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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025056546
(43)【公開日】2025-04-08
(54)【発明の名称】電動式のドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20250401BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20250401BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
E05F15/643
E06B3/46
E05D15/06 125Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166080
(22)【出願日】2023-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】藤野 弘仁
(72)【発明者】
【氏名】松原 可菜子
(72)【発明者】
【氏名】月木 麻由
【テーマコード(参考)】
2E014
2E034
2E052
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014FA04
2E014FB05
2E014FC02
2E034AA02
2E034BA01
2E034CA01
2E034EA05
2E052AA01
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA14
2E052KA15
(57)【要約】
【課題】トイレブース1の出入り口Eに建て付けられる電動式のドア装置において、開閉機9の出力ケーシング部9bに設けられる駆動輪体10の駆動歯10aに噛合する伝動体13の従動歯13bが歯飛びするのを防止する。
【解決手段】出力ケーシング部9bの外周に囲繞状態で組み付けられるブラケット材14の下側片部14cに、前記駆動歯10aと従動歯13bとの噛合部に近接対向するよう歯飛び規制部14eを設けて歯飛び規制をするように構成する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口の上方に配されるガイドレールと、該ガイドレールに案内されて出入り口に対して左右方向に開閉移動するハンガー式のドア体と、躯体側に設けられ、前記ドア体の開閉移動を行うため電動駆動をする開閉機とを備え、
ドア体は、左右方向両端縁部が該ドア体に連結された長尺状の伝動体を備え、
開閉機は、外周に駆動歯が形成され、前記電動駆動により正逆回転する駆動輪体を備え、
伝動体は、前記駆動歯に噛合する従動歯を備え、
ドア体の開閉移動を、駆動歯が従動歯に噛合している駆動輪体が、前記電動駆動に連動して正逆回転することで行うよう構成してなる電動式のドア装置において、
従動歯の駆動歯噛合部位に、該従動歯の駆動歯に対する歯飛びを規制する歯飛び規制部を対向配設したことを特徴とする電動式のドア装置。
【請求項2】
ドア体の上方に、ドア体の移動軌跡に沿う状態でガイド体が設けられ、
伝動体は、前記ガイド体に沿う状態で設けられ、
駆動輪体は、ガイド体から離間し、ガイド体と伝動体とのあいだに配される状態で駆動歯に従動歯が噛合するものであり、
歯飛び規制部は、駆動輪体の出力軸が突出する開閉機の出力ケーシング部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電動式のドア装置。
【請求項3】
出力ケーシング部は、出力軸が下方に向けて突出するものであって、
該出力ケーシング部には、両脚片部と上側の跨片部とを備えた冂字形のブラケット本体と、駆動輪体と出力ケーシング部との間に配される状態で両脚片部の下端部間に締結される下側片部とを備えたブラケット材が囲繞状態で外嵌組み込みされ、
歯飛び規制部は、下側片部から下方に向けて突出形成されていることを特徴とする請求項2記載の電動式のドア装置。
【請求項4】
ドア体およびガイド体は円弧軌跡に沿うよう円弧形状をし、
ガイドレールは前記円弧軌跡に沿うようドア体の開閉案内をし、
伝動体は、ガイド体の外周面に沿うよう配された状態で、駆動輪体に対して左右方向両側に向けて接線となるようにして該駆動輪体に懸回され、
歯飛び規制部は、前記接線状態で懸回される伝動体の頂部部位に対向配設されることを特徴とする請求項3記載の電動式のドア装置。
【請求項5】
歯飛び規制部は、下側片部の何れか一方の伝動体頂部部位に対向配設されることを特徴とする請求項4記載の電動式のドア装置。
【請求項6】
ドア装置は、ドア体の出入り口に対する左右方向一方への移動、他方への移動で出入り口を開放する左引き、右引きの左右勝手違いの仕様を有するものであって、
開閉機は、左右勝手違いの出入り口の戸尻側躯体部材に設けられ、
歯飛び規制部は、下側片部が左右勝手違いで出力ケーシング部に取り付けられることで出入り口の左右勝手違いに対応していることを特徴とする請求項5記載の電動式のドア装置。
【請求項7】
ドア装置は、ドア体の出入り口に対する左右方向一方への移動、他方への移動で出入り口を開放する左引き、右引きの左右勝手違いの仕様を有するものであって、
開閉機は、左右勝手違いの出入り口の戸尻側躯体部材に設けられ、
歯飛び規制部は、下側片部の両脚片部対応部位に設けられていることで出入り口の左右勝手違いに対応していることを特徴とする請求項4記載の電動式のドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブース、シャワーブース等のブース(小部屋)、さらには住宅やマンション等の部屋の出入り口の開閉をするべく建て付けられる電動式のドア装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、トイレブース等のブースの出入り口やビルの出入り口等の出入り口に建て付けられるドア装置として、平面状のドア体(戸体)だけでなく、平面視で円弧状のドア体をガイドレールの円弧軌跡に沿って左右にスライド移動させることで出入り口の開閉をするようにしたハンガーレール式のドア装置が知られている。
そしてこのようなドア装置において、電動式の開閉機を用いてドア体の開閉を自動で行うようにしたものが従来から知られているが、前記従来の電動式のドア装置のなかには、躯体側に設けられる開閉機に、外周に駆動歯が形成された駆動輪体を設ける一方、ドア体側に、前記駆動歯に噛合する従動歯が形成された伝動体(伝動ベルト(タイミングベルト))を設けたものとし、開閉機の駆動により駆動輪体が正逆回転することにより伝動体を左右移動させることでドア体の自動開閉を行うようにしている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-25301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のものは、ドア体の上方に配したガイド体に沿う状態で伝動体を設ける一方、駆動輪体を、ガイド体からは離間する状態でガイド体と伝動体とのあいだに、駆動歯と従動歯とが噛合する状態になるよう取り付ける構成としているが、この場合、従動歯が駆動歯に対して歯飛びしないよう対処する必要があり、このため前記従来のものでは、開閉機の伝動体に対する取り付け位置を調節することで、伝動体が所定の緊張状態になるようにし、これによって前記従動歯の歯飛び現象が生じないよう配慮している。
しかしながら開閉機の取り付け等の作業は、現場での作業であるため取り付け誤差がどうしても生じるものであり、また長期の使用によって伝動体が伸びたりする等の理由から、伝動体が、所定の緊張状態から弛緩してしまうことが想定される。そして伝動体が弛緩すると、開閉機の開閉駆動時において従動歯が歯飛びする惧れがあり、この様な歯飛び現象が発生するとドア体の円滑な開閉制御に支障をきたす惧れがある等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、出入り口の上方に配されるガイドレールと、該ガイドレールに案内されて出入り口に対して左右方向に開閉移動するハンガー式のドア体と、躯体側に設けられ、前記ドア体の開閉移動を行うため電動駆動をする開閉機とを備え、ドア体は、左右方向両端縁部が該ドア体に連結された長尺状の伝動体を備え、開閉機は、外周に駆動歯が形成され、前記電動駆動により正逆回転する駆動輪体を備え、伝動体は、前記駆動歯に噛合する従動歯を備え、ドア体の開閉移動を、駆動歯が従動歯に噛合している駆動輪体が、前記電動駆動に連動して正逆回転することで行うよう構成してなる電動式のドア装置において、従動歯の駆動歯噛合部位に、該従動歯の駆動歯に対する歯飛びを規制する歯飛び規制部を対向配設したことを特徴とする電動式のドア装置である。
請求項2の発明は、ドア体の上方に、ドア体の移動軌跡に沿う状態でガイド体が設けられ、伝動体は、前記ガイド体に沿う状態で設けられ、駆動輪体は、ガイド体から離間し、ガイド体と伝動体とのあいだに配される状態で駆動歯に従動歯が噛合するものであり、歯飛び規制部は、駆動輪体の出力軸が突出する開閉機の出力ケーシング部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電動式のドア装置である。
請求項3の発明は、出力ケーシング部は、出力軸が下方に向けて突出するものであって、該出力ケーシング部には、両脚片部と上側の跨片部とを備えた冂字形のブラケット本体と、駆動輪体と出力ケーシング部との間に配される状態で両脚片部の下端部間に締結される下側片部とを備えたブラケット材が囲繞状態で外嵌組み込みされ、歯飛び規制部は、下側片部から下方に向けて突出形成されていることを特徴とする請求項2記載の電動式のドア装置である。
請求項4の発明は、ドア体およびガイド体は円弧軌跡に沿うよう円弧形状をし、ガイドレールは前記円弧軌跡に沿うようドア体の開閉案内をし、伝動体は、ガイド体の外周面に沿うよう配された状態で、駆動輪体に対して左右方向両側に向けて接線となるようにして該駆動輪体に懸回され、歯飛び規制部は、前記接線状態で懸回される伝動体の頂部部位に対向配設されることを特徴とする請求項3記載の電動式のドア装置である。
請求項5の発明は、歯飛び規制部は、下側片部の何れか一方の伝動体頂部部位に対向配設されることを特徴とする請求項4記載の電動式のドア装置である。
請求項6の発明は、ドア装置は、ドア体の出入り口に対する左右方向一方への移動、他方への移動で出入り口を開放する左引き、右引きの左右勝手違いの仕様を有するものであって、開閉機は、左右勝手違いの出入り口の戸尻側躯体部材に設けられ、歯飛び規制部は、下側片部が左右勝手違いで出力ケーシング部に取り付けられることで出入り口の左右勝手違いに対応していることを特徴とする請求項5記載の電動式のドア装置である。
請求項7の発明は、ドア装置は、ドア体の出入り口に対する左右方向一方への移動、他方への移動で出入り口を開放する左引き、右引きの左右勝手違いの仕様を有するものであって、開閉機は、左右勝手違いの出入り口の戸尻側躯体部材に設けられ、歯飛び規制部は、下側片部の両脚片部対応部位に設けられていることで出入り口の左右勝手違いに対応していることを特徴とする請求項4記載の電動式のドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、ガイドレールと、該ガイドレールに案内されて出入り口の開閉移動をするドア体と、該ドア体の開閉移動を電動駆動により行う開閉機とを備え、該開閉機に設けた駆動輪体の駆動歯にドア体に設けた長尺状の伝動体の従動歯が噛合した状態で、開閉機に伴う駆動輪体の正逆回転によってドア体を開閉するようにしたドア装置において、駆動歯と従動歯との噛合部位に対向する状態で歯飛び規制部が配されたものとなっている結果、組み立て誤差等によって従動歯の駆動歯に対する歯飛びが発生する惧れがあっても、該歯飛びが規制されることになって、円滑な開閉制御が損なわれることを防止できることになる。
請求項2の発明にすることにより、伝動体が、ドア体の上方に設けたガイド体に沿う状態で設けられ、駆動輪体がガイド体から離間し、駆動歯がガイド体と伝動体とのあいだで従動歯が噛合する状態において、歯飛び規制部は、駆動輪体の出力軸が突出する開閉機の出力ケーシング部に設けられた構成になる結果、歯飛び規制部は、開閉機の出力ケーシング部を有効に利用して設けられることになって構造の簡略化に寄与できることになる。
請求項3の発明にすることにより、駆動輪体の出力軸が下方に向けて突出する出力ケーシング部に、冂字形のブラケット本体と、該ブラケット本体の両脚片部の下端部間に締結される下側片部とを備えたブラケット材が囲繞状態で外嵌組み込みされ、そして歯飛び規制部が、下側片部から下方に向けて突出形成されたものになっている結果、歯飛び規制部は、出力ケーシングに直接設けられることなく、該出力ケーシング部を囲繞する状態で外嵌組み込みされるブラケット材を介して設けられることになって、出力ケーシング部に締結具用孔をいちいち穿設することなく簡単に歯飛び規制部を設けることができる。
請求項4の発明にすることにより、ドア装置が、円弧軌跡に沿ってドア体の開閉がなされる円弧状のものである場合に、伝動体は、ドア体に設けたガイド体の外周面に沿うよう配された状態で駆動輪体に接線状態で懸回されることになるが、該伝動体の懸回頂部部位に歯飛び規制部が対向配設される結果、円弧状のドア装置において効率の良い歯飛び防止ができることになる。
請求項5の発明にすることにより、歯飛び規制部が、ブラケット材の下側片部の何れか一方の伝動体頂部部位に対向配設されることになる結果、歯飛び規制部の構成を簡略化することができる。
請求項6の発明にすることにより、ドア装置を、ドア体の左右方向一方または他方への移動で出入り口の開放をする左引き、右引きの左右勝手違いの仕様を有するものとした場合、開閉機は、仕様違いにより左右異なる戸尻側躯体部材に設けられることになり、この場合に歯飛び規制部について、下側片部が左右勝手違いで出力ケーシング部に取り付けられることで左右勝手違いに対応したものとすることで、一種類の下側片部を用意することで左右勝手違いに対応できることになって部品点数の増加を回避し、組み付け違いにも対応できることになる。
請求項7の発明にすることにより、ドア装置を、ドア体の左右方向一方または他方への移動で出入り口の開放をする左引き、右引きの左右勝手違いの仕様を有するものとした場合、開閉機は、仕様違いにより左右異なる戸尻側躯体部材に設けられることになり、この場合に歯飛び規制部は、下側片部の両脚片部対応部位に設けられたものとなって左右勝手違いに対応したものとなる結果、一種類の下側片部を用意することで左右勝手違いに対応できることになって部品点数の増加を回避し、組み付け違いを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トイレブースの平面図である。
図2】トイレブースの正面図である。
図3】トイレブースの拡大平面図である。
図4】トイレブースの縦断側面図である。
図5】ドア体の開閉機配設部位の正面図である。
図6】(A)(B)は開閉機部位の平面図、側面図である。
図7】開閉機の下視斜視図である。
図8】(A)(B)は開閉機の正面図、側面図である。
図9】(A)(B)は開閉機の底面図、平面図である。
図10】(A)(B)(C)はブラケット本体部の正面図、平面図、側面図である。
図11】(A)(B)(C)は下側片部の正面図、平面図、側面図、(D)(E)はブラケット材の正面図、側面図である。
図12】第二の実施の形態のトイレブースの平面図である。
図13】トイレブースの拡大平面図である。
図14】ドア体の開閉機配設部位の正面図である。
図15】(A)(B)は開閉機部位の平面図、側面図である。
図16】(A)(B)は第三の実施の形態の開閉機部位の側面図、ブラケット材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブースであって、該トイレブース1は、左右に複数が隣接する状態で設けられたものであり、出入り口(開口部)Eを構成すべく前面(正面)に出入り口Eとしての左右間隙を存する状態で床面Fから立設される戸先側、戸尻側の前面パネル体2、3と、これら前面パネル体2、3に先端部(前端部)に突き当たるように設けられていてこれら前面パネル体2、3とトイレブース奥端の壁面等の躯体側面Wとのあいだを仕切る側面(奥行き)パネル体4とを備えることで区画形成されていること等は何れも従来通りである。因みにこのようなブースとしては、側面パネルの一方または両方を壁等の躯体面として構成する場合もあり、これらは必要において適宜実施されるものである。尚、Tはトイレブース1内に設けられる便器である。
【0009】
5は平面視で円弧形状をしたハンガー式のドア体(戸体、扉体)であって、該ドア体5の左右上端縁部には、連結金具6aを介して上方に突出する状態で左右のハンガーローラ(吊りローラ)6が設けられるが、該ハンガーローラ6が、出入り口Eの上方部位に設けたガイドレール(ハンガーレール、案内レール)7に転動案内されることでドア体5が左右開閉移動をして出入り口Eの開閉をするハンガー式のものとなっている。因みにドア体5は、下端縁が床面Fに対して隙間を存するよう構成されたものとなっている。
前記ガイドレール7は、ドア体5の円弧形状に対応して移動軌跡を円弧軌跡とし、出入り口Eの上方において、該出入り口Eの戸先側端縁部に配される戸先側前面パネル体2部位から戸尻側端縁部に配した戸尻側前面パネル体3部位を越えて戸尻側の側面パネル体4に沿う状態でトイレブース1のブース内に入り込むよう円弧形状をしたものであり、そして該ガイドレール7は、左右の前面パネル体2、3および側面パネル体4等の躯体側部材に支持ブラケット7aを介して連結されることで躯体側に設けられた構成になっている。
【0010】
そしてこのように構成されることにより、ドア体5は、ハンガーローラ6がガイドレール7を左右水平方向に転動することにより、円弧軌跡に沿って左右方向にスライド移動して前記出入り口Eを閉鎖する閉鎖姿勢と、戸尻側のトイレブース1内に入り込んで出入り口Eを開放(開口)する開放姿勢とに変姿するようになっている。
因みに本実施の形態においては、出入り口Eの外側(トイレブース1のブース外側)から観たときにドア体5を右方に移動することで出入り口Eが閉鎖する仕様のものを右引き仕様、逆にドア体5を左方に移動することで出入り口Eが閉鎖される仕様のものを左引き仕様と便宜上定義するものとして仕様の区別をし、まずは右引き仕様のものについて詳述し、左引き仕様のものについては後述する。
【0011】
このものでは、ガイドレール7の上方スペースに、ドア体5を電動駆動により開閉する開閉機9を含めた各種の部材装置が配されたものになっており、以下にこれらの構成について詳述する。
まず、前記戸尻側前面パネル体3および該側の側面パネル体4の上端部に、前後に間隙を存する状態で一対の支持ブラケット7aが取り付けられ、該前後の支持ブラケット7aの下面にガイドレール7が緊締具7bを介して取り付けられるが、支持ブラケット7aの上面に、前記緊締具7bによってガイドレール7と共締めされる状態で、取り付けブラケット8の前後の下片部8a、8bが取り付けられ、そして該取り付けブラケット8の縦片部8cに開閉機9が取り付けられたものとなっている。この場合に取り付けブラケット8の前後の下片部8a、8bには、緊締具7bが貫通する取り付け孔8aa、8baが形成される。そして後側下片部8bに形成される後側取り付け孔8baは単なる丸孔であるのに対し、前側下片部8aに形成される前側取り付け孔8aaは、前記後側取り付け孔8baを中心とする円弧長孔となっており、これによって取り付けブラケット8は、開閉機9と共に後側取り付け孔8baを軸心として前側部位の取り付け位置を左右方向に自在に調整できるよう構成されている。
【0012】
前記取り付けブラケット8に取付けられる開閉機9は、モータ部(図示せず)を内装するブース奥側の本体ケーシング部9aと、モータ部での回転駆動を減速する減速機構(例えばウオーム減速機構(図示せず))を内装するブース前側の出力ケーシング部9bとを備えて構成されるが、この場合に開閉機9は、前後方向に長い本体ケーシング部9aが、ブース奥側ほど戸尻側の側面パネル体4に近接するよう僅かに傾斜する状態で前後方向に長くして取り付けられたものになっている。
そして前記前側の出力ケーシング部9bの下面からは、前記減速機構によって減速された状態の出力軸9cが突出しており、該出力軸9cに、外周に駆動歯10aが形成された駆動輪体10が取り付けられている。
【0013】
一方、ドア体5の上端縁部には、前記左右のハンガーローラ6の連結金具6aと共締めされる状態でL字形をした左右の連結部材11の下端部11aが設けられるが、該左右の連結部材11の縦片部11bには、ガイドレール7の円弧軌跡内周縁部に沿う状態で上方に配された円弧長尺状のガイド体12が設けられている。
さらに該ガイド体12の左右両端縁部には、伝動体(歯付きベルト)13がガイド体12の円弧外周面12aに沿う(対向する)状態で配されているが、該伝動体13は、左右両端縁部がガイド体12の左右両端縁部に設けたホルダー12bを介して該ガイド体12に取り付けられている。この場合に伝動体13は、ガイド体12の外周面12aに対して緊張状態ではなく、後述するように駆動輪体10が伝動体13とガイド体12とのあいだに配設されるべく弛みのある弛緩状態で取り付けられたものとなっている。
【0014】
前記伝動体13には、前記駆動輪体10に設けた駆動歯10aに噛合する従動歯13bがガイド体12に対向する側に形成されている。この場合に駆動輪体10は、ガイド体12に対して左右方向外側に離間(間隙を存して対向)する状態で、左右方向内側のガイド体12と外側の伝動体13とのあいだに挟まれるようにして配されており、この様に構成されることで伝動体13は、駆動歯10aと従動歯13bとの噛合部がガイド体12に対して左右方向外側に離間する状態で、駆動輪体10に対して前後方向両側に向けて接線となる状態で該駆動輪体10に懸回されたものとなっている。
この場合に開閉機9は、前述したように取り付けブラケット8を、開閉機9と共に後側取り付け孔8baを軸心とする前側取り付け孔8aaに対する取り付け位置の調整をすることで、前側の出力ケーシング部9bの配設位置を左右方向に位置調整できることになって伝動体13の張り状態の調整を行えるように構成されている。
【0015】
このように構成される開閉機9には、さらに前記従動歯13bの駆動歯10aに対する歯飛び規制をするための歯飛び規制部14eが、駆動歯10aと従動歯13bとが噛合する部位、具体的には、駆動輪体10に接線状態で懸回される伝動体13の頂部部位に近接対向するようにして設けられている。
具体的には歯飛び規制部14eは、開閉機9の出力ケーシング部9bに設けられるものであるが、出力ケーシング部9bは、左右側面部9baと、上下面部9bb、9bcとを備えた矩形形状をしている。そして該出力ケーシング部9bには、跨片部14aa、左右両脚片部14abを備えた冂字形をしたブラケット本体部14aと、該ブラケット本体部14aの開口状態となった左右両脚片部14abの下端縁部間に締結具14dを介して取り付けられる下側片部14cとによって矩形状に形成されるブラケット材14が囲繞された外嵌状態で組み付けされている。
【0016】
さらに詳しくは、前記ブラケット本体部14aは、前後左右に線対称形状をしたものであって、左右両脚片部14abの下端縁部は、前後に分岐された分岐片部14acが形成され、該分岐片部14acの下端縁部が左右方向内側に向けて折曲された取り付け片部14adが設けられている。
そして前記冂字形のブラケット本体部14aを、跨片部14aaが出力ケーシング部9bの上面部9bb、左右両脚片部14abが左右両側面部9baに対向する状態で出力ケーシング部9bに外嵌組み込みすることで、該ブラケット本体部14aの下端縁部となる取り付け片部14adが駆動輪体10と出力ケーシング部9bの下面部9bcとのあいだに位置することになる。
この取り付け片部14adに、下側片部14cを下側から当てがう状態で、締結具14dを介して取り付け片部14adに下側片部14cを締結することで、ブラケット材14は、出力ケーシング部9bを囲繞する外嵌状態で組み付けられることになり、該組み付けられたブラケット材14の下側片部14cには、前記駆動歯10aと従動歯13bとが噛合する部位に対向するよう歯飛び規制部14eが下方に向けて突出形成されたものとなっており、これによって従動歯13bの駆動歯10aからの歯飛び規制がなされるよう構成されている。
【0017】
叙述の如く構成された本実施の形態において、ドア装置は、円弧軌跡に沿った移動案内をするガイドレール7と、該ガイドレール7に案内されて左右方向に移動することで出入り口Eを開閉する円弧形状のドア体5とを備え、そして該ドア体5の開閉移動を、電動式の開閉機9の駆動により行うようにしたものである。この場合に、ドア体5に、前記ガイドレール7の円弧軌跡に沿うよう円弧状にしたガイド体12を設ける一方、該ガイド体12の左右両端縁部に、ガイド体12の外周面に沿う状態で長尺状の伝動体13の左右両端縁部を取り付けたものとし、そして開閉機9の出力ケーシング部9bの下面部9bcから突出する出力軸9cに設けた駆動輪体10の駆動歯10aに、伝動体13の従動歯13bを噛合させた構成にし、開閉機9の電動駆動に伴う駆動輪体10の正逆回転に連動して伝動体13を左右移動させることによりドア体5の自動的な開閉が実行される。
そしてこの場合に、前記駆動輪体10の駆動歯10aと伝動体13の従動歯13bとの噛合部位に対向する状態で歯飛び規制部14eが配されたものとなっている結果、組み立て誤差等によって従動歯13bの駆動歯10aに対する歯飛びが発生する惧れがある場合であっても、該歯飛びが規制されることになって、円滑な開閉制御が損なわれることを防止できることになる。
【0018】
しかもこのものでは、伝動体13が、ドア体5の上方に設けたガイド体12に沿う支持状態で設けられているが、駆動輪体10の伝動体13に噛合している部位には、歯飛び規制部14eが、駆動輪体の出力軸が突出する開閉機の出力ケーシング部に設けられる状態で近接対向している結果、該歯飛び規制部14eが、開閉機9の出力ケーシング部9bを有効に利用して設けられることになって構造の簡略化に寄与できる。
そしてこの場合に、駆動輪体10を取り付けるための出力軸9cが下方に向けて突出する出力ケーシング部9bに、冂字形をしたブラケット本体部14aと、該ブラケット本体部14aの下端部間に締結される下側片部14cとを備えたブラケット材14が囲繞状態で外嵌組み込みされ、そして歯飛び規制部14eが、下側片部14cから下方に向けて突出形成されたものになっている結果、歯飛び規制部14eは、出力ケーシング9bに直接設けられることなく、該出力ケーシング部9bを囲繞する状態で外嵌組み込みされるブラケット材14を介して設けられることになり、この結果、出力ケーシング部9bに締結具用の孔をいちいち穿設することなく簡単に歯飛び規制部14eを設けることができる。
【0019】
しかも本実施の形態のドア装置が、円弧軌跡に沿ってドア体5の開閉がなされる円弧状のものであり、そして伝動体13は、ドア体に設けたガイド体12の外周面に沿うよう配された状態で駆動輪体10に接線状態で懸回されたものとなるが、この場合に歯飛び規制部14eが、伝動体13の懸回頂部部位に対向配設されている結果、円弧状のドア装置において効率の良い歯飛び防止ができる。
その場合にブラケット材14の下側片部14cに形成される歯飛び規制部14eは、駆動輪体10に噛合する伝動体13の噛合頂部部位に一つだけ対向配設されたものになっている結果、歯飛び規制部14eが形成される下側片部14cの構成を簡略化することができる。
【0020】
尚、前記実施の形態のものは、前述したように右引き仕様のものであるが、左引き仕様のものとしても同様に本発明を実施することができる。そして該左引き仕様のものを第二の実施の形態として図12~15の図面に基づいて説明する。尚、引き出し符号については、前記第一の実施の形態のものと共通するものとする。
この左引き仕様のものでは、ドア体5が、ブース外から見たときに左方向に移動することで出入り口Eが閉鎖されるものであり、このため開閉機9は、前記第一の実施の形態のものとは逆に、戸尻側となる右側の戸尻側前面パネル体3と側面パネル体4とのコーナー部に前後する状態で取り付けられる。
この結果、駆動輪体10に対する伝動体13の噛合部位は、前記第一の実施の形態の右引き仕様の場合とは左右方向逆側部位となる結果、第一の実施の形態の左側に歯飛び規制部14eが形成された開閉機9を左引き仕様のものにそのまま採用することはできない。
【0021】
そこでこのような出入り口Eが左右勝手違いとなる右引き仕様、左引き仕様の両仕様の何れにも採用できるようブラケット材14が構成されている。
具体的には、ブラケット本体部14aおよび歯飛び規制部14eがない状態(省略された状態)の下側片部14cは、前述したように前後左右が線対称形状に構成されている。このためブラケット本体部14aについては左右勝手違いに関係なく出力ケーシング9bに外嵌組み込みできることになり、該外嵌組み込みされたブラケット本体部14aに下側片部14cを取り付ける場合に、該下側片部14cを、歯飛び規制部14eが左右何れかに配される駆動歯10aと従動歯13bとの噛合部に対向する側に位置するよう配した状態で取り付ければよい。
このように歯飛び規制部14eが設けられる下側片部14cについて、左右勝手違いに対応する状態で出力ケーシング部9bに取り付けられるものになって、一種類の下側片部14cを用意することで左右勝手違いに対応できることになって部品点数の増加を回避し、組み付け違いにも対応できることになる。
【0022】
尚、前記第一、第二の左右勝手違いの実施の形態では、開閉機9の出力ケーシング部9bに設けられる歯飛び規制部14eについて、ブラケット材14の構成部材である下側片部14cの左右何れか一方に設けたものとし、これを第一、第二の実施の形態の両仕様に用いられる構成にしたが、これに限定されず、図16に示す第三の実施の形態のように、下側片部14cについて、左右両側に歯飛び規制部14eが設けられたものとすることで、左右勝手違いの仕様に対応したものとすることができ、このようにすることで、下側片部14cの取り付けを、噛合部位置を考慮することなく取り付けることができ、組み付け違いがないものにできることになる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、トイレブースやシャワーブース等のブース(部屋)の出入り口、さらにはビル等の建物の出入り口等の出入り口に建て付けられる電動式のドア装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 トイレブース
5 ドア体
6 ハンガーローラ
7 ガイドレール
9 開閉機
9a 本体ケーシング部
9b 出力ケーシング部
9c 出力軸
10 駆動輪体
10a 駆動歯
12 ガイド体
13 伝動体
13b 従動歯
14 ブラケット材
14a ブラケット本体部
14c 下側片部
14e 歯飛び規制部
E 出入り口
図1
図2
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図16