(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005846
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】電圧検知ユニット、及び、蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20250109BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250109BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20250109BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M10/48 P
H01M10/44 P
G01K1/14 L
G01K1/14 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106245
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】海谷 裕之
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】宗 真平
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】川畑 佑太朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輝
(72)【発明者】
【氏名】望月 星吾
【テーマコード(参考)】
2F056
5H030
5H043
【Fターム(参考)】
2F056CE01
2F056CL07
5H030AA01
5H030BB01
5H030BB21
5H030FF43
5H030FF44
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA08
(57)【要約】
【課題】検知対象との導電接続における作業性に優れた電圧検知ユニットの提供。
【解決手段】電圧検知ユニット105は、検知対象104に導通接続される第1箇所112aを有する電圧検知端子110と、電圧検知端子110が収容される端子収容凹部142を有する板状のハウジング140と、端子収容凹部142に収容された電圧検知端子110の第1箇所112aを覆わない仮係止位置と第1箇所112aを覆う本係止位置にてハウジング140に係止可能なカバー130と、測温素子171が内部に格納され、ハウジング140に取り付けられる測温器170と、電圧検知端子110の第2箇所113aに導通接続され且つハウジング140の外部に向けて引き出される電線120と、を備える。測温器170は、端子収容凹部142に収容された電圧検知端子110がハウジング140の板厚方向に移動することを規制するように、電圧検知端子110に係合する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象に導通接続されることになる第1箇所を有する電圧検知端子と、
前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部を有する板状のハウジングと、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子の前記第1箇所を覆わない仮係止位置と、前記第1箇所を覆う本係止位置と、にて前記ハウジングに係止可能なカバーと、
測温素子が内部に格納され、前記ハウジングに取り付けられる測温器と、
前記電圧検知端子の第2箇所に導通接続され且つ前記ハウジングの外部に向けて引き出される電線と、
を備える電圧検知ユニットであって、
前記測温器は、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子が前記ハウジングの板厚方向に移動することを規制するように、前記板厚方向において当該測温器の少なくとも一部が前記電圧検知端子に重なり合うように配置される、
電圧検知ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧検知ユニットにおいて、
前記電圧検知端子は、
前記板厚方向に延びる第3箇所を有し、
前記測温器は、
前記第3箇所に隣り合うように配置される、
電圧検知ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の電圧検知ユニットにおいて、
前記電圧検知端子は、
前記端子収容凹部に当該電圧検知端子が収容された収容位置と、前記収容位置から前記板厚方向に前記ハウジングから離れる向きに当該電圧検知端子が移動したと仮定した外部位置と、の間において、前記ハウジングと干渉しない形状を有する、
電圧検知ユニット。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の電圧検知ユニットと、前記電圧検知端子が導通接続される検知対象としての導電板と、を有する板状の導電モジュールと、
前記導電モジュールが積層される充放電可能な蓄電モジュールと、
を備える、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象に導通接続されることになる電圧検知端子が板状のハウジングに収容されるように構成される電圧検知ユニット、及び、その電圧検知ユニットを用いた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、充放電可能な薄板状の蓄電モジュールと導電板とを交互に並べて繰り返し積層することで、複数の蓄電モジュールを導電板を介して直列接続するように構成された、積層型の蓄電装置が提案されている。この種の蓄電装置に用いられる蓄電モジュールは、一般に、その内部に複数の電池セルが内蔵された構造を有し、充放電可能な一つの電池として機能する。従来の蓄電装置の一つでは、個々の蓄電モジュールの出力状態(即ち、基準となるゼロ電位に対する個々の蓄電モジュールの出力面の電位。以下、単に「蓄電モジュールの電圧」ともいう。)を監視するべく、個々の蓄電モジュールの出力面に接触している導電板にバスバ等の検知用端子を接続し、この検知用端子を介して個々の蓄電モジュールの電圧を測定するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような構造を有する蓄電装置内の導電板に実際にバスバ等を接続するにあたっては、蓄電モジュールや導電板が薄板状の形状を有することから接続用の他の部品(例えば、ボルト締結用のボルト等)を設置するスペースを確保することが難しい。そこで、上述した従来の蓄電装置では、導電板の側縁部に検知用端子を挿し込むための挿入穴を設け、蓄電モジュールと導電板を積層した積層体の側方から個々の導電板の挿入穴に検知用端子を挿し込むことで、導電板と検知用端子とを接続するようになっている。しかし、この従来の接続法では、検知用端子の挿し込みにあたって導電板の挿入穴と検知用端子との位置合わせが煩雑であることから、接続作業の作業性を向上させ難い。
【0005】
本発明の目的の一つは、検知対象との導電接続における作業性に優れた電圧検知ユニット、及び、その電圧検知ユニットを用いた蓄電装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電圧検知ユニット及び蓄電装置は、以下を特徴としている。
【0007】
検知対象に導通接続されることになる第1箇所を有する電圧検知端子と、
前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部を有する板状のハウジングと、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子の前記第1箇所を覆わない仮係止位置と、前記第1箇所を覆う本係止位置と、にて前記ハウジングに係止可能なカバーと、
測温素子が内部に格納され、前記ハウジングに取り付けられる測温器と、
前記電圧検知端子の第2箇所に導通接続され且つ前記ハウジングの外部に向けて引き出される電線と、
を備える電圧検知ユニットであって、
前記測温器は、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子が前記ハウジングの板厚方向に移動することを規制するように、前記板厚方向において当該測温器の少なくとも一部が前記電圧検知端子に重なり合うように配置される、
電圧検知ユニットであること。
【0008】
前記電圧検知ユニットと、前記電圧検知端子が導通接続される検知対象としての導電板と、を有する板状の導電モジュールと、
前記導電モジュールが積層される充放電可能な蓄電モジュールと、
を備える、蓄電装置であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電圧検知ユニット及び蓄電装置によれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0010】
更に、上述したようにカバーをハウジングに取り付ける前に、測温器(例えば、サーミスタ)をハウジングに取り付けることで、測温器の少なくとも一部が板厚方向において電圧検知端子に重なり合って、端子収容凹部に収容されている電圧検知端子が板厚方向に移動すること(いわゆる、電圧検知端子の乗り上げ)が抑制される。測温器の少なくとも一部は、電圧検知端子に接触していてもよいし、電圧検知端子の移動規制の観点から許容し得る程度の隙間をあけて電圧検知端子から離れていてもよい。これにより、例えば、端子収容凹部に収容されている電圧検知端子が板厚方向に意図せず移動してカバーのハウジングへの取り付けが妨げられることを、避けられる。また、測温器の取り付け前に、電圧検知端子が本来の収容位置から板厚方向に移動している場合(例えば、電圧検知端子が端子収容凹部に適正に収容されず、端子収容凹部の周縁部に乗り上げている場合)、測温器のハウジングへの取り付け自体が電圧検知端子によって妨げられることで、電圧検知端子が端子収容凹部に適正に収容されていないことを検知することができる。
【0011】
したがって、本発明に係る電圧検知ユニット及び蓄電装置は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の電圧検知ユニット及び蓄電装置は、ハウジングへ電圧検知端子及びカバーを容易かつ適正に組み付けることができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す電圧検知ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、電圧検知端子をハウジングに収容する際の動作を説明するための斜視図である。
【
図6】
図6は、電圧検知端子及び電線が収容されたハウジングと、カバーと、サーミスタと、を示す上面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すハウジングにサーミスタを取り付ける際の動作を説明するための上面図である。
【
図9】
図9は、
図7に示すハウジングにカバーを取り付ける際の動作を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る電圧検知ユニット105、及び、蓄電装置101について説明する。以下、説明の便宜上、
図1等に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0015】
電圧検知ユニット105は、典型的には、
図1に示す積層型の蓄電装置101に使用される。蓄電装置101は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール102と、隣接する蓄電モジュール102の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール103と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置101では、複数の蓄電モジュール102が導電モジュール103を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール102は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール102全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0016】
導電モジュール103は、
図1に示すように、矩形薄板状の導電板104(なお、導電板104は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板104の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット105と、導電板104の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット106とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。
図1~
図3(特に、
図2参照)に示すように、導電板104と電圧検知ユニット105とは、導電板104の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部104aと、電圧検知ユニット105の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部105aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板104と対向ユニット106とは、導電板104の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部104bと、対向ユニット106の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部106aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0017】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、導電板104は、
図2に示すように、上下の蓄電モジュール102と直接接触している。このため、導電板104は、上側の蓄電モジュール102の下面と下側の蓄電モジュール102の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール102から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0018】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、電圧検知ユニット105は、導電板104に接触する後述する電圧検知端子110(
図2参照)を備える。電圧検知ユニット105は、この電圧検知端子110に接続された電線120(
図1等参照)を介して、上下の蓄電モジュール102の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール102の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、
図1~
図3では電圧検知ユニット105が導電板104の左側に配置されているが、電圧検知ユニット105と同じ機能を有する電圧検知ユニットが、導電板104の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット105と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット105の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット105のミラー品)が使用される。
【0019】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、対向ユニット106としては、蓄電装置101の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0020】
対向ユニット106が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット106として、電圧検知ユニット105の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット105のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット105が導電板104の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット105のミラー品が導電板104の右側に配置される。対向ユニット106(電圧検知ユニット105のミラー品)は、電圧検知ユニット105と同じ機能を果たす。
【0021】
対向ユニット106がダミーユニットである場合、対向ユニット106として、前後方向に延びる凹部106a(
図2参照)を有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット106は、上下の蓄電モジュール102の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0022】
対向ユニット106が温度検知ユニットである場合、対向ユニット106として、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度センサ(図示省略)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット106は、この温度センサに接続された電線107(
図1参照)を介して、上下の蓄電モジュール102の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0023】
以下、本実施形態に係る電圧検知ユニット105の具体的な構成について、
図4~
図10を参照しながら説明する。電圧検知ユニット105は、
図4に示すように、ハウジング140と、ハウジング140に収容される電圧検知端子110と、電圧検知端子110に接続され且つハウジング140に収容される電線120と、ハウジング140に装着されるカバー130と、ハウジング140に装着されるサーミスタ170と、を備える。サーミスタ170は、本発明における「測温器」に相当する。
【0024】
電圧検知端子110は、ハウジング140に形成された後述する端子収容凹部142(
図4参照)に収容され、電線120は、ハウジング140に形成された後述する電線収容凹部146(
図4参照)に収容され、カバー130は、ハウジング140に形成された後述するカバー装着凹部141(
図4参照)に装着され、サーミスタ170は、ハウジング140に形成された後述するサーミスタ装着凹部161(
図4参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット105を構成する各部材について順に説明する。
【0025】
まず、電圧検知端子110について説明する。金属製の電圧検知端子110は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子110は、上方から、ハウジング140の端子収容凹部142に収容される。電圧検知端子110は、
図4及び
図5に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分111と、第1部分111の後端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分112と、第1部分111の前端部から左方に延びる矩形平板状の第3部分113と、を有し、全体として上下方向からみて略クランク状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0026】
第3部分113の先端部113a(即ち、左端側の端部)には、電線120の一端部が電気的に接続されるように固定される。電線120の他端部は、蓄電装置101の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分112の先端部112a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板104のフランジ部104aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(
図3参照)。
【0027】
電圧検知端子110には、第1部分111の後端部から更に後方に延びる延出部114が設けられている。具体的には、延出部114は、第1部分111の後端部から後方へ更に延びる第1延出部114aと、第1延出部114aの延出端から下方(電圧検知端子110の板厚方向)へ延びる第2延出部114bと、からなる。第2延出部114bの下方への延出長さは、電圧検知端子110の板厚より大きい。電圧検知端子110のハウジング140への収容時、延出部114は、サーミスタ装着凹部161に形成された収容凹部162(
図4及び
図8等を参照)に収容されることになる。電圧検知端子110に延出部114を設けたことによる作用については後述する。
【0028】
次いで、カバー130について説明する。カバー130は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング140のカバー装着凹部141に装着される。
図4等に示すように、カバー130は、対向部131と、対向部131から前方に延びる延出部132と、で構成される。対向部131は、主として電圧検知端子110を覆って保護する機能を果たし、延出部132は、主として電線120を覆って保護する機能を果たす。
【0029】
対向部131は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の平板部133と、一対の平板部133の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部134と、で構成される。対向部131は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部133の右端縁は、前方に向かうほど左側に移動する向きに傾斜する階段状(ステップ状)の形状を有している。延出部132は、対向部131を構成する一対の平板部133のうち上側の平板部133の前端縁から面一で連続して前方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0030】
延出部132には、左右方向に延びる一対の電線保持片135が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片135は、延出部132の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部132の右端縁から更に右方に向けて突出している。カバー130のハウジング140への装着時、電線保持片135は、ハウジング140に収容された電線120を保持する機能を果たす。
【0031】
対向部131を構成する一対の平板部133のうち下側の平板部133の所定箇所には、上側の平板部133に向けて上方に突出する係止部136が形成されている(
図10参照)。係止部136は、ハウジング140に設けられた後述する仮被係止部154及び本被係止部155との協働により、カバー130を、仮係止位置(図示省略)と、本係止位置(
図9及び
図10参照)と、に係止する機能を果たす。カバー130の後方の側壁(即ち、一対の平板部133の左右方向に延びる後端縁同士を左右方向に亘って上下方向に連結する側壁)には、後方に向けて突出する突起部137が設けられている。
【0032】
次いで、ハウジング140について説明する。ハウジング140は、樹脂成形品であり、
図1等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング140の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部105aが形成されている。凹部105aには、導電板104のフランジ部104aが嵌合されることになる(
図2参照)。
【0033】
ハウジング140の上下面におけるカバー130が装着される箇所には、カバー130の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部141が形成されている(
図4~
図6参照)。カバー装着凹部141の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー130(対向部131+延出部132)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー130のハウジング140への装着時、ハウジング140の表面とカバー130の表面とは、面一になる(
図1及び
図9参照)。
【0034】
ハウジング140の上側のカバー装着凹部141の底面141aにおける電圧検知端子110が収容される箇所には、電圧検知端子110の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部142が形成されている(
図4及び
図5参照)。端子収容凹部142の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子110の板厚と等しい。よって、電圧検知端子110のハウジング140への装着時、電圧検知端子110の上面と、カバー装着凹部141の底面141aとは、面一になる。
【0035】
ハウジング140の右端縁における、電圧検知端子110の先端部112aが配置される前後方向位置には、上下方向からみて略矩形状に左方に向けて窪む切欠き143が形成されている。ハウジング140の右側端面にて前後方向に延びる凹部105aは、切欠き143によって分断されている。電圧検知端子110のハウジング140への収容時、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、切欠き143によって露出することになる。
【0036】
端子収容凹部142における電圧検知端子110の先端部113aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔144が形成されている(
図4及び
図5参照)。電圧検知端子110のハウジング140への収容時、貫通孔144には、電圧検知端子110に接続された電線120の一端部(接点)が進入する(
図6及び
図7参照)。換言すれば、貫通孔144は、端子収容凹部142の底面142aと電線120の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0037】
ハウジング140の上側のカバー装着凹部141の底面141aにおける電線120が収容される箇所には、電線120が収容される際の電線120の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部146が形成されている(
図4及び
図5参照)。電線収容凹部146は、本例では、前後方向に一直線状に延びる溝部である。電線収容凹部146の後端は、端子収容凹部142と連通し、電線収容凹部146の前端は、ハウジング140の前端縁から電線120が延出する電線引出口149を構成している。
【0038】
電線収容凹部146における前後方向に間隔を空けた2箇所には、それぞれ、電線収容凹部146の他の部分より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部151が設けられている。幅狭凹部151の幅は、電線120の外径より僅かに小さい。このため、電線120を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部151に電線120を挟持することで、ハウジング140から引き出された電線120に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部151と電線120との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子110と電線120との接点に大きな外力が及び難い。
【0039】
ハウジング140の上側のカバー装着凹部141の底面141aにおける、カバー130の一対の電線保持片135が配置される箇所には、
図4及び
図5に示すように、一対の電線保持片135に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部152が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。
【0040】
各電線保持片凹部152は、ハウジング140の上面の左端縁から、電線収容凹部146を横断して、上側のカバー装着凹部141の右端を画成する右端内壁141b(
図4及び
図5参照)まで、左右方向に延びている。上側のカバー装着凹部141の右端内壁141bにおける一対の電線保持片凹部152が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴153が形成されている(
図4及び
図5参照)。カバー130のハウジング140への装着時、一対の格納穴153には、カバー130の一対の電線保持片135の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0041】
ハウジング140の下側のカバー装着凹部141の底面141aには、
図10に示すように、上方に向けて窪む凹部である、仮被係止部154及び本被係止部155が形成されている。仮被係止部154及び本被係止部155は、それぞれ、仮係止位置(図示省略)及び本係止位置(
図9及び
図10参照)にあるカバー130の係止部136が位置する箇所に、設けられている。具体的には、仮被係止部154と本被係止部155とは、本被係止部155が仮被係止部154の右側に位置して左右方向に並ぶように配置されている。
【0042】
ハウジング140の前後方向に延びる左端縁における、サーミスタ170が装着される箇所、即ち、上下のカバー装着凹部141の後側に隣接する箇所には、サーミスタ170(の後述する本体部172)の全体形状に対応する形状を有して上下方向からみて略矩形状に右方に向けて窪む、サーミスタ装着凹部161が形成されている(
図4~
図6参照)。
【0043】
サーミスタ170は、電圧検知端子110の温度を測定する機能を果たす部品であり、左方から、ハウジング140のサーミスタ装着凹部161に装着される。サーミスタ170は、具体的には、
図8に示すように、測温素子を構成するサーミスタ素子171と、サーミスタ素子171を内部に収容する樹脂製の本体部172と、を有する。本体部172は、左右方向に延びる略直方体状の形状を有しており、サーミスタ素子171が収容される内部空間172aを内部に有する(
図8参照)。内部空間172aに収容されたサーミスタ素子171と、内部空間172aを画成する内壁面との間の隙間には、封止材173が充填されている(
図8参照)。本体部172の厚さ(上下方向の長さ)は、サーミスタ装着凹部161の深さ(上下方向の長さ)(=ハウジング140を構成する樹脂材料の板厚)と、等しい。よって、サーミスタ170ハウジング140への装着時、ハウジング140の表面と本体部172の表面とは、面一になる(
図7~
図9参照)。
【0044】
本体部172の内部において、サーミスタ素子171には、電線180の一端部が電気的に接続されるように固定されている。サーミスタ素子171に接続された電線180は、本体部172の左端部から本体部172の外部へ向けて後向きに延出している(
図4及び
図6等参照)。電線180の他端部は、蓄電装置101の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。
【0045】
左右方向に延びる略直方体状の本体部172の右上端部には、前方に向けて突出し且つ左右方向に延びる突出板部174が一体に設けられている(
図4,
図6~
図9参照)。サーミスタ170のハウジング140への装着時、突出板部174は、端子収容凹部142に収容されている電圧検知端子110の延出部114(より具体的には、第1延出部114a)と係合することになる(
図8参照)。本体部172の前後両側外面には、係止部175が設けられている(
図4及び
図6参照)。サーミスタ170のハウジング140への装着時、係止部175は、サーミスタ装着凹部161に設けられた後述する被係止部163に係止されることになる。係止部175は、本例では、本体部172の前後両側の側壁の各々に設けられた左右方向に延びる溝部に設けた窪みで構成されている。本体部172の前方側の側壁には、左右方向に延びる切欠き状の窪み176が設けられている。ハウジング140にカバー130及びサーミスタ170が装着されるとき、窪み176には、カバー130の突起部137が嵌め込まれることになる。
【0046】
サーミスタ装着凹部161の底部(右端部)における前側内壁の上部は、端子収容凹部142の後端と連通しており、当該前側内壁の上部には、収容凹部162が形成されている。収容凹部162は、端子収容凹部142の底面142aの後端縁の後側に隣接し且つ底面142aより下方に窪む溝部である。サーミスタ装着凹部161の前後両側内面には、被係止部163が設けられている。被係止部163は、本例では、サーミスタ装着凹部161の前側内面に隣接して沿うように左右方向に延びる片持ち梁状の係止片と、サーミスタ装着凹部161の後側内面そのものに設けられた左右方向に延びる係止用突条とで、構成されている。前後方向に延びる略矩形薄板状のハウジング140の左側端面におけるサーミスタ装着凹部161より後側の前後方向全領域には、右方に窪み且つ前後方向に延びる凹部164が形成されている(
図4及び
図5参照)。凹部164には、サーミスタ170から延びる電線180が収容されることになる(
図7及び
図9参照)。以上、電圧検知ユニット105を構成する各部材について説明した。
【0047】
次いで、電圧検知端子110、サーミスタ170及びカバー130をハウジング140へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電線120があらかじめ接続された電圧検知端子110を、ハウジング140の端子収容凹部142に収容する。このため、電線120の一端部(接点)が貫通孔144に進入するように、電圧検知端子110が、上方から、ハウジング140の端子収容凹部142に嵌め込まれる(
図5の白矢印を参照)。ここで、電圧検知端子110は、端子収容凹部142に収容された収容位置(
図6に示す電圧検知端子110の位置)と、その収容位置から板厚方向(上下方向)にハウジング140から離れる向きに移動したと仮定した外部位置(
図5に示す電圧検知端子110の位置)まで、の間においてハウジング140(の端子収容凹部142)と干渉しない形状を有する。これにより、電圧検知端子110を端子収容凹部142に収容するとき、電圧検知端子110全体を水平(上下方向に直交する向き)に維持したまま端子収容凹部142に向けて下方に(板厚方向に)直線的に移動させるだけで、電圧検知端子110を端子収容凹部142に収容することができる。
【0048】
電圧検知端子110のハウジング140への収容が完了した状態では、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、切欠き143によって露出している(
図6及び
図7参照)。更に、電圧検知端子110の延出部114の第1延出部114aが収容凹部162の上方開口を塞ぐように、延出部114の第2延出部114bが、サーミスタ装着凹部161の収容凹部162に収容されている(
図8参照)。
【0049】
次いで、ハウジング140に収容された電圧検知端子110から延びる電線120を、ハウジング140の電線収容凹部146に収容する。このため、電線120が、上方から、電線収容凹部146に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部151の上部に位置する電線120の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電線120の一対の部分が一対の幅狭凹部151の内部に収容される。電線120のハウジング140への収容が完了した状態では、電線120は、電線引出口149から前方へ向けてハウジング140の外部に延出している。
【0050】
次いで、サーミスタ170をハウジング140に装着する。このため、本体部172の係止部175がサーミスタ装着凹部161の被係止部163に係止されるように、サーミスタ170の本体部172が、左方から、ハウジング140のサーミスタ装着凹部161に嵌め込まれる(
図7の白矢印を参照)。そして、本体部172の左端部から後向きに延出する電線180は、ハウジング140の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部164(
図4及び
図5参照)に収容され、且つ、凹部164の後端開口を介してハウジング140の外部へ延出される(
図1参照)。
【0051】
サーミスタ170のサーミスタ装着凹部161への装着完了状態では、
図8に示すように、サーミスタ170の本体部172に設けられた突出板部174が、電圧検知端子110の延出部114の第1延出部114aの上側に重なるように、第1延出部114aと係合している。これにより、端子収容凹部142に収容されている電圧検知端子110が上方向(板厚方向)に移動することが規制される。このため、例えば、端子収容凹部142に収容されている電圧検知端子110が上方(板厚方向)に意図せず移動してカバー130のハウジング140への取り付けが妨げられることが、回避される。また、サーミスタ170のハウジング140への取り付け前に、電圧検知端子110が本来の収容位置から上方向(板厚方向)に移動している場合(例えば、電圧検知端子110が端子収容凹部142に適正に収容されず、端子収容凹部142の周縁部に乗り上げている場合)、突出板部174が延出部114の第1延出部114aに干渉して、サーミスタ170のハウジング140への取り付けが電圧検知端子110によって妨げられることで、電圧検知端子110が端子収容凹部142に適正に収容されていないことを検知することができる。なお、本例では、サーミスタ170の突出板部174が電圧検知端子110の第1延出部114aに接触しているが、上記規制の観点から許容し得る程度の隙間をあけて突出板部174と第1延出部114aとが離れていてもよい。
【0052】
更に、サーミスタ170のサーミスタ装着凹部161への装着完了状態では、電圧検知端子110の延出部114の第2延出部114bがサーミスタ170の本体部172の右側に隣接配置されている(
図8参照)。なお、電圧検知端子110の第2延出部114bとサーミスタ170の本体部172とは、接触していてもよいし、後述する伝熱性向上の観点から許容し得る程度の隙間をあけて離れていてもよい。これにより、第2延出部114b(即ち、電圧検知端子110)が有する熱が、本体部172、及び、本体部172の内部空間172aに充填されている封止材173をこの順に介して、本体部172に収容されているサーミスタ素子171に伝達されることで、サーミスタ170は、電圧検知端子110の温度を測定することができる。ここで、電圧検知端子110が有する下方に(電圧検知端子110の板厚方向に)延びる第2延出部114bにサーミスタ170の本体部172が隣り合うことで、単に電圧検知端子110の縁部がサーミスタ170の本体部172に隣り合う場合に比べ、電圧検知端子110から本体部172への伝熱に寄与する範囲の広さ(換言すると、両者の接触面積、又は、両者が接触しなくとも両者が近接配置されている範囲の面積)が大きくなる。これにより、電圧検知端子110の温度(ひいては、積層型の蓄電装置101において、導電板104及び電圧検知端子110を通じて伝達される蓄電モジュール102の温度)を、サーミスタ170が精度良く測定することができる。なお、サーミスタ170には、蓄電モジュール102から導電板104及び電圧検知端子110を介して伝わる熱だけでなく、サーミスタ170を上下方向に挟むように配置される蓄電モジュール102から伝わる熱も、伝達される。
【0053】
次いで、カバー130を、仮係止位置にてハウジング140に係止させることで、ハウジング140に装着する。このため、カバー130の対向部131がハウジング140の上下のカバー装着凹部141を上下に挟むように、且つ、カバー130の延出部132がハウジング140の上側のカバー装着凹部141を覆うように、且つ、カバー130の一対の電線保持片135がハウジング140の一対の電線保持片凹部152を覆うように、カバー130が、右向きに押し込まれる(
図9の白矢印を参照)。カバー130がハウジング140に対して右向きに移動する過程において、カバー130の係止部136は、カバー装着凹部141の底面141a上を摺動する。その後、係止部136が仮被係止部154(
図10参照)の内部に進入して仮被係止部154と係合する。以上により、カバー130が仮係止位置にてハウジング140に係止されて、カバー130のハウジング140への装着が完了し、電圧検知ユニット105(
図1参照)が得られる。なお、カバー130が仮係止位置で係止された状態では、カバー130の上下の右端縁130b(
図4、
図6及び
図7参照)は、ハウジング140の上下の右端内壁141b(
図4~
図7参照)には当接しておらず、右端縁130bと右端内壁141bとの間には、左右方向の隙間が存在している。後述するように、カバー130のハウジング140への装着が完了して(カバー130が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット105は、導電モジュール103(
図1参照)の組み立てに供されることになる。
【0054】
カバー130が仮係止位置に係止された状態では、カバー130の対向部131(より具体的には、上下一対の平板部133の右端部133a(
図4、
図6及び
図7参照))が、電圧検知端子110の先端部112aを覆っていない。このため、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、なおも切欠き143によって露出している。
【0055】
更に、カバー130の一対の電線保持片135が電線収容凹部146の開口上に配置される。これにより、電線120が電線収容凹部146から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片135の延出端部が一対の格納穴153に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片135の位置ズレや一対の電線保持片135が電線収容凹部146から離れるような意図しない変形を抑制できる。
【0056】
以下、仮係止位置に係止されているカバー130を本係止位置(
図9及び
図10参照)に移動する際の手順について説明する。仮係止位置に係止されているカバー130を本係止位置に移動させるためには、仮係止位置に係止されたカバー130が、右向きに押し込まれる(
図9の白矢印を参照)。カバー130がハウジング140に対して右向きに移動する過程において、カバー130の一対の電線保持片135の延出端部が一対の格納穴153内に更に進入して格納されると共に、カバー130の係止部136が仮被係止部154を乗り越え、カバー装着凹部141の底面141a上を摺動する。その後、係止部136が本被係止部155の内部に進入して本被係止部155と係合すると共に、カバー130の上下の右端縁130bがハウジング140の上下の右端内壁141bにそれぞれ当接する。これにより、カバー130が本係止位置にてハウジング140に係止される(
図9及び
図10参照)。
【0057】
カバー130が本係止位置に係止された状態では、
図9に示すように、カバー装着凹部141の全域がカバー130によって隙間なく覆われることで、電線収容凹部146の全体がカバー130の延出部132によって覆われている。これにより、電線収容凹部146から電線120が抜け出すことが抑制される。更に、
図10に示すように、カバー130の対向部131(より具体的には、上下一対の平板部133の右端部133a)が、電圧検知端子110の先端部112aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子110の全体がカバー130の対向部131によって覆われるので、電圧検知端子110が確実に保護され得る。
【0058】
上述したように、カバー130のハウジング140への装着が完了して(カバー130が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット105は、導電モジュール103(
図1参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、
図2に示すように、導電板104のフランジ部104aと電圧検知ユニット105の凹部105aとが嵌合されることで、導電板104の左側に電圧検知ユニット105が連結される。
【0059】
この状態では、
図3から理解できるように、導電板104のフランジ部104aの一部が電圧検知端子110の先端部112aの下側に重なるように配置されており、ハウジング140の切欠143の存在に起因して、電圧検知端子110の先端部112aの上面が上方に露出し、且つ、導電板104のフランジ部104aの一部の下面が下方に露出している。
【0060】
次いで、上方に露出する電圧検知端子110の先端部112aの上面と、下方に露出する導電板104のフランジ部104aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子110の先端部112aと導電板104のフランジ部104aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー130が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット105と導電板104との組み付けが完了する。
【0061】
次いで、導電板104のフランジ部104bと対向ユニット106の凹部106aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット105が組み付けられた導電板104の右側に対向ユニット106が連結される(
図2等参照)。これにより、導電モジュール103の組み立てが完了する。
【0062】
このようにして得られた導電モジュール103は、
図1に示す蓄電装置101の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール102と導電モジュール103とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置101が得られる。
【0063】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る電圧検知ユニット105、及び、電圧検知ユニット105を用いた蓄電装置101によれば、電線120が先端部113aに接続された電圧検知端子110をハウジング140の端子収容凹部142に収容し、電圧検知端子110の先端部112aを露出させた状態でカバー130をハウジング140に係止させることができる。そのため、電圧検知ユニット105を導電板104(積層型の蓄電装置101の導電板104)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニット105を導電板104に組み付けた上で、露出している電圧検知端子110の先端部112aを導電板104に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、導電板104と電圧検知端子110との接続の後、カバー130を本係止位置に配置すれば、電圧検知端子110の先端部112a(即ち、両者の接点)をカバー130で覆って保護することができる。
【0064】
更に、カバー130をハウジング140に取り付けるにあたり、サーミスタ170をハウジング140に取り付けることで、サーミスタ170が電圧検知端子110に係合して、端子収容凹部142に収容されている電圧検知端子110が板厚方向(上方向)に移動することが規制される。これにより、例えば、端子収容凹部142に収容されている電圧検知端子110が板厚方向(上方向)に意図せず移動してカバー130のハウジング140への取り付けが妨げられることが、回避される。また、サーミスタ170の取り付け前に、電圧検知端子110が本来の収容位置から板厚方向(上方向)に移動している場合(例えば、電圧検知端子110が端子収容凹部142に適正に収容されず、端子収容凹部142の周縁部に乗り上げている場合)、サーミスタ170のハウジング140への取り付けが電圧検知端子110によって妨げられることで、電圧検知端子110が端子収容凹部142に適正に収容されていないことを検知することができる。したがって、本実施形態に係る電圧検知ユニット105及び蓄電装置101は、導電板104との導電接続における作業性に優れる。更に、本実施形態に係る電圧検知ユニット105及び蓄電装置101は、ハウジング140へ電圧検知端子110及びカバー130を容易かつ適正に組み付けることができる。
【0065】
更に、本実施形態に係る電圧検知ユニット105によれば、電圧検知端子110が有する板厚方向に延びる第2延出部114bにサーミスタ170の本体部172が隣り合うことで、単に電圧検知端子110の縁部が本体部172に隣り合う場合に比べ、電圧検知端子110から本体部172への伝熱に寄与する範囲の広さ(換言すると、両者の接触面積、又は、両者が接触しなくとも両者が近接配置されている範囲の面積)が大きくなる。これにより、電圧検知端子110の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置101において、導電板104及び電圧検知端子110を通じて伝達される蓄電モジュール102の温度)を、サーミスタ170が精度良く測定することができる。
【0066】
更に、本実施形態に係る電圧検知ユニット105によれば、電圧検知端子110は、端子収容凹部142に収容された収容位置と、その収容位置から板厚方向(上方向)にハウジング140から離れる向きに移動したと仮定した外部位置と、の間においてハウジング140と干渉しない形状を有する。これにより、電圧検知端子110を端子収容凹部142に収容するとき、端子収容凹部142に向けて板厚方向(下方向)に直線的に移動させるだけで、電圧検知端子110を端子収容凹部142に収容することができる。よって、例えば、電圧検知端子110の収容時に電圧検知端子110の縁部をハウジング140の係止穴に引っ掛けるような作業を要する場合に比べ、電圧検知端子110を容易に端子収容凹部142に収容することができる。
【0067】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0068】
ここで、上述した電圧検知ユニット105及び蓄電装置101の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
【0069】
[1]
検知対象(104)に導通接続されることになる第1箇所(112a)を有する電圧検知端子(110)と、
前記電圧検知端子(110)が収容される端子収容凹部(142)を有する板状のハウジング(140)と、
前記端子収容凹部(142)に収容されている前記電圧検知端子(110)の前記第1箇所(112a)を覆わない仮係止位置と、前記第1箇所(112a)を覆う本係止位置と、にて前記ハウジング(140)に係止可能なカバー(130)と、
測温素子(171)が内部に格納され、前記ハウジング(140)に取り付けられる測温器(170)と、
前記電圧検知端子(110)の第2箇所(113a)に導通接続され且つ前記ハウジング(140)の外部に向けて引き出される電線(120)と、
を備える電圧検知ユニット(105)であって、
前記測温器(170)は、
前記端子収容凹部(142)に収容されている前記電圧検知端子(110)が前記ハウジング(140)の板厚方向に移動することを規制するように、前記板厚方向において当該測温器(170)の少なくとも一部が前記電圧検知端子(110)に重なり合うように配置される、
電圧検知ユニット(105)。
【0070】
上記[1]の構成の電圧検知ユニットによれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0071】
更に、カバーをハウジングに取り付ける前に、測温器(例えば、サーミスタ)をハウジングに取り付けることで、測温器の少なくとも一部が板厚方向において電圧検知端子に重なり合って、端子収容凹部に収容されている電圧検知端子が板厚方向に移動すること(いわゆる、電圧検知端子の乗り上げ)が抑制される。測温器の少なくとも一部は、電圧検知端子に接触していてもよいし、電圧検知端子の移動規制の観点から許容し得る程度の隙間をあけて電圧検知端子から離れていてもよい。これにより、例えば、端子収容凹部に収容されている電圧検知端子が板厚方向に意図せず移動してカバーのハウジングへの取り付けが妨げられることを、避けられる。また、測温器の取り付け前に、電圧検知端子が本来の収容位置から板厚方向に移動している場合(例えば、電圧検知端子が端子収容凹部に適正に収容されず、端子収容凹部の周縁部に乗り上げている場合)、測温器のハウジングへの取り付け自体が電圧検知端子によって妨げられることで、電圧検知端子が端子収容凹部に適正に収容されていないことを検知することができる。
【0072】
したがって、本構成の電圧検知ユニットは、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の電圧検知ユニットは、ハウジングへ電圧検知端子及びカバーを容易かつ適正に組み付けることができる。
【0073】
[2]
上記[1]に記載の電圧検知ユニット(105)において、
前記電圧検知端子(110)は、
前記板厚方向に延びる第3箇所(114b)を有し、
前記測温器(170)は、
前記第3箇所(114b)に隣り合うように配置される、
電圧検知ユニット(105)。
【0074】
上記[2]の構成の電圧検知ユニットによれば、電圧検知端子が有する板厚方向に延びる第3箇所に測温器が隣り合うことで、単に電圧検知端子の縁部が測温器に隣り合う場合に比べ、電圧検知端子から測温器への伝熱に寄与する範囲の広さ(換言すると、両者の接触面積、又は、両者が接触しなくとも両者が近接配置されている範囲の面積)が大きくなる。これにより、電圧検知端子の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置において、導電板等の検知対象及び電圧検知端子を通じて伝達される蓄電モジュールの温度)を、測温器が精度良く測定することができる。
【0075】
[3]
上記[1]に記載の電圧検知ユニット(105)において、
前記電圧検知端子(110)は、
前記端子収容凹部(142)に当該電圧検知端子(110)が収容された収容位置と、前記収容位置から前記板厚方向に前記ハウジング(140)から離れる向きに当該電圧検知端子(110)が移動したと仮定した外部位置と、の間において、前記ハウジング(140)と干渉しない形状を有する、
電圧検知ユニット(105)。
【0076】
上記[3]の構成の電圧検知ユニットによれば、電圧検知端子は、端子収容凹部に収容された収容位置と、その収容位置から板厚方向にハウジングから離れる向きに移動したと仮定した外部位置と、の間においてハウジングと干渉しない形状を有する。これにより、電圧検知端子を取り付けるとき、ハウジングの外部から(即ち、外部位置から)端子収容凹部の収容位置に電圧検知端子を板厚方向に直線的に移動させるだけで、電圧検知端子を端子収容凹部に収容することができる。よって、例えば、電圧検知端子の収容時に電圧検知端子の縁部をハウジングの係止穴に引っ掛けるような作業を要する場合に比べ、電圧検知端子を容易に端子収容凹部に収容することができる。
【0077】
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の電圧検知ユニット(105)と、前記電圧検知端子(110)が導通接続される検知対象としての導電板(104)と、を有する板状の導電モジュール(103)と、
前記導電モジュール(103)が積層される充放電可能な蓄電モジュール(102)と、
を備える、蓄電装置(101)。
【0078】
上記[4]の構成の蓄電装置によれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0079】
更に、カバーをハウジングに取り付けるにあたり、測温器をハウジングに取り付けることで、測温器の少なくとも一部が板厚方向において電圧検知端子に重なり合って、端子収容凹部に収容されている電圧検知端子が板厚方向に移動することが規制される。測温器の少なくとも一部は、電圧検知端子に接触していてもよいし、上記規制の点で許容し得る程度の隙間をあけて電圧検知端子から離れていてもよい。これにより、例えば、端子収容凹部に収容されている電圧検知端子が板厚方向に意図せず移動してカバーのハウジングへの取り付けが妨げられることが、回避される。また、測温器の取り付け前に、電圧検知端子が本来の収容位置から板厚方向に移動している場合(例えば、電圧検知端子が端子収容凹部に適正に収容されず、端子収容凹部の周縁部に乗り上げている場合)、測温器のハウジングへの取り付けが電圧検知端子によって妨げられることで、電圧検知端子が端子収容凹部に適正に収容されていないことを検知することができる。
【0080】
したがって、本構成の蓄電装置は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の蓄電装置は、ハウジングへ電圧検知端子及びカバーを容易かつ適正に組み付けることができる。
【符号の説明】
【0081】
101 蓄電装置
102 蓄電モジュール
103 導電モジュール
104 導電板(検知対象)
105 電圧検知ユニット
110 電圧検知端子
112a 先端部(第1箇所)
113a 先端部(第2箇所)
114b 第2延出部(第3箇所)
120 電線
130 カバー
140 ハウジング
142 端子収容凹部
170 サーミスタ(測温器)
171 サーミスタ素子(測温素子)