(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005847
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】導電モジュール、及び、蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20250109BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250109BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20250109BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20250109BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M10/48 P
H01M50/569
H01M10/48 301
H01M50/211
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106246
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
(72)【発明者】
【氏名】田中 開
(72)【発明者】
【氏名】田中 健太
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】海谷 裕之
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】宗 真平
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】川畑 佑太朗
(72)【発明者】
【氏名】望月 星吾
【テーマコード(参考)】
5H030
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H030AS06
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF44
5H040AA40
5H040AT04
5H040DD26
5H040NN03
5H040NN05
5H043AA17
5H043BA19
5H043CA08
5H043DA27
5H043LA21
5H043LA41
(57)【要約】
【課題】検知対象との導電接続における作業性に優れた導電モジュールの提供。
【解決手段】導電モジュール103は、導電板104に導通接続される第1箇所112aを有する電圧検知端子110と、測温素子171を有する測温器170と、電圧検知端子110が収容される端子収容凹部142と測温器170が収容される測温器収容凹部161とを有して導電板104に組み付けられるハウジング140,160と、測温器収容凹部161の凹溝内に配置される伝熱性の充填材183と、端子収容凹部142に収容された電圧検知端子110の第1箇所112aを覆わない仮係止位置と第1箇所112aを覆う本係止位置とでハウジング140に係止可能なカバー130と、を備える。測温器収容凹部161の凹溝内にて導電板104の一部が露出し、充填材183は、測温素子171と導電板104の一部との双方に接触するように配置される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電板と、
前記導電板に導通接続される第1箇所を有する電圧検知端子と、
測温素子と、前記測温素子を保持するケースと、を有する測温器と、
前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部と、前記測温器が収容される測温器収容凹部と、を有し、前記導電板に組み付けられる板状のハウジングと、
前記測温器収容凹部の凹溝内に配置される伝熱性の充填材と、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子の前記第1箇所を覆わない仮係止位置と、前記第1箇所を覆う本係止位置と、にて前記ハウジングに係止可能なカバーと、
前記電圧検知端子の第2箇所に導通接続され且つ前記ハウジングの外部に向けて引き出される電線と、
を備える導電モジュールであって、
前記ハウジングは、
前記測温器収容凹部の前記凹溝内に前記導電板の一部が露出するように、構成され、
前記充填材は、
前記測温素子と前記導電板の前記一部との双方に接触するように配置される、
導電モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の導電モジュールにおいて、
前記測温器は、
前記測温素子のほうが前記ケースよりも前記導電板に近い姿勢にて、前記ハウジングの前記測温器収容凹部に収容される、
導電モジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の導電モジュールと、
前記導電モジュールが積層される充放電可能な蓄電モジュールと、
を備える、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知対象としての導電板と、電圧検知端子及び測温器が収容された板状のハウジングと、を備える導電モジュール、及び、その導電モジュールを用いた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、充放電可能な薄板状の蓄電モジュールと導電板とを交互に並べて繰り返し積層することで、複数の蓄電モジュールを導電板を介して直列接続するように構成された、積層型の蓄電装置が提案されている。この種の蓄電装置に用いられる蓄電モジュールは、一般に、その内部に複数の電池セルが内蔵された構造を有し、充放電可能な一つの電池として機能する。従来の蓄電装置の一つでは、個々の蓄電モジュールの出力状態(即ち、基準となるゼロ電位に対する個々の蓄電モジュールの出力面の電位。以下、単に「蓄電モジュールの電圧」ともいう。)を監視するべく、個々の蓄電モジュールの出力面に接触している導電板にバスバ等の検知用端子を接続し、この検知用端子を介して個々の蓄電モジュールの電圧を測定するようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような構造を有する蓄電装置内の導電板に実際にバスバ等を接続するにあたっては、蓄電モジュールや導電板が薄板状の形状を有することから接続用の他の部品(例えば、ボルト締結用のボルト等)を設置するスペースを確保することが難しい。そこで、上述した従来の蓄電装置では、導電板の側縁部に検知用端子を挿し込むための挿入穴を設け、蓄電モジュールと導電板を積層した積層体の側方から個々の導電板の挿入穴に検知用端子を挿し込むことで、導電板と検知用端子とを接続するようになっている。しかし、この従来の接続法では、検知用端子の挿し込みにあたって導電板の挿入穴と検知用端子との位置合わせが煩雑であることから、接続作業の作業性を向上させ難い。
【0005】
本発明の目的の一つは、検知対象との導電接続における作業性に優れた導電モジュール、及び、その導電モジュールを用いた蓄電装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る導電モジュール及び蓄電装置は、以下を特徴としている。
【0007】
導電板と、
前記導電板に導通接続される第1箇所を有する電圧検知端子と、
測温素子と、前記測温素子を保持するケースと、を有する測温器と、
前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部と、前記測温器が収容される測温器収容凹部と、を有し、前記導電板に組み付けられる板状のハウジングと、
前記測温器収容凹部の凹溝内に配置される伝熱性の充填材と、
前記端子収容凹部に収容されている前記電圧検知端子の前記第1箇所を覆わない仮係止位置と、前記第1箇所を覆う本係止位置と、にて前記ハウジングに係止可能なカバーと、
前記電圧検知端子の第2箇所に導通接続され且つ前記ハウジングの外部に向けて引き出される電線と、
を備える導電モジュールであって、
前記ハウジングは、
前記測温器収容凹部の前記凹溝内に前記導電板の一部が露出するように、構成され、
前記充填材は、
前記測温素子と前記導電板の前記一部との双方に接触するように配置される、
導電モジュールであること。
【0008】
前記導電モジュールと、
前記導電モジュールが積層される充放電可能な蓄電モジュールと、
を備える、蓄電装置であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る導電モジュール及び蓄電装置によれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0010】
更に、測温器をハウジングの測温器収容凹部に収容することで、測温器の測温素子と、測温器収容凹部の凹溝内に露出している導電板の一部と、を共に凹溝内に配置させるとともに、測温素子と導電板の一部との双方に接触するように、その凹溝内に伝熱性の充填材(例えば、充填時には軟性であり且つ時間経過によって硬化するシール材)が配置される。これにより、単に測温素子と導電板とを隣り合わせに配置する場合に比べ、両者の間に伝熱の妨げとなる空気層が存在し難くなる。これにより、導電板の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置において、導電板を通じて伝達される蓄電モジュールの温度)を、測温器が精度良く測定することができる。
【0011】
したがって、本発明に係る導電モジュール及び蓄電装置は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本発明に係る導電モジュール及び蓄電装置は、測温器による測温精度を向上させることができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る導電モジュールを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す導電モジュールを構成する電圧検知ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、カバーが本係止位置にて第1ハウジングに係止された状態を示す上面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す導電モジュールを構成する導電板及び第2ハウジングと、サーミスタと、を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、サーミスタが第2ハウジングに収容された状態を示す上面図である。
【
図11】
図11は、
図10に示す第2ハウジングの上面及びサーミスタ収容凹部の凹溝内にシール材がそれぞれ塗布及び充填された状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図10に示す第2ハウジングの上面及びサーミスタ収容凹部の凹溝内にシール材がそれぞれ塗布及び充填された状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る導電モジュール103、及び、導電モジュール103を用いた蓄電装置101について説明する。以下、説明の便宜上、
図1等に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0015】
図1に示すように、蓄電装置101は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール102と、隣接する蓄電モジュール102の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール103と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置101では、複数の蓄電モジュール102が導電モジュール103を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール102は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール102全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0016】
導電モジュール103は、
図1に示すように、矩形薄板状の導電板104(なお、導電板104は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板104の右側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット105と、導電板104の左側に連結された矩形薄板状の温度検知ユニット106とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。
図1~
図3(特に、
図2参照)に示すように、導電板104と電圧検知ユニット105とは、導電板104の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部104aと、電圧検知ユニット105の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部105aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板104と温度検知ユニット106とは、導電板104の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部104bと、温度検知ユニット106の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部106aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0017】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、導電板104は、
図2に示すように、上下の蓄電モジュール102と直接接触している。このため、導電板104は、上側の蓄電モジュール102の下面と下側の蓄電モジュール102の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール102から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0018】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、電圧検知ユニット105は、導電板104に接触する後述する電圧検知端子110(
図2等参照)を備える。電圧検知ユニット105は、この電圧検知端子110に接続された電線120(
図1等参照)を介して、上下の蓄電モジュール102の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール102の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。
【0019】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、温度検知ユニット106は、導電板104(より具体的には、フランジ部104b)の一部に近接配置される後述するサーミスタ170(
図1及び
図10等参照)を備える。温度検知ユニット106は、このサーミスタ170に接続された電線190(
図1等参照)を介して、導電板104(ひいては、導電板104の上下に接触している蓄電モジュール102)の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0020】
次いで、電圧検知ユニット105の具体的な構成について、
図4~
図6を参照しながら説明する。電圧検知ユニット105は、
図4に示すように、第1ハウジング140と、第1ハウジング140に収容される電圧検知端子110と、電圧検知端子110に接続され且つ第1ハウジング140に収容される電線120と、第1ハウジング140に装着されるカバー130と、を備える。
【0021】
電圧検知端子110は、第1ハウジング140に形成された後述する端子収容凹部142(
図4参照)に収容され、電線120は、第1ハウジング140に形成された後述する電線収容凹部146(
図4参照)に収容され、カバー130は、第1ハウジング140に形成された後述するカバー装着凹部141(
図4参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット105を構成する各部材について順に説明する。
【0022】
まず、電圧検知端子110について説明する。金属製の電圧検知端子110は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子110は、上方から、第1ハウジング140の端子収容凹部142に収容される。電圧検知端子110は、
図4に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分111と、第1部分111の前端部から左方に延びる矩形平板状の第2部分112と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0023】
第1部分111の先端部111a(即ち、後端側の端部)の下面には、電線120の一端部が電気的に接続されるように固定される。電線120の他端部は、蓄電装置101の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分112の先端部112a(即ち、左端側の端部)の下面には、導電板104のフランジ部104aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(
図3参照)。
【0024】
第2部分112の前端縁には、前方に突出する突起部113が形成されている。電圧検知端子110の第1ハウジング140への収容時、突起部113は、第1ハウジング140に形成された係止溝145(
図4参照)に係止されることになる。
【0025】
次いで、カバー130について説明する。カバー130は、樹脂成形品であり、右方から、第1ハウジング140のカバー装着凹部141に装着される。カバー130は、対向部131と、対向部131から後方に延びる延出部132と、で構成される。対向部131は、主として電圧検知端子110を覆って保護する機能を果たし、延出部132は、主として電線120を覆って保護する機能を果たす。
【0026】
対向部131は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部133と、一対の平板部133の前後方向に延びる右端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部134と、で構成される。対向部131は、前後方向からみて、左方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部133は、連結部134から繋がる略正方形の平板状の基部133aと、基部133aの前端部から左方に延びる矩形平板状の延出部133bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部132は、対向部131を構成する一対の平板部133のうち上側の平板部133(より具体的には、上側の基部133a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0027】
延出部132には、左右方向に延びる一対の電線保持片135が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片135は、延出部132の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部132の左端縁から更に左方に向けて突出している。カバー130の第1ハウジング140への装着時、電線保持片135は、第1ハウジング140に収容された電線120を保持する機能を果たす。
【0028】
対向部131を構成する一対の平板部133のうち下側の平板部133(より具体的には、下側の基部133a)の所定箇所には、上側の平板部133に向けて上方に突出する係止部136が形成されている(
図6参照)。係止部136は、第1ハウジング140に設けられた後述する仮被係止部154及び本被係止部155(
図6参照)との協働により、カバー130を、仮係止位置(図示省略)と、本係止位置(
図5及び
図6参照)と、に係止する機能を果たす。
【0029】
次いで、第1ハウジング140について説明する。第1ハウジング140は、樹脂成形品であり、
図1及び
図4に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。第1ハウジング140の左側端面には、右方に窪み且つ前後方向に延びる凹部105aが形成されている。凹部105aには、導電板104のフランジ部104aが嵌合されることになる(
図2等参照)。
【0030】
第1ハウジング140の上下面におけるカバー130が装着される箇所には、カバー130の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部141が形成されている(
図4参照)。カバー装着凹部141の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー130(対向部131+延出部132)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー130の第1ハウジング140への装着時、第1ハウジング140の表面とカバー130の表面とは、面一になる(
図1及び
図5参照)。
【0031】
第1ハウジング140の上面側のカバー装着凹部141の底面141aにおける電圧検知端子110が収容される箇所には、電圧検知端子110の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部142が形成されている(
図4参照)。端子収容凹部142の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子110の板厚と等しい。よって、電圧検知端子110の第1ハウジング140への装着時、電圧検知端子110の上面と、カバー装着凹部141の底面141aとは、面一になる。
【0032】
第1ハウジング140の左端縁における、電圧検知端子110の先端部112aが配置される前後方向位置には、右方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き143が形成されている。第1ハウジング140の左側端面にて前後方向に延びる凹部105aは、切欠き143によって分断されている。電圧検知端子110の第1ハウジング140への収容時、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、切欠き143によって露出することになる。
【0033】
端子収容凹部142における電圧検知端子110の先端部111aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔144が形成されている。電圧検知端子110の第1ハウジング140への収容時、貫通孔144には、電圧検知端子110に接続された電線120の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔144は、端子収容凹部142の底面142aと電線120の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0034】
端子収容凹部142における、電圧検知端子110の突起部113(
図4参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部113に対応して、前方へ窪み且つ凹部105aと連通する係止溝145が形成されている(
図4参照)。
【0035】
第1ハウジング140の上面における電線120が収容される箇所には、電線120が収容される際の電線120の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部146が形成されている(
図4参照)。電線収容凹部146は、前後方向に延びる一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部147と、一対のストレート部147を繋ぐと共に右方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部148と、で構成される一連の溝部である。一対のストレート部147のうち前側のストレート部147の前端は、端子収容凹部142と連通し、一対のストレート部147のうち後側のストレート部147の後端は、第1ハウジング140の後端縁から電線120が延出する電線引出口149を構成している。このように、電線収容凹部146が屈曲部148を有することで、電線収容凹部146がストレート部147のみで構成される場合に比べ、第1ハウジング140から引き出された電線120に意図しない外力が及んでも、屈曲部148と電線120との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子110と電線120との接点に大きな外力が及び難い。
【0036】
一対のストレート部147における屈曲部148との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部147より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部151が設けられている。幅狭凹部151の幅は、電線120の外径より僅かに小さい。このため、電線120を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部151に電線120を挟持することで、第1ハウジング140から引き出された電線120に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部151と電線120との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子110と電線120との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部148から電線120が抜け出して屈曲部148をまたぐ(即ち、屈曲部148をショートカットする)ように電線120が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0037】
第1ハウジング140の上面側のカバー装着凹部141の底面141aにおける、カバー130の一対の電線保持片135が配置される箇所には、
図4に示すように、一対の電線保持片135に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部152が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部152は、電線収容凹部146の屈曲部148の屈曲頂点148a(
図4参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部152の底面は、電線収容凹部146の底面より上側に位置している。
【0038】
各電線保持片凹部152は、第1ハウジング140の上面の右端縁から、電線収容凹部146を横断して、カバー装着凹部141の左端内壁141b(
図4参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部141の左端内壁141bにおける一対の電線保持片凹部152が接続する箇所には、それぞれ、左方に向けて窪む格納穴153が形成されている(
図4参照)。カバー130の第1ハウジング140への装着時、一対の格納穴153には、カバー130の一対の電線保持片135の延出端部(即ち、左側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0039】
第1ハウジング140の下面側のカバー装着凹部141の底面141aにおける、カバー130の係止部136が配置される箇所と同じ前後方向位置には、
図6に示すように、上方に向けて窪む凹部である仮被係止部154、及び本被係止部155が、この順に、右から左に間隔を空けて並ぶように形成されている。以上、電圧検知ユニット105を構成する各部材について説明した。
【0040】
次いで、温度検知ユニット106の具体的な構成について、
図7~
図14を参照しながら説明する。温度検知ユニット106は、
図7に示すように、第2ハウジング160と、第2ハウジング160に収容されるサーミスタ170と、サーミスタ170に接続される電線190と、を備える。サーミスタ170は、第2ハウジング160に形成された後述するサーミスタ収容凹部161(
図7等参照)に収容される。以下、温度検知ユニット106を構成する各部材について順に説明する。サーミスタ170は、本発明における「測温器」に相当し、サーミスタ素子171は、本発明における「測温素子」に相当する。
【0041】
まず、第2ハウジング160について説明する。第2ハウジング160は、樹脂成形品であり、
図1及び
図7等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。第2ハウジング160の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部106aが形成されている(
図2、
図13及び
図14参照)。凹部106aには、導電板104のフランジ部104bが嵌合されることになる(
図2、
図13及び
図14参照)。
【0042】
前後方向に延びる第2ハウジング160の後端近傍の上面には、サーミスタ170の全体形状に対応する形状を有して窪むサーミスタ収容凹部161が形成されている(
図7参照)。サーミスタ収容凹部161の窪み深さ(上下方向の深さ)は、サーミスタ170の厚さ(上下方向の長さ)に対応している。よって、サーミスタ170の第2ハウジング160への装着時、第2ハウジング160の表面とサーミスタ170の表面とは、面一になる(
図1及び
図10等参照)。
【0043】
サーミスタ収容凹部161は、
図7等に示すように、左右方向に沿って延びる第1凹部162と、第1凹部162の左端部から後方且つ左方に向いた傾斜方向(以下、「長手方向」と呼ぶ)に沿って延びる第2凹部163と、で構成されている。第1凹部162の右端部は、第2ハウジング160の前後方向に延びる凹部106aの前後方向の一部と連通している。このため、凹部106aに導電板104のフランジ部104bが嵌合されることで、導電板104のフランジ部104bの前後方向の一部(以下、単に「導電板104の一部104b」と呼ぶこともある。)が第1凹部162の右端部の凹溝内に露出することになる(
図7及び
図10等参照)。
【0044】
図7等に示すように、長手方向に延びる第2凹部163の長手方向の一方側の端部は、第1凹部162の左端部と連通しており、第2凹部163の長手方向の他方側の端部は、連通凹部164を介して第2ハウジング160の外部と連通している。第1凹部162の窪み深さ(上下方向の深さ)は、第2凹部163の窪み深さ(上下方向の深さ)よりも小さい(
図13参照)。第1凹部162の底面は、凹部106aの下側の内壁面と段差なく連続している(
図13参照)。第2凹部163の底面における長手方向中央部には、サーミスタ170の後述するケース172に設けられた一対の保持部174(より具体的には、一対の横壁部176。
図8等参照)に対応する形状を有し且つ上下方向に貫通する貫通孔165が形成されている(
図7参照)。第2凹部163の両側内面における貫通孔165の前後に隣接する4つの位置には、サーミスタ170のケース172に設けられた4本の係止突起179(
図7等参照)に対応して、第2凹部163の幅方向(長手方向に直交する方向)の外側に窪む係止孔166がそれぞれ形成されている。
【0045】
次いで、サーミスタ170について説明する。
図10等に示すように、サーミスタ170は、サーミスタ収容凹部161の第2凹部163に収容されることになる。このため、サーミスタ170は、第2凹部163の長手方向に対応する長手方向を有する形状を有しており、測温素子を構成するサーミスタ素子171と、サーミスタ素子171を保持するケース172と、で構成されている(
図7及び
図8等参照)。サーミスタ素子171は、本例では、長手方向に延びる略直方体状の形状を有している(
図8等参照)。サーミスタ素子171の長手方向の他端部からは、電線190が延出している。
【0046】
ケース172は、樹脂製であり、
図8等に示すように、長手方向に延びる矩形平板状の天板部173と、天板部173の幅方向両縁部の長手方向中央部から下方に向けて延びる一対の保持部174と、を備える。天板部173は、サーミスタ収容凹部161の第2凹部163へのサーミスタ170の収容時、第2凹部163の開口を塞ぐ機能を果たし(
図10等参照)、一対の保持部174は、サーミスタ素子171を保持する機能を果たす。
【0047】
一対の保持部174は、より具体的には、
図8及び
図9に示すように、天板部173の幅方向両縁部から下方に向けて延びる一対の平板状の縦壁部175と、一対の縦壁部175の延出端(下端)から幅方向内側へ向けて延びる一対の平板状の横壁部176と、を備える。一対の横壁部176の延出端(幅方向内側端)同士の間には、幅方向の隙間が存在している。一対の保持部174には、一対の横壁部176の後端縁と天板部173とを上下方向に連結し且つ一対の縦壁部175の後端縁にも連結するように上下方向及び幅方向に延びる、一対の平板状の奥壁部177が設けられている(
図9参照)。一対の奥壁部177の幅方向内側端同士の間にも、幅方向の隙間が存在している。更に、一対の保持部174には、サーミスタ素子171を係止するための一対の係止突起178が、一対の縦壁部175の幅方向内側面から幅方向内側に向けて延びるように設けられている(
図9参照)。
【0048】
天板部173の幅方向両側縁における一対の保持部174の前後に隣接する4つの位置には、4本の係止突起179が下方に突出するようにそれぞれ形成されている。天板部173の後端縁の幅方向両端部には、一対の平板状の後壁部181が下方に突出するように形成されている。更に、天板部173の後端縁の幅方向中央部には、平板状の延出板部182が後方に更に延出するように形成されている。延出板部182は、サーミスタ収容凹部161の第2凹部163へのサーミスタ170の収容時、連通凹部164の開口を塞ぐ機能を果たす(
図10等参照)、
【0049】
サーミスタ素子171をケース172に組み付ける(ケース172の一対の保持部174に保持させる)ためには、まず、サーミスタ素子171全体が一対の保持部174より長手方向の一方側に配置された状態で、サーミスタ素子171から後方に向けて延びる電線190が、一対の横壁部176及び一対の奥壁部177の間の上記隙間、及び、一対の後壁部181の間の隙間に挿入される。次いで、サーミスタ素子171が、長手方向の一方側から他方側に向けて、一対の保持部174(=縦壁部175+横壁部176)により画成される空間内に挿入される。この挿入の過程において、一対の係止突起178がサーミスタ素子171の両側外面上を摺動しながら、サーミスタ素子171が前記空間内を長手方向の他方側に相対的に移動していく。そして、サーミスタ素子171の長手方向の他方側の端が一対の奥壁部177に当接すると、サーミスタ素子171のケース172への組み付けが完了し、サーミスタ素子171が、一対の係止突起178により幅方向に挟まれるように係止され保持される(
図8及び
図9参照)。サーミスタ素子171のケース172への組付完了状態では、
図7及び
図8等に示すように、サーミスタ素子171の長手方向の一方側の端部が、ケース172(より具体的には、天板部173)の長手方向の一方側の端より長手方向の一方側に突出して外部に露出している。以上、温度検知ユニット106を構成する各部材について説明した。
【0050】
次いで、導電モジュール103の組み付け手順について説明する。まず、電圧検知ユニット105の導電板104への組み付け手順について説明する。電圧検知ユニット105を導電板104へ組み付けるためには、まず、電圧検知端子110及びカバー130を第1ハウジング140へ組み付けて電圧検知ユニット105を完成し、その後、完成した電圧検知ユニット105を導電板104に連結する。
【0051】
電圧検知端子110及びカバー130を第1ハウジング140へ組み付けるためには、まず、電線120があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子110を、第1ハウジング140の端子収容凹部142に収容する。このため、突起部113が係止溝145に進入し且つ電線120の一端部(接点)が貫通孔144に進入するように、電圧検知端子110が、上方から、第1ハウジング140の端子収容凹部142に嵌め込まれる。電圧検知端子110の第1ハウジング140への収容が完了した状態では、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、切欠き143によって露出している。
【0052】
次いで、第1ハウジング140に収容された電圧検知端子110から延びる電線120を、第1ハウジング140の電線収容凹部146に収容する。このため、電線120が、上方から、一対のストレート部147及び屈曲部148から構成される電線収容凹部146に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部151の上部に位置する電線120の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電線120の一対の部分が一対の幅狭凹部151の内部に収容される。電線120の第1ハウジング140への収容が完了した状態では、電線120は、電線引出口149から後方へ向けて第1ハウジング140の外部に延出している。
【0053】
次いで、カバー130を第1ハウジング140に装着する。このため、カバー130の対向部131が第1ハウジング140の上下面のカバー装着凹部141を上下に挟むように、且つ、カバー130の延出部132が第1ハウジング140の上面側のカバー装着凹部141を覆うように、且つ、カバー130の一対の電線保持片135が第1ハウジング140の一対の電線保持片凹部152に収容されるように、カバー130が、右方から、第1ハウジング140のカバー装着凹部141に装着される。
【0054】
カバー130が第1ハウジング140に装着される過程において、カバー130の係止部136は、まず、第1ハウジング140の下面側のカバー装着凹部141の底面141a上を摺動し、その後、仮被係止部154の内部に進入して仮被係止部154と係合する。これにより、カバー130が仮係止位置にて第1ハウジング140に係止されて、カバー130の第1ハウジング140への装着が完了し、電圧検知ユニット105が得られる。なお、後述するように、カバー130の第1ハウジング140への装着が完了して(カバー130が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット105は、導電モジュール103(
図1参照)の組み立てに供されることになる。
【0055】
カバー130が仮係止位置に係止された状態では、カバー130の対向部131(より具体的には、上下一対の延出部133b)が、電圧検知端子110の先端部112aを覆っていない。このため、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、なおも切欠き143によって露出している。
【0056】
更に、カバー130の一対の電線保持片135が電線収容凹部146のストレート部147及び屈曲部148の一部の開口上に配置される。これにより、電線120が電線収容凹部146から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片135の延出端部が一対の格納穴153に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片135の位置ズレや一対の電線保持片135が電線収容凹部146から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー130の延出部132が電線収容凹部146の屈曲部148の屈曲頂点148aの開口上に配置される。これにより、電線収容凹部146から電線120が抜け出して屈曲部148をまたぐ(即ち、屈曲部148をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電線120が電線収容凹部146の屈曲部148から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0057】
カバー130が仮係止位置に係止された状態にて、第1ハウジング140に対してカバー130を更に左方に押し込むと、カバー130の一対の電線保持片135の延出端部が一対の格納穴153内に更に進入して格納されると共に、カバー130の係止部136が、仮被係止部154を乗り越え、その後、本被係止部155の内部に進入して本被係止部155と係合する(
図6参照)。これにより、カバー130が本係止位置にて第1ハウジング140に係止される。
【0058】
カバー130が本係止位置に係止された状態では、
図5及び
図6に示すように、カバー装着凹部141の全域がカバー130によって覆われることで、電線収容凹部146の全体がカバー130の延出部132によって覆われている。これにより、電線収容凹部146から電線120が抜け出すことが抑制される。更に、
図6に示すように、カバー130の対向部131(より具体的には、上下一対の延出部133b)が、電圧検知端子110の先端部112aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子110の全体がカバー130の対向部131によって覆われるので、電圧検知端子110が確実に保護され得る。
【0059】
上述したように、カバー130の第1ハウジング140への装着が完了して(カバー130が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット105は、導電モジュール103(
図1参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、
図2及び
図3に示すように、導電板104のフランジ部104aと電圧検知ユニット105の凹部105aとが嵌合されることで、導電板104の右側に電圧検知ユニット105が連結される。
【0060】
この状態では、
図3から理解できるように、導電板104のフランジ部104aの一部が電圧検知端子110の先端部112aの下側に重なるように配置されており、第1ハウジング140の切欠き143の存在に起因して、電圧検知端子110の先端部112aの上面が上方に露出し、且つ、導電板104のフランジ部104aの一部の下面が下方に露出している。
【0061】
次いで、上方に露出する電圧検知端子110の先端部112aの上面と、下方に露出する導電板104のフランジ部104aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子110の先端部112aと導電板104のフランジ部104aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー130が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット105の導電板104への組み付けが完了する。
【0062】
次いで、温度検知ユニット106の導電板104への組み付け手順について説明する。温度検知ユニット106を導電板104へ組み付けるためには、まず、第2ハウジング160を導電板104に連結し、その後、サーミスタ170を第2ハウジング160へ組み付ける。
【0063】
第2ハウジング160を導電板104に連結するためには、
図7に示すように、導電板104のフランジ部104bと第2ハウジング160の凹部106aとが嵌合される。これにより、導電板104の左側に第2ハウジング160が連結される。導電板104と第2ハウジング160とが互いに連結された状態では、サーミスタ収容凹部161の第1凹部162の右端部が凹部106aの前後方向の一部と連通していることに起因して、導電板104の一部104bが第1凹部162の右端部の凹溝内に露出している(
図7及び
図10参照)。
【0064】
次いで、サーミスタ170が第2ハウジング160へ組み付けられる。このため、ケース172の一対の保持部174(より具体的には、一対の横壁部176)が貫通孔165に進入し、且つ、天板部173がサーミスタ収容凹部161の第2凹部163の開口を塞ぎ、且つ、延出板部182が連通凹部164の開口を塞ぎ、且つ、サーミスタ素子171から延びる電線190が連通凹部164を介して第2ハウジング160の外部へ延出し、且つ、ケース172の4本の係止突起179が第2凹部163の4つの係止孔166にそれぞれ係止されるように、サーミスタ素子171が保持されたケース172が、上方から、第2凹部163に嵌め込まれる。
【0065】
サーミスタ170の第2ハウジング160への収容が完了した状態では、
図10に示すように、サーミスタ素子171のほうがケース172よりも第1凹部162の凹溝内に露出する導電板104の一部104bにより近い位置に配置されており、サーミスタ素子171の長手方向の一方側の端部が、導電板104の一部104bに近接配置された状態で、第1凹部162及び第2凹部163の境界部の凹溝内に露出している。即ち、サーミスタ170は、サーミスタ素子171が導電板104に近づくように前後方向に対して傾いた姿勢で、ハウジング160に収容されている。換言すれば、導電板104の一部104bと、サーミスタ素子171の長手方向の一方側の端部とが、サーミスタ収容凹部161の凹溝内にて、互いに近接配置された状態で露出している。
【0066】
次いで、
図11~
図14に示すように、適度な粘性を有する伝熱性のシール材183が、第2ハウジング160の上下面に塗布され、且つ、サーミスタ収容凹部161の凹溝内(より具体的には、当該凹溝内における、サーミスタ170及び導電板104の一部104bが占める領域を除いた隙間領域)に充填される。シール材183を構成する材料の伝熱性のほうが、第2ハウジング160を構成する材料の伝熱性よりも、優れている。シール材183は、充填時には十分な軟性を有しており、且つ、時間経過によって硬化する。本例では、更に、第2ハウジング160の上下面の各々に、シール材183が、左右方向に間隔を開けて前後方向に延びる一対の帯状に塗布されている(
図11参照)。ここで、
図14に示すように、サーミスタ収容凹部161の凹溝内に充填されたシール材183の後方側(サーミスタ170の長手方向の他方側。
図14では左側)への移動が、ケース172に設けられた一対の奥壁部177により堰き止められるため、サーミスタ収容凹部161の凹溝内に充填されたシール材183が連通凹部164を介して第2ハウジング160の外部へ漏出することが抑制される。
【0067】
このように、シール材183がサーミスタ収容凹部161の凹溝内に充填されることで、
図13に示すように、シール材183は、サーミスタ収容凹部161内の凹溝内にて露出するサーミスタ素子171と導電板104の一部104bとの双方に接触する。これにより、単にサーミスタ素子171と導電板104の一部104bとを隣り合わせに配置する場合に比べ、両者の間に伝熱の妨げとなる空気層が存在し難くなる。これにより、導電板104の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置101において、導電板104を通じて伝達される蓄電モジュール102の温度)を、サーミスタ170が精度良く測定することができる。更に、サーミスタ素子171のほうがケース172よりも導電板104の一部104bにより近い位置に配置されているので、サーミスタ素子171と導電板104の一部104bとの間に伝熱性を損ない得るケース172が配置されないことになる。よって、サーミスタ170による測温精度を更に向上させることができる。なお、シール材183には、サーミスタ170が意図せずサーミスタ収容凹部161から抜け出すことを抑制する効果もある。以上により、温度検知ユニット106の導電板104への組み付けが完了する。
【0068】
上述した電圧検知ユニット105の導電板104への組み付け手順、及び、温度検知ユニット106の導電板104への組み付け手順は、何れが先に実行されてもよい。上述した電圧検知ユニット105の導電板104への組み付け手順、及び、温度検知ユニット106の導電板104への組み付け手順の双方が実行されると、導電モジュール103の組み付けが完了する。
【0069】
このようにして得られた導電モジュール103は、
図1に示す蓄電装置101の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール102と導電モジュール103とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置101が得られる。
【0070】
図13に示すように、蓄電モジュール102と導電モジュール103とが上下方向に交互に積層される際、第2ハウジング160の上下面に帯状に塗布されていたシール材183は、上下に隣接する蓄電モジュール102に押し付けられることで、第2ハウジング160の上下面の略全域に亘って連続的に押し広げられる。これにより、上下に隣接する蓄電モジュール102と導電モジュール103との間のシール性(防水性)が向上する。同様に、サーミスタ収容凹部161内に充填されていたシール材183も、上側に隣接する蓄電モジュール102に押し付けられることで、サーミスタ収容凹部161内の上記隙間領域が更に高密度に埋まる。これにより、サーミスタ素子171と導電板104の一部104bとの間に伝熱の妨げとなる空気層がより一層存在し難くなる。この結果、導電板104の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置101において、導電板104を通じて伝達される蓄電モジュール102の温度)を、サーミスタ170がより一層精度良く測定することができる。
【0071】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る導電モジュール103及び蓄電装置101によれば、電線120が先端部111aに接続された電圧検知端子110を第1ハウジング140の端子収容凹部142に収容し、電圧検知端子110の先端部112aを露出させた状態でカバー130を第1ハウジング140に係止させることができる。そのため、電圧検知ユニット105を検知対象としての導電板104(例えば、積層型の蓄電装置101に用いられる導電板104等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニット105を導電板104に組み付けた上で、露出している電圧検知端子110の先端部112aを導電板104に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、導電板104と電圧検知端子110との接続の後、カバー130を本係止位置に配置すれば、電圧検知端子110の先端部112a(即ち、両者の接点)をカバー130で覆って保護することができる。
【0072】
更に、サーミスタ170を第2ハウジング160のサーミスタ収容凹部161に収容することで、サーミスタ収容凹部161の凹溝内に、サーミスタ素子171と導電板104の一部104bとを配置させるとともに、サーミスタ素子171と導電板104の一部104bとの双方に接触するように、その凹溝内に伝熱性のシール材183が配置される。これにより、単にサーミスタ素子171と導電板104とを隣り合わせに配置する場合に比べ、両者の間に伝熱の妨げとなる空気層が存在し難くなる。これにより、導電板104の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置101において、導電板104を通じて伝達される蓄電モジュール102の温度)を、サーミスタ170が精度良く測定することができる。
【0073】
したがって、本実施形態に係る導電モジュール103及び蓄電装置101は、検知対象である導電板104との導電接続における作業性に優れる。更に、本実施形態に係る導電モジュール103及び蓄電装置101は、サーミスタ170による測温精度を向上させることができる。
【0074】
更に、サーミスタ170が、サーミスタ素子171のほうがケース172よりも導電板104に近い姿勢にて、第2ハウジング160のサーミスタ収容凹部161に収容されるので、サーミスタ素子171と導電板104との間に伝熱性を損ない得るケース172が配置されない。よって、サーミスタ170による測温精度を更に向上させることができる。
【0075】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0076】
ここで、上述した本発明に係る導電モジュール103及び蓄電装置101の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[3]に簡潔に纏めて列記する。
【0077】
[1]
導電板(104)と、
前記導電板(104)に導通接続される第1箇所(112a)を有する電圧検知端子(110)と、
測温素子(171)と、前記測温素子(171)を保持するケース(172)と、を有する測温器(170)と、
前記電圧検知端子(110)が収容される端子収容凹部(142)と、前記測温器(170)が収容される測温器収容凹部(161)と、を有し、前記導電板(104)に組み付けられる板状のハウジング(140,160)と、
前記測温器収容凹部(161)の凹溝内に配置される伝熱性の充填材(183)と、
前記端子収容凹部(142)に収容されている前記電圧検知端子(110)の前記第1箇所(112a)を覆わない仮係止位置と、前記第1箇所(112a)を覆う本係止位置と、にて前記ハウジング(140)に係止可能なカバー(130)と、
前記電圧検知端子(110)の第2箇所(111a)に導通接続され且つ前記ハウジング(140)の外部に向けて引き出される電線(120)と、
を備える導電モジュール(103)であって、
前記ハウジング(160)は、
前記測温器収容凹部(161)の前記凹溝内に前記導電板(104)の一部が露出するように、構成され、
前記充填材(183)は、
前記測温素子(171)と前記導電板(104)の前記一部との双方に接触するように配置される、
導電モジュール(103)。
【0078】
上記[1]の構成の導電モジュールによれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象としての導電板(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを導電板に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を導電板に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、導電板と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0079】
更に、測温器をハウジングの測温器収容凹部に収容することで、測温器の測温素子と、測温器収容凹部の凹溝内に露出している導電板の一部と、を共に凹溝内に配置させるとともに、測温素子と導電板の一部との双方に接触するように、その凹溝内に伝熱性の充填材(例えば、充填時には軟性であり且つ時間経過によって硬化するシール材)が配置される。これにより、単に測温素子と導電板とを隣り合わせに配置する場合に比べ、両者の間に伝熱の妨げとなる空気層が存在し難くなる。これにより、導電板の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置において、導電板を通じて伝達される蓄電モジュールの温度)を、測温器が精度良く測定することができる。
【0080】
したがって、本構成の導電モジュールは、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の導電モジュールは、測温器による測温精度を向上させることができる。
【0081】
[2]
上記[1]に記載の導電モジュール(103)において、
前記測温器(170)は、
前記測温素子(171)のほうが前記ケース(172)よりも前記導電板(104)に近い姿勢にて、前記ハウジング(160)の前記測温器収容凹部(161)に収容される、
導電モジュール(103)。
【0082】
上記[2]の構成の導電モジュールによれば、測温素子と導電板との間に伝熱性を損ない得るケースが配置されないことになる。よって、測温器による測温精度を更に向上させることができる。
【0083】
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の導電モジュール(103)と、
前記導電モジュール(103)が積層される充放電可能な蓄電モジュール(102)と、
を備える、蓄電装置(101)。
【0084】
上記[3]の構成の蓄電装置によれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象としての導電板(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを導電板に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を導電板に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、導電板と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0085】
更に、測温器をハウジングの測温器収容凹部に収容することで、測温器の測温素子と、測温器収容凹部の凹溝内に露出している導電板の一部と、を共に凹溝内に配置させるとともに、測温素子と導電板の一部との双方に接触するように、その凹溝内に伝熱性の充填材(例えば、充填時には軟性であり且つ時間経過によって硬化するシール材)が配置される。これにより、単に測温素子と導電板とを隣り合わせに配置する場合に比べ、両者の間に伝熱の妨げとなる空気層が存在し難くなる。これにより、導電板の温度(換言すると、例えば、積層型の蓄電装置において、導電板を通じて伝達される蓄電モジュールの温度)を、測温器が精度良く測定することができる。
【0086】
したがって、本構成の蓄電装置は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の蓄電装置は、測温器による測温精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0087】
101 蓄電装置
102 蓄電モジュール
103 導電モジュール
104 導電板
110 電圧検知端子
111a 先端部(第2箇所)
112a 先端部(第1箇所)
120 電線
130 カバー
140 第1ハウジング(ハウジング)
142 端子収容凹部
160 第2ハウジング(ハウジング)
161 サーミスタ収容凹部(測温器収容凹部)
170 サーミスタ(測温器)
171 サーミスタ素子(測温素子)
172 ケース
183 シール材(充填材)