(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005690
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】簡易小便器
(51)【国際特許分類】
A47K 11/12 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47K11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105966
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】523247131
【氏名又は名称】齋藤 好一
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100136744
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 佳正
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 好一
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036BA42
2D036BA45
2D036BA46
2D036CA01
2D036HA54
(57)【要約】
【課題】尿の処理を簡易にするとともに、衛生面を踏まえた携帯性を向上させる簡易小便器を提供する。
【解決手段】簡易小便器10は、尿を受ける尿受け部20と、尿受け部に連結されて尿受け部で受けた尿を外部下水口50に案内する排尿管部30と、地面52又は外部下水口に設置されて尿受け部及び排尿管部を支持する土台部40とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿を受ける尿受け部と、
前記尿受け部に連結されて前記尿受け部で受けた前記尿を外部下水口に案内する排尿管部と、
地面又は前記外部下水口に設置されて前記尿受け部及び前記排尿管部を支持する土台部と
を有する簡易小便器。
【請求項2】
請求項1に記載の簡易小便器において、
前記土台部は、
前記排尿管部が連結又は挿通される上面部と、
前記上面部の下方に位置する筒状の側面部と、
前記側面部から側方に延在する縁部と
を有することを特徴とする簡易小便器。
【請求項3】
請求項1に記載の簡易小便器において、
前記排尿管部は、
前記尿受け部に連結される第1排尿管と、
前記第1排尿管と前記土台部の間に配置されて、前記第1排尿官の下部と前記土台部の上部とに連結される第2排尿管と、
前記土台部の下部方向から上側に向かって連結される第3排尿管と
を有し、
前記第1排尿管、前記第2排尿管、前記第3排尿管及び前記土台部は、前記尿受け部の内部空間に収納される大きさである
ことを特徴とする簡易小便器。
【請求項4】
請求項1に記載の簡易小便器において、
前記土台部は
前記排尿管部が連結又は挿通される上面部と、
前記上面部の下方に位置する筒状の側面部と、
前記側面部よりも内側において前記上面部から下方に延在する第1内側円筒部と、
前記側面部よりも内側において前記第1内側円筒部から下方に延在し、前記第1内側円筒部よりも小径である第2内側円筒部と、
前記第1内側円筒部の下端と前記第2内側円筒部の上端を連結する連結部と
を有することを特徴とする簡易小便器。
【請求項5】
請求項1に記載の簡易小便器において、
前記土台部は、
前記排尿管部が連結又は挿通される上面部と、
前記上面部の下方に位置する筒状の側面部と
を有し、
前記側面部には、前記排尿管部に対して外部配管を連結可能とする配管用開口部が形成されている
ことを特徴とする簡易小便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の解体後等の現場環境において簡易に尿を処理することが可能な簡易小便器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレが設置されていない場所において簡易に尿を処理可能な簡易小便器が用いられてきた。
図7は、従来の簡易小便器の一例を示す。
図7の簡易小便器70では、尿受け部700で受けた尿が、尿受け部700に連結されたタンク710に蓄積される。
【0003】
ところで、簡易小便器に関連する先行技術として、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示された技術がある。特許文献1では、小便を受ける前面開放型の小便受部と、前記小便受部に排出された小便を留める排尿タンクと、前記小便受部の底面に設けられ前記排尿タンクと連結する、前記排尿タンクの約半分の高さまで届くネジ式排尿パイプとを備え、前記排尿パイプは前記小便受部上部に設けられた取手を回すことにより、前記小便受部が前記排尿タンクに対して取付方向並びに取付高さが調整可能な、前記小便受部の底面との結合部から前記排尿タンク内に位置する下端部までのネジを有したことを特徴とする簡易小便器が開示されている(請求項1)。
【0004】
また、特許文献2には、前面に前面開口部が形成され、液体を収納する液体タンクの液体流入口に挿入される排尿パイプを有する、小便受部と、前記排尿パイプが挿通され、前記小便受部と前記液体タンクの間に設けられる固定具と、前記小便受部の前面開口部を覆い、前記小便受部の上部に上下に回動自在に設けられた蓋とを備えたことを特徴とする簡易トイレ小便器が開示されている(請求項1)。
【0005】
さらに、特許文献3には、簡易トイレ(50)と、既設の配管(5)と、前記簡易トイレで受けた汚物を、前記既設の配管に案内する連結管部(10)と、を具備する簡易トイレ配管システム(1A、1B)であって、前記簡易トイレは、便座部(90)が配設されている本体フレーム(60)と、前記本体フレームの下方に設けられる脚部フレーム(77)と、を有し、前記便座部には、下方に向かって開口した汚物排出口(97)が形成されており、前記汚物排出口の下側には、前記連結管部における上流側管端部が接続されており、かつ、前記連結管部の下流側管端部が前記既設の配管に接続されていると共に、前記連結管部は、可撓性管部(11a)を含み、前記脚部フレームは、前記本体フレームから下方に向かって突き出されており、かつ前記本体フレームに対して突出長さを調整可能とする長さ調整構造(80)を有しており、前記脚部フレームの突出長さが調整されることで前記便座部の床面からの高さが調整可能であり、前記可撓性管部は、上下方向に伸縮自在でかつ左右方向にも撓むことができることにより、前記便座部の床面からの高さが調整されるときに前記汚物排出口の上下移動に追従して伸縮可能であることを特徴とするものが開示されている(請求項1、
図1、
図2、
図4~
図6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6101882号明細書
【特許文献2】特許第6268339号明細書
【特許文献3】特許第6718310号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従前の技術においては、尿を蓄積するタンク(排尿タンク又は液体タンク)を用いることが前提となっている(特許文献1及び特許文献2)。そのため、タンクに蓄積した後の尿の処理に課題がある。
【0008】
また、特許文献3に開示されている先行技術においては、便座部(90)の汚物排出口(97)の下側には、連結管部(10)における上流側管端部が接続されており、かつ、連結管部の下流側管端部が既設の配管(5)に接続されている態様が開示されている。そのため、尿の処理では比較的簡易であると言える一方で、特許文献3では、便座部(90)が配設されている本体フレーム(60)の下方に脚部フレーム(77)が設けられることで椅子の形態を取っている(
図1及び
図2)。換言すると、複数本(4本)の脚部フレーム(77)を用いることで簡易トイレ(50)の安定性を確保している。そのため、特許文献3では、例えば、特許文献1の小便受け部(2)や特許文献2の小便受け部(13)のような小便受け部を用いる構成(すなわち、簡易小便器が比較的縦長になる構成)の場合について検討されておらず、改善の余地がある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を考慮したものであり、現場環境から尿を持ち帰る必要がなく、尿の処理を簡易にするとともに、衛生を踏まえた携帯性に優れた簡易小便器を提供することとを目的とする。さらに、簡易小便器の全体構成が比較的縦長になるような場合においても、安定して運用可能な簡易小便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明の一実施形態にかかる簡易小便器は、
尿を受ける尿受け部と、
前記尿受け部に連結されて前記尿受け部で受けた前記尿を外部下水口に案内する排尿管部と、
地面又は前記外部下水口に設置されて前記尿受け部及び前記排尿管部を支持する土台部と
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、尿受け部で受けた尿を排尿管部を介して外部下水口に案内して尿をそのまま下水口に流すことができる。そのため、例えば、家屋の解体後において外部下水口を利用可能な現場環境にから尿を持ち帰る必要がなく、簡易に尿を処理することが可能となる。また、尿受け部及び排尿管部を支持する土台部は地面又は外部下水口に安定的に設置される。そのため、例えば、簡易小便器が比較的縦長の構成である場合においても、簡易小便器の姿勢を安定させ易くなる。
【0012】
前記土台部は、前記排尿管部が連結又は挿通される上面部と、前記上面部の下方に位置する筒状の側面部と、前記側面部から側方に延在する縁部とを有してもよい。これにより、外部下水口が地面より上側に突出している場合、この外部下水口を覆うように土台部を設置可能になる。また、縁部においてアンカー等の固定設置具を用いることで、若しくは、縁部(及び側面部の一部若しくは全部)を地面に埋め込んで土を被せることで、又は、縁部の上に石等の重量物を載置することで、簡易小便器を安定的に設置することが可能となる。
【0013】
前記排尿管部は、前記尿受け部に連結される第1排尿管と、前記第1排尿管と前記土台部の間に配置されて、前記第1排尿官の下部と前記土台部の上部とに連結される第2排尿管と、前記土台部の下部方向から上側に向かって連結される第3排尿管とを有してもよい。また、前記尿受け部の内部空間は、前記第1排尿管、前記第2排尿管、前記第3排尿管及び前記土台部を収納する大きさであってもよい。これにより、前記第1排尿管、前記第2排尿管、前記第3排尿管及び前記土台部は衛生的、かつ、コンパクトに収納され、持ち運びが容易となる。
【0014】
前記土台部は、前記上面部及び前記側面部に加えて、前記側面部よりも内側において前記上面部から下方に延在する第1内側円筒部と、前記側面部よりも内側において前記第1内側円筒部から下方に延在し、前記第1内側円筒部よりも小径である第2内側円筒部と、前記第1内側円筒部の下端と前記第2内側円筒部の上端を連結する連結部とを有してもよい。これにより、本発明の一実施形態に係る簡易小便器は、異なる直径の複数種類の外部下水口に良好に設置可能となる。具体的には、第1内側円筒部の外径を、例えば種類Aの外部下水口の直径よりもわずかに小さくすることで、第1内側円筒部を種類Aの外部下水口内に隙間なく進入させた状態で土台部を安定的に設置可能となる(この場合、種類Aの外部下水口の上端は、土台部の上面部裏面と当接される。)。また、第2内側円筒部の外径を、例えば種類Bの外部下水口の直径(種類Aの直径よりも小さい)よりもわずかに小さくすることで、第2内側円筒部を種類Bの外部下水口内に隙間なく進入させた状態で土台部を安定的に設置可能となる(この場合、種類Bの外部下水口の上端を、連結部と当接させることが可能となる。)。
【0015】
前記側面部には、前記排尿管部に対して外部配管(L字状等)を連結可能とする配管用開口部が形成されてもよい。これにより、外部下水口に対して排尿管部を垂直に接続できないような状況で排尿経路を一旦横に逃がして外部下水口へ導くことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態にかかる簡易小便器によれば、尿の処理を簡易にするとともに、衛生を踏まえた携帯性に優れた簡易小便器を提供することができる。さらに、全体構成が比較的縦長になるような場合においても、安定して運用可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る簡易小便器の構造及びその周辺を模式的に示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る簡易小便器の構成及びその周辺を模式的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る簡易小便器の分解状態を模式的に示す図である。
【
図4】
図4(A)は、本発明の一実施形態に係る簡易小便器において、第1排尿管及び第2排尿管と土台部との連結状態を模式的に示す図であり、
図4(B)は、本発明の一実施形態に係る簡易小便器において、第3排尿管と前記土台部との連結状態を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る簡易小便器を持ち運ぶ際の状態例を模式的に示す斜視図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る簡易小便器の変形例となる土台部を簡略的に示す正面断面図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る簡易小便器のさらなる変形例となる土台部を簡略的に示す正面断面図である。
【
図7】従来の簡易小便器の外観構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る簡易小便器の詳細を説明する。なお、以下の説明において使用される「上側」「上方」「下側」「下方」「前側」といった表現は、本発明の一実施形態に係る簡易小便器の使用状態を示す
図1における方向や位置関係に基づいて使用している(以下、同様。)。
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る簡易小便器10及びその周辺を模式的に示す正面図である。
図1において、土台部40は、地面52から突出した外部下水口50の上部を覆うように設置されている(この「設置」は、単に地面の上に載置することもあれば、後述するように重しを載せたり、アンカー等の固定具を地面に打ち込んだりして固定的に設置する場合もある。以下、設置の意義について同じ。)。
図2は、本実施形態に係る簡易小便器10及びその周辺を模式的に示す斜視図である。
図2において、土台部40は、地面52から突出した外部下水口50(
図2において、不図示)の上部を覆うように設置されている。
図3は、本実施形態に係る簡易小便器10の分解状態を模式的に示す図である。
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態に係る簡易小便器10は、大別して、尿受け部20と、排尿管部30と、土台部40とを有する。尿受け部20は、尿を受ける構造部である。排尿管部30は、尿受け部20に連結されて尿受け部20で受けた尿を外部下水口50(
図1)に案内する。なお、
図2の符号500で示される部材は、外部下水口50用の蓋である。例示的に、土台部40は、外部下水口50を覆うように地面52に設置されて尿受け部20及び排尿管部30を支持する。
【0019】
[尿受け部20]
尿受け部20は、尿を受ける構造部であり、本体部200及び接続部210を有する。一実施形態において、本体部200は、球状を基調とし、前側且つ上側が切り欠かれていることで開口部2000が形成されている。本体部200の内部は、開口部2000を有する略球状の空間を形成する。接続部210は、本体部200の下方に配置されて排尿管部30と連結される。
【0020】
[排尿管部30]
上記の通り、排尿管部30は、尿受け部20に連結されて尿受け部20で受けた尿を外部下水口50に案内する。
図1~
図3に示すように、本発明の一実施形態において、排尿管部30は、第1排尿管300、第2排尿管310及び第3排尿管320を有する。
図4(A)は、本実施形態に係る簡易小便器10において、第1排尿管300及び第2排尿管310と土台部40との連結状態を模式的に示す図である。
図4(B)は、本実施形態に係る簡易小便器10において、第3排尿管320と土台部40との連結状態を模式的に示す図である。
【0021】
本発明の一実施形態において、第1排尿管300、第2排尿管310及び第3排尿管320は、これに限定されるものではないが、同一の形状及び長さを有している。第1排尿管300、第2排尿管310及び第3排尿管320は、それぞれ一端部に小径部330a~330c(
図3)を有する。
図1及び
図2に示すように、第1排尿管300の上側は尿受け部20に連結され、第1排尿管300の下側は第2排尿管310に連結される。より具体的には、第1排尿管300の一端部(小径部330aが形成されていない側)には、尿受け部20の先端である接続部210が挿入され、第1排尿管300の小径部330aには、第2排尿管310の一端(小径部330bが形成されていない側)が挿入(連結)される。
【0022】
図1、
図2及び
図4(A)に示すように、第2排尿管310は、第1排尿管300と土台部40の間に配置され、各図中下側に向かって土台部40に連結される。換言すると、第2排尿管310の上側は第1排尿管300の各図中下側に連結され、第2排尿管310の各図中下側は土台部40の上面部400に設けられた孔402に連結される。より具体的には、第2排尿管310の一端部(小径部330bが形成されていない側)には、第1排尿管300の小径部330aが挿入(連結)され、第2排尿管310の小径部330bは、土台部40の上面部400に形成された孔402(
図3)に挿入される。本発明の一実施形態においては、これにより、第2排尿管310の小径部330bの一部は、上面部400の下面側に突出することとなる。
【0023】
図1に示すように、第3排尿管320は、土台部40の下部から上側に向かって土台部40に連結される。換言すると、第3排尿管320の上側は、土台部40の上面部400の孔402(
図3)を介して第2排尿管310に連結され、第3排尿管320の下側はどこにも連結されない(自由端となる)。本発明の一実施形態においては、第3排尿管320の一端(
図4(b)に示される小径部330cが形成されていない側)には、第2排尿管310の小径部330bが挿入(連結)される。
【0024】
なお、各部の連結構造は、上記に限らず、その他の連結構造を用いることもできる。例えば、ねじ構造又はかしめ構造を用いてもよい。また、上述したような、上面部400の孔402を介して第2排尿管310及び第3排尿管320を直接連結しない構成(例えば、ねじ構造を用いて、第2排尿管310及び第3排尿管320のそれぞれを土台部40の上面部400に螺合連結するような構成や、孔402自体が筒状構造を有する孔になっており、第2排尿管310及び第3排尿管320のそれぞれが、筒状構造の孔402に連結されるような構造)を採用することもできる。
【0025】
[土台部40]
上記のように、土台部40は、地面52に設置されて尿受け部20及び排尿管部30を支持する。
図1~
図4(B)に示すように、土台部40は、上面部400と、側面部410と、縁部420とを有する。上面部400は、排尿管部30が連結又は挿通される部位であり、外部下水口50よりも大きい直径を有する円形状である。側面部410は、筒状(ここでは円錐台状の筒状)であり、上面部400の外縁から下方に延在する(
図1等参照)。また、一実施形態において、側面部410には、
図1、
図2及び
図4(A)の破線で示す位置に配管用開口部430を設けてもよい。配管用開口部430により、排尿管部30のうち、特に、第3排尿管320に替えて、L字状等の外部配管(図示せず)を連結可能とすることができる。
このようなL字状等の外部配管を使用して、この外部配管を介して排尿を外部下水口50へ導くように設置することにより、外部下水口50を覆うように土台部40を設置できない場合でも、本発明の一実施形態に係る簡易小便器を運用可能となる。
【0026】
縁部420は、側面部410の下端部から側方に配置される(側面部410の下端部以外の部位から側方に延在してもよい。)。一実施形態において、縁部420は、水平環状部4200と、垂直環状部4210と、折返し環状部4220とを有する。水平環状部4200は、側面部410の下端から水平方向に延在する。
図2、
図3及び
図4(B)に示すように、水平環状部4200には、図示しない固定設置具を挿入するための複数の孔4202が形成されている。固定設置具としては、例えば、テントに用いるペグ等のアンカーを用いることができる。
【0027】
垂直環状部4210は、水平環状部4200の外縁から上方に向かって(一実施形態においては、外側斜め上方に向かって)延在する。折返し環状部4220は、垂直環状部4210の外縁から横方向あるいは横方向及び下方に向かって延在することで折返し部位を形成する。これにより、縁部420の強度を高めることができる。
図1及び
図2から明らかなように、側面部410の下側及び縁部420により溝部が形成される。この溝部に土や砂利等を入れて重しとしてもよい。この場合、地面又は前記外部下水口に設置された土台部はさらに安定する。
【0028】
[収納状態]
図5は、本実施形態に係る簡易小便器10を持ち運ぶ際の状態を模式的に示す斜視図である。上記の通り、本実施形態では、各部を分解可能である(
図3)。また、尿受け部20(本体部200)は、開口部2000を有すると共に、第1排尿管300、第2排尿管310、第3排尿管320及び土台部40を収納可能な大きさの内部空間を有している。そのため、
図5に示すように、簡易小便器10は、第1排尿管300、第2排尿管310、第3排尿管320及び土台部40それぞれを、開口部2000を介して尿受け部20(本体部200)の内部に収めた状態で持ち運ぶことができる。
ここにいう収納可能とは、本体部200に開口部2000を設けなかった場合の仮想の形状(球状等)を想定したときに当該仮想の球状領域内に第1排尿管300、第2排尿管310、第3排尿管320及び土台部40が収まることを言う。なお、この定義は厳密なものではなく、上記仮想の球状領域から部材の一部がはみ出る場合でも、はみ出た部材が本体部200からこぼれ落ちない範囲であって、通常の運搬に支障をきたすことがない範囲のはみ出しであれば、収容可能といえる。
【0029】
[一実施形態にかかる効果]
以上のような本発明の一実施形態によれば、排尿管部30を介して尿受け部20で受けた尿を外部下水口50に案内して尿をそのまま下水口に流すことができる(
図1等)。そのため、例えば、家屋の解体後等の更地であって外部下水口50を利用可能な現場環境において簡易に尿を処理することが可能となる。また、尿受け部20及び排尿管部30を支持する土台部40には、アンカー等の固定設置具を用いたり、縁部の上に石等の重しを載せることによって、地面52に固定的に設置されることができる。そのため、例えば簡易小便器10の全体的な構造が比較的縦長の構成である場合においても、簡易小便器10の姿勢を安定させ易くなる。
【0030】
本実施形態において、土台部40は、排尿管部30が連結又は挿通される上面部400と、上面部400の下方に位置する筒状の側面部410と、側面部410から側方に延在する縁部420とを有する(
図1及び
図2)。これにより、外部下水口50が地面52より上側に突出している場合、外部下水口50の上部を覆うように土台部40を設置可能になる(
図1)。また、縁部420において固定設置具を用いることで、若しくは、縁部420(及び側面部410の一部若しくは全部)を地面52に埋め込んで土を被せることで、又は、縁部420の上に石等の重量物を置くことで、簡易小便器10を安定的に設置することが可能となる。
【0031】
本実施形態において、排尿管部30は、尿受け部20に連結される第1排尿管300と、第1排尿管300と土台部40の間に配置されて土台部40に下側に向かって連結される第2排尿管310と、土台部40に上側に向かって連結される第3排尿管320とを有する(上側・下側の向きを含む説明については
図1を参照。その他、
図4(A)及び
図4(B)を参照)。また、第1排尿管300、第2排尿管310、第3排尿管320及び土台部40は、尿受け部20の内部空間に収納される大きさである(
図5)。これにより、各部材が散らばることがなく、衛生的でコンパクトな収納及び持ち運びが可能となる。
【0032】
土台部40の側面部410には、排尿管部30(特に、第3排尿管320)に替えてL字状等の外部配管を連結可能とする配管用開口部430が形成されることができる(
図1、
図2及び
図4(A))。これにより、例えば、外部下水口50に対して排尿管部30を垂直に接続できないような状況であっても、図示しないL字状等の外部配管を使って排尿経路を一旦横に逃がすように構成するなどして、排尿を外部下水口50へと無事導くことができる。
【0033】
[変形例]
上記実施形態では、排尿管部30は、3本の排尿管(第1排尿管300、第2排尿管310及び第3排尿管320)を有していた(
図1等)。しかしながら、例えば、尿受け部20で受けた尿を外部下水口50に案内する点に着目すれば、これに限定されない。例えば、第1排尿管300及び第2排尿管310を1本の上側排尿管として構成し、第3排尿管320(下側排尿管)と合わせて合計2本の排尿管により排尿管部30を構成してもよい。或いは、土台部40の上側において、第1排尿管300及び第2排尿管310の間に1本以上の別の排尿管を設けてもよい。或いは、第1排尿管300、第2排尿管310及び第3排尿管320を1本の排尿管として構成し、この1本の排尿管を、土台部40の上面部400の図示しない孔に挿通することで排尿管部30を構成してもよい。
また、分解可能な場合の排尿管部30の分割構成は、組み上げたときの長さが使用上適切な範囲内である限り、任意の本数に分割することができる。
【0034】
上記実施形態では、土台部40の側面部410は円錐台状の筒状である(
図2等)。換言すると、上面部400及び側面部410により有底円錐台状となるように構成されている。しかしながら、土台部40の側面部410は、その他の筒状(円筒状、角筒状、角錐台状)であってもよい。
【0035】
上記実施形態では、土台部40の構成を
図1等に示すものとした。しかしながら、例えば、地面52又は外部下水口60に設置されて尿受け部20及び排尿管部30を支持する点に着目すれば、これに限定されない。
【0036】
図6Aは、本発明の変形例に係る簡易小便器10Aの土台部40aの構造を簡略的に示す正面断面図である。上記実施形態の土台部40(
図1等)と同様、土台部40aは、上面部400と、側面部410と、縁部420とを有する(
図6Aにおいて、折返し環状部4220は、説明の便宜上、図示を省略している。)。また、土台部40aは、第1内側円筒部440と、第2内側円筒部450と、連結部460とを有する。
図6Aでは、側面部410(あるいは、土台部40a自体)の高さをH2とし、縁部420の垂直環状部4210の高さをH1としている。また、側面部410の下端の直径(外径)をw1とし、縁部420の水平環状部4200の外縁の直径(外径)をw2としている。
本発明の一実施形態において、H1は、1~12cm程度であり、H2は、8~24cm程度であり、w1は、15~35cm程度であり、w2は、18~43cm程度(ただし、w2はw1よりも大きい。)である。
【0037】
第1内側円筒部440は、筒状の側面部410よりも内側において上面部400から下方に延在する。第2内側円筒部450の上端は、連結部460を介して第1内側円筒部440の下端と連結する。従って、第2内側円筒部450は、筒状の側面部410よりも内側において第1内側円筒部440から下方に延在する。第2内側円筒部450は、第1内側円筒部440よりも小径である。連結部460は、第1内側円筒部440の下端と第2内側円筒部450の上端を連結する円環状部分である。
【0038】
図6Aでは、第3排尿管320の直径(外径)をφ1とし、第1内側円筒部440の直径(外径)をφ2とし、第2内側円筒部450の直径(外径)をφ3としている。また、第1内側円筒部440の高さをD1とし、第2内側円筒部450の高さをD2としている。
図6Aに示すように、第1内側円筒部440の直径φ2及び第2内側円筒部450のφ3は、いずれも第3排尿管320の直径φ1よりも大きい。
本発明の一実施形態において、φ1は、2~8cm程度であり、φ2・φ3は、一例として、5.0cm、6.5cm、7.5cm、10cm、12.5cm、15cm、20cmの中から、φ2>φ3となるように選択される(ただし、φ2<w1である。)。また、φ2>φ3となる限り、他の径の組み合わせが採用されても良い。
また、D1は、2~18cm程度であり、D2は、2~18cm程度である。
【0039】
また、本発明の一実施形態において、第1内側円筒部440の直径φ2及び第2内側円筒部450のφ3は、それぞれ異なる直径の外部下水口50(を構成するパイプ)よりもわずかに小さく構成されている。すなわち、第1内側円筒部440の直径φ2は、より大きな直径(内径)の外部下水口50(種類A)の直径よりもわずかに小さく設定されている。そのため、第1内側円筒部440は、種類Aの外部下水口50の中に僅かな隙間を以って入り込むことができる。その結果、種類Aの外部下水口50の上端は、上面部400の下面に当接させることが可能となる(当接させなくてもよい。)。そして、その状態で土台部40aを安定的に設置可能となる。
【0040】
さらに、第2内側円筒部450の直径φ3は、より小さな直径(内径)の外部下水口50(種類B)の直径よりもわずかに小さく設定されている。そのため、第2内側円筒部450は、種類Bの外部下水口50の中に僅かな隙間を以って入り込むことができる。その結果、種類Bの外部下水口50の上端は、連結部460の下面に当接させることが可能となる(当接させなくてもよい。)。そして、その状態で土台部40aを安定的に設置可能となる。
【0041】
図6Bは、本発明の変形例に係る簡易小便器10Bの土台部40bの構造を簡略的に示す正面断面図である。上記実施形態の土台部40(
図1等)と同様、土台部40bは、上面部400と、側面部410と、縁部420とを有する。
土台部40aとの相違は、連結部460が省略され、第1内側円筒部440及び第2内側円筒部450は、それぞれ上面部400から下方に延在している点である。
また、ここでは、バリエーションの一例として、垂直環状部4210を明示的に割愛した(土台部40aと同様に、垂直環状部4210を設け、さらに折返し環状部4220を設けることとしてもよい)。
【0042】
なお、w1、w2、H2、φ1、φ2、φ3の設計上の数値範囲は、土台部40aと同様である。一方で、
図6BのD3(第1内側円筒部440及び第2内側円筒部450の長さ)は、数センチ~30数cm程度の範囲で設計可能である。また、同図中では第1内側円筒部440及び第2内側円筒部450の長さを同じにしているがこれに限定されるものではない。
【0043】
また、
図6Bにおいて、第3排尿管320が破線で示されているように、第3排尿管320を省略することもできる。この場合、第1内側円筒部440または第2内側円筒部450が、外部下水口50の中に僅かな隙間を以って入り込むことにより、しっかりとした設置状態を維持できる。
【0044】
上記実施形態では、本体部200は、球状を基調とし、本体部200の内部は、開口部2000を有する略球状の空間を形成するように構成した。しかし、本発明はこれに限定されず、本体部200の形状を略回転楕円体状、略円筒状、略角柱状、略立方体状、略直方体状等、様々な形状を採用可能である。この場合の本体部の設計思想は、本体部に開口部を設けなかった場合の仮想の立体形状を想定したときに、当該仮想の立体形状内の空間に第1排尿管300、第2排尿管310、第3排尿管320及び土台部40が収まる空間が確保される形状とすることである。このような空間を確保できる形状であれば、様々な形状の本体部を採用することができる。
【0045】
上記実施形態では、土台部40の縁部420は、水平環状部4200、垂直環状部4210及び折返し環状部4220を有していた(
図1等)。しかしながら、例えば、土台部40を安定的に設置する点に着目すれば、これに限定されない。例えば、垂直環状部4210及び折返し環状部4220の組合せ又は折返し環状部4220を省略することも可能である。上記変形例の土台部40aも同様である(
図6A、
図6B)。
【0046】
上記実施形態では、土台部40の縁部420は、環状(特に円環状)であった(
図2等)。しかしながら、例えば、土台部40を安定的に設置する点に着目すれば、これに限定されない。例えば、図示しない固定設置具を挿入するための複数の孔4202が形成される位置それぞれに対応する箇所でのみ突出するような構成も可能である。上記変形例の土台部40aも同様である(
図6A、
図6B)。
【0047】
上記実施形態では、土台部40を地面52に設置した(
図1等)。しかしながら、例えば、土台部40、40aを安定的に設置する点に着目すれば、これに限定されない。例えば、土台部を外部下水口50に取付設置することも可能である。外部下水口50に対する土台部の取付設置例としては、側面部410に図示しない複数のねじ孔を設け、側面部410の外側から外部下水口50に向かってねじ孔を介して複数のねじを当接させることにより固定的に設置することが考えられる。上記変形例の土台部40aについても、同様のバリエーションを適用できる(
図6A、
図6B)。
【0048】
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0049】
また、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。従って、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0050】
さらに、本発明は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本発明は、本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法又は処理のステップ、又はそれらの組合せに拡張することができる。
【符号の説明】
【0051】
10、10A 簡易小便器
20 尿受け部
200 尿受け本体部
210 接続部
2000 開口部
30 排尿管部
300 第1排尿管
310 第2排尿管
320 第3排尿管
330a~330c 小径部
40、40a 土台部
400 土台部の上面部
402 孔
410 土台部の側面部
420 土台部の縁部
4200 水平環状部
4202 孔
4220 折返し環状部
430 配管用開口部
440 第1内側円筒部
450 第2内側円筒部
460 連結部50 外部下水口
52 地面