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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005686
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】識別システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G08G1/09 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105958
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】丸岩 修嗣
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
(72)【発明者】
【氏名】大浦 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜路
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB06
5H181BB13
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF13
5H181FF27
5H181KK07
(57)【要約】
【課題】無線通信を介することなく車両あるいは所定エリアを識別することができる技術を提供する。
【解決手段】識別システムは、車両と、所定エリアに設置されたインフラ装置とを含む。車両とインフラ装置の一方である第1装置は、無線通信用ではない電磁波あるいは音波を出力する出力装置を備える。車両とインフラ装置の他方である第2装置は、第1装置の出力装置から出力される電磁波あるいは音波を受信する受信装置を備える。第1装置は、第1装置の識別コードを示すように変調された電磁波あるいは音波を出力装置から出力する。第2装置は、受信装置を介して受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードに基づいて、第1装置を識別する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、
所定エリアに設置されたインフラ装置と
を含み、
前記車両と前記インフラ装置の一方である第1装置は、無線通信用ではない電磁波あるいは音波を出力する出力装置を備え、
前記車両と前記インフラ装置の他方である第2装置は、前記第1装置の前記出力装置から出力される前記電磁波あるいは前記音波を受信する受信装置を備え、
前記第1装置は、前記第1装置の識別コードを示すように変調された前記電磁波あるいは前記音波を前記出力装置から出力するように構成され
前記第2装置は、前記受信装置を介して受信した前記電磁波あるいは前記音波で示される前記識別コードに基づいて、前記第1装置を識別するように構成された
識別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の識別システムであって、
前記第1装置は、前記車両であり、
前記出力装置は、レーダ、ライダー、赤外線センサ、及びソナーのうちいずれかである
識別システム。
【請求項3】
請求項1に記載の識別システムであって、
前記第2装置は、前記車両であり、
前記受信装置は、レーダ、ライダー、赤外線センサ、及びソナーのうちいずれかである
識別システム。
【請求項4】
請求項1に記載の識別システムであって、
前記電磁波は、可視光以外であり、
前記音波は、超音波である
識別システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の識別システムであって、
前記第2装置は、前記識別コードを予め保持し、受信した前記電磁波あるいは前記音波で示される前記識別コードと保持している前記識別コードとに基づいて前記第1装置を識別するように構成された
識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を識別する技術に関する。また、本開示は、車両が利用する所定エリアを識別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動バレー駐車場に用いられる管制装置を開示している。管制装置は、駐車エリアへ入庫しようとしている車両と無線通信を行い、その車両の特性情報と識別情報を受信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/163025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された処理は、無線通信サービスが提供されていないエリアでは実行することができない。
【0005】
本開示の1つの目的は、無線通信を介することなく車両あるいは所定エリアを識別することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの観点は、識別システムに関する。
識別システムは、車両と、所定エリアに設置されたインフラ装置とを含む。
車両とインフラ装置の一方である第1装置は、無線通信用ではない電磁波あるいは音波を出力する出力装置を備える。
車両とインフラ装置の他方である第2装置は、第1装置の出力装置から出力される電磁波あるいは音波を受信する受信装置を備える。
第1装置は、第1装置の識別コードを示すように変調された電磁波あるいは音波を出力装置から出力するように構成される。
第2装置は、受信装置を介して受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードに基づいて、第1装置を識別するように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1装置は、無線通信用ではない電磁波あるいは音波を出力する出力装置を備える。一方、第2装置は、第1装置の出力装置から出力される電磁波あるいは音波を受信する受信装置を備える。第1装置は、第1装置の識別コードを示すように変調された電磁波あるいは音波を出力装置から出力する。第2装置は、受信装置Rを介して受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードに基づいて、第1装置を識別する。これにより、無線通信を介することなく第1装置(車両あるいはインフラ装置)を識別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両と所定エリアを説明するための概念図である。
図2】第1の実施の形態に係る識別システム及び識別処理を説明するための概念図である。
図3】第2の実施の形態に係る識別システム及び識別処理を説明するための概念図である。
図4】第2の実施の形態に係る車両及びインフラ装置の構成例を示すブロック図である。
図5】第3の実施の形態に係る識別システム及び識別処理を説明するための概念図である。
図6】第3の実施の形態に係る車両及びインフラ装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0010】
1.第1の実施の形態
図1は、車両100と所定エリアARを説明するための概念図である。所定エリアARは、車両100によって利用されるエリアである。車両100は、所定エリアARに出入りしたり、所定エリアAR内を走行したり、所定エリアAR内に駐車したりする。所定エリアARとしては、駐車場、工場の敷地、街、等が例示される。所定エリアARが自動バレー駐車サービスを提供する駐車場である場合、車両100は自動バレー駐車機能を備えていてもよい。車両100は自動運転車両であってもよい。
【0011】
所定エリアARにはインフラ装置200が設置されている。インフラ装置200は、所定エリアARの入口に設置されていてもよい。インフラ装置200は、所定エリアARと関連付けられており、所定エリアARの管理の少なくとも一部を担う。
【0012】
例えば、インフラ装置200は、所定エリアARを利用する車両100を識別(identify)する。本明細書において、識別することは、認証(authenticate)することも含む概念である。例えば、インフラ装置200は、所定エリアARの入口に設置されており、所定エリアARに入ろうとする車両100を識別(認証)する。他の例として、インフラ装置200は、所定エリアAR内に駐車中の車両100を遠隔操作する際、対象となる車両100を識別してもよい。
【0013】
一例として、所定エリアARが自動バレー駐車サービスを提供する駐車場である場合について考える。インフラ装置200は、駐車場の入口に設置されている。車両100のユーザは、駐車場を指定し、その駐車場における自動バレー駐車サービスの利用をリクエストする。車両100が駐車場の入口に到着すると、ユーザは車両100から降りる。そして、駐車場の入口において、インフラ装置200は、当該車両100が本当にリクエストされた自動バレー駐車サービスの対象かどうかをチェックする。つまり、駐車場の入口において、インフラ装置200は、車両100を識別して認証する。車両100の認証後、インフラ装置200は、当該車両100に対して自動バレー駐車の開始を指示する。インフラ装置200は、当該車両100を割り当てた駐車スペースまで誘導してもよい。
【0014】
識別の対象は、車両100に限られない。逆に、車両100が、所定エリアAR(インフラ装置200)を識別してもよい。例えば、所定エリアARが車両100によって利用可能なエリアであるかを確認するために、車両100が所定エリアARを識別する。尚、以下の説明において、「所定エリアARを識別すること」と「所定エリアARに関連付けられたインフラ装置200を識別すること」は等価であるとする。
【0015】
本実施の形態に係る識別システム1は、車両100と、所定エリアARに設置されたインフラ装置200とを含む。識別システム1は、車両100あるいは所定エリアAR(インフラ装置200)を識別する「識別処理」を実行する。
【0016】
図2は、本実施の形態に係る識別システム1及び識別処理を説明するための概念図である。「第1装置10」は車両100とインフラ装置200の一方であり、「第2装置20」は車両100とインフラ装置200の他方である。それらのうち第1装置10が識別の対象である。識別コードIDCは、第1装置10を識別するための識別情報である。識別コードIDCは、第1装置10を認証するための認証情報を兼ねていてもよい。
【0017】
第1装置10は、出力装置Oを備えている。出力装置Oは、無線通信用ではない電磁波あるいは音波を出力する。言い換えれば、出力装置Oは、通信ネットワーク(例:無線LAN、5G、LTE)に接続することなく電磁波あるいは音波を出力する。
【0018】
例えば、出力装置Oは、測距センサである。測距センサは、電磁波あるいは音波を出力し、その反射波を受信することによって、周囲の物体を検出し、また、検出した物体との距離を計測する。測距センサとしては、レーダ、ライダー(LiDAR:Light Detection And Ranging)、赤外線センサ、ソナー、等が例示される。電磁波としては、電波、レーザ光、赤外線、等が例示される。音波としては、超音波が例示される。このように電磁波あるいは音波を出力する測距センサの機能が、出力装置Oとして利用される。
【0019】
他の例として、出力装置Oは、電磁波あるいは音波を出力する機能だけを備えていてもよい。例えば、出力装置Oは、電波を放射するアンテナと送信機(Tx)を含んでいる。他の例として、出力装置Oは、レーザ光を放射するレーザダイオードを含んでいてもよい。更に他の例として、出力装置Oは、可視光を放射する光源(例:ヘッドランプ、ハザードランプ、等)であってもよい。更に他の例として、出力装置Oは、音波を出力する圧電素子を含んでいてもよい。更に他の例として、出力装置Oは、ホーンを含んでいてもよい。
【0020】
一方、第2装置20は、受信装置Rを備えている。受信装置Rは、出力装置Oから出力される電磁波あるいは音波を受信することができる。言い換えれば、受信装置Rは、通信ネットワーク(例:無線LAN、5G、LTE)に接続することなく、出力装置Oから出力される電磁波あるいは音波を受信することができる。
【0021】
例えば、出力装置Oが電波を出力する場合、受信装置Rは電波を受信するアンテナと受信機(Rx)を含んでいる。他の例として、出力装置Oがレーザ光を出力する場合、受信装置Rはレーザ光を受信するフォトディテクタ(例:フォトダイオード)を含んでいてもよい。更に他の例として、出力装置Oが音波を出力する場合、受信装置Rは音波を受信する圧電素子を含んでいてもよい。
【0022】
他の例として、受信装置Rは、測距センサであってよい。上述の出力装置Oが測距センサである場合、受信装置Rは出力装置Oと同じ種類の測距センサであってもよい。電磁波あるいは音波を受信する測距センサの機能が、受信装置Rとして利用される。
【0023】
第1装置10を識別するための識別処理は以下の通りである。第1装置10は、第1装置10を識別するための識別コードIDCを予め取得する。例えば、識別コードIDCは、数字列で表される。識別コードIDCは、第1装置10毎に固定されていてもよいし、一時的に発行されてもよい。
【0024】
そして、第1装置10は、識別コードIDCに応じたパターンの電磁波あるいは音波を出力装置Oから出力する。言い換えれば、第1装置10は、識別コードIDCを示すように変調された電磁波あるいは音波を出力装置Oから出力する。変調方式は、特に限定されない。変調方式としては、オンオフ変調(OOK: on-off-keying)、振幅変調(amplitude modulation)、周波数変調(frequency modulation)、位相変調(phase modulation)、パルス変調(pulse modulation)、パルス幅変調(pulse width modulation)、等が例示される。
【0025】
例えば、第1装置10は、オンオフ変調によって識別コードIDCを表す電磁波あるいは音波を生成する。この場合、第1装置10は、電磁波あるいは音波のパルスを断続的に生成し、パルスのON/OFFによって識別コードIDCを表現する。例えば、パルスONがデータ「1」に対応付けられ、パルスOFFがデータ「0」に対応付けられる。一定期間におけるパルスのON/OFFパターンにより、識別コードIDCが表現される。
【0026】
他の例として、第1装置10は、パルス幅変調によって識別コードIDCを表す電磁波あるいは音波を生成してもよい。この場合、第1装置10は、電磁波あるいは音波のパルスを断続的に生成し、データ値に応じてパルス幅を変える。一定期間におけるパルス群により、識別コードIDCが表現される。
【0027】
第2装置20は、受信装置Rを介して、第1装置10の出力装置Oから出力された電磁波あるいは音波を受信する。更に、第2装置20は、受信装置Rを介して受信した電磁波あるいは音波を復調して識別コードIDCを取得する。つまり、第2装置20は、受信装置Rを介して受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードIDCを読み取る。そして、第2装置20は、得られた識別コードIDCに基づいて第1装置10を識別する。
【0028】
第2装置20は、識別対象である第1装置10の識別コードIDCを予め取得し、記憶装置に保持していてもよい。この場合、第2装置20は、受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードIDCと保持している識別コードIDCに基づいて、第1装置10を識別する。例えば、第2装置20は、受信した識別コードIDCと保持している識別コードIDCとを対比する。両者が一致する場合、第2装置20は、第1装置10を識別(認証)することができる。
【0029】
<効果>
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、第1装置10は、無線通信用ではない電磁波あるいは音波を出力する出力装置Oを備える。一方、第2装置20は、第1装置10の出力装置Oから出力される電磁波あるいは音波を受信する受信装置Rを備える。第1装置10は、第1装置10の識別コードIDCを示すように変調された電磁波あるいは音波を出力装置Oから出力する。第2装置20は、受信装置Rを介して受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードIDCに基づいて、第1装置10を識別する。これにより、無線通信を介することなく第1装置10(車両100あるいはインフラ装置200)を識別することが可能となる。本実施の形態に係る認識処理は、無線通信サービスが提供されていないエリアにおいても採用可能である。
【0030】
出力装置Oから出力される電磁波は、可視光以外であってもよい。この場合、昼間であっても、受信装置Rは出力装置Oから出力される電磁波を精度良く検出することができる。このことは、識別処理の精度の向上に寄与する。また、可視光以外の場合、周囲の人間が眩しさを感じることを防ぐことが可能となる。
【0031】
出力装置Oから出力される音波は、超音波であってもよい。この場合、騒音環境であっても、受信装置Rは出力装置Oから出力される音波を精度良く検出することができる。このことは、識別処理の精度の向上に寄与する。また、超音波の場合、周囲の人間がうるささを感じることを防ぐことが可能となる。
【0032】
2.第2の実施の形態
図3は、第2の実施の形態に係る識別システム1及び識別処理を説明するための概念図である。上述の第1の実施の形態と重複する説明は適宜省略される。
【0033】
第2の実施の形態では、識別対象の第1装置10は車両100であり、第2装置20はインフラ装置200である。識別コードIDC1は、車両100を識別するための識別コードである。識別コードIDC1は、車両100(ユーザ)毎に固定されていてもよいし、一時的に発行されてもよい。識別コードIDC1は、車両100を認証するための認証情報を兼ねていてもよい。
【0034】
車両100は出力装置Oを備え、インフラ装置200は受信装置Rを備える。車両100は、識別コードIDC1を示すように変調された電磁波あるいは音波を出力装置Oから出力する。インフラ装置200は、受信装置Rを介して受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードIDC1に基づいて、車両100を識別する。これにより、無線通信を介することなく車両100を識別することが可能となる。
【0035】
図4は、第2の実施の形態に係る車両100及びインフラ装置200の構成例を示すブロック図である。以下、車両100及びインフラ装置200の構成例について説明する。
【0036】
2-1.車両の構成例
車両100は、制御装置110、通信装置120、車載カメラ130、測距センサ140、車両状態センサ150、及び走行装置160を備えている。
【0037】
制御装置110は、車両100を制御するコンピュータである。制御装置110は、1又は複数のプロセッサ111(以下、単にプロセッサ111と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置112(以下、単に記憶装置112と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ111は、各種処理を実行する。プロセッサ111として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、等が例示される。記憶装置112は、各種情報を格納する。記憶装置112として、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、等が例示される。
【0038】
制御プログラムPROG1は、車両100を制御するためのコンピュータプログラムである。制御プログラムPROG1を実行するプロセッサ111と記憶装置112との協働により、制御装置110の機能が実現されてもよい。制御プログラムPROG1は、記憶装置112に格納される。あるいは、制御プログラムPROG1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0039】
通信装置120は、無線通信ネットワークを介して無線通信を行う。例えば、通信装置120は、管理システム300と無線通信を行う。管理システム300は、車両100、インフラ装置200、及び所定エリアARを管理する。通信装置120は、インフラ装置200と無線通信を行ってもよい。
【0040】
車載カメラ130は、車両100の周囲の状況を撮影し、車両100の周囲の状況を示す画像を取得する。
【0041】
測距センサ140は、電磁波あるいは音波を出力し、その反射波を受信することによって、周囲の物体を検出し、また、検出した物体との距離を計測する。測距センサ140としては、レーダ、ライダー、赤外線センサ、ソナー、等が例示される。この測距センサ140が、図3で示された「出力装置O」として利用される。すなわち、車両100の周囲の物体を検出するために元々搭載されている測距センサ140が、識別処理における「出力装置O」としても利用される。よって、追加部品と追加コストが不要となる。
【0042】
車両状態センサ150は、車両100の状態を検出し、車両状態情報を取得する。例えば、車両状態センサ150は、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、等を含んでいる。
【0043】
走行装置160は、操舵装置、駆動装置、及び制動装置を含んでいる。操舵装置は、車輪を転舵する。例えば、操舵装置は、パワーステアリング(EPS: Electric Power Steering)装置を含んでいる。駆動装置は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置としては、エンジン、電動機、インホイールモータ、等が例示される。制動装置は、制動力を発生させる。制御装置110は、車両状態情報に基づいて走行装置160を制御することによって、車両走行制御を行う。
【0044】
また、制御装置110は、車載カメラ130及び測距センサ140を用いて、車両100の周囲の状況を認識する。例えば、制御装置110は、車両100の周囲の物体を検出し、検出した物体に関する物体情報を取得する。車両100の周囲の物体としては、歩行者、他車両、障害物、等が例示される。障害物としては、路側構造物、壁、建物、電柱、等が例示される。物体情報は、車両100に対する物体の相対位置及び相対速度を示す。
【0045】
制御装置110は、物体情報に基づいて車両100の周囲の状況を把握しながら車両走行制御を行ってもよい。例えば、制御装置110は、自動運転制御を行ってもよい。ここで、自動運転とは、車両100の操舵、加速、及び減速の少なくとも一部を、ドライバの操作から独立して自動的に行うことを意味する。一例として、レベル3以上の自動運転が行われてもよい。例えば、制御装置110は、目的地へ向かう走行計画を生成し、走行計画を実現するための目標トラジェクトリを生成する。目標トラジェクトリは、車両100の目標位置と目標速度を含んでいる。そして、制御装置110は、車両100が目標トラジェクトリに追従するように車両走行制御を行う。
【0046】
2-2.インフラ装置の構成例
インフラ装置200は、制御装置210、通信装置220、インフラカメラ230、及び受信装置240を備えている。
【0047】
制御装置210は、インフラ装置200を制御するコンピュータである。制御装置210は、1又は複数のプロセッサ211(以下、単にプロセッサ211と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置212(以下、単に記憶装置212と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ211は、各種処理を実行する。プロセッサ211として、CPU、GPU、ASIC、FPGA、等が例示される。記憶装置212は、各種情報を格納する。記憶装置212として、HDD、SSD、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、等が例示される。
【0048】
制御プログラムPROG2は、インフラ装置200を制御するためのコンピュータプログラムである。制御プログラムPROG2を実行するプロセッサ211と記憶装置212との協働により、制御装置210の機能が実現されてもよい。制御プログラムPROG2は、記憶装置212に格納される。あるいは、制御プログラムPROG2は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0049】
通信装置220は、通信ネットワークを介して管理システム300と通信を行う。通信装置220は、車両100と無線通信を行ってもよい。
【0050】
インフラカメラ230は、所定エリアARに設置される。インフラカメラ230は、所定エリアARの入口に設置されてもよい。インフラカメラ230は、所定エリアARの状況を撮影し、所定エリアARの状況を示す画像を取得する。制御装置210は、その画像に基づいて所定エリアARの状況を把握する。制御装置210は、その画像に基づいて車両100を検出することができる。
【0051】
受信装置240は、図3で示された「受信装置R」に相当する。つまり、受信装置240は、車両100の測距センサ140(出力装置O)から出力される電磁波あるいは音波を受信するように構成される。例えば、測距センサ140がレーダである場合、受信装置240は電波を受信するアンテナと受信機(Rx)を含んでいる。他の例として、測距センサ140がライダーである場合、受信装置240はレーザ光を受信するフォトディテクタ(例:フォトダイオード)を含んでいる。更に他の例として、測距センサ140がソナーである場合、受信装置240は音波を受信する圧電素子を含んでいてもよい。
【0052】
2-3.識別処理
車両100の制御装置110は、車両100を識別するための識別コードIDC1を予め取得する。例えば、管理システム300が、車両100の識別コードIDC1を決定し、その識別コードIDC1を車両100に提供する。無線通信が可能な環境において、制御装置110は、通信装置120を介して管理システム300から識別コードIDC1を予め取得する。予め取得した識別コードIDC1は、記憶装置112に格納される。
【0053】
インフラ装置200の記憶装置212には、識別コードデータベースが格納されている。識別コードデータベースは、車両100毎の識別コードIDC1を示す。典型的には、識別コードデータベースは、所定エリアARを利用する多数の車両100の各々の識別コードIDC1を示す。識別コードデータベースは、管理システム300から提供されてもよい。
【0054】
車両100を識別するための識別処理は次の通りである。車両100の制御装置110は、識別コードIDC1を示すように変調された電磁波あるいは音波を出力するよう測距センサ140を制御する。インフラ装置200の制御装置210は、測距センサ140から出力された電磁波あるいは音波を、受信装置240を介して受信する。そして、制御装置210は、受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードIDC1に基づいて、車両100を識別する。例えば、制御装置210は、受信した識別コードIDC1をIDCデータベースに登録されている識別コードIDC1と対比することによって、車両100を識別する。
【0055】
2-4.効果
本実施の形態によれば、無線通信を介することなく車両100を識別することが可能となる。また、車両100に元々搭載されている測距センサ140が出力装置Oとしても利用されるため、追加部品と追加コストが不要となる。
【0056】
3.第3の実施の形態
図5は、第3の実施の形態に係る識別システム1及び識別処理を説明するための概念図である。上述の第1、第2の実施の形態と重複する説明は適宜省略される。
【0057】
第3の実施の形態では、識別対象の第1装置10はインフラ装置200であり、第2装置20は車両100である。車両100は、所定エリアARが車両100によって利用可能なエリアであるかを確認するために、所定エリアARを識別する。尚、「所定エリアARを識別すること」と「所定エリアARに関連付けられたインフラ装置200を識別すること」は等価である。識別コードIDC2は、所定エリアARが車両100によって利用可能なエリアであるかを確認するための識別コードである。識別コードIDC2は、所定エリアAR(インフラ装置200)毎に固定されていてもよいし、一時的に発行されてもよい。
【0058】
インフラ装置200は出力装置Oを備え、車両100は受信装置Rを備える。インフラ装置200は、識別コードIDC2を示すように変調された電磁波あるいは音波を出力装置Oから出力する。車両100は、受信装置Rを介して受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードIDC2に基づいて、インフラ装置200を識別する。これにより、無線通信を介することなくインフラ装置200を識別することが可能となる。
【0059】
図6は、第3の実施の形態に係る車両100及びインフラ装置200の構成例を示すブロック図である。上述の第2の実施の形態における説明と重複する説明は省略される。
【0060】
車両100に搭載されている測距センサ140は、図5で示された「受信装置R」として利用される。すなわち、車両100の周囲の物体を検出するために元々搭載されている測距センサ140が、識別処理における「受信装置R」としても利用される。よって、追加部品と追加コストが不要となる。
【0061】
インフラ装置200は、出力装置250を備えている。出力装置250は、図5で示された「出力装置O」に相当する。出力装置250は、車両100の測距センサ140が受信できるような電磁波あるいは音波を出力する。
【0062】
インフラ装置200の制御装置210は、インフラ装置200の識別コードIDC2を予め取得する。例えば、管理システム300が、インフラ装置200の識別コードIDC2を決定し、その識別コードIDC2をインフラ装置200に提供する。制御装置210は、通信装置220を介して管理システム300から識別コードIDC2を予め取得する。予め取得した識別コードIDC2は、記憶装置212に格納される。
【0063】
車両100の記憶装置112には、識別コードデータベースが格納されている。識別コードデータベースは、インフラ装置200毎の識別コードIDC2を示す。識別コードデータベースは、管理システム300から提供されてもよい。
【0064】
インフラ装置200を識別するための識別処理は次の通りである。インフラ装置200の制御装置210は、識別コードIDC2を示すように変調された電磁波あるいは音波を出力するよう出力装置250を制御する。車両100の制御装置110は、出力装置250から出力された電磁波あるいは音波を、測距センサ140を介して受信する。そして、制御装置110は、受信した電磁波あるいは音波で示される識別コードIDC2に基づいて、インフラ装置200を識別する。例えば、制御装置110は、受信した識別コードIDC2をIDCデータベースに登録されている識別コードIDC2と対比することによって、インフラ装置200を識別する。
【0065】
本実施の形態によれば、無線通信を介することなくインフラ装置200を識別することが可能となる。また、車両100に元々搭載されている測距センサ140が受信装置Rとしても利用されるため、追加部品と追加コストが不要となる。
【符号の説明】
【0066】
1…識別システム, 10…第1装置, 20…第2装置, 100…車両, 200…インフラ装置, IDC…識別コード, O…出力装置, R…受信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6