(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005693
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】画像処理装置、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20250109BHJP
【FI】
G06T7/60 180B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105969
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001058
【氏名又は名称】鳳国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内野 俊二
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 鑑地
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA03
5L096CA01
5L096CA21
5L096EA02
5L096EA04
5L096EA05
5L096EA11
5L096EA43
5L096FA06
5L096FA24
5L096FA34
5L096FA62
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA32
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】 ラベルを載せた裏シートに関連する幅を特定する。
【解決手段】
ラベルを載せた裏シートのラベル側の面を光学的に読み取った読取画像を取得する。読取画像を使用して線分を検出する。検出される線分を使用して、裏シート幅とラベル幅とのうちの一方、または、両方を特定する幅特定処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
ラベルを載せた裏シートのラベル側の面を光学的に読み取った読取画像を取得する画像取得部と、
前記読取画像を使用して線分を検出する線分検出部と、
検出される線分を使用して、裏シート幅とラベル幅とのうちの一方、または、両方を特定する幅特定処理を実行する幅特定部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、さらに、
前記ラベルを載せた前記裏シートの前記ラベル側の面を光学的に読み取ることによって前記読取画像を生成する読取部と、
前記ラベル上に対象画像を印刷する印刷部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、さらに、
印刷済のラベルを載せた裏シートを排出する排出部を備え、
前記印刷部は、
前記ラベルを載せた前記裏シートを搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路上の前記裏シートに載せられた前記ラベル上に前記対象画像を印刷する印刷実行部と、
を含み、
前記読取部は、前記搬送経路上の前記印刷実行部と前記排出部との間に配置されている、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記搬送部は、
前記印刷部による印刷の前に、前記読取部による前記ラベルを載せた前記裏シートの前記ラベル側の面の読み取りのために、前記ラベルを載せた前記裏シートを、前記印刷実行部の位置を通り過ぎて前記読取部の位置まで搬送し、
前記読取部による前記ラベルを載せた前記裏シートの前記ラベル側の面の読み取りの後に、前記印刷部による前記印刷のために、前記ラベルを載せた前記裏シートを、前記読取部の前記位置から前記印刷実行部の前記位置まで搬送する、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像処理装置であって、
前記印刷部によって印刷される前記対象画像は、コード画像を含み、
前記読取部は、印刷済の対象画像を表す前記ラベルを載せた前記裏シートの前記ラベル側の面を光学的に読み取ることによって前記印刷済の対象画像を表す読取画像であるコード読取画像を生成し、
前記画像処理装置は、さらに、
前記コード読取画像によって表されるコード画像の検査を行う検査部を備える、
画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置であって、さらに、
前記裏シート幅と前記ラベル幅とに関連する幅関連情報を取得する情報取得部を備え、
前記線分検出部は、前記読取画像のうちの前記裏シートの幅方向の両端と前記ラベルの前記幅方向の両端とよりも内側に位置する中部分であって、前記幅関連情報に対応付けられる幅を有する前記中部分を前記読取画像から除いた残りの部分を使用して、線分を検出する、
画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記読取画像は、基準線によって分離される第1領域と第2領域とを含み、前記基準線は、前記読取画像の中の前記ラベルの幅方向の両端よりも内側に位置し、
前記幅特定部は、前記第1領域から検出される線分の数NLが2以上であり、かつ、前記第2領域から検出される線分の数NRが2以上であることを含む第1条件が満たされる場合に、
前記NL本の線分のうちの前記基準線から最も遠い第1線分と、前記NR本の線分のうちの前記基準線から最も遠い第2線分と、の間の距離を、前記裏シート幅として特定し、
前記NL本の線分のうちの前記基準線から2番目に遠い第3線分と、前記NR本の線分のうちの前記基準線から2番目に遠い第4線分と、の間の距離を、前記ラベル幅として特定する、
画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像処理装置であって、
前記幅特定部は、前記第1領域から検出される線分の数NLと、前記第2領域から検出される線分の数NRと、のうちの一方、または、両方が、1であることを含む第2条件が満たされる場合に、
前記第1線分と前記第2線分との間の距離を、前記裏シート幅および前記ラベル幅として特定する、
画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置であって、
前記裏シート幅と前記ラベル幅とに関連する幅関連情報を取得する情報取得部を備え、
前記第2条件は、前記ラベル幅が前記裏シート幅と同じであることが前記幅関連情報によって示されることを示す幅条件を含み、
前記画像処理装置は、さらに、
前記第1領域から検出される線分の数NLと、前記第2領域から検出される線分の数NRと、のうちの一方、または、両方が、1であることと、前記幅条件が満たされないことと、を含む第3条件が満たされる場合に、前記幅特定処理とは異なる第1特定処理を実行する第1特定処理部を備える、
画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記幅特定部は、前記ラベル幅を特定し、
前記画像処理装置は、さらに、
前記ラベル幅を使用して、前記ラベル上に印刷すべき対象画像が前記ラベルからはみ出るか否かを判断する判断部を備える、
画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置であって、さらに、
前記幅特定部は、前記読取画像内で許容方向範囲内の方向に延びる線分を使用して、前記裏シート幅と前記ラベル幅とのうちの一方、または、両方を特定し、
前記画像処理装置は、さらに、
前記許容方向範囲内の方向に延びる線分が検出されない場合に、前記幅特定処理とは異なる第2特定処理を実行する第2特定処理部を備える、
画像処理装置。
【請求項12】
請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記線分検出部は、
前記読取画像を使用して二値化を含む第1処理を行うことによって二値画像である第1画像を生成し、
前記第1画像を使用して膨張と収縮とを含む第2処理を行うことによって第2画像を生成し、
前記第2画像を使用して細線化を含む第3処理を行うことによって第3画像を生成し、
前記第3画像を使用して線分を検出する、
画像処理装置。
【請求項13】
画像処理を行うコンピュータのためのプログラムであって、
ラベルを載せた裏シートのラベル側の面を光学的に読み取った読取画像を取得する画像取得機能と、
前記読取画像を使用して線分を検出する線分検出機能と、
検出される線分を使用して、裏シート幅とラベル幅とのうちの一方、または、両方を特定する幅特定処理を実行する幅特定機能と、
をコンピュータに実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ラベルを載せた裏シートに関連する幅を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷には、種々の印刷媒体が使用される。例えば、A4サイズ、レターサイズ、はがきサイズ、などの種々のサイズの用紙が、印刷に使用される。ユーザが指定したサイズと大きく異なるサイズの印刷用紙が搬送される場合に、印刷用紙と大きさが大きく異なる画像が印刷されてしまうことを防ぐ技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の技術では、反射型の光学センサを使用して印刷用紙の幅が検出され、用紙幅に応じて印刷用紙のサイズの候補が特定され、印刷設定として設定されている印刷用紙のサイズが候補に含まれていない場合に、印刷が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラベルを載せた裏シート(ライナーとも呼ばれる)は、種々の処理に使用される(例えば、印刷、製品へのラベルの貼り付け、など)。ラベルを載せた裏シートが使用される場合に、ラベルを載せた裏シートに関連する幅の特定については、工夫の余地があった。
【0005】
本明細書は、ラベルを載せた裏シートに関連する幅を特定する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]画像処理装置であって、ラベルを載せた裏シートのラベル側の面を光学的に読み取った読取画像を取得する画像取得部と、前記読取画像を使用して線分を検出する線分検出部と、検出される線分を使用して、裏シート幅とラベル幅とのうちの一方、または、両方を特定する幅特定処理を実行する幅特定部と、を備える画像処理装置。
【0008】
この構成によれば、読取画像を使用して検出される線分を使用して幅特定処理が実行されるので、裏シート幅とラベル幅とのうちの一方、または、両方を適切に特定できる。
【0009】
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、画像処理方法および画像処理装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施例としての印刷装置を示すブロック図である。
【
図2】印刷装置100の内部構成を表す断面図である。
【
図3】(A)は、媒体Mの例を表す図である。(B)は、対象画像TIの例を表す図である。(C)は、印刷済ラベルP1pの例を表す図である。(D)は、読取画像の例を表す図である。
【
図4】印刷制御処理の例を表すフローチャートである。
【
図7】(A)-(H)は、幅処理で処理される画像の例を表す図である。
【
図8】幅処理で処理される画像の一部分PLの変化を表す図である。
【
図9】(A)は、媒体の別の例を表す図である。(B)-(D)は、幅処理で処理される画像の例を表す図である。
【
図10】(A)は、媒体の別の例を表す図である。(B)-(G)は、媒体Mcの読取画像から得られる画像の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
A.第1実施例:
図1は、一実施例としての印刷装置を示すブロック図である。印刷装置100は、制御装置105と、表示部140と、操作部150と、印刷部160と、読取部170と、通信インタフェース180とを、有している。制御装置105は、プロセッサ110と、記憶装置115と、を有している。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0012】
表示部140は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの、画像を表示するように構成された装置である。操作部150は、ボタン、レバー、表示部140上に重ねて配置されたタッチスクリーンなどの、ユーザによる操作を受け取るように構成された装置である。通信インタフェース180は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、IEEE802.3の有線LAN、IEEE802.11の無線LAN、Universal Serial Bus(USB)、のうちの1種以上のインタフェースを含む)。
【0013】
印刷部160は、画像を印刷する装置である。読取部170は、印刷部160によって印刷された画像を光学的に読み取る装置である。
図2は、印刷装置100の内部構成を表す断面図である。印刷装置100は、筐体2を備えている。表示部140と操作部150とは、筐体2の外面に固定されている。筐体2は、当該筐体2に設けられた排出口21を形成する部分である排出口形成部21fを有している。筐体2の内部には、印刷部160と読取部170とが収容されている。本実施例では、印刷部160は、インクジェット式の印刷装置である。印刷部160は、マガジン52と、マガジン52に回転可能に取り付けられた軸部51と、軸部51に取り付けられたロールRと、ヘッド6と、搬送部3と、切断部50と、を有している。搬送部3は、第1搬送部10と、第2搬送部7と、第3搬送部15と、第4搬送部19と、第5搬送部48と、を有している。第1搬送部10は、軸部51に接続されている。
【0014】
ロールRは、管Kと、管Kの周りに巻かれた長尺の媒体Mと、を有している。ロールRが軸部51に取り付けられた状態では、軸部51は、管Kの内側に位置している。媒体Mは、長尺の台紙と、台紙上に貼り付けられたラベルと、を有している(このような媒体Mは、ラベルシートとも呼ばれる)。後述するように、印刷装置100は、台紙上のラベルに画像を印刷する。印刷済のラベルは、台紙から剥がされて、製品(例えば、複合機)に貼付される。
【0015】
図3(A)は、媒体Mの例を表す図である。本実施例では、媒体Mは、長尺の台紙P2と、台紙P2上に並んで配置された複数のラベルP1と、を有している。台紙P2は、延長方向D1に延びる等幅のシートである。図中の幅Wbは、延長方向D1に垂直な方向の台紙P2の幅であり、台紙P2の2つの長辺S2L、S2Rの間の距離である。ラベルP1は、本実施例では、実質的に矩形状のシートである(4個の角は、丸められてよい)。ラベルP1は、台紙P2上に貼り付けられている。台紙P2上では、ラベルP1の短辺S1L、S1Rは、延長方向D1に平行であり、ラベルP1の長辺S1U、S1Dは、延長方向D1に垂直である。台紙P2上では、複数のラベルP1が、隙間をあけて、延長方向D1に並んで配置されている。本実施例では、ラベルP1上には、予め、テンプレート画像SIが印刷済である。幅Waは、延長方向D1に垂直な方向のラベルP1の幅であり、ラベルP1の2つの短辺S1L、S1Rの間の距離である。本実施例では、Wa<Wbである。なお、ラベルP1の幅Waと台紙P2の幅Wbとは、ラベルの種類に応じて種々の値であり得る。また、本実施例では、幅Wa、Wbは、mmの単位で表されることとする。
【0016】
図2中には、媒体Mの搬送経路Qが示されている。印刷部160は、搬送経路Qを形成する。印刷部160は、搬送経路Qを形成する種々の部材を有している(例えば、ガイドレールなど(図示省略))。搬送経路Qは、軸部51に取り付けられたロールRから、ヘッド6と第3搬送部15との間を通って、排出口21へ至る。媒体Mは、搬送経路Qに沿って搬送される。台紙P2(
図3(A))の延長方向D1は、搬送経路Qの延びる方向と、実質的に平行である。
【0017】
図2に示すように、第1搬送部10、第2搬送部7、ヘッド6、第3搬送部15、第4搬送部19、読取部170、第5搬送部48、切断部50は、搬送経路Qに沿って、この順に並んで配置されている。搬送部10、7、15、19、48は、それぞれ、図示しない駆動装置(例えば、ステッピングモータ)を有している。
【0018】
軸部51には、第1搬送部10が接続されている。第1搬送部10は、図示しない駆動装置による軸部51の回転により、ロールRから排出口21へ向かう方向である順方向Fに、媒体Mを搬送する。第1搬送部10は、軸部51の逆回転により、順方向Fの反対方向である逆方向Bに、媒体Mを搬送する。
【0019】
第2搬送部7は、搬送ローラ71と、ピンチローラ72と、を有している。媒体Mは、搬送ローラ71とピンチローラ72との間に挟まれている。第2搬送部7は、図示しない駆動装置による搬送ローラ71の回転により、順方向Fに媒体Mを搬送する。第2搬送部7は、搬送ローラ71の逆回転により、逆方向Bに媒体Mを搬送する。
【0020】
第3搬送部15は、ヘッド6の下方に配置されている。第3搬送部15は、駆動ローラ13と、従動ローラ14と、ローラ13、14に掛けられたループ状のベルト16と、を有している。ベルト16は、ローラ13、14の間で、平らな上面16sを形成する。上面16sは、ヘッド6の下面6sに対向している。媒体Mは、ベルト16の上面16sに支持される。第3搬送部15は、図示しない駆動装置による駆動ローラ13の回転により、順方向Fに媒体Mを搬送する。第3搬送部15は、駆動ローラ13の逆回転により、逆方向Bに媒体Mを搬送する。
【0021】
ヘッド6の下面6sには、複数のノズルが設けられている(図示省略)。以下、下面6sを、ノズル面6sとも呼ぶ。各ノズルの内部には、インクを吐出させるためのアクチュエータ(図示省略。例えば、ピエゾ素子、ヒータなど)が設けられている。ヘッド6には、図示しないインクタンクから、インクが供給される。ヘッド6は、複数のノズルから、媒体Mに向かって、インク滴を吐出する。これにより、媒体M上に、インクドットが形成される。複数のインクドットによって、媒体M上に画像が形成される。本実施例では、台紙P2に載っているラベルP1に画像が印刷される。
【0022】
図3(B)は、ラベルP1上に印刷される対象画像TIの例を表している。対象画像TIは、第1方向Dxに平行な2辺と、第1方向Dxに垂直な第2方向Dyに平行な2辺と、を有する矩形状の画像である。図中では、第1方向Dxは、右方向を示し、第1方向Dxの反対方向は、左方向を示している。第2方向Dyは、搬送経路Q(
図2)の延びる方向、すなわち、媒体Mの搬送方向に平行である。本実施例では、媒体Mは、延長方向D1(
図3(A))に搬送される。第2方向Dyは、延長方向D1の反対方向に対応している。
【0023】
本実施例では、対象画像TIは、第1コード画像C1と、第2コード画像C2と、を含んでいる。第1コード画像C1は、1次元コード(例えば、バーコード)を表している。第2コード画像C2は、2次元コード(例えば、QRコード(登録商標))を表している。コード画像C1、C2によって表される情報は、任意の情報であってよい。第1コード画像C1は、例えば、ラベルP1が貼付されるべき製品のシリアル番号を表してよい。第2コード画像C2は、例えば、製品のサポート用のウェブページへのUniform Resource Locator(URL)を表してよい。
【0024】
図3(C)は、印刷済の対象画像TIを表すラベルP1(印刷済ラベルP1pとも呼ぶ)の例を表す図である。図示するように、テンプレート画像SIの空白部分に、対象画像TIのコード画像C1、C2が配置されている。
【0025】
第4搬送部19(
図2)は、搬送ローラ17と、ピンチローラ18と、を有している。媒体Mは、搬送ローラ17とピンチローラ18との間に挟まれている。第4搬送部19は、図示しない駆動装置による搬送ローラ17の回転により、順方向Fに媒体Mを搬送する。第4搬送部19は、搬送ローラ17の逆回転により、逆方向Bに媒体Mを搬送する。
【0026】
読取部170は、媒体M(ここでは、ラベルP1を載せた台紙P2)を光学的に読み取ることによって読取画像のデータを生成する。読取部170は、図示しない光学センサを有している(例えば、Contact Image Sensor(CIS)、または、Charge Coupled Device(CCD))。読取部170は、対象物を光学的に読み取ることによって、読み取った対象物を表す読取画像のデータを生成する。読取画像のデータのデータ形式は、種々の形式であってよい。本実施例では、読取画像のデータは、グレースケールのビットマップデータである。後述するように、読取部170は、ラベルP1に印刷された対象画像TIの検査のために、印刷済の対象画像TIを表すラベルP1を載せた台紙P2を読み取る。また、読取部170は、媒体Mが印刷用の画像に適しているか否かを判断するために、印刷の前にラベルP1を載せた台紙P2を読み取る。
【0027】
図3(D)は、読取画像の例を表している。この読取画像IMpは、印刷済ラベルP1p(
図3(C))を載せた台紙P2と、背景BGと、を表している。本実施例では、読取画像IMpは、第1方向Dxに平行な2辺と、第2方向Dyに平行な2辺と、を有する矩形状の画像である。上述したように、第2方向Dyは、搬送経路Qの延びる方向に平行である(すなわち、第2方向Dyは、台紙P2の延長方向D1と実質的に平行である)。読取画像IMpは、1枚の印刷済ラベルP1pの全体を含んでいる。読取画像IMpは、印刷された対象画像TIの検査に使用される(詳細は、後述)。
【0028】
第5搬送部48(
図2)は、搬送ローラ46と、ピンチローラ47と、を有している。媒体Mは、搬送ローラ46とピンチローラ47との間に挟まれている。第5搬送部48は、図示しない駆動装置による搬送ローラ46の回転により、順方向Fに媒体Mを搬送する。第5搬送部48は、搬送ローラ46の逆回転により、逆方向Bに媒体Mを搬送する。
【0029】
切断部50は、下方に延びる刃50aと、図示しない駆動部と、を有している。駆動部は、例えば、モータである。刃50aは、駆動部によって上下に移動し、媒体Mを切断する。媒体Mのうちの切断部50により切り離された部分は、排出口21から排出される。
【0030】
プロセッサ110(
図1)は、データを処理するように構成された装置である。プロセッサ110は、例えば、Central Processing Unit(CPU)、または、System on a chip(SoC)である。記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を含む。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置130は、例えば、フラッシュメモリである。
【0031】
不揮発性記憶装置130は、プログラムPGと、幅情報132と、のそれぞれのデータを格納している。プログラムPGと幅情報132とのそれぞれのデータは、印刷装置100の製造時に、不揮発性記憶装置130に格納される。
【0032】
A2.印刷制御処理:
図4は、印刷制御処理の例を表すフローチャートである。印刷制御処理は、ラベルP1(
図3(C))に対象画像TIを印刷する処理である。まず、ユーザは、印刷装置100(
図2)のマガジン52の軸部51に、ロールRを取り付ける。ユーザは、ロールRの媒体Mの先端をロールRから引き出し、媒体Mを搬送経路Q上に配置する。ここで、媒体Mの順方向Fの位置(ひいては、ラベルP1の順方向Fの位置)は、予め決められた初期位置に配置される。例えば、ユーザは、媒体Mの先端を搬送経路Q上の初期位置(例えば、第2搬送部7によって挟まれる部分)に配置してよい。媒体Mの先端に対する複数のラベルP1のそれぞれの媒体M上の位置は、予め決められている。プロセッサ110は、印刷のための処理(例えば、印刷制御処理)の開始時に媒体Mの先端が初期位置に位置することを前提に、媒体Mが種々の搬送量で搬送される場合の各ラベルP1の搬送経路Q上の位置を特定できる。これに代えて、印刷装置100は、媒体Mを検出する検出部を有してよい(図示省略)。検出部は、例えば、搬送経路Q上のヘッド6と第2搬送部7との間に配置されてよい。検出部は、順方向Fに搬送される媒体Mの先端の通過を検出する。プロセッサ110は、媒体Mの先端が検出部に検出された状態からの搬送量を使用して、各ラベルP1の搬送経路Q上の位置を特定できる。プロセッサ110は、印刷のための処理(例えば、印刷制御処理)の開始時に、検出部を使用して、搬送経路Q上の媒体Mの位置、すなわち、各ラベルP1の搬送経路Q上の位置を特定してよい。
【0033】
ユーザは、印刷装置100(
図1)の操作部150を操作することによって、印刷指示を入力する。印刷指示は、印刷すべき対象画像のデータを指定する画像指定情報を含んでいる。画像指定情報は、種々の画像データを指定してよい。例えば、対象画像データは、印刷装置100の記憶装置115(例えば、不揮発性記憶装置130)、印刷装置100の通信インタフェース180に接続される図示しない記憶装置(例えば、USBフラッシュドライブ)、または、印刷装置100と通信可能な通信装置(例えば、図示しないパーソナルコンピュータ)の記憶装置、に格納されたデータであってよい。また、対象画像データの形式は、種々のデータ形式であってよい。本実施例では、対象画像データの形式は、ビットマップ形式であることとする(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group))。また、本実施例では、媒体M上の長さ(単位は、mm)に対する対象画像上の画素数の比率は、予め決められていることとする。
【0034】
印刷指示は、さらに、台紙P2の幅WbとラベルP1の幅Waとに関連する幅関連情報を含み得る。幅関連情報は、例えば、ラベルの型番である(ラベルの型番には、台紙P2の幅WbとラベルP1の幅Waとが予め対応付けられる)。印刷指示は、さらに、許容方向レベルの指定を含み得る(詳細は、後述)。
【0035】
なお、ユーザは、誤ったロールをマガジン52の軸部51に取り付け得る。例えば、意図された幅よりも小さい幅のラベルを有するロールが、マガジン52の軸部51に取り付けられ得る。また、ユーザは、誤った対象画像のデータを、指定し得る。例えば、意図された幅よりも大きい幅のラベルのための対象画像のデータが、指定され得る。このような誤りが生じる場合、印刷装置100は不適切な印刷を実行し得る。例えば、印刷装置100は、ラベルの外の領域(例えば、台紙)に画像を印刷し得る。また、台紙の外側に向かって吐出されたインクが、印刷装置100内の意図しない部分を汚し得る。このような不具合の可能性を低減するために、本実施例では、プロセッサ110は、印刷の前に、ラベルの幅が適切であるか否かを判断する(詳細は、後述)。
【0036】
プロセッサ110は、印刷指示に応じて、プログラムPGに従って、印刷制御処理(
図4)を実行する。S110では、プロセッサ110は、印刷指示を取得する。プロセッサ110は、印刷指示に含まれる画像指定情報に従って、対象画像のデータを取得する。印刷指示が他の情報を含む場合、プロセッサ110は、印刷指示に含まれる他の情報も取得する(例えば、幅関連情報と許容方向レベルとの一方、または、両方)。
【0037】
S120では、プロセッサ110は、幅処理を実行する。幅処理は、ラベルP1(
図3(A))の幅Waと、台紙P2の幅Wbと、ののうちの一方、または、両方を特定する処理である。
図5、
図6は、幅処理の例を表すフローチャートである。幅処理は、線分検出処理PA(
図5、
図6)と、幅特定処理PB(
図6)と、を含んでいる。本実施例では、線分検出処理PAは、S220-S350(
図5、
図6)を含み、幅特定処理PBは、S360-S440(
図6)を含む。
【0038】
S210では、プロセッサ110は、搬送部3(
図2)を駆動することによって、媒体Mを、読取部170の読取位置まで搬送する。例えば、プロセッサ110は、媒体Mの複数のラベルP1のうちの最も順方向F側のラベルP1を、ヘッド6の位置を通り過ぎて読取部170の読取位置まで搬送する。S220では、プロセッサ110は、読取部170に媒体Mを読み取らせることによって、読取部170から読取画像のデータを取得する。
【0039】
図7(A)-
図7(H)は、幅処理で処理される画像の例を表す図である。
図7(A)は、読取画像の例を表している。読取画像IM1は、対象画像TIが印刷される前のラベルP1を載せた台紙P2と、背景BGと、を表している。読取画像IM1の構成は、対象画像TIが印刷されていない点を除いて、読取画像IMp(
図3(D))の構成と、同様である。
【0040】
図中には、中心Ccと中心線Lcと領域AL、ARとが示されている。中心Ccは、読取画像IM1の第1方向Dxの中心を示している。中心線Lcは、第2方向Dyに平行であり、かつ、中心Ccに位置する線である。第1領域ALは、読取画像IM1のうちの中心線Lcよりも左側(第1方向Dxの反対方向側)の部分である(第1領域ALを、左領域ALとも呼ぶ)。第2領域ARは、読取画像IM1のうちの中心線Lcよりも右側(第1方向Dx側)の部分である(第2領域ARを、右領域ARとも呼ぶ)。また、図中には、読取画像IM1を形成する2種類の領域Pc、Prが示されている。領域Pc、Prの詳細については、後述する。なお、読取画像IM1は、ラベルの幅が適切であるか否かの判断に使用される。従って、読取画像IM1の第2方向Dyの大きさは、複数個のラベルP1を表すのに十分な大きさであってよい。
【0041】
なお、読取部170(
図2)は、搬送経路Qに交差する方向(例えば、搬送経路Qに垂直な方向)に並ぶ複数の光電変換素子で構成されるラインセンサを有してよい。この場合、プロセッサ110は、搬送部3に媒体Mを搬送させつつ、読取部170に媒体Mを読み取らせることによって、読取画像IM1のデータを取得してよい。これに代えて、読取部170は、2次元の領域に配置された複数の光電変換素子で構成されるエリアセンサを有してよい。この場合、プロセッサ110は、媒体Mの搬送を停止した状態で、読取部170に媒体Mを読み取らせることによって、読取画像IM1のデータを取得してよい。
【0042】
本実施例では、読取部170による読取解像度(単位は、例えば、pixel per inch(ppi))は、予め決められている。これに代えて、読取部170は、複数の読取解像度から選択された読取解像度で、媒体Mを読み取ってよい。印刷指示(
図4:S110)は、読取解像度を指定する情報を含んでよい。
【0043】
幅処理(
図5、
図6)では、プロセッサ110は、読取画像IM1を使用して種々の画像処理を実行する。各画像処理では、1つ前の画像処理で処理された画像が使用される。以下、処理対象の画像を、注目画像と呼ぶ。
【0044】
S230(
図5)では、プロセッサ110は、いわゆるガンマカーブを使用して、読取画像IM1にエッジ抽出用のガンマ補正を行う。ガンマ補正には、いわゆるガンマカーブが使用される。後述するように、プロセッサ110は、媒体M(
図7(A))を表す注目画像から、ラベルP1の辺S1L、S1Rと台紙P2の辺S2L、S2Rとをそれぞれ表す複数の線分を検出する。画像中の線分は、画像中の色が大きく変化する部分(エッジとも呼ばれる)によって、表される。ガンマカーブは、線分の検出(すなわち、エッジの抽出)を促進するように、予め実験的に決められている。例えば、ガンマカーブは、読取画像IM1中の辺S1L、S1R、S2L、S2Rを表す部分における色の変化量が増大するように、予め実験的に決められてよい。ガンマカーブのうち、辺S1L、S1R、S2L、S2Rを表す階調値に対応する部分の傾きは、他の階調値に対応する部分の傾きと比べて、急であってよい。
【0045】
S240では、プロセッサ110は、注目画像(ここでは、S230による処理済画像)の解像度が基準解像度Rthよりも高いか否かを判断する。解像度が過度に高い場合、画素数が多いので、幅処理の負担が高い。基準解像度Rthは、適切な幅特理のための十分な解像度に、予め実験的に決められている(例えば、300ppi)。
【0046】
解像度が基準解像度Rthよりも高い場合(S240:Yes)、S250で、プロセッサ110は、公知の解像度変換(例えば、バイキュービック、バイリニア、または、ニアレストネイバ)によって、注目画像(ここでは、S230による処理済画像)の解像度を基準解像度Rthに変換する。そして、プロセッサ110は、S260へ移行する。解像度が基準解像度Rth以下である場合(S240:No)、プロセッサ110は、S250をスキップして、S260へ移行する。なお、S220では、プロセッサ110は、読取部170に基準解像度Rthで読取画像のデータを生成させてよい。この場合、S240、S250は、省略されてよい。
【0047】
S260では、プロセッサ110は、S110(
図4)で幅関連情報が入力されるか否かを判断する。幅関連情報が入力されている場合(S260:Yes)、S270で、プロセッサ110は、幅関連情報に対応付けられるラベルサイズに基づいて、削除幅を決定する。後述するように、プロセッサ110は、媒体M(
図7(A))を表す注目画像から線分を検出する。ここで、ラベルP1の内側の部分(すなわち、辺S1L、S1Rよりも内側の部分)は、線分検出のノイズとなり得る。そこで、本実施例では、プロセッサ110は、注目画像のうちの中部分Pcを削除する(すなわち、中部分Pc内のオブジェクトが削除される)。削除幅は、この中部分Pcの幅である。
【0048】
本実施例では、幅情報132(
図1)は、幅関連情報とラベルP1の幅(参考ラベル幅と呼ぶ)と台紙P2の幅(参考台紙幅と呼ぶ)との対応関係を表している。本実施例では、これらの幅は、mmの単位で表されている。プロセッサ110は、幅情報132を参照して、幅関連情報に対応付けられる参考ラベル幅を取得する。プロセッサ110は、参考ラベル幅に係数kを乗じることによって、削除幅を決定する(係数kは、1未満の定数。例えば、0.8)。
【0049】
S280では、プロセッサ110は、注目画像(ここでは、S230による処理済画像、または、S250による処理済画像)の二値化処理を実行する。二値化の方法は、種々の方法であってよい(例えば、大津の二値化)。
図7(B)は、二値化処理によって生成される二値画像の例を表している。二値画像IM2は、オブジェクト画素と背景画素との2種類の画素によって、ラベルP1を載せたP台紙P2と、背景BGと、を表している。
【0050】
S290(
図5)では、プロセッサ110は、削除幅を有する中部分Pcに含まれる画像を、二値画像から削除する。
図7(C)は、S290による処理済の二値画像を表している。二値画像IM3は、二値画像IM2(
図7(B))から中部分Pcを削除することによって得られる。中部分Pcは、中心線Lcを中心とする削除幅Wcの範囲内の部分である。図中には、辺ScL、ScRと幅Wcとが示されている。辺ScLは、中部分Pcの左側の辺であり、辺ScRは、中部分Pcの右側の辺である。これらの辺ScL、ScRは、第2方向Dyに平行である。削除幅Wcは、辺ScL、ScRの間の距離と同じである。なお、プロセッサ110は、二値画像IM2(
図7(B))上の削除幅Wcに対応する画素数を、二値画像IM2の解像度(単位は、例えば、ppi)を使用して、算出する。
【0051】
プロセッサ110は、中部分Pcに含まれる複数の画素のそれぞれを、背景画素に設定する。これにより、中部分Pc内のオブジェクト(例えば、線、文字など)は、削除される。二値画像IM3は、読取画像IM1(
図7(A))から中部分Pcを除いた残りの部分である残部分Prのオブジェクトを表している。S290の後、プロセッサ110は、S310へ移行する。
【0052】
幅関連情報が入力されていない場合(S260:No)、プロセッサ110は、S300で二値化処理を実行し、中部分Pcを削除せずに、S310へ移行する。S300の処理は、S280の処理と同じである。
【0053】
図8は、幅処理で処理される画像の一部分PLの変化を表す図である。図中には、S290による処理済の二値画像IM3とS300による処理済の二値画像IM2とに共通な部分PLが示されている。この部分PLは、ラベルP1の辺S1Lの一部を表している。この部分PLは、辺S1Lを表す複数のオブジェクト画素Poを含んでいる(背景画素の図示は、省略されている)。複数のオブジェクト画素Poは、互いに離れた2個の連続領域LA3a、LA3bを形成している。このように、二値画像IM2、IM3上では、1本の辺S1Lは、互いに離れた複数の連続領域によって表され得る。
【0054】
S310(
図5)では、プロセッサ110は、注目画像(ここでは、S290による処理済の二値画像IM3、または、S300による処理済の二値画像IM2)の膨張処理を実行する。膨張処理は、画像中のオブジェクトを表す部分を膨張させる処理である。
図7(D))は、S310による処理済の二値画像の例を表している。この二値画像IM4は、二値画像IM3(
図7(C))から得られる画像である。以下、この二値画像IM4が処理されることとする。
【0055】
膨張の方法は、種々の方法であってよい。例えば、プロセッサ110は、注目画素を中心とする第1カーネル(例えば、3行3列の範囲)に含まれる複数の画素が1個以上のオブジェクト画素を含む場合に、注目画素を、オブジェクト画素に設定する。第1カーネルの全ての画素が背景画素である場合、注目画素は、背景画素に維持される。
図8には、膨張処理済の二値画像IM4の部分PLが示されている。図示するように、二値画像IM4の部分PLは、1個の連続領域LA4を示している。この連続領域LA4は、膨張した第1連続領域LA3aと膨張した第2連続領域LA3bとが接することによって形成されたものである。このように、膨張処理によって、同じ辺を表す複数の連続領域が結合して1つの連続領域を形成し得る。
【0056】
S320(
図5)では、プロセッサ110は、注目画像(ここでは、S310による処理済の二値画像IM4)の収縮処理を実行する。収縮処理は、画像中のオブジェクトを表す部分を収縮させる処理である。
図7(E))は、S320による処理済の二値画像の例を表している。この二値画像IM5は、二値画像IM4(
図7(D))から得られる画像である。
【0057】
収縮の方法は、種々の方法であってよい。例えば、プロセッサ110は、注目画素を中心とする第2カーネル(例えば、3行3列の範囲)に含まれる複数の画素が1個以上の背景画素を含む場合に、注目画素を、背景画素に設定する。第2カーネルの全ての画素がオブジェクト画素である場合、注目画素は、オブジェクト画素に維持される。本実施例では、第2カーネルは、第1カーネルと同じである。ただし、第2カーネルは、第1カーネルと異なってよい。
【0058】
図8には、収縮処理済の二値画像IM5の部分PLが示されている。図示するように、二値画像IM5の部分PLは、1個の連続領域LA5を示している。この連続領域LA5は、収縮前の連続領域LA4と比べて、細い。図示を省略するが、収縮処理は、小さい連続領域(例えば、ノイズを表す領域)を削除し得る。
【0059】
収縮処理のための第2カーネルは、1個の連続領域が収縮処理によって複数の領域に分割されないように、構成されることが好ましい。例えば、第2カーネルは、膨張処理のための第1カーネルと同じであってよい。この場合、収縮処理による領域の分割の可能性は、低減する。
【0060】
S330(
図5)では、プロセッサ110は、注目画像(ここでは、S320による処理済の二値画像IM5)の細線化処理を実行する。細線化処理は、複数のオブジェクト画素が連続する連続領域を細らせて細線を形成する処理である。細線化の方法は、種々の方法であってよい。例えば、Hilditch、Zhang-Suen、または、Nagendraprasad-Wang-Guptaの細線化が採用されてよい。
図7(F)は、S330による処理済の二値画像の例を表している。この二値画像IM6は、二値画像IM5(
図7(E))から得られる画像である。
【0061】
図8には、細線化処理済の二値画像IM6の部分PLが示されている。図示するように、二値画像IM6の部分PLは、1個の連続領域LA6を示している。連続領域LA6は、細い線を表している。線の幅は、例えば、1画素である。
【0062】
S340(
図6)では、プロセッサ110は、注目画像(ここでは、S330(
図5)による処理済の二値画像IM6)の線分検出処理を実行する。線分を検出する方法は、種々の方法であってよい。本実施例では、プロセッサ110は、ハフ変換を使用して、複数のオブジェクト画素Poによって形成される連続領域を近似する線分を検出する。
【0063】
図7(G)は、二値画像IM6から検出される線分の例を表している。図中では、6本の線分dL1-dL6が検出されている。第1線分dL1は、台紙P2の左側の辺S2Lを示し、第2線分dL2は、ラベルP1の左側の辺S1Lを示し、第3線分dL3は、中部分Pcの左側の辺ScLを示し、第4線分dL4は、中部分Pcの右側の辺ScRを示し、第5線分dL5は、ラベルP1の右側の辺S1Rを示し、第6線分dL6は、台紙P2の右側の辺S2Rを示している。図示を省略するが、二値画像IM6からは、さらに、別の線分も検出され得る。
【0064】
S350(
図6)では、プロセッサ110は、S340で検出された線分から、許容方向範囲内の方向に延びる線分を検出する。後述するように、ラベルP1(
図3(A))の幅Waと台紙P2の幅Wbとを特定するために、二値画像IM6(
図7(G))中のラベルP1の辺S1L、S1Rと台紙P2の辺S2L、S2Rとをそれぞれ表す線分が使用される。理想的には、これらの線分は、二値画像IM6中では、第2方向Dyに平行である。実際には、媒体M(
図3(A))の延長方向D1は、搬送経路Q(
図2)の延びる方向、すなわち、媒体Mの搬送方向に対して、傾き得る。従って、二値画像IM6中では、辺S1L、S1R、S2L、S2Rを表す線分dL2、dL5、dL1、dL6は、第2方向Dyに対して傾き得る。
【0065】
許容方向範囲は、このように傾き得る線分の延びる方向の許容範囲を示している。本実施例では、許容方向範囲は、第2方向Dy(すなわち、搬送方向)を中心とする許容角度幅の範囲である。許容角度幅は、例えば、0.1度以上、8度以下の範囲であってよい。すなわち、第2方向Dyと線分とがなす角度の上限は、0.05度以上、4度以下であってよい。このような許容方向範囲は、第1方向Dxに延びる線分など、辺S1L、S1R、S2L、S2Rとは異なるオブジェクトを表す線分を、除外できる。
【0066】
本実施例では、プロセッサ110は、許容方向レベル(
図4:S110)に対応付けられる許容角度幅を使用する。許容方向レベルは、1からHまでのH段階(Hは2以上の整数。例えば、Hは5)で表される。レベルが大きいほど、許容角度幅が大きい。H個のレベルには、予め、許容角度幅が対応付けられている。S110で許容方向レベルが指定されない場合、プロセッサ110は、予め決められた標準レベルに対応付けられる許容角度幅を使用する。以下、S350(
図6)で、
図7(G)の6本の線分dL1-dL6が、検出されることとする。
【0067】
S360では、プロセッサ110は、S350で検出された線分を、画像の中心Ccの座標に基づいて、右と左とに分類する。具体的には、プロセッサ110は、複数の線分を、左領域ALに含まれる左線分と、右領域ARに含まれる右線分とに、分類する。本実施例では、読取画像IM1(
図7(A))中の媒体Mの第1方向Dxの位置は、読取画像IM1のほぼ中央である。従って、
図7(G)の例では、台紙P2とラベルP1と中部分Pcとの左側の辺S2L、S1L、ScLは、左領域ALに含まれる。台紙P2とラベルP1と中部分Pcとの右側の辺S2R、S1R、ScRは、右領域ARに含まれる。
【0068】
S370(
図6)では、プロセッサ110は、中心Ccの座標から遠い順に、右線分と左線分との組み合わせである線ペアを形成する。プロセッサ110は、左線分のうちの中心線Lcから最も遠い線分dL1(
図7(G))と、右線分のうちの中心線Lcから最も遠い線分dL6と、の第1線ペアLP1を形成する。プロセッサ110は、左線分のうち中心線Lcから2番目に遠い線分dL2と、右線分のうち中心線Lcから2番目に通り線分dL5と、の第2線ペアLP2を形成する。本実施例では、プロセッサ110は、最大で2個の線ペアを形成することとする。
【0069】
各領域AL、ARから検出される線分の総数(すなわち、左線分の総数と右線分の総数)は、種々の数であり得る。形成される線ペアの総数NP(ペア数NPとも呼ぶ)は、各領域AL、ARから検出される線分の総数によって、制限される。例えば、左領域ALから検出される線分の総数が1である場合、ペア数NPは、1以下である。右領域ARから検出される線分の総数がゼロである場合、ペア数NPは、ゼロである。このように、ペア数NPは、0、1、2のいずれかであり得る。
【0070】
S380(
図6)では、プロセッサ110は、ペア数NPが1以上であるか否かを判断する。ペア数NPが1以上である場合(S380:Yes)、S400で、プロセッサ110は、最も広い線ペアの距離を、台紙P2の特定された幅である特定台紙幅dWbとして採用する。
図7(H)は、二値画像IM6から特定される幅の例を表している。最も広い線ペアは、第1線ペアLP1である。特定台紙幅dWbは、第1線ペアLP1を形成する第1線分dL1と第6線分dL6との間の距離である。
【0071】
なお、線ペアを形成する2本の線分は、平行ではない場合がある。線ペアの距離、すなわち、線ペアを形成する2本の線分の間の距離としては、最長距離と、最短距離と、最長距離と最短距離との平均と、から予め選択された距離が採用されてよい。
【0072】
S410(
図6)では、プロセッサ110は、ペア数NPが2以上であるか否かを判断する。ペア数NPが2以上である場合(S410:Yes)、S420で、プロセッサ110は、2番目に広い線ペアの距離を、ラベルP1の特定された幅である特定ラベル幅dWaとして採用する。
図7(H)の例では、2番目に広い線ペアは、第2線ペアLP2である。特定ラベル幅dWaは、第2線ペアLP2を形成する第2線分dL2と第5線分dL5との間の距離である。
【0073】
なお、本実施例では、幅dWa、dWbは、mmの単位で表される。プロセッサ110は、このような単位で表される幅dWa、dWbを、二値画像IM6の解像度(単位は、例えば、ppi)を使用して、算出する。
【0074】
S450では、プロセッサ110は、進行フラグFLGをオンに設定する。オンの進行フラグFLGは、特定ラベル幅dWaと特定台紙幅dWbとが、適切に取得されたことを示している。S490では、プロセッサ110は、搬送部3(
図2)を駆動することによって、媒体M(
図2)を、ヘッド6の位置まで逆方向Bに搬送する。例えば、プロセッサ110は、媒体Mの複数のラベルP1のうちの最も順方向F側のラベルP1が、ヘッド6による印刷のための位置に位置するように、媒体Mを搬送する。そして、
図6の処理、すなわち、
図4のS120が終了する。
【0075】
S410でペア数NPが2以上ではない場合(ここでは、L=1)、S430で、プロセッサ110は、幅関連情報に基づいて、参考ラベル幅が参考台紙幅と同じであるか否かを判断する。ラベルの種類によっては、ラベルの幅が台紙の幅と同じであり得る(後述)。なお、S110(
図4)で幅関連情報が入力されていない場合、S430の判断結果は、予め決められた判断結果であってよい(例えば、No)。
【0076】
S430で、参考ラベル幅が参考台紙幅と同じである場合(S430:Yes)、S440で、プロセッサ110は、特定ラベル幅dWaを、特定台紙幅dWbと同じ値に設定する。そして、プロセッサ110は、S450へ移行する。
【0077】
S430で、参考ラベル幅が参考台紙幅と異なる場合(S430:No)、2個の線ペアが検出されない原因である不具合が発生している可能性がある。不具合は、例えば、意図されないロールRの使用、媒体Mの折れ曲がり、など、種々の不具合であり得る。S430の判断結果がNoである場合、S460で、プロセッサ110は、進行フラグFLGをオフに設定する。オフの進行フラグFLGは、特定ラベル幅dWaと特定台紙幅dWbとの一方または両方が、適切に取得されなかったことを示している。そして、プロセッサ110は、S490へ移行する。
【0078】
S380で、ペア数NPが1以上ではない場合(ここでは、L=0)、プロセッサ110は、S460へ移行する。
【0079】
以上のように、プロセッサ110は、
図5、
図6の幅処理、すなわち、
図4のS120を実行する。
【0080】
S120(
図4)の後、S130で、プロセッサ110は、進行フラグFLGがオンであるか否かを判断する。進行フラグFLGがオンである場合(S130:Yes)、S140で、プロセッサ110は、対象画像TIが特定ラベル幅dWa内か否かを判断する。上述したように、本実施例では、媒体M上の長さ(単位は、mm)に対する対象画像上の画素数の比率は、予め決められている。プロセッサ110は、この比率と対象画像TIの第1方向Dxの画素数とを使用して、対象画像TIの第1方向Dxの長さ(すなわち、幅)を算出する。プロセッサ110は、算出された対象画像TIの幅が特定ラベル幅dWa以下である場合に、対象画像TIが特定ラベル幅dWa内であると判断する。
【0081】
対象画像TIが特定ラベル幅dWa内である場合(S140:Yes)、S150で、プロセッサ110は、印刷処理を実行する。プロセッサ110は、対象画像データを使用して、印刷部160に対象画像TIを媒体M上に印刷させる。これにより、ラベルP1上に対象画像TIが印刷される(
図3(C))。なお、印刷処理は、種々の処理を含んでよい。対象画像データの解像度が印刷用の解像度と異なる場合、印刷処理は、対象画像データの解像度を印刷解像度に変換する解像度変換処理を含んでよい。対象画像データの色空間が印刷用の色空間と異なる場合、印刷処理は、対象画像データの色空間を印刷用の色空間に変換する色変換処理を含んでよい。印刷処理は、ハーフトーン処理を含んでよい(例えば、誤差拡散法、または、ディザ法)。
【0082】
S160では、プロセッサ110は、搬送部3(
図2)を駆動することによって、印刷済ラベルP1p(
図3(C))を読取部170の読取位置まで搬送する。S170では、プロセッサ110は、読取部170に媒体Mを読み取らせることによって、読取部170から読取画像のデータを取得する。
図3(D)の読取画像IMpは、S170で得られる読取画像の例である。
【0083】
S180では、プロセッサ110は、印刷済のコード画像C1、C2を検査する。印刷には、画像の一部分の欠落や画像の滲みなど、種々の不具合が生じ得る。印刷済のコード画像C1、C2が不具合を有する場合、コード画像C1、C2を適切にデコードできない場合がある。本実施例では、プロセッサ110は、デコードに関連する検査を行う。
【0084】
本実施例では、S180は、S183、S186を含んでいる。S183では、プロセッサ110は、読取画像IMp中のコード画像C1、C2を、それぞれデコードする。S186では、プロセッサ110は、デコード結果の評価情報を出力する。印刷済のコード画像C1、C2が不具合(汚れ、一部分の欠落、など)を有する場合、デコードに失敗し得る。評価情報は、デコードに成功したか否かを表す情報を含んでよい。また、プロセッサ110は、デコード結果が正しいか否かを判断してよい。例えば、プロセッサ110は、対象画像TIのデータを使用してコード画像C1、C2をそれぞれデコードし、対象画像TIからのデコード結果と読取画像IMpからのデコード結果とを比較してよい。印刷済のコード画像C1、C2が不具合を有する場合、誤った情報がデコードされ得る。評価情報は、比較結果を含んでよい。
【0085】
評価情報の出力方法は、任意の方法であってよい。例えば、プロセッサ110は、評価情報を表すデータを、記憶装置(例えば、不揮発性記憶装置130、または、印刷装置100に接続された図示しない外部記憶装置)に出力してよい(これにより、評価情報のデータが、記憶装置に格納される)。また、プロセッサ110は、評価情報を表すデータ(例えば、画像データ)を、表示部140に出力してよい(これにより、評価情報が表示部140に表示される)。
【0086】
S190(
図4)では、プロセッサ110は、搬送部3(
図2)を駆動することによって、印刷済ラベルP1p(
図3(C))を載せた台紙P2を、排出口21から排出する。ここで、プロセッサ110は、切断部50を駆動することによって、台紙P2のうちの印刷済ラベルP1pを載せる部分を、筐体2内の台紙P2から切り離してよい。S190の後、プロセッサ110は、
図4の処理を終了する。
【0087】
S130で進行フラグFLGがオフである場合(S130:No)、プロセッサ110は、S143へ移行する。S140で、対象画像TIが特定ラベル幅dWa内ではない場合(S140:No)、プロセッサ110は、S143へ移行する。
【0088】
S143では、プロセッサ110は、選択画面を表示部140に表示する。図示を省略するが、選択画面は、処理の進行の選択肢(ここでは、「続行」と「キャンセル」)を表している。S146では、ユーザは、操作部150を操作することによって、1つの選択肢を選択する指示を入力する。進行フラグFLGがオフである場合(S130:No)、または、対象画像TIが特定ラベル幅dWa内ではない場合(S140:No)であっても、対象画像データの適切性が、ユーザによって確認済である場合がある。この場合、ユーザは、「続行」を選択してよい。指示が「続行」を示す場合、プロセッサ110は、S150へ移行する。指示が「キャンセル」を示す場合、プロセッサ110は、S150-S180をスキップして、
図4の処理を終了する。
【0089】
図9(A)は、媒体の別の例を表す図である。媒体Mbと
図3(A)の媒体Mとの間の差違は、ラベルP1bの幅Waが、台紙P2の幅Wbと同じである点だけである。ラベルP1bの左側の辺S1Lbは、台紙P2の左側の辺S2Lに重なっている。ラベルP1bの右側の辺S1Rbは、台紙P2の右側の辺S2Rに重なっている。
【0090】
図9(B)-
図9(D)は、幅処理(
図5、
図6)で処理される画像の例を表す図である。
図9(B)の二値画像IM6bは、媒体Mb(
図9(A))の読取画像を使用して幅処理が実行される場合に、細線化処理(S330)で生成される画像を表している。ラベルP1bの辺S1Lb、S1Rbは、台紙P2の辺S2L、S2Rに、それぞれ重なっている。
【0091】
図9(C)は、線分の検出処理(S340、S350(
図6))で、二値画像IM6bから検出される線分の例を表している。2本の線分dLb1、dLb2が検出されている。第1線分dLb1は、ラベルP1bと台紙P2との左側の辺S1Lb、S2Lを示し、第2線分dLb2は、ラベルP1bと台紙P2との右側の辺S1Rb、S2Rを示している。S360では、第1線分dLb1は、左線分(すなわち、左領域AL内の線分)に分類され、第2線分dLb2は、右線分(すなわち、右領域AR内の線分)に分類される。
【0092】
図9(D)は、S370(
図6)で形成される線ペアを表している。第1線分dLb1と第2線分dLb2との第1線ペアLPb1が形成される。二値画像IM6bからは、1個の線ペアLPb1が形成されることとする。
【0093】
このような二値画像IM6bが処理される場合、S380(
図6)では、ペア数NPは1以上である(S380:Yes)。S400では、特定台紙幅dWbは、第1線ペアLPb1を形成する第1線分dLb1と第2線分dLb2との間の距離に設定される。S410では、ペア数NPは2以上ではない(S410:No)。ここで、S110(
図4)で幅関連情報が入力されることとする。そして、幅関連情報は、媒体Mb(
図9(A))を適切に示していることとする。このような幅関連情報に対応付けられる参考ラベル幅と参考台紙幅とは、同じである。S430では、参考ラベル幅が参考台紙幅と同じであると判断される(S430:Yes)。S440では、特定ラベル幅dWaは、特定台紙幅dWbと同じ値に設定される。
【0094】
以上のように、本実施例では、印刷装置100(
図1)の制御装置105は、
図5、
図6で説明した画像処理を実行する。制御装置105(ひいては、制御装置105を有する印刷装置100)は、画像処理装置の例である。プロセッサ110は、以下の処理を実行する。S220(
図5)では、プロセッサ110は、読取画像IM1(
図7(A))のデータを取得する。読取画像IM1は、ラベルP1を載せた台紙P2のラベルP1側の面(すなわち、ラベルP1を載せた台紙P2のラベルP1が位置する側の面)を光学的に読み取った読取画像である。このような読取画像IM1は、媒体M(ここでは、ラベルP1と、ラベルP1を載せた台紙P2と、を有するラベルシート)の両面のうちのラベルP1側の面を光学的に読み取った読取画像である。台紙P2は、裏シート(ライナーとも呼ばれる)の例である。裏シートは、ラベルを支持するシートである。台紙幅(例えば、台紙幅dWb)は、裏シート幅の例である。線分検出処理PA(
図5、
図6)では、プロセッサ110は、読取画像IM1を使用して線分を検出する。幅特定処理PB(
図6)では、プロセッサ110は、検出される線分を使用して、台紙幅dWbとラベル幅dWaとを特定する。このように、プロセッサ110は、読取画像を使用して検出される線分を使用することによって、台紙幅dWbとラベル幅dWaとを適切に特定できる。幅dWa、dWbを特定する処理の比較例としては、例えば、読取画像IM1からテンプレートマッチングなどによって直接的にラベルP1と台紙P2とを検出し、検出されたラベルP1と台紙P2とのそれぞれの幅を取得する処理が挙げられる。ここで、背景BGと台紙P2との間の色の違いが小さい場合、台紙P2を適切に検出できない場合がある。台紙P2とラベルP1との間の色の違いが小さい場合、ラベルP1を適切に検出できない場合がある。本実施例では、読取画像を使用して検出される線分(例えば、背景BGと台紙P2との間の境界を表す線分と、台紙P2とラベルP1との間の境界を表す線分と、を含む)が使用されるので、プロセッサ110は、幅dWa、dWbを適切に特定できる。なお、特定される幅dWa、dWbは、種々の処理に使用可能である。例えば、S110(
図4)で入力される幅関連情報が適切であるか否かの判断に、幅dWa、dWbが使用されてよい。
【0095】
また、本実施例では、印刷装置100(
図1、
図2)は、読取部170と印刷部160とを備えている。読取部170は、S220(
図5)で説明したように、ラベルP1を載せた台紙P2を光学的に読み取ることによって読取画像IM1(
図7(A))を生成する。印刷部160は、S150(
図4)で説明したように、ラベルP1上に対象画像TIを印刷する。このように、印刷装置100は、印刷装置100とは異なる他の装置を使用せずに、読取画像IM1の生成と対象画像TIの印刷とを行うことができる。:
【0096】
また、本実施例では、印刷装置100(
図2)は、さらに、排出口形成部21fを備えている。S190(
図4)で説明したように、排出口形成部21fは、印刷済ラベルP1p(
図3(C))を載せた台紙P2を排出する排出部の例である。また、
図2で説明したように、印刷部160は、搬送部3とヘッド6とを含んでいる。搬送部3は、ラベルP1を載せた台紙P2を搬送経路Qに沿って搬送する。ヘッド6は、搬送経路Q上の台紙P2に載せられたラベルP1上に対象画像TIを印刷する印刷実行部の例である。そして、読取部170は、搬送経路Q上のヘッド6と排出口形成部21fとの間に配置されている。従って、印刷部160による印刷の後に媒体Mを順方向Fに搬送することによって、読取部170は、印刷済ラベルP1pを読み取ることができる。同じロールRを使用して複数枚のラベルP1に対象画像TIが印刷される場合、幅の適切性を判断するための処理(
図4:S120-S146)の回数は、1回で十分である。この後は、ラベルP1の印刷(S150)と印刷済ラベルP1pの読取り(S170)と印刷済ラベルP1pの検査(S180)とが繰り返されてよい。これらの処理は、媒体Mを逆方向Bに搬送せずに順方向Fに搬送することによって、進行可能である。従って、逆方向Bの搬送が必要な場合と比べて、処理に要する時間を短縮できる。
【0097】
また、本実施例では、
図5のS210で説明したように、搬送部3は、印刷部160による印刷(
図4:S150)の前に、読取部170によるラベルP1を載せた台紙P2の読み取りのために、ラベルP1を載せた台紙P2を、ヘッド6の位置を通り過ぎて読取部170の位置まで搬送する。
図6のS490で説明したように、搬送部3は、読取部170によるラベルP1を載せた台紙P2の読み取り(
図5:S220)の後に、印刷部160による印刷のために、ラベルP1を載せた台紙P2を、読取部170の位置からヘッド6の位置まで搬送する。これにより、ヘッド6は、ラベルP1に対する対象画像TIの印刷を、適切に実行できる。
【0098】
また、本実施例では、
図3(B)で説明したように、印刷部160によって印刷される対象画像TIは、コード画像C1、C2を含んでいる。
図4のS170で説明したように、読取部170は、印刷済の対象画像TIを表すラベルP1pを載せた台紙P2を光学的に読み取ることによって印刷済の対象画像TIを表す読取画像IMpであるコード読取画像を生成する。
図4のS180では、プロセッサ110は、コード読取画像によって表されるコード画像C1、C2の検査を行う。従って、プロセッサ110は、不具合を有するコード画像を表すラベルP1が使用される可能性を低減できる。
【0099】
また、本実施例では、S110(
図4)で、プロセッサ110は、台紙P2の幅WbとラベルP1の幅Waとに関連する幅関連情報を取得する。線分検出処理PA(
図5、
図6)は、S290を含んでいる。S290では、プロセッサ110は、中部分Pcを、読取画像IM1を使用して得られる二値画像IM2から削除する。
図7(A)、
図7(C)に示すように、中部分Pcは、読取画像IM1のうちの台紙P2の幅方向の両端(ここでは、両辺S2L、S2R)とラベルP1の幅方向の両端(ここでは、両辺S1L、S1R)とよりも内側に位置する。
図5のS270で説明したように、中部分Pcの幅Wcは、幅関連情報に対応付けられるラベルサイズに基づいて決定される。すなわち、中部分Pcは、幅関連情報に対応付けられる幅Wcを有している。そして、S340-S350(
図6)では、プロセッサ110は、中部分Pcを読取画像IM1から除いた残部分Prを使用して、線分を検出する。中部分Pcに含まれるオブジェクトは、幅Wa、Wbとは無関係なオブジェクトである(テキストなど)。プロセッサ110は、残部分Prから線分を検出することによって、幅Wa、Wbに関連付けられる線分を適切に検出できる。また、幅Wa、Wbとは無関係な線分が検出される可能性が低減するので、特定ラベル幅dWaと特定台紙幅dWbとの算出の精度を向上できる。また、中部分Pcからの線分の検出が省略されるので、線分検出処理PAの負担は軽減される。
【0100】
また、本実施例では、読取画像IM1(
図7(A))は、中心線Lcによって分離される第1領域ALと第2領域ARとを含んでいる。中心線Lcは、読取画像IM1の中のラベルP1の幅方向の両端(ここでは、両辺S1L、S1R)よりも内側に位置する基準線の例である。幅特定処理PB(
図6)は、S380-S420を含んでいる。S380、S410には、数NL、NRが示されている。数NLは、第1領域ALから検出される線分の数である(すなわち、左線分の数)。数NRは、第2領域ARから検出される線分の数である(すなわち、右線分の数)。
【0101】
本実施例では、ペア数NPが2以上である、という条件が満たされる場合に(S380:Yes、かつ、S410:Yes)、S400、S420の両方が実行される。ペア数NPが2以上であることは、左線分の数NLが2以上であり、かつ、右線分の数NRが2以上であることを示している。以下、S400、S420の両方が実行されるための条件を、第1条件CD1と呼ぶ。
【0102】
S400では、プロセッサ110は、NL本の左線分のうちの中心線Lcから最も遠い第1線分(例えば、線分dL1(
図7(G)))と、NR本の右線分のうちの中心線Lcから最も遠い第2線分(例えば、線分dL6)と、の間の距離を、台紙幅dWbとして特定する。S420では、プロセッサ110は、NL本の左線分のうちの中心線Lcから2番目に遠い第3線分(例えば、線分dL2)と、NR本の右線分のうちの中心線Lcから2番目に遠い第4線分(例えば、線分dL5)と、の間の距離を、ラベル幅dWaとして特定する。以上により、プロセッサ110は、適切なラベル幅dWaと適切な台紙幅dWbとを特定できる。
【0103】
また、本実施例では、ペア数NPが1であり(S380:Yes、かつ、S410:No)、かつ、幅関連情報に基づいて参考ラベル幅が参考台紙幅と同じである(S430:Yes)、という条件が満たされる場合に、S400、S440の両方が実行される。ペア数NPが1であることは、左線分の数NLと右線分の数NRとのうちの一方、または、両方が、1であることを示している。以下、S400、S440の両方が実行されるための条件を、第2条件CD2と呼ぶ。
【0104】
S440では、プロセッサ110は、ラベル幅dWaを、台紙幅dWbと同じ値に設定する。すなわち、プロセッサ110は、中心線Lcから最も遠い第1線分と第2線分との間の距離を、台紙幅dWbおよびラベル幅dWaとして特定する。このように、ラベルP1の幅Waが台紙P2の幅Wbと同じである場合に、プロセッサ110は、適切なラベル幅dWaと適切な台紙幅dWbとを特定できる。
【0105】
また、本実施例では、S110(
図4)で、プロセッサ110は、台紙P2の幅WbとラベルP1の幅Waとに関連する幅関連情報を取得する。
図6に示すように、第2条件CD2は、ラベルP1の幅Waが台紙P2の幅Wbと同じであることが幅関連情報によって示されることを示す幅条件(S430:Yes)を含んでいる。S380:Yes、かつ、S410:No、かつ、S430:Noである場合には、プロセッサ110は、ラベル幅dWaの特定(S440)とは異なる処理(第1特定処理と呼ぶ)を実行する。本実施例では、第1特定処理は、
図4のS143-S146を含んでいる。以下、第1特定処理を実行するための条件を、第3条件CD3と呼ぶ。本実施例では、第3条件CD3は、左線分の数NLと右線分の数NRとのうちの一方、または、両方が、1であること(
図6:S410:No)と、幅条件が満たされないこと(S430:No)と、を含む。このような第3条件CD3が満たされる場合には、線ペアから適切なラベル幅dWaを特定できない可能性がある。第3条件CD3が満たされる場合、プロセッサ110は、第1特定処理を実行することによって、不適切なラベル幅dWaの使用の可能性を低減できる。本実施例では、第1特定処理は、対象画像TIの印刷のキャンセルを含む複数の選択肢から処理の進行のための選択肢をユーザに選択させる処理(
図4のS143-S146)を含んでいる。従って、不適切な印刷の可能性は、低減する。
【0106】
また、本実施例では、プロセッサ110は、幅特定処理PB(
図6)に含まれるS420、または、S440で、ラベル幅dWaを特定する。S140(
図4)では、プロセッサ110は、ラベル幅dWaを使用して、対象画像TIが特定ラベル幅dWa内か否かを判断する。すなわち、プロセッサ110は、ラベルP1上に印刷すべき対象画像TIがラベルP1からはみ出るか否かを判断する(本実施例では、特に、対象画像TIがラベルP1の幅方向にはみ出るか否かが判断される)。プロセッサ110は、この判断結果に応じて、処理を切り替えることができる。本実施例では、対象画像TIがラベルP1からはみ出ると判断される場合(S140:No)、S143-S146で、プロセッサ110は、対象画像TIの印刷のキャンセルを含む複数の選択肢から1つの選択肢をユーザに選択させる。プロセッサ110は、ラベルP1からはみ出る対象画像TIの印刷の可能性を低減できる。
【0107】
また、本実施例では、幅特定処理PB(
図6)は、S350を含んでいる。S350では、プロセッサ110は、二値画像IM6(
図7(G))内で許容方向範囲内の方向に延びる線分を検出する。二値画像IM6は、読取画像IM1(
図7(A))の二値化された画像を表している。従って、二値画像IM6上の許容方向範囲は、読取画像IM1上の同じ方向範囲を示している。S350で検出される線分は、読取画像IM1内で許容方向範囲内の方向に延びる線分を示している。幅特定処理PBでは、プロセッサ110は、このような線分を使用して、台紙幅dWbとラベル幅dWaとを特定する。許容方向範囲内の方向に延びる線分が検出されない場合、ペア数NPはゼロである。この場合(
図6:S380:No)、プロセッサ110は、特定台紙幅dWbとラベル幅dWaとの特定(S400、S440)とは異なる処理(第2特定処理と呼ぶ)を実行する。許容方向範囲内の方向に延びる線分が検出されない場合、媒体Mが不具合を有する可能性がある(例えば、媒体Mの折れ曲がり、など)。プロセッサ110は、第2特定処理を実行することによって、不適切な幅dWb、dWaの特定の可能性を低減できる。本実施例では、第2特定処理は、
図4のS143-S146、すなわち、対象画像TIの印刷のキャンセルを含む複数の選択肢から処理の進行のための選択肢をユーザに選択させる処理を含んでいる。従って、不適切な印刷の可能性は、低減する。
【0108】
また、本実施例では、線分検出処理PA(
図5、
図6)は、第1処理PS1と、第2処理PS2と、第3処理PS3と、第4処理PS4と、を含んでいる。第1処理PS1は、
図5のS230-S300を含んでいる。第1処理PS1は、二値化(S280、または、S300)を含んでいる。プロセッサ110は、読取画像IM1を使用して第1処理PS1を行うことによって、二値画像を生成する(第1画像と呼ぶ。例えば、二値画像IM3(
図7(C)))。第2処理PS2は、S310(膨張処理)とS320(収縮処理)とを含んでいる。プロセッサ110は、第1画像を使用して第2処理PS2を行うことによって、処理済の画像を生成する(第2画像と呼ぶ。例えば、二値画像IM5(
図7(E)))。第3処理PS3は、S330(細線化処理)を含んでいる。プロセッサ110は、第2画像を使用して第3処理PS3を行うことによって、処理済の画像を生成する(第3画像と呼ぶ。例えば、二値画像IM6(
図7(F)))。第4処理PS4は、
図6のS340-S350を含んでいる。プロセッサ110は、第3画像を使用して第4処理PS4を行うことによって、線分を検出する。以上により、プロセッサ110は、線分を適切に検出できる。例えば、
図8で説明したように、膨張処理(S310)は、1本の辺S1Lを表す複数の連続領域LA3a、LA3bを結合できる。収縮処理(S320)は、膨張した連続領域LA4を細くできる。細線化処理(S330)は、連続領域LA5を、更に細くできる。細線化された連続領域LA6を表す画像を使用して線分を検出することによって、線分の位置と方向とのそれぞれの誤差は低減する。従って、幅dWa、dWbの算出の精度は向上する。
【0109】
B.第2実施例:
図10(A)は、媒体の別の例を表す図である。媒体Mcと
図3(A)の媒体Mとの間の差違は、ラベルP1c上のテンプレート画像SIが省略されている点だけである。
図10(B)-
図10(G)は、この媒体Mcの読取画像から得られる画像の例を表す図である。
【0110】
図10(B)-
図10(D)は、S110(
図4)で幅関連情報が入力される場合に処理される画像を表している。
図10(B)の二値画像IM6cは、媒体Mc(
図10(A))の読取画像を使用して幅処理(
図5、
図6)が実行される場合に、S330で生成される画像を表している。ラベルP1c内のオブジェクトが無い点を除いて、二値画像IM6cは、
図7(F)の二値画像IM6と同様である。
【0111】
図10(C)は、S340、S350(
図6)で、二値画像IM6cから検出される線分の例を表している。ここでは、4本の線分dLc1-dLc4が検出されている。第1線分dLc1は、台紙P2の左側の辺S2Lを示し、第2線分dLc2は、ラベルP1の左側の辺S1Lを示し、第3線分dLc3は、ラベルP1の右側の辺S1Rを示し、第4線分dLc4は、台紙P2の右側の辺S2Rを示している。S360(
図6)では、線分dLc1、dLc2は、左線分(すなわち、左領域AL内の線分)に分類され、線分dLc3、dLc4は、右線分(すなわち、右領域AR内の線分)に分類される。
【0112】
図10(D)は、S370(
図6)で形成される線ペアを表している。第1線分dLc1と第4線分dLc4との第1線ペアLPc1と、第2線分dLc2と第3線分dLc3との第2線ペアLPc2とが形成される。
【0113】
このような二値画像IM6cが処理される場合、S380(
図6)では、ペア数NPは1以上である(S380:Yes)。S400では、特定台紙幅dWbは、第1線ペアLPc1を形成する線分dLc1、dLc4との間の距離に設定される。S410では、ペア数NPは2以上である(S410:Yes)。S420では、特定ラベル幅dWaは、第2線ペアLPc2を形成する線分dLc2、dLc3の間の距離に設定される。
【0114】
図10(E)-
図10(G)は、S110(
図4)で幅関連情報が入力されない場合に処理される画像を表している。
図10(E)-
図10(G)は、
図10(B)-
図10(D)と、それぞれ同じ段階の画像を表している。
図10(E)の二値画像IM6dは、中部分Pcのオブジェクトが削除されていない点を除いて、
図10(B)の二値画像IM6cと同様である。
【0115】
図10(F)に示すように、二値画像IM6dからは、
図10(C)の例と同じ線分dLc1-dLc4に加えて、線分dLd5-dLd7が検出されている。線分dLd5-dLd7は、ラベルP1cの長辺S1U、S1Dを示しており、第1方向Dxと実質的に平行である。なお、S350(
図6)では、線分dLd5-dLd7は検出されずに、線分dLd5-dLd7が検出される。
【0116】
図10(G)に示すように、
図10(D)の例と同じ線ペアLPc1、LPc2が形成される。線ペアLPc1、LPc2を使用して行われる処理は、
図10(D)で説明した処理と同じである。図示を省略するが、ラベルP1cに印刷される対象画像は、任意の画像であってよい。
【0117】
以上のように、ラベルとしては、空白のラベルP1cが使用されてよい。また、幅関連情報は、入力されなくてよい。この場合も、S350(
図6)の処理によって、プロセッサ110は、ラベルP1cと台紙P2とのそれぞれの幅に関連する線分dLc1-dLc4を検出できる。
【0118】
C.変形例:
(1)幅処理(
図5、
図6)で使用される幅の単位は、mmに限らず、任意の単位であってよい(例えば、処理される画像上の画素数)。また、幅関連情報(
図4:S110)は、台紙幅とラベル幅とに関連する種々の情報であってよい。例えば、幅関連情報は、ラベルが貼付されるべき製品(例えば、複合機、ミシン、カッティングマシン、工作機械、など)の型番であってよい。また、幅関連情報は、台紙幅とラベル幅とを表してよい(単位は、例えば、mm、または、画素数)。
【0119】
(2)対象画像(例えば、対象画像TI(
図3(B)))に含まれるコード画像は、バーコード、または、QRコードに限らず、情報を表す種々のコードの画像であってよい。対象画像に含まれるコード画像の総数は、1以上の種々の数であってよい。また、印刷済のコード画像の検査処理は、コード画像が適切であるか否かを判断する任意の処理であってよい。例えば、検査処理は、
図4のS180のように、読取画像に含まれるコード画像をデコードする処理と、デコード結果の評価情報(例えば、コード画像が適切であるか否かを表す情報)を出力する処理と、を含んでよい。また、検査処理は、読取画像中のコード画像と対象画像中のコード画像との間の類似度(例えば、正規化相互相関(Normalized Cross Correlation))を算出する処理と、類似度が閾値以上であるか否かを表す情報を出力する処理と、を含んでよい。閾値以上の類似度は、読取画像中のコード画像が適切であることを示している。閾値未満の類似度は、読取画像中のコード画像が不適切であることを示している。
【0120】
なお、対象画像がコード画像を含む場合であっても、印刷済のコード画像の検査処理は、省略されてよい。対象画像は、コード画像を含まずに、他の情報(例えば、文字列、ロゴマークなど)を含んでよい。
【0121】
(3)読取画像(例えば、読取画像IM1(
図7(A)))を第1領域ALと第2領域ARとに区分する基準線は、中心線Lcに限らず、ラベルの幅方向の両端(例えば、両辺S1L、S1R)よりも内側に位置する種々の線であってよい。例えば、基準線は、中心線Lcと比べて、第1方向Dx側、または、第1方向Dxの反対方向側、に位置してよい。一般的には、基準線は、ラベルの幅方向の両端(すなわち、2個の辺)が、基準線によって分離された2個の領域にそれぞれ配置されるように、構成されていることが好ましい。
【0122】
(3)線分検出処理は、
図5、
図6の線分検出処理PAに限らず、読取画像を使用して線分を検出する種々の処理であってよい。線分検出処理は、処理PS1、PS2、PS3、PS4(
図5、
図6)を含む種々の処理であってよい。ここで、第1処理PS1は、二値化を含む種々の処理であってよい。
図5の第1処理PS1からは、ガンマ補正(S230)と、解像度変換(S240-S250)と、中部分Pcの削除(S270-S290)と、から任意に選択される1以上の処理が、省略されてよい。中部分Pcの削除(S270-S290)が省略される場合、幅関連情報が入力されるか否かに拘わらず、S300が実行されてよい。また、第1処理PS1は、他の画像処理を含んでよい(例えば、二値化の前のシャープネス強調処理)。
【0123】
第2処理PS2(
図5)は、膨張と収縮とを含む種々の処理であってよい。例えば、膨張(S310)と収縮(S320)とは、交互に複数回、繰り返されてよい。第2処理PS2は、他の画像処理を含んでよい。例えば、ノイズ除去処理が、膨張と収縮との間に行われてよい。ノイズ除去処理は、例えば、複数のオブジェクト画素Poによって形成される連続領域であって、閾値以下の面積を有する小さい連続領域を削除する処理であってよい。
【0124】
第3処理PS3(
図5)は、細線化を含む種々の処理であってよい。例えば、第3処理PS3は、細線化の前のノイズ除去処理を含んでよい。
【0125】
第4処理PS4(
図6)は、線分を検出する種々の処理であってよい。例えば、プロセッサ110は、複数のオブジェクト画素Poによって形成される連続領域を近似する線分を、最小二乗法によって検出してよい。
【0126】
また、S350で許容方向範囲内の方向に延びる線分が検出されない場合(S380:No)に実行される第2特定処理は、幅を特定する処理とは異なる種々の処理であってよい。例えば、第2特定処理は、許容方向範囲内の方向に延びる線分が検出されないことを示す警報情報を表示部140に表示する処理を含んでよい。
【0127】
線分検出処理は、上記の実施例または変形例の処理に代えて、他の種々の処理であってよい。例えば、ガンマ補正(S230)と、解像度変換(S240-S250)と、中部分Pcの削除(S270-S290)と、膨張収縮(S310-S320)と、細線化処理(S330)と、から任意に選択される1以上の処理が、省略されてよい。また、線分検出処理は、読取画像から複数のエッジ画素を抽出する処理と、複数のエッジ画素を使用して線分を検出する処理(例えば、ハフ変換、または、最小二乗法)と、を含んでよい。
【0128】
(4)幅特定処理は、
図6の幅特定処理PBに限らず、線分を使用して台紙幅とラベル幅とのうちの一方、または、両方を特定する種々の処理であってよい。S400、S420の両方が実行されるための第1条件CD1は、「第1領域ALから検出される線分の数NLが2以上であり、かつ、第2領域ARから検出される線分の数NRが2以上である」を含む種々の条件であってよい。例えば、第1条件CD1は、さらに、幅関連情報に対応付けられる参考台紙幅とS400で特定される台紙幅との間の差が閾値以下であることを、含んでよい。
【0129】
S400、S440の両方が実行されるため第2条件CD2は、以下の条件CDaを含む種々の条件であってよい。
条件CDa:第1領域ALから検出される線分の数NLと、第2領域ARから検出される線分の数NRと、のうちの一方、または、両方が、1である。
例えば、「S430:Yes」は、第2条件CD2から省略されてよい(例えば、S410:Noの場合に、プロセッサ110は、S440へ移行してよい)。なお、
図6の実施例では、S380:Yes、かつ、S410:Noの場合に、条件CDaが満たされる。
【0130】
幅を特定する処理とは異なる第1特定処理を実行するための第3条件CD3は、上記の条件CDaと、以下の条件CDbと、を含む種々の条件であってよい。
条件CDb:ラベルP1の幅Waが台紙P2の幅Wbと同じであることが幅関連情報によって示されない(S430:No)。
第1特定処理は、幅を特定する処理とは異なる種々の処理であってよい。例えば、第1特定処理は、検出された線ペアの総数が2以上であるべきにも拘わらず、線ペアの総数が1以下であることを示す警報情報を、表示部140に表示する処理を含んでよい。第1特定処理は、上記の第2特定処理と異なってよい。これに代えて、第1特定処理は、第2特定処理と同じであってよい。例えば、第1特定処理と第2特定処理とは、共通の警告情報を表示部140に表示する処理を含んでよい。
【0131】
(5)幅処理によって特定される幅は、ラベル幅dWaと特定台紙幅dWbとのうちの一方のみであってよい。例えば、ラベル幅dWaの特定(S410-S440)は省略されてよい。S140(
図4)では、プロセッサ110は、対象画像が特定台紙幅dWb内であるか否かを判断してよい(対象画像がラベルからはみ出ることが、許容されてよい)。なお、S140の判断結果がNoである場合(例えば、対象画像がラベルからはみ出ると判断される場合)に実行される処理は、S143、S146の処理に限らず、種々の処理であってよい。例えば、プロセッサ110は、対象画像が大きすぎることを示す警報情報を表示部140に表示してよい。また、ラベルの幅Waが台紙の幅Wbよりも小さいことが前提であってよい。そして、台紙幅dWbの特定(
図6のS400)は省略され、S420で、ラベル幅dWaが特定されてよい。
【0132】
(6)幅処理によって特定される幅は、対象画像がラベル幅内であるか否かの判断、または、対象画像が台紙幅内であるか否かの判断に限らず、種々の処理に使用されてよい。例えば、幅関連情報の入力は、省略されないこととしてよい。印刷を実行するための条件は、幅処理によって特定される幅が幅関連情報に照らして適切であること、を含んでよい。例えば、幅関連情報に対応付けられる参考ラベル幅と、幅処理によって特定されるラベル幅dWaと、の間の差が基準を超える場合に、プロセッサ110は、ラベルの幅が適切でないと判断してよい。そして、プロセッサ110は、ラベルの幅が適切でないことを示す警報情報を、表示部140に表示してよい。なお、対象画像の印刷(例えば、
図4:S150)では、対象画像の解像度(すなわち、サイズ)が、幅関連情報に適する解像度(すなわち、ラベルのサイズに適する解像度)に変換されてよい。この場合、S140(
図4)は、省略されてよい。
【0133】
また、幅処理を含む画像処理は、印刷を含む処理に限らず、種々の処理であってよい。例えば、製品(複合機など)の製造ラインで、製品にラベルが貼り付けられてよい。ここで、ラベルが幅関連情報(例えば、製品の型番)に照らして適切であるか否かが、幅処理によって特定される幅(例えば、ラベル幅dWa)を使用して判断されてよい。ラベルが幅関連情報に照らして適切でないと判断される場合の処理は、種々の処理であってよい(例えば、ラベルが不適切で有ることを示す警報情報が、図示しない表示装置に表示されてよい)。
【0134】
(7)印刷装置100の構成は、
図1、
図2の構成に代えて、種々の構成であってよい。例えば、読取部170は、ヘッド6と排出口形成部21fとの間に限らず、搬送経路Q上の他の位置に配置されてよい。切断部50は省略されてよい。印刷済のラベルを載せた台紙を排出する排出部の構成は、排出口21を形成する排出口形成部21fの構成に限らず、種々の構成であってよい。排出部は、例えば、印刷済のラベルを載せた台紙を収容するケースを含んでよい。
【0135】
印刷部は、インクジェット式に代えて、他の方式(例えば、レーザ式、熱転写式)の印刷装置であってよい。印刷実行部は、ヘッド6に限らず、画像を形成する種々の装置であってよい(例えば、トナー像をラベルに転写する感光ドラム)。
【0136】
(8)読取部は、印刷装置とは独立な読取装置(例えば、デジタルカメラ、または、スキャナ)であってよい。幅を特定する幅処理を含む画像処理は、印刷を含まない処理であってよい。この場合、読取部の構成は、印刷とは独立な種々の構成であってよい。例えば、読取部は、
図2の印刷装置100からヘッド6と第3搬送部15とを省略して得られる構成を有してよい。
【0137】
(9)媒体(すなわち、ラベルシート)の構成は、ラベルと、ラベルを載せた裏シートと、を含む種々の構成であってよい。裏シートは、紙、樹脂など、種々の材料を使用して形成されてよい。ラベルは、種々の情報を表示するために使用されてよい。ラベルは、紙、樹脂など、種々の材料を使用して形成されてよい。媒体の種類は、ロールタイプに代えて、ファンホールドタイプであってよい。裏シート上には、複数のラベルが配置されてよい。複数のラベルは、裏シート上で、隙間無く、配置されてよい。裏シートは、ラベル毎に分離してよい。すなわち、1個の裏シート上には、1個のラベルが載せられてよい。ラベルは、裏シート上に貼付された材料シートの型抜きによって形成されてよい。裏シート上のラベルの周囲には、型抜きによってラベルから切り離された部分(マトリクスとも呼ばれる)が、残っていてよい。この場合も、プロセッサ110は、マトリクスとラベルとの間の境界線(すなわち、型抜きによる切断線)を表す線分を使用して、ラベル幅dWaを特定できる。
【0138】
いずれの場合も、幅処理(例えば、
図5、
図6)では、ラベルを載せた裏シートのラベル側の面を光学的に読み取った読取画像が処理される(すなわち、ラベルと、ラベルが載せられた裏シートと、を有するラベルシートのラベル側の面を光学的に読み取った読取画像が処理される)。ここで、読取画像内では、裏シートの全体が、ラベルに隠れ得る。すなわち、読取画像内では、裏シートは見えずに、ラベルが見え得る。例えば、裏シート上で、複数のラベルが裏シートの全体を覆ってよい。この場合、読取画像は、裏シートを表さずにラベルを表す。また、
図9(A)の媒体Mbが使用される場合に、読取画像(ひいては、二値画像IM6b(
図9(B)))の第2方向Dyの大きさは、1個のラベルP1bの第2方向Dyの大きさよりも小さくてよい。この場合、読取画像は、裏シートを表さずにラベルを表し得る。このように、ラベルを載せた裏シートのラベル側の面を光学的に読み取ることによって、裏シートを表さずにラベルを表す読取画像が生成され得る。このような場合、
図9(A)-
図9(D)の実施例と同様に、特定ラベル幅dWaは、特定台紙幅dWbと同じ値に設定されてよい。
【0139】
(10)幅処理を含む画像処理は、印刷装置に代えて、読取装置(例えば、デジタルカメラ、または、スキャナ)によって実行されてよい。また、幅処理を含む画像処理は、印刷装置、または、読取装置に接続された画像処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ)によって実行されてよい。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、画像処理装置による画像処理の機能を一部ずつ分担して、全体として、画像処理の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムが画像処理装置に対応する)。
【0140】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、
図6のS340の処理は、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)等の専用のハードウェア回路によって実行されてよい。
【0141】
また、本開示の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
【0142】
上記の実施例と変形例とは、適宜に組み合わせることができる。また、上記の実施例と変形例とは、本開示の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0143】
2…筐体、3…搬送部、6…ヘッド、6s…ノズル面(下面)、7…第2搬送部、10…第1搬送部、13…駆動ローラ、14…従動ローラ、15…第3搬送部、16…ベルト、16s…上面、17…搬送ローラ、18…ピンチローラ、19…第4搬送部、21…排出口、46…搬送ローラ、47…ピンチローラ、48…第5搬送部、50…切断部、50a…刃、51…軸部、52…マガジン、71…搬送ローラ、72…ピンチローラ、100…印刷装置、110…プロセッサ、115…記憶装置、120…揮発性記憶装置、130…不揮発性記憶装置、132…幅情報、PG…プログラム、140…表示部、150…操作部、160…印刷部、170…読取部、180…通信インタフェース、R…ロール、M…媒体、Q…搬送経路、F…順方向、B…逆方向、P1、P1b、P1c…ラベル、P1p…印刷済ラベル、P2…台紙、M、Mb、Mc…媒体