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  • 特開-交通情報生成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005822
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】交通情報生成装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106210
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】宇野 智
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL09
5H181MB01
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】車両の挙動に関する車両データを解析してエリア毎の交通危険度を推定する場合に、信頼性の低いデータによって交通危険度の推定精度が低下することを抑制する。
【解決手段】交通情報生成装置は、複数の車両3と通信可能な通信部21と、通信部を介して、複数の車両の少なくとも一部の車両から車両の挙動に関する車両データを取得して集計データを作成するデータ集計部25と、車両データが所定のノイズ条件を満たす場合に、車両データをノイズデータとして集計データから除去するデータ除去部26と、ノイズデータが除去された集計データに基づいてエリア毎の交通危険度を推定する危険度推定部27とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両と通信可能な通信部と、
前記通信部を介して、前記複数の車両の少なくとも一部の車両から車両の挙動に関する車両データを取得して集計データを作成するデータ集計部と、
前記車両データが所定のノイズ条件を満たす場合に、該車両データをノイズデータとして前記集計データから除去するデータ除去部と、
前記ノイズデータが除去された前記集計データに基づいてエリア毎の交通危険度を推定する危険度推定部と
を備える、交通情報生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交通情報生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のブレーキ動作を車両から取得し、ブレーキ動作から特定される危険箇所を地図上に表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-522857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両から送信された車両データの信頼性が低い場合、危険度の低い箇所が危険地点であると判別され、又は危険度の高い箇所が危険地点ではないと判別されるおそれがある。例えば、特定の車両の運転が荒かった場合、その車両が走行した範囲のみが危険地点と判別されるおそれがある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、車両の挙動に関する車両データを解析してエリア毎の交通危険度を推定する場合に、信頼性の低いデータによって交通危険度の推定精度が低下することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明では、複数の車両と通信可能な通信部と、通信部を介して、複数の車両の少なくとも一部の車両から車両の挙動に関する車両データを取得して集計データを作成するデータ集計部と、車両データが所定のノイズ条件を満たす場合に、車両データをノイズデータとして集計データから除去するデータ除去部と、ノイズデータが除去された集計データに基づいてエリア毎の交通危険度を推定する危険度推定部とを備える、交通情報生成装置が提供される。
【0007】
例えば、危険度推定部は、予め学習された機械学習モデルを用いて、集計データに基づいてエリア毎の交通危険度を推定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の挙動に関する車両データを解析してエリア毎の交通危険度を推定する場合に、信頼性の低いデータによって交通危険度の推定精度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る交通情報生成システムの概略的な構成図である。
図2】サーバのプロセッサの機能ブロック図である。
図3】危険度推定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る交通情報生成システム1の概略的な構成図である。図1に示されるように、交通情報生成システム1はサーバ2と複数の車両3とを備える。サーバ2は、インターネット網のような通信ネットワーク5と、通信ネットワーク5に接続された無線基地局6とを介して、複数の車両3の各々と通信可能である。車両3と無線基地局6との間の通信は公知の無線通信技術(例えば、3G、LTE(Long Term Evolution)、4G、5G等)によって行われる。
【0012】
図1に示されるように、サーバ2は、複数の車両3の外部に設けられ、通信インターフェース21、ストレージ装置22、メモリ23及びプロセッサ24を備える。通信インターフェース21、ストレージ装置22及びメモリ23は、信号線を介してプロセッサ24に接続されている。なお、サーバ2は、キーボード及びマウスのような入力装置、ディスプレイのような出力装置等を更に備えていてもよい。また、サーバ2は複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0013】
通信インターフェース21は、複数の車両3と通信可能であり、サーバ2が複数の車両3と通信することを可能とする。具体的には、通信インターフェース21は、サーバ2を通信ネットワーク5に接続するためのインターフェース回路を有する。サーバ2は通信インターフェース21及び通信ネットワーク5を介してサーバ2の外部(例えば複数の車両3)と通信する。通信インターフェース21はサーバ2の通信部の一例である。
【0014】
ストレージ装置22は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SDD)又は光記録媒体及びそのアクセス装置を有する。ストレージ装置22は、各種データを記憶し、例えば、地図情報、プロセッサ24が各種処理を実行するためのコンピュータプログラム等を記憶する。ストレージ装置22はサーバ2の記憶部の一例である。
【0015】
メモリ23は不揮発性の半導体メモリ(例えばRAM)を有する。メモリ23は、例えばプロセッサ24によって各種処理が実行されるときに使用される各種データ等を一時的に記憶する。メモリ23はサーバ2の記憶部の別の一例である。
【0016】
プロセッサ24は、一つ又は複数のCPU及びその周辺回路を有し、各種処理を実行する。なお、プロセッサ24は、論理演算ユニット、数値演算ユニット又はグラフィック処理ユニットのような他の演算回路を更に有していてもよい。
【0017】
車両3は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、車両挙動検出装置、アクチュエータ、ヒューマンマシンインタフェース(HMI:Human Machine Interface)、通信装置、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)等を備える。GNSS受信機、車両挙動検出装置、アクチュエータ、HMI及び通信装置は、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワーク等を介してECUに電気的に接続される。
【0018】
GNSS受信機は、複数(例えば3つ以上)の測位衛星から得られる測位情報に基づいて、車両3の現在位置(例えば車両の緯度及び経度)を検出する。GNSS受信機の出力、すなわちGNSS受信機によって検出された車両3の現在位置はECUに送信される。
【0019】
車両挙動検出装置は車両3の挙動情報を検出する。車両挙動検出装置は、例えば、車両3の速度を検出する車速センサ、車両3の加速度を検出する加速度センサ、車両3に設けられたブレーキペダルの踏み込み力を検出するブレーキペダルストロークセンサ等を含む。車両挙動検出装置の出力、すなわち車両挙動検出装置によって検出された車両3の挙動情報はECUに送信される。
【0020】
アクチュエータは車両3を動作させる。例えば、アクチュエータは、車両3の加速のための駆動装置(例えば内燃機関及び電動機の少なくとも一方)、車両3の制動のためのブレーキアクチュエータ、車両3の操舵のための操舵アクチュエータ等を含む。ECUはアクチュエータを制御して車両3の挙動を制御する。
【0021】
HMIは車両3と車両3の乗員(例えばドライバ)との間で情報の伝達を行う。HMIは、車両3の乗員に情報を提供する出力部(例えば、ディスプレイ、スピーカ、振動ユニット等)と、車両3の乗員によって情報が入力される入力部(例えば、タッチパネル、操作ボタン、操作スイッチ、マイクロフォン等)とを有する。ECUの出力はHMIを介して車両3の乗員に通知され、車両3の乗員からの入力はHMIを介してECUに送信される。
【0022】
通信装置は、車両3の外部と通信可能であり、車両3と車両3の外部(例えばサーバ2)との通信を可能とする。例えば、通信装置は、車両3と車両3の外部との広域通信を可能とする広域無線通信機(例えばデータ通信モジュール(DCM:Data Communication Module))である。
【0023】
ECUは、通信インターフェース、メモリ及びプロセッサを備え、車両3の各種制御を実行する。すなわち、ECUは車両3の制御装置として機能する。
【0024】
本実施形態では、車両3は、先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driving Assistant System)を備え、所定の運転支援機能を実施する。具体例として、車両3は運転支援機能としてプリクラッシュセーフティ(PCS:Pre-crash Safety)を実施する。PCSでは、車両3の前方の障害物(周辺車両、歩行者、自転車等)に対する衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)が短くなるにつれて、警報及び制動制御が段階的に作動される。
【0025】
複数の車両3は、それぞれ、車両3の挙動に関する車両データをサーバ2に送信し、サーバ2は車両データに基づいて交通情報を生成する。本実施形態では、サーバ2は、交通情報として、エリア毎の交通危険度を示すハザードマップを生成する。サーバ2は交通情報生成装置の一例である。
【0026】
図2は、サーバ2のプロセッサ24の機能ブロック図である。本実施形態では、プロセッサ24は、データ集計部25、データ除去部26及び危険度推定部27を有する。データ集計部25、データ除去部26及び危険度推定部27は、サーバ2のストレージ装置22に記憶されたコンピュータプログラムをサーバ2のプロセッサ24が実行することによって実現される機能モジュールである。なお、これら機能モジュールは、プロセッサ24に設けられた専用の演算回路によって実現されてもよい。
【0027】
データ集計部25は、通信インターフェース21を介して、複数の車両3の少なくとも一部の車両3から車両3の挙動に関する車両データを取得して集計データを作成する。車両データは、例えば、PCSの作動状態を示すPCS信号、エアバッグの作動状態を示すABG信号、ブレーキペダルストロークセンサの出力を示すブレーキ信号、加速度センサの出力を示す加速度信号、車速センサの出力を示す車速信号等を含む。複数の車両3は、それぞれ、これら車両データに加えて、車両3の識別情報(例えば車両ID)及び位置情報(例えば緯度及び経度)並びに車両データの取得時刻を定期的に(例えば1分周期で)サーバ2に送信する。
【0028】
データ集計部25によって作成される集計データは、車両データから算出される複数の特徴量を含み、サーバ2のストレージ装置22又はメモリ23に記憶される。本実施形態では、PCSにおける警報の作動回数、PCSにおける制動制御(自動ブレーキ)の作動回数、エアバッグの作動回数、及び急ブレーキの作動回数の4つの特徴量が算出される。PCSにおける警報の作動回数及びPCSにおける制動制御の作動回数はPCS信号に基づいて算出され、エアバッグの作動回数はABG信号に基づいて算出される。急ブレーキの作動回数は、ブレーキ信号、加速度信号及び車速信号の少なくとも一つに基づいて算出される。
【0029】
データ除去部26は、車両データが所定のノイズ条件を満たすか否かを判定し、車両データが所定のノイズ条件を満たす場合に、車両データをノイズデータとして集計データから除去する。ノイズ条件は、例えば、特徴量の加算に用いられた車両データの送信元が特定の車両に集中していることと、特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両の数が所定値以下であることと、特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両が、特徴量としてカウントされる事象の発生頻度が所定値以上である車両であることとを含む。危険度推定部27は、データ除去部26によってノイズデータが除去された集計データに基づいてエリア毎の交通危険度を推定する。
【0030】
上記のような交通危険度の推定方法によれば、信頼性の低いノイズデータが解析対象のデータから除去されるため、信頼性の低いデータによって交通危険度の推定精度が低下することを抑制することができる。
【0031】
以下、図3を参照して、交通危険度を推定するための制御の処理フローについて説明する。図3は、危険度推定処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。本制御ルーチンは、交通危険度が推定される対象のエリア毎に、サーバ2のプロセッサ24(データ集計部25、データ除去部26及び危険度推定部27)によって繰り返し実行される。
【0032】
各エリアは、例えば、緯度及び経度に従って地図を分割した地域メッシュにより区分され、地域メッシュによって定められたコード(メッシュコード)によって特定される。本実施形態では、各エリアの大きさは、1辺の長さが125mの125mメッシュ(8分の1地域メッシュ)である。なお、各エリアの大きさは、1辺の長さが1kmの3次メッシュ(基準地域メッシュ)等であってもよい。例えば、交通危険度が推定されるエリアの総数が1000である場合、1000個のエリアの各々について本制御ルーチンが実行される。
【0033】
最初に、ステップS101において、データ集計部25は、当該エリアにおいて取得された車両データを受信したか否かを判定する。例えば、車両3から車両データと共に車両3の位置情報として送信された緯度及び経度が当該エリアの範囲に含まれる場合、その車両データが当該エリアにおいて取得されたと判定される。
【0034】
ステップS101において当該エリアにおいて取得された車両データを受信していないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS101において当該エリアにおいて取得された車両データを受信したと判定された場合、本制御ルーチンはステップS102に進む。
【0035】
ステップS102では、データ集計部25は新たな車両データに基づいて集計データの特徴量を更新する。例えば、新たな車両データが、特徴量としてカウントされる事象が発生したことを示す場合、データ集計部25はその特徴量の値を加算する。集計データには、所定期間(例えば直近3年間)の間に取得された車両データに基づく特徴量の値が記憶されている。すなわち、所定期間よりも前に取得された車両データは、集計データに記憶された特徴量の値に反映されなくなる。
【0036】
次いで、ステップS103において、データ除去部26は、交通危険度の更新タイミングであるか否かを判定する。交通危険度の更新間隔は例えば1時間であり、この場合、前回の更新タイミングから1時間が経過したときに交通危険度の更新タイミングであると判定される。なお、交通危険度の更新タイミングは1年間等であってもよい。ステップS103において交通危険度の更新タイミングではないと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、ステップS103において交通危険度の更新タイミングであると判定された場合、本制御ルーチンはステップS104に進む。
【0037】
ステップS104では、データ除去部26は、特徴量の加算に用いられた車両データの送信元が特定の車両に集中しているか否か、すなわち特徴量としてカウントされる事象の発生が特定の車両に集中しているか否かを判定する。例えば、前回の更新タイミングと今回の更新タイミングとの間に加算された特徴量の総数のうち、特定の1台の車両の車両データに起因する加算数の割合が所定値(例えば40%~70%)以上である場合に、特徴量の加算に用いられた車両データの送信元が特定の車両に集中していると判定される。
【0038】
ステップS104において特徴量の加算に用いられた車両データの送信元が特定の車両に集中していると判定された場合、本制御ルーチンはステップS107に進む。ステップS107では、データ除去部26は特定の車両の車両データをノイズデータとして集計データから除去する。具体的には、データ除去部26は特定の車両の車両データによる特徴量の加算数を特徴量から減算する。
【0039】
一方、ステップS104において特徴量の加算に用いられた車両データの送信元が特定の車両に集中していないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS105に進む。ステップS105では、データ除去部26は、特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両の数、すなわち特徴量としてカウントされる事象が発生した車両の数が所定値以下であるか否かを判定する。
【0040】
ステップS105において特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両の数が所定値以下であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS107に進む。ステップS107では、データ除去部26は、前回の更新タイミングと今回の更新タイミングとの間に送信された全ての車両データをノイズデータとして集計データから除去する。すなわち、データ除去部26は集計データの特徴量の値を前回の更新タイミングのときの値に戻す。
【0041】
一方、ステップS105において特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両の数が所定値よりも多いと判定された場合、本制御ルーチンはステップS106に進む。ステップS106では、データ除去部26は、特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両、すなわち特徴量としてカウントされる事象が発生した車両が、特徴量としてカウントされる事象の発生頻度が所定値以上である車両(以下、「多作動傾向車両」という)であるか否かを判定する。例えば、判定対象の車両から過去(例えば直近3年間)に送信された車両データ(当該エリアにおいて取得された車両データ又はエリアに関係なく取得された車両データ)に基づいて、判定対象の車両が多作動傾向車両であるか否かが判定される。
【0042】
ステップS106において特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両が多作動傾向車両であると判定された場合、本制御ルーチンはステップS107に進む。ステップS107では、データ除去部26は多作動傾向車両の車両データをノイズデータとして集計データから除去する。具体的には、データ除去部26は多作動傾向車両の車両データによる特徴量の加算数を特徴量から減算する。
【0043】
ステップS107の後、又はステップS106において特徴量の加算に用いられた車両データを送信した車両が多作動傾向車両ではないと判定された場合、本制御ルーチンはステップS108に進む。ステップS108では、危険度推定部27は集計データに基づいて当該エリアの交通危険度を推定する。例えば、交通危険度は、交通危険度が低い順に「低」、「中」及び「高」の三段階に分類される。
【0044】
本実施形態では、危険度推定部27は、集計データの複数(本実施形態では4つ)の特徴量の値から当該エリアの交通危険度を出力するように予め学習された識別器を用いて交通危険度を算出する。この場合、例えば、「低」、「中」及び「高」の交通危険度に相当する値として、0、1及び2が識別器から出力される。斯かる識別器の一例として、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト等の機械学習モデルが挙げられ、基本的に、特徴量の値が大きいほど、交通危険度は高くなる。なお、エリア全体の交通危険度が一律に算出される代わりに、車両データが取得されたエリア内の各地点の交通危険度が算出され、エリア内において車両データが取得されていない地点の交通危険度を推定するために、カーネル密度推定(Kernel density estimation)のような手法が用いられてもよい。
【0045】
次いで、ステップS109において、危険度推定部27はステップS108の推定結果に基づいてハザードマップにおける当該エリアの交通危険度を更新する。ハザードマップは、危険度推定部27によって生成され、エリア毎の交通危険度を示す。例えば、ハザードマップでは、交通危険度の高いエリアが色等によって強調表示され、当該エリアの交通危険度が変化した場合には、当該エリアの表示態様が変更される。更新後のハザードマップは複数の車両3の各々に送信され、例えば車両3の現在位置に相当するエリアのハザードマップが車両3のHMIに表示される。ステップS109の後、本制御ルーチンは終了する。
【0046】
なお、危険度推定部27は、当該エリアの時間帯(例えば、15時台、16時台、17時台等)毎の交通危険度を推定し、時間帯毎のハザードマップを生成してもよい。この場合、データ集計部25は、車両3から送信される車両データに基づいて時間帯毎の集計データを作成する。
【0047】
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。例えば、複数の車両3の各々は、特徴量としてカウントされる事象が車両3で発生したときにのみ、車両データをサーバ2に送信してもよい。
【符号の説明】
【0048】
2 サーバ
21 通信インターフェース
24 プロセッサ
25 データ集計部
26 データ除去部
27 危険度推定部
3 車両
図1
図2
図3