(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025058464
(43)【公開日】2025-04-09
(54)【発明の名称】回転電機、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20250402BHJP
H02K 1/16 20060101ALI20250402BHJP
【FI】
H02K1/276
H02K1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168412
(22)【出願日】2023-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋衣
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA22
5H601BB20
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD10
5H601DD11
5H601DD25
5H601GA02
5H601GA24
5H601GA28
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H622AA02
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA07
5H622CA10
5H622CA14
5H622CB03
5H622CB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロータが振動することを抑制できる構造を有する回転電機を提供する。
【解決手段】一対の第1フラックスバリア部21a、21bは、一対の第1マグネット収容部51aにおける第1方向の両端部のうち径方向外側に位置する端部にそれぞれ繋がる。一対の第2フラックスバリア部22aは、第2マグネット収容部52に繋がり、かつ、一対の第1フラックスバリア部同士の周方向の間に位置する。ロータコア30の一部を周方向に挟む第1フラックスバリア部と第2フラックスバリア部との周方向の間隔のうち最小の間隔は、ティース部66における周方向の最小の寸法よりも小さく、かつ、スロット部の径方向内側の端部における周方向の寸法よりも大きい。第1フラックスバリア部の周方向の縁部のうち第2フラックスバリア部が位置する側の縁部に設けられた第1縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部が位置する側に位置する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
を備え、
前記ロータは、
ロータコアと、
前記ロータコアに保持された複数のマグネットと、
を有し、
前記ステータは、
前記ロータを囲むコアバック部と、
前記コアバック部から径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置された複数のティース部と、
周方向に隣り合う前記ティース部同士の間にそれぞれ設けられた複数のスロット部と、
を有し、
前記ロータコアは、3つ以上の前記マグネットを保持するマグネット保持部を有し、
前記マグネット保持部は、
周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の第1マグネット収容部と、
前記一対の第1マグネット収容部の径方向外側に位置する第2マグネット収容部と、
一対の第1フラックスバリア部と、
一対の第2フラックスバリア部と、
を有し、
前記複数のマグネットは、
前記一対の第1マグネット収容部内にそれぞれ位置する一対の第1マグネットと、
前記第2マグネット収容部内に位置する第2マグネットと、
を含み、
前記一対の第1マグネット収容部は、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる第1方向に沿って延び、
前記一対の第1フラックスバリア部は、前記一対の第1マグネット収容部における前記第1方向の両端部のうち径方向外側に位置する端部にそれぞれ繋がり、
前記一対の第2フラックスバリア部は、前記第2マグネット収容部に繋がり、かつ、前記一対の第1フラックスバリア部同士の周方向の間に位置し、
前記一対の第2フラックスバリア部のそれぞれは、前記一対の第1フラックスバリア部のそれぞれとの間で前記ロータコアの一部を周方向に挟んで配置され、
前記ロータコアの一部を周方向に挟む前記第1フラックスバリア部と前記第2フラックスバリア部との周方向の間隔のうち最小の間隔は、前記ティース部における周方向の最小の寸法よりも小さく、かつ、前記スロット部の径方向内側の端部における周方向の寸法よりも大きく、
前記第1フラックスバリア部の周方向の縁部のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側の縁部は、第1縁部を有し、
前記第1縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側に位置する、回転電機。
【請求項2】
前記ティース部は、
前記コアバック部から径方向内側に延びるティース本体部と、
前記ティース本体部の径方向内側の端部に繋がり、前記ティース本体部の径方向内側の端部よりも周方向両側に突出するアンブレラ部と、
を有し、
前記最小の間隔は、周方向に隣り合う前記ティース部の前記アンブレラ部同士の間の周方向の間隔よりも大きい、請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記第1フラックスバリア部の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って大きくなる、請求項1に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1フラックスバリア部は、軸方向に見て、前記第2フラックスバリア部に向かって突出する突出部を有する、請求項1に記載の回転電機。
【請求項5】
前記第1フラックスバリア部の周方向の縁部のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側と逆側の縁部は、第2縁部を有し、
前記第2縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側と逆側に位置する、請求項1に記載の回転電機。
【請求項6】
前記第2縁部は、前記第1方向に沿って径方向外側に向かうに従って、前記第1方向および軸方向の両方と直交する方向のうち前記第2フラックスバリア部から周方向に離れる側に位置する、請求項5に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第2フラックスバリア部の周方向の寸法は、前記最小の間隔よりも大きい、請求項1に記載の回転電機。
【請求項8】
前記マグネット保持部は、前記一対の第1マグネット収容部における前記第1方向の両端部のうち径方向内側に位置する端部にそれぞれ繋がる一対の第3フラックスバリア部を有し、
前記第1マグネットは、前記第1方向および軸方向の両方と直交する第2方向を向く第1面と、前記第1方向を向く面のうち径方向内側に位置する第2面とが互いに繋がる角部を有し、
前記第3フラックスバリア部は、前記第1面に繋がる第1部分と前記第2面に繋がる第2部分とを有し、前記角部に繋がる、請求項1に記載の回転電機。
【請求項9】
前記第1マグネット収容部は、前記第1マグネットを前記第1方向に支持する支持部を有し、
前記支持部の前記第2方向の一端部は、前記第2部分に繋がり、
前記第1部分の外縁部は、軸方向に見て円弧状の第1円弧部を有し、
前記第2部分の外縁部は、軸方向に見て円弧状の第2円弧部を有し、
前記第1円弧部の曲率半径は、前記第2円弧部の曲率半径よりも大きい、請求項8に記載の回転電機。
【請求項10】
前記マグネット保持部は、周方向に並んで複数設けられ、
前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、軸方向に見て、周方向に隣り合う前記マグネット保持部同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる第1仮想線と重なる位置に設けられ、
前記貫通孔は、前記第1マグネット収容部との間で前記ロータコアの一部を挟んで配置された第3縁部を有し、
前記第3縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向において前記第1仮想線に近づく、請求項1に記載の回転電機。
【請求項11】
前記第1方向および軸方向の両方と直交する方向における前記第3縁部と前記第1マグネット収容部との間の距離は、径方向外側に向かうに従って小さくなる、請求項10に記載の回転電機。
【請求項12】
軸方向に見て、前記第1方向における前記第1マグネットの中心を通り前記第1方向と直交する方向に延びる第2仮想線は、前記貫通孔と重なり、
前記貫通孔は、前記第1マグネットの前記第1方向の両端部のうち径方向外側の端部よりも径方向内側に位置する、請求項10に記載の回転電機。
【請求項13】
前記第2マグネット収容部は、軸方向に見て、前記マグネット保持部の周方向の中心を通る径方向と直交する方向に延び、
前記一対の第2フラックスバリア部は、前記第2マグネット収容部の周方向の両端部にそれぞれ繋がる、請求項1から12のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項14】
前記マグネット保持部は、周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の前記第2マグネット収容部を有し、
前記一対の第2マグネット収容部は、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、
前記一対の第2フラックスバリア部は、前記一対の第2マグネット収容部の径方向外側の端部にそれぞれ繋がる、請求項1から12のいずれか一項に記載の回転電機。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の回転電機と、
前記回転電機に接続されたギヤ機構と、
を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、V字状に配置された対をなす永久磁石と当該永久磁石の外周側に配置された中央磁石とを備える回転電機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような回転電機においては、ロータとステータとの間を流れる磁束に高次の磁束成分が含まれることなどに起因してトルクリップルが増大し、ロータの振動が増大する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ロータが振動することを抑制できる構造を有する回転電機、および駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回転電機の一つの態様は、中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える。前記ロータは、ロータコアと、前記ロータコアに保持された複数のマグネットと、を有する。前記ステータは、前記ロータを囲むコアバック部と、前記コアバック部から径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置された複数のティース部と、周方向に隣り合う前記ティース部同士の間にそれぞれ設けられた複数のスロット部と、を有する。前記ロータコアは、3つ以上の前記マグネットを保持するマグネット保持部を有する。前記マグネット保持部は、周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の第1マグネット収容部と、前記一対の第1マグネット収容部の径方向外側に位置する第2マグネット収容部と、一対の第1フラックスバリア部と、一対の第2フラックスバリア部と、を有する。前記複数のマグネットは、前記一対の第1マグネット収容部内にそれぞれ位置する一対の第1マグネットと、前記第2マグネット収容部内に位置する第2マグネットと、を含む。前記一対の第1マグネット収容部は、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる第1方向に沿って延びている。前記一対の第1フラックスバリア部は、前記一対の第1マグネット収容部における前記第1方向の両端部のうち径方向外側に位置する端部にそれぞれ繋がる。前記一対の第2フラックスバリア部は、前記第2マグネット収容部に繋がり、かつ、前記一対の第1フラックスバリア部同士の周方向の間に位置する。前記一対の第2フラックスバリア部のそれぞれは、前記一対の第1フラックスバリア部のそれぞれとの間で前記ロータコアの一部を周方向に挟んで配置されている。前記ロータコアの一部を周方向に挟む前記第1フラックスバリア部と前記第2フラックスバリア部との周方向の間隔のうち最小の間隔は、前記ティース部における周方向の最小の寸法よりも小さく、かつ、前記スロット部の径方向内側の端部における周方向の寸法よりも大きい。前記第1フラックスバリア部の周方向の縁部のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側の縁部は、第1縁部を有する。前記第1縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側に位置する。
【0007】
本発明の駆動装置の一つの態様は、上記の回転電機と、前記回転電機に接続されたギヤ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、回転電機および駆動装置において、ロータが振動することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態における駆動装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における回転電機を示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における回転電機の一部を示す断面図であって、
図2の一部を示す部分拡大図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における回転電機の一部を示す断面図であって、
図3の一部を示す部分拡大図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態における回転電機の一部を示す断面図であって、
図3の他の一部を示す部分拡大図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態におけるロータの一部を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態におけるロータの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向である。Z軸の矢印が向く側(+Z側)は、上側であり、Z軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)は、下側である。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、以下の実施形態における駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、X軸の矢印が向く側(+X側)は、車両における前側であり、X軸の矢印が向く側と逆側(-X側)は、車両における後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、Y軸の矢印が向く側(+Y側)は、車両における左側であり、Y軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)は、車両における右側である。
【0011】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両における右側であり、-Y側は、車両における左側である。また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0012】
適宜図に示す中心軸線Jは、上下方向と交差する方向に延びる仮想軸線である。より詳細には、中心軸線Jは、上下方向と直交するY軸方向、つまり車両の左右方向に延びている。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸線Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸線Jを中心とする周方向、つまり中心軸線Jの軸回りを「周方向」と呼ぶ。周方向は、図において適宜、矢印θで示している。以下の説明においては、軸方向のうち左側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼び、軸方向のうち右側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。上下方向は、例えば、鉛直方向であり、前後方向および左右方向(軸方向)は、例えば、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸73を回転させる駆動装置である。駆動装置100が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などのモータを動力源とする車両である。
図1に示すように、駆動装置100は、回転電機60と、回転電機60に接続されたギヤ機構70と、回転電機60およびギヤ機構70を内部に収容するハウジング80と、回転電機60を制御する制御装置83と、を備える。本実施形態において回転電機60は、モータである。
【0014】
ハウジング80は、回転電機60を内部に収容するモータハウジング81と、ギヤ機構70を内部に収容するギヤハウジング82と、を有する。本実施形態においてモータハウジング81の内部およびギヤハウジング82の内部には、オイルOが収容されている。
【0015】
ギヤ機構70は、回転電機60の回転を車両の車軸73に伝達する。ギヤ機構70は、回転電機60に接続された減速装置71と、減速装置71に接続された差動装置72と、を有する。差動装置72には、車軸73が接続されている。
【0016】
回転電機60は、中心軸線Jを中心として回転可能なロータ10と、ロータ10と隙間を介して対向するステータ61と、を備える。ステータ61は、ロータ10の径方向外側に位置する。ステータ61は、ステータコア62と、ステータコア62に取り付けられた複数のコイル63と、を有する。ステータコア62は、例えば、中心軸線J1回りに螺旋状に延びる板部材によって構成されるスパイラルコアである。当該板部材は、例えば、電磁鋼板である。ステータコア62は、電磁鋼板などの板部材が軸方向に複数積層されて構成されていてもよい。
【0017】
図2に示すように、ステータコア62は、ロータ10を囲むコアバック部64と、コアバック部64から径方向内側に延びる複数のティース部65と、を有する。つまり、ステータ61は、コアバック部64と、複数のティース部65と、を有する。本実施形態においてコアバック部64は、中心軸線Jを中心とする円環状である。複数のティース部65は、周方向に間隔を空けて配置されている。複数のティース部65は、周方向の一周に亘って等間隔に配置されている。
図3に示すように、複数のティース部65には、複数のコイル63がそれぞれ取り付けられている。ティース部65は、ティース本体部66と、アンブレラ部67と、を有する。
【0018】
ティース本体部66は、コアバック部64から径方向内側に延びている。本実施形態においてティース本体部66は、径方向に直線状に延びている。ティース本体部66の周方向の寸法は、径方向内側に向かうに従って小さくなる。本実施形態においてティース本体部66の径方向内側の端部における周方向の寸法は、ティース部65における周方向の最小の寸法である。各ティース本体部66には、各コイル63が巻き回されて取り付けられている。
【0019】
図4に示すように、アンブレラ部67は、ティース本体部66の径方向内側の端部に繋がっている。アンブレラ部67は、ティース本体部66の径方向内側の端部よりも周方向両側に突出する。アンブレラ部67の周方向の寸法は、ティース本体部66の周方向の寸法よりも大きい。アンブレラ部67は、ティース本体部66の径方向内側の端部よりも周方向両側に突出する。
【0020】
図3に示すように、ステータ61は、周方向に隣り合うティース部65同士の間にそれぞれ設けられた複数のスロット部68を有する。スロット部68の内部には、ティース部65に取り付けられたコイル63の一部が位置する。より詳細には、1つのスロット部68の内部には、周方向に隣り合うティース部65にそれぞれ取り付けられたコイル63の一部が位置する。スロット部68の周方向の寸法は、周方向に隣り合うティース部65同士の間の周方向の距離に相当する。
【0021】
スロット部68は、周方向に隣り合うティース部65におけるティース本体部66同士の間に設けられた部分と、周方向に隣り合うティース部65におけるアンブレラ部67同士の間に設けられた部分と、を有する。スロット部68のうち周方向に隣り合うティース本体部66同士の間に設けられた部分における周方向の寸法は、径方向の全体に亘ってほぼ同じである。スロット部68のうち周方向に隣り合うアンブレラ部67同士の間に設けられた部分における周方向の寸法は、スロット部68のうち周方向に隣り合うティース本体部66同士の間に設けられた部分における周方向の寸法よりも小さい。本実施形態においてスロット部68のうち周方向に隣り合うアンブレラ部67同士の間に設けられた部分は、スロット部68の径方向内側の端部である。本実施形態においてスロット部68の径方向内側の端部における周方向の寸法は、スロット部68における周方向の最小の寸法である。
【0022】
図2に示すように、ロータ10は、シャフト20と、ロータコア30と、ロータコア30に保持された複数のマグネット40と、を有する。
図1に示すように、シャフト20は、中心軸線Jを中心として軸方向に延びている。シャフト20の軸方向一方側(+Y側)の端部には、減速装置71が接続されている。
【0023】
ロータコア30は、シャフト20の外周面に固定されている。
図2に示すように、ロータコア30は、中心軸線Jを中心とする略円柱状である。ロータコア30は、ロータコア30を軸方向に貫通する中央孔32を有する。中央孔32は、軸方向に見て、中心軸線Jを中心とする円形状である。中央孔32には、シャフト20が軸方向に通されている。中央孔32の内周面は、シャフト20の外周面に固定されている。
【0024】
ロータコア30は、磁性体製である。図示は省略するが、ロータコア30は、複数の板部材が軸方向に積層されて構成されている。ロータコア30を構成する複数の板部材は、例えば、電磁鋼板である。
図1に示すように、ロータコア30は、例えば、軸方向に並ぶ複数のコアピース部36が連結されて構成されている。コアピース部36のそれぞれは、電磁鋼板などの複数の板部材が軸方向に積層されて構成されている。
【0025】
図2に示すように、ロータコア30は、マグネット保持部31を有する。マグネット保持部31は、ロータコア30のうち径方向外側部分に設けられている。本実施形態においてマグネット保持部31は、周方向に並んで複数設けられている。複数のマグネット保持部31は、周方向の一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において、周方向に並ぶ複数のマグネット保持部31は、ロータコア30を構成するコアピース部36ごとに設けられている。マグネット保持部31は、コアピース部36ごとに8つずつ設けられている。
【0026】
マグネット保持部31は、3つ以上のマグネット40を保持する。本実施形態においてマグネット保持部31には、一対の第1マグネット41a,41bと、1つの第2マグネット42との3つのマグネット40が保持されている。1つのマグネット保持部31と、1つのマグネット保持部31に保持された3つのマグネット40と、によって磁極部10Pが構成されている。磁極部10Pは、周方向に並んで複数設けられている。複数の磁極部10Pは、周方向の一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において周方向に並ぶ複数の磁極部10Pは、ロータコア30を構成するコアピース部36ごとに設けられている。磁極部10Pは、コアピース部36ごとに8つずつ設けられている。軸方向に隣り合うコアピース部36において各磁極部10Pの周方向の位置は、例えば、互いにずれている。なお、軸方向に隣り合うコアピース部36において各磁極部10Pの周方向の位置は、互いに同じであってもよい。
【0027】
複数の磁極部10Pは、ロータコア30の外周面における磁極がN極の磁極部10Nと、ロータコア30の外周面における磁極がS極の磁極部10Sと、を複数ずつ含む。本実施形態において磁極部10Nと磁極部10Sとは、4つずつ設けられている。4つの磁極部10Nと4つの磁極部10Sとは、周方向に沿って交互に配置されている。
【0028】
図3に示すように、各磁極部10Pにおけるマグネット保持部31は、一対の第1マグネット収容部51a,51bと、第2マグネット収容部52と、一対の第1フラックスバリア部21a,21bと、一対の第2フラックスバリア部22a,22bと、一対の第3フラックスバリア部23a,23bと、をそれぞれ有する。本実施形態において、一対の第1マグネット収容部51a,51b、第2マグネット収容部52、一対の第1フラックスバリア部21a,21b、および一対の第2フラックスバリア部22a,22bは、それぞれ、コアピース部36を軸方向に貫通する穴部が設けられることによって作られている。
【0029】
一対の第1マグネット収容部51a,51bは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。各磁極部10Pにおいて、第1マグネット収容部51aと第1マグネット収容部51bとは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで配置されている。磁極中心線Ldは、磁極部10Pの周方向の中心を通り径方向に延びる仮想線である。磁極中心線Ldは、軸方向に見て、中心軸線Jを通る。本実施形態において磁極部10Pの周方向の中心は、マグネット保持部31の周方向の中心と周方向において同じ位置にある。磁極中心線Ldは、軸方向に見て、マグネット保持部31の周方向の中心を通る。磁極中心線Ldは、磁極部10Pごとに設けられる。磁極中心線Ldは、軸方向に見て、ロータ10のd軸上を通っている。磁極中心線Ldが延びる方向は、ロータ10のd軸方向である。
【0030】
以下の説明においては、各磁極部10Pにおいて、周方向のうち磁極中心線Ldに近づく側を「周方向内側」と呼び、周方向のうち磁極中心線Ldから遠ざかる側を「周方向外側」と呼ぶ。各磁極部10Pのうち磁極中心線Ldよりも矢印θが向く側(+θ側)に位置する部分においては、矢印θが向く側が周方向外側であり、矢印θが向く側と逆側(-θ側)が周方向内側である。各磁極部10Pのうち磁極中心線Ldよりも矢印θが向く側と逆側に位置する部分においては、矢印θが向く側が周方向内側であり、矢印θが向く側と逆側が周方向外側である。
【0031】
一対の第1マグネット収容部51a,51bは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に沿って延びている。つまり、第1マグネット収容部51aと第1マグネット収容部51bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなる。一対の第1マグネット収容部51a,51bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。本実施形態において一対の第1マグネット収容部51a,51bは、軸方向に見て、略長方形状である。第1マグネット収容部51aと第1マグネット収容部51bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として互いに線対称に配置されている。以下の説明においては、第1マグネット収容部51bの説明を省略する場合がある。
【0032】
軸方向に見て第1マグネット収容部51aが延びる方向を「第1方向D1a」と呼び、軸方向に見て第1マグネット収容部51bが延びる方向を「第1方向D1b」と呼ぶ。第1方向D1a,D1bは、軸方向と直交し、かつ、径方向に対して周方向に斜めに傾く方向である。第1方向D1a,D1bは、径方向外側に向かうに従って周方向外側に位置する方向である。第1方向D1aおよび第1方向D1bは、図において適宜、矢印で示している。第1方向D1a,D1bを示す各矢印は、径方向外側かつ周方向外側を向いている。第1方向D1a,D1bのうち矢印が向く側(+D1a側,+D1b側)を「第1方向外側」と呼び、第1方向D1a,D1bのうち矢印が向く側と逆側(-D1a側,-D1b側)を「第1方向内側」と呼ぶ。
【0033】
第1方向D1aおよび軸方向の両方と直交する方向を「第2方向D2a」と呼び、第1方向D1bおよび軸方向の両方と直交する方向を「第2方向D2b」と呼ぶ。第2方向D2a,D2bは、周方向外側に向かうに従って径方向内側に位置する方向である。第2方向D2aおよび第2方向D2bは、図において適宜、矢印で示している。第2方向D2a,D2bを示す各矢印は、周方向外側かつ径方向内側を向いている。第2方向D2a,D2bのうち矢印が向く側(+D2a側,+D2b側)を「第2方向外側」と呼び、第2方向D2a,D2bのうち矢印が向く側と逆側(-D2a側,-D2b側)を「第2方向内側」と呼ぶ。
【0034】
なお、本明細書において「軸方向に見てマグネット収容部が延びる方向」とは、例えば本実施形態の第1マグネット収容部51a,51bのようにマグネット収容部が軸方向に見て略長方形状の場合、略長方形状のマグネット収容部の長辺が延びる方向である。つまり、本実施形態において「軸方向に見て第1マグネット収容部51aが延びる方向」とは、軸方向に見て略長方形状の第1マグネット収容部51aの長辺が延びる方向である。
【0035】
一対の第1マグネット収容部51a,51b内には、一対の第1マグネット41a,41bがそれぞれ位置する。各第1マグネット41a,41bは、各第1マグネット収容部51a,51b内に固定されている。各第1マグネット41a,41bの各第1マグネット収容部51a,51b内への固定方法は、特に限定されない。各第1マグネット41a,41bは、ロータコア30の一部がカシメられることによって各第1マグネット収容部51a,51b内に固定されてもよい。各第1マグネット41a,41bは、各第1マグネット収容部51a,51b内のうち第1マグネット41a,41bが配置された部分以外の部分に充填された樹脂によって各第1マグネット収容部51a,51b内に固定されていてもよい。各第1マグネット41a,41bは、各第1マグネット収容部51a,51b内のうち第1マグネット41a,41bが配置された部分以外の部分に配置された発泡シートによって各第1マグネット収容部51a,51b内に固定されていてもよい。
【0036】
一対の第1マグネット41a,41bの種類は、特に限定されない。一対の第1マグネット41a,41bは、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。第1マグネット41a,41bは、例えば、略直方体状である。第1マグネット41a,41bは、例えば、コアピース部36の軸方向一端部から軸方向他端部まで延びている。
【0037】
一対の第1マグネット41a,41bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。つまり、一対の第1マグネット41a,41bのそれぞれは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる第1方向D1a,D1bに延びている。一対の第1マグネット41a,41bは、軸方向に見て、第1方向D1a,D1bに延びる略長方形状である。
【0038】
一対の第1マグネット41a,41bは、磁極中心線Ld、すなわち磁極部10Pの周方向の中心を周方向に挟んで配置されている。第1マグネット41aと第1マグネット41bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として互いに線対称に配置されている。以下の説明においては、第1マグネット41bの説明を省略する場合がある。
【0039】
第1マグネット41aは、第2方向D2aに沿ってN極とS極とを有する。磁極部10Nにおいて、第1マグネット41aは、第2方向内側(-D2a側)にN極を有し、第2方向外側(+D2a側)にS極を有する。磁極部10Sにおいて、第1マグネット41aは、第2方向内側にS極を有し、第2方向外側にN極を有する。
【0040】
図5に示すように、第1マグネット41aは、第1面44aと、第2面44bと、角部43と、を有する。第1面44aは、第1方向D1aおよび軸方向の両方と直交する第2方向D2aを向く面である。第1面44aは、第2方向D2aと直交する面である。本実施形態において第1面44aは、第2方向内側(-D2a側)を向く。第2面44bは、第1方向D1aを向く面のうち径方向内側に位置する面である。第2面44bは、第1方向内側(-D1a側)を向く。第2面44bは、第1方向D1aと直交する面である。第2面44bにおける第2方向内側の端部は、第1面44aにおける第1方向内側の端部と繋がる。角部43は、第1面44aと第2面44bとが互いに繋がる角部である。角部43は、軸方向に見て略長方形状の第1マグネット41aの4つの角部のうち、第1方向内側、かつ、第2方向内側に位置する角部である。
【0041】
図4に示すように、第1マグネット41aは、第3面44cと、角部45と、を有する。第3面44cは、第1方向D1aを向く面のうち径方向外側に位置する面である。第3面44cは、第1方向外側(+D1a側)を向く。第3面44cは、第1方向D1aと直交する面である。第3面44cにおける第2方向内側(-D2a側)の端部は、第1面44aにおける第1方向外側の端部と繋がる。角部45は、第1面44aと第3面44cとが互いに繋がる角部である。角部45は、軸方向に見て略長方形状の第1マグネット41aの4つの角部のうち、第1方向外側、かつ、第2方向内側に位置する角部である。
【0042】
図3に示すように、第1マグネット収容部51aは、第1マグネット41aを第1方向D1aに支持する一対の支持部53a,53bを有する。一対の支持部53a,53bは、第1マグネット41aを第1方向D1aに挟んで支持している。一対の支持部53a,53bによって、第1マグネット41aは、第1マグネット収容部51a内において第1方向D1aに位置決めされている。支持部53aは、第1マグネット収容部51aのうち第1方向外側(+D1a側)の縁部における第2方向外側(+D2a側)の部分である。支持部53bは、第1マグネット収容部51aのうち第1方向内側(-D1a側)の縁部における第2方向外側の部分である。
【0043】
第1マグネット収容部51a内において、第1マグネット41aは、第1マグネット収容部51aの内面のうち第2方向内側(-D2a側)に位置する面に接触している。これにより、第1マグネット41aは、第1マグネット収容部51a内において第2方向D2aに位置決めされている。第1マグネット収容部51aの内面のうち第2方向外側(+D2a側)に位置する面と第1マグネット41aとの第2方向D2aの間には隙間が設けられている。当該隙間には、例えば、第1マグネット41aを第1マグネット収容部51a内に固定する樹脂または発砲シートなどが設けられてもよい。
【0044】
第2マグネット収容部52は、一対の第1マグネット収容部51a,51bの径方向外側に位置する。第2マグネット収容部52は、ロータコア30の径方向外縁部に設けられている。本実施形態において第2マグネット収容部52は、軸方向に見て、マグネット保持部31の周方向の中心を通る径方向と直交する方向に延びている。第2マグネット収容部52は、軸方向に見て、磁極中心線Ldと直交する方向に直線状に延びる略長方形状である。第2マグネット収容部52は、一対の第1フラックスバリア部21a,21b同士の周方向の間に位置する。第2マグネット収容部52は、軸方向に見て、磁極中心線Ldと重なる位置に配置されている。本実施形態において第2マグネット収容部52は、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として線対称な形状である。
【0045】
第2マグネット収容部52内には、第2マグネット42が位置する。第2マグネット42は、第2マグネット収容部52内に固定されている。第2マグネット42の第2マグネット収容部52内への固定方法は、特に限定されない。第2マグネット42の第2マグネット収容部52内への固定方法としては、例えば、第1マグネット41a,41bの第1マグネット収容部51a,51b内への固定方法として例示した方法と同様の方法が挙げられる。第2マグネット42の種類は、特に限定されない。第2マグネット42は、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。第2マグネット42は、例えば、略直方体状である。第2マグネット42は、例えば、コアピース部36の軸方向一端部から軸方向他端部まで延びている。
【0046】
第2マグネット42は、軸方向に見て、磁極中心線Ldと直交する方向に延びる略長方形状である。本実施形態において第2マグネット42の径方向の寸法は、一対の第1マグネット41a,41bの第2方向D2a,D2bの寸法と同じである。第2マグネット42の径方向の寸法は、一対の第1マグネット41a,41bの第2方向D2a,D2bの寸法と異なっていてもよい。
【0047】
第2マグネット42は、径方向に沿ってN極とS極とを有する。磁極部10Nにおいて、第2マグネット42は、径方向外側にN極を有し、径方向内側にS極を有する。磁極部10Sにおいて、第2マグネット42は、径方向外側にS極を有し、径方向内側にN極を有する。
【0048】
各磁極部10Pにおいて、一対の第1マグネット収容部51a,51bと1つの第2マグネット収容部52とは、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。各磁極部10Pにおいて、一対の第1マグネット41a,41bと1つの第2マグネット42とは、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。各磁極部10Pにおいて、軸方向に見て3つのマグネット40が∇形状に沿って配置されることによって、ロータ10とステータ61との間で磁束を好適に流すことができる。
【0049】
本実施形態において一対の第1フラックスバリア部21a,21b、一対の第2フラックスバリア部22a,22b、および一対の第3フラックスバリア部23a,23bを構成する穴部の内部は、例えば、空洞部である。なお、各フラックスバリア部を構成する穴部の内部には、樹脂などの非磁性体が充填されていてもよく、各穴部と各穴部に充填された樹脂などの非磁性体とによって各フラックスバリア部が構成されてもよい。なお、本明細書において「フラックスバリア部」とは、磁束の流れを抑制できる部分である。つまり、各フラックスバリア部には、磁束が通りにくい。各フラックスバリア部を構成する穴部には、オイルOが流されてもよい。
【0050】
一対の第1フラックスバリア部21a,21bは、ロータコア30の径方向外縁部に位置する。一対の第1フラックスバリア部21a,21bは、ロータコア30の径方向外側面から径方向内側に離れて設けられている。一対の第1フラックスバリア部21a,21bは、一対の第1マグネット収容部51a,51bにおける第1方向D1a,D1bの両端部のうち径方向外側に位置する端部、すなわち第1方向外側の端部にそれぞれ繋がる。第1フラックスバリア部21aは、第1マグネット収容部51aの第1方向外側(+D1a側)に位置する。第1フラックスバリア部21bは、第1マグネット収容部51bの第1方向外側(+D1b側)に位置する。
【0051】
一対の第1フラックスバリア部21a,21bは、周方向に間隔を空けて配置されている。一対の第1フラックスバリア部21a,21bは、第2マグネット収容部52、第2マグネット42、および一対の第2フラックスバリア部22a,22bを周方向に挟んで配置されている。一対の第1フラックスバリア部21a,21bのそれぞれは、一対の第2フラックスバリア部22a,22bのそれぞれと周方向に間隔を空けて対向して配置されている。一対の第1フラックスバリア部21a,21bは、一対の第2フラックスバリア部22a,22bの周方向外側にそれぞれ位置する。第1フラックスバリア部21aと第1フラックスバリア部21bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として互いに線対称に配置されている。以下の説明においては、第1フラックスバリア部21bの説明を省略する場合がある。
【0052】
図4に示すように、第1フラックスバリア部21aの周方向の縁部のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側の縁部、すなわち周方向内側(-θ側)の縁部は、第1縁部24aを有する。第1縁部24aは、第1フラックスバリア部21aの周方向内側の縁部のうち径方向内側の部分である。第1縁部24aは、第1マグネット収容部51aから径方向外側に延びている。第1縁部24aは、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側、すなわち周方向内側に位置する。
図4に示す仮想線L1は、軸方向に見て、第1縁部24aの径方向内側の端部および中心軸線Jを通り径方向に延びる仮想線である。第1縁部24aは、径方向外側に向かうに従って仮想線L1から周方向内側に離れる。第1縁部24aは、第1方向外側(+D1a側)に向かうに従って第2方向内側(-D2a側)に位置する。第1縁部24aは、第1マグネット収容部51aよりも第2方向内側に位置する。本実施形態において第1縁部24aは、軸方向に見て、径方向に対して周方向に傾いた方向に直線状に延びている。本実施形態において第1縁部24aの径方向内側の端部は、軸方向に見て、第1マグネット41aにおける第2方向内側の面に繋がる。
【0053】
第1フラックスバリア部21aの周方向の縁部のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側と逆側の縁部、すなわち周方向外側(+θ側)の縁部は、第2縁部24bを有する。第2縁部24bは、接続部24dを介して、第1マグネット収容部51aと繋がる。より詳細には、第2縁部24bの径方向内側の端部が、接続部24dを介して、支持部53aにおける第2方向内側(-D2a側)の端部に繋がる。接続部24dは、第1フラックスバリア部21aの周方向外側の縁部の一部である。接続部24dは、軸方向に見て、周方向内側(-θ側)に凸となる円弧状である。
【0054】
第2縁部24bは、接続部24dから径方向外側に延びている。第2縁部24bは、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側と逆側、すなわち周方向外側(+θ側)に位置する。第2縁部24bは、第1方向外側(+D1a側)に向かうに従って、第2方向外側(+D2a側)に位置する。言い換えれば、第2縁部24bは、第1方向に沿って径方向外側(+D1a側)に向かうに従って、第2方向D2aのうち第2フラックスバリア部22aから周方向に離れる側(+D2a側)に位置する。本実施形態において第2縁部24bは、軸方向に見て、径方向に対して周方向に傾いた方向に直線状に延びている。本実施形態において、第2縁部24bの径方向内側の端部を通る径方向に対する第2縁部24bの傾きは、第1縁部24aの径方向内側の端部を通る径方向に対する第1縁部24aの傾きよりも大きい。第2縁部24bは、第1縁部24aと第1フラックスバリア部21aの内部を挟んで周方向に対向している。
【0055】
第1フラックスバリア部21aは、径方向外縁部24cを有する。径方向外縁部24cは、第1フラックスバリア部21aの径方向外側の縁部である。径方向外縁部24cは、軸方向に見て、周方向に延びている。径方向外縁部24cの周方向内側(-θ側)の端部は、接続部24eを介して、第1縁部24aの径方向外側の端部に繋がる。接続部24eは、軸方向に見て、第2方向内側(-D2a側)に凸となる円弧状である。径方向外縁部24cの周方向外側(+θ側)の端部は、接続部24fを介して、第2縁部24bの径方向外側の端部に繋がる。接続部24fは、軸方向に見て、周方向外側に凸となる円弧状である。径方向外縁部24cは、ロータコア30の外周面から径方向内側に離れて配置されている。
【0056】
本実施形態において第1フラックスバリア部21aの周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って大きくなる。そのため、第1縁部24aを、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側に位置する形状としやすい。また、第2縁部24bを、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側と逆側に位置する形状としやすい。第1フラックスバリア部21aは、第1面44aに繋がる部分と、第3面44cに繋がる部分とを有し、角部45に繋がる。
【0057】
図3に示すように、一対の第2フラックスバリア部22a,22bは、第2マグネット収容部52に繋がる。本実施形態において一対の第2フラックスバリア部22a,22bは、第2マグネット収容部52の周方向の両端部にそれぞれ繋がる。一対の第2フラックスバリア部22a,22bは、軸方向に見て、第2マグネット収容部52の周方向の各端部から周方向外側に突出する。一対の第2フラックスバリア部22a,22bの周方向外側の縁部は、軸方向に見て、周方向外側に凸となる円弧状である。
【0058】
一対の第2フラックスバリア部22a,22bは、一対の第1フラックスバリア部21a,21b同士の周方向の間に位置する。一対の第2フラックスバリア部22a,22bは、互いに周方向に間隔を空けて配置されている。一対の第2フラックスバリア部22a,22bのそれぞれは、一対の第1フラックスバリア部21a,21bのそれぞれとの間でロータコア30の一部を周方向に挟んで配置されている。本実施形態において第2フラックスバリア部22aと第2フラックスバリア部22bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として互いに線対称に配置されている。以下の説明においては、第2フラックスバリア部22bについての説明を省略する場合がある。
【0059】
ロータコア30の一部を周方向に挟む第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間には、ロータ10とステータ61との間で流れる磁束が流れる。第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間には、例えば、ティース部65からロータコア30に流れる磁束の少なくとも一部が流れる。ティース部65からロータコア30に流れて第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に流れた磁束は、一対の第1マグネット41a,41bと第2マグネット42との間を通って、第1フラックスバリア部21bと第2フラックスバリア部22bとの周方向の間からティース部65へと流れる。なお、ティース部65からロータコア30に流れる磁束の少なくとも一部が第1フラックスバリア部21bと第2フラックスバリア部22bとの周方向の間に流れて、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間からティース部65へと流れてもよい。
【0060】
ティース部65からロータコア30に単位時間当たりに流れる磁束の最大量は、ティース部65のうち周方向の寸法が最も小さくなる部分を単位時間当たりに流れることが可能な磁束の最大量となる。そのため、例えば、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔をティース部65における周方向の最小の寸法以上とすることによって、ティース部65から第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に流れる磁束の量を多くしやすく、回転電機60のトルクを大きくしやすい。また、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に流れる磁束に、24次、48次、および96次などの高次の磁束成分が含まれていると、トルクリップルが大きくなり、ロータ10の振動が増大する可能性がある。
【0061】
しかしながら、本実施形態では、
図4に示すように、ロータコア30の一部を周方向に挟む第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔のうち最小の間隔W1は、ティース部65における周方向の最小の寸法W2よりも小さい。そのため、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔を狭めて、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に流れる磁束に含まれる高次の磁束成分の一部を阻害することができる。これにより、トルクリップルが大きくなることを抑制でき、ロータ10が振動することを抑制できる。また、例えば、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔を大きくしすぎると、磁束密度が低下して、発生するトルクが減少し、回転電機60の出力が低下する恐れがある。これに対して、本実施形態によれば、最小の間隔W1をティース部65における周方向の最小の寸法W2よりも小さくすることによって、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔を好適に小さくできる。これにより、磁束密度が低下することを抑制でき、回転電機60の出力が低下することを抑制できる。
【0062】
ここで、例えば、最小の間隔W1がスロット部68の径方向内側の端部における周方向の寸法W3以下である場合、ロータ10が一回転する間に、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に位置するロータコア30の部分が、いずれのティース部65の一部とも径方向に対向しないタイミングが生じる。このタイミングにおいては、ティース部65からロータコア30に流れる磁束が第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に流れにくくなり、ティース部65から出た後、短い経路でティース部65に戻るような高次の磁束成分が生じやすくなる。この場合、トルクリップルが大きくなり、ロータ10の振動が増大する可能性がある。
【0063】
しかしながら、本実施形態では、ロータコア30の一部を周方向に挟む第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔のうち最小の間隔W1は、スロット部68の径方向内側の端部における周方向の寸法W3よりも大きい。そのため、ロータ10が回転した場合においても、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に位置するロータコア30の部分は、少なくとも1つのティース部65の一部と径方向に対向して配置される時間を長くできる。本実施形態では、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に位置するロータコア30の部分は、少なくとも1つのティース部65の一部と常に径方向に対向して配置される状態となる。これにより、ティース部65からロータコア30へと流れる磁束が、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に流れやすくなる。そのため、最小の間隔W1がスロット部68の径方向内側の端部における周方向の寸法W3以下である場合に比べて、高次の磁束成分が生じにくくなる。したがって、トルクリップルの発生が抑制され、ロータ10が振動することをより抑制できる。また、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔が小さくなりすぎることを抑制できるため、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間に流れる磁束の量が少なくなりすぎることを抑制できる。これにより、回転電機60のトルクが低下することを抑制できる。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、最小の間隔W1を、ティース部65における周方向の最小の寸法W2よりも小さくし、かつ、スロット部68の径方向内側の端部における周方向の寸法W3より大きくすることによって、回転電機60のトルクおよび出力を好適に維持しつつ、ロータ10が振動することを好適に抑制できる。
【0065】
また、本実施形態によれば、第1フラックスバリア部21aの周方向の縁部のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側の縁部は、第1縁部24aを有する。第1縁部24aは、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側に位置する。そのため、第1縁部24aによって、第1フラックスバリア部21aの一部を周方向において第2フラックスバリア部22aが位置する側に張り出させることができる。これにより、例えば、
図4において二点鎖線で示す磁束MFのように、第1マグネット41aから第2方向内側(-D2a側)に出て、第1マグネット41aの第1方向外側(+D1a側)かつ第2方向内側の角部の外側を回って短い経路で第1マグネット41aに戻るような磁束が生じることを、第1フラックスバリア部21aによって抑制しやすい。したがって、第1マグネット41aの角部が減磁することを抑制でき、第1マグネット41aから生じる磁束の量が低下することを抑制できる。そのため、第1縁部24aが径方向に平行に延びる場合、および第1縁部24aが径方向外側に向かうに従って周方向のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側と逆側に位置する場合に比べて、回転電機60のトルクが低下することを抑制できる。
【0066】
上述したように、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔をティース部65のうち周方向の寸法が最も小さくなる部分における周方向の寸法以上とすることにより、回転電機60のトルクを向上させることができる。その一方、本実施形態では、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔のうち最小の間隔W1をティース部65における周方向の最小の寸法W2よりも小さくすることにより、回転電機60のトルクおよび出力を好適に維持しつつ、ロータ10が振動することを好適に抑制することができる。上述したように、この場合であっても回転電機60のトルクが低下することを抑制できるが、最小の間隔W1が寸法W2以上である場合に比べると、回転電機60のトルクが小さくなる可能性がある。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、第1縁部24aを、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部22aが位置する側に位置させることによって、
図4において二点鎖線で示すような磁束MFが生じることを抑制しやすい。これにより、第1マグネット41aの角部が減磁することを抑制でき、第1マグネット41aから出る磁束の量が低下することを抑制できる。よって、回転電機60のトルクの低下を抑制できる。したがって、ロータ10の振動を抑制するために最小の間隔W1を寸法W2より小さくしても、回転電機60のトルクを、最小の間隔W1が寸法W2以上の場合と同程度、またはそれ以上にすることができる。
【0067】
本実施形態において、最小の間隔W1は、第1縁部24aの径方向外側の端部と第2フラックスバリア部22aの周方向外側の端部との間の周方向の間隔である。本実施形態において寸法W2は、ティース本体部66の径方向内側の端部における周方向の寸法である。本実施形態においてスロット部68の径方向内側の端部における周方向の寸法W3は、周方向に隣り合うティース部65のアンブレラ部67同士の周方向の間隔に等しい。つまり、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔のうち最小の間隔W1は、周方向に隣り合うティース部65のアンブレラ部67同士の間の周方向の間隔よりも大きい。アンブレラ部67が設けられることによって、スロット部68における径方向内側の端部における周方向の寸法W3を好適に小さくできる。これにより、最小の間隔W1を小さくしても、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとに挟まれたロータコア30の部分が、ティース部65と径方向に対向しやすくできる。したがって、トルクリップルが大きくなることをより好適に抑制でき、ロータ10が振動することをより好適に抑制できる。
【0068】
最小の間隔W1は、第2フラックスバリア部22aの周方向の寸法W4よりも小さい。つまり、第2フラックスバリア部22aの周方向の寸法W4は、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔のうち最小の間隔W1よりも大きい。そのため、第2マグネット42の周方向外側の端部において、第2マグネット42から出る磁束が第2マグネット42の角部を回って短い経路で第2マグネット42に戻ることを、第2フラックスバリア部22aによって好適に抑制することができる。これにより、第2マグネット42の周方向外側の端部が減磁することを抑制でき、第2マグネット42から出る磁束の量が低下することを抑制できる。したがって、回転電機60のトルクが低下することをより好適に抑制できる。「第2フラックスバリア部22aの周方向の寸法W4が最小の間隔W1よりも大きい」とは、第2フラックスバリア部22aの周方向の寸法W4の最大値が最小の間隔W1よりも大きければよく、第2フラックスバリア部22aの一部における周方向の寸法W4が最小の間隔W1より小さくてもよい。
【0069】
周方向に隣り合うマグネット保持部31の一方のマグネット保持部31における第1フラックスバリア部21aは、周方向に隣り合うマグネット保持部31の他方のマグネット保持部31における第1フラックスバリア部21bとロータコア30の一部を周方向に挟んで配置されている。一方のマグネット保持部31における第1フラックスバリア部21aと他方のマグネット保持部31における第1フラックスバリア部21bとに周方向に挟まれたロータコア30の部分には、軸方向に見て、磁極間中心線Lqが通る。磁極間中心線Lqは、軸方向に見て、周方向に隣り合うマグネット保持部31同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる第1仮想線である。磁極間中心線Lqは、軸方向に見て、中心軸線Jを通る。磁極間中心線Lqは、軸方向に見て、周方向に隣り合う磁極部10P同士の間における周方向の中心を通る。磁極間中心線Lqは、軸方向に見て、ロータ10のq軸上を通っている。磁極間中心線Lqが延びる方向は、ロータ10のq軸方向である。
図2に示すように、磁極間中心線Lqは、マグネット保持部31同士の間ごとに設けられている。磁極間中心線Lqが延びる方向と磁極中心線Ldが延びる方向とは、互いに交差する方向である。磁極間中心線Lqと磁極中心線Ldとは、周方向に沿って交互に設けられる。
【0070】
図4に示すように、周方向に隣り合うマグネット保持部31の一方のマグネット保持部31における第1フラックスバリア部21aと、周方向に隣り合うマグネット保持部31の他方のマグネット保持部31における第1フラックスバリア部21bとは、軸方向に見て、磁極間中心線Lqを対称軸として互いに線対称に配置されている。磁極間中心線Lqを周方向に挟んで配置される第1フラックスバリア部21aと第1フラックスバリア部21bとの周方向の間隔のうち最小の間隔W5は、第1フラックスバリア部21aと第2フラックスバリア部22aとの最小の間隔W1よりも大きい。本実施形態において最小の間隔W5は、第1フラックスバリア部21aの接続部24fと第1フラックスバリア部21bの接続部24fとの間の周方向の間隔である。最小の間隔W5は、ティース部65における周方向の最小の寸法W2およびスロット部68の径方向内側の端部における周方向の寸法W3よりも大きい。
【0071】
ロータコア30のうち周方向に隣り合うマグネット保持部31同士の間にも、ロータ10とステータ61との間に流れる磁束が流れる。周方向に隣り合うマグネット保持部31同士の周方向の間隔が大きくなると、磁束が流れる量が多くなるが、当該部分に流れる磁束に高次の磁束成分が含まれやすくなる。そのため、回転電機60のトルクは大きくなるが、ロータ10が振動しやすくなる恐れがある。これに対して、本実施形態では、第1フラックスバリア部21a,21bの第2縁部24bは、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち第2フラックスバリア部22a,22bが位置する側と逆側に位置する。そのため、ロータコア30の一部を周方向に挟んで配置される第1フラックスバリア部21aと第1フラックスバリア部21bとの周方向外側の縁部同士を、互いに他方の第1フラックスバリア部に近づけることができる。これにより、第1フラックスバリア部21aと第1フラックスバリア部21bとの最小の間隔W5が大きくなりすぎることを抑制できる。したがって、ロータ10が振動することをより好適に抑制できる。
【0072】
また、本実施形態において第2縁部24bは、第1方向D1a,D1bに沿って径方向外側(+D1a側,+D1b側)に向かうに従って、第2方向D2a,D2bのうち第2フラックスバリア部22a,22bから周方向に離れる側(+D2a側,+D2b側)に位置する。そのため、ロータコア30の一部を周方向に挟んで配置される第1フラックスバリア部21aと第1フラックスバリア部21bとの周方向外側の縁部同士を、より好適に互いに他方の第1フラックスバリア部に近づけることができる。これにより、第1フラックスバリア部21aと第1フラックスバリア部21bとの最小の間隔W5が大きくなりすぎることをより好適に抑制できる。したがって、ロータ10が振動することをより好適に抑制できる。
【0073】
図5に示すように、一対の第3フラックスバリア部23a,23bは、一対の第1マグネット収容部51a,51bにおける第1方向D1a,D1bの両端部のうち径方向内側に位置する端部、すなわち第1方向D1a,D1bの内側の端部にそれぞれ繋がる。第3フラックスバリア部23aは、第1マグネット収容部51aにおける第1方向内側(-D1a側)の端部に繋がる。第3フラックスバリア部23bは、第1マグネット収容部51bにおける第1方向内側(-D1b側)の端部に繋がる。第3フラックスバリア部23aと第3フラックスバリア部23bとは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで対向して配置されている。ロータコア30のうち第3フラックスバリア部23aと第3フラックスバリア部23bとに周方向に挟まれた部分は、径方向に延びるブリッジ部34である。軸方向に見て、ブリッジ部34の周方向の中心には磁極中心線Ldが通る。第3フラックスバリア部23aと第3フラックスバリア部23bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として互いに線対称に配置されている。以下の説明においては、第3フラックスバリア部23bの説明を省略する場合がある。
【0074】
第3フラックスバリア部23aは、第1部分25aと、第2部分25bと、を有する。第1部分25aは、第1マグネット41aの第1面44aに繋がる部分である。本実施形態において第1部分25aは、第1面44aのうち第1方向内側(-D1a側)の端部を含む一部と繋がる。第1部分25aは、第1面44aよりも第2方向内側(-D2a側)に突出する。第1部分25aは、第1マグネット41aよりも第1方向内側に突出する。第1部分25aの外縁部は、軸方向に見て円弧状の第1円弧部25cを有する。第1円弧部25cは、軸方向に見て、第2方向内側に凸となる円弧状である。
【0075】
第2部分25bは、第1マグネット41aの第2面44bに繋がる部分である。第2部分25bは、第2面44bから第1方向内側(-D1a側)に突出する。第2部分25bの第2方向内側(-D2a側)の端部は、第1部分25aの第1方向内側の端部に繋がる。第2部分25bの外縁部は、軸方向に見て円弧状の第2円弧部25dを有する。第2円弧部25dは、軸方向に見て、径方向内側に凸となる円弧状である。第2部分25bの外縁部は、直線部25eを有する。直線部25eは、軸方向に見て、磁極中心線Ldが延びる方向に延びている。直線部25eの径方向外側の端部は、第1円弧部25cの周方向内側の端部に繋がる。直線部25eの径方向内側の端部は、第2円弧部25dの周方向内側の端部に繋がる。
【0076】
第2部分25bは、第3円弧部25fを有する。第3円弧部25fは、軸方向に見て、径方向外側に凸となる円弧状である。第3円弧部25fは、第2円弧部25dの周方向外側の端部と支持部53bにおける第2方向内側(-D2a側)の端部とを繋ぐ。これにより、支持部53bの第2方向D2aの一端部、すなわち内端部は、第2部分25bに繋がる。
【0077】
第3フラックスバリア部23aは、角部43に繋がる。そのため、第1マグネット41aから出る磁束が角部43の外側を回って短い経路で第1マグネット41aへと戻る磁束の流れが生じることを、第3フラックスバリア部23aによって好適に抑制できる。これにより、第1マグネット41aの角部43が減磁することを抑制でき、第1マグネット41aから出る磁束の量が低下することを抑制できる。これにより、回転電機60のトルクが低下することをより好適に抑制できる。
【0078】
なお、本明細書において「フラックスバリア部が或る部分に繋がる」とは、フラックスバリア部のうち或る部分に繋がる部分が空隙部によって構成されている場合には、或る部分が当該空隙部に露出していること含み、フラックスバリア部のうち或る部分に繋がる部分が樹脂などの非磁性体によって構成されている場合には、或る部分が当該非磁性体と接触していることを含む。本実施形態において、第3フラックスバリア部23aのうち第1面44a、第2面44b、および角部43と繋がる部分は空隙部で構成され、第1面44a、第2面44b、および角部43は、当該空隙部に露出している。また、「フラックスバリア部が或る部分に繋がる」とは、フラックスバリア部の外縁部に或る部分が繋がることを含む。本実施形態において支持部53bは、第3フラックスバリア部23aの外縁部のうち第3円弧部25fに繋がる。
【0079】
第3フラックスバリア部23aにおける第1円弧部25cの少なくとも一部および第2円弧部25dの少なくとも一部は、ブリッジ部34の周方向一方側(+θ側)の縁部の少なくとも一部を構成している。本実施形態においてブリッジ部34の周方向一方側の縁部は、第1円弧部25cの一部と直線部25eと第2円弧部25dの一部とによって構成されている。
【0080】
第1円弧部25cの曲率半径は、第2円弧部25dの曲率半径よりも大きい。そのため、一対の第3フラックスバリア部23a,23b同士の間に設けられるブリッジ部34における周方向の縁部のうち第1円弧部25cによって構成される部分を、ブリッジ部34における周方向の縁部のうち第2円弧部25dによって構成される部分よりも長くできる。これにより、ロータ10が回転する際にブリッジ部34に生じる応力を、第1円弧部25cにおいて好適に分散して受けやすい。したがって、ブリッジ部34の剛性を確保しやすい。また、第2部分25bにおける第2円弧部25dの曲率半径が相対的に小さいことによって、第2部分25bのうち支持部53bと繋がる部分、すなわち第3円弧部25fの位置を、第1マグネット収容部51aにおける第2方向外側(+D2a側)の縁部から第2方向内側(-D2a側)に好適に離れた位置としやすい。これにより、第2円弧部25dの曲率半径が第1円弧部25cの曲率半径以上である場合に比べて、支持部53bの第2方向D2aの寸法を大きくできる。したがって、支持部53bによって第1マグネット41aを安定して第2方向D2aに支持できる。
【0081】
図3に示すように、ロータコア30は、ロータコア30を軸方向に貫通する貫通孔33を有する。そのため、例えば、ロータ10が回転する際などに、貫通孔33内を空気が流れる。これにより、貫通孔33内に流れる空気によって、ロータコア30およびロータコア30に保持されたマグネット40を冷却できる。貫通孔33は、複数のコアピース部36を軸方向に貫通している。
【0082】
貫通孔33は、軸方向に見て、第1仮想線である磁極間中心線Lqと重なる位置に設けられている。本実施形態において貫通孔33は、軸方向に見て、径方向外側に凸となる角丸の略三角形状である。貫通孔33は、軸方向に見て貫通孔33と重なる磁極間中心線Lqを対称軸として線対称な形状である。
【0083】
貫通孔33は、第1マグネット収容部51aとの間でロータコア30の一部を挟んで配置された第3縁部33aを有する。第3縁部33aは、軸方向に見て、径方向に対して周方向に斜めに傾いた方向に延びている。第3縁部33aは、径方向外側に向かうに従って、周方向外側に位置する。つまり、第3縁部33aは、径方向外側に向かうに従って、周方向において第1仮想線である磁極間中心線Lqに近づく。そのため、貫通孔33の周方向の縁部を一対の第1マグネット収容部51a,51bに沿って配置しやすい。これにより、一対の第1マグネット収容部51a,51bと貫通孔33との間に磁束を流しやすくできる。
【0084】
第2方向D2aにおける第3縁部33aと第1マグネット収容部51aとの間の距離W6は、径方向外側に向かうに従って小さくなる。そのため、例えば第3縁部33aが第1マグネット収容部51aと平行に延びる場合に比べて、軸方向と直交する断面において貫通孔33の断面積を大きくすることができる。これにより、貫通孔33内を流れる空気の量を多くすることができ、ロータコア30およびマグネット40をより冷却しやすくできる。
【0085】
距離W6は、仮想線L3と仮想線L4との間の距離である。仮想線L3は、軸方向に見て、第1マグネット収容部51aの第2方向外側(+D2a側)の縁部と重なり、当該縁部と平行に延びる仮想線である。仮想線L4は、軸方向に見て、第3縁部33aと重なり、第3縁部33aと平行に延びる仮想線である。
【0086】
本実施形態において、貫通孔33のうち径方向内側の端部を除いた部分における周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなる。そのため、貫通孔33の周方向の縁部を、より好適に一対の第1マグネット収容部51a,51bに沿って配置しやすい。これにより、一対の第1マグネット収容部51a,51bと貫通孔33との間に、より好適に磁束を流しやすくできる。
【0087】
軸方向に見て、第1方向D1aにおける第1マグネット41aの中心を通り第1方向D1aと直交する第2方向D2aに延びる第2仮想線L2は、貫通孔33と重なる。そのため、貫通孔33を径方向に好適に大きくしやすい。これにより、貫通孔33内を流れる空気の流量をより多くしやすく、ロータコア30およびマグネット40をより冷却しやすい。貫通孔33は、第1マグネット41aの第1方向D1aの両端部のうち径方向外側の端部、すなわち第1方向外側(+D1a側)の端部よりも径方向内側に位置する。そのため、貫通孔33が径方向に大きくなりすぎることを抑制できる。これにより、貫通孔33によって、ロータコア30内の磁束の流れが阻害されることを抑制できる。
【0088】
以下、上述した実施形態と異なる実施形態について説明する。以下の各実施形態の説明においては、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより説明を省略する場合がある。また、各実施形態の説明よりも上段において説明した構成の各部に対応する部分については、同一の名称を付すとともに異なる符号を付して、上述した構成とは異なる点を説明し、上述した構成と同様の点については説明を省略する場合がある。なお、以下の各実施形態において説明を省略した構成としては、矛盾しない範囲内において、各実施形態よりも上段において説明した構成と同様の構成を採用できる。
【0089】
<第2実施形態>
図6に示すように、本実施形態のロータ210のロータコア230において、マグネット保持部231の第1フラックスバリア部221aは、軸方向に見て、第2フラックスバリア部22aに向かって突出する突出部224eを有する。そのため、ロータコア230の一部を周方向に挟む第1フラックスバリア部221aと第2フラックスバリア部22aとの周方向の間隔のうち最小の間隔W7を、ティース部65における周方向の最小の寸法W2よりも容易かつ好適に小さくできる。
【0090】
突出部224eは、周方向内側に突出する。突出部224eの径方向内側の縁部は、第1縁部224aである。第1縁部224aの径方向に対する傾きは、第1実施形態における第1縁部24aの径方向に対する傾きよりも大きい。第1縁部224aの径方向内側の端部は、接続部224gを介して第1マグネット収容部51aに繋がる。接続部224gは、軸方向に見て、第1方向外側(+D1a側)に凸となる円弧状である。第1縁部224aのその他の構成は、第1実施形態における第1縁部24aのその他の構成と同様である。
【0091】
突出部224eの径方向外側の縁部は、第4縁部224dである。第4縁部224dは、第1フラックスバリア部221aの径方向外側の縁部の一部を構成している。第4縁部224dは、軸方向に見て、周方向に延びている。突出部224eの周方向内側(-θ側)の縁部は、第5縁部224cである。第5縁部224cは、軸方向に見て、周方向内側に凸となる円弧状である。第5縁部224cは、第1縁部224aの周方向内側の端部と、第4縁部224dの周方向内側の端部とを繋いでいる。
【0092】
なお、「軸方向に見て突出部224eが第2フラックスバリア部22aに向かって突出する」とは、軸方向に見て、突出部224eを突出する方向に延長した場合に、突出部224eを延長した部分が、第2フラックスバリア部22aの少なくとも一部と重なることを意味する。突出部224eを突出方向に延長した部分とは、例えば、軸方向に見て、第1縁部224aを周方向内側に延長した仮想線L5と、第4縁部224dを周方向内側に延長した仮想線L6との間に位置する部分である。
図6において、仮想線L5は、軸方向に見て、第2フラックスバリア部22aと重なる。仮想線L5と仮想線L6との間には、第2フラックスバリア部22aの一部が位置する。
【0093】
第1フラックスバリア部221aの第2縁部224bは、軸方向に見て、第1マグネット収容部51aから径方向外側に延びている。第2縁部224bの径方向に対する傾きは、第1実施形態における第2縁部24bの径方向に対する傾きよりも小さい。第2縁部224bは、第1方向外側(+D1a側)に向かうに従って、第2方向内側(-D2a側)に位置する。つまり、第2縁部224bは、第1方向D1aに沿って径方向外側に向かうに従って、第2方向D2aのうち第2フラックスバリア部22aに周方向に近づく側に位置する。第2縁部224bは、径方向とほぼ平行な方向に延びている。第2縁部224bのその他の構成は、第1実施形態における第2縁部24bのその他の構成と同様である。第1フラックスバリア部221bは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として、第1フラックスバリア部221aと線対称に配置されている。
【0094】
本実施形態において第1マグネット収容部251aの第1方向D1aの寸法は、第2マグネット収容部52の径方向の寸法よりも大きい。軸方向に見て、第1マグネット収容部251aが延びる第1方向D1aの径方向に対する傾きは、第1実施形態における第1マグネット収容部51aが延びる第1方向D1aの径方向に対する傾きよりも大きい。第1マグネット収容部251aのその他の構成は、第1実施形態における第1マグネット収容部51aのその他の構成と同様である。第1マグネット241aの第1方向D1aの寸法は、第2マグネット42の径方向の寸法よりも大きい。第1マグネット241aのその他の構成は、第1実施形態における第1マグネット41aのその他の構成と同様である。第1マグネット収容部251bは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として、第1マグネット収容部251aと線対称に配置されている。第1マグネット241bは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として、第1マグネット241aと線対称に配置されている。
【0095】
一対の第1マグネット収容部251a,251bのうち第2マグネット収容部52と径方向に重なる部分と、第2マグネット収容部52との間の径方向の距離は、第1実施形態における当該距離よりも小さい。第2マグネット42の径方向の寸法が、第1マグネット241a,241bの第1方向D1a,D1bの寸法よりも小さい場合、第2マグネット42がステータ61から受ける反磁界によって減磁することを抑制するために、第1マグネット241a,241bを第2マグネット42に径方向に近づけることが好ましい。第1マグネット収容部251a,251bが延びる第1方向D1a,D1bの径方向に対する傾きを大きくすれば、第1マグネット241a,241bを第2マグネット42に径方向に近づけることができる。この場合、第1マグネット収容部251a,251bの径方向外側の端部が第2マグネット収容部52から周方向外側に離れて、第2フラックスバリア部22a,22bと第1フラックスバリア部221a,221bとの周方向の間隔が大きくなりやすい。これに対して、本実施形態のように第1フラックスバリア部221a,221bに、第2フラックスバリア部22a,22bに向かって突出する突出部224eを設けることによって、第1フラックスバリア部221a,221bと第2フラックスバリア部22a,22bとの周方向の間隔のうち最小の間隔W7を第1実施形態における最小の間隔W1と同様の間隔にしやすい。これにより、第1実施形態と同様に、ロータ210が振動することを抑制できる。
【0096】
また、第1マグネット収容部251a,251bが延びる第1方向D1a,D1bの径方向に対する傾きを大きくすると、第1フラックスバリア部221a,221bが、第1実施形態に比べて第2フラックスバリア部22a,22bよりも周方向外側に離れて配置される。そのため、第2縁部224bの径方向に対する傾きを第1実施形態の第2縁部24bの径方向に対する傾きより小さくしても、周方向に隣り合うマグネット保持部231の一方のマグネット保持部231の第1フラックスバリア部221aと他方のマグネット保持部231の第1フラックスバリア部221bとの周方向の間隔が広くなりすぎることを抑制できる。また、第2縁部224bを、第1方向D1aに沿って径方向外側に向かうに従って、第2方向D2aのうち第2フラックスバリア部22aに周方向に近づく側に位置する構成としても、一方のマグネット保持部231の第1フラックスバリア部221aと他方のマグネット保持部231の第1フラックスバリア部221bとの周方向の間隔が広くなりすぎることを抑制できる。
【0097】
一対の第3フラックスバリア部223a,223bは、第1実施形態の一対の第3フラックスバリア部23a,23bと異なり、第1部分25aを有しない。マグネット保持部231のその他の構成は、第1実施形態におけるマグネット保持部31のその他の構成と同様である。ロータコア230のその他の構成は、第1実施形態におけるロータコア30のその他の構成と同様である。ロータ310のその他の構成は、第1実施形態におけるロータ10のその他の構成と同様である。
【0098】
<第3実施形態>
図7に示すように、本実施形態のロータ310のロータコア330において、マグネット保持部331は、周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の第2マグネット収容部352a,352bを有する。一対の第2マグネット収容部352a,352bは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。一対の第2マグネット収容部352a,352bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。軸方向に見て、一対の第2マグネット収容部352a,352bが延びる方向の径方向に対する傾きは、一対の第1マグネット収容部51a,51bが延びる方向の径方向に対する傾きよりも大きい。一対の第2マグネット収容部352a,352bが成すV字形状の開き角度は、一対の第1マグネット収容部51a,51bが成すV字形状の開き角度よりも大きい。
【0099】
一対の第2マグネット収容部352a,352b内にそれぞれ配置された一対の第2マグネット342a,342bは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。つまり、本実施形態の磁極部310Pにおいては、軸方向に見てV字形状に沿って配置された一対のマグネット40が径方向に並んで二対設けられている。本実施形態において一対の第2フラックスバリア部22aは、一対の第2マグネット収容部352a,352bの径方向外側の端部にそれぞれ繋がる。
【0100】
このように本実施形態の各磁極部310Pにおいては、軸方向に見てV字形状に沿って配置された一対のマグネット40が径方向に並んで二対設けられている。4つのマグネット40をこのような配置で各磁極部310Pに設けることで、ロータ310とステータ61との間で磁束を好適に流すことができる。
【0101】
本実施形態においてマグネット保持部331は、一対の第4フラックスバリア部326a,326bを有する。一対の第4フラックスバリア部326a,326bは、一対の第2マグネット収容部352a,352bの径方向内側の端部にそれぞれ繋がる。一対の第4フラックスバリア部326a,326bは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで配置されている。第4フラックスバリア部326aと第4フラックスバリア部326bとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldを対称軸として互いに線対称に配置されている。
【0102】
マグネット保持部331のその他の構成は、第1実施形態におけるマグネット保持部31のその他の構成と同様である。ロータコア330のその他の構成は、第1実施形態におけるロータコア30のその他の構成と同様である。ロータ310のその他の構成は、第1実施形態におけるロータ10のその他の構成と同様である。
【0103】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。マグネット保持部に保持されるマグネットの数は、3つ以上であれば、特に限定されない。第2マグネット収容部は、一対の第1マグネット収容部の径方向外側に位置するならば、どのように配置されてもよい。第2マグネット収容部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。マグネット保持部の数は、1つ以上であれば、特に限定されない。
【0104】
第1マグネットおよび第2マグネットは、各マグネット収容部内に位置するならば、どのような形状であってもよいし、どのような寸法を有してもよい。第1マグネットの形状と第2マグネットの形状とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。軸方向に見て、第1マグネットが延びる方向と直交する方向における第1マグネットの寸法と、第2マグネットが延びる方向と直交する方向における第2マグネットの寸法とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。軸方向に見て、第1マグネットが延びる方向における第1マグネットの寸法と、第2マグネットが延びる方向における第2マグネットの寸法とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。第1マグネットの種類と第2マグネットの種類とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。
【0105】
ロータコアの一部を周方向に挟む第1フラックスバリア部と第2フラックスバリア部との周方向の間隔のうち最小の間隔は、ティース部における周方向の最小の寸法よりも小さく、かつ、スロット部の径方向内側の端部における周方向の寸法よりも大きければ、どのような大きさであってもよい。ティース部における周方向の最小の寸法は、ティース部のいずれの部分における周方向の寸法であってもよい。ティース部は、アンブレラ部を有しなくてもよい。この場合、ティース部における周方向の最小の寸法は、ティース本体部の一部における周方向の寸法であってもよい。スロット部の径方向内側の端部における周方向の寸法は、スロット部における周方向の最小の寸法でなくてもよい。
【0106】
第1フラックスバリア部は、第1縁部を有するならば、どのような形状であってもよい。第2フラックスバリア部は、どのような形状であってもよい。第3フラックスバリア部は、どのような形状であってもよい。第3フラックスバリア部は、設けられなくてもよい。
【0107】
本発明が適用される駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。回転電機の中心軸線は、どのような方向に延びていてもよい。
【0108】
なお、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
(1) 中心軸線を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備え、前記ロータは、ロータコアと、前記ロータコアに保持された複数のマグネットと、を有し、前記ステータは、前記ロータを囲むコアバック部と、前記コアバック部から径方向内側に延び、周方向に間隔を空けて配置された複数のティース部と、周方向に隣り合う前記ティース部同士の間にそれぞれ設けられた複数のスロット部と、を有し、前記ロータコアは、3つ以上の前記マグネットを保持するマグネット保持部を有し、前記マグネット保持部は、周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の第1マグネット収容部と、前記一対の第1マグネット収容部の径方向外側に位置する第2マグネット収容部と、一対の第1フラックスバリア部と、一対の第2フラックスバリア部と、を有し、前記複数のマグネットは、前記一対の第1マグネット収容部内にそれぞれ位置する一対の第1マグネットと、前記第2マグネット収容部内に位置する第2マグネットと、を含み、前記一対の第1マグネット収容部は、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる第1方向に沿って延び、前記一対の第1フラックスバリア部は、前記一対の第1マグネット収容部における前記第1方向の両端部のうち径方向外側に位置する端部にそれぞれ繋がり、前記一対の第2フラックスバリア部は、前記第2マグネット収容部に繋がり、かつ、前記一対の第1フラックスバリア部同士の周方向の間に位置し、前記一対の第2フラックスバリア部のそれぞれは、前記一対の第1フラックスバリア部のそれぞれとの間で前記ロータコアの一部を周方向に挟んで配置され、前記ロータコアの一部を周方向に挟む前記第1フラックスバリア部と前記第2フラックスバリア部との周方向の間隔のうち最小の間隔は、前記ティース部における周方向の最小の寸法よりも小さく、かつ、前記スロット部の径方向内側の端部における周方向の寸法よりも大きく、前記第1フラックスバリア部の周方向の縁部のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側の縁部は、第1縁部を有し、前記第1縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側に位置する、回転電機。
(2) 前記ティース部は、前記コアバック部から径方向内側に延びるティース本体部と、前記ティース本体部の径方向内側の端部に繋がり、前記ティース本体部の径方向内側の端部よりも周方向両側に突出するアンブレラ部と、を有し、前記最小の間隔は、周方向に隣り合う前記ティース部の前記アンブレラ部同士の間の周方向の間隔よりも大きい、(1)に記載の回転電機。
(3) 前記第1フラックスバリア部の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って大きくなる、(1)または(2)に記載の回転電機。
(4) 前記第1フラックスバリア部は、軸方向に見て、前記第2フラックスバリア部に向かって突出する突出部を有する、(1)から(3)のいずれか一項に記載の回転電機。
(5) 前記第1フラックスバリア部の周方向の縁部のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側と逆側の縁部は、第2縁部を有し、前記第2縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向のうち前記第2フラックスバリア部が位置する側と逆側に位置する、(1)から(4)のいずれか一項に記載の回転電機。
(6) 前記第2縁部は、前記第1方向に沿って径方向外側に向かうに従って、前記第1方向および軸方向の両方と直交する方向のうち前記第2フラックスバリア部から周方向に離れる側に位置する、(5)に記載の回転電機。
(7) 前記第2フラックスバリア部の周方向の寸法は、前記最小の間隔よりも大きい、(1)から(6)のいずれか一項に記載の回転電機。
(8) 前記マグネット保持部は、前記一対の第1マグネット収容部における前記第1方向の両端部のうち径方向内側に位置する端部にそれぞれ繋がる一対の第3フラックスバリア部を有し、前記第1マグネットは、前記第1方向および軸方向の両方と直交する第2方向を向く第1面と、前記第1方向を向く面のうち径方向内側に位置する第2面とが互いに繋がる角部を有し、前記第3フラックスバリア部は、前記第1面に繋がる第1部分と前記第2面に繋がる第2部分とを有し、前記角部に繋がる、(1)から(7)のいずれか一項に記載の回転電機。
(9) 前記第1マグネット収容部は、前記第1マグネットを前記第1方向に支持する支持部を有し、前記支持部の前記第2方向の一端部は、前記第2部分に繋がり、前記第1部分の外縁部は、軸方向に見て円弧状の第1円弧部を有し、前記第2部分の外縁部は、軸方向に見て円弧状の第2円弧部を有し、前記第1円弧部の曲率半径は、前記第2円弧部の曲率半径よりも大きい、(8)に記載の回転電機。
(10) 前記マグネット保持部は、周方向に並んで複数設けられ、前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔は、軸方向に見て、周方向に隣り合う前記マグネット保持部同士の間における周方向の中心を通り径方向に延びる第1仮想線と重なる位置に設けられ、前記貫通孔は、前記第1マグネット収容部との間で前記ロータコアの一部を挟んで配置された第3縁部を有し、前記第3縁部は、径方向外側に向かうに従って、周方向において前記第1仮想線に近づく、(1)から(9)のいずれか一項に記載の回転電機。
(11) 前記第1方向および軸方向の両方と直交する方向における前記第3縁部と前記第1マグネット収容部との間の距離は、径方向外側に向かうに従って小さくなる、(10)に記載の回転電機。
(12) 軸方向に見て、前記第1方向における前記第1マグネットの中心を通り前記第1方向と直交する方向に延びる第2仮想線は、前記貫通孔と重なり、前記貫通孔は、前記第1マグネットの前記第1方向の両端部のうち径方向外側の端部よりも径方向内側に位置する、(10)または(11)に記載の回転電機。
(13) 前記第2マグネット収容部は、軸方向に見て、前記マグネット保持部の周方向の中心を通る径方向と直交する方向に延び、前記一対の第2フラックスバリア部は、前記第2マグネット収容部の周方向の両端部にそれぞれ繋がる、(1)から(12)のいずれか一項に記載の回転電機。
(14) 前記マグネット保持部は、周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の前記第2マグネット収容部を有し、前記一対の第2マグネット収容部は、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、前記一対の第2フラックスバリア部は、前記一対の第2マグネット収容部の径方向外側の端部にそれぞれ繋がる、(1)から(12)のいずれか一項に記載の回転電機。
(15) (1)から(14)のいずれか一項に記載の回転電機と、前記回転電機に接続されたギヤ機構と、を備える、駆動装置。
【0109】
以上、本明細書において説明した構成および方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0110】
10,210,310…ロータ、21a,21b,221a,221b…第1フラックスバリア部、22a,22b…第2フラックスバリア部、23a,23b,223a,223b…第3フラックスバリア部、24a,224a…第1縁部、24b,224b…第2縁部、25a…第1部分、25b…第2部分、25c…第1円弧部、25d…第2円弧部、30,230,330…ロータコア、31,231,331…マグネット保持部、33…貫通孔、33a…第3縁部、40…マグネット、41a,41b,241a,241b…第1マグネット、42,342a,342b…第2マグネット、43…角部、44a…第1面、44b…第2面、51a,51b,251a,251b…第1マグネット収容部、52,352a,352b…第2マグネット収容部、53b…支持部、60…回転電機、61…ステータ、64…コアバック部、65…ティース部、66…ティース本体部、67…アンブレラ部、68…スロット部、70…ギヤ機構、100…駆動装置、224e…突出部、D1a,D1b…第1方向、D2a,D2b…第2方向、J…中心軸線、L2…第2仮想線、Lq…磁極間中心線(第1仮想線)、W1,W7…最小の間隔、W2…ティース部における周方向の最小の寸法、W3…スロット部の径方向内側の端部における周方向の寸法、W6…距離