(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025056773
(43)【公開日】2025-04-08
(54)【発明の名称】高電圧/開閉器の保護回路をテストする装置と方法
(51)【国際特許分類】
G01R 15/18 20060101AFI20250331BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20250331BHJP
G01R 35/00 20060101ALI20250331BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20250331BHJP
【FI】
G01R15/18 A
G01R31/00
G01R35/00 E
G01R19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024165758
(22)【出願日】2024-09-25
(31)【優先権主張番号】23199754.5
(32)【優先日】2023-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】パトリス・ジュッジ
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
2G036
【Fターム(参考)】
2G025AA14
2G025AB14
2G035AA10
2G035AB05
2G035AC16
2G035AD15
2G035AD19
2G035AD28
2G035AD32
2G035AD65
2G036AA25
2G036AA28
2G036BA35
(57)【要約】
【課題】ロゴフスキーコイル(4)をテストするためのテスト装置(20)と、ロゴフスキーコイル(4)をテストするためのテスト装置(20)を提供する。
【解決手段】テスト装置(20)は、導体(13)を介してコイルに接続された、関連する保護装置(8)と、少なくとも1つのテスト電圧を生成する手段(21)と、テスト電圧を、ロゴスキーコイル(4)によって生成される二次信号を代表する電圧に変換する変換手段(22)であって、変換手段(22)が、導体(13)に接続するための出力端子(231、232)を備える、変換手段(22)と、コイルの出力電圧を処理する手段(226)とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロゴスキーコイル(4)と、導体(13)を介して前記コイルに接続された関連する保護装置(8)をテストするテスト装置(20)であって、
- 過電圧を含む少なくとも1つのテスト電圧を生成する手段(21)と、
- 前記テスト電圧を0.5Vから10Vの間の電圧に変換する変換手段(22)であって、前記変圧手段(22)は、前記導体(13)に接続するための出力端子(231、232)と、容量性回路とを含む、前記変圧手段(22)と、
- 前記コイルの出力電圧を処理し、前記コイルの保護装置(15)がトリガされたかどうかを検出する手段(226)と、
を含む、テスト装置(20)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記変換手段(22)、前記容量性回路は、少なくとも1つまたは少なくとも2つのコンデンサ(223、224、CT1、CT2)を含む、テスト装置(20)。
【請求項3】
前記変換手段(22)は、前記少なくとも1つのコンデンサ(223、224、CT1、CT2)に並列に接続された少なくとも1つの抵抗器(Rs、220)を含む、請求項2に記載のテスト装置(20)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの抵抗器(Rs、220)は、前記少なくとも1つのコンデンサ(223、224、CT1、CT2)および前記ロゴスキーコイルのインピーダンスよりもはるかに小さいインピーダンスを有する、請求項3に記載のテスト装置(20)。
【請求項5】
前記テスト電圧を発生させる前記手段(21)は、交流電流発生器(21)を含む、請求項1に記載のテスト装置(20)。
【請求項6】
前記交流電流発生装置(21)は、コントローラ(210)と、テストに使用できる少なくとも1つの波形、好ましくは複数の波形のデータを記憶するための少なくとも1つのメモリ(214)とを含む、請求項5に記載のテスト装置(20)。
【請求項7】
前記変換手段(22)は、1つまたは複数の電気部品、例えば少なくとも1つの抵抗器(220)および/または少なくとも1つのコンデンサ(231、232)を含み、前記電子部品の少なくとも1つの電気特性を変化させる手段(226)をさらに含む、請求項1に記載のテスト装置(20)。
【請求項8】
前記手段(226)は、前記コイル(4)に対して行われた1つ以上のテストに基づいて、前記電子部品の少なくとも1つの電気的特性を変化させることができる、請求項7に記載のテスト装置(20)。
【請求項9】
前記変換手段(22)は、前記手段(226)に前記コイル(4)からの信号を供給するための端子(241、243)を備含む、請求項1に記載のテスト装置(20)。
【請求項10】
ロゴフスキーコイル(4)と、導線(13)を介して前記コイルに接続された関連する保護システム(8)であって、請求項1から10のいずれかに記載のテスト装置を接続するためのコネクタ(131、132)を前記導線(13)に含む、ロゴフスキーコイル(4)及び保護システム(8)。
【請求項11】
前記コイル(4)の1つ以上の特性、例えば感度及び/又は抵抗及び/又はインダクタンスを記憶するメモリ(80)をさらに含む、請求項10に記載のロゴフスキーコイル(4)。
【請求項12】
前記メモリ(80)を前記保護システム(8)の少なくとも1つの部分、例えば補償段(61)に接続する1つまたは複数の導体(83)をさらに含む、請求項11に記載のロゴスキーコイル(4)。
【請求項13】
前記保護システム(8)は、1つまたは複数のスイッチ(15)および/または1つまたは複数のサーキットブレーカを含み、前記テスト装置は、デフォルトが検出されたときに前記1つまたは複数のスイッチ(15)または前記1つまたは複数のサーキットブレーカが開いているかどうかを検出する手段を含む、請求項10に記載のロゴスキーコイル(4)。
【請求項14】
少なくとも1つの導体(2、102、202)と、少なくとも1つのロゴスキーコイル(4、104、204)と、請求項1乃至9のいずれかに記載の少なくとも1つの装置とを含む、単相または3相GIS。
【請求項15】
請求項10乃至13のいずれかに記載のロゴスキーコイルのテスト方法であって、前記コイル(4、104、204)は、主導体(2、102、202)の周囲に配置され、前記方法は、
- 前記主導体(2、102、202)に流れる一次電流を遮断するステップと、
- 請求項1から9のいずれかに記載のテスト装置(20)を前記導体(13)に接続するステップと、
- 前記テスト装置(20)によって生成された1つまたは複数のテスト信号を前記導体(13)に注入するステップと、
- 前記コイルからの信号を処理して、例えば前記保護システム(8)がトリガされたかどうかを検出することにより、前記コイルおよび前記保護システム(8)に欠陥があるかどうかを決定するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ロゴスキーセンサは、ガス絶縁開閉装置(GIS:Gas Insulated Switchgears)の電流を測定することで知られている。
【0002】
US5414400に開示されているように、プリント回路基板上に実装することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
図1Aは、US5414400によるロゴフスキーコイル4を示しており、例えばエポキシ樹脂製のプリント回路のプレート11を含み、コイルはプレートの各面に銅3の堆積物を含み、一方の面の堆積物は堆積物に接続されている。を貫通するメッキされたスルーホール5を介して、もう一方の面のスルーホール6に接続されている。コイルには端子7、9がある。
【0005】
図1Bに示されているように、ロゴスキーコイル4は通常、保護回路8に接続されており、例えばGIS内の電流サージや短絡17など、何らかのデフォルト(default)が発生した場合にスイッチやサーキットブレーカ(circuit breakers:遮断器)15を開くことができる。このような不測の事態は数十Aや100,000Aを超えるような高電圧が発生した場合、作業者やシステム全体にとって非常に危険であり、数ヶ月に及ぶ停電が発生する可能性がある。保護回路やスイッチ、サーキットブレーカが適切に動作するかどうかをテストする必要がある。しかし、非常に高い電流(最大100,000A)が必要とされるため、実際のデフォルト17をシミュレートすることはもちろん不可能である。
【0006】
このような理由から、保護回路8、15をテストするためのテスト回路が開発された。保護回路の従来のテストは、
図2Aに概略的に示されており、図の参照番号2は、その中を循環する電流を測定するためにロゴスキーコイル4が配置された導体を示し、コイル4は、例えば過電流に対する保護装置15をテストするために、積分器(integrator)6、補償段(compensation stage)61およびデジタル化段(digitalization stage)63を含むシステム8に供給される二次電圧信号を生成する。
【0007】
より正確には、通常、導体2を循環する一次電流によって生じる磁場が、コイルの端子7、9に電圧を発生させる。この電圧は、例えば50Hzでおよそ50mV/kAのオーダーである。
図2Bに示すように、この電圧V
rogoは積分器6で積分される。
【0008】
導体2に流れる一次電流(primary current)をデジタル化して処理することができる。
図2Bでは、コイルは直列のインダクタンス41と抵抗42とを含む等価回路で表されている。
【0009】
通常、
図2Aに示すように、保護機能および装置15をテストするためにテスト電流が保護システム8に直接、特にデジタル化段63に直接注入される。
【0010】
しかし、デジタル化段の上流に位置するコンポーネント、特にワイヤ13と積分器6、コイル4自体はテストされない。さらに、テスト電流として注入される電流は、コイル4によって出力される二次電圧信号を代表するものではない。言い換えれば、テストは、コイル4が導体2の電流を測定しているときにコイル4によって生成される実際の信号を代表するものではない条件下で実行される。
【0011】
したがって、上記の問題の1つ以上を克服するために、ロゴスキーコイルとその関連回路の新しいテスト方法と新しいテスト装置を見つけるという課題がある。
【0012】
特に、ロゴスキーコイルの保護回路と、その回路とコイルの間の導体をテストするのに適した新しいテスト方法と新しい装置が必要である。
【0013】
また、導体2の電流を測定しているとき、およびデフォルト (
図1Bのデフォルト17など) が発生したときに、コイル4によって生成される実際の信号を表すテスト信号を生成するのに適した新しいテスト方法と新しい装置が必要である。
【0014】
本発明は、まず、例えばロゴフスキーコイルと、導線を介して前記コイルに接続された関連する保護装置とをテストするためのテスト装置に関する。
テスト装置は、
- たとえば過電圧を含む少なくとも1つのテスト電圧を生成し、このテスト電圧をロゴスキーコイルの端子に印加する手段(means to generate at least one test voltage, comprising for example an overvoltage, and to apply said test voltage to the terminals of a Rogowski coil)と、
- 前記コイルの出力電圧を処理する手段(means to process an output voltage of said coil)と、を含む。
【0015】
例えば、本発明の一実施形態によれば、ロゴスキーコイルと、導体を介して前記コイルに接続された関連保護装置とをテストするテスト装置は、
- 少なくとも1つのテスト電圧を生成する手段(means to generate at least one test voltage)と、
- 前記テスト電圧を、前記ロゴスキーコイルによって生成された二次信号を表す 0.5Vから10Vの間の電圧に変換する変換手段であって、前記変換手段は、導体に接続するための出力端子を含む、前記変換手段(transformation means to transform said test voltage into a voltage comprised between 0.5 V and 10V, representative of a secondary signal generated by said Rogowski coil, said transformation means comprising output terminals for connection to conductors)と、
- 前記コイルの出力電圧を処理する手段(means to process an output voltage of said coil)と、を含む。
【0016】
本発明による装置によって出力される電圧は、ロゴスキーコイルの出力信号を表す。
【0017】
前記変換手段は、例えば少なくとも1つのコンデンサ、例えば2つのコンデンサを含む容量性回路を含むことができる(Said transformation means can comprise a capacitive circuit, comprising for example at least 1 capacitor, for example 2 capacitors.)。前記少なくとも1つのコンデンサと並列に抵抗器を配置することができる(A resistor can be arranged in parallel to said at least one capacitor)。
【0018】
好ましくは、前記少なくとも1つの抵抗器は、前記コイルおよび前記少なくとも1つのコンデンサのインピーダンスよりもはるかに小さいインピーダンスを有する(Preferably, said at least one resistor has an impedance much smaller than the impedance of said coil and said at least one capacitor.)。
【0019】
本発明によるテスト装置において、テスト電圧を生成するための前記手段は、交流電流発生器を含むことができる(In a test device according to the invention, said means to generate a test voltage can comprise an alternative current generator.)。例えば、前記交流電流発生器は、コントローラと、好ましくは、テストに使用できる少なくとも1つの、好ましくは複数の波形のデータを格納する、または保存するための少なくとも1つのメモリとを含む(For example, said alternative current generator comprises a controller and preferably at least one memory storing or to store data of at least one, preferably several, waveform(s) which can be used for testing.)。
【0020】
本発明によるテスト装置では、前記変換手段は、例えば少なくとも1つの抵抗器および/または少なくとも1つのコンデンサなどの1つ以上の電気部品を含むことができ、さらに、前記電子部品の少なくとも1つの少なくとも1つの電気的特性を変化させる手段を含むことができる。
【0021】
前記電子部品の少なくとも1つの前記少なくとも1つの電気特性は、本発明による装置でテストされたロゴスキーコイルで実施された1つ以上のテストに基づいて変化させることができる(Said at least one electrical characteristic of at least one of said electronic components can be varied on the basis of one or more tests performed on a Rogowski coil tested with a device according to the invention.)。
【0022】
一実施形態において、前記変換手段は、前記手段にテスト中のロゴスキーコイルからの信号を処理することを提供する端子を含むことができる(In an embodiment, said transformation means can comprise terminals to provide said means to process with a signal from a Rogowski coil under test.)。
【0023】
本発明はまた、導線を介して前記コイルに接続されたロゴスキーコイルおよび関連する保護システムに関し、前記導線は、本発明によるテスト装置を接続するためのコネクタを含む(The invention also concerns a Rogowski coil and an associated protection system connected to said coil via conductors, said conductors comprising connectors to connect a test device according to the invention.)。
【0024】
前記ロゴスキーコイルは、さらに、前記コイルの1つのより多くの特性、例えば感度および/または抵抗および/またはインダクタンスを記憶するメモリを備えることができる(Said Rogowski coil can further comprise a memory storing one more characteristic, for example the sensitivity and/or the resistance and/or the inductance, of said coil.)。1つ以上の導線が、前記メモリを前記保護システムの少なくとも1つの部分、例えば補償段に接続することができる(One or more conductors can connect said memory to at least one part, for example a compensation stage, of said protection system.)。
【0025】
前記保護システムは、1つまたは複数のスイッチおよび/または1つまたは複数のサーキットブレーカを含むことができ、テスト装置は、デフォルトが検出されたときに少なくとも1つのスイッチまたは少なくとも1つのサーキットブレーカが開くかどうかを検出する手段を含む(Said protection system can comprise one or more switch(es) and/or one or more circuit breaker(s), the test device comprising means to detect whether at least one switch or at least one circuit breaker opens when a default is detected.)。
【0026】
本発明は、単相導体、または複数の、例えば3相を有するシステムの1つまたは複数の相に適用される(The invention applies to a single-phase conductor or to one or more phase(s) of a system having several, for example 3, phases.)。したがって、本発明は、少なくとも1つの導体、前記少なくとも1つの導体の周囲にある少なくとも1つのロゴスキーコイル、および本発明による少なくとも1つのテスト装置を含む、単相または3相GISにも関する(Thus, the invention also concerns a single phase or a 3 phase GIS, comprising at least one conductor, at least one Rogowski coil around said at least one conductor and at least one test device according to the invention.)。
【0027】
本発明はまた、本発明によるロゴフスキーコイルをテストする方法に関し、前記コイルは主導体の周囲に配置され(said coil being arranged around a main conductor)、前記方法は、
- 前記主導体に循環する一次電流を遮断するステップ(interrupting any primary current circulating in said main conductor)と、
-本発明によるテスト装置を前記導体に接続するステップ(connecting a test device according to the invention to said conductors)と、
-前記導体に、前記テスト装置によって生成された1つまたは複数のテスト信号を注入するステップ(injecting in said conductors one or more test signal(s) generated by said test device)と、
- 前記コイルからの信号を処理して、例えば前記保護システムがトリガされたかどうかを検出することにより、コイルとその保護システムに欠陥があるかどうかを決定するステップ(processing a signal from said coil to decide whether the coil and its protection system is defective or not, for example by detecting whether said protection system is triggered)と、を含む。
【0028】
本発明による装置または方法において、ロゴスキーコイルに接続された保護システムは、
- 積分手段、または積分段もしくは積分装置(integration means, or an integration stage or device)と、
- 補償手段、または補償段または装置(compensation means, or a compensation stage or device)と、
- デジタル化手段またはデジタル化段または装置(digitization means or a digitalization stage or device)と、
- 信号フィルタリング手段、またはフィルタリング段または装置(signal filtering means, or a filtering stage or device)と、
- 保護手段、例えば1つ以上のスイッチおよび/または1つ以上のサーキットブレーカ(protection means, for example one or more switch(es) and/or one or more circuit breaker(s))と、うちの1つまたは複数を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】従来技術によるロゴスキーコイルの一実施形態を示す。
【
図1B】サーキットブレーカのデフォルトと開放を示す図である。
【
図4】本発明によるテスト回路の一実施形態を示す。
【
図6】3本の導線を含み、それぞれがロゴスキーコイルと関連した3相システムを示し、1つまたは複数のコイルに本発明による装置を設けることができる。
【
図7】ロゴスキーコイルに関連した測定システムを示す。
【
図9A】シミュレートされたデフォルトを含む電圧を示す。
【
図9B】シミュレートされたデフォルトを含む電流を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
【0031】
これは、例えば
図1Aに関連して上記で開示したようなロゴスキーコイル4に印加され、当該コイル4は、当該導体内を循環する電流を測定するために導体2の周囲に配置される。コイル4は二次電圧信号を生成し、この二次電圧信号は保護システム8の一部を構成する積分器6に供給され、この積分器6は、例えば過電流が発生した場合に、1つまたは複数の保護装置、例えば1つまたは複数のスイッチおよび/またはサーキットブレーカ15を制御する。
【0032】
本発明の一実施形態によるテスト装置20は、以下のように接続されている。コイル4と積分器6との間の導体13に、導体2を流れる電流を測定しているときにコイル4の端子に流れる信号を代表する電流を前記導体に注入する。言い換えれば、数Aまたは数十A、例えば1Aから50Aまたは100Aのテスト電流により、テスト装置20の出口には、導体2に数十kAの一次電流が流れるときにコイルによって生成される電流に非常に匹敵する電流が流れる。
【0033】
テスト装置20は、例えば0~100Aの電流を発生できる電流発生器または電流源(current generator or source)21と、インターフェースツールまたはインターフェース装置(interface tool or device)22から構成される。あるいは、電流源およびインピーダンス220の代わりに電圧源を使用することもできるが(下記参照)、一次電流をシミュレートするためには電流源を使用することが好ましい。
【0034】
図4は、テスト装置20の実施形態をより詳細に示す。
【0035】
発電機21は、AC電源213を制御して、その出力端子211、212間に第1の交流電圧を生成する電子回路210を備えている。これらの端子は、インターフェース装置22の入力端子221、222に接続することができる。したがって、発電機21は、インターフェース装置22に電圧 (第1の交流電圧) を供給することができる。インターフェース装置の抵抗220とコンデンサ223、224に印加されるこの第1の交流電圧は、コイル4の端子の電圧を表すテスト電圧Vtestを生成することができる。
【0036】
発電機21は、コイル4の下流の要素またはコンポーネント(保護装置8を含む)をテストするために、1つまたは複数の既定値、たとえば1つまたは複数の相の過電流、過強度、または過電圧をシミュレートするための波形データを格納する1つまたは複数のメモリ214をさらに含むことができる。過電流(過電圧)とは、機械がごく短時間の間しか受け入れることができない電流(電圧)のことである。機械は、例えば、3000Aeffの定格電流を永久的に受け入れることができるが、定格電流よりも高い過電流、例えば定格電流の少なくとも2倍の過電流を、例えば10ms~数秒、または50ms~5秒の短時間の間だけ受け入れることができる。
【0037】
オペレータおよび/またはコンピュータまたはコントローラは、これらのデータファイルのうちの1つまたは複数を選択することができ、電子回路210は、前記1つまたは複数のシミュレートされた1以上のデフォルトを構成またはシミュレートする対応する信号をシステム(インターフェース装置22)に提供することができる。
【0038】
インターフェース装置22は、抵抗器220と、当該抵抗器220に発電機21から供給される出力電圧を供給するための入口端子221、222とを備える。抵抗器220は、その中を循環する交流電流i1が導体2に通常循環する一次電流を代表するような値、例えば50~100kAを有する。
【0039】
以下に説明するように、抵抗220の値は、実施されるテストに応じて適合させることができる。
【0040】
抵抗器の端子は、例えば、1つまたは複数のコンデンサ223、224を介して、インターフェース装置22のコンセント端子231、232に接続することができる。
【0041】
前記1つ以上のコンデンサ223、224はテスト用コンデンサである。特に、このコンデンサは、直流電流または直流電圧成分が導体13と保護装置8からなるシステムに供給されないように遮断する。以下に説明するように、これらのコンデンサの値は、実施されるテストに応じて適合させることができる。
【0042】
出力端子231、232間の電圧は、コイル4の出力における二次電圧の代表的なもの、または非常に同等のものであり、例えば0.5Vから10Vの間を含む。
【0043】
インターフェース装置22はさらに、以下に説明するように、マイクロコントローラ226および表示装置228を含むことができる。
【0044】
インターフェース装置22の出力端子231、232は、導線のテストプラグまたはコネクタ131、132を介して導線13(保護システム8の上流)に接続することができる。従って、システム20は、導体2の一次電流を検出するコイル4によって生成される二次電圧に非常に類似したテスト信号(電圧)を導体13に供給することができる。このテスト信号により、コイル4とシステム8の間 (およびコイル4を含む) にある導体13およびその他のすべてのコンポーネントをテストできる。システム8は、積分器6だけでなく、補償段61(この段には、コイル4の感度、抵抗、インダクタンスに関する情報がメモリ (たとえば EEPROM 80) から入力される)、および/または1つ以上のフィルタ、および/または1つ以上の保護装置15(たとえば1つ以上のスイッチ、および/またはサーキットブレーカ) を含み、過電流や過強度などのデフォルト、および/または接地障害などから保護する。
【0045】
特に、このようにして、システム8、15の1つまたは複数の保護装置をテストすることが可能である。テスト装置20が導体13に1つまたは複数のデフォルトを含む信号を注入するが、保護装置がスイッチまたはサーキットブレーカ15をトリガせず、および/または導体2に流れる電流を遮断しない場合、保護システムが適切に動作していないと判断され、チェックおよび場合によっては修理が必要である。言い換えれば、シミュレートされたデフォルトがシステムによって確認され、スイッチおよび/またはサーキットブレーカ15を開くための信号が生成されたかどうかを確認することができる。保護装置がスイッチまたはサーキットブレーカ15をトリガするか、導体2を流れる電流を遮断した場合、保護システムは適切に動作していると判断される。
【0046】
システム8内の電流を表す信号は、次のようにして得られる。たとえばメモリ80を補償段61に接続する導線83のテストプラグ831、832に接続できる導線83を通じて取得でできる。この信号は、インターフェース装置22のインレット端子241、243に供給され、その後、例えば、マイクロコントローラ226および表示装置228に供給され得る。
【0047】
図8は、本発明のテスト装置によって生成されたテスト電圧(曲線I)の例である。曲線II(曲線Iに対して90°位相がずれている)は、プラグ831、832の間で測定または検出された電圧である。
【0048】
マイクロコントローラ226は、システム8から受信した信号に応じて、インターフェース装置22の電気部品、例えば抵抗器220および/またはコンデンサ223、225のパラメータを調節するようにプログラムまたは適合させることができる。1つまたは複数のメモリ80の1つまたは複数のデータ、特にコイル4に関する上述のデータの1つまたは複数を、マイクロコントローラ226に供給することもできる。ロゴフスキーコイルは、互いに異なる特性、特に異なる感度を有することができ、したがって、これらの特性に関する情報、例えば感度は、前記メモリ80から読み取ることができ、インターフェース装置22の電気部品を調節するときに使用することができる。
【0049】
図5は、
図4に関連して上記に開示された回路の等価図を、積分段6(保護システム8の一部を形成する)とともに示す。参照は、上記と同じ要素または構成要素(コンポーネント)を示す。参照番号213’抵抗220の端子に接続された電流源である。ロゴフスキーコイル4は、抵抗42とコンデンサ41で表される。コイル4によって生成された二次信号は、積分器によって積分される。
【0050】
本発明によるテストを実施する必要がある場合、一次回路(導体2内)を循環(circulate)する電流はすべて遮断される。そのため、ロゴスキーコイルは二次電圧を発生せず、テストの準備が整う。
【0051】
テストでは、システム8と導線13はコイル4に接続されたままである。インターフェース装置22は、図に示すように、発電機21と導線13に接続されている。したがって、テスト回路はロゴスキーコイル4に並列に接続される。
【0052】
電流源213’は、デフォルト電流、例えば短絡電流を表すテスト電流ITを生成する。
【0053】
テスト電流は、抵抗220(これは、回路15の他の分岐(コンデンサ222、223およびコイル4)のインピーダンスに対して小さいインピーダンスR220を有する;例えば:10xR220 < ZCT1 +Z4 +ZCT2)を主に循環する。
【0054】
220の端子間電圧(たとえば5Aで1V、R220=0.2Ω)は、導体に一次電流が流れているときのコイル4の端子間電圧に非常に匹敵する。抵抗220の端子間電圧URS(電流ITと同相)は、コンデンサ223、224とコイル4の端子間電圧の和に等しい(U
RS=V
C1+V
C2+V
test)。V
testは、一次電流に反応したロゴスキーコイル4の挙動をシミュレートするもので、コンデンサ223、224、抵抗42、およびインダクタンス41のそれぞれの値に依存する。好ましくは、コンデンサ223、224および抵抗器42の値は、V
testが一次電流ITにさらされたときのコイル4の端子の電圧に匹敵するように選択される(Preferably, the values of capacitors 223, 224 and of resistor 42 are selected so that Vtest is comparable to the voltage at the terminals of coil 4 when it is subject to primary current IT)。コンデンサ223、224の値はまた、
図8に示すように、V
testが発電機13′によって生成される電流に対して90°位相がずれるように選択されることが望ましい(曲線Iはテスト電圧であり、曲線IIは電流である:R
220=200mΩ、C
224=C
223=6μF)。このため、これらのインピーダンスは、コイル41のインピーダンスLcoilよりもはるかに高いことが好ましい(10xZ
41 < Z
CT1+Z
CT2)。
【0055】
1つ以上のコンデンサCT1、CT2は、アイドル状態(導体2に一次電流が流れていない)で、カップリングコンデンサのような働きをし、ロゴスキーコイルに誘導電流またはテスト用交流電流を流すことができる。
【0056】
ロゴフスキーコイルの端子に発生する電圧は、導体2の電流を検出しているかのようなコイルの挙動を反映する。
【0057】
導体2に電流(一次信号)が流れると、ロゴスキーコイルは二次信号を生成するが、コイルの抵抗は重要な役割を果たさない。
【0058】
本発明に従って行われるテストでは、ロゴスキーコイルの抵抗を利用して(そこに電流を流すことによって)、ロゴスキー効果とは独立して二次電圧を発生させる。
【0059】
発明によるテスト装置に使用できる値の例は以下の通りである。
- 数Aである、実効電流(rms)IT、
- 0.1Ωと1Ωの間の抵抗220、
- 電圧URSの振幅は約1V、
- コンデンサ223と224はそれぞれ1μFから10μFの間、
- Rcoil(抵抗器42の抵抗値)は10Ωから100Ωの間,
- Lcoil(インダクタンス41)は10μHから200μHの間,
- Vtestの実効電圧(rms)が10mVから100mVの間(例えば、Vtestのピーク値は10Vまで)、
- 電流Itestは1μAから10μAの間。各システムの実際の特性に基づいて、より正確な値が選択される。
【0060】
本発明によるテスト装置には、以下の利点がある。
主回路(コイル4、導体13、システム8を含む)は、コンデンサ223、224を介してコモンモード信号から保護される。
【0061】
ロゴスキーコイルの故障(例えば、電線3の切断や短絡)は、V
testに影響を与えるため、検出することができる。実際には、ロゴスキーコイル4から保護システム8までの全チェーン(フィルタリングおよび/または積分段を含む)をテストすることができる。これは保護システム8に直接送信される通常のデジタル信号の場合とは異なる(
図2A参照)。
【0062】
従来の回路と同様に、複雑な波形を本発明によるテスト回路を通して注入することができる。
【0063】
本発明によるテスト回路では、保護回路8とコイル4に数Aのオーダーの電流を注入することができ、これは(導体2の)一次電流が数十kAから数百kAに相当する(A test circuit according to the invention allows injecting currents of the order of some Amp into the protection circuit 8 and the coil 4, which are representative of a primary current (in conductor 2) of several tens or hundreds of kA.)。
【0064】
本発明によるテスト装置が実施されると、導体2内を循環する一次回路は遮断され、ロゴスキーコイル4は電圧を発生しない。本発明を実施したテストを行うことができる。
【0065】
本発明は、1つの導体2または1つの相に関連して開示された。
【0066】
図6は、例えば3相システムの導体など、3つの導体2、102、202を含む筐体60を表し、ロゴスキーコイル4、104、204が前記導体のそれぞれの周囲に配置されている。これらのコイルはそれぞれ、本発明によるテスト装置またはテスト方法でテストすることができる。例えば、同じテスト装置20を3つのロゴフスキーコイルのそれぞれに関連する導線13に連続して使用することができる。
【0067】
本発明による任意の実施形態において、各テストからの信号は、当該信号をサンプリング及び/又は処理するために、制御ユニット、例えばコンピュータ又はコントローラ又はマイクロプロセッサ(図示せず)に提供することができ、それは、いくつかのデフォルトを含む、
図9Aに示すようなテスト信号を生成することができる。
図9Aは、3つの相の各々について、約t=0.1でシミュレートされたデフォルト (2つの相での突然の電圧低下) を含むテスト電圧を示しており、これによりこれらの相の電流iにサージが発生する (
図9B参照)。装置21または210(
図3、4)は、シミュレートされた電流が閾値300(ここでは約5A)を超えて増加したときにアラームがトリガされるようにプログラムすることができる。
【0068】
図7は、導体2の周囲に実装されたロゴスキーコイル4を表している。コイルからの信号はコンバータ32に送られ、光信号に変換される。1つまたは複数の他のセンサ、例えば容量性センサ34からの他の信号も、コンバータ36によって光信号に変換することができる。光信号は、結合ユニット28で結合することができる。結合ユニットは、データを処理するためのマイクロプロセッサで構成され、計算機能を有することができる。ロゴスキーコイル4は、本発明の教示に従ってテストすることができる。同じシステムを、例えば
図6のように、複数のコイルに対して実施することもできる。
【0069】
本発明によるテスト装置20は、ロゴスキーコイル4の端子に接続された導線13のテストプラグ131、132から容易に切り離したり、接続したりすることができる。従って、本発明によるテストは、妨害を発生させる可能性のあるスイッチング素子を実装したり、作動させたりする必要がない。実際、ロゴスキー コイルの二次側を流れる電流はかなり弱いため、テストを行うために導体を中断する必要がある場合は、導体を再接続するために他のテスト、つまり導通テストを実行する必要がある (接続の接触インピーダンスによって信号が弱くなる可能性がある)。
【0070】
本発明によるテスト装置20は、インターフェース装置22が以下の動作が可能であるため、柔軟性を提供する。
- 導体13から切り離し、別のロゴスキーコイルの導体13に接続する。
- 及び/または、発電機21から切り離し、別のテスト信号発生器に接続する。
【符号の説明】
【0071】
2、102、202:導体 3:銅 4:ロゴフスキーコイル 5、6:スルーホール 6:積分器 7、9:端 8:保護回路/保護システム 11:プレート 13:ワイヤ/導体 15:スイッチ/サーキットブレーカ/保護回路 17:デフォルト 20:テスト装置 21:電流発生器/電流源 22:インターフェースツール/インターフェース装置 28:結合ユニット 32、36:コンバータ 34:容量性センサ 41:インダクタンス 42:抵抗 60:筐体 61:補償段 63:デジタル化段 80:メモリ 83、93:導体 104、204:コイル 131、132:コネクタ 210:電子回路 211、212:出力端子 213:電流源 214:メモリ 220:インピーダンス/抵抗/抵抗器 221、222:入力端子 223、224:コンデンサ 226:マイクロコントローラ 228:表示装置 231、232:コンセント端子/出力端子 241、243:入力端子 300:閾値 831、832:テストプラグ
【外国語明細書】