(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005824
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
F01M 13/00 20060101AFI20250109BHJP
F01M 13/04 20060101ALI20250109BHJP
F01M 1/06 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
F01M13/00 H
F01M13/04 A
F01M1/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106212
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】山崎 喬裕
【テーマコード(参考)】
3G015
3G313
【Fターム(参考)】
3G015BD10
3G015BD24
3G015BE06
3G015BF05
3G015BF08
3G015CA05
3G313BB18
3G313BD47
3G313FA06
(57)【要約】
【課題】オイルセパレータからのオイルの排出性が確保されたエンジンを提供することを課題とする。
【解決手段】ブローバイガスからオイルを分離し、分離したオイルが溜まるオイルセパレータと、前記オイルセパレータ内に溜まったオイルをオイルパンへと戻すポンプと、を備えたエンジン。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブローバイガスからオイルを分離し、分離したオイルが溜まるオイルセパレータと、
前記オイルセパレータ内に溜まったオイルをオイルパンへと戻すポンプと、を備えたエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ブローバイガスからオイルを分離するオイルセパレータを備えたエンジンが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オイルセパレータ内で分離したオイルがオイルセパレータからスムーズに排出されない場合、オイルセパレータ内のオイルがブローバイガスにより巻き上げられてエンジンの吸気系に搬送されるおそれがある。これによりオイル消費量が増大するおそれがある。また、オイルハンマー現象が生じるおそれもある。
【0005】
そこで本発明は、オイルセパレータからのオイルの排出性が確保されたエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、ブローバイガスからオイルを分離し、分離したオイルが溜まるオイルセパレータと、前記オイルセパレータ内に溜まったオイルをオイルパンへと戻すポンプと、を備えたエンジンによって達成できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オイルセパレータからのオイルの排出性が確保されたエンジンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
[エンジンの概略構成]
図1は、エンジン1の概略図である。エンジン1は、V型エンジンである。エンジン1は、シリンダブロック6の上部にV型に突出した一対のバンク2L及び2Rを有している。エンジン1は、例えば車両に搭載される。バンク2Lはシリンダヘッド5Lとヘッドカバー4Lとを含む。同様に、バンク2Rはシリンダヘッド5Rとヘッドカバー4Rとを含む。シリンダヘッド5L及び5Rはシリンダブロック6の上部に設置されている。ヘッドカバー4Lはシリンダヘッド5Lの上部に設置されている。同様に、ヘッドカバー4Rはシリンダヘッド5Rの上部に設置されている。
【0010】
シリンダブロック6内には、各バンク2L及び2Rのそれぞれに複数のシリンダが設けられている。各シリンダ内にはピストンが設けられている。各ピストンは、クランクシャフト8に動力伝達可能に連結されている。シリンダブロック6の下側にはラダーフレーム7が取り付けられている。シリンダブロック6及びラダーフレーム7により、クランクシャフト8は回転可能に支持されている。シリンダブロック6及びラダーフレーム7の内部に、クランクシャフト8を収容したクランク室6aが画定される。ラダーフレーム7の下側には、潤滑用のオイルを貯留したオイルパン9が取り付けられている。オイルパン9に貯留されたオイルは、不図示のポンプによりエンジン1の各摺動部へと供給される。潤滑に供されたオイルは、最終的にオイルパン9に流下する。
【0011】
[オイルセパレータの概略構成]
図2は、オイルセパレータ10Rの概略構成図である。
図2では、オイルセパレータ10Rの内部構成を示している。ヘッドカバー4Rの上面4Raにオイルセパレータ10Rが一体的に形成されている。オイルセパレータ10Rは、ヘッドカバー4Rの上面4Raに設けられたハウジング11を含む。ハウジング11には、導入口12a及び排出口12bが形成されている。排出口12bは、導入口12aよりも重力方向の上方側に位置する。またハウジング11には、ブローバイガス供給配管22が接続されている。ブローバイガス供給配管22がハウジング11に接続されている位置は、導入口12aよりも重力方向の上方側である。
【0012】
クランク室6aから導入口12aを介してハウジング11内に導入される。ブローバイガスがハウジング11内を流れる過程でハウジング11の内壁面に衝突する。これにより、ブローバイガスに含まれるオイルが内壁面に捕捉される。このようにしてハウジング11内でブローバイガスからオイルが分離される。オイルが分離されたブローバイガスは、ブローバイガス供給配管22を介してエンジン1の吸気系、例えばサージタンクに供給される。ハウジング11の内壁面に付着したオイルは、エンジン1の振動や重力の作用により流れ落ちてハウジング11の下方部に溜まる。ハウジング11内に溜まったオイルは、自重により排出口12bからシリンダヘッド5Rやシリンダブロック6に形成されたオイル通路を介してオイルパン9へと流れる。
【0013】
図2に示すようにハウジング11の下方部には、排出管24の一端が接続されている。詳細には、ハウジング11内のオイルが溜まる部位に排出管24の一端が接続されている。排出管24の他端は、スカベンジングポンプ40に接続されている。また、排出管24には、スイッチングバルブ30が設けられている。スカベンジングポンプ40には、オイルパン9に連通した連通管44が接続されている。スカベンジングポンプ40は、例えば不図示のカム室に溜まったオイルを、連通管44を介してオイルパン9に搬送するために設けられている。スカベンジングポンプ40は、クランクシャフト8の回転に連動して駆動する機械式のポンプである。従ってエンジン1の駆動中は、スカベンジングポンプ40は常時駆動している。
【0014】
スイッチングバルブ30の開閉制御は、ECU(Electronic Control Unit)50により行われる。ECU50は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の揮発性や不揮発性のメモリを含むコンピュータを中心に構成される。ECU50は、エンジン1に関する各種の制御処理を実現する。
【0015】
ECU50は、所定のタイミングでスイッチングバルブ30を開く。これにより、ハウジング11内に溜まったオイルをスカベンジングポンプ40により強制的にオイルパン9へと搬送することができる。このようにして、オイルセパレータ10Rからのオイルの排出性が確保されている。これにより、オイル消費量を抑制し、オイルハンマー現象の発生も抑制することができる。
【0016】
ここで、オイルセパレータ10Rからのオイルの排出性を確保するために、例えば排出口12bを拡大することが考えられる。しかしながら排出口12bを拡大すると、排出口12bからハウジング11内にブローバイガスが流入するおそれがある。これにより、ハウジング11内を通過するブローバイガスの流速が低下し、ブローバイガスからオイルを十分に分離することができないおそれがある。また、クランク室6a内の換気が不十分となるおそれもある。本実施例では上述したように、ハウジング11内に溜まったオイルをスカベンジングポンプ40により強制的にオイルパン9へと搬送する。これにより、排出口12bを拡大することなくオイルセパレータ10Rからのオイルの排出性を確保することができる。
【0017】
尚、上記のオイルセパレータ10Rと同様の構成がヘッドカバー4L側にも形成されている。この場合、スカベンジングポンプ40は、ヘッドカバー4L側のオイルセパレータと共用してもよい。また、このようなオイルセパレータは、ヘッドカバー4L及び4Rの何れか一方側にのみ設けてもよい。
【0018】
また、オイルセパレータはシリンダヘッドに形成されていることに限定されない。例えばオイルセパレータは、シリンダブロックに形成されていてもよい。また、エンジンはV型エンジンに限定されず、直列エンジンであってもよい。
【0019】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 エンジン
10R オイルセパレータ
40 スカベンジングポンプ(ポンプ)