IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧

特開2025-57938統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラム
<>
  • 特開-統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラム 図1
  • 特開-統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラム 図2
  • 特開-統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラム 図3
  • 特開-統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラム 図4
  • 特開-統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025057938
(43)【公開日】2025-04-09
(54)【発明の名称】統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20250402BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20250402BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20250402BHJP
【FI】
G06Q10/06
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167787
(22)【出願日】2023-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神宮 善行
(72)【発明者】
【氏名】藤井 英幸
【テーマコード(参考)】
3C100
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA03
3C100AA23
3C100AA54
3C100BB04
3C100BB12
5L010AA06
5L049AA06
5L049CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラムを提供する。
【解決手段】それぞれ生産物を生産する複数の設備のうちの一の設備において異常が発生した場合に、前記一の設備が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを、前記一の設備における生産を管理する一の生産管理システムから取得する取得部と、前記復旧時間データを用いて、前記一の設備における前記生産物の減産量を予測する予測部と、前記減産量、および、前記複数の設備のうち前記一の設備とは異なる他の設備における生産条件を示す生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記生産物の増産量を決定する決定部と、前記増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の設備における生産を管理する他の生産管理システムへ送信する送信部とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ生産物を生産する複数の設備のうちの一の設備において異常が発生した場合に、前記一の設備が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを、前記一の設備における生産を管理する一の生産管理システムから取得する取得部と、
前記復旧時間データを用いて、前記一の設備における前記生産物の減産量を予測する予測部と、
前記減産量、および、前記複数の設備のうち前記一の設備とは異なる他の設備における生産条件を示す生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記生産物の増産量を決定する決定部と、
前記増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の設備における生産を管理する他の生産管理システムへ送信する送信部と、
を備える、統合管理システム。
【請求項2】
前記生産条件は、他の設備における前記生産物の増産可能量を含み、
前記決定部は、前記他の設備における前記生産物の増産量を、前記他の設備における前記生産物の増産可能量以下とする請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項3】
前記生産条件は、稼働率を含む、請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項4】
前記生産条件は、メンテナンス計画を含む、請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項5】
前記生産条件は、生産コストを含む、請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項6】
前記生産コストは、前記生産物を出荷先へ出荷する出荷コストを含む、請求項5に記載の統合管理システム。
【請求項7】
前記他の設備についての前記生産条件データを受信する受信部を備え、
前記決定部は、前記減産量、および受信した前記生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記増産量を決定する請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項8】
前記送信部は、前記一の設備が復旧した場合に、増産終了メッセージを、前記他の生産管理システムへ送信する、請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項9】
前記決定部は、前記一の設備が復旧したことに応じて、前記異常が発生しなかった場合に当該一の設備において現時点からの期間内に予定されていた前記生産物の生産量よりも前記生産物を増産する他の増産量を決定し、
前記送信部は、前記他の増産量に応じた増産指示メッセージを、前記一の生産管理システムへ送信する、請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項10】
前記決定部は、前記一の設備が復旧したことに応じて、前記異常が発生しなかった場合に前記他の設備において現時点からの期間内に予定されていた前記生産物の生産量よりも前記生産物を減産する減産量を決定し、
前記送信部は、前記増産指示メッセージを前記一の生産管理システムへ送信したことに応じて、前記減産量に応じた減産指示メッセージを、前記他の生産管理システムへ送信する、請求項9に記載の統合管理システム。
【請求項11】
前記決定部は、予め定められた基準時間内に前記一の設備が復旧しなかった場合に、前記一の設備における前記生産物の減産量を決定し、
前記送信部は、前記減産量に応じた減産指示メッセージを、前記一の生産管理システムへ送信する、請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項12】
前記決定部は、予め定められた基準時間内に前記一の設備が復旧しなかった場合に、前記他の設備における前記増産量を再決定し、
前記送信部は、前記再決定された増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の生産管理システムへ再送信する、請求項1に記載の統合管理システム。
【請求項13】
コンピュータが、
それぞれ生産物を生産する複数の設備のうちの一の設備において異常が発生した場合に、前記一の設備が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを、前記一の設備における生産を管理する一の生産管理システムから取得することと、
前記復旧時間データを用いて、前記一の設備における前記生産物の減産量を予測することと、
前記減産量、および、前記複数の設備のうちの他の設備における生産条件を示す生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記生産物の増産量を決定することと、
前記増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の設備における生産を管理する他の生産管理システムへ送信することと、
を備える、統合管理方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、
それぞれ生産物を生産する複数の設備のうちの一の設備において異常が発生した場合に、前記一の設備が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを、前記一の設備における生産を管理する一の生産管理システムから取得する取得部と、
前記復旧時間データを用いて、前記一の設備における前記生産物の減産量を予測する予測部と、
前記減産量、および、前記複数の設備のうちの他の設備における生産条件を示す生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記生産物の増産量を決定する決定部と、
前記増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の設備における生産を管理する他の生産管理システムへ送信する送信部と、
して機能させる、統合管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合管理システム、統合管理方法および統合管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~5には、「第2製造計画では、第1製造ラインAは故障予定時点から復旧予定時点までの期間においては稼働しないが、第2製造ラインBは故障予兆検出時点以降に負荷量が上がり、第1製造ラインAも復旧予定時点を過ぎてから負荷量が上がる。」(特許文献1の段落0077)等と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2020-067927号公報
[特許文献2] 特開2020-052931号公報
[特許文献3] 特開2004-227461号公報
[特許文献4] 特開平02-284853号公報
[特許文献5] 特開2012-226541号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、それぞれ生産物を生産する複数の設備のうちの一の設備において異常が発生した場合に、前記一の設備が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを、前記一の設備における生産を管理する一の生産管理システムから取得する取得部と、前記復旧時間データを用いて、前記一の設備における前記生産物の減産量を予測する予測部と、前記減産量、および、前記複数の設備のうち前記一の設備とは異なる他の設備における生産条件を示す生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記生産物の増産量を決定する決定部と、前記増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の設備における生産を管理する他の生産管理システムへ送信する送信部と、を備える、統合管理システムが提供される。
【0004】
上記の統合管理システムにおいて、前記生産条件は、他の設備における前記生産物の増産可能量を含み、前記決定部は、前記他の設備における前記生産物の増産量を、前記他の設備における前記生産物の増産可能量以下としてよい。
【0005】
上記何れかの統合管理システムにおいて、前記生産条件は、稼働率を含んでよい。
【0006】
上記何れかの統合管理システムにおいて、前記生産条件は、メンテナンス計画を含んでよい。
【0007】
上記何れかの統合管理システムにおいて、前記生産条件は、生産コストを含んでよい。
【0008】
上記の統合管理システムにおいて、前記生産コストは、前記生産物を出荷先へ出荷する出荷コストを含んでよい。
【0009】
上記何れかの統合管理システムは、前記他の設備についての前記生産条件データを受信する受信部を備え、前記決定部は、前記減産量、および受信した前記生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記増産量を決定してよい。
【0010】
上記何れかの統合管理システムにおいて、前記送信部は、前記一の設備が復旧した場合に、増産終了メッセージを、前記他の生産管理システムへ送信してよい。
【0011】
上記何れかの統合管理システムにおいて、前記決定部は、前記一の設備が復旧したことに応じて、前記異常が発生しなかった場合に当該一の設備において現時点からの期間内に予定されていた前記生産物の生産量よりも前記生産物を増産する他の増産量を決定し、前記送信部は、前記他の増産量に応じた増産指示メッセージを、前記一の生産管理システムへ送信してよい。
【0012】
上記の統合管理システムにおいて、前記決定部は、前記一の設備が復旧したことに応じて、前記異常が発生しなかった場合に前記他の設備において現時点からの期間内に予定されていた前記生産物の生産量よりも前記生産物を減産する減産量を決定し、前記送信部は、前記増産指示メッセージを前記一の生産管理システムへ送信したことに応じて、前記減産量に応じた減産指示メッセージを、前記他の生産管理システムへ送信してよい。
【0013】
上記何れかの統合管理システムにおいて、前記決定部は、予め定められた基準時間内に前記一の設備が復旧しなかった場合に、前記一の設備における前記生産物の減産量を決定し、前記送信部は、前記減産量に応じた減産指示メッセージを、前記一の生産管理システムへ送信してよい。
【0014】
上記何れかの統合管理システムにおいて、前記決定部は、予め定められた基準時間内に前記一の設備が復旧しなかった場合に、前記他の設備における前記増産量を再決定し、前記送信部は、前記再決定された増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の生産管理システムへ再送信してよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、コンピュータが、それぞれ生産物を生産する複数の設備のうちの一の設備において異常が発生した場合に、前記一の設備が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを、前記一の設備における生産を管理する一の生産管理システムから取得することと、前記復旧時間データを用いて、前記一の設備における前記生産物の減産量を予測することと、前記減産量、および、前記複数の設備のうちの他の設備における生産条件を示す生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記生産物の増産量を決定することと、前記増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の設備における生産を管理する他の生産管理システムへ送信することと、を備える、統合管理方法が提供される。
【0016】
本発明の第3の態様においては、コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、それぞれ生産物を生産する複数の設備のうちの一の設備において異常が発生した場合に、前記一の設備が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを、前記一の設備における生産を管理する一の生産管理システムから取得する取得部と、前記復旧時間データを用いて、前記一の設備における前記生産物の減産量を予測する予測部と、前記減産量、および、前記複数の設備のうちの他の設備における生産条件を示す生産条件データに基づいて、前記他の設備における前記生産物の増産量を決定する決定部と、前記増産量に応じた増産指示メッセージを、前記他の設備における生産を管理する他の生産管理システムへ送信する送信部と、して機能させる、統合管理プログラムが提供される。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る生産システム1を示す。
図2】生産管理システム3を示す。
図3】統合管理システム4を示す。
図4】生産システム1の動作を示す。
図5】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ1200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
(システム1)
図1は、本実施形態に係る生産システム1を示す。生産システム1は、複数の設備2と、複数の生産管理システム3と、統合管理システム4とを備える。
【0021】
((設備2))
各設備2は、生産物を生産する。各設備2は、複数の機器が設けられたプラントでもよいし、複数の機器を複合させた製造装置でもよい。プラントとしては、化学やバイオ等の工業プラント等が挙げられる。
【0022】
ここで、本実施形態に係る生産システム1には、互いに協働してサプライチェーン10を構成する複数の設備2が含まれてよい。サプライチェーン10は出発原料から生産物a、生産物b、および生産物cを段階的に順次、生産してよく、サプライチェーン10を構成する上流側の設備2は、生産物を生産して下流側の設備2に供給してよい。下流側の設備2は、上流側の設備2で生産された生産物を原材料にして他の生産物を生産し、より下流側の設備2に供給してよい。なお、本実施形態においては一例として、各設備2は、サプライチェーン10内で流通する生産物a,b,cのうち何れか一種類の生産物を生産してよい。生産物cはサプライチェーン10の最終生産物であってよい。
【0023】
本実施形態に係る生産システム1には、それぞれ同種の生産物を生産する複数の設備2が含まれてよい。本実施形態においては一例として、生産システム1には、それぞれ生産物aを生産する複数の設備2(設備2aとも称する)と、それぞれ生産物bを生産する複数の設備2(設備2bとも称する)と、それぞれ生産物cを生産する複数の設備2(設備2cとも称する)とが含まれてよい。各設備2aは生産物aを設備2bに供給してよく、各設備2bは生産物bを設備2cに供給してよい。
【0024】
各設備2は、別々のメーカによって運転されてよく、異なる敷地内に設置されてよい。各設備2には、当該設備の状態を測定する1または複数のセンサが設けられてよい。センサは、圧力、温度、pH、速度、流量などの物理量を測定してよい。また、センサは、設備2における生産物の生産量や、生産速度などの測定を行ってもよい。
【0025】
((生産管理システム3))
各生産管理システム3は、生産システム1に含まれる複数の設備2のうち、管理対象とする1または複数の設備2(対象設備2とも称する)を管理することで、対象設備2における生産物の生産を管理する。
【0026】
ここで、本実施形態に係る生産システム1には、設備2aを管理する生産管理システム3(生産管理システム3aとも称する)と、設備2bを管理する生産管理システム3(生産管理システム3bとも称する)と、設備2cを管理する生産管理システム3(生産管理システム3cとも称する)とが含まれてよい。本実施形態に係る生産システム1には、複数の設備2aのそれぞれを管理する複数の生産管理システム3aと、複数の設備2bのそれぞれを管理する複数の生産管理システム3bと、複数の設備2cのそれぞれを管理する複数の生産管理システム3cとが含まれてよい。各生産管理システム3は各設備2と1対1で対応し、対応する単一の設備2を管理してよい。各生産管理システム3は、対象設備2と同じメーカによって操作されてよく、対象設備2と同じ敷地内に設置されてよい。但し、少なくとも一部の生産管理システム3は、ネットワーク上に設けられてもよい。
【0027】
((統合管理システム4))
統合管理システム4は、生産物に関連する複数の設備2を統合管理する。例えば、統合管理システム4は、生産物aに関連する複数の設備2aを統合管理してもよいし、生産物bに関連する複数の設備2bを統合管理してもよいし、生産物cに関連する複数の設備2cを統合管理してもよい。生産物a~cは相互に原材料および生成物として互いに関連するため、統合管理システム4は、生産物aに関連する複数の設備2a~2cを統合管理してもよいし、生産物bに関連する複数の設備2a~2cを統合管理してもよいし、生産物cに関連する複数の設備2a~2cを統合管理してもよい。本実施形態においては一例として、統合管理システム4は、各生産管理システム3を介してサプライチェーン10の全体を管理してよい。統合管理システム4は、例えばクラウド上に設けられてよい。
【0028】
(生産管理システム3の構成)
図2は、生産管理システム3を示す。生産管理システム3は、取得部30と、検出部31と、記憶部32と、予測部33と、送信部34と、モデル生成部35と、受信部36と、制御部37とを有する。
【0029】
((取得部30))
取得部30は、対象設備2の状態を示す状態データを取得する。取得部30は、対象設備2から状態データを取得してよい。状態データは対象設備2の状態を示すべく、対象設備2において少なくとも1つのセンサによって測定された測定データを含んでよい。状態データは一の時点における対象設備2の状態を示してよく、一の時点、またはその誤差期間内で測定された測定データを含んでよい。取得部30は、状態データを取得するごとに、当該状態データを検出部31、記憶部32および制御部37に供給してよい。
【0030】
((検出部31))
検出部31は、状態データに基づいて対象設備2の異常を検出する。検出部31は、取得部30から対象設備2の状態データが供給されることに応じて、対象設備2が異常であるか否かを検出してよく、検出結果を記憶部32、予測部33および送信部34に供給してよい。
【0031】
検出部31は、一の時点で取得部30から供給された状態データ(一の時点の状態データとも称する)に基づいて対象設備2が異常であると検出した後、他の時点で取得部30から供給された状態データ(他の時点の状態データとも称する)に基づいて対象設備2が正常であると検出することに応じて、一の時点から他の時点までの時間を、復旧までに要した復旧時間として検出してよい。検出部31により検出される復旧時間は、復旧時間の実績を示してよい。検出部31は、復旧時間を検出したことに応じて、一の時点から他の時点までの各時点のうち、少なくとも一の時点の状態データに対応付けて、当該復旧時間を記憶部32に記憶させてよい。一例として、検出部31は、対象設備2を異常と検出した状態データのタイムスタンプを一時記憶しておき、異常の復旧により復旧時間が検出されたことに応じて、一時記憶しておいたタイムスタンプの状態データに対応付けて当該復旧時間を記憶させてよい。なお、検出部31は復旧時間の検出を行わなくてもよい。この場合には、生産管理システム3のオペレータが対象設備2の復旧を確認したことに応じて、上述の一の時点から現時点までを復旧時点として検出し、記憶部32に記憶させてよい。なお、状態データと対応付けて記憶された復旧時間の実績は、後述する学習データとして、学習モデル322を生成するために用いられてよい。
【0032】
検出部31は、一例として対象設備2の状態データが供給されることに応じて対象設備2の状態の分類結果を出力する分類モデル(図示せず)を用いて対象設備2の異常を検出してよい。設備2の状態の分類は、本実施形態では一例として正常を示す分類と、異常を示す分類との何れかであってよい。分類モデルは、対象設備2の状態が正常であることを示す値と、異常であることを示す値とで2値化された状態指標値(ヘルスインデックスとも称する)を出力してよい。分類モデルは、対象設備2の状態データと、対象設備2の状態が良好であることを示す値、および設備2の状態が不良であることを示す値の2値とを含む学習データを用いて学習したものであってよく、閾値との比較により2値化された態指標値を出力してよい。分類モデルは、例えばサポートベクトルマシンであってよいが、ロジスティック回帰や決定木、ニューラルネットワークなどの他のアルゴリズムによる学習済みのモデルであってもよい。
【0033】
((記憶部32))
記憶部32は、種々の情報を記憶する。記憶部32は、データファイル321と、学習モデル322とを記憶してよい。記憶部32は、対象設備2のメンテナンス計画や生産物の生産コストなどをさらに記憶してもよい。
【0034】
(((データファイル321)))
データファイル321は、取得部30から供給される状態データを格納する。データファイル321には、状態データとその取得タイミングとが対応付けて格納されてよい。データファイル321の状態データには、対象設備2が正常および異常のいずれであるかが対応付けて格納されてよく、本実施形態においては一例として、当該状態データに基づく検出部31の検出結果が対応付けて格納されてよい。データファイル321の状態データのうち、少なくとも異常の発生時点の状態データには、検出部31によって検出された、実績としての当該異常の復旧時間が対応付けられてよい。
【0035】
(((学習モデル322)))
学習モデル322は、対象設備2が異常である場合の状態データが供給されることに応じて、対象設備2が復旧するまでに要すると予測される復旧時間を出力する。復旧時間は、分単位や時間単位、日単位の長さを有してよい。学習モデル322は、状態データが入力されたことに応じて復旧時間を出力するように学習されたものであってよい。学習モデル322は、例えばサポートベクトルマシンであってよいが、ロジスティック回帰や決定木、ニューラルネットワークなどの他のアルゴリズムによる学習済みのモデルであってもよい。
【0036】
((予測部33))
予測部33は、対象設備2の異常が検出された場合に、設備2が復旧するまでに要する復旧時間を予測する。予測部33は、検出部31により対象設備2の異常が検出されたことに応じて復旧時間を予測してよい。予測部33は、状態データを入力したことに応じて学習モデル322から出力されるモデル出力を用いて復旧時間を予測してよく、本実施形態においては一例として、モデル出力としての復旧時間を、予測される復旧時間としてよい。予測部33は、予測した復旧時間を示す復旧時間データを送信部34に供給してよい。復旧時間データは、復旧時間の始点として、異常の発生時点(一例として検出部31による異常の検出時点)や現時点をさらに示してもよい。
【0037】
((送信部34))
送信部34は、統合管理システム4に種々の情報を送信する。例えば、送信部34は、検出部31による検出結果、つまり対象設備2が異常であるか否かの検出結果を統合管理システム4に送信してよい。
【0038】
送信部34は、通知部の一例であってよく、対象設備2の異常が検出された場合、つまり対象設備2が異常を発生した設備2(異常発生設備2とも称する)となった場合に、予測部33から供給される復旧時間データを統合管理システム4に送信することで、統合管理システム4へ復旧時間を通知してよい。
【0039】
送信部34は、対象設備2の異常が検出された場合に、異常が検出されてから復旧するまでの対象設備2における生産物の生産速度を示す生産速度データを統合管理システム4に送信することで、当該生産速度を統合管理システム4へ通知してよい。異常が検出されてから復旧するまでの生産速度は、取得部30により取得される状態データに含まれてもよいし、検出部31または予測部33によって状態データから予測されてもよく、検出部31または予測部33から送信部34に供給されてよい。生産速度が状態データから予測される場合には、対象設備2の状態データが供給されることに応じて対象設備2の生産速度を出力する学習モデルが用いられてよい。当該学習モデルは、対象設備2の状態データと、当該状態データで示される対象設備2による生産速度とを対応付けた学習データを用いて学習されてよく、サポートベクトルマシンや、ロジスティック回帰、決定木、ニューラルネットワークなどのアルゴリズムによる学習済みのモデルであってよい。異常が検出されてから復旧するまでの対象設備2における生産物の生産速度は、復旧までに維持される、単位時間(一例として1時間や1日)当たりの生産量であってよい。異常が検出されてから復旧するまでの対象設備2における生産物の生産速度は0以上の値であってよく、対象設備2が異常の発生により生産不能である場合には0であってよく、対象設備2の一部において生産が継続可能である場合には0より大きい値であってよい。対象設備2における生産物の生産速度は、対象設備2により生産される生産物のうち、サプライチェーン10において流通する生産物(対象生産物とも称する)の生産速度であってよく、対象設備2が設備2aである場合には、生産物aの生産速度であってよく、対象設備2が設備2bである場合には、生産物bの生産速度であってよく、対象設備2が設備2cである場合には、生産物cの生産速度であってよい。
【0040】
送信部34は、対象設備2の復旧が検出された場合、つまり対象設備2の異常が検出されてから正常状態となったことが検出された場合に、復旧した後の対象設備2における対象生産物の生産速度を示す生産速度データを統合管理システム4に送信することで、当該生産速度を統合管理システム4へ通知してよい。復旧した後の生産速度は、復旧した後に維持される、単位時間当たりの生産速度であってよい。復旧した後の生産速度は、異常が検出される前の生産速度(一例として予め設定された生産計画における生産速度)と同じであってもよいし、異なってもよい。復旧した後の生産速度が異常検出前の生産速度と同じである場合には、当該生産速度は生産計画から取得されてよい。復旧した後の生産速度が異常検出前の生産速度と異なる場合には、当該生産速度は、取得部30により取得される状態データに含まれてもよいし、検出部31または予測部33によって状態データから予測されてもよく、検出部31または予測部33から送信部34に供給されてよい。
【0041】
送信部34は、対象設備2の異常が検出されていない場合、つまり対象設備2が正常な設備2(正常設備2とも称する)である場合に、統合管理システム4からの要求に応じて、対象設備2の生産条件を示す生産条件データを統合管理システム4に送信してよい。送信部34は、受信部36が生産条件データの要求メッセージを受信したことに応じて後述の制御部37から供給される生産条件データを統合管理システム4に送信してよい。生産条件および生産条件データについては詳細を後述する。
【0042】
((モデル生成部35))
モデル生成部35は、状態データおよび復旧時間の実績を学習データとして学習処理により学習モデル322を生成する。モデル生成部35は、異常の発生時点の状態データと、当該異常の復旧時間とを対応付けた学習データを用いて学習処理を行ってよい。本実施形態においては一例として、モデル生成部35は、データファイル321に対応付けて記憶された状態データおよび復旧時間を学習データとして用いてよい。モデル生成部35は、従来より公知の学習アルゴリズムにより学習モデル322を生成してよく、生成した学習モデル322を記憶部32に記憶させてよい。
【0043】
((受信部36))
受信部36は、統合管理システム4から送信される種々のメッセージを受信する。受信部36は、対象設備2における生産量の調整を指示するメッセージと、対象設備2における生産条件データを要求するメッセージとを受信してよい。受信部36は、受信したメッセージを制御部37に供給してよい。
【0044】
((制御部37))
制御部37は、生産管理システム3の各部を制御するとともに、対象設備2を制御してよい。例えば、制御部37は、生産条件データを要求するメッセージが受信部36から供給されることに応じて、対象設備2の生産条件を示す生産条件データを生成して送信部34から統合管理システム4に送信させてよい。要求メッセージは、他の生産管理システム3の対象設備2が異常となったことに応じて、正常設備2の生産管理システム3に送信されてよく、予測される復旧時間および異常の発生時点を示す復旧時間データと、異常発生設備2で生産される対象生産物の種類を示す識別情報とを含んでよい。制御部37は、取得部30により取得された状態データや、記憶部32に記憶された種々の情報から生産条件データを生成してよい。
【0045】
ここで、生産条件データは、異常の発生時点から復旧時間の終了時点までの期間(復旧までの予測期間とも称する)の対象設備2の生産条件を示してよい。
【0046】
生産条件は、対象設備2(ここでは正常設備2)における対象生産物の増産可能量を含んでよい。増産可能量は、復旧までの予測期間内に増産可能な対象生産物の総量であってよい。増産可能量は、設備2の生産能力に応じて決定されてもよいし、設備2に備蓄された原材料の量に応じて決定されてもよいし、設備2に対する原材料の供給速度や供給タイミングに応じて決定されてもよい。増産可能量は設備2のメンテナンス計画を考慮せずに決定されてよい。
【0047】
生産条件は、対象設備2(ここでは正常設備2)の稼働率を含んでよい。稼働率は、基準期間(例えば1月)内の最大の稼働時間(例えば日数)に対する実際の稼動時間であってよく、生産物の種類とは無関係であってよい。例えば、設備2がサプライチェーン10の下流側の設備2に対して供給する第1の生産物と、サプライチェーン10とは無関係な第2の生産物とを生産可能であり、最大稼働時間の半分を使って第1の生産物を生産し、残りの半分を使って第2の生産物を生産する場合には、設備2の稼働率は100%であってよい。なお、稼働率は操業率であってもよい。稼働率は、100%を超えてもよい。
【0048】
生産条件は、対象設備2(ここでは正常設備2)のメンテナンス計画を含んでよい。メンテナンス計画は、メンテナンスの開始時期および終了時期と、メンテナンス中での対象生産物の最大生産量と、最大稼働率とを含んでよい。メンテナンス中での対象生産物の最大生産量は、メンテナンス中に生産しうる対象生産物の総量の最大値であってよい。
【0049】
生産条件は、対象設備2(ここでは正常設備2)での生産コストを含んでよい。生産コストは、対象生産物の生産に必要なコストであってよい。生産コストは、対象生産物を出荷先へ出荷する出荷コストを含んでよい。出荷先は、出荷元の設備2よりもサプライチェーン10において下流側の設備2であってよい。出荷コストは、対象生産物を出荷元の設備2から出荷先の設備2に納入するのに要するコストであってよく、出荷元の設備2から出荷先の設備2までの間の運搬コストを含んでよい。
【0050】
制御部37は、取得部30により取得された状態データに基づいて対象設備2(ここでは正常設備2または異常発生設備2)を制御してよい。制御部37は、対象設備2における生産量の調整を指示するメッセージが受信部36から供給されることに応じて、当該メッセージで示される増産量または減産量を実現するように対象設備2を制御してよい。制御部37は、対象設備2に対する制御内容を決定し、制御内容に応じた制御信号を対象設備2に供給してよい。
【0051】
以上の生産管理システム3によれば、対象設備2の異常が検出された場合に、状態データを入力したことに応じて学習モデル322から出力されるモデル出力を用いて復旧時間が予測されるので、復旧時間を実情に即して高精度に予測することができる。
【0052】
また、学習モデル322は状態データが入力されたことに応じて復旧時間を出力するように学習されているので、復旧時間を予測する予測部33の構成を簡略化することができる。
【0053】
また、状態データおよび復旧時間の実績を学習データとしてモデル生成部35による学習処理によって学習モデル322が生成されるので、実情に即した復旧時間を取得することができる。
【0054】
また、復旧時間が統合管理システム4へ通知されるので、対象生産物に関連する複数の設備2を適切に管理することができる。
【0055】
また、異常が検出されてから復旧するまでの対象生産物の生産速度が統合管理システム4へ通知されるので、復旧までの対象生産物の生産調整を統合管理システム4に容易に行わせることができる。
【0056】
また、復旧した後の対象生産物の生産速度が統合管理システムへ通知されるので、復旧後の対象生産物の生産調整を統合管理システム4に容易に行わせることができる。
【0057】
(統合管理システム4の構成)
図3は、統合管理システム4を示す。統合管理システム4は、受信部40と、予測部41と、決定部42と、送信部43とを有する。
【0058】
((受信部40))
受信部40は、複数の設備2のうち、異常発生設備2とは異なる正常設備2における生産条件を示す生産条件データを受信する。受信部40は、異常発生設備2と同種の対象生産物を生産する各正常設備2の生産管理システム3から生産条件データを受信してよい。受信部40は、対象生産物を生産する複数の正常設備2のそれぞれについて生産条件データを受信してよい。生産条件データは、後述の送信部43から生産管理システム3に生産条件データの要求メッセージが送信されることに応じて統合管理システム4に送信されてよい。受信部40は、受信した生産条件データを決定部42に供給してよい。
【0059】
受信部40は、取得部の一例であってよく、複数の設備2のうちの一の設備2において異常が発生した場合、つまり一の設備2が異常発生設備2となった場合に、当該異常発生設備2が復旧するまでに要すると予測された復旧時間を示す復旧時間データを取得してよい。受信部40は、異常発生設備2における生産を管理する生産管理システム3から復旧時間データを取得してよい。
【0060】
受信部40は、異常が検出されてから復旧するまでの異常発生設備2における対象生産物の生産速度(つまり単位時間当たりの生産量)を示す生産速度データを、異常発生設備2の生産管理システム3から取得してよい。受信部40は、異常発生設備2から復旧後の対象生産物の生産速度を示す生産速度データをさらに取得してもよい。生産速度データには対象生産物の種類を示す識別情報が含まれてよい。
【0061】
受信部40は、各設備2の生産管理システム3から異常であるか否かの検出結果をさらに取得してもよい。受信部40は、検出結果と、復旧時間データと、生産速度データとを予測部41に供給してよい。受信部40は、復旧時間データと、対象生産物の種類を示す識別情報とを送信部43に供給してよい。
【0062】
((予測部41))
予測部41は、復旧時間データを用いて、異常発生設備2における生産物の減産量を予測する。予測部41は、サプライチェーン10において下流側の設備2に供給される対象生産物の減産量を予測してよい。減産量は、復旧時間データで示される復旧までの予測期間において、異常に起因して減少する対象生産物の総量であってよい。減産量は、需要予測に基づいて予め設定された生産計画(一例として年間計画や月間計画)において復旧までの予測期間内に予定されていた生産量からの減少量であってよい。
【0063】
予測部41は、復旧時間データで示される復旧時間と、異常発生設備2における復旧までの生産速度データで示される生産速度とを乗算することで、復旧までの予測期間内に異常発生設備2で生産される対象生産物の総量を算出してよい。予測部41は、復旧までの予測期間内の予定生産量から、算出した対象生産物の総量を減算した値を、減産量として予測してよい。予測部41は、予測した減産量を示す減産量データを決定部42に供給してよい。
【0064】
((決定部42))
決定部42は、減産量、および、正常設備2における生産条件を示す生産条件データに基づいて、正常設備2における対象生産物の増産量を決定する。決定部42は、予測部41が予測した異常発生設備2での減産量と、受信部40が受信した、正常設備2の生産条件データとに基づいて、当該生産条件データで示される正常設備2での増産量を決定してよい。決定部42は、複数の正常設備2のそれぞれについて生産条件データが受信されている場合には、これらの正常設備2のそれぞれについて増産量を決定してよい。なお、本実施形態においては一例として増産量は、生産計画において復旧までの予測期間に予定されていた生産量からの増加量であってよく、当該予測期間内で実現されるべき増産量であってよい。決定部42は、予測部41により予測される減産量と、各正常設備2による増産量の総量とが同量となるように増産量を決定してよい。決定部42は、各正常設備2における増産量を同量に決定してもよいし、異なる量に決定してもよい。
【0065】
決定部42は、各正常設備2における対象生産物の増産可能量に基づいて、正常設備2ごとの増産量を決定してよい。決定部42は、各正常設備2における対象生産物の増産量を、当該正常設備2における対象生産物の増産可能量以下としてよい。決定部42は、増産可能量が大きい正常設備2ほど増産量が大きくなるように各正常設備2の増産量を決定してよい。決定部42は、予測される減産量に応じた増産量の総量を100%とし、当該総量を各正常設備2の増産可能量の大きさの比に応じて割り振ることで各正常設備2の増産量を決定してよい。一例として、3つの正常設備2の増産可能量が20:30:50の比で示される場合には、決定部42は増産量の総量100%を20:30:50の割合で割り振って各正常設備2の増産量を決定してよい。
【0066】
決定部42は、各正常設備2の稼働率に基づいて、正常設備2ごとの増産量を決定してよい。決定部42は、各正常設備2における対象生産物の増産量を、当該正常設備2における稼働率が基準稼働率(一例として100%)を超えないように決定してよい。
【0067】
稼働率を変動させて対象生産物の生産量を調整するときの稼働率の変動量と、生産量の変動量とは比例関係を示してよく、決定部42は稼働率と生産量との比例定数を設備2ごとに予め記憶してよい。決定部42は、稼働率から基準稼働率までのマージン幅(稼働率のマージン幅とも称する)が大きい正常設備2ほど増産量が大きくなるように、つまり稼働率が低い正常設備2ほど増産量が大きくなるように各正常設備2の増産量を決定してもよいし、稼働率が高い正常設備2ほど増産量が大きくなるように各正常設備2の増産量を決定してもよい。一例として、決定部42は、各正常設備2の稼働率と生産量との比例定数を用いて、稼働率のマージン幅が大きい順(または稼働率が高い順)に正常設備2の稼働率を基準稼働率まで基準量ずつ増加させる毎に各正常設備2での対象生産物の仮の増産量を算出し、仮の増産量の総量と、予測される減産量とが一致するか否かを判定してよい。決定部42は、仮の増産量の総量が減産量と一致するときの各正常設備2の仮の増産量を、各正常設備2の増産量として決定してよい。
【0068】
これに代えて、決定部42は、正常設備2ごとに稼働率および生産量の比例定数と、稼働率のマージン幅とを乗算した結果を、設備2ごとの対象生産物の増産可能量として用いてよい。この場合には、決定部42は、上述したように各正常設備2の増産可能量に基づいて、各正常設備2の増産量を決定してよい。
【0069】
決定部42は、各正常設備2のメンテナンス計画に基づいて、正常設備2ごとの増産量を決定してよい。メンテナンス計画は、メンテナンスの開始時期および終了時期と、メンテナンス中での対象生産物の最大生産量と、最大稼働率とを含んでよい。決定部42は、復旧までの予測期間に実行されるメンテナンスがある正常設備2を除外し、実行されるメンテナンスがない正常設備2のみに対して増産量を決定してよい。決定部42は、メンテナンス計画と、増産可能量または稼働率とに基づいて正常設備2ごとの増産量を決定してもよい。例えば、決定部42は、一の正常設備2において復旧までの予測期間に実行されるメンテナンスがあることに応じて、当該一の正常設備2に対し、メンテナンス中の対象生産物の増産量をメンテナンス計画で示される最大生産量以下に決定してもよいし、メンテナンス中の稼働率をメンテナンス計画で示される最大稼働率以下に決定してもよい。
【0070】
決定部42は、各正常設備2における対象生産物の生産コストに基づいて、正常設備2ごとの増産量を決定してよい。決定部42は、生産コストが基準コストよりも低い正常設備2のみに対して増産量を決定してよい。決定部42は、生産コストと、増産可能量とに基づいて正常設備2ごとの増産量を決定してもよい。例えば、決定部42は、生産コストが低い正常設備2から順に仮の増産量を増産可能量まで基準量ずつ増加させる毎に各正常設備2での対象生産物の仮の増産量の総量を算出し、当該総量と、予測される減産量とが一致するときの各正常設備2の仮の増産量を、当該正常設備2の増産量として決定してよい。決定部42は、生産コストと、稼働率とに基づいて正常設備2ごとの増産量を決定してもよい。例えば、決定部42は、生産コストが低い正常設備2から順に仮の稼働率を基準稼働率まで基準量ずつ増加させるごとに、各正常設備2での対象生産物の仮の増産量の総量を算出し、当該総量と、予測される減産量とが一致するときの各正常設備2の仮の増産量を、当該正常設備2の増産量として決定してよい。
【0071】
決定部42は、異常発生設備2が復旧したことに応じて、異常が発生しなかった場合に当該異常発生設備2において現時点からの期間内に予定されていた対象生産物の生産量よりも対象生産物を増産する他の増産量(補償用の増産量とも称する)を決定してよい。異常が発生しなかった場合に異常発生設備2において現時点(一例として異常発生設備2が復旧した時点)からの期間内に予定されていた対象生産物の生産量とは、異常発生設備2の生産計画において現時点から第1の時点までの期間(第1の調整期間とも称する)に予定されていた生産量であってよい。第1の時点は、対象生産物をサプライチェーン10の下流側の設備2に納品する納期であってもよいし、異常発生設備2に対する対象生産物の原材料の納期であってもよいし、現時点を起点として復旧時間と同じ長さの時間が経過する時点であってもよいし、これらとは異なる他の時点であってもよい。
【0072】
補償用の増産量は、異常発生に伴う増産によって負荷が加わった正常設備2に対して当該負荷を補償するものであってよく、異常発生に伴って正常設備2で増産された対象生産物の総量と同量であってよい。補償用の増産量は、第1の調整期間内で実現されるべき増産量であってよい。
【0073】
決定部42は、異常発生設備2が復旧したことに応じて、異常が発生しなかった場合に正常設備2において現時点からの期間内に予定されていた対象生産物の生産量よりも対象生産物を減産する減産量(補償用の減産量とも称する)を決定してよい。異常が発生しなかった場合に正常設備2において現時点(一例として異常発生設備2が復旧した時点)からの期間内に予定されていた対象生産物の生産量とは、各正常設備2の生産計画において現時点から第2の時点までの期間(第2の調整期間とも称する)に予定されていた生産量であってよい。第2の時点は、対象生産物をサプライチェーン10の下流側の設備2に納品する納期であってもよいし、正常設備2に対する対象生産物の原材料の納期であってもよいし、現時点を起点として復旧時間と同じ長さの時間が経過する時点であってもよいし、これらとは異なる他の時点であってもよい。第2の時点は、第1の時点と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0074】
補償用の減産量は、復旧した異常発生設備2において対象生産物が増産されること伴い、軽減される生産量であってよく、一例として、異常発生設備2の復旧までに各正常設備2で増産した対象生産物の増産量と同量であってよい。補償用の減産量は、異常発生設備2で異常が発生したことに応じて増産を行った正常設備2のそれぞれについて決定されてよい。補償用の減産量は、第2の調整期間内で実現されるべき減産量であってよい。
【0075】
決定部42は、予め定められた基準時間内に異常発生設備2が復旧しなかった場合に、異常発生設備2における対象生産物の減産量(延長用の減産量とも称する)を決定してよい。基準時間は、復旧時間より長くてもよいし、短くてもよく、復旧時間と同じ長さの時間であってもよい。決定部42は、異常発生設備2における復旧までの生産速度データに基づいて予測される対象生産物の生産量よりも対象生産物を減産する減産量を決定してもよい。決定部42は、現時点(一例として異常発生後に基準時間が経過した時点)から第3の時点までの期間(第3の調整期間とも称する)内に予測される対象生産物の生産量よりも減産する減産量を決定してよい。減産量は、第3の調整期間内で実現されるべき減産量であってよい。第3の時点は、対象生産物をサプライチェーン10の下流側の設備2に納品する納期であってもよいし、異常発生設備2に対する対象生産物の原材料の納期であってもよいし、現時点を起点として復旧時間と同じ長さの時間が経過する時点であってもよいし、これらとは異なる他の時点であってもよい。第3の時点は、第1の時点または第2の時点の少なくとも一方と同じであってもよいし、第1の時点および第2の時点のそれぞれと異なってもよい。
【0076】
決定部42は、予め定められた基準時間内に異常発生設備2が復旧しなかった場合に、正常設備2における増産量(延長用の増産量とも称する)を再決定してよい。基準時間は、延長用の増産量を決定するための時間と同じ長さであってよい。決定部42は、異常発生設備2で異常が発生したことに応じて生産条件データに基づいて生産設備2における増産量を決定したのと同様にして、各正常設備2の延長用の増産量を決定してよい。決定部42は、異常発生設備2で異常が発生したことに応じて増産を行った正常設備2のそれぞれについて、延長用の増産量を決定してよい。延長用の増産量は、生産計画において第3の調整期間内に予定されていた生産量からの増加量であってよく、第3の調整期間内で実現されるべき増産量であってよい。
【0077】
決定部42は、決定した増産量を示す増産量データと、決定した減産量を示す減産量データとを送信部43に供給してよい。増産量データおよび減産量データには、増産量が決定された対象設備2の識別情報が含まれてよい。
【0078】
((送信部43))
送信部43は、各生産管理システム3に対して種々の情報を送信する。
【0079】
送信部43は、何れかの設備2において異常が発生したことに応じて、各正常設備2の生産管理システム3に対して生産条件データを要求する生産条件要求メッセージを送信してよい。生産条件要求メッセージには、復旧時間データと、対象生産物の種類を示す識別情報とが含まれてよい。
【0080】
送信部43は、各生産管理システム3に対して生産量の調整を指示するメッセージを送信してよい。送信部43は、生産量の調整を指示するメッセージとして、増産を指示するメッセージを送信してもよいし、増産の終了を指示するメッセージを送信してもよいし、減産を指示するメッセージを送信してもよい。
【0081】
例えば、送信部43は、決定部42によって決定された増産量に応じた増産指示メッセージを、各正常設備2における生産を管理する生産管理システム3へ送信してよい。送信部43は、正常設備2ごとに決定された増産量に応じた増産指示メッセージを、当該正常設備2を管理する生産管理システム3に送信してよい。増産指示メッセージは、増産量を示してよく、増産量を実現すべき時点として、復旧までの予測期間の終了時点をさらに示してもよい。なお、増産指示メッセージは、復旧までの予測期間内に増産量を実現するのに必要な生産速度を示してもよく、生産速度を元に戻す時点として、復旧までの予測期間の終了時点をさらに示してもよい。
【0082】
送信部43は、異常発生設備2が復旧した場合に決定された補償用の増産量に応じた増産指示メッセージ(補償用の増産指示メッセージとも称する)を、異常発生設備2の生産管理システム3へ送信してよい。補償用の増産指示メッセージは、補償用の増産量を示してよく、補償用の増産量を実現すべき時点として、第1の調整期間の終了時点(つまり第1の時点)をさらに示してもよい。なお、補償用の増産指示メッセージは、第1の調整期間内に補償用の増産量を実現するのに必要な生産速度を示してもよく、生産速度を元に戻す時点として、第1の時点をさらに示してもよい。
【0083】
送信部43は、補償用の増産指示メッセージを異常発生設備2の生産管理システム3へ送信したことに応じて、補償用の減産量に応じた減産指示メッセージ(補償用の減産指示メッセージとも称する)を、各正常設備2の生産管理システム3へ送信してよい。補償用の減産指示メッセージは、補償用の減産量を示してよく、補償用の減産量を実現すべき時点として、第2の調整期間の終了時点(つまり第2の時点)をさらに示してもよい。なお、補償用の減産指示メッセージは、第2の調整期間内に補償用の減産量を実現するのに必要な生産速度を示してもよく、生産速度を元に戻す時点として、第2の時点をさらに示してもよい。
【0084】
送信部43は、異常発生設備2が復旧しない場合に当該異常発生設備2に対して決定された延長用の減産量に応じた減産指示メッセージ(延長用の減産指示メッセージとも称する)を、異常発生設備2の対象生産管理システム3へ送信してよい。延長用の減産指示メッセージは、延長用の減産量を示してよく、延長用の減産量を実現すべき時点として、第3の調整期間の終了時点(つまり第3の時点)をさらに示してもよい。なお、延長用の減産指示メッセージは、第3の調整期間内に延長用の減産量を実現するのに必要な生産速度を示してもよく、生産速度を元に戻す時点として、第3の時点をさらに示してもよい。延長用の減産指示メッセージを受信した異常発生設備2では、延長用の減産量だけ生産量が減ることで生産の負荷が軽減される分、異常の復旧に当てる人員やメンテナンス機器などのリソースを増やし、復旧を早めてよい。
【0085】
送信部43は、異常発生設備2が復旧しない場合に決定される延長用の増産量に応じた増産指示メッセージを、各正常設備2の生産管理システム3へ再送信してよい。延長用の増産指示メッセージは、延長用の増産量を示してよく、延長用の増産量を実現すべき時点として、第3の調整期間の終了時点(つまり第3の時点)をさらに示してもよい。なお、延長用の増産指示メッセージは、第3の調整期間内に延長用の増産量を実現するのに必要な生産速度を示してもよく、生産速度を元に戻す時点として、第3の時点をさらに示してもよい。延長用の増産指示メッセージを受信した正常設備2では、延長用の増産量だけ生産量を増やしてよい。
【0086】
以上の統合管理システム4によれば、異常発生設備2の生産管理システム3から取得された復旧時間データを用いて減産量が予測され、当該減産量と、正常設備2における生産条件データとに基づいて当該正常設備2の増産量が決定されて、増産量に応じた増産指示メッセージが正常設備2の生産管理システム3に送信される。従って、異常発生設備2で異常が発生する場合に、その復旧までの減産量を正常設備2で補い、対象生産物の生産量、ひいてはサプライチェーン10の最終生産物の生産量を維持することができる。
【0087】
また、正常設備2についての生産条件データが受信され、受信された生産条件データと、予測された減産量とに基づいて当該正常設備2における増産量が決定されるので、正常設備2の実情に沿って増産量を決定することができる。
【0088】
また、正常設備2における生産物の増産可能量を含む生産条件データが受信され、当該正常設備2における生産物の増産量が増産可能量以下とされるので、実現可能な増産量を決定して対称生産物の生産量を確実に維持することができる。
【0089】
また、生産条件には稼働率が含まれるので、正常設備2の稼働率に応じた増産量を決定することができる。
【0090】
また、生産条件にはメンテナンス計画が含まれるので、正常設備2のメンテナンス計画に応じた増産量を決定することができる。従って、正常設備2においてメンテナンスが予定されている場合に、当該メンテナンスによる減産量を補うように増産量を決定することができるため、対象生産物の生産量を確実に維持することができる。
【0091】
また、生産条件には生産コストが含まれるので、生産コストに応じた増産量を決定することができる。従って、生産コストが高い設備に対する増産量を小さくし、生産コストが低い設備に対する増産量を大きくすることができる。
【0092】
また、生産コストには生産物の出荷コストが含まれるので、出荷コストを含めた生産コストに応じた増産量を決定することができる。
【0093】
また、異常発生設備2が復旧した場合に、異常が発生しなかった場合に当該異常発生設備2において現時点からの期間内に予定されていた対象生産物の生産量よりも生産物を増産する補償用の増産量が決定されて、当該補償用の増産量に応じた増産指示メッセージが異常発生設備2の生産管理システム3へ送信される。従って、異常から復旧した異常発生設備2において生産物を増産させ、復旧時間に増産したことによる正常設備2の負荷を補償することができる。よって、復旧時間に増産したことによって正常設備2のメンテンナンス計画が変更されてしまうのを防止することができ、復旧時間に増産したことによる正常設備2での原材料の在庫調整を不要とすることができる。
【0094】
また、補償用の増産量に応じた増産指示メッセージが異常発生設備2の生産管理システム3へ送信されたことに応じて、補償用の減産指示メッセージが正常設備2の生産管理システム3へ送信されるので、復旧までに増産したことによる正常設備2の負荷を補償することができる。
【0095】
また、異常発生設備2が復旧しなかった場合に、当該異常発生設備2における延長用の減産量が決定されて、異常発生設備3の生産管理システム3へ送信される。従って、異常発生設備2において復旧に当てるリソースを増やし、復旧を早めることができる。
【0096】
また、異常発生設備2が復旧しなかった場合に、正常設備2における延長用の増産量が再決定され、延長用の増産量に応じた増産指示メッセージが正常設備2の生産管理システム3へ再送信される。従って、異常発生設備2が復旧しない場合にも対象生産物の生産量を維持することができる。
【0097】
(動作)
図4は、生産システム1の動作を示す。異常発生設備2の生産管理システム3(生産管理システム3Xとも称する)と、正常設備2の生産管理システム3(生産管理システム3Yとも称する)と、統合管理システム4とは、ステップS101~S307の処理を行うことによりサプライチェーン10における最終生産物の生産量を維持する。なお、本図では図示を省略するが、各生産管理システム3は逐次、取得部30によって対象設備2の状態データを取得し、検出部31によって対象設備2の状態を検出してよい。
【0098】
ステップS101において生産管理システム3Xは、検出部31により、状態データに基づいて対象設備2の異常を検出する。
【0099】
ステップS103において生産管理システム3Xは、予測部33により、学習モデル322から出力されるモデル出力を用いて復旧時間を予測する。予測部33は、異常が検出されたときの状態データを入力したことに応じて学習モデル322から出力されるモデル出力を用いて、復旧時間を予測してよい。
【0100】
ステップS105において生産管理システム3Xは、送信部34により、復旧時間を示す復旧時間データを統合管理システム4へ送信する。
【0101】
ステップS201において統合管理システム4は、受信部40により、復旧時間データを対象生産管理システム3Xから取得する。
【0102】
ステップS203において統合管理システム4は、予測部41により、復旧時間データを用いて、異常発生設備2における対象生産物の減産量を予測する。
【0103】
ステップS205において統合管理システム4は、送信部43により、各正常設備2の生産管理システム3Yへ生産条件要求メッセージを送信する。
【0104】
ステップS301において生産管理システム3Yは、制御部37および送信部34により、対象設備2(ここでは正常設備2)の生産条件データを統合管理システム4に送信する。
【0105】
ステップS207において統合管理システム4は、決定部42により、予測された減算量、および、各正常設備2の生産条件データに基づいて、各正常設備2における生産物の増産量を決定する。
【0106】
ステップS209において統合管理システム4は、送信部43により、増産量に応じた増産指示メッセージを各正常設備2の生産管理システム3Yへ送信する。
【0107】
ステップS303において各生産管理システム3Yは、制御部37により、増産指示メッセージで示される増産量を実現するように正常設備2を制御する。これにより、各正常設備2において増産が行われる。
【0108】
一方、ステップS107において異常発生設備2の生産管理システム3Xは、検出部31により、状態データに基づいて対象設備2が正常であること、つまり、異常から復旧したことを検出する。なお、本図では一例として、異常発生設備2が異常発生から基準時間内に復旧した例について説明する。
【0109】
ステップS109において生産管理システム3Xは、送信部34により、対象設備2が復旧したことを統合管理システム4に通知する。
【0110】
ステップS211において統合管理システム4は、決定部42により、異常発生設備2における補償用の増産量を決定し、各正常設備2における補償用の減産量を決定する。
【0111】
ステップS213において統合管理システム4は、送信部43により、補償用の増産量を示す補償用の増産指示メッセージを生産管理システム3Xに送信し、補償用の減産量を示す補償用の減産指示メッセージを生産管理システム3Yに送信する。補償用の増産指示メッセージは補償用の増産量を実現すべき第1の時点を示してよく、補償用の減産指示メッセージは補償用の減産量を実現すべき第2の時点を示してよい。
【0112】
ステップS113において生産管理システム3Xは、制御部37により、補償用の増産指示メッセージで示される増産量を実現するように復旧後の異常発生設備2を制御する。これにより、異常発生設備2において増産が行われる。そして、ステップS115において第1の時点となり、補償用の増産量の対象生産物が生成されると、生産管理システム3Xは、制御部37により元の生産計画に応じた生産量の生産を行う。
【0113】
一方、ステップS305において各生産管理システム3Yは制御部37により、補償用の減産指示メッセージで示される減産量を実現するように正常設備2を制御する。これにより、正常設備2において減産が行われる。そして、ステップS307において第2の時点となり、補償用の減産量の対象生産物が生成されると、生産管理システム3Yは、制御部37により元の生産計画に応じた生産量の生産を行う。
【0114】
以上の動作によれば、異常が検出されたときの状態データを入力したことに応じて学習モデル322から出力されるモデル出力を用いて復旧時間が予測されるので、異常が検出されたときの前後の状態データの入力に応じたモデル出力を用いる場合と比較して、設備の状態に応じた正確な復旧時間を予測することができる。
【0115】
(変形例)
なお、上記の実施形態においては、生産管理システム3は記憶部32と、送信部34と、モデル生成部35と、受信部36と、制御部37とを有することとして説明したが、これらの少なくとも1つを有しなくてもよい。生産管理システム3が記憶部32を有しない場合には、生産管理システム3と通信可能な外部の記憶装置にデータファイル321および学習モデル322が格納されてよい。生産管理システム3が送信部34を有しない場合には、生産管理システム3は検出部31による検出結果や復旧時間データ、生産速度データ、生産条件データなどを表示装置に表示してもよい。生産管理システム3がモデル生成部35を有しない場合には、生産管理システム3は、状態データおよび復旧時間の実績を学習データとして学習処理により学習モデル322を生成する外部の学習装置から学習モデル322を取得するモデル取得部を有してもよい。この場合にも、状態データおよび復旧時間の実績を学習データとして学習処理によって学習モデル322が生成されるので、実情に即した復旧時間を取得することができる。生産管理システム3が受信部36を有しない場合には、生産管理システム3は、生産量の調整を指示するメッセージを受信することに代えて、生産量の調整を指示するオペレータの入力操作を受けてよく、生産条件データを要求するメッセージを受信することに代えて、生産条件データを要求するオペレータの入力操作を受けてよい。
【0116】
また、生産管理システム3の予測部33は、異常が検出されたときの状態データを入力したことに応じて学習モデル322から出力されるモデル出力を用いて復旧時間を予測することとして説明したが、異常が検出されてから復旧するまでの状態データを入力したことに応じて学習モデル322から出力されるモデル出力を用いて復旧時間を予測してもよい。例えば、予測部33は、異常の検出後に逐次、取得部30によって取得された状態データを学習モデル322に入力して復旧時間を予測してよい。これにより、異常検出後の状態の変化に応じた正確な復旧時間を予測することができる。異常の発生後に逐次、復旧時間が予測される場合には、データファイル321の状態データのうち、異常の発生時点から復旧時点までの各状態データには、当該異常の復旧時間が対応付けられてよく、モデル生成部35は異常の発生から復旧までの各時点の状態データと、当該異常の復旧時間とを対応付けた学習データを用いて学習モデル322の学習処理を行ってよい。送信部34は、予測される復旧時間を都度、統合管理システム4に通知してよく、統合管理システム4の予測部41は、復旧時間が通知されるごとに異常管理設備2での減産量を予測してよい。統合管理システム4の決定部42は、減産量が予測される毎に各正常設備2の増産量を決定してよく、送信部43は当該増産量に応じた増産指示メッセージを正常設備2の生産管理システム3Yに送信してよい。
【0117】
また、生産管理システム3の予測部33は復旧時間と、異常の発生時点とを示す復旧時間データを生成することとして説明したが、復旧時間データは異常の発生時点を示さなくてもよい。この場合には、現時点から復旧時間の終了時点までの期間が復旧までの予測期間とされてよく、制御部37は、当該期間の生産条件を示す生産条件データを生成してよい。
【0118】
また、生産管理システム3の送信部34は、異常が検出されてから復旧するまでの異常発生設備2における生産物の生産速度を統合管理システム4へ通知することとして説明したが、これに加えて、または、これに代えて、異常が検出される前の異常発生設備2における生産物の生産速度を統合管理システム4へ通知してもよい。これらの場合にも、復旧までの対象生産物の生産調整を統合管理システム4に容易に行わせることができる。異常が検出される前の異常発生設備2における生産物の生産速度は、異常発生設備2が正常である状態での生産物の生産速度であってよく、生産計画において予め設定されてよい。異常検出前の生産速度と、異常検出から復旧までの生産速度とが通知される場合には、統合管理システム4の予測部41は、両者の差分と、復旧時間データで示される復旧時間とを乗算することで、復旧時間内において異常発生設備2における生産物の減産量を算出してよい。異常検出前の生産速度が通知され、異常検出から復旧までの生産速度が通知されない場合には、統合管理システム4の予測部41は、異常検出前の生産速度と、復旧時間データで示される復旧時間とを乗算することで、復旧時間内において異常発生設備2における生産物の減産量を算出してよい。当該減産量は、異常発生設備2において異常の発生により生産物の生産が不能となる場合の減産量であってよい。
【0119】
また、学習モデル322は状態データの入力に応じて復旧時間を出力することとして説明したが、異常の発生個所を示すデータを出力してもよいし、異常の復旧に必要な修理工程を示すデータを出力してもよい。予測部33は、このようなモデル出力を用いて復旧時間を予測してよい。一例として、予測部33は、異常の発生個所や修理工程ごとに復旧時間を対応付けたテーブルを用いて復旧時間を予測してよい。
【0120】
また、各生産管理システム3が単一の設備2を管理することとして説明したが、同じ対象生産物を生産する複数の設備2を管理することとしてもよいし、異なる対象生産物を生産する複数の設備2を管理することとしてもよい。
【0121】
また、統合管理システム4の受信部40は生産条件データを正常設備2の生産管理システム3から受信することとして説明したが、正常設備2から受信してもよい。
【0122】
また、統合管理システム4の受信部40は、異常発生設備2の生産管理システム3から対象生産物の生産速度を受信することとして説明したが、受信しなくてもよい。この場合には、予測部41は、異常発生設備2の生産計画で予め設定された生産速度と、復旧時間データで示される復旧時間とを乗算することで、復旧時間内において異常発生設備2における生産物の減産量を算出してよい。当該減産量は、異常発生設備2において異常の発生により生産物の生産が不能となる場合の減産量であってよい。
【0123】
また、統合管理システム4の受信部40は、正常設備2の生産管理システム3から生産条件データを受信することとして説明したが、受信しなくてもよい。この場合には、決定部42は予め正常設備2について記憶された生産条件データに基づいて、当該正常設備2での増産量を決定してよい。
【0124】
また、統合管理システム4の送信部43は異常発生設備2が復旧した場合に補償用の増産指示メッセージを生産管理システム3Xに送信し、補償用の減産指示メッセージを生産管理システム3Yに送信することとして説明したが、異常発生設備2での補償を行わない場合には、増産の終了を指示する増産終了メッセージを生産管理システム3Yに送信してもよい。この場合には、異常発生設備2の生産管理システム3Xは、復旧に応じて異常発生設備2での生産速度を異常発生前の速度に戻してよい。正常設備2の生産管理システム3Yは増産終了メッセージに応じて正常設備2での生産速度を異常発生前の速度に戻してよい。これにより、復旧に応じて各設備2を異常発生前の生産状態に戻すことができる。
【0125】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0126】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0127】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0128】
コンピュータ可読命令は、コンピュータ等のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。ここで、コンピュータは、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、ワークステーション、サーバコンピュータ、汎用コンピュータ、または特殊目的のコンピュータ等であってよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このような複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムは分散コンピューティングシステムとも呼ばれ、広義のコンピュータである。分散コンピューティングシステムにおいては、複数のコンピュータのそれぞれがプログラムの一部ずつを実行し、必要に応じてコンピュータ間でプログラム実行中のデータを受け渡すことによって、複数のコンピュータが集合的に プログラムを実行する。
【0129】
プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、中央処理装置(CPU)、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。コンピュータは、1つのプロセッサまたは複数のプロセッサを備えてよい。複数のプロセッサを備えるマルチプロセッサシステムにおいては、それぞれのプロセッサがプログラムの一部ずつを実行し、必要に応じてプロセッサ間でプログラム実行中のデータを受け渡すことによって、複数のプロセッサが集合的にプログラムを実行する。例えば、マルチタスクの実行において、複数のプロセッサのそれぞれは、タイムスライス毎にタスクスイッチすることにより各タスクの一部分ずつを細切れに実行してよい。この場合、各プロセッサが1つのプログラムのうちどの部分を実行するかは、動的に変化する。複数のプロセッサのそれぞれがプログラムのどの部分を実行するかは、マルチプロセッサを意識したプログラミングにより静的に定められてもよい。
【0130】
図5は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0131】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、およびディスプレイデバイス1218を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。コンピュータはまた、ROM1230およびキーボード1242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ1240を介して入/出力コントローラ1220に接続されている。
【0132】
CPU1212は、ROM1230およびRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU1212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0133】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラムまたはデータをDVD‐ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0134】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ1240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ1220に接続してよい。
【0135】
プログラムが、DVD-ROM1201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、またはROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0136】
例えば、通信がコンピュータ1200および外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD‐ROM1201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0137】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD‐ROMドライブ1226(DVD‐ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0138】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0139】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上またはコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0140】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0141】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0142】
1 生産システム
2 設備
3 生産管理システム
4 統合管理システム
10 サプライチェーン
30 取得部
31 検出部
32 記憶部
33 予測部
34 送信部
35 モデル生成部
36 受信部
37 制御部
40 受信部
41 予測部
42 決定部
43 送信部
321 データファイル
322 学習モデル
1200 コンピュータ
1201 DVD‐ROM
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入/出力コントローラ
1222 通信インタフェース
1224 ハードディスクドライブ
1226 DVD-ROMドライブ
1230 ROM
1240 入/出力チップ
1242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5