合が解除されにくくなる。
【0046】
本実施形態では、
図6に示されるように、第1延在部121aは、本体11の厚さ方向D1に、第1の面11aから突出して延び、第2延在部121bは、第1延在部121aから回転中心RCに向かって、爪部122の第1延在部121aからの突出方向と同方向に、爪部122の第1延在部121aからの突出量よりも長い長さで延びている。この場合、第2延在部121bの基端部E側に位置する回転中心RCは、幅方向D2で爪部122の先端部(係合部122bとガイドレール2との接触部位)よりも第1延在部121aから離れた位置(ガイドレール2の幅方向の中心に近い位置)に位置する。この場合、回転中心RCと係合部122bとを結ぶ仮想線Lは、
図6に示されるように、キャリアプレート1の本体11の第1の面11aから離れるにつれて、ガイドレール2の幅方向の中心から離れるように傾斜する。ガイドレール2が離脱しようとする場合にガイドレール2から係合部122bに対して加わる力F1は、第1の面11aに対して略垂直な方向(厳密には第1の面11aに垂直な方向に対してガイドレール2の中心側にわずかに傾いた方向)を向いている。そのため、第2延在部121bの第1延在部121aからの突出量が、爪部122の第1延在部121aからの突出量よりも大きい場合、仮想円CCの接線方向の分力F3は第2の回転方向RD2を向くことになる。これにより、確実に弾性爪12に第2の回転方向RD2の力を加えることが可能となり、ガイドレール2がキャリアプレート1から外れることを抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、係合部122bは、
図6に示されるように、第1延在部121aから爪部122の先端に向かうにつれて、第1の面11aに近付くように傾斜している。この場合、係合部122bが第1の面11aに平行に延びている場合と比較して、第2の回転方向RD2に向かう力の大きさをより大きくすることができる。すなわち、係合部122bの面に対して垂直な方向に加わるガイドレール2からの力は、係合部122bが、第1延在部121aから爪部122の先端に向かうにつれて、第1の面11aに近付くように傾斜していることで、係合部122bの係合面に対して垂直な方向に加わる力が第2の回転方向RD2側に傾く。この場合、係合部122bに対して加わる力を分解した仮想円CCの接線方向の分力F3が、係合部122bが第1の面11aに平行な場合と比較して大きくなる。したがって、よりガイドレール2がキャリアプレート1から外れることを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、
図4および
図5Bに示されるように、本体11が第1の面11aから第2の面11bに向かって延びる凹部CPを備えている。この凹部CP内に、第1延在部121aの一部および第2延在部121bが配置されている。このように、本体11に設けられた凹部CPに第1延在部121aの一部および第2延在部121bが配置されることで、弾性爪12の第1の面11aからの突出量を抑制することができる。したがって、キャリアプレート1に必要な本体11の厚さ方向D1の長さを短くし、キャリアプレート1に必要なスペースを小さくすることができる。なお、凹部CPは、本実施形態では、第1の面11aから第2の面11bへと貫通するように構成されているが、凹部CPは非貫通の有底の凹部であってもよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
【0050】
(1)第1部材と第2部材とを備え、前記第2部材が前記第1部材に対して所定の移動方向に相対移動することで、前記第2部材が前記第1部材に接続される接続構造であって、
前記第1部材は、
本体と、
前記本体から延び、前記本体との接続箇所に設けられた回転中心まわりに回転するように弾性変形可能に構成された弾性爪と
を備え、
前記弾性爪は、前記回転中心から延びるアーム部と、前記アーム部の前記回転中心とは反対側の端部に設けられた爪部とを備え、
前記爪部は、前記第2部材が前記移動方向に移動する際に、前記第2部材と接触して押圧される被押圧部と、前記第2部材が前記第1部材に接続された状態となる接続完了位置にあるときに、前記第2部材に対して、前記移動方向とは反対方向となる離脱方向側に位置し、前記第2部材と係合可能な係合部とを備え、
前記弾性爪は、前記第2部材が前記第1部材に接続される際に、前記第2部材によって前記被押圧部が押圧されることで、前記回転中心を中心とした第1の回転方向に撓むように構成され、
前記第2部材に対して前記離脱方向に力が加わったときに、前記第2部材から前記係合部に対して加わる力の方向が、前記回転中心と前記係合部とを通る仮想線に対して、前記第1の回転方向とは反対側となる第2の回転方向側を向いて、前記弾性爪が前記第2の回転方向に回転する力を前記第2部材から受けるように、前記回転中心の位置が設定されている、接続構造。
【0051】
(2)前記第1部材の前記本体は、第1の面および前記第1の面とは反対側の第2の面を有する板状部材であり、
前記アーム部は、
前記第1の面および第2の面を繋ぐ方向である前記本体の厚さ方向に、前記第1の面から突出して延びる第1延在部と、
前記第1延在部から前記回転中心に向かって、前記爪部の前記第1延在部からの突出方向と同方向に、前記爪部の前記第1延在部からの突出量よりも長い長さで延びる第2延在部と、
を備えている、(1)に記載の接続構造。
【0052】
(3)前記本体が前記第1の面から前記第2の面に向かって延びる凹部を備え、前記第1延在部の一部および前記第2延在部が前記凹部内に配置されている、(1)または(2)に記載の接続構造。
【0053】
(4)前記第1部材は、ウインドレギュレータのキャリアプレートであり、
前記第2部材は、前記ウインドレギュレータのガイドレールであり、
前記ウインドレギュレータは、駆動部と、前記駆動部に接続された第1ケーブルと、前記駆動部に接続された第2ケーブルとを備え、
前記第1部材の前記弾性爪は、前記第2部材の幅方向の両側部のうちの一方に係合するように構成され、
前記第1部材は、前記第2部材を挟んで前記弾性爪とは前記幅方向で反対側に設けられた、前記第1ケーブルが嵌合する第1嵌合部と、前記第2部材を挟んで前記弾性爪とは前記幅方向で反対側に設けられた、前記第2ケーブルが嵌合する第2嵌合部とを備えている、(1)~(3)のいずれか1つに記載の接続構造。
【符号の説明】
【0054】
1、10 第1部材(キャリアプレート)
11、110 本体
11a、110a 第1の面
11b 第2の面
111a 第1嵌合部
111b 第2嵌合部
112 係合爪
113 接続部
12、120 弾性爪
121 アーム部
121a 第1延在部
121b 第2延在部
121c 幅狭部
122 爪部
122a 被押圧部
122b、1220b 係合部
13 窓ガラス接続部
14 係合凹部
15 補助爪
2、20 第2部材(ガイドレール)
21a 第1被係合部
21b 第2被係合部
21c 中央部
21d 延在部
21e 押圧部
3 方向転換部材
C ケーブル
C1 第1ケーブル
C11 第1ケーブルの一端
C2 第2ケーブル
C21 第2ケーブルの一端
CC ガイドレールの第1被係合部と係合部との接触部位の回転軌跡を延長した仮想円
CP 凹部
D1 本体の厚さ方向
D2 本体の幅方向
D3 本体の高さ方向
DR 駆動部
DR1 モータ
DR2 ドラム
E 基端部
F1、F10 ガイドレールから係合部に対して加わる力
F2、F20 仮想線に沿った力
F3、F30 仮想円の接線方向に沿う力
L、Lr 回転中心と係合部とを通る仮想線
MD1 移動方向
MD2 離脱方向
RC 回転中心
RD1 第1の回転方向
RD2 第2の回転方向
S 接続構造
W 窓ガラス
WL 壁部
WR ウインドレギュレータ