(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005849
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】作業車両用の高所電装品着脱治具、及び作業機
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20250109BHJP
B62D 21/18 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
B60R11/02 A
B62D21/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106248
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴川 めぐみ
(72)【発明者】
【氏名】茶畑 亮
【テーマコード(参考)】
3D020
3D203
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB06
3D020BC18
3D203AA23
3D203BB54
3D203BB56
3D203BB59
3D203DA02
3D203DA13
3D203DA38
(57)【要約】
【課題】本発明は、作業車両の高所位置に対して電装品を容易に着脱することのできる作業車両用の高所電装品着脱治具を提供する。
【解決手段】本発明は、作業車両との相対的な位置関係が一定又は略一定の基準位置に設置された状態で上下方向に延びて起立する支柱と、支柱の長手方向と直交する方向に延びるアーム体であって、支柱に沿って移動可能なアーム体と、作業車両の高所位置に固定された電装ベースに対して上下方向と直交する仮想水平面に沿う接続方向で電気的且つ物理的に接続可能な電装本体を保持可能な保持機構であって、アームに支持された保持機構と、を備え、保持機構は、少なくともアーム体が上昇した状態で仮想水平面に沿って移動可能に構成され、保持した電装本体と電装ベースとが接続される接続位置と、保持した電装本体と電装ベースとの接続が解除される解除位置とに位置変更可能に構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両との相対的な位置関係が一定又は略一定の基準位置に設置された状態で上下方向に延びて起立する支柱と、
前記支柱の長手方向と直交する方向に延びるアーム体であって、前記支柱に沿って移動可能なアーム体と、
前記作業車両の高所位置に固定された電装ベースに対して前記上下方向と直交する仮想水平面に沿う接続方向で電気的且つ物理的に接続可能な電装本体を保持可能な保持機構であって、前記アームに支持された保持機構と、を備え、
前記保持機構は、少なくとも前記アーム体が上昇した状態で前記仮想水平面に沿って移動可能に構成され、保持した前記電装本体と前記電装ベースとが接続される接続位置と、保持した前記電装本体と前記電装ベースとの接続が解除される解除位置とに位置変更可能に構成される作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項2】
前記アーム体は、
前記上下方向に延びる軸線周りで回転可能な基端部と、前記基端部の反対側の先端部と、を有し、
前記軸線周りの回転により、前記保持機構を前記仮想水平面に沿って移動させる請求項1に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項3】
前記アーム体は、前記起立した前記支柱を中心に回転する請求項2に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項4】
前記アーム体を上昇位置と下降位置との間で昇降させる昇降装置を備える請求項3に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項5】
前記基準位置で前記支柱を支持する支持手段を備え、
前記支柱の少なくとも下端側が円筒状に形成され、
前記支持手段は、少なくとも前記支柱の下端側を回転可能に支持する請求項4に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項6】
前記支持手段は、前記作業車両の側方位置に配置される請求項5に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項7】
前記支持手段は、
前記作業車両に連結された第一支持体であって、起立した前記支柱の下端部を受ける第一支持体と、
前記作業車両に連結された第二支持体であって、前記第一支持体に対して前記上下方向に間隔をあけて設置され、前記起立した前記支柱の下端部よりも上方側を支持する第二支持体と、を含む請求項6に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項8】
前記第一支持体は、前記支柱の前記下端部の内穴に挿入される円錐状又は円錐台状の支持台を有し、
前記第二支持体は、前記支柱が回転可能な状態で該支柱の周囲を包囲可能に構成される請求項7に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項9】
前記保持機構は、前記電装本体と前記電装ベースとの接続に伴って、姿勢及び位置の少なくとも何れか一方を変更可能に構成される請求項8に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具。
【請求項10】
作業車両と、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の作業車両用の高所電装品着脱治具と、を備え、前記支柱は、前記基準位置に設置された状態で前記作業車両に支持される作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の高所位置に対して電装品を着脱するための作業車両用の高所電装品着脱治具、及びこれを備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農業用や建設用等の種々の作業車両が提供されている。これらの作業車両において、高所位置に電装品が装備されることがある。具体的には、作業車両の用途や機能に応じ、測位用のGPSアンテナや、通信用のポールアンテナ、照明装置(ヘッドライトや投光器)等の電装品が、作業車両の高所位置(例えば、運転席を覆うキャビンのルーフの上方)に取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業車両は、盗難防止や外的環境からの保護等の観点で、未使用時には、倉庫や、ガレージ、納屋等といった屋根付きの建屋(保管場所)内に保管される。
【0005】
しかしながら、上記のように作業車両の高所位置に電装品が取り付けられていると、建屋の出入口で電装品が干渉してしまう。すなわち、作業車両に取り付けられた電装品が、建屋の出入口の高さ制限を超える高所位置にあると、作業車両が建屋の出入口を通過できず、建屋に対して作業車両を出し入れできない状態になる。そのため、建屋に対して作業車両を出し入れする際(作業車両が建屋の出入口を通過する際)、予め電装品を取り外す作業が必要になるが、作業車両の多くは、大型であるため、梯子や脚立を用いて高所位置にアクセスする必要がある。従って、作業車両の高所位置に対する電装品の着脱作業は、煩雑であり、また危険を伴う作業になる。
【0006】
そこで、本発明は、作業車両の高所位置に対して電装品を容易に着脱することのできる作業車両用の高所電装品着脱治具及び作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業車両用の高所電装品着脱治具は、作業車両との相対的な位置関係が一定又は略一定の基準位置に設置された状態で上下方向に延びて起立する支柱と、前記支柱の長手方向と直交する方向に延びるアーム体であって、前記支柱に沿って移動可能なアーム体と、前記作業車両の高所位置に固定された電装ベースに対して前記上下方向と直交する仮想水平面に沿う接続方向で電気的且つ物理的に接続可能な電装本体を保持可能な保持機構であって、前記アームに支持された保持機構と、を備え、前記保持機構は、少なくとも前記アーム体が上昇した状態で前記仮想水平面に沿って移動可能に構成され、保持した前記電装本体と前記電装ベースとが接続される接続位置と、保持した前記電装本体と前記電装ベースとの接続が解除される解除位置とに位置変更可能に構成される。
【0008】
前記アーム体は、前記上下方向に延びる軸線周りで回転可能な基端部と、前記基端部の反対側の先端部と、を有し、前記軸線周りの回転により、前記保持機構を前記仮想水平面に沿って移動させるようにしてもよい。
【0009】
前記アーム体は、前記起立した前記支柱を中心に回転するようにしてもよい。
【0010】
作業車両用の高所電装品着脱治具は、前記アーム体を上昇位置と下降位置との間で昇降させる昇降装置を備えてもよい。
【0011】
作業車両用の高所電装品着脱治具は、前記基準位置で前記支柱を支持する支持手段を備え、前記支柱の少なくとも下端側が円筒状に形成され、前記支持手段は、少なくとも前記支柱の下端側を回転可能に支持するようにしてもよい。
【0012】
前記支持手段は、前記作業車両の側方位置に配置されてもよい。
【0013】
前記支持手段は、前記作業車両に連結された第一支持体であって、起立した前記支柱の下端部を受ける第一支持体と、前記作業車両に連結された第二支持体であって、前記第一支持体に対して前記上下方向に間隔をあけて設置され、前記起立した前記支柱の下端部よりも上方側を支持する第二支持体と、を含んでもよい。
【0014】
前記第一支持体は、前記支柱の前記下端部の内穴に挿入される円錐状又は円錐台状の支持台を有し、前記第二支持体は、前記支柱が回転可能な状態で該支柱の周囲を包囲可能に構成されてもよい。
【0015】
前記保持機構は、前記電装本体と前記電装ベースとの接続に伴って、姿勢及び位置の少なくとも何れか一方を変更可能に構成されてもよい。
【0016】
本発明に係る作業機は、作業車両と、上記の何れかの作業車両用の高所電装品着脱治具と、を備え、前記支柱は、前記基準位置に設置された状態で前記作業車両に支持される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、作業車両の高所位置に対して電装品を容易に着脱できるといった優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る作業機の側面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態にかかる作業機の平面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る作業機における作業車両の高所位置の概略拡大図である。
【
図4】
図4は、作業車両の高所位置に取り付けられる電装品の斜視図である。
【
図5】
図5は、作業車両の高所位置に取り付けられる電装品の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、作業車両の高所位置に取り付けられる電装品の一部断面を含む側面図である。
【
図7】
図7は、作業車両の高所位置に取り付けられる電装品の一部断面を含む側面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の側面図であって、作業車両に支持された状態の側面図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の正面図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の保持機構の平面図であって、電装品(電装本体)を取り外す際の状態を示す平面図である。
【
図11】
図11は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の保持機構の平面図であって、電装品(電装本体)を取り付ける際の状態を示す平面図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の支持手段(第一支持体)の断面図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の支持手段(第二支持体)の平面断面図である。
【
図14】
図14は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の動作説明図である。
【
図15】
図15は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の動作説明図である。
【
図16】
図16は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の保持機構の平面図であって、電装品(電装本体)を保持した状態の平面図である。
【
図17】
図17は、同実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の保持機構の概略側面図であって、電装品(電装本体)を保持した状態の概略側面図である。
【
図18】
図18は、本発明の他実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の保持機構の概略平面図である。
【
図19】
図19は、本発明の別の実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の保持機構及びその近傍を含む概略平面図である。
【
図20】
図20は、本発明のさらに別の実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の一部を省略した正面図である。
【
図21】
図21は、本発明のさらに別の実施形態に係る作業車両用の高所電装品着脱治具の一部を省略した正面図である。
【
図22】
図22は、本発明のさらに別の実施形態に係る電装品の部分拡大断面図であって、電装ベースと電装本体を連結する機構部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る作業機1は、作業車両2と、作業車両2用の高所電装品着脱治具(以下、単に着脱治具という)3と、を備える。
【0021】
図1に示すように、作業車両2は、車体フレーム20と、車体フレーム20を走行可能に支持する走行装置21と、走行装置21を駆動する原動機22とを備える。さらに、作業車両2は、当該作業車両2を操作する操作部23と、操作部23を操作するオペレータ(運転者)が着座する運転席24と、操作部23及び運転席24を収容するキャビン25とを備える。本実施形態において、作業車両2は、農業用のトラクタである。これに伴って、作業車両2は、作業装置を連結する三点リンク機構を備える。
【0022】
車体フレーム20は、原動機22の駆動を伝達する駆動伝達機構を収容する伝動ケースにより構成される。車体フレーム(伝動ケース)20は、複数のケース20a,20b,20c,20dを含む。複数のケース20a,20b,20c,20dは、一列に並んで連結されている。伝動ケース20の一端(複数のケース20a,20b,20c,20dのうちの端にあるケース20a)には、原動機22が連結されている。これに伴い、伝動ケース20には、原動機22の動力を走行装置21に伝達する走行系の動力伝達機構や、原動機22の動力を動力取出し軸(PTO軸)に伝達する作業系の動力伝達機構が内装されている。
【0023】
走行装置21は、複数の車輪210F,210Rを含む。具体的には、
図1及び
図2に示すように、走行装置21は、前後それぞれに一対の車輪210F,210F,210R,210Rを有する。すなわち、走行装置21は、車体の前部の左方及び右方に設けた一対の前輪210F,210Fと、車体の後部の左方及び右方に設けた一対の後輪210R,210Rとを含み、少なくとも一対の後輪210R,210Rが原動機22の駆動を受ける。
【0024】
図1に戻り、原動機22は、ディーゼルエンジンである。原動機22は、当該作業車両2の前進方向において、車体フレーム20の前方に配置される。すなわち、原動機22は、作業車両2全体で見て、前進方向の前部に配置されている。原動機22は、ボンネット220によって覆われている。すなわち、作業車両2は、空間を画定するボンネット220を備え、原動機22は、ボンネット220によって画定される空間内に収容されている。
【0025】
操作部23は、原動機22(ボンネット220)に対して後方側に配置される。操作部23は、前輪を操舵するハンドル(ステアリングホイール)を含む。また、操作部23は、三点リンク機構を操作する操作手段等を含む。運転席24は、操作部23の後方に配置される。
【0026】
キャビン25は、当該作業車両2の前進方向において、車体フレーム20の後部側に操作部23及び運転席24を収容する空間を画定する。すなわち、キャビン25は、原動機22(ボンネット220)に対して後方側に配置され、操作部23及び運転席24を収容している。
【0027】
より具体的には、キャビン25は、ルーフ(屋根)250と、ルーフ250の左右前後の四隅を支持する支柱部(ピラー)251,251,252,252とを含む。前方にある一対の支持部(一対のフロントピラー)251,251とルーフ250とによって画定される前方開放部には、フロントガラス253が配置され、後方にある一対の支持部(リアピラー)252,252とルーフ250とによって画定される後方開放部には、リアガラス254が配置されている。
【0028】
左右それぞれにおいて、前後一対の支持部(フロントピラー251,リアピラー252)とルーフ250とによって画定される側方開放部には、乗降ドア255が配置される。すなわち、キャビン25の左右両側にある側方開放部は、オペレータが乗降する乗降口255aを構成し、乗降口255aを開閉する乗降ドア255が設置されている。なお、本実施形態において、キャビン25は、乗降口255a(乗降ドア255)の後方にリヤサイドガラス256が配置されている。
【0029】
三点リンク機構は、車体フレーム20の後端部に取り付けられている。三点リンク機構は、昇降揺動可能に構成される。
【0030】
本実施形態の作業車両2は、
図1~
図3に示すように、ルーフ250の上方にルーフバー26が配置されている。具体的には、作業車両2のルーフ250の前部上方には、前後方向と直交する横方向に延びるルーフバー26が配置されている。
【0031】
ルーフバー26は、電装品4,5,6を取り付けるためのもので前後方向と直交する方向(左右方向)に延び、両端部がキャビン25に直接的又は間接的に支持されている。本実施形態において、ルーフバー26は、前後方向に間隔をあけて一対配置されている。一対のルーフバー26,26の高さは、同一又は略同一に設定される。すなわち、一対のルーフバー26,26は、高さレベルを合わせた状態で、前後方向に並んで配置されている。一対のルーフバー26,26のうち、一方のルーフバー26の横方向の両端側は、他方のルーフバー26側に折り曲げられ、該他方のルーフバー26に接合されている。本実施形態において、前後方向における後ろ側に配置されたルーフバー26の横方向の両端側は、前後方向における前側に配置されたルーフバー26側に折り曲げられ、該前側のルーフバー26に接合されている。
【0032】
本実施形態において、キャビン25の横方向両側(左右両側)にサイドミラー27が取り付けられており、キャビン25に対するサイドミラー27の取付部(取付ステー)270にルーフバー26が固定されている。
【0033】
本実施形態において、
図3に示すように、ルーフバー26には、電装品4,5,6として、測位用のGPSアンテナ4や、投光器5、通信用のポールアンテナ6が取り付けられる。
【0034】
これらの電装品4,5,6のうち、投光器5は、ルーフバー26に対して左右に間隔を有して一対設けられているが、ルーフバー26の前方に位置するため、一般的な建屋の入り口の高さ制限内に配置されている。通信用のポールアンテナ6は、ルーフバー26の端部に取り付けられている。これに伴い、オペレータは、ポールアンテナ6に対してキャビン25の乗降口255aからアクセス可能であり、建屋の入り口の高さ制限を超える場合には、乗降口255aから取り外すことができる。
【0035】
これに対し、GPSアンテナ4は、ルーフバー26の中央部に配置され、且つルーフバー26の上方に配置される。そのため、GPSアンテナ4は、ルーフバー26から上方に突出した態様となり、キャビン25のルーフ250の上面よりも上方に位置する。従って、本実施形態において、GPSアンテナ4の上面は、作業車両2の最高地上高となり、一般的な建屋の入り口の高さ制限を超える場合がある。
【0036】
しかし、GPSアンテナ4は、ルーフバー26の中央部に配置されているため、ポールアンテナ6のように、オペレータが乗降口255aからアクセスできる位置(手の届く位置)にない。特に、作業車両2が大型になれば、車幅が広く、車高も高くなるため、ルーフ250(ルーフバー26)の中央部に限らず、オペレータが乗降口255aからアクセスできる範囲が制限される。
【0037】
これに伴い、本実施形態に係る作業機1は、脚立を用いなければオペレータがアクセスできない、或いは、ボンネット220等の存在で脚立を用いてもオペレータがアクセスできない高所に設置される電装品4,5,6を着脱する着脱治具3を備える。
【0038】
上記のとおり、ルーフバー26に取り付けられる電装品4,5,6には、投光器5やポールアンテナ6等、複数あるが、本実施形態において、建屋の入口の高さ制限を超え、乗降口255aからアクセスできない位置にある電装品4は、GPSアンテナ4のみであるため、着脱治具3での着脱の対象はGPSアンテナ4のみになっている。
【0039】
ここで、着脱治具3によって着脱される電装品4(本実施形態においては、GPSアンテナ4)の構成について説明する。
【0040】
図4及び
図5に示すように、着脱治具3による着脱の対象となる電装品4は、ルーフバー26の中央部に固定される電装ベース40と、電装ベース40に対して着脱可能な電装本体41とを含む。すなわち、電装品4は、ルーフバー26上に配置される電装ベース40と、電装ベース40上に重ね合わされた状態で配置される電装本体41とを含む。これにより、電装品4は、上下に二分割にされ、電装本体41を電装ベース40から取り外すことで、高さを低く(建屋の入り口制限内に)できるようになっている。
【0041】
電装ベース40は、ルーフバー26上に配置され、取付金具42(
図6及び
図7参照)を介してルーフバー26に対して強固に取り付けられ、作業車両2を制御する制御部や作業車両2が備える電源に対して電気的に接続されている。すなわち、電装ベース40には、制御部や電源からの配線が導入されている。
【0042】
より具体的に説明すると、
図5~
図7に示すように、電装ベース40は、ルーフバー26上に配置される本体部400であって、前後方向において先端部と基端部とを有する本体部400と、本体部400の先端部から垂下した接続部401と、を有する。
【0043】
本体部400は、平面状の上面S1と、平面状の下面S2とを有する。本体部400において、上面S1と下面S2とは表裏の関係にあり、互いに平行である。本体部400は、下面S2をルーフバー26に接触させる。本実施形態において、ルーフバー26が一対あるため、本体部400は、一対のルーフバー26,26に跨って配置できるサイズに設定されている。
【0044】
図5及び
図6に示すように、本体部400には、上面S1で開放する溝402が形成されている。溝402は、前後方向に延びている。これに伴い、溝402は、前後方向の前側の一端と、該一端の反対側の他端であって、前後方向の後ろ側の他端と、を有する。溝402の一端は、前方に向けて開放している。すなわち、溝402の一端は、本体部400の前方側にある先端面で開放する開放端を構成する。
【0045】
本実施形態において、溝402は、他端から一端側に向けて真っすぐに延びる直線部402aであって、前後方向と直交する方向の幅が一定又は略一定の直線部402aと、前後方向と直交する方向の幅が他端側から一端に向けて拡大する拡大部402bであって、直線部402aから一端にかけて形成される拡大部402bとを有する。これに伴い、拡大部402bは、本体部400の前後方向の前方側にある先端面で開放する開放端を含む。
【0046】
本体部400は、電装本体41の浮き上がりを防止するための係止片403を有する。係止片403は、溝402の他端部に対応して配置されている。すなわち、係止片403は、溝402の他端部の底面に対して上下方向に間隔をあけて配置されている。これに伴い、係止片403は、溝402の他端部における本体部400の上面S1で開放する部分を閉じるように配置されている。
【0047】
接続部401は、上記の通り、電装本体41と物理的且つ電気的に接続可能に構成される。具体的には、
図5~
図7に示すように、接続部401は、電装本体41と電気的に接続可能な第一接続部404と、電装本体41と物理的に接続可能な第二接続部405とを有する。
【0048】
第一接続部404は、前後方向の前方を向いている。本実施形態において、第一接続部404は、周囲(第二接続部405)よりも前後方向の後方側に窪んで形成されている。すなわち、第一接続部404は、本体部400の先端面よりも、前後方向において奥まった位置で前方に向く第一接続面SJ1を有する。
【0049】
図5及び
図6に示すように、第一接続部404は、第一接続面SJ1上で露呈する一次接点406であって、制御部や電源からの配線に接続された一次接点406を有する。一次接点406に繋がる配線としては、電源線(電力線)や、シリアル線、CAN線、信号線等がある。これに伴い、第一接続部404は、制御部や電源等からの配線の数に対応する複数の一次接点406…を有する。複数の一次接点406…は、第一接続面SJ1上で整列配置されており、接続部401内で配線と電気的に接続されている。
【0050】
図5及び
図7に示すように、第二接続部405は、前後方向の前方に向く第二接続面SJ2を有する。本実施形態において、第二接続部405(第二接続面SJ2)は、前後方向と直交する方向に間隔をあけて二カ所に設けられる。すなわち、第二接続部405(第
二接続面SJ2)は、前後方向と直交する横方向における第一接続部404の両側に配置されている。第二接続部405は、磁力によって電装本体41を吸着する。すなわち、第二接続部405の第二接続面SJ2には、磁石407が配置されている。
【0051】
図6及び
図7に示すように、電装ベース40の下面(本体部400の下面S2及び接続部401の下面)には、ルーフバー26に固定するための取付金具42が取り付けられる。
【0052】
取付金具42は、板材を折り曲げ加工したもので、一対のルーフバー26,26に下側から対向するように配置される。すなわち、取付金具42は、一対のルーフバー26,26を下側から取り囲むように、前後方向で湾曲して下側に突出した包囲部420と、包囲部420の前後方向の一端から延出し、本体部400の下面S2に沿う第一連結部421と、包囲部420の前後方向の他端から延出し、接続部401の下面に沿う第二連結部422とを有する。第一連結部421及び第二連結部422のそれぞれが、ネジ部材を介して本体部400の下面に固定される。これにより、電装ベース40全体がルーフバー26に対して強固に固定されている。
【0053】
本実施形態において、着脱の対象となる電装品4がGPSアンテナ4であるため、電装本体41には、測位用の衛星からの測位データを受信する受信部等を含むアンテナユニットUが内装されている。
【0054】
具体的には、電装本体41は、電装ベース40の本体部400に上方から重なるユニットケース部410と、ユニットケース部410の前後方向の前方側の端部から垂下する被接続部411と、を有する。
【0055】
図6に示すように、ユニットケース部410は、下向きの被設置面S3を有する。被設置面S3は、電装ベース40の本体部400の上面S1と重なる面である。電装本体41は、ユニットケース部410の被設置面S3に連結された係止爪412であって、電装ベース40の係止片403に係止可能な係止爪412と、ユニットケース部410の被設置面S3に連結された位置決め用突起413であって、上下方向及び前後方向と直交する横方向における電装ベース40との相対的な位置決めを行う位置決め用突起413と、を有する。
【0056】
係止爪412は、電装ベース40の本体部400の溝402に挿入(遊挿)可能にサイズ設定されている。すなわち、係止爪412は、前後方向において溝402内を移動可能にサイズ設定されている。係止爪412は、前後方向の前方側から後方側に突出している。これにより、係止爪412は、係止片403と溝402の底との間に挿入可能になっている。
【0057】
位置決め用突起413は、電装ベース40の本体部400の溝402に挿入(遊挿)可能にサイズ設定されている。すなわち、位置決め用突起413は、前後方向において溝402内を移動可能にサイズ設定されている。
【0058】
電装品4は、後述する保持機構32(
図10及び
図11参照)によって保持可能に形成される。本実施形態において、ユニットケース部410の前後方向と直交する方向の両側面に対し、保持機構32が保持するための被保持部414が形成されている。被保持部414は、凹部である。具体的には、被保持部414は、前後方向に延びる凹部によって構成される。
【0059】
被接続部411は、接続部401に対応して形成される。すなわち、被接続部411は
、
図6及び
図7に示すように、第一接続部404と対応する第一被接続部415と、第二接続部405と対応する第二被接続部416とを有する。
【0060】
これに伴い、第一被接続部415は、第一接続面SJ1と対応する第一被接続面SJ3を有し(
図6参照)、第二被接続部416は、第二接続面SJ2と対応する第二被接続面SJ4を有する(
図7参照)。
【0061】
第一接続部404は、周囲よりも後方側に奥まった位置に配置されるため、第一被接続部415は、
図6に示すように、周囲(第二被接続部416)よりも前後方向の後方側に突出している。これにより、第一接続面SJ1と第一被接続面SJ3とが面接触可能に構成される。
【0062】
第一被接続部415は、第一被接続面SJ3上で露呈する二次接点417であって、アンテナユニットUからの配線に接続された二次接点417を有する。アンテナユニットUに接続する配線としては、電源線(電力線)や、シリアル線、CAN線、信号線等がある。これに伴い、第一被接続部415は、制御部や電源部からの配線の数に対応する複数の二次接点417…を有する。複数の二次接点417…は、第一被接続面SJ3上で整列配置されており、第一被接続部415(被接続部411)内で配線と電気的に接続されている。
【0063】
第一被接続部415において、複数の二次接点417…のそれぞれは、前後方向に移動可能に設けられており、第一被接続面SJ3から突出した状態と、第一被接続面SJ3と面一になる状態とに切り替え可能になっている。また、第一被接続部415は、複数の二次接点417…を後方側に付勢手段(バネ)を含み、電装本体41が電装ベース40から取り外された状態で、付勢手段が二次接点417を付勢し、二次接点417を第一被接続面SJ3から突出させるようになっている。言うまでもないが、一次接点406…と二次接点417とは、制御部や電源からの配線と、アンテナユニットUからの配線とが対応関係をもって配置される。
【0064】
図7に示すように、第二被接続部416は、前後方向における後方側に向く第二被接続面SJ4を有する。第二被接続面SJ4は、第二接続面SJ2と対向する。上記の通り、第二接続部405が前後方向と直交する方向に間隔をあけて二カ所に設けられるに伴い、第二被接続部416においても、前後方向と直交する方向に間隔をあけて二カ所に設けられる。すなわち、第二被接続部416は、前後方向と直交する横方向における第一被接続部415の両側に配置されている。
【0065】
第二被接続部416には、第二接続部405と物理的に接続可能に構成される。本実施形態において、第二接続部405(第二接続面SJ2)は、電装本体41を磁力で吸着するように構成されるため、第二被接続部416(第二接続面SJ2)には、磁性体が配置される。本実施形態においては、磁性を有する金属体418が配置されている。本実施形態において、金属体418は、プレート状に形成され、第二被接続面SJ4と面一になるように、第二被接続部416に取り付けられている。なお、言うまでもないが、第二被接続部416には、金属体418に代え、磁石が配置されてもよい。この場合、第二接続部405の磁石407と吸着可能となるように、第二被接続部416に配置される磁石の極性は、第二接続部405に配置される磁石407の極性と逆の極性を第二接続部405側(後方側)に向けて配置される。
【0066】
以上の構成により、電装本体41は、上下方向と直交する仮想水平面に沿う方向を電装ベース40に対する接続方向とし、該接続方向から電装ベース40に接近乃至接触することで、電装ベース40に対して電気的且つ物理的に接続可能に構成される。本実施形態に
おいて、電装本体41は、上下方向と直交する仮想水平面に沿う方向である前後方向を電装ベース40に対する接続方向としているが、上下方向(垂直方向)と直交する直線的な前後方向の他、前後方向の成分を含む方向からも接続可能である。すなわち、電装本体41は、斜め前方から電装ベース40に接近しても、姿勢を矯正しつつ接続可能になっている。また、電装本体41は、後述する保持機構32によって保持可能にも構成される。
【0067】
図8及び
図9に示すように、着脱治具3は、作業車両2との相対的な位置関係が一定又は略一定の基準位置に設置された状態で上下方向に延びて起立する支柱30と、支柱30の長手方向と直交する方向に延びるアーム体31であって、支柱30に沿って移動可能なアーム体31と、作業車両2の高所位置に固定された電装ベース40に対して上下方向と直交する仮想水平面に沿う接続方向で電気的且つ物理的に接続可能な電装本体41を保持可能な保持機構32であって、アームに支持された保持機構32と、を備える。さらに、本実施形態において、着脱治具3は、アーム体31を上昇位置と下降位置との間で昇降させる昇降装置34を備える。さらに、着脱治具3は、基準位置で支柱30を支持する支持手段35を備える(
図8参照)。すなわち、着脱治具3は、電装品4を着脱するための治具本体36であって、支柱30、アーム体31、保持機構32、昇降装置34を含む治具本体36と、治具本体36を支持する支持手段35とを備える。
【0068】
支柱30の少なくとも下端側は、円筒状に形成される。本実施形態において、
図9に示すように、支柱30は、全長に亘って真っすぐに延びる金属製の直管である。すなわち、支柱30は、全長に亘って円筒状に形成された金属製パイプである。
【0069】
支柱30の外周面上には、該支柱30の中心に沿って配置された凸条部300が設けられている。凸条部300の上下方向から見た断面形状は、矩形状である。すなわち、凸条部300は、上下方向に延びるキーの如く形成されている。凸条部300は、アーム体31の移動範囲に対応して形成されている。
【0070】
本実施形態において、支柱30には、アーム体31の移動範囲の上限位置(上昇位置)及び下限位置(下降位置)を決定する規制体301a,301bが取り付けられている。すなわち、アーム体31の移動範囲の上限位置及び下限位置のそれぞれに規制体301a,301bが取り付けられている。各規制体301a,301bは、支柱30を包囲する環状体であり、規制体301a,301bの外径は、支柱30の外径よりも大径に設定されている。
【0071】
これに伴い、凸条部300は、上限位置を決定する規制体301aと下限位置を決定する規制体301bとの間に配置されている。すなわち、凸条部300は、上限位置を決定する規制体301aと下限位置を決定する規制体301bとを繋ぐように取り付けられている。
【0072】
詳細については後述するが、上記構成の支柱30は、基準位置に設置された状態で起立し、作業車両2に支持される。
【0073】
アーム体31は、上下方向に延びる軸線周りで回転可能な基端部と、基端部の反対側の先端部と、を有する。アーム体31は、軸線周りの回転により、保持機構32を仮想水平面に沿って移動させる。
【0074】
より具体的には、アーム体31は、該アーム体31の基端部である被案内部310であって、支柱30に沿って移動可能な被案内部310と、該アーム体31の先端部を含むアーム部311であって、被案内部310に連結されたアーム部311とを含む。被案内部310は、支柱30及び凸条部300を挿通するガイド孔312を有する。ガイド孔312は、支柱30の長手方向から見た支柱30の断面形状に対応する円形部と、円形部と連続する矩形部であって、支柱30の長手方向から見た凸条部300の断面形状に対応する矩形部とを含む。
【0075】
これに伴い、上下に配置された規制体301a,301bの間で、ガイド孔312の円形部に支柱30が挿入されるに併せ、ガイド孔312の矩形部に凸条部300が挿入される。これにより、被案内部310は、円筒状の支柱30の周囲での回転が規制されつつ、規制体301a,301b間で支柱30の長手方向に移動可能になっている。
【0076】
すなわち、アーム体31(被案内部310)は、支柱30に対して回り止めされているが、支柱30とともに該支柱30(支柱30の中心線)を回転軸として回転させることで、起立した支柱30を中心に回転する。これに伴い、支柱30には、該支柱30を回転させるためのバーハンドル302が取り付けられている。バーハンドル302は、支柱30に対して直交する方向に延出しており、オペレータが地上からアクセス可能な位置(高さ)に配置されている。
【0077】
保持機構32は、少なくともアーム体31が上昇した状態で仮想水平面に沿って移動可能に構成され、保持した電装本体41と電装ベース40とが接続される接続位置P1と、保持した電装本体41と電装ベース40との接続が解除される解除位置P2とに位置変更可能に構成される(
図14及び
図15参照)。本実施形態において、保持機構32は、アーム体31(アーム部311)に連結されている。
【0078】
これにより、支柱30を軸にアーム体31が回転することで、保持機構32は、仮想水平面に沿って移動する。また、支柱30を軸に正逆転させることで、保持機構32は、保持した電装本体41と電装ベース40とが接続される接続位置P1と、保持した電装本体41と電装ベース40との接続が解除される解除位置P2とに位置変更する。本実施形態において、保持機構32は、電装本体41と電装ベース40との接続に伴って、姿勢及び位置の少なくとも何れか一方を変更可能に構成される(
図14及び
図15参照)。
【0079】
より具体的に説明すると、
図10及び
図11に示すように、保持機構32は、アーム体31(アーム部311)に支持される基台部320と、基台部320上に配置された一対の保持体321,321とを備える。
【0080】
基台部320は、アーム体31(アーム部311)に連結される第一基台323と、第一基台323に支持される第二基台324とを含む。
【0081】
第一基台323は、第一ベース板325と、第一ベース板325上に固定された第一支軸326とを含む。
【0082】
第一ベース板325は、平板状に形成され、表裏に平面を有する。表裏一対の平面のうちの一方の平面は、下側を向けてアーム体31(アーム部311)に固定(連結)されている。
【0083】
第一支軸326は、軸心方向において基端と先端とを有する大径部と、大径部の先端に対して同心で連設された小径部とを含む段付き棒であり、小径部と大径部との境界には、軸心方向から見て円環状の面(円環状面)が形成されている。
【0084】
第一支軸326の大径部は、第一ベース板325の表裏一対の平面のうち、上側を向く他方の平面(上面)に大径部の基端が固定されている。これにより、第一支軸326は、円環状面を上側に向けて第一ベース板325上に立設されている。
【0085】
第二基台324は、第二ベース板327と、第二ベース板327上に固定された第二支軸328とを含む。
【0086】
第二ベース板327は、平板状に形成され、表裏に平面を有する。第二ベース板327には、第一支軸326の小径部を挿入する長孔329が形成されている。第二ベース板327は、第一支軸326の円環状面上に載っている。すなわち、第一支軸326の円環状面は、第二ベース板327を支持する支持面を構成している。長孔329は、第二ベース板327を所定の姿勢で配置した状態で前後方向と直交する横方向に延びるように形成されている。これにより、第二基台324(第二ベース板327)は、第一支軸326を中心に回転可能に構成されるとともに、長孔329の延びる方向で移動可能に構成される。
【0087】
本実施形態の保持機構32において、第二ベース板327を所定の姿勢で維持させるための引っ張りコイルバネCS1が設けられている。この引っ張りコイルバネCS1のバネ中心は、長孔329の長手方向と一致しており、引っ張りコイルバネCS1の一端が第二ベース板327の下面に凸設された掛止体330aに掛止され、引っ張りコイルバネCS1の他端が第一ベース板325の上面に凸設された掛止体330bに掛止されている。これにより、保持機構32は、電装本体41と電装ベース40との接続に伴って、姿勢及び位置の少なくとも何れか一方を変更可能に構成され、所定の姿勢に復帰可能にも構成されている。
【0088】
第二支軸328は、長孔329の延びる方向に間隔をあけて二つ設けられている。各第二支軸328は、軸心方向において基端と先端とを有する大径部と、大径部の先端に対して同心で連設された小径部とを含む段付き棒であり、小径部と大径部との境界には、軸心方向から見て円環状の面(円環状面)が形成されている。
【0089】
第二支軸328の大径部は、第二ベース板327の表裏一対の平面のうち、上側を向く他方の平面(上面)に大径部の基端が固定されている。これにより、第二支軸328は、円環状面を上側に向けて第二ベース板327上に立設されている。
【0090】
一対の保持体321,321のそれぞれは、第二支軸328(小径部)が挿入される軸孔を有するボス331と、ボス331の外周から延出する延出部332と、延出部332の先端部に取り付けられた爪部333とを有する。
【0091】
本実施形態において、一対の保持体321,321のそれぞれは、ボス331の外周から延出する掛止片334であって、延出部332とは異なる方向でボス331から延出する掛止片334を有する。一対の保持体321,321は、長孔329の延びる方向と直交する方向に延びる中心線であって、二つの第二支軸328,328間の中間位置を通る中心線を基準にして、それぞれの掛止片334が対称配置になるように設置される。
【0092】
一対の保持体321,321のそれぞれの延出部332の先端側が中心線側に回転するように(回転トルクが作用するように)、一対の保持体321,321のそれぞれの掛止片334に対して引っ張りコイルバネCS2が取り付けられている。引っ張りコイルバネCS2の一端は掛止片334に掛止され、引っ張りコイルバネCS2の他端は第二ベース板327の上面に凸設された掛止体335に掛止されている。
【0093】
第二ベース板327の上面には、保持体321,321の回転を規制する規制体336が凸設されている。規制体336は、保持体321,321が引っ張りコイルバネCS2によって付勢された状態で、延出部332が中心線に沿った姿勢で維持する一方、引っ張りコイルバネCS2の付勢に抗して回転力が作用することで、延出部332が中心線から
離れる方向に回転する位置に配置される。
【0094】
爪部333は、電装本体41(ユニットケース部410)の横方向の両側面に設けられた被保持部(凹部)414に対して嵌合可能に形成される。本実施形態において、延出部332及び爪部333のそれぞれは、前後方向と直交する方向で互いに対向する平面を有し、爪部333は、自身の平面を延出部332の平面に対向(接触)させて配置される。爪部333における延出部332の延びる方向の一端は、延出部332の延びる方向に対して直交する平面に構成される。爪部333における延出部332の延びる方向の他端側は、他端から一端側に向かうほど延出部332と対向する平面から離間するテーパ面又は円弧面状に形成されている。すなわち、爪部333の他端側において、前後方向と直交する横方向の厚みが一端側から他端に向けて漸減するように形成されている。
【0095】
本実施形態に係る爪部333は、延出部332の延びる方向(中心線の延びる方向)と直交する方向に延びる軸回りで回転可能に構成されている。すなわち、爪部333は、延出部332の延びる方向(中心線の延びる方向)と直交する方向に延びるネジ部材を介して延出部332に対して取り付けられ、ネジ部材を中心にして回転可能に設けられている。
【0096】
爪部333は、ネジ部材を中心に回転させることで、一端と他端の配置を入れ替える(変更する)ようになっている(
図10及び
図11の爪部333の態様参照)。より具体的には、電装品4を取り付ける場合、一端の平面を延出部332の先端側に位置させ(先細りした他端側を第二支軸328側に位置させ)、電装品4を取り外す場合、先細りした他端側を延出部332の先端側に位置させる(一端の平面を第二支軸328側に位置させる)。
【0097】
なお、電装品4(電装本体41)の被保持部414に対する爪部333の嵌合によって、電装品4が保持されるため、電装品4の脱落や移動が規制された状態になる。このように、本実施形態における保持機構32は、電装品4の保持における安全性や安定性のあるものではあるが、さらに電装品4(電装本体41の被接続部411)を下方から支えるサポート部材380を備えている。サポート部材380は、基台部320に連結される。本実施形態において、基台部320が、第一基台323と、第二基台324と、を含む関係上、サポート部材380は、第一基台323に連結されている。
【0098】
図8及び
図9に戻り、昇降装置34は、アーム体31に対して上下方向の力を伝達可能に構成される。より具体的に説明する。本実施形態において、昇降装置34は、支柱30の長手方向に間隔をあけて配置された一対の滑車340,341と、一対の滑車340,341に巻き掛けられた索条342であって、両端がアーム体31(被案内部310)に連結された索条342とを含む。本実施形態において、一対の滑車340,341のうち、一方の滑車340は、支柱30の上端部に取り付けられ、一対の滑車340,341のうち、他方の滑車341は、支柱30の中間部よりも僅かに下方側の位置に取り付けられている。
【0099】
本実施形態において、支柱30が直管で構成されるに伴い、索条342の約半分を支柱30内に配置するようにしている。これに伴い、上下一対の滑車340,341のそれぞれにおいて、上下方向と直交する方向における一部が、上下方向から見て支柱30の内側(孔)と重なるように配置されている。すなわち、支柱30の外周上に開口が形成されており、該開口を介して下側の滑車341が内外に跨って配置されている。
【0100】
これに伴い、索条342は、支柱30内を通った上で滑車340,341に巻き掛けられ、両端が被案内部310に連結されている。これにより、索条342を上下方向に移動
させる(引っ張る)ことで、索条342に連結された被案内部310が上下方向(支柱30に沿って)移動するようになっている。
【0101】
本実施形態においては、下側の滑車341の軸に対して、減速機付きの電動モータ343(ギアドモータ)の出力軸の一端が連結されている。これにより、電動駆動で索条342を移動させ、被案内部310(アーム体31)を上下させるようになっている。本実施形態において、電動モータ343の出力軸の他端には、出力軸を手動で回転させるハンドル344が連結されている。これにより、本実施形態に係る昇降装置34は、手動でも電動でもアーム体31を昇降させることができるようになっている。なお、電動モータ343は、外部電力から電力供給されてもよいし、作業車両2に搭載されるバッテリから電力供給されてもよい。本実施形態においては、当該着脱治具3を使用する際、電動モータ343は、作業車両2に搭載されるバッテリに接続され、該バッテリから電力供給されるようになっている。これに伴い、バッテリに繋がる電気回路上には、電動モータ343の起動及び停止を行うスイッチが設けられる。
【0102】
支持手段35は、少なくとも支柱30の下端側を回転可能に支持する。本実施形態において、支持手段35は、作業車両2の側方位置に配置される。
【0103】
より具体的には、支持手段35は、作業車両2に連結された第一支持体350であって、起立した支柱30の下端部を受ける第一支持体350と、作業車両2に連結された第二支持体351であって、第一支持体350に対して上下方向に間隔をあけて設置され、起立した支柱30の下端部よりも上方側を支持する第二支持体351と、を含む。
【0104】
第一支持体350は、作業車両2の車体フレーム(伝動ケース)20に連結された第一ブラケット352であって、作業車両2から延出する第一ブラケット352と、第一ブラケット352の先端に連結された第一支持部353とを含む。第一ブラケット352は、上下方向に広がるプレート状の部材である。第一支持部353は、
図12に示すように、支柱30を挿入可能な筒状部354であって、上下方向に中心線が延びる筒状部354と、筒状部354の下端開口を閉じる受部355であって、支柱30の下端を受ける受部355とを有する。受部355は、プレート状に形成されている。
【0105】
本実施形態において、第一支持体350は、支柱30の下端部の内穴に挿入される円錐状又は円錐台状の支持台356を有する。支持台356は、受部355に連設されており、受部355及び筒状部354と同心になるように配置されている。
【0106】
これにより、支柱30の下端部が芯ずれした状態で、筒状部354に挿入されたとしても、支柱30の下端部が支持台356の外周に形成されるテーパ面によって誘導される結果、支柱30の中心が基準位置と一致した状態になる。
【0107】
図8に戻り、第二支持体351は、第一支持体350に対して上下方向に間隔をあけて配置される。第二支持体351は、第一支持体350と同心(同軸)で支柱30を支持するように配置される。
【0108】
より具体的には、第二支持体351は、作業車両2のフロントピラー251,251に連結され、フロントピラー251,251から延出する第二ブラケット357と、第二ブラケット357の先端に連結される第二支持部358と、を備える。
【0109】
第二ブラケット357は、上下方向に広がるプレート状の部材である。
図13に示すように、第二支持部358は、第二ブラケット357に連結された第一部材359と、上下方向に延びる軸360を介して、第一部材359に対して連結される第二部材361であ
って、軸360を中心にして回転可能な第二部材361とを有する。第一部材359及び第二部材361のそれぞれは、半円弧状部362a,362bを有し、互いの半円弧状部362a,362b同士を対向させることで、支柱30の周囲を包囲可能な円環を形成する。すなわち、第二支持体351は、支柱30が回転可能な状態で該支柱30の周囲を包囲可能に構成される。円環の中心は、下方に位置する第一支持体350の筒状部354の中心と同心である。すなわち、第一支持体350の筒状部354の中心線と、第二支持体351の第一部材359及び第二部材361によって形成される環状の中心線とは、上下方向に延びる共通の中心線である。第一部材359及び第二部材361によって形成される円環の内径は、第一支持体350の筒状部354の内径とは、同一又は略同一である。
【0110】
第二部材361は、半円弧状部362bの先端から真っすぐ延出するストレート部363を有する。ストレート部363は、第一部材359の基端に繋がる第二ブラケット357と重なるように形成される。ストレート部363には、ストレート部363と直交する方向に延びる軸体364が連結され、第二ブラケット357には、軸体364が挿入可能な孔365が穿設されている。
【0111】
軸体364の先端部は、基端側よりも大径に形成されている。具体的には、軸体364は、ストレート部363に連結された小径部と、小径部の先端に連設された大径部とを有し、第二ブラケット357の孔365に挿通された状態で、大径部と小径部の先端側の一部が第二ブラケット357から突出するように形成されている。これに伴い、第二ブラケット357には、落とし錠366が取り付けられている。落とし錠366は、第二ブラケット357に対して直交する軸回りで回転可能に取り付けられ、軸体364の小径部に対応する切り欠き部を有する。落とし錠366は、第二ブラケット357の孔365から突出した小径部に切欠き部が上方側から嵌め合わされることで、第二部材361が第一部材359から離間(軸360を中心にして回転)することが阻止されるようになっている。
【0112】
本実施形態に係る作業機1(着脱治具3)は、以上の通りであり、作業機1(作業車両2)を建屋に対して出し入れするに際し、着脱治具3を用い、ルーフバー26に固定された電装品4(本実施形態においては、GPSアンテナ4の電装本体41)が着脱される。
【0113】
具体的に説明すると、建屋に作業機1(作業車両2)を格納するに際し、ルーフバー26に固定された電装品4(本実施形態においては、GPSアンテナ4の電装本体41)を取り外す。この際、保持機構32の爪部333に関し、先細りした側を延出部332の先端側に向けられる(
図10参照)。その上で、支柱30が基準位置に配置される。本実施形態において、作業車両2に支持手段35が連結されているため、支持手段35に支柱30を支持させる。具体的には、第二支持体351の落とし錠366を解錠(切り欠き部を軸部から離間させるように落とし錠366を解錠)した上で、軸360を中心に第二部材361を回転させて開放状態にする。
【0114】
この状態で、支柱30を起立状態にした上で、第一支持体350の筒状部354に支柱30の下端部を挿入する。支柱30の中心が第一支持体350(筒状部354)の中心と一致していない状況においては、支柱30の下端は、筒状部354内で支持台356のテーパ面に載り、そのテーパ面の傾斜によって案内される。これにより、支柱30の下端の中心は、筒状部354の中心と一致する。そして、支柱30の下端を第一支持体350に支持させた状態で、支柱30を第二支持体351の第一部材359の半円弧状部362aに嵌め合わせる。この状態で、軸360を中心に第二部材361を回転させ、第一部材359及び第二部材361の半円弧状部362a,362bで支柱30を挟み込む。これにより、支柱30の途中部分が、第一部材359及び第二部材361の半円弧状部362a,362bによって形成される円環によって包囲される。
【0115】
この状態で、軸部の小径部に落とし錠366の切り欠き部を嵌め合わせることで、第二部材361が開放することが阻止される。従って、支柱30の下端部は、第一支持体350によって支持され、支柱30の途中部分は、第二支持体351によって支持される。この状態において、支柱30を回転させることで、アーム体31の向き(延出方向)を変更できる。なお、支柱30を支持手段35に支持させるに当たり、作業車両2(特にボンネット)との干渉を防止するために、
図14及び
図15に示すように、アーム体31(アーム部311)の延出方向が作業車両2の前方に向くように、支柱30は支持手段35に支持される。
【0116】
そして、アーム体31が下限位置にある場合には、オペレータは、電動モータ343による駆動又はハンドル344による操作によって、下側の滑車341を回転させる。本実施形態において、作業車両2のバッテリからの電力供給で電動モータ343を駆動し、アーム体31が下限位置にある場合には、アーム体31を上昇させる。
【0117】
本実施形態において、作業車両2に連結された支持手段35が支柱30を支持するため、作業車両2と支柱30との相対的な位置関係が一定又は略一定となる。従って、アーム体31の上限位置を保持機構32による電装品4の保持位置と対応させておくことで、電装品4の高さ位置を気にすることなく、アーム体31を上限位置にまで上昇させるだけでよい。本実施形態において、アーム体31の被案内部310が上限位置を決定する規制体301aと接触することで、電動モータ343の駆動が停止され、アーム体31が上限位置(上昇位置)で上昇(移動)を停止する。なお、オペレータがハンドル344の操作によってアーム体31を上昇させる場合、アーム体31の被案内部310が、上限位置を決定する規制体301aと接触した状態でハンドル344の操作を停止する。
【0118】
そして、アーム体31が上限位置に到達すると、オペレータが回転用のバーハンドル302を操作し、支柱30を回転させる。そうすると、
図14及び
図15に示すように、アーム体31が支柱30を中心に回転し、保持機構32が電装品4に接近する。本実施形態において、アーム体31が支柱30を中心に回転させるため、保持機構32も、支柱30と中心にして円弧状の軌道上で移動する。そのため、アーム体31に対して保持機構32を固定していると、保持体321,321の延出部332が電装品4に接近する過程において、延出部332の先端が電装品4に衝突(激突)するような態様になるが、本実施形態においては、保持機構32が位置や姿勢が変更可能であるため、延出部332の先端が電装品4に衝突(激突)することが回避される。
【0119】
具体的には、第二ベース板327が長孔329に沿って移動可能に構成され、引っ張りコイルバネCS1で付勢されているため、第二ベース板327は、常態においてアーム体31の基端側に変位している状態になる。これにより、アーム体31が回転し、一対の保持体321,321が電装品4に接近する過程において、二つの保持体321,321の延出部332のうち、アーム体31の基端側にある延出部332の先端が、最初に電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)に接触する。そして、延出部332に取り付けられている爪部333は、延出部332の先端側に先細りした端部を位置させているため、その先細りした端部の円弧面又はテーパ面が電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)上を滑るように移動する。これに伴う力の作用により、第二ベース板327は、第一支軸326の小径部を中心に姿勢を変更(回転)しつつ、長孔329に沿って移動する。
【0120】
これに伴い、一対の保持体321,321は、爪部333の先端側のテーパ面又は円弧面を電装品4の両角部又は側面(ユニットケース部410の側面)上で滑りつつ移動する。爪部333の先端側のテーパ面又は円弧面を電装品4の両角部又は側面(ユニットケース部410の側面)上で滑りつつ移動するにあたり、保持体321,321の延出部33
2は、第二支軸328を中心に回転する。すなわち、一対の保持部における爪部333同士の間隔が押し広げられながら移動する(
図10参照)。そして、
図16及び
図17に示すように、爪部333が電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)にある被保持部(凹部)414に嵌り込む。
【0121】
この状態で、爪部333の先細りした先端側とは反対側の端面(平面)が、被保持部(凹部)414の内周を画定する面と面対向した状態になる。すなわち、爪部333が被保持部414に嵌入される方向とは逆向きの方向(電装ベース40から電装本体41を取り外す方向)においては、爪部333が電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)にある被保持部(凹部)414を画定する内面(前後方向において後方に向く面)に係止された状態になる。
【0122】
従って、支柱30を中心にアーム体31を逆回転させると、爪部333が電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)に引っ掛かることになり、電装ベース40から電装本体41を引き離す力が作用する。本実施形態において、電装ベース40と電装本体41とは、磁力による吸着によって連結されているため、この磁力に勝る回転力を作用させることで、保持機構32が仮想水平面に沿って移動し、電装ベース40から電装本体41が引き離される。このとき、爪部333は、被保持部(凹部)414に嵌り込んでいるため、電装本体41の落下も防止される。
【0123】
そして、オペレータは、アーム体31が前後方向に延びる位置(保持機構32の解除位置)P2に到達するまで支柱30を回転させると、昇降装置34を起動し、アーム体31を下降させる。すなわち、アーム体31の下降に伴ってボンネット220等を干渉することになる位置から退避させた上で、アーム体31を下降させる。これにより、ルーフバー26上でオペレータの手の届かない場所にあった電装品4を取り外すことができる。そして、支柱30を取り付けた際の手順を逆に行い、支柱30を支持手段35から取り外すことで、建屋の入り口(高さ)制限を受けることのない状況になる。従って、作業車両2(作業機1)を建屋内に格納することができる。
【0124】
作業機1(作業車両2)を使用する際、作業機1(作業車両2)が建屋から出された上で、ルーフバー26に固定された電装ベース40に電装本体41(本実施形態においては、GPSアンテナ4の電装本体41)が取り付けられる。
【0125】
電装ベース40に電装本体41(本実施形態においては、GPSアンテナ4の電装本体41)を取り付けるに際し、オペレータは、予め、ネジ部材を中心にして保持機構32の爪部333を回転させ、先細りした側を延出部332の基端側に向ける(
図11参照)。この状態で、オペレータは、保持機構32に対して電装本体41を保持させる。すなわち、オペレータは、一対の保持体321,321の延出部332同士を離間させ、電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)を一対の保持体321,321で挟持させる。この状態で、一対の保持体321,321のそれぞれの爪部333は、上記のとおり、先細りした側を延出部332の基端側に向けた状態で維持し、電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)にある被保持部(凹部)414に嵌り込む。
【0126】
次いで、オペレータは、支柱30を支持手段35にセットし、支持手段35に支柱30を支持させる。支持手段35に対する支柱30のセット方法は、電装本体41を取り外す際と同様の手順である。従って、重複記載を避けるべく、支持手段35に対する支柱30のセット方法についての説明は割愛するが、支柱30をセットするに際し、アーム体31(アーム部311)は、作業車両2と干渉することのない位置に配置される。なお、本実施形態において、電装本体41を保持機構32に保持させた後に、支柱30を支持手段35にセットするが、アーム体31が下限位置にある場合(オペレータが保持機構32にア
クセスできる場合)には、支柱30を支持手段35にセットした後、下限位置にあるアーム体31に支持される保持機構32に電装本体41を保持(挟持)させるようにしてもよい。
【0127】
そして、アーム体31が下限位置にある場合には、電動モータ343による駆動又はハンドル344による操作によって、下側の滑車341を回転させる。本実施形態において、作業車両2のバッテリからの電力供給で電動モータ343を駆動し、アーム体31が下限位置にある場合には、上昇させる。
【0128】
アーム体31が上限位置(上昇位置)に到達すると、電動モータ343の駆動を停止し、回転用のハンドル344レバーで支柱30を回転させる。そうすると、アーム体31が支柱30を中心に回転し、保持機構32とともに保持機構32に保持された電装本体41が、ルーフバー26に固定された(定位置にある)電装ベース40に接近する。この場合においても、アーム体31が支柱30を中心に回転させるため、保持機構32とともに電装本体41も、支柱30と中心にして円弧状の軌道上で移動する。
【0129】
これに伴い、電装本体41の係止爪412も円弧状の軌道上を移動する。そのため、電装ベース40の溝402の溝幅が全長に亘って係止爪412に対応する幅(溝幅)と対応していると、係止爪412は溝402の開放端の周囲に干渉(衝突)するが、本実施形態において、電装ベース40の溝402の開放端は、拡大部402bの開放端を構成するため、係止爪412は溝402に対して拡大部402bの開放端から侵入する。そして、係止爪412が溝402(拡大部402b)を画定する側壁に当たる場合、その接触によって作用する力によって、保持機構32は位置及び姿勢を変更する。すなわち、係止片403が溝402内を進行できるように、保持機構32は位置及び姿勢を変更する。
【0130】
上記のように、係止爪412が溝402(拡大部402b)を画定する側壁に当たる場合、係止爪412が溝402内を進行する方向とは逆向きの力(衝撃力)が作用することになるが、保持機構32の爪部333は、先細りした側とは反対側の端面(平面)が延出部332の先端側に向いているため、爪部333の端面(平面)が電装品4の側面(ユニットケース部410の側面)にある被保持部(凹部)414の内面を画定する面に対して接触し、電装本体41(係止爪412)の進行させる力(押し込み力)を電装本体41に伝達する。これにより、係止爪412が溝402内を進み、拡大部402b内から直線部402a内で移動する。これに追従するように、位置決め用突起413も溝402内を進む。そして、位置決め用突起413が、直線部402a内に到達する。この状態で、電装本体41は、ルーフバー26に固定された電装ベース40と中心を一致させた状態になる。
【0131】
この状態で、接続部401(第一接続面SJ1及び第二接続面SJ2)及び被接続部411(第一被接続面SJ3及び第二非接続面)は、互いに対向した状態になり、第二接続部405の磁石407の磁力により、第二被接続部416の磁性体(金属体418)が引き寄せられ、磁石407と磁性体とが磁着する。この状態において、係止爪412は、溝402(直線部402a)の端部において、係止片403と対向した状態にもなる。これにより、電装本体41は、電装ベース40に対して上下方向及び上下方向と直交する方向の移動が規制される。
【0132】
また、この状態において、第一接続部404(第一接続面SJ1)の複数の一次接点406…と、第一被接続部415(第一被接続面SJ3)の複数の二次接点417…とが、互いに接触し、電装本体41のアンテナユニットUと作業車両2の制御部及び電源とが電気的に接続される。これにより、アンテナユニットUに対する電力供給と、アンテナユニットUと制御部との信号通信等が可能となる。従って、電装ベース40に対する電装本体
41の取り付けが完了する。
【0133】
電装ベース40に対する電装本体41の取り付けが完了すると、支柱30を中心にしてアーム体31(アーム部311)を回転(逆回転)させる。
【0134】
そうすると、保持機構32の爪部333の先細りした部分のテーパ面又は円弧面が被保持部(凹部)414の開放(開口)を画定するエッジに接触する。これに伴い、アーム体31の回転力(逆回転に伴う力)の分力が、一対の保持体321,321(爪部333)を相互に離間させる方向の力として作用する。これにより、電装本体41と電装ベース40との連結が維持された状態で、一対の保持体321,321に取り付けられた爪部333が被保持部(凹部)414から抜け出ることになり、保持機構32による電装品4(電装本体41)の保持が解除される。
【0135】
保持機構32が電装本体41から離脱し、アーム体31が作業車両2(例えば、ボンネット220)と干渉しない位置(解除位置P2:上下方向から見て、投影的に重ならない位置)に到達すると、オペレータは、スイッチを操作して昇降装置34を駆動し、アーム体31を下限位置にまで下降させた上で、電動モータ343に対する電気的な接続を解除し、支柱30を支持手段35から取り外す。
【0136】
この状態で、作業機1(作業車両2)は、電装品4(GPSアンテナ4)を使用して作業できる状態になる。ここでは、アーム体31を下限位置にまで下降させてから、支柱30を支持手段35から取り外したが、アーム体31が上限位置にある状態で、支柱30を支持手段35から取り外してもよい。なお、アーム体31が上限位置にあると、重心位置が高く、ハンドリング効率が悪くなるため、上記のようにアーム体31を下限位置まで下降させてから、支柱30を支持手段35から取り外すようにすることが好ましいことは言うまでもない。
【0137】
以上のように、本実施形態に係る作業機1は、作業車両2と、着脱治具3と、を備え、支柱30は、基準位置に設置された状態で作業車両2に支持される。これにより、本実施形態に係る作業機1は、作業車両2の高所位置に対して電装品4を容易に着脱できるといった優れた効果を奏し得る。
【0138】
具体的には、本実施形態に係る着脱治具3は、作業車両2との相対的な位置関係が一定又は略一定の基準位置に設置された状態で上下方向に延びて起立する支柱30と、支柱30の長手方向と直交する方向に延びるアーム体31であって、支柱30に沿って移動可能なアーム体31と、作業車両2の高所位置に固定された電装ベース40に対して上下方向と直交する仮想水平面に沿う接続方向で電気的且つ物理的に接続可能な電装本体41を保持可能な保持機構32であって、アームに支持された保持機構32と、を備え、保持機構32は、少なくともアーム体31が上昇した状態で仮想水平面に沿って移動可能に構成され、保持した電装本体41と電装ベース40とが接続される接続位置P1と、保持した電装本体41と電装ベース40との接続が解除される解除位置P2とに位置変更可能に構成される。
【0139】
このようにすれば、支柱30が作業車両2との相対的な位置関係が一定又は略一定の基準位置に配置されることで、支柱30を基準とする他の構成(アーム体31、保持機構32)も作業車両2との位置関係が特定される。すなわち、保持機構32(電装品4)と、電装品4を装着する位置までの、高さ(上下方向の距離)、仮想水平面に沿う方向での距離が決定される。そして、アーム体31を支柱30に沿って移動させることで、アーム体31に支持された保持機構32の高さを変更することができる。これに伴い、保持機構32に保持させる電装品4を作業車両2の高所にある取付位置に対応した高さに配置するこ
とができる。
【0140】
そして、電装ベース40に対する電装本体41の電気的且つ物理的な接続方向が仮想水平面に沿う方向であるため、保持機構32が仮想水平面に沿って移動させることで、電装ベース40に対して電装本体41を接近又は離間することになる。これに伴い、保持機構32が保持した電装本体41と電装ベース40とが接続される接続位置P1に到達することで、電装本体41を電装ベース40に取り付ける(連結する)ことができ、保持した電装本体41と電装ベース40との接続が解除される解除位置P2に到達することで、電装ベース40から電装本体41を取り外すことができる。
【0141】
このように、支柱30の設置、アーム体31の高さ調整、保持機構32の仮想水平面に沿った方向での位置調整をするだけで、作業車両2の高所位置に対して電装品4を着脱することができる。
【0142】
アーム体31は、上下方向に延びる軸線周りで回転可能な基端部と、基端部の反対側の先端部と、を有し、軸線周りの回転により、保持機構32を仮想水平面に沿って移動させる。
【0143】
このようにすれば、アーム体31を回転させるだけで、アーム体31に支持される保持機構32を仮想水平面に沿った状態で移動させることができる。また、アーム体31を所定の高さに配置した上で正逆転させることで、保持機構32(電装品4)を電装品4の取り付け位置に接離させることができる。すなわち、構造を複雑化させることなく、保持機構32が、保持した電装本体41と電装ベース40とが接続される接続位置P1と、保持した電装本体41と電装ベース40との接続が解除される解除位置P2とに位置変更可能になる。
【0144】
アーム体31は、起立した支柱30を中心に回転する。このようにすれば、アーム体31の上下方向の移動の基準、及びアーム体31の回転の基準が支柱30になるため、アーム体31に支持される保持機構32の移動精度が高くなり、電装ベース40に対する電装本体41の着脱を確実に行うことができる。
【0145】
本実施形態に係る着脱治具3は、アーム体31を上昇位置と下降位置との間で昇降させる昇降装置34を備える。このようにすれば、アーム体31の上下方向の移動が簡便になる。
【0146】
本実施形態に係る着脱治具3は、基準位置で支柱30を支持する支持手段35を備え、支柱30の少なくとも下端側が円筒状に形成され、支持手段35は、少なくとも支柱30の下端側を回転可能に支持する。
【0147】
このようにすれば、支柱30を起立状態で安定して配置できる上に、支柱30を配置する基準位置が位置ずれしてしまうことが防止される。これにより、電装ベース40に対する電装本体41の着脱がより簡単に行うことができる。
【0148】
支持手段35は、作業車両2の側方位置に配置される。このようにすれば、支柱30を基準位置に配置する際、作業車両2が邪魔にならずに支柱30を配置することができる。
【0149】
支持手段35は、作業車両2に連結された第一支持体350であって、起立した支柱30の下端部を受ける第一支持体350と、作業車両2に連結された第二支持体351であって、第一支持体350に対して上下方向に間隔をあけて設置され、起立した支柱30の下端部よりも上方側を支持する第二支持体351と、を含む。
【0150】
このようにすれば、支柱30が上下方向に間隔をあけた二カ所で支持されるため、安定した状態で起立状態にすることができる。
【0151】
第一支持体350は、支柱30の下端部の内穴に挿入される円錐状又は円錐台状の支持台356を有し、第二支持体351は、支柱30が回転可能な状態で該支柱30の周囲を包囲可能に構成される。
【0152】
このようにすれば、支柱30を配置する際に、支柱30の中心が支持台356の中心とあった状態になる。これにより、基準位置への支柱30の配置にバラつきが生じにくくなる。
【0153】
保持機構32は、電装本体41と電装ベース40との接続に伴って、姿勢及び位置の少なくとも何れか一方を変更可能に構成される。このようにすれば、保持機構32が姿勢及び位置の少なくとも何れか一方を変更することで、電装ベース40の配置に合うように電装本体41を配置することができ、電装ベース40と電装本体41とを接続する際の位置精度が高くても、電装ベース40に電装本体41を確実に着脱することができる。
【0154】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0155】
上記実施形態の保持機構32において、一対の保持体321,321のそれぞれが第二支軸328を中心に回転可能に構成されることで、一対の延出部332(爪部333)が接離する方向に移動(回転)するようにされたが、これに限定されない。例えば、
図18に示すように、一対の保持体321,321は、平行移動することで、爪部333が接離する方向に移動するようにしてもよい。
【0156】
この場合、保持機構32は、上下方向に延びる軸回りで回転可能なピニオン50と、該ピニオン50と噛合する一対のラック51,51であって、ピニオン50を挟んで平行又は略平行に配置され、それぞれに対応する保持体321,321が連結された一対のラック51,51とを備えてもよい。この場合、電動モータの出力軸又は電動モータの駆動を受ける減速機構の出力軸がピニオン50の回転軸とされることが好ましい。
【0157】
このようにすれば、ピニオン50を正逆転することで、各ラック51,51が相反する方向で直動する。従って、各ラック51,51に連結された一対の保持体321,321(爪部333)は、平行を保ちする接離する。これにより、爪部333を電装品4の被保持部(凹部)414に対して前後方向と直交する方向で嵌脱させることができる。なお、この場合において、ラック51の直動を案内するリニアガイド52を設けることが好ましい。リニアガイド52は、真っすぐなレール52aと、該レール52aに沿って移動するスライダ52bを含み、スライダ52bにラック51を連結することで、ラック51の直動を確保することができる。
【0158】
上記実施形態において、アーム体31が上下方向に延びる軸を中心に回転可能に構成され、アーム体31が回転することで、保持機構32を仮想水平面に沿う方向に移動させ、保持した電装本体41と電装ベース40とが接続される接続位置P1と、保持した電装本体41と電装ベース40との接続が解除される解除位置P2と、に位置変更可能に構成されたが、これに限定されない。
【0159】
例えば、
図19に示すように、上記実施形態における第一基台323(第一ベース板325:アーム体31に固定されるベース板)に対して第二基台324(第二ベース板32
7:保持機構32を支持するベース板)を前後方向に直動可能に連結してもよい。この場合においても、着脱治具3は、第一基台323又は第二基台324の何れか一方(
図19においては第一基台323)に取り付けられるピニオン53であって、上下方向に延びる軸回りで回転可能なピニオン53と、該ピニオン53と噛合するラック54であって、第一基台323又は第二基台324の何れか他方(
図19においては第二基台324)に取り付けられ、前後方向に延びるラック54とを備えてもよい。
【0160】
この場合、電動モータの出力軸又は電動モータの駆動を受ける減速機構の出力軸がピニオン53の回転軸とされることが好ましい。このようにすれば、ピニオン53を正逆転することで、ラック54が前後方向に直動する。従って、第一基台323及び第二基台324は仮想水平面に沿う方向である前後方向において相対的に移動する。これにより、第二基台324に支持される保持機構32(一対の保持体321,321)は、保持した電装本体41と電装ベース40とが接続される接続位置P1と、保持した電装本体41と電装ベース40との接続が解除される解除位置P2とに位置変更可能に構成される。この場合において、第一基台323と第二基台324との相対的な直動を案内するリニアガイド55を設けることが好ましい。
【0161】
リニアガイド55は、真っすぐなレール55aと、該レール55aに沿って移動するスライダ55bを含み、第一基台323又は第二基台324の何れか一方(
図19においては、第二基台324)にスライダ55bを連結し、第一基台323又は第二基台324の何れか他方(
図19においては、第一基台323)にレール55aを連結することで、第一基台323及び第二基台324の相対的な直動を確保することができる。この場合、レール55aの長さを適宜設定することで、必要な移動距離を確保することができる。
【0162】
上記実施形態において、昇降装置34は、上下方向に間隔をあけて配置される一対の滑車340,341と、一対の滑車340,341に巻き掛けられた索条342であって、アーム体31の被案内部310に連結された索条342とを備え、滑車340,341を回転させることで索条342を長手方向に移動させてアーム体31を昇降させたが、これに限定されない。例えば、
図20に示すように、昇降装置34は、支柱30の外面に取り付けられたラック56であって、上下方向に延びるラック56と、ラック56に噛合するピニオン57であって、アーム体31に対して直接又は間接的に支持され、上下方向と直交する方向に延びる軸回りで回転可能なピニオン57と、を備えてもよい。
【0163】
この場合、ピニオンを直接又は間接的に回転駆動させる電動モータ58を備えるようにしてもよい。このようにすれば、電動モータ58の駆動によってピニオン57が回転すると、ラック56に対するピニオン57の噛合によってアーム体31が昇降する。この場合、アーム体31の上下方向の移動(昇降)において、支柱30の周方向での捩じり作用が生じる可能性があるため、アーム体31を上下方向で直動させるリニアガイド59を設けることが好ましい。具体的には、直線的に延びるレール59aを上下方向に延びるように支柱30の外面に固定し、レール59aに沿って移動するスライダ59bがアーム体31に連結されることが好ましい。
【0164】
上記実施形態において、支柱30は全長に亘って円筒状に形成され、アーム体31の回転中心とされたが、これに限定されない。支柱30は、回転軸(中心)として機能する範囲(例えば、途中部分から下側(下端側)の領域)が円筒状にされてもよい。すなわち、回転軸(中心)として機能しない範囲については、円形以外の多角形状に形成されてもよい。
【0165】
上記実施形態において、アーム体31の回転中心を支柱30とし、支柱30とともにアーム体31を回転させるようにしたが、これに限定されない。例えば、アーム体31は、
支柱30とは別の上下方向に延びる軸を中心に回転可能に構成されてもよい。すなわち、支柱30に沿って上下方向に移動可能(昇降可能)な昇降ベースに対して、アーム体31を回転可能に連結してもよい。
【0166】
より具体的には、
図21に示すように、上下方向に延びる軸60を介して被案内部310とアーム部311とが相対的に回転可能に連結されてもよい。この場合、第一の歯車61が、軸60と同心又は略同心になるように。被案内部310、又はアーム部311の何れか一方(
図21においては、アーム部311)に連結され、第一の歯車61に噛合する第二の歯車62が回転可能に被案内部310又はアーム部311の何れか他方(
図21においては、被案内部310)に支持されるようにしてもよい。
【0167】
図21においては、上下方向に延びる軸60に対してアーム部311及び第一の歯車61が回転不能に連結されるとともに、アーム部311に連結された軸60が被案内部310に対して回転自在に支持されている。これに伴い、第一の歯車61に対して噛合する第二の歯車62は、被案内部310に支持され、上下方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられる。具体的には、第二の歯車62は、電動モータ63の上下方向に延びる出力軸に連結され、該電動モータ63が被案内部310に支持されている。このようにすれば、第二の歯車62の回転が、軸60を介して回転不能にアーム部311に連結された第一の歯車61に伝達される結果、被案内部310に回転自在に支持される軸60を中心にアーム部311が回転する。
【0168】
従って、上記実施形態と同様に、保持機構32は仮想水平面内にある円弧状の軌跡を辿って移動する。なお、この場合において、上記の通り、昇降装置34がラック56とピニオン57を含む場合、
図21に示すように、ピニオン57(電動モータ58を含む場合にはピニオン57と電動モータ58)は、被案内部310に支持される。また、リニアガイド59のスライダ59bも被案内部310に支持される。
【0169】
上記実施形態において、着脱治具3による着脱の対象となる電装品4として、測位用のGPSアンテナ4を一例にして説明したが、これに限定されない。着脱治具3による着脱の対象となる電装品4は、最高地上高であるルーフ250又はルーフバー26に対して取り付けられ、ルーフ250又はルーフバー26から上方に突出するものであればよく、例えば、GPSアンテナ4以外のアンテナ類や、投光器(サーチライト)5等の照明器具等であってもよい。但し、何れの場合においても、電装品4は、ルーフ250又はルーフバー26に固定される電装ベース40と、電装ベース40に取り付けられる電装本体41(着脱の対象)とを備え、電装本体41が、電装ベース40に対して上下方向と直交する仮想水平面に沿う接続方向で電気的且つ物理的に接続可能な構成を有することが前提である。
【0170】
この電装品4に関し、上記実施形態において、電装ベース40と電装本体41を磁力で接続するようにしたが、これに限定されない。例えば、
図22に示すように、電装ベース40の溝402を画定する側壁面又は位置決め用突起413の側面の何れか一方に、規制部材70を出退可能に内装するとともに、規制部材70を外方に向けて付勢するバネ71を内装し、電装ベース40の溝402を画定する側壁面又は位置決め用突起413の側面の何れか他方に規制部材70が嵌まり込み凹部72を形成してもよい。このようにすれば、規制部材70が凹部72に嵌り込むことで電装ベース40と電装本体41との連結状態が維持される一方、電装ベース40と電装本体41との前後方向の相対移動に伴って規制部材70に作用する力によって規制部材70が退避し(押し込み)、電装ベース40と電装本体41との連結状態が解除される。
【0171】
なお、規制部材70は、
図22に示すようなピン形状のものであってもよいが、球体(
ボール)であってもよい。なお、規制部材70が球状(ボール)以外の形状にされる場合、溝402を画定する側壁面又は位置決め用突起413の側面の何れか一方から突出する部分(凹部72から突出する部分)の外面は、球面やテーパ面で構成される。すなわち、電装本体41に対して前後方向の力(移動しようとしたときの力)又はその分力の作用で、規制部材70が押し込まれる(退避する)ように形成される。
【0172】
上記実施形態において、着脱治具3は、作業車両2に支持されることを前提に、作業機1の一構成(装備品)として取り扱われたが、これに限定されない。例えば、着脱治具3は、作業車両2に対して別個独立の構成とされてもよい。また、上記実施形態において、作業車両2が着脱治具3(支柱30)を支持したが、支柱30は、作業車両2に支持されることなく(作業車両2から独立して)、自立(地面上で起立)するようにしてもよい。但し、着脱治具3は、作業車両2の高所位置に電装品4を着脱するものであるため、使用時(電装品4を着脱する状況)において、作業車両2との関係(相対的な位置関係)が確保されることは言うまでもない。例えば、治具本体36(支柱30)を定位置に設置するとともに、作業車両2の停車位置(例えば、車輪の配置位置)を目印等で規定しておけば、支柱30(支柱30を基準とする他の構成)と、作業車両2との相対的な位置関係が一定となるため、支柱30を定位置に配置しても作業車両2との関係において基準位置にすることができる。
【0173】
上記実施形態において、作業車両2として、トラクタについて説明したが、これに限定されない。作業車両2は、例えば、コンバインや移植機等の農業機械(農業車両)であってもよいし、ローダ作業機等の建設機械(建設車両)等であってもよい。
【0174】
上記実施形態において、作業車両2の原動機22にディーゼルエンジンが採用されたが、これに限定されない。作業車両2の原動機22は、ガソリンエンジンや電動モータ343であってもよいし、エンジン及び電動モータ343を有するハイブリッド型であってもよい。
【符号の説明】
【0175】
1 :作業機
2 :作業車両
3 :着脱治具(作業車両用の高所電装品着脱治具)
4 :電装品(GPSアンテナ)
30 :支柱
31 :アーム体
32 :保持機構
34 :昇降装置
35 :支持手段
40 :電装ベース
41 :電装本体
350 :第一支持体
351 :第二支持体
356 :支持台
P1 :接続位置
P2 :解除位置