(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005676
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】柱梁接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/30 20060101AFI20250109BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
E04B1/30 K
E04B1/58 505P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105946
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100208269
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 雅士
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英之
(72)【発明者】
【氏名】田畑 卓
(72)【発明者】
【氏名】古谷 祐希
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AB01
2E125AB12
2E125AC01
2E125AC07
2E125AC15
2E125AG03
2E125AG04
2E125AG26
2E125AG28
2E125AG31
2E125BA02
2E125BA33
2E125BA45
2E125BB27
2E125BB28
2E125BD01
2E125CA82
2E125CA83
2E125EA33
(57)【要約】
【課題】大スパン架構に好適な柱梁接合構造を提供する。
【解決手段】柱梁接合構造は、互いに交差する方向に架設された梁と鉄筋コンクリート柱10との柱梁接合構造であって、材端部鉄筋コンクリート梁33中央部鉄骨梁31からなる複合構造梁30は、鉄骨梁31の長軸方向の一端部が複合構造梁30に交差する方向に架設された鉄骨梁20と第1の間隔(D1)を空けて配設され、鉄筋コンクリート梁33と一体的に上端筋34および下端筋35が配筋されてコンクリートを打設された柱梁交差部40を介して鉄骨梁20および鉄筋コンクリート柱10と接合されたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する方向に架設された梁と鉄筋コンクリート柱との柱梁接合構造であって、
材端部鉄筋コンクリート梁中央部第1の鉄骨梁からなる複合構造梁は、前記第1の鉄骨梁の長軸方向の一端部が前記複合構造梁に交差する方向に架設された第2の鉄骨梁と第1の間隔(D1)を空けて配設され、前記鉄筋コンクリート梁と一体的に上端筋および下端筋が配筋されてコンクリートを打設された柱梁交差部を介して前記第2の鉄骨梁および前記鉄筋コンクリート柱と接合された、
ことを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項2】
前記第2の鉄骨梁は、前記鉄筋コンクリート柱の上部位置において、前記柱梁交差部の鉄筋コンクリートに覆われており、
前記第1の鉄骨梁の前記一端部は、平面視で、前記鉄筋コンクリート柱と第2の間隔(D2)を空けて、または当接するように配設された、
請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項3】
前記第2の鉄骨梁は、前記鉄筋コンクリート柱の上部位置および該鉄筋コンクリート柱の上部位置から所定の範囲において、前記柱梁交差部および該柱梁交差部に接合された材端鉄筋コンクリート梁の鉄筋コンクリートに覆われた、
請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項4】
前記複合構造梁は、前記第1の鉄骨梁の前記一端部が前記鉄筋コンクリート柱に形成されたコーベルに支持された、
請求項1または3に記載の柱梁接合構造。
【請求項5】
小梁が前記複合構造梁と前記第2の鉄骨梁とのうち、長期許容耐力の余裕が大きいほうの梁に掛け渡された、
請求項1または3に記載の柱梁接合構造。
【請求項6】
他の複合構造梁が、前記鉄筋コンクリート柱を挟んで前記複合構造梁に対向しつつ前記第2の鉄骨梁と前記第1の間隔(D1)を空けて配設するように前記柱梁交差部を介して接合され、
前記複合構造梁の長軸方向の一端部の鉄筋コンクリート梁から前記柱梁交差部を介して前記他の複合構造梁の長軸方向の一端部の鉄筋コンクリート梁まで、一体的に前記上端筋および前記下端筋が配筋されてコンクリートを打設された、
請求項1または3に記載の柱梁接合構造。
【請求項7】
前記複合構造梁および前記第2の鉄骨梁は、前記柱梁交差部と一体化されたプレキャストコンクリート部材である、
請求項1または3に記載の柱梁接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱梁接合構造に係り、特に、材端部鉄筋コンクリート梁中央部鉄骨梁からなる複合構造梁および鉄骨梁と鉄筋コンクリート柱との柱梁接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の梁スパンを大きく確保するためや工期を短縮する等のために、鉄骨梁と鉄筋コンクリート柱とを組み合わせた複合構造を適用することがある。
【0003】
このとき、鉄骨梁と鉄筋コンクリート柱との複合構造には、例えば、特許文献1に示すように、鉄骨梁のウェブおよびフランジにL型の剪断補強部材を取り付けることにより、柱梁接合部を補強する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の柱梁接合構造では、鉄骨梁4,4の交差部分を現場または工場で溶接等により剛接合する必要があるが、断面形状が複雑であるため大きな手間がかかり、また、熟練した溶接工による作業が必要であり、コスト、時間等が大きく掛かってしまい、大スパン架構に好適な柱梁接合構造であるとは言えない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、大スパン架構に好適な柱梁接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、互いに交差する方向に架設された梁と鉄筋コンクリート柱との柱梁接合構造であって、材端部鉄筋コンクリート梁中央部第1の鉄骨梁からなる複合構造梁は、前記第1の鉄骨梁の長軸方向の一端部が前記複合構造梁に交差する方向に架設された第2の鉄骨梁と第1の間隔(D1)を空けて配設され、前記鉄筋コンクリート梁と一体的に上端筋および下端筋が配筋されてコンクリートを打設された柱梁交差部を介して前記第2の鉄骨梁および前記鉄筋コンクリート柱と接合されたことを特徴とする。
【0008】
前記第2の鉄骨梁は、前記鉄筋コンクリート柱の上部位置において、前記柱梁交差部の鉄筋コンクリートに覆われており、前記第1の鉄骨梁の前記一端部は、平面視で、前記鉄筋コンクリート柱と第2の間隔(D2)を空けて、または当接するように配設されたことが好ましい。
【0009】
前記第2の鉄骨梁は、前記鉄筋コンクリート柱の上部位置および該鉄筋コンクリート柱の上部位置から所定の範囲において、前記柱梁交差部および該柱梁交差部に接合された材端鉄筋コンクリート梁の鉄筋コンクリートに覆われたことが好ましい。
【0010】
前記複合構造梁は、前記第1の鉄骨梁の前記一端部が前記鉄筋コンクリート柱に形成されたコーベルに支持されたことが好ましい。
【0011】
小梁が前記複合構造梁と前記第2の鉄骨梁とのうち、長期許容耐力の余裕が大きいほうの梁に掛け渡されたことが好ましい。
【0012】
他の複合構造梁が、前記鉄筋コンクリート柱を挟んで前記複合構造梁に対向しつつ前記第2の鉄骨梁と前記第1の間隔(D1)を空けて配設するように前記柱梁交差部を介して接合され、前記複合構造梁の長軸方向の一端部の鉄筋コンクリート梁から前記柱梁交差部を介して前記他の複合構造梁の長軸方向の一端部の鉄筋コンクリート梁まで、一体的に前記上端筋および前記下端筋が配筋されてコンクリートを打設されたことが好ましい。
【0013】
前記複合構造梁および前記第2の鉄骨梁は、前記柱梁交差部と一体化されたプレキャストコンクリート部材であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大スパン架構に好適な柱梁接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る鉄骨梁および複合構造梁と鉄筋コンクリート柱との柱梁接合構造を含む柱梁構造を示す平面図である。
【
図2】(a)は、
図1のIIa-IIa断面線で示した正面断面図、(b)は、(a)のIIb-IIb断面線で示した平面断面図である。
【
図3】(a)は、第1実施形態に係る柱梁接合構造の鉄骨梁と型枠とを配置した工程を説明する図、(b)は、型枠内に配筋をする工程を説明する図、(c)は、型枠内にコンクリートが打設された後、型枠が撤去され柱梁接合構造が完成した状態を説明する図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る鉄骨梁および複合構造梁と鉄筋コンクリート柱との柱梁接合構造を含む柱梁構造を示す平面図である。
【
図5】(a)は、
図4のVa-Va断面線で示した正面断面図、(b)は、
図4のVb-Vb断面線で示した正面断面図である。
【
図6】
図5(a)のVI-VI断面線で示した平面断面図である。
【
図7】(a)は、第2実施形態に係る柱梁接合構造の鉄骨梁と型枠とを配置した工程を説明する図、(b)は、型枠内に配筋をする工程を説明する図、(c)は、型枠内にコンクリートが打設された後、型枠が撤去され柱梁接合構造が完成した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る柱梁接合構造について、以下、添付図面を参照して説明する。なお、同一または同等の構成要素には、同一の符号を付す。
【0017】
[第1実施形態]
図1、
図2(a)、(b)は、本発明の第1実施形態に係る柱梁接合構造1を示している。柱梁接合構造1は、鉄筋コンクリート柱10と、鉄筋コンクリート柱10上を貫通する鉄骨梁20と、鉄骨梁20に交差する方向に配設された複合構造梁30と、鉄筋コンクリート柱10上部位置の鉄骨梁20が貫通する位置および複合構造梁30の長軸方向端部に設けられた鉄筋コンクリート製の柱梁交差部40とで構成される。
【0018】
鉄筋コンクリート柱10(以下、柱10とする。)は、1050mm×1050mmの断面を有する、現場施工された鉄筋コンクリート柱である。
図2(a)、(b)に示すように、柱体11の上端から突出する柱主筋12は、鉄骨梁20と干渉しない位置に配筋されている。
【0019】
鉄骨梁20は、H形鋼であり、柱10の柱体11上を貫通するように配設されている。本実施形態では、鉄骨梁20は、梁せいおよび梁幅が900mm×300mmである。鉄骨梁20は、複合構造梁30に比べて長期許容耐力に余裕がある。このため、
図1に示すように、鉄骨梁20,20間には、所定の間隔で、小梁50が配設されている。
【0020】
図1、
図2(a)、(b)に示すように、複合構造梁30は、中央部が鉄骨梁31であり、材端部が鉄筋コンクリート梁33からなる。複合構造梁30は、鉄骨梁20と交差する方向に配設されたH形鋼の鉄骨梁31と、柱体11の上端部および他の鉄骨梁31の長軸方向端部32と一体的に鉄骨梁31の長軸方向端部32を覆うようにコンクリートを打設して形成された鉄筋コンクリート梁33と、で構成される。鉄骨梁31の長軸方向端部32は、平面視で、柱10に接しておらず、鉄筋コンクリート梁33および柱梁交差部40を介して鉄骨梁20および柱10と接合されている。本実施形態では、鉄骨梁31の長軸方向端部32は、鉄骨梁20と500mm程度の第1の間隔D1を空け、柱10と200mm程度の第2の間隔D2を空けて配設されている。鉄骨梁31は、梁せいおよび梁幅が800mm×300mmである。鉄筋コンクリート梁33は、梁せいおよび梁幅が1200mm×600mmであり、梁長さが2000mmである。鉄筋コンクリート梁33内には、上端筋34、下端筋35が配筋されている。上端筋34、下端筋35の端部には、定着金物38が取り付けられている。また、スターラップ筋36が所定の間隔を空けて上端筋34、下端筋35を取り囲むように配筋されており、端部37においては、端部37付近の鉄筋コンクリート梁33の補強のために間隔を詰めて配筋されている。なお、鉄筋コンクリート梁33の梁長さは、鉄筋コンクリートに長軸方向端部が覆われる鉄骨梁の梁せいの1.5~3倍の長さであることが好ましい。
【0021】
(柱梁接合構造1の構成)
図2(a)、(b)に示すように、柱梁接合構造1では、柱体11上の柱梁交差部40において、複合構造梁30,30がそれぞれの長軸方向端部を鉄骨梁20の梁幅方向端部に接続されている。一方の複合構造梁30の長軸方向端部の鉄筋コンクリート梁33内部から柱体11上部の柱梁交差部40内部を鉄骨梁20のフランジの上下を介して他方の複合構造梁30の長軸方向端部の鉄筋コンクリート梁33内部まで上端筋34、下端筋35が所定の間隔で配筋されている。また、鉄筋の配筋後に、一方の複合構造梁30の長軸方向端部から柱体11上部を介して他方の複合構造梁30の長軸方向端部までコンクリートが一度に打設されることにより、柱梁接合構造1が一体的に形成されている。なお、
図1に示すように、柱10の(柱梁交差部40の)端面Aからは、鉄骨梁20は突出しておらず、柱10の端面Bには、複合構造梁30は接続されていない。
【0022】
(柱梁接合構造1の施工方法)
次に、柱梁接合構造1の施工方法について説明する。
図3(a)に示すように、鉄骨梁20,31を互いに交差する方向にパイプサポート61を用いて配設する。その後、柱10の上端にあわせて鉄筋コンクリート梁33および柱梁交差部40のコンクリートを一体的に打設するための型枠60のうちの底版を鉄骨梁31の長軸方向端部から柱10および他の鉄骨梁31の長軸方向端部の範囲でパイプサポート61を用いて設置する。
【0023】
その後、
図3(b)に示すように、鉄骨梁20,31を囲むように上端筋34、下端筋35、スターラップ筋36を配筋し、鉄骨梁20のウェブ21を貫通するように帯筋13を配筋する。配筋後、残り(側面)の型枠60を設置する。
【0024】
型枠60内部にコンクリートを打設し、養生を行い、所定の圧縮強度に達した後、パイプサポート61を取り外し、型枠60を解体する。
図3(c)に示すように、複合構造梁30の長軸方向端部の鉄筋コンクリート梁33および柱10の柱梁交差部40が一体的に形成された柱梁接合構造1が完成する。
【0025】
以上、本実施形態の柱梁接合構造1によると、曲げモーメントが大きくなる複合構造梁30の長軸方向の端部に鉄骨梁が無いので、設計用のモーメントが小さくなり鉄骨梁31の断面を小さくでき、コストダウンができる。また、鉄骨梁20,31は全て単材であり、互いに直交する鉄骨梁20と鉄骨梁31とを溶接する必要が無く、トラックの荷台幅で制限される、鉄骨梁が交差した十字形の鋼材の運搬も無い。従って、コストを大きく削減することができ、また、現場への運搬が容易になり、運搬効率を高めることができる。鉄骨梁同士の溶接が不要であることにより、高度な技術が必要なSグレード、Hグレードのファブでなくても鋼材の加工が可能となり、コストダウンできる。さらに、鉄骨梁31は、平面視で、柱10に埋め込まれていない(到達していない)ので、柱主筋12を配置する際には、鉄骨梁31の配置を考慮せずに鉄骨梁20をかわして配置するだけでよいので、両方向の鉄骨梁が柱上で接合される構造に比べて柱主筋12の配筋の自由度が高まり、施工性の向上、施工時間の短縮等ができる。また、小梁50を長期荷重に余裕のある鉄骨梁20に架け渡すことができる。このように、柱梁接合構造1は、大スパン架構に好適である。
【0026】
[第2実施形態]
図4、
図5(a)、(b)、
図6は、本発明の第2実施形態に係る柱梁接合構造2を示している。柱梁接合構造2は、鉄骨梁20が柱10上部周辺において材端鉄筋コンクリート梁22に覆われている点において第1実施形態と異なっている。また、柱10には、複合構造梁30を支持するコーベル15が形成されている点も第1実施形態とは異なっている。
【0027】
図4、
図5(a)、(b)、
図6に示すように、柱10の上端には、複合構造梁30を支持するコーベル15が形成されている。コーベル15は、本実施形態では、正面視で台形状に形成されており、台形の上底(コーベル15先端側(
図5(a)のa))150mm、下底(柱10側(
図5(a)のb)))250mm、高さ(コーベル15の張り出し長さ(
図5(a)のc)))150mmである。
【0028】
鉄骨梁20は、柱10上部およびその周辺(鉄骨梁20の梁せいの1.5~2倍程度)において、材端鉄筋コンクリート梁22に覆われており、第1実施形態よりも鉄骨梁20端部の耐力と剛性が高められている。材端鉄筋コンクリート梁22内には、上端筋23、下端筋24が鉄骨梁20の上下に配筋されている。また、上端筋23、下端筋24を取り囲むようにスターラップ筋25が配筋されている。
【0029】
(柱梁接合構造2の構成)
図5(a)、(b)、
図6に示すように、柱梁接合構造2では、柱体11のコーベル15上において、複合構造梁30,30がそれぞれの長軸方向端部を鉄骨梁20の梁幅方向端部に接続されつつ、鉄骨梁20が柱10上部およびその周辺において材端鉄筋コンクリート梁22に覆われている。鉄骨梁20の柱10付近および柱体11上部に上端筋23、下端筋24が所定の間隔で配筋されている。複合構造梁30には、第1実施形態と同様の配筋が行われている。また、鉄筋の配筋後に、一方の複合構造梁30の長軸方向端部から柱体11上部を介して他方の複合構造梁30の長軸方向端部までと、鉄骨梁20の柱10付近の範囲とに、コンクリートが一度に打設されて、柱梁接合構造2が一体的に形成されている。
【0030】
(柱梁接合構造2の施工方法)
次に、柱梁接合構造2の施工方法について説明する。
図7(a)に示すように、鉄骨梁20,31を互いに交差する方向にパイプサポート61を用いて配設する。また、鉄骨梁20を柱10の上面において、鉄骨梁31をコーベル15の上において支持する、支持材70が配置される。その後、柱10の上端にあわせて材端鉄筋コンクリート梁22、柱梁交差部40、鉄筋コンクリート梁33のコンクリートを一体的に打設するための型枠60を鉄骨梁31の長軸方向端部から柱10および他の鉄骨梁31の長軸方向端部の範囲でパイプサポート61を用いて設置する。また、型枠60のうちの底版を鉄骨梁20の長軸方向端部から柱10および他の鉄骨梁20の長軸方向端部の範囲でパイプサポート61を用いて設置する。このとき、底版は、鉄骨梁20,31から吊るすようにしてもよい。
【0031】
型枠60およびパイプサポート61設置後、
図7(b)に示すように、型枠60内部で鉄骨梁20,31を囲むように上端筋23,34、下端筋24,35、スターラップ筋25,36をそれぞれ配筋し、鉄骨梁20のウェブ21を貫通するように帯筋13を配筋する。配筋後、残り(側面)の型枠60を設置する。
【0032】
型枠60内部にコンクリートを打設し、養生を行い、所定の圧縮強度に達した後、パイプサポート61を取り外し、型枠60を解体する。
図7(c)に示すように、鉄骨梁20の柱10上部周辺の材端鉄筋コンクリート梁22、複合構造梁30の長軸方向端部の鉄筋コンクリート梁33および柱10の柱梁交差部40が一体的に形成された柱梁接合構造2が完成する。
【0033】
本実施形態の柱梁接合構造2によると、鉄骨梁20が柱10およびその周辺において、材端鉄筋コンクリート梁22、柱梁交差部40の位置で強固に固定されるので、複合構造梁30同様に鉄骨梁20端部の耐力および剛性も高めることができる。従って、柱梁接合構造2は、大スパン架構に好適である。
【0034】
[変形例]
上記第1および第2実施形態では、鉄骨梁31は、長軸方向端部32が柱10と距離D2離れていたが、柱10とは平面視で当接するが鉄骨梁20とは接触しない距離にしてもよい。
【0035】
上記第1および第2実施形態では、柱10は、現場打ちの鉄筋コンクリート柱であったが、プレキャストコンクリートやハーフプレキャストコンクリート等の鉄筋コンクリート柱であってもよい。
【0036】
また、上記第1および第2実施形態では、鉄筋コンクリート梁33、柱梁交差部40または材端鉄筋コンクリート梁22、柱梁交差部40、鉄筋コンクリート梁33は、コンクリートを現場打ちしていたが、鉄骨梁20および鉄骨梁31の一部を含んだ柱梁接合部分が一体化されたプレキャストコンクリート部材であってもよい。
【0037】
上記第2実施形態では、コーベル15は、正面視で、台形状であったが、矩形状、正方形状であってもよく、他の形状であってもよい。また、鉄骨梁31の下部に当接しつつ鉄筋コンクリート梁33の下端から下方に突出していてもよく、鉄筋コンクリート梁33の下端と面一であってもよい。また、コーベルを第1実施形態において使用してもよい。
【0038】
また、上記各実施形態では、小梁50は、鉄骨梁20,20間に配設されていたが、複合構造梁30のほうが長期許容耐力に余裕のある場合には、複合構造梁30,30間に配設するとよい。また、長期許容耐力の余裕がどちらも同じ場合には、鉄骨梁20,20間、複合構造梁30,30間のいずれに配設してもよく、建て方の都合等により小梁の配設方向を決定してもよい。
【0039】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1,2 柱梁接合構造
10 鉄筋コンクリート柱(柱)
11 柱体
12 柱主筋
13 帯筋
15 コーベル
20,31 鉄骨梁
21 ウェブ
22 材端鉄筋コンクリート梁
23,34 上端筋
24,35 下端筋
25,36 スターラップ筋
30 複合構造梁
33 鉄筋コンクリート梁
40 柱梁交差部
50 小梁
60 型枠
61 パイプサポート
70 支持材