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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005796
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20250109BHJP
   B62D 51/04 20060101ALN20250109BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K1/04 A
B62D51/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106172
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】山中 之史
(72)【発明者】
【氏名】吉井 嘉一郎
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 悠平
(72)【発明者】
【氏名】陣内 克俊
(72)【発明者】
【氏名】仁木 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山岸 亮太
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235AA12
3D235AA28
3D235BB17
3D235BB18
3D235BB24
3D235BB41
3D235CC12
3D235CC13
3D235CC15
3D235DD11
3D235DD16
3D235DD21
3D235HH08
(57)【要約】
【課題】排ガスが排出されない、あるいは、排ガスが排出されても排出量が少なく済む状態での作業を可能にでき、しかも作業が行い易い作業車を提供する。
【解決手段】油圧機器Cとバッテリー10Aとが備えられている。バッテリー10Aは、油圧機器Cよりも下側、かつ、左右両側の走行装置の間において機体3の下部に保持されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右両側に位置する走行装置と、
油圧機器と、
バッテリーと、が備えられ、
前記バッテリーは、前記油圧機器よりも下側、かつ、左右両側の前記走行装置の間において前記機体の下部に保持されている作業車。
【請求項2】
前記油圧機器に油圧ポンプが備えられ、
前記油圧ポンプを駆動する電動モータが備えられ、
前記油圧ポンプおよび前記電動モータが前記バッテリーの直上方に位置している請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記電動モータは、前記電動モータに備えられた取付けプレート部が前記機体に備えられたステーに連結されることによって前記機体に保持され、
前記油圧ポンプは、前記取付けプレート部に取り付けられることによって前記機体に保持されている請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記電動モータに接続されたインバータが備えられ、
前記インバータは、前記バッテリーよりも上側に設けられている請求項2に記載の作業車。
【請求項5】
前記インバータのための保護回路部が備えられ、
前記保護回路部は、前記バッテリーよりも上側に設けられている請求項4に記載の作業車。
【請求項6】
前記機体に設けられ、前記機体の外部から供給される電力を前記バッテリーに充電可能な充電器が備えられている請求項1に記載の作業車。
【請求項7】
前記機体におけるバッテリー収容空間と前記機体におけるバッテリー載せ降ろし口部とに亘って機体前後方向に延びる状態で前記機体に設けられ、前記バッテリー収容空間と前記バッテリー載せ降ろし口部との間で前記バッテリーを移動案内可能なガイドレールが備えられている請求項1から6のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項8】
前記バッテリー収容空間よりも機体後方側にオイルクーラが設けられ、
前記バッテリー載せ降ろし口部は、前記バッテリー収容空間よりも機体前方側に設けられている請求項7に記載の作業車。
【請求項9】
左右両側の前記走行装置のそれぞれに、前車輪および後車輪が備えられ、
前記前車輪および前記後車輪は、各別に前記機体に対して昇降操作可能な状態で前記機体に保持されている請求項1に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、機体(車体フレーム)の左右両側に位置する走行装置(走行車輪)と、油圧機器(油圧供給源の油圧ポンプ)が備えられた作業車がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンを備える作業車では、エンジンの排ガスが出る。ビニールハウスなど屋内では排ガスが溜まってしまう。エンジンの排ガスが排出されない、あるいは、排ガスが排出されても排出量が少なく済む状態での作業が行える作業車が要望されている。
【0005】
本発明は、排ガスが排出されない、あるいは、排ガスが排出されても排出量が少なく済む状態での作業を可能にでき、しかも作業が行い易い作業車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による作業車は、
機体の左右両側に位置する走行装置と、油圧機器と、バッテリーと、が備えられ、前記バッテリーは、前記油圧機器よりも下側、かつ、左右両側の前記走行装置の間において前記機体の下部に保持されている。
【0007】
本構成によると、バッテリーから得られる電力によって駆動される動力源を採用することができるので、エンジンを備えずに済ませて排ガスが排出されない状態での作業を可能にできる。電力によって駆動される動力源に加えてエンジンを備えても、エンジンのみを備える場合よりも小型のエンジンで済ませることができるので、排ガスが排出されても排出量が少なく済む状態での作業を可能にできる。
バッテリーが油圧機器よりも下側、かつ、左右両側の走行装置の間において機体下部に保持されているので、作業車全体の重心が低く、かつ、平面視で左右の接地箇所の間に位置して不整地でも作業車が安定良く走行し易くて作業が行い易い。
【0008】
本発明においては、
前記油圧機器に油圧ポンプが備えられ、前記油圧ポンプを駆動する電動モータが備えられ、前記油圧ポンプおよび前記電動モータが前記バッテリーの直上方に位置していると好適である。
【0009】
本構成によると、平面視において油圧ポンプおよび電動モータが、バッテリーが位置する範囲から機体外側にはみ出ないので、油圧ポンプ、電動モータおよびバッテリーを平面視で纏まって位置するように配置できる。
【0010】
本発明においては、
前記電動モータは、前記電動モータに備えられた取付けプレート部が前記機体に備えられたステーに連結されることによって前記機体に保持され、前記油圧ポンプは、前記取付けプレート部に取り付けられることによって前記機体に保持されていると好適である。
【0011】
本構成によると、電動モータのボディよりもステーに連結し易い取付けプレート部をステーに連結することによって電動モータが機体に保持されるので電動モータを機体に組付け易い。油圧ポンプを取り付けるステーとして取付けプレートを活用するので油圧ポンプ用の特別なステーを備える必要がなくて安価に済ませることができる。
【0012】
本発明においては、
前記電動モータに接続されたインバータが備えられ、前記インバータは、前記バッテリーよりも上側に設けられていると好適である。
【0013】
本構成によると、インバータの点検などの作業がバッテリーよりも上側で行えるので、インバータのメンテンナンスが行い易い。
【0014】
本発明においては、
前記インバータのための保護回路部が備えられ、前記保護回路部は、前記バッテリーよりも上側に設けられていると好適である。
【0015】
本構成によると、保護回路部の点検などの作業がバッテリーよりも上側で行えるので、保護回路部のメンテンナンスが行い易い。
【0016】
本発明においては、
前記機体に設けられ、前記機体の外部から供給される電力を前記バッテリーに充電可能な充電器が備えられていると好適である。
【0017】
本構成によると、機体外部から充電器に電力が供給されると、充電器によってバッテリーに充電されるので、バッテリーを機体に保持されたままにしながらバッテリーに充電することができて充電し易い。
【0018】
本発明においては、
前記機体におけるバッテリー収容空間と前記機体におけるバッテリー載せ降ろし口部とに亘って機体前後方向に延びる状態で前記機体に設けられ、前記バッテリー収容空間と前記バッテリー載せ降ろし口部との間で前記バッテリーを移動案内可能なガイドレールが備えられていると好適である。
【0019】
本構成によると、バッテリーを機体から降ろす際、バッテリーがガイドレールによってバッテリー収容空間からバッテリー載せ降ろし口に移動案内されてバッテリーをバッテリー載せ降ろし口部に楽に引き出すことができる。バッテリーを機体に積み込む際、バッテリーがガイドレールによってバッテリー載せ降ろし口部からバッテリー収容空間に移動案内されてバッテリーをバッテリー収容空間に楽に入れ込むことができるので、バッテリーの積み下ろしが行い易い。
【0020】
本発明においては、
前記バッテリー収容空間よりも機体後方側にオイルクーラが設けられ、前記バッテリー載せ降ろし口部は、前記バッテリー収容空間よりも機体前方側に設けられていると好適である。
【0021】
本構成によると、バッテリーの積み下ろしを行う際、オイルクーラが障害物にならなくてオイルクーラを取り外す手間を掛けなくて済む。
【0022】
本発明においては、
前記左右両側の走行装置のそれぞれに、前車輪および後車輪が備えられ、前記前車輪および前記後車輪は、各別に前記機体に対して昇降操作可能な状態で前記機体に保持されていると好適である。
【0023】
本構成によると、たとえば、作業箇所が機体左右方向あるいは機体前後方向で傾斜している場合、左右両側における前車輪および後車輪が昇降操作され、左右両側における前車輪および後車輪の機体に対する高さ位置が作業箇所の傾斜に対応した高さ位置に調整されて作業箇所の傾斜にかかわらず機体が水平あるいは水平に近い姿勢に姿勢調整されるようにできる。すなわち、不整地であっても、左右両側における前車輪および後車輪の昇降操作によって機体が水平あるいはほぼ水平の姿勢に維持されるようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】作業車の左横側から見た側面図である。
図2】作業車の平面図である。
図3】第1バッテリー、油圧ポンプおよび電動モータなどを示す側面図である。
図4】第1バッテリー、油圧ポンプおよび電動モータなどを示す平面図である。
図5】第1バッテリーおよび油圧ポンプなどを示す正面図である。
図6】走行装置の駆動構造を示す図である。
図7】連結機構を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に、コンテナなどを移送する作業車が示されている。以下の説明では、作業車の機体に関し、図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前側」、図1,2に示される矢印Bの方向を「機体後側」、図1に示される矢印Uの方向を「機体上側」、図1に示される矢印Dの方向を「機体下側」、図2に示される矢印Lの方向を「機体左側」、図2に示される矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0026】
〔作業車の全体について〕
図1,2に示されるように、作業車は、鋼管などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1、機体フレーム1の上部を囲うカバー2などを有する機体3を備えている。機体3は、機体3の左右両側に位置する走行装置4によって支持され、かつ、左右両側の走行装置4によって走行する。機体3の上部から操縦部5が後向きに延ばされている。操縦部5に、機体3の走行操作などを行う操縦レバー6が備えられている。機体3の上部に、コンテナなどの載置可能な荷台7が設けられている。荷台7は、カバー2よりも上側に位置している。荷台7の下方に、走行装置4を駆動するための油圧ポンプ8および電動モータ9などが設けられている。機体3の下部に、第1バッテリー10A、第2バッテリー10Bなどが設けられている。第1バッテリー10Aは、走行装置4を駆動する電源である。第2バッテリー10Bは、制御用の電源であり、第1バッテリー10Aが出力する電力の電圧よりも低い電圧の電力を出力する。
【0027】
〔走行装置の駆動について〕
図6に示されるように、左右両側の走行装置4それぞれに油圧モータ22が設けられ、左側の走行装置4は、左の油圧モータ22によって駆動され、右側の走行装置4は、右の油圧モータ22によって駆動されるように構成されている。
【0028】
詳述すると、図1,5,6に示されるように、左右両側の走行装置4それぞれに前車輪23および後車輪24が備えられている。左側の走行装置4の油圧モータ22に、左前輪用の油圧モータ22aおよび左後輪用の油圧モータ22bが備えられ、左の前車輪23が左前輪用の油圧モータ22aによって駆動され、左の後車輪24が左後輪用の油圧モータ22bによって駆動されるように構成されている。右側の走行装置4の油圧モータ22に、右前輪用の油圧モータ22aおよび右後輪用の油圧モータ22bが備えられ、右の前車輪23が右前輪用の油圧モータ22aによって駆動され、右の後車輪24が右後輪用の油圧モータ22bによって駆動されるように構成されている。
【0029】
左前輪用の油圧モータ22a、左後輪用の油圧モータ22b、右前輪用の油圧モータ22a、右後輪用の油圧モータ22bそれぞれにおいて、前輪用の油圧モータ22aの出力軸を前車輪23の車軸に連結し、後輪用の油圧モータ22bの出力軸を後車輪24の車軸に連結することにより、前輪用の油圧モータ22aによる前車輪23の駆動が可能にされ、後輪用の油圧モータ22bによる後車輪24の駆動が可能にされている。
【0030】
図6に示されるように、左前輪用の油圧モータ22aに備えられた左前操作油路25a、および、左後輪用の油圧モータ22bに備えられた左後操作油路25bに左モータ制御弁部26が接続されている。右前輪用の油圧モータ22aに備えられた右前操作油路27a、および、右後輪用の油圧モータ22bに備えられた右後操作油路27bに右モータ制御弁部28が接続されている。左モータ制御弁部26および右モータ制御弁部28に給油路29を介して油圧ポンプ8が接続されている。油圧ポンプ8と作動油タンク31とが吸引油路32を介して接続されている。吸引油路32に、オイルクーラ33が備えられている。油圧ポンプ8に電動モータ9が連動連結され、電動モータ9にインバータ34を介して第1バッテリー10Aが接続されている。インバータ34に、保護回路部35が備えられている。保護回路部35は、インバータ34に備えられたコンデンサが大電流の流入によって破損されることなどの防止を行うものである。保護回路部35には、ヒューズが備えられている。
【0031】
第1バッテリー10Aに貯められた直流電力がインバータ34に供給されて交流電力に変換され、交流電力がインバータ34から電動モータ9に供給されて電動モータ9が駆動される。油圧ポンプ8が電動モータ9によって駆動され、作動油タンク31に貯留されている作動油が吸引油路32を介して油圧ポンプ8に取り出される。油圧ポンプ8による作動油タンク31からの作動油の取出しは、オイルクーラ33を介して行われ、オイルクーラ33によって冷却された作動油が油圧ポンプ8に取り出される。取り出された作動油が油圧ポンプ8から給油路29を介して左モータ制御弁部26および右モータ制御弁部28に供給される。左モータ制御弁部26から左前輪用の油圧モータ22aに作動油が供給されて左前輪用の油圧モータ22aが駆動され、左の前車輪23が左前輪用の油圧モータ22aによって駆動される。左モータ制御弁部26から左後輪用の油圧モータ22bに作動油が供給されて左後輪用の油圧モータ22bが駆動され、左の後車輪24が左後輪用の油圧モータ22bによって駆動される。右モータ制御弁部28から右前輪用の油圧モータ22aに作動油が供給されて右前輪用の油圧モータ22aが駆動され、右の前車輪23が右前輪用の油圧モータ22aによって駆動される。右モータ制御弁部28から右後輪用の油圧モータ22bに作動油が供給されて右後輪用の油圧モータ22bが駆動され、右の後車輪24が右後輪用の油圧モータ22bによって駆動される。
【0032】
本実施形態では、左右両側の走行装置4それぞれに前車輪23および後車輪24が備えられ、前車輪23が前輪用の油圧モータ22aによって駆動され、後車輪24が後輪用の油圧モータ22bによって駆動されるよう構成されているが、左右両側の走行装置4に、クローラおよびクローラ駆動用の一つの油圧モータが備えられたものであってもよい。
【0033】
図3,4,5に示されるように、機体フレーム1は、機体フレーム1の上部に位置する第1フレーム1A、および、第1フレーム1Aから下向きに延びる第2フレーム1Bを備えている。
【0034】
第1フレーム1Aには、図3,5に示されるように、上下方向に間隔を隔てて並ぶ2つの第1フレーム部11が備えられている。2つの第1フレーム部11のそれぞれは、図3,4,5に示されるように、機体前後方向に延びる前後向き角鋼管材11a、前後向き角鋼管材11aを連結する横向き角鋼管材などの鋼材によって構成されている。2つの第1フレーム部11は、前端部の両横端部、後端部の両横端部のそれぞれにおいて連結されている。2つの第1フレーム部11のうちの上側の第1フレーム部11では、第1フレーム部11の前後方向での中間部の3箇所において左右の前後向き角鋼管材11aが連結部材11bによって連結されている。
【0035】
第2フレーム1Bには、図3,5に示されるように、2つの第1フレーム部11のうちの下側の第1フレーム部11の前後方向での2箇所から下向きに機体上下方向に沿って延びる縦フレーム12が備えられている。
【0036】
2箇所の縦フレーム12は、図5に示されるように、上向きのU字状に形成され、下側の第1フレーム部11の両横側部から下向きに延びる左右の上下向きフレーム部12aと、左右の上下向きフレーム部12aの下部を連結する横向きフレーム部12bと、を備えている。
【0037】
2箇所の縦フレーム12それぞれにおいて、図3,5に示されるように、左右の上下向きフレーム部12aの上下方向での中間部が横向き連結フレーム13によって連結されている。横向き連結フレーム13の両端部の上下向きフレーム部12aへの連結は、横向き連結フレーム13の端部を上下向きフレーム部12aに備えられた支持部12cに連結ボルトによって連結することによって行われる。
【0038】
図3に示されるように、2箇所の縦フレーム12のうちの前側の縦フレーム12における左の上下向きフレーム部12aの上下方向での中間部と、2箇所の縦フレーム12のうちの後側の縦フレーム12における左の上下向きフレーム部12aの上下方向での中間部とが左の前後向き連結フレーム14によって連結されている。2箇所の縦フレーム12のうちの前側の縦フレーム12における右の上下向きフレーム部12aの上下方向での中間部と、2箇所の縦フレーム12のうちの後側の縦フレーム12における右の上下向きフレーム部12aの上下方向での中間部とが右の前後向き連結フレーム14によって連結されている。左右の前後向き連結フレーム14の前端部の前側の縦フレーム12の上下向きフレーム部12aへの連結は、前後向き連結フレーム14の前端部を前側の横向き連結フレーム13の端部に連結することによって行われている。左右の前後向き連結フレーム14の後端部の後側の縦フレーム12の上下向きフレーム部12aへの連結は、前後向き連結フレーム14の後端部を後側の横向き連結フレーム13の端部に連結することによって行われている。2箇所の縦フレーム12は、U字状に曲げ成形された丸鋼管材によって構成され、機体フレーム1を軽量化している。
【0039】
〔油圧ポンプ、作動油タンク、電動モータ、第1バッテリーについて〕
図3に示されるように、荷台7の下方に、油圧ポンプ8、電動モータ9および作動油タンク31が設けられている。油圧ポンプ8および作動油タンク31は、油圧機器Cである。図1,3,4,5に示されるように、第1バッテリー10Aは、油圧機器Cおよび電動モータ9よりも下側、かつ、左右両側の走行装置4の間において機体3の下部に保持されている。油圧機器Cおよび電動モータ9よりも重くなりがちな第1バッテリー10Aが油圧機器Cおよび電動モータ9よりも下側において左右両側の走行装置4の間に位置し、作業車全体の重心が低い位置、かつ、平面視で左右両側の走行装置4の間に位置する部位に位置する。
【0040】
詳述すると、図3に示されるように、第2フレーム1Bに備えられた左右の前後向き連結フレーム14の前部から第1ステー37が上向きに突設され、第1ステー37よりも後側において左右の前後向き連結フレーム14から第2ステー38が上向きに突設されている。電動モータ9の前部に備えられた取付けプレート部9aが第1ステー37に連結ボルトによって連結され、電動モータ9の後部が第2ステー38に連結ボルトによって連結されている。電動モータ9は、第1ステー37および第2ステー38を介して左右の前後向き連結フレーム14に取り付けられている。
【0041】
図3,5に示されるように、油圧ポンプ8の後部にフランジ部8aが備えられ、フランジ部8aが電動モータ9の取付けプレート部9aに連結ボルトによって連結されている。油圧ポンプ8は、取付けプレート部9a、第1ステー37を介して左右の前後向き連結フレーム14に取り付けられている。
【0042】
図3,5に示されるように、作動油タンク31は、電動モータ9の後方に設けられている。作動油タンク31は、左右の前後向き連結フレーム14に載置されて固縛バンド31aによって左右の前後向き連結フレーム14に固定され、左右の前後向き連結フレーム14に保持されている。
【0043】
油圧機器Cである油圧ポンプ8および作動油タンク31は、機体3のうちの左右の前後向き連結フレーム14に保持されている。
【0044】
図3,5に示されるように、機体3の内部空間のうち、油圧機器Cおよび電動モータ9よりも下側で縦フレーム12の左右の上下向きフレーム部12aの間に位置する部位に、バッテリー収容空間40が設定されている。
【0045】
図3,5に示されるように、バッテリー収容空間40の底部に、左右一対のガイドレール41が設けられている。左右一対のガイドレール41は、第2フレーム1Bに備えられた前後の横向きフレーム部12bにわたって取付けられ、機体3の前後方向に延びる状態で前後の横向きフレーム部12bに保持されている。図3,5に示されるように、第1バッテリー10Aは、バッテリー収容空間40において左右一対のガイドレール41に載置され、第1バッテリー10Aをガイドレール41に固定する固定機構(図示せず)が作用状態に切り換えられることにより、左右一対のガイドレール41に固定される。第1バッテリー10Aは、バッテリー収容空間40において左右一対のガイドレール41を介して前後の横向きフレーム部12bに保持される。
【0046】
第1バッテリー10Aは、油圧機器Cおよび電動モータ9よりも下側、かつ、左右の走行装置4の間において、機体3のうちの前後の横向きフレーム部12bに保持される。
【0047】
図3に示されるように、機体3のうち、バッテリー収容空間40に対して機体前方側に離れて位置する部位にバッテリー載せ降ろし口部42が設定されている。左右一対のガイドレール41がバッテリー収容空間40とバッテリー載せ降ろし口部42とに亘って設けられている。
【0048】
第1バッテリー10Aを機体3から降ろす際、第1バッテリー10Aをガイドレール41に固定する固定機構(図示せず)を解除状態に切り換えて第1バッテリー10Aを機体前方側にスライド操作すると、第1バッテリー10Aが左右一対のガイドレール41によってバッテリー収容空間40からバッテリー載せ降ろし口部42に移動案内され、第1バッテリー10Aをバッテリー載せ降ろし口部42に楽に引き出すことができる。
【0049】
第1バッテリー10Aを機体3に積み込む際、バッテリー載せ降ろし口部42において第1バッテリー10Aの後部を左右一対のガイドレール41の前部に載せて第1バッテリー10Aを機体後方側にスライド操作すると、第1バッテリー10Aが左右一対のガイドレール41によってバッテリー載せ降ろし口部42からバッテリー収容空間40に移動案内され、第1バッテリー10Aをバッテリー収容空間40に楽に入れ込むことができる。
【0050】
〔油圧ポンプ、電動モータについて〕
図3,4,5に示されるように、油圧ポンプ8および電動モータ9は、第1バッテリー10Aの直上方に設置されている。油圧ポンプ8および電動モータ9は、平面視において第1バッテリー10Aが位置する範囲内に位置している。油圧ポンプ8および電動モータ9が平面視において第1バッテリー10Aが位置する範囲から機体外側にはみ出ないようにできる。
【0051】
図3,4に示されるように、油圧ポンプ8および電動モータ9は、油圧ポンプ8が電動モータ9よりも機体前方側に位置し、油圧ポンプ8の入力軸(図示せず)および電動モータ9の出力軸(図示せず)が前後向きになる状態で機体前後方向に並べられている。油圧ポンプ8の入力軸と電動モータ9の出力軸とが同一の軸芯上に位置する状態で連結されている。油圧ポンプ8と電動モータ9とを連動連結し易い。
【0052】
〔オイルクーラについて〕
図3,4,5に示されるように、オイルクーラ33は、バッテリー収容空間40よりも機体後方側に設けられている。オイルクーラ33は、オイルクーラ33の周部に備えられた連結部で後側の縦フレーム12に連結され、後側の縦フレーム12に保持されている。第1バッテリー10Aの積み下ろしを行う際、オイルクーラ33が障害物にならなくてオイルクーラ33を取り外す手間を掛けなくて済む。オイルクーラ33は、第2バッテリー10Bよりも機体前方側に設けられている。
【0053】
〔第2バッテリーについて〕
図3,4に示されるように、第2バッテリー10Bは、バッテリー収容空間40よりも機体後方側に設けられている。第1バッテリー10Aの積み下ろしを行う際、第2バッテリー10Bが障害物にならなくて第2バッテリー10Bを取り外す手間を掛けなくて済む。
【0054】
〔インバータについて〕
図4,5に示されるように、インバータ34は、第1バッテリー10Aよりも上側に設けられている。インバータ34は、電動モータ9の右横側方に設けられている。インバータ34は、右の前後向き連結フレーム14から上向きに突設されたステー(図示せず)に取り付けられ、ステーを介して右の前後向き連結フレーム14に保持されている。
【0055】
〔保護回路部について〕
図3,4,5に示されるように、保護回路部35は、第1バッテリー10Aよりも上側に設けられている。保護回路部35は、電動モータ9の上方に設けられたボックス43に収容されている。ボックス43は、支持台44に保持されている。支持台44は、電動モータ9に備えられた取付けプレート部9aに連結ボルトによって連結され、取付けプレート部9aを介して前後向き連結フレーム14に保持されている。
【0056】
〔充電器について〕
図6に示されるように、第1バッテリー10Aに充電器45が接続されている。充電器45には、繰り出し可能な充電コード(図示せず)が備えられている。充電コートが機体3の外部に位置する充電スタンドなどの電源(図示せず)に接続されると、充電コードによって電源から充電器45に電力が供給され、供給された電力が充電器45によって第1バッテリー10Aに充電される。第1バッテリー10Aを機体3に積み込んだままにしても、充電器45によって第1バッテリー10Aに充電することができる。
【0057】
充電器45は、図2,3,4に示されるように、前カバー2Bの内部において第1フレーム1Aに保持されている。前カバー2Bは、下部に位置する枢支軸芯Xを開閉軸芯にして下降開き姿勢と上昇閉じ姿勢とに上下揺動可能な状態で前カバーフレーム20に保持されている。前カバー2Bが図1に二点鎖線で示される如く下降開き姿勢に姿勢変更されることにより、充電器45が前方に開放されて充電器45の使用が可能になる。
【0058】
〔前車輪、後車輪について〕
図1,5に示されるように、左右両側の走行装置4それぞれにおいて、前車輪23および後車輪24は、各別に機体に対して昇降操作可能な状態で機体3に保持されている。
【0059】
詳述すると、図1,5に示されるように、前車輪23および後車輪24のそれぞれは、連結機構46を介して機体フレーム1に保持されている。
【0060】
図7は、右の前車輪23の連結機構46を左横側方から見た側面図である。右の前車輪23の連結機構46は、第1フレーム1Aに備えられた支持部19に枢支軸芯P1を揺動支点にして前後揺動可能に保持された上部リンク47、および、上部リンク47の遊端部に枢支軸芯P2を揺動支点にして上下揺動可能に保持された下部リンク48を備えている。下部リンク48の遊端部に前車輪23が保持されている。支持部19に備えられたシリンダ連結部19aと上部リンク47の遊端部とに第1油圧シリンダ49が連結されている。上部リンク47の基部と下部リンク48とに第2油圧シリンダ50が連結されている。
【0061】
連結機構46においては、第1油圧シリンダ49の伸縮によって上部リンク47が枢支軸芯P1を揺動支点にして揺動操作されて連結機構46が第1フレーム1Aに対して昇降操作され、第2油圧シリンダ50の伸縮によって下部リンク48が枢支軸芯P2を揺動支点にして揺動操作されて連結機構46が屈伸され、前車輪23の機体フレーム1に対する取付け高さが変更される。
【0062】
左の前車輪23、左の後車輪24および右側の後車輪24それぞれの連結機構46は、右の前車輪23の連結機構46と同様に構成されている。
【0063】
作業箇所が機体左右方向、機体前後方向に傾斜している場合、作業箇所の傾斜に対応させて左右の前車輪23、左右の後車輪24の機体フレーム1に対する取付け高さを調節することにより、作業箇所の機体左右方向、機体前後方向の傾斜にかかわらず、機体3を水平姿勢あるいはほぼ水平姿勢に姿勢調節することができる。
【0064】
図1,5に示されるように、左の前車輪23,左の後車輪24、右の前車輪23および右の後車輪24それぞれの連結機構46に補助車輪51が保持されている。補助車輪51は、枢支軸芯P2を回転中心にして回転可能な状態で保持されている。補助車輪51は、上部リンク47の揺動角、下部リンク48の揺動角が設定揺動角になった際、前車輪23、後車輪24と共に接地して機体3を支持する。
【0065】
〔前車輪、後車輪の操向操作について〕
図7に示されるように、前車輪23および油圧モータ22aを保持する保持部材52の上部52aが、下部リンク48の遊端部に備えられた支持部48aに操向軸芯P3を揺動支点に揺動可能に保持されている。上部52aに備えられたシリンダ連結部52bと下部リンク48に備えられたシリンダ連結部48bとに操向シリンダ53が連結されている。操向シリンダ53の伸縮によって保持部材52が操向軸芯P3を揺動支点にして下部リンク48に対して揺動操作されて前車輪23の操向操作が行われる。左の前車輪23、左の後車輪24および右の後車輪24それぞれは、右の前車輪23の操向操作機構と同じ操向操作機構によって操向操作されるように構成されている。
【0066】
図4に示されるように、左の前車輪23および左の後車輪24それぞれの第1油圧シリンダ49、第2油圧シリンダ50および操向シリンダ53の制御を行うように構成され、かつ、左モータ制御弁部26を有する左制御弁装置55、左制御弁装置55の制御を行う左CPU装置56が左の横カバー2Aよりも機体横内側において第1フレーム1Aに保持されている。右の前車輪23および右の後車輪24それぞれの第1油圧シリンダ49、第2油圧シリンダ50および操向シリンダ53の制御を行うように構成され、かつ、右モータ制御弁部28を有する右制御弁装置57、右制御弁装置57の制御を行う右CPU装置58が右の横カバー2Aよりも機体横内側において第1フレーム1Aに保持されている。
【0067】
〔カバーについて〕
カバー2は、図1,4,5に示されるように、荷台7よりも下側に設けられている。カバー2は、図1,4,5に示されるように、機体フレーム1の左右横外側に位置する横カバー2A、機体フレーム1の前外側に位置する前カバー2Bが備えられている。
【0068】
図3,4に示されるように、左右の横カバー2Aおよび前カバー2Bは、機体フレーム1のうちの第1フレーム1Aに保持されている。
【0069】
詳述すると、図4に示されるように、横カバー2Aには、横カバー2Aの内側に取り付けられた横カバーフレーム17が備えられている。横カバーフレーム17の前後方向での2箇所から連結アーム18が第1フレーム側に延ばされている。2箇所の連結アーム18のうち前側の連結アーム18が第1フレーム1Aの前部に備えられた支持部19に連結ボルトによって脱着可能に連結されている。2箇所の連結アーム18のうちの後側の連結アーム18が第1フレーム1Aの後部に備えられた支持部19に連結ボルトによって脱着可能に連結されている。
【0070】
図1,2,4に示されるように、前カバー2Bには、前カバー2Bの左右側部に位置して前カバー2Bを保持する前カバーフレーム20が備えられている。左右の前カバーフレーム20は、前カバー2Bの縁部に沿うように側面視で横向きのU字状に屈曲形成されている。左右の前カバーフレーム20それぞれの上側の後端部が第1フレーム1Aにおける上側の第1フレーム部11の前端部に連結され、左右の前カバーフレーム20それぞれの下側の後端部が第1フレーム1Aの前部に備えられた支持部19に連結されている。
【0071】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、電動モータ9を駆動するための第1バッテリー10Aが油圧機器Cの下側、かつ、左右両側の走行装置4の間に設けた例を示したが、これに限らない。たとえば、第1バッテリー10Aに替えて制御用のバッテリーを設けたもの、あるいは、エンジンを備えるものにあっては、エンジンの駆動のためのバッテリーを設けたものであってもよい。
【0072】
(2)上記実施形態では、油圧ポンプ8が電動モータ9のみで駆動される例を示したが、電動モータ9に加えてエンジンを設け、電動モータ9とエンジンの両方の動力によって油圧ポンプ8が駆動されるように構成してもよい。
【0073】
(3)上記した実施形態では、走行装置4に前車輪23および後車輪24が備えられ、前車輪23および後車輪24が各別に油圧モータ22a,22bによって駆動され、かつ前車輪23および後車輪24の各別な昇降操作が可能である例を示したが、これに限らず、走行装置4にクローラが油圧モータによって駆動可能に備えられたものであってもよい。また、前車輪23および後車輪24を備えても、前車輪23および後車輪24の昇降操作が行われないものであってもよい。
【0074】
(4)上記した実施形態では、充電器45が備えられた例を示したが、充電器45が備えられないものであってもよい。
【0075】
(5)上記した実施形態では、油圧ポンプ8および電動モータ9が第1バッテリー10Aの直上方に設けられた例を示したが、油圧ポンプ8および電動モータ9が第1バッテリー10Aの直上方の位置から外れた位置に設けたものであってもよい。
【0076】
(6)上記実施形態では、油圧ポンプ8が電動モータ9よりも機体前方側に位置する状態で油圧ポンプ8と電動モータ9が機体前後方向に並び、油圧ポンプ8の入力軸と電動モータ9の出力軸とが機体前後向きで連結される例を示したが、これに限らない。油圧ポンプ8が電動モータ9よりも機体後方に位置する状態で油圧ポンプ8と電動モータ9とが機体前後方向に並ぶものであってもよい。油圧ポンプ8と電動モータ9とが機体前後方向に並ぶものであっても、油圧ポンプ8の入力軸および電動モータ9の出力軸が機体横向きなど、どのような向きになっているものであってもよい。また、油圧ポンプ8と電動モータ9が機体横方向に並ぶなど、どのような配置で設けられるものであってもよい。
【0077】
(7)上記した実施形態では、バッテリー載せ降ろし口部42をバッテリー収容空間40よりも機体前方側に設けた例を示したが、バッテリー載せ降ろし口部42をバッテリー収容空間40よりも機体後方側に設けたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、左右両側の走行装置、油圧機器を備える作業車、荷物運搬用以外の作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0079】
3 機体
4 走行装置
8 油圧ポンプ
9 電動モータ
9a 取付けプレート部
10A 第1バッテリー(バッテリー)
23 前車輪
24 後車輪
33 オイルクーラ
34 インバータ
35 保護回路部
37 第1ステー(ステー)
40 バッテリー収容空間
41 ガイドレール
42 バッテリー載せ降ろし口部
45 充電器
C 油圧機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7