(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005707
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20250109BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20250109BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106003
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
5E322
5G361
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322BA03
5E322EA10
5E322FA04
5G361AA06
5G361AC04
5G361BA01
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】低耐熱部品が発熱部品で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能な電気接続箱を提供する。
【解決手段】電気接続箱10は、ケース20と、ケース20内の収容空間S2に収容され、発熱部品321が搭載される第1の回路基板311を備えている。また、電気接続箱10は、収容空間S2に収容され、発熱部品321よりも耐熱性が低い低耐熱部品322が搭載される第2の回路基板312を備えている。さらに、電気接続箱10は、発熱部品321と低耐熱部品322との間に介在し、発熱部品321で生じた熱の低耐熱部品322への伝達を抑制する熱伝導抑制部80を備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内の収容空間に収容され、発熱部品が搭載される第1の回路基板と、
前記収容空間に収容され、前記発熱部品よりも耐熱性が低い低耐熱部品が搭載される第2の回路基板と、
前記発熱部品と前記低耐熱部品との間に介在し、前記発熱部品で生じた熱の前記低耐熱部品への伝達を抑制する熱伝導抑制部と、
を備える、
電気接続箱。
【請求項2】
前記収容空間は、前記熱伝導抑制部によって、前記第1の回路基板に搭載された前記発熱部品が存在する第1の収容空間と、前記第2の回路基板に搭載された前記低耐熱部品が存在する第2の収容空間と、に仕切られている、
請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記ケースは、ケース本体と、前記ケース本体の外部に取り付けられるカバーと、を備えており、
前記ケース本体内に前記第1の収容空間が形成されており、
前記ケース本体と前記カバーとの間に前記第2の収容空間が形成されており、
前記ケース本体が前記熱伝導抑制部の少なくとも一部を構成している、
請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記カバーが放熱部を有している、
請求項3に記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記第2の収容空間には、前記第2の収容空間内の熱を前記放熱部に伝達する熱伝導部が配置されている、
請求項4に記載の電気接続箱。
【請求項6】
前記第2の回路基板に搭載された前記低耐熱部品を被覆する樹脂被覆部をさらに備え、
前記樹脂被覆部が前記熱伝導抑制部の少なくとも一部を構成している、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の電気接続箱としては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1には、回路基板を備える電気接続箱が開示されている。そして、回路基板が、リレー、駆動IC及び導体パターンを含む負荷回路部が形成された第1の回路基板と、マイコン、コネクタ部及び導体パターンを含む制御回路部が形成された第2の回路基板と、を備えるようにしている。
【0003】
このように、特許文献1では、負荷回路部などの比較的電流容量が大きい部分を第1の回路基板に集め、制御回路部などの比較的電流容量が小さい部分を第2の回路基板に集めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、負荷回路部には比較的大きな電流が流れるため、負荷回路部の一部を構成するリレー等にも比較的大きな電流が流れることになる。そのため、負荷回路部の一部を構成するリレー等は、熱が生じやすい発熱部品となっている。
【0006】
一方、制御回路部の一部を構成するマイコン等は、一般的に、リレー等の発熱部品よりも耐熱性が低い部品、すなわち、低耐熱部品を用いて形成されるものである。
【0007】
したがって、上記従来の技術で示した電気接続箱では、発熱部品及び低耐熱部品が回路基板に搭載されることになる。
【0008】
このように、発熱部品及び低耐熱部品を回路基板に搭載させるようにした場合、低耐熱部品が発熱部品で生じる熱の影響を受けてしまうことを抑制できるようにするのが好ましい。
【0009】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、低耐熱部品が発熱部品で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能な電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様に係る電気接続箱は、ケースと、前記ケース内の収容空間に収容され、発熱部品が搭載される第1の回路基板と、前記収容空間に収容され、前記発熱部品よりも耐熱性が低い低耐熱部品が搭載される第2の回路基板と、前記発熱部品と前記低耐熱部品との間に介在し、前記発熱部品で生じた熱の前記低耐熱部品への伝達を抑制する熱伝導抑制部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低耐熱部品が発熱部品で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能な電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係るECU付電気接続箱の配置方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係るECU付電気接続箱を模式的に示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るECU付電気接続箱を模式的に示す分解斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る電気接続箱の一例を示す図であって、電気接続箱の組み付け状態を一方向から見た斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る電気接続箱の一例を示す図であって、ヒューズカバーを開いた状態を他方向から見た斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る電気接続箱の一例を示す図であって、電気接続箱を一方向から見た分解斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る電気接続箱の一例を模式的に示す断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る電気接続箱の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る電気接続箱の一例を示す図であって、電気接続箱の組み付け状態を一方向から見た斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係る電気接続箱の一例を示す図であって、電気接続箱を一方向から見た分解斜視図である。
【
図11】第2実施形態に係る電気接続箱の一例を模式的に示す断面図である。
【
図12】第2実施形態に係る電気接続箱の第1変形例を模式的に示す断面図である。
【
図13】第2実施形態に係る電気接続箱の第2変形例を示す図であって、電気接続箱を一方向から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本実施形態に係る電気接続箱について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0014】
以下では、電気接続箱の各構成について説明する際には、ボディECUが配置される側が上方となるようにした状態で、電気接続箱の上下方向を規定して説明する。
【0015】
また、以下の複数の実施形態及びその変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態に係る電気接続箱10は、ジャンクションブロック(J/B)とも呼ばれており、車両等に搭載されるバッテリやオルタネータから供給される電流を、車両等に搭載されるECU(Electrical Control Unit)110に分配して供給するための装置である。
【0017】
この電気接続箱10は、例えば、様々な制御機能を有する複数のECU110とともに、車両に形成されたインストルメントパネルに設置することができる。これらの複数のECU110には、例えば、エアコンの制御やABS(Anti-lock Brake System)の制御等、様々な車両システムを制御するための回路が形成されている。
【0018】
近年、車両の電動化や自動化が進んでおり、車両の電動化や自動化が進むにつれて、車両等に搭載されるECU110の個数も増加してきている。一方で、車両の室内空間を十分に確保するという要求もあるため、車両に電気接続箱10やECU110の設置スペースを十分に確保することが難しくなってきている。
【0019】
そのため、より多くの装置(電気接続箱10及びECU110)を限られたスペースに配置できるようにすることが要求されている。
【0020】
そこで、本実施形態では、電気接続箱10とボディECU120とを一体化させたECU付電気接続箱1を形成し、このECU付電気接続箱1を車両に形成されたインストルメントパネルに設置するようにしている。
【0021】
このECU付電気接続箱1は、例えば、
図1に示すように、複数のECU110とともにインストルメントパネルを補強するインパネリンホース100に設置することができる。このように、複数のECU110及びECU付電気接続箱1を密集した状態で並ぶように配置させるようにすれば、車両内の限られたスペースに、より多くの装置(電気接続箱10及びECU110)を配置できるようになる。
【0022】
このとき、ECU付電気接続箱1は、後述するヒューズカバー64がインパネリンホース100とは反対側(
図1の下側)に位置するようにした状態で、インパネリンホース100に設置されている。こうすることで、ECU付電気接続箱1をインパネリンホース100から取り外すことなくヒューズカバー64の取り外し作業や開閉作業を行うことができるようにしている。
【0023】
なお、ECU付電気接続箱1の設置方法は、
図1に示す方法に限られるものではなく、様々な方法(様々な場所や様々な姿勢)でECU付電気接続箱1を設置することが可能である。
【0024】
また、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、電気接続箱10として、ボディECU120を着脱可能に取り付けることが可能な収容凹部S1を形成したものを例示している。そして、電気接続箱10に形成された収容凹部S1にボディECU120を着脱可能に嵌め込むことでECU付電気接続箱1が形成されるようにしている。このECU付電気接続箱1の形成方法も、
図2及び
図3に示す方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することが可能である。
【0025】
なお、電気接続箱10に取り付けられるボディECU120としては、例えば、ドアロックの制御等、車室内のシステムを制御するための回路が形成された装置を用いることができる。
【0026】
次に、
図4~
図7を用いて、本実施形態に係る電気接続箱10の具体的な構成について説明する。
【0027】
本実施形態では、電気接続箱10は、ケース20と、回路ブロック30と、ボディECU用コネクタ40と、ワイヤハーネス用コネクタ50と、ヒューズブロック60と、を備えている。
【0028】
具体的には、ケース20は、電気接続箱10の外郭を構成する部材であり、このケース20の内部には収容空間S2が形成されている。
【0029】
また、回路ブロック30には、バッテリやオルタネータから供給される電流を分配する機能を有する回路や制御回路等の様々な回路が形成されており、この回路ブロック30は、ケース20の収容空間S2内に収容されている。
【0030】
ボディECU用コネクタ40は、電気接続箱10にボディECU120を取り付けた際に、ボディECU120の図示省略したコネクタ部に嵌合するように構成されている。そして、ボディECU用コネクタ40をボディECU120のコネクタに嵌合させることで、回路ブロック30に形成された一部の回路がボディECU120に形成された制御回路に電気的に接続されるようにしている。このように、ボディECU用コネクタ40は、回路ブロック30をボディECU120の制御回路に電気的に接続するための部材である。本実施形態では、ボディECU用コネクタ40は、一部をケース20の外側に露出させた状態で収容空間S2内に収容されている。
【0031】
また、ワイヤハーネス用コネクタ50は、図示省略したワイヤハーネスのコネクタ部が嵌合して、ワイヤハーネスを回路ブロック30に形成された一部の回路に電気的に接続させるための部材である。本実施形態では、このワイヤハーネス用コネクタ50も、一部をケース20の外側に露出させた状態で収容空間S2内に収容されている。
【0032】
そして、ヒューズブロック60は、回路ブロック30に形成された回路に過電流が流れた際に電流を遮断するための部材であり、このヒューズブロック60も、一部をケース20の外側に露出させた状態で収容空間S2内に収容されている。
【0033】
ケース20は、
図6に示すように、上ケース21及び下ケース22を備えており、上ケース21を下ケース22に組み付けることで、内部に収容空間S2が形成されたケース20が形成されるようになっている。
【0034】
具体的には、上ケース21が、天壁211と、天壁211の周縁部から下方に向けて延在するように連設された周壁212と、を備えるようにしている。また、下ケース22が、底壁221と、底壁221の周縁部から上方に向けて延在するように連設された周壁222と、を備えるようにしている。そして、周壁212の下端を周壁222の上端に突き合せるようにした状態で、上ケース21を下ケース22に組み付けることで、内部に収容空間S2が形成されたケース20が形成されるようにしている。なお、本実施形態では、上ケース21を下ケース22に組み付ける際には、下ケース22の周壁222に形成された係合部2221を上ケース21の周壁212に形成された図示省略した係合部に係合させるようになっている。
【0035】
また、上ケース21の天壁211には、第1挿通孔211a及び第2挿通孔211bが上下方向に貫通するように形成されている。そして、各部品を組み付けて電気接続箱10を形成した際に、ボディECU用コネクタ40が第1挿通孔211aに挿通されて、ボディECU用コネクタ40の上部がケース20の外方に露出するようにしている。なお、第2挿通孔211bには、後述するヒュージブルリンク632が取り外し可能に挿入されている。
【0036】
また、上ケース21の周壁212には、3つの切り欠き(切り欠き212a,切り欠き212b,切り欠き212c)が形成されており、上ケース21を下ケース22に組み付けた状態で、3方向に開口する収容空間S2が形成されるようにしている。すなわち、収容空間S2が、第1の開口S2a、第2の開口S2b及び第3の開口S2cが形成された空間となるようにしている。
【0037】
そして、ワイヤハーネス用コネクタ50の後述する入力側ワイヤハーネス用コネクタ51が、第1の開口S2aから一部を露出させた状態で、収容空間S2内に収容されるようにしている。また、ワイヤハーネス用コネクタ50の後述する出力側ワイヤハーネス用コネクタ52が、第2の開口S2bから一部を露出させた状態で、収容空間S2内に収容されるようにしている。そして、ヒューズブロック60が、第3の開口S2cから一部を露出させた状態で、収容空間S2内に収容されるようにしている。
【0038】
さらに、本実施形態では、上ケース21には、天壁211の周縁部から上方に向けて延在するように連設された延設壁213が形成されており、この延設壁213によって、ボディECU120が嵌め込まれる収容凹部S1が画成されるようにしている。
【0039】
また、回路ブロック30は、回路基板31と、回路基板31に搭載される搭載部品32と、を備えている。そして、回路基板31に搭載部品32を搭載し、搭載部品32と回路基板31に形成された導体パターンとを電気的に接続させることで、搭載部品32及び導体パターンが各回路の一部を構成するようにしている。
【0040】
ここで、本実施形態では、回路ブロック30が、電流分配用の回路と制御用の回路とを有するようにし、回路基板31が第1の回路基板311と第2の回路基板312とを備えるようにしている。そして、第1の回路基板311に電流分配用の回路が主として形成されるようにし、第2の回路基板312に制御用の回路が主として形成されるようにしている。
【0041】
このように、本実施形態では、電流分配用の回路などの比較的電流容量が大きい部分を第1の回路基板311に集め、制御用の回路などの比較的電流容量が小さい部分を第2の回路基板312に集めるようにしている。
【0042】
なお、電流分配用の回路は、リレー等の搭載部品32を用いて形成されており、制御用の回路は、制御チップ等の搭載部品32を用いて形成されている。そして、電流分配用の回路には比較的大きな電流が流れるため、電流分配用の回路の一部を構成するリレー等にも比較的大きな電流が流れることになる。そのため、電流分配用の回路の一部を構成するリレー等は、熱が生じやすい発熱部品321となっている。
【0043】
一方、制御用の回路には大きな電流を流す必要がないため、制御用の回路の一部を構成する搭載部品32の中には、リレー等の発熱部品321よりも耐熱性が低い低耐熱部品322が存在している。例えば、制御チップは、熱の影響を受けやすい部品であり、低耐熱部品322となっている。
【0044】
したがって、本実施形態では、電流分配用の回路で用いられるリレー等の発熱部品321を主に第1の回路基板311に搭載し、制御用の回路で用いられる制御チップ等の低耐熱部品322を主に第2の回路基板312に搭載するようにしている。こうすることで、第1の回路基板311に搭載された発熱部品321と第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322との熱干渉が抑制されるようにしている。
【0045】
さらに、本実施形態では、回路ブロック30がピンヘッダー33を備えており、このピンヘッダー33によって、第2の回路基板312が、第1の回路基板311に所定の距離だけ離れた状態で保持されるようにしている。
【0046】
このピンヘッダー33は、ハウジング331と、ハウジング331に保持される複数の接続ピン332と、を備えている。そして、ハウジング331によって第1の回路基板311を保持しつつ、複数の接続ピン332によって、第1の回路基板311側の回路と第2の回路基板312側の回路とが電気的に接続されるようにしている。なお、複数の接続ピン332は、半田等を用いて第1の回路基板311に固定されている。
【0047】
また、ボディECU用コネクタ40は、ハウジング41と、ハウジング41に保持される複数の接続ピン42と、を備えている。そして、ハウジング41をネジ70によって第1の回路基板311に固定している。さらに、複数の接続ピン42が第1の回路基板311の回路に電気的に接続されるようにしている。こうすることで、ボディECU用コネクタ40が第1の回路基板311に電気的に接続された状態で保持されるようにしている。なお、複数の接続ピン42も、半田等を用いて第1の回路基板311に固定されている。
【0048】
また、ワイヤハーネス用コネクタ50は、バッテリやオルタネータに接続されたワイヤハーネスが接続される入力側ワイヤハーネス用コネクタ51を備えている。さらに、ワイヤハーネス用コネクタ50は、各ECU110の制御回路に接続されたワイヤハーネスが接続される出力側ワイヤハーネス用コネクタ52を備えている。
【0049】
そして、入力側ワイヤハーネス用コネクタ51及び出力側ワイヤハーネス用コネクタ52のそれぞれが、第1の回路基板311に保持されている。
【0050】
具体的には、入力側ワイヤハーネス用コネクタ51が、入力側ハウジング511と、入力側ハウジング511に保持される複数の入力側接続ピン512と、を備えている。そして、入力側ハウジング511をネジ70によって第1の回路基板311に固定している。さらに、複数の入力側接続ピン512が第1の回路基板311の回路に電気的に接続されるようにしている。こうすることで、入力側ワイヤハーネス用コネクタ51が第1の回路基板311に電気的に接続された状態で保持されるようにしている。なお、複数の入力側接続ピン512も、半田等を用いて第1の回路基板311に固定されている。
【0051】
同様に、出力側ワイヤハーネス用コネクタ52が、出力側ハウジング521と、出力側ハウジング521に保持される複数の出力側接続ピン522と、を備えている。そして、出力側ハウジング521をネジ70によって第1の回路基板311に固定している。さらに、複数の出力側接続ピン522が第1の回路基板311の回路に電気的に接続されるようにしている。こうすることで、出力側ワイヤハーネス用コネクタ52が第1の回路基板311に電気的に接続された状態で保持されるようにしている。なお、複数の出力側接続ピン522も、半田等を用いて第1の回路基板311に固定されている。
【0052】
また、ヒューズブロック60は、ヒューズ収容空間S3が複数形成されたハウジング61と、ヒューズ収容空間S3内に挿入保持することが可能なヒューズ63と、ヒューズ63に電気的に接続される接続ピン62と、を備えている。
【0053】
そして、ハウジング61をネジ70によって第1の回路基板311に固定している。さらに、接続ピン62が第1の回路基板311の回路に電気的に接続されるようにしている。こうすることで、ヒューズブロック60が第1の回路基板311に電気的に接続された状態で保持されるようにしつつ、第1の回路基板311にヒューズ機能付きの回路が形成されるようにしている。なお、複数の接続ピン62も、半田等を用いて第1の回路基板311に固定されている。
【0054】
さらに、本実施形態では、ヒューズ63が、複数のメカヒューズ631と、複数のヒュージブルリンク632と、を備えており、各メカヒューズ631が対応するヒューズ収容空間S3内に取り外し可能に挿入されている。一方、ヒュージブルリンク632は、上述したように、上ケース21の天壁211に形成された第2挿通孔211bに取り外し可能に挿入されている。
【0055】
ここで、ヒューズブロック60をケース20に取り付けた際には、ヒューズ収容空間S3内に挿入されたメカヒューズ631は、表面をケース20の外部に露出した状態で配置されることになる。こうすれば、電気接続箱10を組み付けた状態で、メカヒューズ631をハウジング61から個々に取り外したり、交換したりすることができるようになる。
【0056】
また、本実施形態では、ヒューズブロック60がヒューズカバー64を備えるようにしている。そして、電気接続箱10の通常の使用時(メカヒューズ631の取り外し等を行わない時)には、メカヒューズ631の露出部分がヒューズカバー64によって覆われるようにしている。こうすることで、電気接続箱10の通常の使用時にメカヒューズ631がハウジング61から外れてしまうことを抑制できるようにしている。
【0057】
また、本実施形態では、ヒューズカバー64は、
図5に示すように、ハウジング61に開閉可能に取り付けられている。具体的には、ヒューズカバー64のカバー本体641に係合孔6412を設け、ハウジング61に設けられた引っ掛け爪611をこの係合孔6412に挿入して係合させるようにしている。こうすることで、係合孔6412側を軸にしてカバー本体641を回動させることができるようにしている。なお、本実施形態では、カバー本体641の係合孔6412が形成された側とは反対側の端部に指掛け用の爪部6411が形成されており、この爪部6411に指を引っ掛けることで、カバー本体641を開方向に容易に回動させることができるようになっている。
【0058】
そして、電気接続箱10の構成を上記の構成とすることで、
図7に示すように、入力側接続ピン512に供給された電流が、第1の回路基板311に形成された回路、接続ピン332を通って、第2の回路基板312に形成された回路に供給されるようにしている。また、第2の回路基板312に形成された回路に供給された電流が、接続ピン332、第1の回路基板311に形成された回路、出力側接続ピン522を介して、ECU110の各制御回路に供給されるようにしている。
【0059】
ここで、本実施形態では、第1の回路基板311に搭載された発熱部品321と、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322と、が熱干渉してしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
【0060】
具体的には、電気接続箱10が、発熱部品(リレー等)321と低耐熱部品(制御チップ等)322との間に介在し、発熱部品(リレー等)321で生じた熱の低耐熱部品(制御チップ等)322への伝達を抑制する熱伝導抑制部80を備えるようにしている。
【0061】
こうすることで、第1の回路基板311に搭載された発熱部品321で生じた熱が、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322へと移動してしまうことが熱伝導抑制部80によって抑制されるようにしている。
【0062】
こうすれば、発熱部品321で生じた熱が低耐熱部品322に伝達されてしまうこと、すなわち、発熱部品321と低耐熱部品322とが熱干渉してしまうことが抑制されることになる。その結果、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0063】
そして、発熱部品321と低耐熱部品322との熱干渉が熱伝導抑制部80によって抑制されるようにすれば、電気接続箱10のサイズを変えることなく、多くの部品を回路基板上に搭載し、従来よりも大きな電流を流すことが可能になる。すなわち、電気接続箱10のサイズを従来と同等以下のサイズとしたまま、より高密度化した回路基板(回路ブロック30)を搭載させた場合であっても、電気接続箱10の温度上昇を低く抑えることが可能になる。
【0064】
また、本実施形態では、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322が樹脂被覆部81で被覆されるようにし、この樹脂被覆部81を熱伝導抑制部80として機能させている。このような樹脂被覆部81は、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等のポッティング樹脂を用いて形成することができる。具体的には、第2の回路基板312に低耐熱部品322などの搭載部品32を搭載した状態で、少なくとも低耐熱部品322を覆うようにポッティング樹脂を流し込んで硬化させることで、樹脂被覆部81を形成することができる。
【0065】
なお、第2の回路基板312に樹脂被覆部81を形成する工程は、第2の回路基板312をケース20内に収容する前に行われる。そのため、本実施形態では、樹脂被覆部81を形成した状態の第2の回路基板312をケース20内に収容することで、電気接続箱10が組み付けられるようになっている。
【0066】
このように、本実施形態では、電気接続箱10が、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322を被覆する樹脂被覆部81をさらに備え、この樹脂被覆部81が熱伝導抑制部80の少なくとも一部を構成するようにしている。
【0067】
また、本実施形態では、第2の回路基板312に搭載される搭載部品32の全てが、樹脂被覆部81で覆われるようにしている。こうすることで、収容空間S2が、第1の回路基板311に搭載された発熱部品321が存在する第1の収容空間S21と、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322が存在する第2の収容空間S22と、に仕切られるようにしている。
【0068】
こうすれば、主に発熱部品321が搭載される第1の回路基板311が収容される第1の収容空間S21と、主に低耐熱部品322が搭載される第2の回路基板312が収容される第2の収容空間S22とが熱伝導抑制部80によって仕切られることになる。そのため、第1の収容空間S21と第2の収容空間S22との間の熱の移動が熱伝導抑制部80によって抑制されることになる。
【0069】
このように、第1の回路基板311が収容される空間から第2の回路基板312が収容される空間への熱の移動を抑制できるようにすれば、より一層確実に低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことを抑制することが可能になる。
【0070】
また、本実施形態で示す構成とすれば、樹脂被覆部81を形成するだけで、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。そのため、カバー23を別途設けたり、ケース本体200(ケース20)の形状を変更したりする必要がなくなる。その結果、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能な電気接続箱10をより容易かつ低コストで得ることができるようになる。
【0071】
なお、電気接続箱10は、
図8に示す構成とすることが可能である。
【0072】
図8に示す電気接続箱10においても、第2の回路基板312に搭載される搭載部品32の全てが、樹脂被覆部81で覆われるようにしている。
【0073】
ここで、
図8に示す電気接続箱10では、入力側ワイヤハーネス用コネクタ51の複数の入力側接続ピン512のうち、第2の回路基板312に形成された回路に電流を供給するための入力側接続ピン512を直接第2の回路基板312に固定するようにしている。
【0074】
また、出力側ワイヤハーネス用コネクタ52の複数の出力側接続ピン522のうち、第2の回路基板312に形成された回路からの電流を導入するための出力側接続ピン522を直接第2の回路基板312に固定するようにしている。
【0075】
こうすることで、第1の回路基板311を介さずに、第2の回路基板312に形成された回路に電流を流すことができるようにしている。こうすれば、第2の回路基板312に形成された回路を流れる電流が第1の回路基板311を流れないようにすることができる。そのため、第2の回路基板312に形成された回路を流れる電流によって、第1の回路基板311に熱が発生してしまうことが抑制されて、第1の回路基板311の温度が上昇してしまうことを抑制することが可能になる。
【0076】
(第2実施形態)
本実施形態に係る電気接続箱10は、基本的に上記第1実施形態で示した電気接続箱10とほぼ同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係る電気接続箱10も、ケース20と、ケース20内の収容空間S2に収容され、発熱部品(リレー等)321が搭載される第1の回路基板311と、を備えている。また、電気接続箱10は、収容空間S2に収容され、発熱部品(リレー等)321よりも耐熱性が低い低耐熱部品(制御チップ等)322が搭載される第2の回路基板312を備えている。
【0077】
そして、電気接続箱10は、発熱部品(リレー等)321と低耐熱部品(制御チップ等)322との間に介在し、発熱部品(リレー等)321で生じた熱の低耐熱部品(制御チップ等)322への伝達を抑制する熱伝導抑制部80を備えている。
【0078】
さらに、本実施形態においても、収容空間S2が、第1の回路基板311に搭載された発熱部品321が存在する第1の収容空間S21と、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322が存在する第2の収容空間S22と、に仕切られるようにしている。
【0079】
また、本実施形態では、
図8に示す電気接続箱10と同様に、第2の回路基板312に形成された回路を流れる電流が第1の回路基板311を流れないようにしている。
【0080】
ここで、本実施形態では、ケース20が、ケース本体200と、ケース本体200の外部に取り付けられるカバー23と、を備えるようにしている。そして、ケース本体200内に第1の収容空間S21が形成され、ケース本体200とカバー23との間に第2の収容空間S22が形成されるようにしている。こうすることで、ケース本体200が熱伝導抑制部80の少なくとも一部を構成するようにしている。
【0081】
具体的には、
図9~
図11に示すように、ケース20は、上ケース21及び下ケース22を備えており、上ケース21を下ケース22に組み付けることで、内部に第1の収容空間S21を有するケース本体200が形成されるようにしている。そして、上ケース21の天壁211に下方に凹む凹部を形成し、この凹部の開口をカバー23によって塞ぐことで、第2の収容空間S22が形成されるようにしている。
【0082】
本実施形態では、上ケース21の天壁211に、奥壁2111と、奥壁2111の周縁部から上方に向けて延在するように連設された周壁2112とで画成される凹部が形成されるようにしている。そして、第2の回路基板312をこの凹部に挿入し、ネジ70で奥壁2111に固定し、凹部の開口をカバー23によって塞ぐことで、第2の回路基板312が第2の収容空間S22に収容されるようにしている。
【0083】
また、本実施形態では、
図10及び
図11に示すように、奥壁2111には上下方向に貫通する挿通孔2111aが形成されている。そして、第2の回路基板312に形成された回路に電流を供給するための入力側接続ピン512及び第2の回路基板312に形成された回路からの電流を導入するための出力側接続ピン522が、挿通孔2111aに挿通されるようにしている。また、必要であれば、ピンヘッダー33も挿通孔2111aに挿通されることになる。
図11には、入力側接続ピン512、出力側接続ピン522及びピンヘッダー33を挿通孔2111aに挿通させるようにした電気接続箱10を例示している。
【0084】
このように、本実施形態では、熱伝導抑制部80としての機能を有するケース本体200の内部に第1の回路基板311が配置され、ケース本体200の外部に第2の回路基板312が配置されるようにしている。こうすれば、より一層確実に低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことを抑制することが可能になる。
【0085】
また、本実施形態では、第1の回路基板311が収容されるケース本体200を利用して、第1の収容空間S21と第2の収容空間S22とを仕切るようにしている。こうすることで、より容易かつ簡素な構成で、低耐熱部品322が受ける熱の影響を減少させることができるようにしている。
【0086】
さらに、本実施形態では、カバー23は、アルミなどの比較的放熱性のよい材料を用いて形成されており、カバー23の全体を、第2の収容空間S22内の熱を効率よく外部に放出する放熱部91としての機能を有するようにしている。なお、カバー23の一部分に放熱部91を設けるようにすることも可能である。
【0087】
こうすれば、第2の回路基板312が収容される第2の収容空間S22に熱がこもってしまうことを、より確実に抑制することができるようになって、低耐熱部品322が受ける熱の影響をより減少させることができるようになる。
【0088】
なお、電気接続箱10は、
図12に示す構成とすることが可能である。
【0089】
図12に示す電気接続箱10においても、ケース20が、ケース本体200と、ケース本体200の外部に取り付けられるカバー23と、を備えるようにしている。そして、ケース本体200内に第1の収容空間S21が形成され、ケース本体200とカバー23との間に第2の収容空間S22が形成されるようにし、ケース本体200が熱伝導抑制部80の少なくとも一部を構成するようにしている。
【0090】
このように、
図12に示す電気接続箱10においても、熱伝導抑制部80としての機能を有するケース本体200の内部に第1の回路基板311が配置され、ケース本体200の外部に第2の回路基板312が配置されるようにしている。そして、第1の回路基板311が収容されるケース本体200を利用して、第1の収容空間S21と第2の収容空間S22とを仕切るようにしている。さらに、カバー23の全体を、第2の収容空間S22内の熱を効率よく外部に放出する放熱部91としての機能を有するようにしている。
【0091】
ここで、
図12に示す電気接続箱10では、第2の収容空間S22に、第2の収容空間S22内の熱を放熱部91に伝達することが可能な熱伝導部92が配置されている。具体的には、第1の回路基板311を奥壁2111にネジ70により固定した状態で、天壁211に形成された凹部にポッティング樹脂を流し込んで硬化させることで、熱伝導部92が形成されるようにしている。このように、第1の回路基板311をケース本体200に固定した状態でポッティング樹脂を流し込んで硬化させるようにすれば、上記第1実施形態で示した予め樹脂被覆部81を形成する場合よりも、手間をかけずに搭載部品32を樹脂で被覆することができる。なお、熱伝導部92は、熱伝導シートを用いて形成することも可能である。
【0092】
このように、第2の収容空間S22に熱伝導部92が配置されるようにすることで、第2の収容空間S22内の熱をより確実に外部へ排出することができるようにし、低耐熱部品322が受ける熱の影響をより減少させることができるようにしている。
【0093】
また、電気接続箱10は、
図13に示す構成とすることも可能である。
【0094】
図13に示す電気接続箱10においても、ケース20が、ケース本体200と、ケース本体200の外部に取り付けられるカバー23と、を備えるようにしている。そして、ケース本体200内に第1の収容空間S21が形成され、ケース本体200とカバー23との間に第2の収容空間S22が形成されるようにし、ケース本体200が熱伝導抑制部80の少なくとも一部を構成するようにしている。
【0095】
このように、
図13に示す電気接続箱10においても、熱伝導抑制部80としての機能を有するケース本体200の内部に第1の回路基板311が配置され、ケース本体200の外部に第2の回路基板312が配置されるようにしている。そして、第1の回路基板311が収容されるケース本体200を利用して、第1の収容空間S21と第2の収容空間S22とを仕切るようにしている。さらに、カバー23の全体を、第2の収容空間S22内の熱を効率よく外部に放出する放熱部91としての機能を有するようにしている。
【0096】
ここで、
図13に示す電気接続箱10では、第1の回路基板311にも制御用の回路が形成されるようにしている。すなわち、第1の回路基板311に、リレー等の発熱部品321だけでなく、リレー等の発熱部品321よりも耐熱性が低い制御チップ等の低耐熱部品322も搭載されるようにしている。
【0097】
このように、第1の回路基板311には、発熱部品(リレー等)321が主に搭載される第1の領域R1と、低耐熱部品(制御チップ等)322が主に搭載される第2の領域R2と、が形成されている。
【0098】
さらに、
図13に示す電気接続箱10は、第1の回路基板311に流れる電流を分流させるバスバー34を備えている。
【0099】
そして、バスバー34が、板厚方向を第1の回路基板311の表面311aに沿わせた状態で回路基板31上に搭載されて、第1の領域R1と第2の領域R2とを仕切る仕切り壁部341を有するようにしている。なお、
図13に示す電気接続箱10では、仕切り壁部341に、第2の回路基板312に接続される接続ピン3411を設けたものを例示している。
【0100】
このように、
図13に示す電気接続箱10では、第1の回路基板(1枚の回路基板)311上に、発熱部品(リレー等)321及び低耐熱部品(制御チップ等)322が搭載されるようにしている。また、1枚の回路基板31に、第1の領域R1と第2の領域R2とが形成されるようにしている。そして、第1の領域R1と第2の領域R2とが、回路基板31上に縦置き状態で搭載された仕切り壁部341によって仕切られるようにしている。このとき、仕切り壁部341は、上端がケース20の内面に接触するようにしてもよいし、仕切り壁部341の上端とケース20の内面との間に隙間が形成された状態とすることも可能である。
【0101】
そして、このような仕切り壁部341を設けるようにすることで、発熱部品321で生じた熱の低耐熱部品322への移動が、回路基板31上に縦置き状態で搭載された仕切り壁部341によって抑制されるようにしている。すなわち、第1の回路基板(1枚の回路基板)311上に搭載された発熱部品321と低耐熱部品322との熱干渉が抑制されるようにしている。
【0102】
こうすれば、第1の回路基板(1枚の回路基板)311上に、発熱部品321及び低耐熱部品322を搭載した場合であっても、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことを抑制することができるようになる。
【0103】
このように、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことをバスバー34の仕切り壁部341によって抑制されるようにすれば、第1の回路基板(1枚の回路基板)311上に部品を高密度で配置することが可能になる。その結果、第1の回路基板(1枚の回路基板)311上における部品の配置スペースをよりコンパクトなスペースとすることが可能になって、回路基板31の小型化を図ることができるようになる。
【0104】
また、バスバー34が第1の回路基板311上に縦置き状態で搭載された仕切り壁部341を有するようにすれば、仕切り壁部341から熱を放出させることができるようになるため、第1の回路基板311に伝達される熱量を減少させることができるようになる。その結果、第1の回路基板311上に大電流が流れた場合における第1の回路基板311の温度上昇を低く抑えることができるようになる。
【0105】
さらに、
図13に示す電気接続箱10では、第1の回路基板311の1か所のみに第2の領域R2が形成されるようにしている。すなわち、制御チップ等の低耐熱部品322が主に搭載される領域を1か所にまとめるようにしている。こうすれば、第1の回路基板311の設計(例えば、ノイズの対策等)がしやすくなる上、バスバー34の形を単純化させることが可能になる。また、第1の回路基板311上にデッドスペースが形成されてしまうことを抑制することができるようになるため、第1の回路基板(1枚の回路基板)311上に部品をより高密度で配置することが可能になる。なお、第2の領域R2は、第1の回路基板(1枚の回路基板)311上の複数個所に形成されていてもよい。
【0106】
さらに、
図13に示す電気接続箱10では、第2の領域R2の周囲を囲うように仕切り壁部341を配置させている。
【0107】
こうすることで、周囲を囲う仕切り壁部341によって第2の領域R2のシールド効果をより向上させることができるようにしている。このように、第2の領域R2のシールド効果をより向上させるようにすれば、例えば、リレーで発生するコイル磁界などにより第2の領域R2に配置された電子部品にノイズが発生してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0108】
また、バスバー34を第1の回路基板311に対して縦置きに配置するようにすれば、リレー(発熱部品321)間の狭いスペースにバスバー34(仕切り壁部341)を配置することもできるようになる。そのため、
図13に示す電気接続箱10では、バスバー34の縦置きされた仕切り壁部341によって、隣り合うリレー(発熱部品321)も仕切られるようにしている。こうすれば、仕切り壁部341を放熱板として機能させることもできるようになるため、リレー(発熱部品321)で生じた熱をより効率よく放熱させることができるようになる。
【0109】
以上説明したように、
図13に示す電気接続箱では、バスバー34を用いて、発熱部品321と低耐熱部品322との熱干渉の抑制、第1の回路基板311の温度上昇の抑制、発熱部品321の放熱、ノイズの対策等が行われるようにしている。こうすれば、発熱部品321と低耐熱部品322との熱干渉の抑制、第1の回路基板311の温度上昇抑制、発熱部品321の放熱、ノイズの対策等を行った電気接続箱10を、より安価に得ることができる。
【0110】
なお、第2の回路基板(1枚の回路基板)312上に、発熱部品321及び低耐熱部品322を搭載した構成とすることも可能である。また、第1の回路基板311及び第2の回路基板312のそれぞれに、発熱部品321及び低耐熱部品322を搭載した構成とすることも可能である。いずれの構成とした場合であっても、1枚の回路基板上に搭載された発熱部品321及び低耐熱部品322がバスバー34の仕切り壁部341によって仕切られるようにするのが好ましい。
【0111】
[作用・効果]
以下では、上記各実施形態及びその変形例で示した電気接続箱の特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0112】
上記各実施形態及びその変形例で示した電気接続箱10は、ケース20と、ケース20内の収容空間S2に収容され、発熱部品(リレー等)321が搭載される第1の回路基板311と、を備えている。また、電気接続箱10は、収容空間S2に収容され、発熱部品(リレー等)321よりも耐熱性が低い低耐熱部品(制御チップ等)322が搭載される第2の回路基板312を備えている。
【0113】
そして、電気接続箱10は、発熱部品(リレー等)321と低耐熱部品(制御チップ等)322との間に介在し、発熱部品(リレー等)321で生じた熱の低耐熱部品(制御チップ等)322への伝達を抑制する熱伝導抑制部80を備えている。
【0114】
このように、上記各実施形態及びその変形例で示した電気接続箱10では、発熱部品321で生じた熱の低耐熱部品322への移動が、発熱部品321と低耐熱部品322との間に介在する熱伝導抑制部80によって抑制されるようにしている。
【0115】
こうすれば、発熱部品321で生じた熱が低耐熱部品322に伝達されてしまうことが抑制されることになる。すなわち、発熱部品321と低耐熱部品322との熱干渉が抑制されることになる。その結果、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことが抑制されることになる。
【0116】
このように、上記各実施形態及びその変形例で示した電気接続箱10とすれば、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。
【0117】
そして、発熱部品321と低耐熱部品322との熱干渉が熱伝導抑制部80によって抑制されるようにすれば、電気接続箱10のサイズを変えることなく、多くの部品を回路基板上に搭載し、従来よりも大きな電流を流すことが可能になる。すなわち、電気接続箱10のサイズを従来と同等以下のサイズとしたまま、より高密度化した回路基板(回路ブロック30)を搭載させた場合であっても、電気接続箱10の温度上昇を低く抑えることが可能になる。
【0118】
また、収容空間S2が、熱伝導抑制部80によって、第1の回路基板311に搭載された発熱部品321が存在する第1の収容空間S21と、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322が存在する第2の収容空間S22と、に仕切られていてもよい。
【0119】
こうすれば、主に発熱部品321が搭載される第1の回路基板311が収容される第1の収容空間S21と、主に低耐熱部品322が搭載される第2の回路基板312が収容される第2の収容空間S22とが熱伝導抑制部80によって仕切られることになる。そのため、第1の収容空間S21と第2の収容空間S22との間の熱の移動が熱伝導抑制部80によって抑制されることになる。
【0120】
このように、第1の回路基板311が収容される空間から第2の回路基板312が収容される空間への熱の移動を抑制できるようにすれば、より一層確実に低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことを抑制することが可能になる。
【0121】
また、ケース20が、ケース本体200と、ケース本体200の外部に取り付けられるカバー23と、を備えていてもよい。また、ケース本体200内に第1の収容空間S21が形成されており、ケース本体200とカバー23との間に第2の収容空間S22が形成されていてもよい。そして、ケース本体200が熱伝導抑制部80の少なくとも一部を構成していてもよい。
【0122】
このように、第1の回路基板311が収容されるケース本体200を利用して、第1の収容空間S21と第2の収容空間S22とを仕切るようにすれば、より容易かつ簡素な構成で、低耐熱部品322が受ける熱の影響を減少させることが可能になる。
【0123】
また、カバー23が放熱部91を有するようにしてもよい。
【0124】
こうすれば、主に低耐熱部品322が搭載される第2の回路基板312が収容される第2の収容空間S22に熱がこもってしまうことが抑制されるため、低耐熱部品322が受ける熱の影響をより減少させることが可能になる。
【0125】
また、第2の収容空間S22には、第2の収容空間S22内の熱を放熱部91に伝達する熱伝導部92が配置されていてもよい。
【0126】
こうすれば、第2の収容空間S22内の熱をより確実に外部へ排出することが可能になるため、低耐熱部品322が受ける熱の影響をより減少させることが可能になる。
【0127】
また、電気接続箱10が、第2の回路基板312に搭載された低耐熱部品322を被覆する樹脂被覆部81をさらに備え、この樹脂被覆部81が熱伝導抑制部80の少なくとも一部を構成していてもよい。
【0128】
こうすれば、樹脂被覆部81を形成するだけで、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。そのため、カバー23を別途設けたり、ケース本体200(ケース20)の形状を変更したりする必要がなくなる。その結果、低耐熱部品322が発熱部品321で生じる熱の影響を受けてしまうことをより確実に抑制することが可能な電気接続箱10をより容易かつ低コストで得ることができるようになる。
【0129】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0130】
例えば、上記各実施形態及びその変形例で示した構成を適宜組み合わせることが可能である。
【0131】
また、上記各実施形態及びその変形例では、ボディECU120が装着される電気接続箱10を例示したが、ボディECU120が装着されない単なる電気接続箱に本発明を適用することも可能である。
【0132】
また、ケースやヒューズブロック、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)を適宜に変更することも可能である。
【符号の説明】
【0133】
10 電気接続箱
20 ケース
200 ケース本体
311 第1の回路基板
312 第2の回路基板
321 発熱部品
322 低耐熱部品
80 熱伝導抑制部
81 樹脂被覆部
91 放熱部
92 熱伝導部
S2 収容空間
S21 第1の収容空間
S22 第2の収容空間