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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025056716
(43)【公開日】2025-04-08
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20250331BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024122629
(22)【出願日】2024-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2023-0129208
(32)【優先日】2023-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チェ ドン
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、ジュン ウン
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン キョウン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ジ へ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC19
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
5E082GG26
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ05
5E082JJ06
5E082JJ12
5E082JJ13
5E082PP03
5E082PP09
(57)【要約】
【課題】外部からの水分やめっき液の浸透を防止して信頼性に優れた積層型電子部品を提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体、上記内部電極と連結される基礎電極層を含む外部電極及び上記誘電体層の端部と上記基礎電極層との間に配置される界面層と、を含み、上記界面層はBa、Zn及びSiを含む第1ガラスを含み、上記基礎電極層はBa及びSiを含む第2ガラスを含み、上記第1ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM1、上記第2ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM2とするとき、上記M1及びM2はM1/M2≧1.5を満たす積層型電子部品を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層、及び前記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記内部電極と連結される基礎電極層を含む外部電極と、
前記誘電体層の端部と前記基礎電極層との間に配置される界面層と、を含み、
前記界面層は、Ba、Zn及びSiを含む第1ガラスを含み、
前記基礎電極層は、Ba及びSiを含む第2ガラスを含み、
前記第1ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM1、前記第2ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM2とするとき、
前記M1及び前記M2は、M1/M2≧1.5を満たす、積層型電子部品。
【請求項2】
前記M1は0.2以上3.5以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記M2は0.01以上0.2未満である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記M1及び前記M2は、M1/M2≦83を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記界面層の平均厚さは2μm超過8μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第2ガラスはZnを含み、
前記第1ガラスに含まれたSiに対するZnの平均モル比(Zn/Si)は、前記第2ガラスに含まれたSiに対するZnの平均モル比(Zn/Si)よりも大きい、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第2ガラスの少なくとも一部は第1ガラスと接触する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1ガラス及び前記第2ガラスは、それぞれAl、Mg、Ca、及びSrのうち1つ以上をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記界面層を構成する元素のうち、酸素を除く残りの元素の総モル数に対するBa、Zn及びSiの合計モル数は0.5以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記基礎電極層は、Cuを含む金属を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記外部電極は、前記基礎電極層上に配置されるめっき層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記基礎電極層は前記内部電極と直接接触する、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。
【0003】
現在、積層セラミックキャパシタの外部電極としては、Cuなどの金属とガラスで構成された焼成電極を主に用いている。焼成電極の金属成分は、焼成電極に導電性を付与するのに対し、ガラスは焼成電極と本体との間に密着力を実現し、焼成電極内の隙間(void)に浸透してhermetic sealingを保証する役割を果たすことができる。
【0004】
一般的に、焼成電極のガラス成分としてネットワーク形成剤(network former)であるSi酸化物を用いている。Si酸化物は耐食性が強い特徴を有し、これによりめっき液によるガラスの浸食及びこれによるめっき液の浸透を防止することができる。
【0005】
但し、Si酸化物は軟化温度が高くて、銅(Cu)に対する濡れ性が低下し、これによって焼成電極内の隙間(void)を十分に満たせず、焼成電極がhermetic sealingを保証することができないという問題点が生じることがある。
【0006】
このような問題点を解決するために、ネットワーク調整剤(network modifier)としての機能を果たす酸化物をガラス成分として適宜添加して、耐食性とシーリング性の全てを保証することができる積層セラミックキャパシタの外部電極に対する研究が進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の様々な目的の一つは、外部からの水分やめっき液の浸透を防止して信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0008】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、誘電体層、及び上記誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体、上記内部電極と連結される基礎電極層を含む外部電極及び上記誘電体層の端部と上記基礎電極層との間に配置される界面層を含み、上記界面層はBa、Zn及びSiを含む第1ガラスを含み、上記基礎電極層はBa及びSiを含む第2ガラスを含み、上記第1ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM1、上記第2ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM2とするとき、上記M1及びM2はM1/M2≧1.5を満たす積層型電子部品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果の一つとして、外部からの水分やめっき液の浸透を防止して、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図である。
図2図1の本体を概略的に示した分解斜視図である。
図3図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
図4図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図である。
図5図3のK1領域拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0013】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
図面において、第1方向は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0015】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1の本体を概略的に示した分解斜視図であり、図3は、図1のI-I'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、図4は、図1のII-II'線に沿った切断断面を概略的に示した断面図であり、図5は、図3のK1領域拡大図である。
【0016】
以下、図1図5を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。また、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な積層型電子部品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどにも適用されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110、外部電極131、132、及び界面層141、142を含むことができる。
【0018】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮やエッジ部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0019】
本体110は、第1方向に向かい合う第1面及び第2面1、2、第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に向かい合う第3面及び第4面3、4、第1面から第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に向かい合う第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0020】
本体110は、誘電体層111及び誘電体層111と交互に配置される内部電極121、122を含むことができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0021】
誘電体層111は、例えば、ABOで表されるペロブスカイト型化合物を主成分として含むことができる。ABOで表されるペロブスカイト型化合物は、例えば、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0022】
内部電極121、122は、例えば、誘電体層111と第1方向に交互に配置されることができる。互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極121と第2内部電極122は、誘電体層111を挟んで互いに対向するように配置されることができる。第1内部電極121と第2内部電極122は、その間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0023】
第1内部電極121は、第4面4と離隔し、第3面3側で第1外部電極131と連結されることができる。第2内部電極122は、第3面3と離隔し、第4面4側で第2外部電極132と連結されることができる。
【0024】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、Ni、Cu、Pd、Ag、Au、Pt、Sn、W、Ti及びこれらの合金のうち一つ以上であることができ、より好ましくはNiを主成分として含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0025】
誘電体層111の平均厚さtdは、特に限定する必要はないが、例えば0.1μm~10μmであることができる。内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はないが、例えば0.05μm~3.0μmであることができる。また、誘電体層111の平均厚さtdと内部電極121、122の平均厚さteは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、小型化及び高容量化を達成するために高電圧電場用電子部品の場合、誘電体層111の平均厚さtdは2.8μm未満であることができ、内部電極121、122の平均厚さteは、1μm未満であることができる。また、小型化及び高容量化を達成するために、小型IT用電子部品の場合、誘電体層111の平均厚さtdは0.4μm以下であることができ、内部電極121、122の平均厚さteは0.4μm以下であることができる。
【0026】
誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、それぞれ誘電体層111及び内部電極121、122の第1方向の大きさを意味する。誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteは、本体110の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的には、誘電体層111の平均厚さtdは、1つの誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔の30の地点でその厚さを測定した後、その平均値をとることで測定することができる。また、内部電極121、122の平均厚さteは、1つの内部電極121、122の多数の地点、例えば第2方向に等間隔の30の地点でその厚さを測定した後、その平均値をとることで測定することができる。上記等間隔の30の地点は容量形成部Acで指定されることができる。一方、このような平均値測定をそれぞれ10個の誘電体層111及び10個の内部電極121、122について行った後、平均値を測定すると、誘電体層111の平均厚さtd及び内部電極121、122の平均厚さteをさらに一般化することができる。
【0027】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を挟んで互いに交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと容量形成部Acの第1方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1カバー部112及び第2カバー部113を含むことができる。カバー部112、113は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部112、113は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ構成を有することができる。
【0028】
カバー部112、113の平均厚さtcは、特に限定する必要はない。すなわち、カバー部112、113の平均厚さtcは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、カバー部112、113の平均厚さtcは、300μm以下、100μm以下、30μm以下、又は20μm以下であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。ここで、カバー部112、113の平均厚さtcは、第1カバー部112及び第2カバー部113のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0029】
カバー部112、113の平均厚さtcは、カバー部112、113の第1方向への平均大きさを意味することができ、本体110の第1方向及び第2方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0030】
本体110は、容量形成部Acの第3方向に向かい合う両面上にそれぞれ配置される第1マージン部114及び第2マージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、本体110を第1方向及び第3方向に切断した断面において内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0031】
マージン部114、115は、内部電極121、122を含まないことを除いては、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0032】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成されるところを除いて、内部電極用導電性ペーストを塗布して焼成することで形成されたものであることができる。または、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極121、122が本体の第5面及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの第3方向に向かい合う両面上に積層することでマージン部114、115を形成することもできる。
【0033】
マージン部114、115の平均厚さtmは、特に限定する必要はない。すなわち、マージン部114、115の平均厚さtmは、所望の特性や用途に応じて任意に設定することができる。例えば、積層型電子部品の小型化及び高容量化のために、マージン部114、115の平均厚さtmは、100μm以下、20μm以下、または15μm以下であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。ここで、マージン部114、115の平均厚さtmは、第1マージン部114及び第2マージン部115のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0034】
マージン部114、115の平均厚さtmは、マージン部114、115の第3方向の平均大きさを意味することができ、本体110の第1方向及び第3方向の断面で等間隔の5つの地点で測定した第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0035】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されることができ、第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6の一部上に延びることができる。外部電極131、132は、第3面3上に配置される第1外部電極131及び第4面4上に配置される第2外部電極132を含むことができる。
【0036】
外部電極131、132は、内部電極121、122と連結される基礎電極層131a、132a及び基礎電極層131a、132a上に配置されるめっき層131b、132bを含むことができる。すなわち、第1外部電極131は、第1内部電極121と連結される第1基礎電極層131a及び第1基礎電極層131a上に配置される第1めっき層131bを含むことができ、第2外部電極132は、第2内部電極122と連結される第2基礎電極層132a及び第2基礎電極層132a上に配置される第2めっき層132bを含むことができる。
【0037】
図面では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0038】
界面層141、142は、誘電体層111の端部と基礎電極層131a、132aとの間に配置されることができる。すなわち、界面層141、142は、第3面3と第1基礎電極層131aとの間に配置される第1界面層141及び第4面4と第2基礎電極層132aとの間に配置される第2界面層142を含むことができる。第1界面層141は第3面3と接するように配置されることができ、第2界面層142は第4面4と接するように配置されることができる。界面層141、142は、基本的に誘電体層111の端部上に配置されるが、内部電極121、122の一部を覆っていることもできる。また、第1方向及び第2方向の断面を観察したとき、界面層141、142が1つ以上の内部電極121、122の端部を完全に覆っていることもできるが、上記内部電極は第3方向にも延びるため、基礎電極層141a、142aは内部電極121、122と直接接触して内部電極121、122と外部電極131、132との間の電気的連結を確保することができる。
【0039】
以下、図5を参照して基礎電極層と界面層についてより詳細に説明する。図5に示したK1領域は、第1基礎電極層131aと第1界面層141の一部を拡大して示したが、第1基礎電極層131aと第2基礎電極層132aは互いに類似した構成を有し、第1界面層141と第2界面層142は互いに類似した構成を有するため、第1基礎電極層131a及び第1界面層141に関する説明は、第2基礎電極層132a及び第2界面層142に対する説明を全て含む。
【0040】
本発明の一実施形態によると、界面層141は、Ba、Zn及びSiを含む第1ガラスを含むことができる。第1ガラスに含まれたBa、Zn及びSiはそれぞれ酸化物の形態で存在することができる。界面層141は、第1ガラスを主成分として含むことができ、誘電体層111、内部電極121、及び/または基礎電極層131aに含まれた成分を一部含むこともできる。例えば、界面層141は、Mg、Al、Cu、Ca、B、及びSrのうち1つ以上をさらに含むことができる。
【0041】
界面層141が第1ガラスを主成分として含むということは、内部電極121や基礎電極層131aから拡散した金属を除けば、界面層141は意図的に添加された金属成分を含まないことを意味する。これにより、界面層141は、Ba、Zn、及びSiを主成分として含むことができる。一実施形態において、界面層141を構成する元素のうち、酸素を除く残りの元素の総モル数に対するBa、Zn及びSiの合計モル数は0.5以上であることができる。
【0042】
基礎電極層131aは金属31を含むことができる。基礎電極層131aに含まれた金属31は、Cu、Ni、Ag、Pd、Al、Sn、及び/またはこれらを含む合金などを含むことができる。基礎電極層131aに含まれた金属31は、Cuを含むことができ、Cuを主成分として含むこともできるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0043】
基礎電極層131aは第2ガラス32を含むことができる。第2ガラス32は、金属31内に分散した形態を有することができる。第2ガラス32はBa及びSiを含むことができ、より好ましくは、第2ガラス32はBa、Zn及びSiを含むことができる。第2ガラスに含まれたBa、Zn及びSiはそれぞれ酸化物形態で存在することができる。一実施形態において、第2ガラス32の少なくとも一部は第1ガラスと接触することができる。これにより、基礎電極層131aと界面層141との間の接合強度が向上することができる。
【0044】
上述したように、第1ガラス及び第2ガラスに含まれたSiはネットワーク形成剤(network former)としての機能を果たし、耐食性が強くてめっき液によるガラスの浸食及びこれによるめっき液の浸透を防止することができる。但し、Siは軟化温度が高く、Cuなどの金属に対する濡れ性が低い。これにより、第2ガラス32がSi酸化物のみからなると、第2ガラス32は基礎電極層131a内の隙間(void)を十分に満たせず、このような隙間(void)は外部からの水分が本体110の内部に浸透する耐湿浸透経路になる可能性がある。
【0045】
第1ガラス及び第2ガラスに含まれたBa及びZnは、ネットワーク調整剤(network modifier)としての機能を実行することができる。Ba及びZnはSiに比べて耐食性は劣るが、軟化温度を下げて基礎電極層131aと界面層141のシーリング性を改善する役割を果たすことができる。一実施形態において、第1ガラス及び第2ガラスは、それぞれAl、Mg、Ca、及びSrのうち1つ以上をさらに含むことができる。Al、Mg、Ca、及びSrは、Ba及びZnと共にネットワーク調整剤としての機能を果たすことができる。
【0046】
一方、基礎電極層131aはめっき層と接して配置されるため、基礎電極層131aに含まれた第2ガラス32は、界面層141に含まれた第1ガラスよりも耐食性特性がより重要である。これにより、第2ガラス32は、第1ガラスよりもSiの濃度(at%)が高いことが好ましい場合がある。界面層141は、基礎電極層131aよりも内側に配置されて、めっき層と接して配置されないため、シーリング性特性を実現するために、第1ガラスは第2ガラスよりBaの濃度(at%)が高いことが好ましいことができる。
【0047】
これにより、第1ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM1、第2ガラスに含まれたSiに対するBaの平均モル比(Ba/Si)をM2とするとき、M1>M2を満たすことができる。すなわち、Siに対するBaの平均モル比が比較的高い第1ガラスを含む界面層141は、本体110の表面を効果的にシーリングすることができ、Siに対するBaの平均モル比が比較的低い第2ガラスを含む基礎電極層131aは、めっき液の浸透を効果的に抑制することができる。
【0048】
本発明の一実施形態によると、上記M1及びM2はM1/M2≧1.5を満たすことができる。M1/M2が1.5以上であるとき、本発明の耐食性及びシーリング性の向上効果がより顕著になることがある。すなわち、M2に対してM1が低すぎると界面層141のシーリング性が低下する可能性があり、M1に対してM2が高すぎると基礎電極層131aの耐食性が低下する可能性がある。
【0049】
上記M1/M2の上限は、特に限定する必要はないが、例えば、M1/M2≦83を満たすことができる。M1が過度に高くなると、基礎電極層131aの焼成過程で界面層141の第1ガラスが再軟化して既存の位置を離脱することがあり、これにより本体110の表面シーリング性が低下することがある。また、M1/M2が83を超過すると、第1ガラスと第2ガラスとの軟化温度差によって焼成挙動差が激しく発生して、本発明の耐食性及びシーリング性の向上効果が低下することがある。
【0050】
上記M1及びM2のそれぞれは特に限定する必要はなく、M1/M2が1.5以上であれば良い。但し、上記M1は0.2以上3.5以下であることが好ましい。上記M1が0.2未満であると本発明のシーリング性の改善効果が僅かであり、上記M1が3.5超過であると、上述した第1ガラスの再軟化現象が発生することがある。
【0051】
また、上記M2は0.01以上0.2未満であることが好ましい。上記M2が0.01未満の場合、上述した焼成挙動差が発生する可能性があり、上記M2が0.2超過である場合、本発明の耐食性の改善効果が僅かである。
【0052】
上記M1及びM2を測定する方法の一例について説明する。まず、本体110の第3方向の中央を通る第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージを得る。次に、第1ガラス内の任意の地点に対するエネルギー分散型分光分析法(EDS)を介してSi元素の含有量(at%)とBa元素の含有量(at%)を測定した後、測定されたBa元素の含有量をSi元素の含有量で割ってSiに対するBaのモル比を求める。このようなEDS測定を第1ガラス内の5か所以上の任意の地点で行った後、測定されたSiに対するBaのモル比の平均値をとることにより、上記M1を測定することができる。また、第2ガラス内の任意の地点に対するエネルギー分散型分光分析法(EDS)を介してSi元素の含有量(at%)とBa元素の含有量(at%)を測定した後、測定されたBa元素の含有量をSi元素の含有量で割ってSiに対するBaのモル比を求める。このようなEDS測定を第2ガラス内の5ヶ所以上の任意の地点で行った後、測定されたSiに対するBaのモル比の平均値をとることにより上記M2を測定することができる。
【0053】
一実施形態において、第1ガラスに含まれたSiに対するZnの平均モル比(Zn/Si)は、第2ガラスに含まれたSiに対するZnの平均モル比(Zn/Si)よりも大きいことができる。ZnはBaのように、シーリング性を実現する役割を果たすことができる。すなわち、Siに対するZnの平均モル比が比較的高い第1ガラスを含む界面層141は、本体110の表面を効果的にシーリングすることができ、Siに対するZnの平均モル比が比較的低い第2ガラスを含む基礎電極層131aは、めっき液の浸透を効果的に抑制することができる。
【0054】
界面層141の厚さは特に限定する必要はない。但し、界面層141の平均厚さtiは、2μm超過8μm以下であることが好ましい。界面層141の平均厚さtiが2μm以下であると、本発明のシーリング性の改善効果が僅かである。また、界面層141の平均厚さtiが8μm超過であると、内部電極121と基礎電極層131aとの間の電気的連結性を低下させることがあり、これにより積層型電子部品100の容量が低下するおそれがある。界面層141の平均厚さtiは、界面層141の第2方向の平均大きさを意味する。界面層141の平均厚さtiは、本体110の第3方向の中央を通る第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージを得た後、1つの誘電体層111上に配置された界面層141の多数の地点、例えば、第1方向に等間隔の5つの地点でその厚さを測定した後、平均値をとることにより測定することができる。また、このような平均値測定をそれぞれ5個以上の誘電体層111上に配置された界面層141で行った後、平均値を測定すると(すなわち、合計25個以上の地点で測定)、界面層141の平均厚さをより一般化することができる。
【0055】
めっき層131b、132bは実装特性を向上させることができる。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd、Cu及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることもできる。めっき層131b、132bは、例えば、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることもできる。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0056】
一方、図示してはいないが、必要に応じて基礎電極層131a、132aとめっき層131b、132bとの間には金属及び樹脂を含む導電性樹脂層が配置されることもできる。
【0057】
積層型電子部品100の全体サイズは特に限定する必要はない。例えば、積層型電子部品100の第2方向の大きさは0.1mm~4.5mmであることができ、積層型電子部品100の第3方向の大きさは0.05mm~3.2mmであることができ、積層型電子部品100の第1方向の大きさは、0.05mm~2.5mmであることができる。
【0058】
以下、上述した積層型電子部品100の製造方法の一例について説明する。
【0059】
まず、誘電体層111を形成するためのセラミック粉末を準備する。セラミック粉末としては、例えば、BaTiO粉末などが挙げられる。BaTiO粉末は、例えば、二酸化チタンなどのチタン原料と炭酸バリウムなどのバリウム原料を反応させることにより合成されることができる。上記セラミック粉末の合成方法は、例えば、固相法、ゾル-ゲル法、水熱合成法などがあるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0060】
次に、用意したセラミック粉末を乾燥及び粉砕した後、エタノール等の有機溶剤及びポリビニルブチラール等のバインダーを混合してセラミックスラリーを製造することができ、上記セラミックスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを用意する。
【0061】
次に、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで金属粉末、バインダー等を含む内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法またはグラビア印刷法等で印刷することで内部電極パターンを形成する。
【0062】
この後、内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離した後、所定の層数だけ内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを積層及び圧着してセラミック積層体を形成し、上記セラミック積層体を所定のチップサイズを有するように切断する。切断されたチップに含まれたバインダーなどは、好ましくは脱バインダー工程を介して除去されることができる。脱バインダー工程の条件は、用いたバインダーの種類によって異なることができ、特に制限されない。この後、脱バインダー処理されたチップを1000℃以上1400℃以下の温度で焼成して誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110を形成することができる。
【0063】
次に、第1ガラスフリット、バインダー及び溶剤を混合した界面層用ペーストを本体110の第3面及び第4面3、4に塗布した後、焼成することにより界面層141、142を形成することができる。界面層用ペーストを本体に塗布する方法は、特に限定する必要はなく、例えば、ディッピング(dipping)や転写、蒸着など公知の方法を用いることができる。
【0064】
上記第1ガラスフリットは、BaO、ZnO及びSiOを含むことができ、必要に応じてAl、MgO、CaO、SrOなどをさらに含むことができる。このとき、界面層用ペーストに添加されるBaOとSiOの含有量は、例えば、焼成後に界面層141、142のBa/Si平均モル比(M1)が0.2~3.5になるように調整することができる。例えば、第1ガラスフリット全体100モル基準で、BaOは5モル~50モル重量部、ZnOは1モル~40モル重量部、SiOは5モル~15モルであることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。界面層用ペーストは、例えば、550℃~750℃の温度で焼成することができる。
【0065】
基礎電極層131a、132aを形成する前に、内部電極121、122と基礎電極層131a、132aを互いに接触させるために界面層141、142が形成された本体110の第2方向の両面を研磨することが好ましい。界面層141、142が形成された本体110の第2方向の両面を研磨する方法は、特に限定する必要はないが、例えばバレル研磨、サンドブラスト、及び/又はレーザ研磨等の方法を用いることができる。
【0066】
この後、金属粉末、第2ガラスフリット、バインダー及び溶剤を混合した基礎電極層用ペーストを界面層141、142上に塗布した後、焼成することにより基礎電極層131a、132aを形成することができる。上記第2ガラスフリットは、BaO、ZnO及びSiOを含むことができ、必要に応じてAl、MgO、CaO、SrOなどをさらに含むことができる。このとき、基礎電極層用ペーストに添加されたBaOとSiOの含有量は、焼成後に基礎電極層131a、132aのBa/Siモル比が例えば0.01以上0.2未満になるように調整することができる。例えば、第2ガラスフリット全体100重量部基準で、BaOは1モル~10モル、ZnOは1モル~10モル、SiOは30モル~70モルであることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。一方、基礎電極層用ペーストは界面層用ペーストよりもSiOの含有量が高いため、界面層用ペーストが焼成される温度よりもさらに高い温度で焼成することが好ましいことができ、例えば、750℃~900℃の温度で焼成することができるが、本発明がこれに限定されない。
【0067】
めっき層131b、132bを形成する方法は、特に限定する必要はなく、例えば電解めっき法及び/または無電解めっき法などを用いることができる。
【0068】
但し、上述した製造方法は一例であり、積層型電子部品100の製造方法が上述した製造方法に限定されるものではない。
【0069】
(実験例)
<M1/M2による信頼性評価>
下記試料番号1は、以下の方法で製作した。まず、BaTiO粉末、エタノール等の有機溶剤及びポリビニルブチラール等のバインダーを混合してセラミックスラリーを製造した後、上記セラミックスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥してセラミックグリーンシートを用意した。次に、セラミックグリーンシート上に所定の厚さでNi粉末、バインダーなどを含む内部電極用導電性ペーストを印刷して内部電極パターンを形成し、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層及び切断した。この後、積層されたチップに対する脱バインダー及び焼成工程を進行して本体を形成した。
【0070】
この後、第1ガラスフリット、バインダー及び溶剤を混合した界面層用ペーストを本体110の第3面及び第4面3、4に塗布した後、650~750℃で焼成することで界面層141、142を形成した。上記界面層用ペーストに含まれたBaO、ZnO及びSiOの含有量は、第1ガラスフリット全体100モルを基準に、BaOは5モル~50モル重量部、ZnOは1モル~40モル重量部、SiOは5モル~15モルであった。
【0071】
次に、Cu粉末、第2ガラスフリット、バインダー及び溶剤を混合した基礎電極層用ペーストを界面層上に塗布した後、700~850℃で焼成することで基礎電極層を形成した。上記基礎電極層用ペーストに含まれたBaO、ZnO及びSiOの含有量は、第2ガラスフリット全体100重量部基準で、BaOは1モル~10モル、ZnOは1モル~10モル、SiOは30モル~70モルであった。
【0072】
この後、基礎電極層上にNiめっき層及びSnめっき層を順次形成して試料番号1のサンプルチップを設けた。試料番号1のサンプルチップは、10uFの容量を有する2012サイズ(第2方向の大きさが約2.0mm、第3方向の大きさが約1.2mm)で製作された。
【0073】
試料番号2~8は、上述した試料番号1と同様の方法で製作するが、界面層用ペーストに添加されたBaO、ZnO及びSiOの含有量を変更して焼成後に界面層のBa/Si平均モル比(M1)が試料番号1と異なるようにした。具体的には、試料番号2から試料番号8に行くほど界面層用ペーストに添加されたSiOに対するBaOの含有量が増加した。
【0074】
この後、各試料番号のサンプルチップの第3方向の中央を通る第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージを得た後、界面層に含まれた第1ガラスに対するエネルギー分散型分光分析法(EDS)を実施して、Siに対するBaのモル比を測定した。このようなEDS測定を第1ガラス内の任意の5つの地点で行った後、測定されたSiに対するBaのモル比の平均値をとることにより上記M1を測定した。同様の方法で、基礎電極層に含まれた第2ガラス内の任意の5つの地点でEDS測定を行った後、測定されたSiに対するBaのモル比の平均値をとることで、上記M2を測定した。この後、各試料番号のサンプルチップのM1/M2値を下記表1に記載した。
【0075】
この後、各試料番号当たり20つのサンプルチップについて、温度85℃、相対湿度85%条件で1.5Vrの電圧を24時間印加した後、IR(Insulation resistance)値が初期IR値の10%以下に低下したサンプルが1つでも発生した場合を「×」、1つも発生していない場合を「○」と表した。
【0076】
【表1】
【0077】
上記表1を参照すると、M1/M2が1.5以上の試料番号3~7は、耐湿信頼性の評価時に不良が発生しないことが確認できる。これは、界面層が本体の表面をシーリングして本体の内部に外部からの水分が浸透することを防止したためである。但し、M1/M2が1.5未満の試料番号1~2とM1/M2が83超過である試料番号8は、耐湿信頼性の評価時に不良が発生することが確認できる。
【0078】
<界面層の厚さによる信頼性評価>
界面層の厚さによる信頼性を評価するために、試料番号9~13のサンプルチップを製作した。まず、試料番号9は試料番号1と同様の方法で製作するが、界面層用ペーストを塗布せずに直ちに基礎電極層を形成した。
【0079】
試料番号10~13は試料番号6と同様の方法で製作して、上記M1/M2が15.9であった。但し、各試料番号別に界面層用ペーストの塗布量を調節して焼成後の界面層の平均厚さが互いに異なるようにした。界面層の平均厚さは、本体の第3方向の中央を通る第1方向及び第2方向の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージを得た後、1つの誘電体層111上に配置された界面層のうち、第1方向に等間隔の5つの地点でその厚さを測定して平均値を測定した。また、5つの誘電体層111上に配置された界面層で上記平均値測定を行い、合計25つの地点で測定した界面層141の平均厚さを下記表2に記載した。
【0080】
この後、各試料番号のサンプルチップに対する容量及び信頼性評価を行った。まず、LCR meterを用いて各試料番号当たり合計30個のサンプルチップの容量を測定した。上記合計30個のサンプルチップのうち、公称容量に対する測定容量が95%未満のサンプルチップが一つでも発生した場合を「×」、一つも発生していない場合を「○」と表した。信頼性評価は上述した方法と同様に、IR(Insulation resistance)値が初期IR値の10%以下に落ちた不良のサンプルが1つでも発生した場合を「×」、1つも発生していない場合を「○」と表した。
【0081】
【表2】
【0082】
上記表2を参照すると、界面層の平均厚さが2μm以下の場合、耐湿信頼性の評価時に不良が発生したことを確認することができる。これは、界面層が本体の表面を十分にシーリングできなかったためである。また、界面層の平均厚さが8μmを超過する場合、容量が低下することが確認できる。これにより、界面層の平均厚さは2μm超過8μm以下であることが好ましい。
【0083】
本発明は、上述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定しようとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【0084】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同一の実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかしながら、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と組み合わせて実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明された事項が他の一実施形態で説明されていなくても、他の一実施形態でその事項と反対または矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連した説明であると理解することができる。
【0085】
さらに、第1、第2などの表現は、ある構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるものであって、該当構成要素の順序及び/または重要度などを限定しない。場合によっては、権利範囲から逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、同様に第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【符号の説明】
【0086】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 基礎電極層
131b、132b めっき層
141、142 界面層
31 金属
32 第2ガラス
図1
図2
図3
図4
図5