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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005729
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】発注支援装置及び発注支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106038
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】谷口 憲彦
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】波多野 元貴
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB21
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】製品の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該製品を発注可能な発注支援装置及び発注支援方法を提供することである。
【解決手段】発注支援装置100は、要求情報取得部110と、候補抽出部120と、製造条件生成部130と、出力部140と、を備える。要求情報取得部110は、製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する。候補抽出部120は、要求情報取得部110によって取得された要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち製品を製造可能な候補セクションを抽出する。製造条件生成部130は、候補抽出部120によって抽出された候補セクションが環境に与える影響に関する環境指標を含む、当該候補セクションの製造条件を生成する。出力部140は、製造条件生成部130によって生成された製造条件を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類、履物及び装身具のいずれかである製品の発注を支援する発注支援装置であって、
前記製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する要求情報取得部と、
前記要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち前記製品を製造可能な候補セクションを抽出する候補抽出部と、
前記候補セクションが環境に与える影響に関する環境指標を含む、前記候補セクションの製造条件を生成する製造条件生成部と、
前記製造条件を出力する出力部と、を備える、
発注支援装置。
【請求項2】
前記環境指標は、少なくとも前記製造セクション毎に記憶されている非化石エネルギー使用環境に基づいて得られる、
請求項1に記載の発注支援装置。
【請求項3】
前記製造条件は、前記環境指標に加えて、少なくとも価格に関する情報、納期に関する情報及び精度に関する情報のいずれかを含む、
請求項1に記載の発注支援装置。
【請求項4】
前記製造条件生成部は、前記製造セクション毎に記憶されている、加工設備、稼働状況、位置、労働条件、材料の在庫、配送方法及び製造実績に関する情報の少なくとも一つ以上に基づいて、前記候補セクションの製造条件を生成する、
請求項3に記載の発注支援装置。
【請求項5】
前記利用者が重視する項目に関する情報を取得し、当該利用者が重視する項目に関する情報に基づいて、前記候補セクションのうち前記利用者に推奨する推奨セクションを判定する推奨判定部を、さらに備え、
前記出力部は、前記推奨セクションの製造条件を出力する、
請求項3に記載の発注支援装置。
【請求項6】
前記利用者が重視する項目に関する情報は、前記利用者毎に記憶されている利用者定義に基づいて得られる、
請求項5に記載の発注支援装置。
【請求項7】
前記利用者が重視する項目に関する情報は、前記利用者によって入力される前記要求情報に含まれる情報に基づいて得られる、
請求項5に記載の発注支援装置。
【請求項8】
前記環境指標は、前記製品を製造する際の、二酸化炭素排出量、土地及び土壌への影響度、化石燃料使用量、鉱物及び金属の使用量、水の使用量、淡水生態への影響度、淡水系への栄養素の排出量、酸性化への影響度、海洋系への栄養素の排出量、陸地生態への栄養素の排出量、光化学オゾンの排出量、呼吸器系への影響度、放射性物質の排出量、発がん性物質の排出量、非発がん性毒物,および劇物質の排出量、及びオゾン層破壊への影響度のうち、少なくとも一つ以上に基づいて得られる、
請求項1に記載の発注支援装置。
【請求項9】
衣類、履物及び装身具のいずれかである製品の発注を支援する発注支援装置が実行する発注支援方法であって、
前記製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する要求情報取得ステップと、
前記要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち前記製品を製造可能な候補セクションを抽出する候補抽出ステップと、
前記候補セクションが環境に与える影響に関する環境指標を含む、前記候補セクションの製造条件を生成する製造条件生成ステップと、
前記製造条件を出力する出力ステップと、を含む、
発注支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発注支援装置及び発注支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが所望する設計情報及び納品条件を受け付けて、当該設計情報及び納品条件に応じた製品を製造するシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の情報処理装置では、ユーザが所望する設計情報及び納品条件を受信し、当該設計情報と、当該設計情報に基づく加工を依頼する加工設備とのマッチングを行う。そして、情報処理装置は、マッチングされた加工設備を有する工場へ加工指示を送信して、製品の加工処理及び納品先への製品の発送処理を制御する。これにより、依頼者と生産者との適切な意思疎通を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-206877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の情報処理装置では、ユーザが所望する製品の形状、納期、及び価格などを考慮して工場を決定するものの、近年、多くの企業及び個人レベルで意識されている環境問題への取り組みについては考慮されていない。
【0006】
二酸化炭素の排出及び地球温暖化などの環境問題への取り組みについては、製品を製造する企業にとって重要な課題であり、また、製品を購入するユーザからも関心を集めている。
【0007】
そこで、本開示は、製品の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該製品を発注可能な発注支援装置及び発注支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、衣類、履物及び装身具のいずれかである製品の発注を支援する発注支援装置を提供する。発注支援装置は、要求情報取得部と、候補抽出部と、製造条件生成部と、出力部と、を備える。要求情報取得部は、製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する。候補抽出部は、要求情報取得部によって取得された要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち製品を製造可能な候補セクションを抽出する。製造条件生成部は、候補抽出部によって抽出された候補セクションが環境に与える影響に関する環境指標を含む、当該候補セクションの製造条件を生成する。出力部は、製造条件生成部によって生成された製造条件を出力する。
【0009】
この態様によれば、製造条件生成部は、利用者の要求情報に基づく製品を製造可能な候補セクションの製造条件を生成し、出力部は、当該製造条件を出力する。当該製造条件には環境指標が含まれているため、利用者は、環境指標が含まれる製造条件を確認することができる。その結果、利用者は、製品の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該製品を発注することができる。
【0010】
本開示の一態様は、衣類、履物及び装身具のいずれかである製品の発注を支援する発注支援装置が実行する発注支援方法を提供する。発注支援方法は、要求情報取得ステップと、候補抽出ステップと、製造条件生成ステップと、出力ステップと、を含む。要求情報取得ステップでは、製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する。候補抽出ステップでは、要求情報取得ステップで取得した要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち製品を製造可能な候補セクションを抽出する。製造条件生成ステップでは、候補抽出ステップで抽出した候補セクションが環境に与える影響に関する環境指標を含む、当該候補セクションの製造条件を生成する。出力ステップでは、製造条件生成ステップで生成した製造条件を出力する。
【0011】
この態様によれば、製造条件生成ステップでは、利用者の要求情報に基づく製品を製造可能な候補セクションの製造条件を生成し、出力ステップでは、当該製造条件を出力する。当該製造条件には環境指標が含まれているため、利用者は、環境指標が含まれる製造条件を確認することができる。その結果、利用者は、製品の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該製品を発注することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1実施形態に係る製品発注システム10を示すシステム概要図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る発注支援装置100における各機能を示す機能ブロック図である。
図3】利用者が卸売業者及び小売業者などの業者である場合に、利用者端末20を用いて入力される利用者の要求情報の一例を示す図である。
図4】工場DB(DB:データベース)の一例を示す図である。
図5】利用者の要求情報、及び当該要求情報に基づいて抽出された各工場の製造条件の一例を示す図である。
図6】本開示の第1実施形態に係る発注支援装置100が実行する発注支援方法M100を示すフローチャートである。
図7】本開示の第2実施形態に係る発注支援装置200における各機能を示す機能ブロック図である。
図8】希望値及び許容(上限)値に基づいて、製造条件の実際のスコア(評価値)を正規分布を用いて標準化値に換算する様子を示す図である。
図9】利用者が個人である場合に、利用者端末20を用いて入力される利用者の要求情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、あくまで、本発明を実施するための具体的な一例を挙げるものであって、本発明を限定的に解釈させるものではない。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0014】
<第1実施形態>
[製品発注システムの構成]
図1は、本開示の第1実施形態に係る製品発注システム10を示すシステム概要図である。図1に示されるように、製品発注システム10は、利用者端末20および発注支援装置100を含む。なお、本実施形態では、利用者が発注する製品として、靴などの履物を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、衣類(衣服、靴下及び帽子など)、及びその他直接的又は間接的に身に付ける装身具などであってもよし、それらの製品の一部(例えば、靴のソールなど)を含んでもよい。
【0015】
利用者端末20は、利用者が製品を発注するために情報を入力したり、確認したりする端末であって、例えば、パソコン、タブレット及びスマートフォンなどを含む。
【0016】
発注支援装置100は、例えば、サーバ装置などであって、インターネットなどのネットワークを介して利用者端末20とデータのやり取りを行う。具体的には、発注支援装置100は、利用者端末20からの要求情報を取得し、当該要求情報に基づく製造条件を生成して、当該製造条件を利用者端末20に送信する。そして、発注支援装置100は、利用者端末20からの発注情報を受け付けた場合には、例えば、工場30A~30Cのいずれかに製品の製造を発注する。また、発注支援装置100は、これらの処理に必要なデータを記憶しているデータベースを備えていてもよいし、外部に備えられたデータベースにアクセス可能であってもよい。発注支援装置100の詳細については、後述する。
【0017】
工場30A~30Cは、製品発注システム10から製品の発注があると、当該製品の発注に基づいて製品を製造する。
【0018】
工場30A~30Cで製造された製品は、例えば、利用者によって指定された配送場所に届けられてもよい。配送場所は、利用者によって予め登録されていてもよいし、製品を発注する毎に利用者によって利用者端末20を用いて指定されてもよい。
【0019】
このように、利用者は、製品発注システム10において、利用者端末20を用いて所望の製品を発注し、製品を購入することができる。
【0020】
[発注支援装置の構成]
図2は、本開示の第1実施形態に係る発注支援装置100における各機能を示す機能ブロック図である。図2に示されるように、発注支援装置100は、要求情報取得部110と、候補抽出部120と、製造条件生成部130と、出力部140と、発注受付部150と、記憶部160とを備える。
【0021】
要求情報取得部110は、製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する。例えば、利用者は、利用者端末20を用いて、所望の靴及び当該靴の製造に関する要求情報を入力し、インターネットを介して発注支援装置100に送信する。そして、要求情報取得部110は、当該要求情報を取得する。
【0022】
ここで、要求情報には、例えば、靴の製品情報が含まれ、靴の製品情報には、設計図、3Dモデル及び製品番号などが含まれる。また、要求情報には、例えば、靴の製造情報が含まれ、靴の製造情報には、靴の材料、加工方法、納期、精度、個数及び価格などが含まれる。
【0023】
図3は、利用者が卸売業者及び小売業者などの業者である場合に、利用者端末20を用いて入力される利用者の要求情報の一例を示す図である。図3に示されるように、利用者は、利用者端末20を用いて、3Dモデル又は製品番号を入力することにより靴の製品情報を入力してもよい。また、利用者は、利用者端末20を用いて、当該靴について、TPU(Thermoplastic Polyurethane resin;熱可塑性ポリウレタン樹脂)(材料)、3Dプリンティング(加工方法)、発注より1ヶ月(納期)、誤差1mm以下(精度)、10足(個数)及び1万円(価格)を入力することにより、靴の製造情報を入力してもよい。なお、3Dプリンティングとは、3Dプリンタを用いて製品を加工する付加造形法又は三次元積層法などと呼ばれる加工方法である。
【0024】
候補抽出部120は、要求情報取得部110によって取得された要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち製品を製造可能な候補セクションを抽出する。例えば、利用者の要求情報において、上述した靴の製品情報(所定の製品番号)及び靴の製造情報(TPU及び3Dプリンティングなど)が含まれている場合、候補抽出部120は、当該靴を製造可能な製造セクションを抽出する。すなわち、候補抽出部120は、少なくとも、3Dプリンティングの加工設備を備えている製造セクションであって、TPUを材料として所定の製品番号の靴を製造可能な製造セクションを抽出する。
【0025】
候補抽出部120によって抽出される製造セクションは、利用者の要求情報の内容を全て満たしている製造セクションのみを抽出してもよいし、利用者の要求情報の内容の全てを満たさなくても、少なくとも利用者が指定する靴を製造可能な製造セクションを抽出してもよい。
【0026】
ここで、製造セクションとは、典型的には、靴を製造する工場であり、これらの工場に関する情報は、例えば、工場DBとして、予め記憶部160に記憶されていてもよい。
【0027】
図4は、工場DBの一例を示す図である。図4に示されるように、工場DBには、工場毎に、「非化石エネルギー使用環境」、「加工設備」、「稼働状況」、「位置」、「労働条件」、「材料の在庫」、「配送方法」及び「製造実績」などが記憶されている。
【0028】
「非化石エネルギー使用環境」は、工場で用いられるエネルギーについて、例えば、太陽光、風力又は地熱などの非化石エネルギーを用いる環境か否か、非化石エネルギーを用いる環境である場合、現存量はどのくらいかを示す情報を含んでもよい。非化石エネルギーは、化石資源に由来しないエネルギーである。非化石エネルギーは、再生可能エネルギーと原子力発電によるエネルギーとを含む。再生可能エネルギーは、(1)太陽光、(2)風力、(3)水力、(4)地熱、(5)太陽熱、(6)大気中の熱その他の自然界に存在する熱、(7)バイオマス(動植物に由来する有機物)を含む。
【0029】
「加工設備」は、工場で設置されている設備の種類及び製造能力に関する情報であり、さらには、資産額及びリース代などの情報を含んでもよい。
【0030】
「稼働状況」は、工場の稼働時間帯に関する情報であり、さらには、繁忙期、閑散期及び休暇期間などに関する情報を含んでもよい。
【0031】
「位置」は、工場の立地などに関する情報であり、典型的には、工場の所在地である。
【0032】
「労働条件」は、工場の労働者の賃金(単価)及び労働時間に関する情報である。例えば、労働者の平均単価、及び靴1足を製造する際に掛かる労働者コストなどを含んでもよい。
【0033】
「材料の在庫」は、靴の材料の在庫に関する情報である。例えば、「材料の在庫」は、材料の在庫量であってもよいし、何足分の靴が製造可能であるかを示す情報であってもよいし、在庫がない場合には、次の入荷時期及び入荷量を示す情報を含んでもよい。
【0034】
「配送方法」は、工場で製造された靴を、工場から利用者、発注者又は購入者などの届け先まで配送する手段に関する情報である。例えば、「配送方法」は、トラック、船、飛行機、及びこれらの組み合わせなどを含んでもよい。
【0035】
「製造実績」は、工場で靴が製造された実績に関する情報である。例えば、「製造実績」は、靴の製造総数、不良(返品)率、クレーム件数、評価点数及びコメントなどを含んでもよい。
【0036】
このように、候補抽出部120は、利用者の要求情報に含まれる靴の製品情報(所定の製品番号)及び靴の製造情報(TPU及び3Dプリンティングなど)に基づいて、工場DBを参照して、予め登録されている工場から、当該靴を製造可能な工場(候補セクション)を抽出する。
【0037】
なお、ここでは、A工場、B工場、C工場・・・について、上記項目に関する情報が工場DBに記憶されているが、例えば、同一工場内において複数の設備(製造ライン)を有している場合、及び、稼働時間帯に応じて異なる加工設備(製造方法)で稼働させたり、異なる製品を製造したりする場合には、それぞれを1つの製造セクションとして取り扱ってもよい。すなわち、工場DBにおいて、製造セクション毎に上記項目に関する情報が記憶されていてもよい。
【0038】
また、工場DBは、1時間毎又は1日毎に更新されてもよいが、リアルタイム更新されることが好ましい。例えば、非化石エネルギーの現存量及び材料の在庫をリアルタイム更新することにより、後述する製造条件を高精度に生成することができる。
【0039】
図2の説明に戻り、製造条件生成部130は、候補抽出部120によって抽出された候補セクションの製造条件を生成する。製造条件は、少なくとも当該候補セクションの環境指標を含み、さらには、靴の価格に関する情報、靴の納期に関する情報及び靴の精度に関する情報などを含んでもよい。
【0040】
環境指標は、候補セクションが製品を製造する際に当該候補セクションが環境に与える影響に関する情報であって、例えば、スコア、ランク及びレベルなどで表されてもよく、例えば、「S」「A」「B」などの環境に与える影響がランクで表されてもよい。これにより、候補セクションがどの程度環境に影響を与えるか、及びどの程度環境に配慮しているかを確認することができる。
【0041】
図5は、利用者の要求情報、及び当該要求情報に基づいて抽出された各工場の製造条件の一例を示す図である。図5に示されるように、ここでは、少なくとも利用者が指定する靴を製造可能な工場として、A工場、B工場、C工場が抽出されて、各工場での製造条件が生成されている。製造条件には、「環境指標」、「納期」、「精度」及び「価格」などが含まれている。
【0042】
「環境指標」は、例えば、当該工場が靴を製造する際の、二酸化炭素排出量、溶剤使用量、オゾン層破壊への影響度、電力消費量及び水の使用量などに基づいて算出されてもよい。ここでは、「環境指標」は、A工場、B工場、C工場において、それぞれ「80点」「20点」「70点」としてスコアで表示され、予め設定された計算式により、二酸化炭素排出量、溶剤使用量、オゾン層破壊への影響度、電力消費量及び水の使用量などに基づいて算出されている。
【0043】
「環境指標」は、例えば、利用者の要求情報の製造情報に含まれる「材料」及び「加工方法」に影響される。具体的には、「材料」に応じて、材料作製時の二酸化炭素排出量に代表される環境指標が異なったり、溶剤使用量が変わったりすることが想定される。また、「加工方法」に応じて加工設備が決まったり、その電力消費量、水の使用量及び稼働時間が変わったりする。
【0044】
また、二酸化炭素排出量は、例えば、図4に示された工場DBの「非化石エネルギー使用環境」に基づいて、非化石エネルギーを使用している場合には、使用電力に対する二酸化炭素排出量をゼロとしてカウントしてもよく、工場DBの「位置」及び「配送方法」に基づいて、当該工場から届け先までの輸送時における二酸化炭素排出量を考慮したりしてもよい。
【0045】
「納期」は、例えば、利用者の要求情報の製造情報に含まれる「加工方法」、「納期」、「精度」、「個数」及び「価格」に影響される。具体的には、製造時間を多く費やす加工方法、個数が多い、及び価格が低い場合、納期は長期間となり得る。ここでは、「納期」は、A工場、B工場、C工場において、それぞれ「1ヶ月」「1週間」「2週間」として具体的な期間で表示されているが、例えば、利用者の要求情報の製造情報に含まれる「納期」を満たしている場合には、「○」と表示し、満たしていない場合には、「×」と表示するようにしてもよい。
【0046】
また、「納期」は、例えば、図4に示された工場DBの「稼働状況」、「位置」及び「材料の在庫」に基づいて、繁忙期及び休暇期間である場合、又は材料の在庫がない場合には、その分遅くなってもよい。工場が海外であれば輸送期間を考慮して「納期」が設定されてもよい。
【0047】
「精度」は、例えば、利用者の要求情報の製造情報に含まれる「加工方法」及び「精度」に影響される。具体的には、高精度の加工方法の場合、製造される靴の形状誤差は小さい。ここでは、「精度」は、A工場、B工場、C工場において、それぞれ「90点」「50点」「70点」としてスコアで表示されており、予め設定された計算式により算出されてもよい。また、例えば、利用者の要求情報の製造情報に含まれる「精度」を満たす場合には、「○」と表示し、満たさない場合には、「×」と表示するようにしてもよい。
【0048】
また、「精度」は、例えば、図4に示された工場DBの「加工設備」及び「製造実績」に基づいて算出されてもよい。例えば、「精度」は、加工設備が最新機種又は高性能である場合には、それに対応する精度として算出されてもよいし、さらに複数の工程を実行することにより、その分向上した精度として算出されてもよい。なお、複数の工程を実行することにより精度を向上させる場合には、納期が遅くなったり、価格が高くなったりすることを考慮してもよい。
【0049】
「価格」は、例えば、利用者の要求情報の製造情報に含まれる「加工方法」、「納期」、「精度」、「個数」及び「価格」に影響される。具体的には、材料のロスが少ない加工方法であれば価格が安くなったり、納期を短くすれば、工場をフル稼働させるために価格が高くなったり、個数が多い場合には、1足当たりの価格が安くなったりすることが考えられる。ここでは、「価格」は、A工場、B工場、C工場において、それぞれ「15,000円」「5,000円」「10,000円」として具体的な価格で表示されているが、例えば、利用者の要求情報の製造情報に含まれる「価格」を満たしている場合には、「○」と表示し、満たしていない場合には、「×」と表示するようにしてもよい。
【0050】
また、「価格」は、例えば、図4に示された工場DBの「加工設備」、「稼働状況」及び「労働条件」に基づいて、加工設備の資産額又はリース代が高い場合、繁忙期である場合、及び労働者の賃金が高い場合には、高くなることを考慮してもよい。
【0051】
このように、製造条件生成部130は、製造条件の各項目を、当該各項目に影響する、利用者の要求情報の各項目、及び図4に示された工場DBの各項目を用いて算出したが、上述した具体例に限定されるものではない。製造条件の各項目は、当該各項目に影響すると考えられる各項目を、適宜、用いたり、組み合わせたりすることによって算出されてもよい。
【0052】
さらに、ここでは、製造条件として、「環境指標」、「納期」、「精度」及び「価格」が算出されているが、これらに限定されるものではなく、これらのうち一部でもよいし、靴の製造条件に関わる他の項目がさらに追加されてもよい。
【0053】
図2の説明に戻り、出力部140は、製造条件生成部130によって生成された製造条件を出力する。例えば、製造条件は、インターネットを介して利用者端末20に送信され、当該利用者端末20の画面に表示されてもよい。
【0054】
発注受付部150は、製造条件に基づく利用者の発注を受け付ける。例えば、利用者端末20の画面に表示された製造条件を、利用者が確認し、A工場、B工場及びC工場のうち、いずれかの工場(例えば、A工場の製造条件)での発注を希望する場合には、利用者端末20において、A工場に発注する旨を入力(選択)して、インターネットを介して発注支援装置100に送信する。そして、発注支援装置100の発注受付部150は、それを受け付けて、その後、A工場に発注してもよい。
【0055】
記憶部160は、上述したように、図4に示されるような工場DBとして、製造セクション(工場)毎に、「非化石エネルギー使用環境」、「加工設備」、「稼働状況」、「位置」、「労働条件」、「材料の在庫」、「配送方法」及び「製造実績」などの各項目を記憶している。
【0056】
なお、記憶部160に記憶されるものはこれらに限定されるものではなく、これら以外にも発注支援装置100の処理において必要なデータが記憶され、また、処理過程において一時的にデータが記憶されてもよい。
【0057】
[発注支援方法]
次に、利用者によって利用者端末20を用いて入力された要求情報を取得し、製造条件を生成して利用者端末20に送信し、さらに、利用者からの発注を受け付ける発注支援方法について、具体的に詳しく説明する。
【0058】
図6は、本開示の第1実施形態に係る発注支援装置100が実行する発注支援方法M100を示すフローチャートである。図6に示されるように、発注支援方法M100は、ステップS110~S160を含み、各ステップは、発注支援装置100に含まれるコンピュータ、および、クラウド上のサーバによって実行される。
【0059】
ステップS110では、要求情報取得部110は、製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する(要求情報取得ステップ)。具体例としては、要求情報取得部110は、利用者端末20からの利用者の要求情報を取得する。当該利用者の要求情報は、図3に示されたような靴の製品情報及び靴の製造情報である。
【0060】
ステップS120では、候補抽出部120が、ステップS110で取得した要求情報に基づいて、予め記憶されている製造セクションのうち製品を製造可能な候補セクションを抽出する(候補抽出ステップ)。具体例としては、候補抽出部120は、工場DBを参照して、予め登録されている工場から、利用者が所望する靴を製造可能な工場を抽出する。候補抽出部120は、利用者の要求情報の全てを満たさなくても、少なくとも利用者が所望する靴を製造可能な工場を抽出してもよい。
【0061】
ステップS130では、製造条件生成部130は、ステップS120で抽出した候補セクションの製造条件を生成する(製造条件生成ステップ)。具体例としては、製造条件生成部130は、図5に示されたような、少なくとも利用者が所望する靴を製造可能な工場であるA工場、B工場及びC工場の製造条件を生成する。製造条件には、環境指標、靴の価格に関する情報、靴の納期に関する情報及び靴の精度に関する情報が含まれており、各項目は、利用者の要求情報に含まれる各項目に影響され、図4に示されたような工場DBの各項目に基づいて算出される。
【0062】
ステップS140では、出力部140は、ステップS130で生成した製造条件を出力する(出力ステップ)。具体例としては、出力部140は、図5に示されたようなA工場、B工場及びC工場の製造条件を、利用者端末20に送信して、当該利用者端末20の画面に表示させる。
【0063】
ステップS150では、発注受付部150は、ステップS140で出力した製造条件に基づく利用者の発注を受け付けた場合(発注受付ステップ)、ステップS160の処理に進む(ステップS150で「Yes」)。具体例としては、利用者端末20において、利用者は、画面に表示された図5に示されたようなA工場、B工場及びC工場の製造条件を確認し、いずれかの工場(ここでは、A工場を選択したとする)での発注を希望する場合には、その旨を入力して、インターネットを介して発注支援装置100に送信する。そして、発注受付部150は、それを受け付ける。
【0064】
一方、利用者端末20において、利用者は、画面に表示された図5に示されたようなA工場、B工場及びC工場の製造条件を確認し、いずれの工場でも発注を希望しない場合には、ステップS110の処理に戻る(ステップS150で「No」)。そして、要求情報取得部110は、利用者によって、再度入力された所望の靴及び当該靴の製造に関する要求情報を取得する(以降は、同様の処理を繰り返す)。
【0065】
ステップS160では、発注支援装置100は、ステップS150で受け付けた発注に基づいて製品の製造を依頼する(製造依頼ステップ)。具体例としては、発注支援装置100は、図5に示されたA工場の製造条件で、A工場に対して、靴を製造するように依頼する。その後、A工場では、発注支援装置100からの依頼に基づいて靴を製造し、利用者に届けるようにすればよい。
【0066】
[第1実施形態の作用効果]
本開示の第1実施形態に係る発注支援装置100及び発注支援方法M100によれば、製造条件生成部130は、利用者の要求情報に基づく靴を製造可能なA工場、B工場及びC工場の製造条件を生成し、出力部140は、当該製造条件を利用者端末20の画面に表示されるように出力する。当該製造条件には環境指標を含まれているため、利用者は、環境指標が含まれる製造条件を確認することができる。その結果、利用者は、靴の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該靴を発注することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、環境指標は、図5に示されたように、二酸化炭素排出量、溶剤使用量、オゾン層破壊への影響度、電力消費量及び水の使用量などに基づいて算出されていたが、これに限定されるものではない。例えば、製品や企業活動が環境に与えている負荷を評価するための指標として、EF(Environmental Footprint)3.0で示されている、二酸化炭素排出量、土地及び土壌への影響度、化石燃料使用量、鉱物及び金属の使用量、水の使用量、淡水生態への影響度、淡水系への栄養素の排出量、酸性化への影響度、海洋系への栄養素の排出量、陸地生態への栄養素の排出量、光化学オゾンの排出量、呼吸器系への影響度、放射性物質の排出量、発がん性物質の排出量、非発がん性毒物,および劇物質の排出量、及びオゾン層破壊への影響度のうち、少なくとも一つ以上に基づいて得られるようにしてもよい。
【0068】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態では、第1実施形態で説明した発注支援装置100に加えて、利用者に推奨セクションを推奨する推奨判定部を備える発注支援装置について説明する。
【0069】
図7は、本開示の第2実施形態に係る発注支援装置200における各機能を示す機能ブロック図である。なお、図6において、図2に示された本開示の第1実施形態に係る発注支援装置100と同一の構成については、同一の参照符号を付すことによって、詳細な説明は省略する。本実施形態では、主に、本開示の第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0070】
図7に示されるように、発注支援装置200は、要求情報取得部110と、候補抽出部120と、製造条件生成部130と、出力部140と、発注受付部150と、記憶部160と、推奨判定部210とを備える。
【0071】
推奨判定部210は、利用者が重視する項目に関する情報を取得し、当該利用者が重視する項目に関する情報に基づいて、候補抽出部120によって抽出された候補セクションのうち利用者に推奨する推奨セクションを判定する。例えば、本開示の第1実施形態で説明したように、少なくとも利用者が指定する靴を製造可能な工場として、A工場、B工場、C工場が抽出されて、各工場での製造条件が生成されるが、そのうち、推奨判定部210は、当該利用者が重視する項目に関する情報に基づいて、当該利用者に推奨する工場を判定する。
【0072】
ここで、利用者が重視する項目に関する情報とは、例えば、環境指標、納期、精度及び価格のうち、利用者がいずれの項目を重視しているか、優先順位、さらには、重視度(優先度)に応じた重み付けなどを含んでもよい。
【0073】
利用者が重視する項目に関する情報は、利用者定義として利用者毎に記憶部160に記憶されていてもよいし、利用者によって利用者端末20を用いて、利用者の要求情報として都度入力されてもよい。推奨判定部210は、このように利用者定義として記憶されている又は都度入力される、利用者が重視する項目に関する情報を取得する。
【0074】
利用者が環境指標を重視する場合には、推奨判定部210は、例えば、図5に示されたA工場、B工場及びC工場のうち、製造条件に含まれる環境指標が最も良いA工場を利用者に推奨する工場として判定してもよい。
【0075】
同様に、利用者が納期、精度又は価格を重視する場合には、推奨判定部210は、製造条件に含まれる各項目のスコア(評価)が最も良い工場を利用者に推奨する工場として判定してもよい。
【0076】
さらに、利用者が重視する項目に関する情報において、製造条件に含まれる各項目について、優先順位又は重み付けが付されている場合には、推奨判定部210は、当該優先順位又は重み付けに基づいて、利用者に推奨する工場を判定してもよい。
【0077】
例えば、図5に示された製造条件の各項目「環境指標」「納期」「精度」「価格」について、それぞれ重み付けα、β、γ、δが指定され、お奨めスコアRを下記式を用いて算出してもよい。α、β、γ、δは、利用者によって任意の係数が指定されてもよいし、指定された優先順位に従って予め設定された係数としてもよい。
お奨めスコアR=α×(環境指標)+β×(納期)+γ×(精度)+δ×(価格)
【0078】
さらに、利用者によって利用者端末20を用いて、所望の靴及び当該靴の製造に関する要求情報を入力する際に、当該利用者の希望値に加えて、許容値を入力するようにしてもよい。具体的には、利用者は、靴の希望価格を1万円と入力し、許容(上限)価格を1万3000円と入力した場合、希望価格及び許容価格に基づいて、例えば、正規分布及び回帰式を用いて、製造条件の価格のスコアを標準化する。
【0079】
図8は、希望値及び許容(上限)値に基づいて、製造条件の実際のスコア(評価値)を正規分布を用いて標準化値に換算する様子を示す図である。図8に示されるように、希望値を「100」とし、許容値(上限)を「0」として、実際のスコア(評価値)が希望値よりも良い場合には、希望値と同等の標準化値「100」に換算し、実際のスコア(評価値)が希望値よりも悪い場合には、正規分布を用いて(許容値(上限)を「0」として)、標準化値に換算する。具体的には、利用者が靴の希望価格を1万円と入力し、許容(上限)価格を1万3000円と入力した場合、製造条件の実際のスコア(評価値)が1万円以下の場合、標準化値「100」とし、実際のスコア(評価値)が1万円を超える場合には、許容(上限)価格である1万3000円を「0」として、正規分布を用いて標準化値に換算すればよい。
【0080】
ここでは、製造条件の価格について例に挙げたが、その他、例えば、「環境指標」「納期」「精度」などについても同様に、利用者に、希望値に加えて、許容値を入力させるようにして、製造条件の実際のスコア(評価値)を標準化値に換算してもよい。
【0081】
これにより、製造条件の各項目について実際のスコア(評価値)を標準化値に換算した上で、推奨判定部210は、利用者に推奨する工場を判定することができるため、利用者の許容値を反映して、より利用者の嗜好に適合した工場を推奨することができる。
【0082】
出力部140は、推奨セクションの製造条件を出力する。例えば、推奨する工場がA工場である場合、出力部140は、図5に示されたようなA工場、B工場及びC工場の製造条件に加えて、その中でA工場が推奨する工場である旨を、利用者端末20の画面に表示させるようにしてもよい。また、利用者端末20の画面には、推奨する工場であるA工場(A工場の製造条件)のみを表示させるようにしてもよいし、推奨する順番に、A工場、B工場及びC工場を表示させるようにしてもよい。
【0083】
[第2実施形態の作用効果]
本開示の第2実施形態に係る発注支援装置200によれば、本開示の第1実施形態に係る発注支援装置100に加えて推奨判定部210を備え、当該推奨判定部210は、利用者が重視する項目に関する情報に基づいて、当該利用者に推奨する工場を判定するため、利用者にとっては、嗜好に適合する工場を容易に把握して、靴を発注することができる。
【0084】
<変形例>
本開示の第1実施形態及び第2実施形態では、製品発注システム10を利用する利用者が卸売業者及び小売業者などの業者である場合を例に挙げて説明したが、利用者は、このような業者に限定されるものではなく、個人であってもよい。
【0085】
図9は、利用者が個人である場合に、利用者端末20を用いて入力される利用者の要求情報の一例を示す図である。図9に示されるように、利用者は、利用者端末20を用いて、3Dモデル又は製品番号を入力することにより靴の製品情報を入力してもよい。また、利用者は、利用者端末20を用いて、当該靴について、発注より1ヶ月(納期)、1足(個数)及び1万円(価格)を入力することにより、靴の製造情報を入力してもよい。ここで、図3に示された利用者が卸売業者及び小売業者などの業者である場合とは異なり、TPU(材料)、3Dプリンティング(加工方法)及び誤差1mm以下(精度)は、利用者からの入力ではなく、自動的に設定されてもよい。
【0086】
利用者が業者である場合には、専門的知識に基づいて、材料、加工方法及び精度などの要求情報を入力することができるが、利用者が個人である場合には、これらの情報は、例えば、靴の製品情報から自動的に設定されるようにしてもよい。
【0087】
[変形例の作用効果]
靴の製造情報のうち、利用者に専門的知識がなく入力が困難な項目があったとしても、靴の製品情報から自動的に設定されることにより、利用者が卸売業者及び小売業者などの業者の場合だけでなく、個人である場合でも、当該発注支援装置を利用することができる。
【0088】
[本開示の作用効果まとめ]
本開示によれば、衣類、履物及び装身具のいずれかである製品の発注する際に、利用者の要求情報に基づく製品を製造可能な候補セクションの製造条件を生成し、利用者に確認させる。当該製造条件には環境指標が含まれているため、利用者は、製品の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該製品を発注することができる。
【0089】
[態様]
(1)本開示の一態様にかかる発注支援装置は、衣類、履物及び装身具のいずれかである製品の発注を支援する発注支援装置であって、前記製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する要求情報取得部と、前記要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち前記製品を製造可能な候補セクションを抽出する候補抽出部と、前記候補セクションが環境に与える影響に関する環境指標を含む、前記候補セクションの製造条件を生成する製造条件生成部と、前記製造条件を出力する出力部と、を備える。
上記(1)の発注支援装置によれば、利用者は、環境指標が含まれる製造条件を確認することができるため、製品の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該製品を発注することができる。
(2)上記(1)に記載の発注支援装置において、前記環境指標は、少なくとも前記製造セクション毎に記憶されている化石エネルギー使用環境に基づいて得られてもよい。
上記(2)の発注支援装置によれば、環境指標は、化石エネルギー使用環境に基づいて得られるため、製品の製造に際して環境に与える影響を適切に環境指標に反映することができる。
(3)上記(1)又は(2)に記載の発注支援装置において、前記製造条件は、前記環境指標に加えて、少なくとも価格に関する情報、納期に関する情報及び精度に関する情報のいずれかを含んでもよい。
上記(3)の発注支援装置によれば、利用者は、製造条件として、環境指標に加えて、価格に関する情報、納期に関する情報及び精度に関する情報も考慮しつつ当該製品を発注することができる。
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の発注支援装置において、前記製造条件生成部は、前記製造セクション毎に記憶されている、加工設備、稼働状況、位置、労働条件、材料の在庫、配送方法及び製造実績に関する情報の少なくとも一つ以上に基づいて、前記候補セクションの製造条件を生成してもよい。
上記(4)の発注支援装置によれば、製造条件生成部は、種々の情報に基づく候補セクションの製造条件を生成することができる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載の発注支援装置において、前記利用者が重視する項目に関する情報を取得し、当該利用者が重視する項目に関する情報に基づいて、前記候補セクションのうち前記利用者に推奨する推奨セクションを判定する推奨判定部を、さらに備えてもよく、前記出力部は、前記推奨セクションの製造条件を出力してもよい。
上記(5)の発注支援装置によれば、推奨判定部は、利用者が重視する項目に関する情報に基づいて推奨セクションを判定するため、利用者は、自身が重視する項目に沿った製造セクションを容易に確認することができる。
(6)上記(5)に記載の発注支援装置において、前記利用者が重視する項目に関する情報は、前記利用者毎に記憶されている利用者定義に基づいて得られてもよい。
上記(6)の発注支援装置によれば、利用者が重視する項目に関する情報を、利用者毎に適切に用いることができる。
(7)上記(5)に記載の発注支援装置において、前記利用者が重視する項目に関する情報は、前記利用者によって入力される前記要求情報に含まれる情報に基づいて得られてもよい。
上記(7)の発注支援装置によれば、利用者が重視する項目に関する情報を、当該利用者は、製品を発注する毎に入力することができる。
(8)上記(1)から(7)のいずれかに記載の発注支援装置において、前記環境指標は、前記製品を製造する際の、二酸化炭素排出量、土地及び土壌への影響度、化石燃料使用量、鉱物及び金属の使用量、水の使用量、淡水生態への影響度、淡水系への栄養素の排出量、酸性化への影響度、海洋系への栄養素の排出量、陸地生態への栄養素の排出量、光化学オゾンの排出量、呼吸器系への影響度、放射性物質の排出量、発がん性物質の排出量、非発がん性毒物,および劇物質の排出量、及びオゾン層破壊への影響度のうち、少なくとも一つ以上に基づいて得られてもよい。
上記(8)の発注支援装置によれば、環境指標は、種々の項目に基づいて得ることができる。
(9)本開示の別の一態様にかかる発注支援方法は、衣類、履物及び装身具のいずれかである製品の発注を支援する発注支援装置が実行する発注支援方法であって、前記製品及び当該製品の製造に関する、利用者の要求情報を取得する要求情報取得ステップと、前記要求情報に基づいて、所定の製造セクションのうち前記製品を製造可能な候補セクションを抽出する候補抽出ステップと、前記候補セクションが環境に与える影響に関する環境指標を含む、前記候補セクションの製造条件を生成する製造条件生成ステップと、前記製造条件を出力する出力ステップと、を含む。
上記(9)の発注支援方法によれば、利用者は、環境指標が含まれる製造条件を確認することができるため、製品の製造に際して環境に与える影響を考慮しつつ当該製品を発注することができる。
【0090】
以上説明した実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示は、衣類、履物及び装身具などの製品の発注を支援するシステムなどに有用である。
【符号の説明】
【0092】
10…製品発注システム、20…利用者端末、30A~30C…工場、100,200…発注支援装置、110…要求情報取得部、120…候補抽出部、130…製造条件生成部、140…出力部、150…発注受付部、160…記憶部、210…推奨判定部、M100…発注支援方法、S110~S160…発注支援方法M100の各ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9