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特開2025-5852プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005852
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20250109BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20250109BHJP
【FI】
G06T11/60 300
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106253
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 和久
(72)【発明者】
【氏名】田中 斗志貴
【テーマコード(参考)】
5B050
5L096
【Fターム(参考)】
5B050AA07
5B050BA07
5B050BA17
5B050DA04
5B050EA07
5B050EA19
5B050FA19
5L096BA08
5L096BA12
5L096DA01
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096FA76
5L096HA09
5L096HA11
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】図面画像から所望の対象物を検出することができるプログラム等を提供する。
【解決手段】プログラムは、図面画像を取得し、図面画像を入力した場合に所定の対象物を検出するよう学習済みのモデルに、取得した前記図面画像を入力することで前記対象物を検出する処理をコンピュータに実行させる。好適には、前記図面画像は、地図画像である。更に好適には、前記地図画像は道路台帳地図画像であり、取得した前記道路台帳地図画像を前記モデルに入力することで、交差点を含む道路対象物を検出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面画像を取得し、
図面画像を入力した場合に所定の対象物を検出するよう学習済みのモデルに、取得した前記図面画像を入力することで前記対象物を検出する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記図面画像は、地図画像である
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記地図画像は道路台帳地図画像であり、
取得した前記道路台帳地図画像を前記モデルに入力することで、交差点を含む道路対象物を検出する
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
工事施工箇所の情報を取得し、
検出した前記交差点から前記工事施工箇所までの距離を特定する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
工事の種類を受け付け、
受け付けた工事の種類と、特定した前記交差点から前記工事施工箇所までの距離とに基づき、工事範囲を特定し、
前記道路台帳地図画像上に、特定した前記工事範囲及び工事施工箇所を表すオブジェクトを重畳する
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
取得した前記図面画像を拡大し、
拡大した前記図面画像を前記モデルに入力することで、前記対象物を検出する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
図面画像を入力した場合に特定のオブジェクトに相当する画像領域を識別するよう学習済みの第2モデルを用いて、取得した前記図面画像上の特定のオブジェクトを色付けするセグメンテーション処理を行い、
色付けされた前記図面画像を前記モデルに入力することで、前記対象物を検出する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記図面画像は道路台帳地図画像であり、
道路台帳地図画像を入力した場合に歩道又は車道に相当する画像領域を識別するよう学習済みの前記第2モデルを用いて、取得した前記道路台帳地図画像上の歩道又は車道を色付けするセグメンテーション処理を行い、
色付けされた前記道路台帳地図画像を前記モデルに入力することで、道路対象物を検出する
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記対象物を検出後、未検出の前記対象物を示す情報を前記図面画像に付加する入力を受け付け、
前記図面画像と、付加された前記対象物を示す情報とに基づき、前記モデルを更新する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記対象物の検出結果を前記図面画像と対応付けて記憶部に記憶し、
前記対象物を指定する入力を受け付け、
指定された前記対象物を含む前記図面画像を前記記憶部から検索する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
図面画像を取得し、
図面画像を入力した場合に所定の対象物を検出するよう学習済みのモデルに、取得した前記図面画像を入力することで前記対象物を検出する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項12】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部が、
図面画像を取得し、
図面画像を入力した場合に所定の対象物を検出するよう学習済みのモデルに、取得した前記図面画像を入力することで前記対象物を検出する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路を俯瞰視した画像から、交差点等の対象物を検出する技術がある。例えば特許文献1では、鳥瞰画像から交差点及び交差点に接続する複数の道路を検出し、検出した各道路について交差点へ進入する進入車線と交差点から退出する退出車線とを検出し、進入車線から車両が進行可能な他の道路の退出車線を結ぶように、交差点における車線同士の接続関係を表すレーンネットワークを生成する地図生成装置等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-107986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの側面では、図面画像から所望の対象物を検出することができるプログラム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの側面では、プログラムは、図面画像を取得し、図面画像を入力した場合に所定の対象物を検出するよう学習済みのモデルに、取得した前記図面画像を入力することで前記対象物を検出する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0006】
一つの側面では、図面画像から所望の対象物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】図面認識システムの構成例を示す説明図である。
図2】サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】端末の構成例を示すブロック図である。
図4】実施の形態1の概要を示す説明図である。
図5】基準図の作成処理に関する説明図である。
図6】基準図の他例を示す説明図である。
図7】検出モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図8】基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。
図9】実施の形態2に係る検出モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。
図11】実施の形態3の概要を示す説明図である。
図12】セグメンテーションモデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
図13】実施の形態3に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。
図14】実施の形態4に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。
図15】実施の形態5に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
図16】地図DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図17】実施の形態5に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。
図18】地図検索処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、図面認識システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、機械学習により構築される検出モデル50(図2参照)を用いて、代表的な図面画像である地図画像から交差点等の対象物を検出し、対象物の検出結果に基づいて道路工事保安施設設置基準図(以下では簡潔のため「基準図」と記載する)を自動で作成する図面認識システムについて説明する。図面認識システムは、情報処理装置1、端末2を含む。各装置は、インターネット等のネットワークNを介して通信接続されている。
【0009】
なお、後述の如く、本実施の形態で対象とする画像は図形や記号で表現された何らかの図面画像であればよく、その図面画像は地図画像に限定されない。
【0010】
基準図(図5図6参照)は、工事現場の保安対策のために作成される図面である。具体的には図5図6に図示するように、基準図では、作業車両の駐車位置や交通誘導員の立ち位置、歩行者や通行車両のための迂回路を規定するためのカラーコーン(登録商標)の設置位置などが描画される。基準図は、例えば工事申請書類の添付図などとして作成される。
【0011】
従来、基準図は人手で作成されており、作成者は道路台帳地図から交差点、横断歩道、近隣の駐車場などの位置を確認し、工事範囲及び工事施工箇所を表す表記を記入して基準図を作成していた。本実施の形態ではこの処理を自動化し、機械学習により構築される検出モデル50を用いて基準図を作成する。
【0012】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。サーバ1は、所定の訓練データを学習することで、道路台帳地図画像を入力した場合に、所定の道路対象物(例えば交差点、横断歩道、駐車場等)を検出する検出モデル50を生成する。そしてサーバ1は、生成した検出モデル50を用いて、工事場所の道路台帳地図画像から、交差点を含む道路対象物を検出する。後述の如く、サーバ1は、検出した交差点から工事施工箇所までの距離を特定し、特定した工事施工箇所までの距離と、工事の種類とに応じて工事範囲を特定し、特定した工事範囲及び工事施工箇所を表すオブジェクトを道路台帳地図画像に重畳することで基準図を作成する。
【0013】
なお、本実施の形態では地図画像として道路台帳地図画像を扱うものとして説明するが、地図画像は道路台帳に係る地図に限定されず、他の地図画像(例えば住宅地図やGoogleマップ(登録商標)など)であってもよい。
【0014】
端末2は、基準図の作成者が使用する端末装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末等である。作成者は端末2を介して地図画像をサーバ1にアップロードし、対象物の検出を行わせ、オブジェクトが重畳された地図画像(基準図)を取得する。
【0015】
なお、本実施の形態では主にサーバ1が検出モデル50による対象物の検出、基準図の作成等の一連の処理を行うものとして説明するが、本実施の形態はこれに限定されるものではなく、サーバ1が実行する処理の一部又は全部をクライアントの端末2が実行するようにしてもよい。
【0016】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0017】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、検出モデル50を記憶している。検出モデル50は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、地図画像を入力した場合に所定の対象物(道路対象物)を検出するよう学習済みのモデルである。
【0018】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0019】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、CD(Compact Disk)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の可搬型記憶媒体1aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体1aからプログラムP1を読み取って実行するようにしても良い。
【0020】
図3は、端末2の構成例を示すブロック図である。端末2は、制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、及び補助記憶部26を備える。
制御部21は、一又は複数のCPU等のプロセッサを有し、補助記憶部26に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、タッチパネル等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。補助記憶部26は、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。
【0021】
なお、端末2は、CD-ROM等の可搬型記憶媒体2aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体2aからプログラムP2を読み取って実行するようにしても良い。
【0022】
図4は、実施の形態1の概要を示す説明図である。図4では、地図画像(図面画像)から対象物を検出(破線状のバウンディングボックスで図示)する様子を図示している。図4に基づき、検出モデル50の概要を説明する。
【0023】
検出モデル50は、地図画像(図面画像)を入力した場合に所定の対象物を検出するよう学習済みのモデルであり、例えばSNN(Spiking Neural Network)である。なお、検出モデル50はSNNに限定されず、例えばCNN(Convolutional Neural Network)など、他の機械学習モデルであってもよい。
【0024】
サーバ1は、訓練用の地図画像に対し、検出対象とする対象物の正解の位置及び種類が対応付けられた訓練データを用いて、検出モデル50を生成する。本実施の形態で検出対象とする対象物は、例えば交差点、横断歩道、駐車場、歩道切り下げ部(車両出入口)、道路上に塗装された道路標示などである。なお、これらは対象物の一例であって、他の物体を地図画像から検出してもよい。
【0025】
サーバ1は、訓練用の地図画像を検出モデル50に入力することで、対象物の位置及び種類を検出する。サーバ1は、検出結果が正解の位置及び種類と近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを更新する。サーバ1は、訓練用の各地図画像について当該処理を繰り返し、パラメータを最適化した検出モデル50を生成する。
【0026】
実際に検出モデル50を用いて地図画像から対象物を検出する場合、サーバ1は、工事場所の地図画像を端末2から取得する。サーバ1は、取得した地図画像を検出モデル50に入力することで、各種対象物を検出する。これにより、図4に示すように、交差点、横断歩道、駐車場といった道路対象物が地図画像から検出される。
【0027】
本実施の形態では、上述の検出モデル50を用いた物体検出の活用事例として、地図画像から基準図を自動的に作成する形態について説明する。
【0028】
図5は、基準図の作成処理に関する説明図である。図5では、上記で検出した交差点と、工事施工箇所との位置に応じて、カラーコーン等を表すオブジェクトを重畳する様子を概念的に図示している。図5に基づき、基準図の作成処理について説明する。
【0029】
まずサーバ1は、端末2から工事施工箇所(図5ではハッチングを付した矩形領域で図示)の情報を取得する。工事施工箇所とは、例えば電柱、電線、地中配電ケーブルなどであるが、特に限定されない。サーバ1は、取得した情報に基づき、工事施工箇所の地図画像上の位置を特定する。そしてサーバ1は、検出モデル50により検出した交差点から工事施工箇所までの距離を特定する。
【0030】
次にサーバ1は、端末2から、施工予定の工事の種類を受け付ける。サーバ1は、受け付けた工事の種類と、上記で特定した交差点から工事施工箇所までの距離とに基づき、工事範囲を特定する。
【0031】
例えばサーバ1は、各工事の種類に応じて、道路に沿って工事に必要な工事範囲の長さを事前に定義しておく。そしてサーバ1は、受け付けた工事の種類に応じて工事に必要な工事範囲の長さを特定し、特定した工事範囲の長さを、交差点から工事施工箇所までの距離と比較する。工事範囲の長さが交差点から工事施工箇所までの距離よりも短い場合、サーバ1は、工事施工箇所を中心として、連続的に工事範囲を設定(特定)する。一方で、工事範囲の長さが交差点から工事施工箇所までの距離よりも長い場合、サーバ1は、交差点を跨いで断続的に工事範囲を設定する。
【0032】
例えば図5の例では、交差点から工事施工箇所までの距離が十分長く、工事範囲の長さが交差点から工事成功箇所までの距離よりも短いため、サーバ1は、交差点を跨がずに、工事施工箇所を中心として連続的に工事範囲を設定する。これに対し、図6は、基準図の他例を示す説明図である。図6の例では、交差点から工事施工箇所までの距離が短く、工事範囲の長さが交差点から工事施工箇所までの距離よりも長いため、サーバ1は、交差点を跨ぐ形で、交差点の両側に工事範囲を設定する。
【0033】
図5に戻って説明を続ける。最後にサーバ1は、所定のルールに従い、上記で特定した工事範囲及び工事施工箇所を表すオブジェクトを地図画像に重畳する。例えばサーバ1は、特定した工事範囲を囲うように、カラーコーンを表すオブジェクトを重畳(配置)する。また、サーバ1は、工事範囲内に交通誘導員、作業車両、電光表示車両等を表すオブジェクトを重畳する。これにより、サーバ1は基準図を作成する。
【0034】
以上より、本実施の形態によれば、地図画像から交差点等の対象物を自動的に検出することができ、その検出結果を用いて基準図を作成することができる。
【0035】
図7は、検出モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。図7に基づき、機械学習により検出モデル50を生成する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、検出モデル50生成用の訓練データを取得する(ステップS11)。訓練データは、訓練用の地図画像(図面画像)に対し、対象物の正解の位置及び種類が対応付けられたデータである。
【0036】
制御部11は訓練データに基づき、地図画像(図面画像)を入力した場合に対象物を検出する検出モデル50を生成する(ステップS12)。具体的には上述の如く、制御部11は、SNNを検出モデル50として生成する。制御部11は、訓練用の地図画像を検出モデル50に入力することで対象物の位置及び種類を検出し、検出結果が正解の位置及び種類と近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化することで、検出モデル50を生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0037】
図8は、基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。図8に基づき、基準図を作成する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、工事場所の地図画像を端末2から取得する(ステップS31)。地図画像は、上述の如く、道路台帳に係る地図画像である。制御部11は、取得した地図画像を検出モデル50に入力することで、所定の対象物を検出する(ステップS32)。具体的には、制御部11は、交差点を含む道路対象物を検出する。
【0038】
制御部11は、工事施工箇所の情報を端末2から取得する(ステップS33)。制御部11は、ステップS32で検出した交差点から工事施工箇所までの距離を特定する(ステップS34)。
【0039】
制御部11は、端末2を介して、施工予定の工事の種類を受け付ける(ステップS35)。制御部11は、受け付けた工事の種類と、ステップS34で特定した交差点から工事施工箇所までの距離とに基づき、工事範囲を特定する(ステップS36)。具体的には、制御部11は、工事の種類に応じて必要な工事範囲の長さを特定し、特定した工事範囲の長さを、交差点から工事施工箇所までの距離と比較する。工事範囲の長さが交差点から工事施工箇所までの距離よりも短い場合、制御部11は、工事施工箇所を中心として、連続的に工事範囲を設定(特定)する。一方で、工事範囲の長さが交差点から工事施工箇所までの距離よりも長い場合、制御部11は、交差点を跨いで断続的に工事範囲を設定する。
【0040】
制御部11は、特定した工事範囲及び工事施工箇所を表すオブジェクトを地図画像に重畳する(ステップS37)。具体的には上述の如く、制御部11は所定のルールに従い、特定した工事範囲を囲うようにカラーコーンを表すオブジェクトを重畳(配置)すると共に、交通誘導員、作業車両、電光表示車両等を表すオブジェクトを工事範囲内に重畳する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0041】
なお、本実施の形態では検出モデル50に入力する画像が地図画像であるものとして説明したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、地図以外に何らかの配置図、設計図等を検出モデル50に入力することで、図面中の対象物を検出するようにしてもよい。このようなユースケースとして、例えば図面から図形等を読み取り、3Dプリンタに検出結果を出力することで、図面から加工を行うようなケースが考えられる。また、他のユースケースとして、倉庫内の荷物の配置図から荷物の場所を検出して、自動的にロケーションを行うようなケースが考えられる。
【0042】
このように、検出モデル50に入力する画像は、図形や記号で表現された何らかの図面画像であればよく、その図面画像は地図画像に限定されない。
【0043】
以上より、本実施の形態1によれば、図面画像から所望の対象物を検出することができる。
【0044】
(実施の形態2)
本実施の形態では、地図画像(図面画像)を拡大することで対象物の検出精度を高める形態について述べる。なお、実施の形態1と重複する内容については同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
まず、本実施の形態の概要を説明する。本実施の形態では、サーバ1は、地図画像(図面画像)をそのまま検出モデル50に入力するのではなく、当該地図画像を拡大した上で検出モデル50に入力することにより、対象物の検出精度を高める。
【0046】
検出モデル50の生成時(訓練時)においてサーバ1は、訓練データを使って検出モデル50の学習を行う前に、訓練用の地図画像を所定倍率まで拡大する。そしてサーバ1は、拡大した訓練用の地図画像と、対象物の正解の位置及び種類とに基づき、検出モデル50を生成する。すなわち、サーバ1は、拡大した地図画像を検出モデル50に入力することで対象物の位置及び種類を検出し、検出結果が正解の位置及び種類と近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを最適化することで検出モデル50を生成する。
【0047】
基準図を作成する場合、サーバ1は、端末2から取得した地図画像をまず所定倍率まで拡大する。そしてサーバ1は、拡大後の地図画像を検出モデル50に入力することで、交差点を含む対象物を検出する。以降の処理は実施の形態1と同様であり、サーバ1は、交差点から工事施工箇所までの距離を特定し、工事範囲を特定してオブジェクトを重畳する。
【0048】
図9は、実施の形態2に係る検出モデル50の生成処理の手順を示すフローチャートである。検出モデル50生成用の訓練データを取得した後(ステップS11)、サーバ1は以下の処理を実行する。
サーバ1の制御部11は、訓練用の地図画像(図面画像)を、所定倍率まで拡大する(ステップS201)。制御部11は、拡大した訓練用の地図画像と、対象物の正解の位置及び種類に基づき、検出モデル50を生成する(ステップS202)。すなわち、制御部11は、拡大後の地図画像を検出モデル50に入力することで対象物の位置及び種類を検出し、検出結果が正解の位置及び種類と近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを最適化することで検出モデル50を生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0049】
図10は、実施の形態2に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。端末2から地図画像を取得した後(ステップS31)、サーバ1は以下の処理を実行する。
サーバ1の制御部11は、取得した地図画像を所定倍率まで拡大する(ステップS221)。制御部11は、拡大した地図画像を検出モデル50に入力することで、所定の対象物を検出する(ステップS222)。制御部11は処理をステップS33に移行する。
【0050】
以上より、本実施の形態2によれば、地図画像(図面画像)を拡大することで対象物の検出精度を高めることができる。
【0051】
(実施の形態3)
本実施の形態では、検出モデル50を用いて対象物の検出を行う前に、地図画像(図面画像)を色付けするセグメンテーション処理を行う形態について説明する。
【0052】
図11は、実施の形態3の概要を示す説明図である。図11では、検出モデル50とは異なるセグメンテーションモデル40(第2モデル)に地図画像を入力することで、地図画像上の特定のオブジェクト(例えば歩道)を色付け(図11ではハッチングで図示)する様子を概念的に図示している。図11に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0053】
上述の如く、本実施の形態では地図画像として道路台帳地図画像を採用する。しかしながら、道路台帳地図画像は白黒の2値で表現された画像であり、白黒の画像から交差点等の対象物を検出することは難易度が高い。そこで本実施の形態では、道路地図画像上の歩道、車道等のオブジェクトを事前に色付けするセグメンテーション処理を行うことで、対象物の検出を容易とする。
【0054】
セグメンテーションモデル40は、地図画像(図面画像)を入力した場合に、歩道、車道等のオブジェクトに相当する画像領域を識別するモデルであり、例えばCNNの一種であるセマンティックセグメンテーションモデルである。例えばセグメンテーションモデル40は、図11に示すように、地図画像上の歩道に相当する画像領域を識別する。
【0055】
サーバ1は、訓練用の地図画像に対し、歩道(又は車道)の正解の画像領域を示す情報が対応付けられた訓練データに基づき、セグメンテーションモデル40を生成する。例えばサーバ1は、端末2を介して作業者から地図画像の歩道部分を色付けする操作を受け付けることで、訓練データを取得する。サーバ1は、訓練用の地図画像をセグメンテーションモデル40に入力することで歩道に相当する画像領域を識別し、識別結果が正解の画像領域と近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。これにより、サーバ1はセグメンテーションモデル40を生成する。
【0056】
基準図を作成する場合、サーバ1は、検出モデル50に地図画像を入力する前に、セグメンテーションモデル40を用いてセグメンテーション処理を行う。すなわち、サーバ1は、地図画像をセグメンテーションモデル40に入力することで歩道に相当する画像領域を識別し、識別した画像領域、すなわち歩道を色付けした地図画像を生成する。サーバ1は、色付けした地図画像を検出モデル50に入力することで、地図画像から交差点を含む対象物を検出する。
【0057】
図12は、セグメンテーションモデル40の生成処理の手順を示すフローチャートである。図12に基づき、機械学習によりセグメンテーションモデル40を生成する際の処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、セグメンテーションモデル40生成用の訓練データを取得する(ステップS301)。訓練データは、訓練用の地図画像に対し、歩道又は車道の正解の画像領域を示す情報が対応付けられたデータである。
【0058】
制御部11は訓練データに基づき、地図画像(図面画像)を入力した場合に歩道、車道等の特定のオブジェクトに相当する画像領域を識別するセグメンテーションモデル40(第2モデル)を生成する(ステップS302)。具体的には上述の如く、制御部11は、セマンティックセグメンテーションモデルをセグメンテーションモデル40として生成する。制御部11は、訓練用の地図画像をセグメンテーションモデル40に入力することで歩道又は車道に相当する画像領域を識別し、識別結果が正解の画像領域と近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを最適化することで、セグメンテーションモデル40を生成する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0059】
図13は、実施の形態3に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。端末2から地図画像を取得した後(ステップS31)、サーバ1は以下の処理を実行する。
サーバ1の制御部11は、取得した地図画像(図面画像)をセグメンテーションモデル40に入力することで、歩道、車道等の特定のオブジェクトに相当する画像領域を識別し、識別した画像領域、すなわち地図画像上の歩道、車道等のオブジェクトを色付けするセグメンテーション処理を行う(ステップS321)。制御部11は、色付けされた地図画像(図面画像)を検出モデル50に入力することで、対象物を検出する(ステップS322)。制御部11は処理をステップS33に移行する。
【0060】
以上より、本実施の形態3によれば、図面画像上の特定のオブジェクト(例えば地図画像上の歩道又は車道)を色付けすることで、検出モデル50による対象物の検出精度を高めることができる。
【0061】
(実施の形態4)
本実施の形態では、検出漏れ(未検出)の対象物についてアノテーションを受け付けることで、検出モデル50の再学習を行い、対象物の検出精度を高める形態について説明する。
【0062】
まず、本実施の形態の概要を説明する。サーバ1は、実施の形態1と同様に、基準図を作成する場合、地図画像(図面画像)を検出モデル50に入力することで対象物を検出する。
【0063】
ここで、対象物の検出漏れが起きた場合を考える。本実施の形態でサーバ1は、この検出漏れの対象物を検出可能とすべく、検出モデル50の再学習を行う。
【0064】
例えばサーバ1は、対象物の検出結果を示す地図画像(図4参照)を端末2に出力し、作成者に対して表示する。そしてサーバ1は、端末2を介して作成者から、当該地図画像に対し未検出の対象物を示す情報を付加するアノテーション操作を受け付ける。例えばサーバ1は、地図画像上の任意の座標範囲を囲う描画操作を受け付けると共に、描画された座標範囲内に位置する対象物の種類(例えば交差点、横断歩道等)を指定する入力を受け付ける。
【0065】
なお、サーバ1は、本システムのユーザである作成者以外に、検出モデル50の作成、管理を行う本システムの運営者からアノテーションを受け付け、再学習を実施するようにしてもよい。
【0066】
サーバ1はアノテーションに従い、検出モデル50の再学習を行う。すなわち、サーバ1は、当該地図画像(図面画像)と、作成者により付加された対象物を示す情報とに基づき、検出モデル50を更新する。サーバ1は、対象物の検出結果が、作成者により付加された対象物の位置及び種類と近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。
【0067】
図14は、実施の形態4に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。地図画像から対象物を検出した後(ステップS32)、サーバ1は以下の処理を実行する。
サーバ1の制御部11は、端末2を介して、作成者から、地図画像に対し、未検出の対象物を示す情報を付加するアノテーション操作を受け付ける(ステップS401)。例えば制御部11は、地図画像上の任意の座標範囲を囲う描画を受け付けると共に、描画された座標範囲内に位置する対象物の種類を指定する入力を受け付ける。制御部11は、当該地図画像と、作成者により付加された対象物を示す情報とに基づき、検出モデル50を更新する(ステップS402)。制御部11は処理をステップS33に移行する。
【0068】
以上より、本実施の形態4によれば、本システムの運用を通じて対象物の検出精度を高めることができる。
【0069】
(実施の形態5)
本実施の形態では、交差点等の対象物を検索クエリとした地図検索を可能とする形態について説明する。
【0070】
図15は、実施の形態5に係るサーバ1の構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係るサーバ1の補助記憶部14は、地図DB141を記憶している。地図DB141は、検出モデル50による対象物の検出結果(対象物の位置及び種類)を格納したデータベースである。
【0071】
図16は、地図DB141のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。地図DB141は、地図ID列、座標列、種類列を含む。地図ID列は、各地図画像を識別するための地図IDを記憶している。座標列、及び種類列はそれぞれ、地図IDと対応付けて、地図画像上の対象物の座標範囲、及び対象物の種類を記憶している。
【0072】
ここで、本実施の形態の概要を説明する。上述の如く、サーバ1は、対象物の位置や種類が未知の地図画像(図面画像)を検出モデル50に入力し、各種対象物を地図画像から検出する。本実施の形態においてサーバ1は、その対象物の検出結果を地図画像と対応付けて地図DB141に記憶しておく。具体的には図16に示すように、サーバ1は、地図IDと対応付けて、地図画像上の対象物の座標範囲、及び対象物の種類を地図DB141に記憶する。
【0073】
サーバ1は、この地図DB141に基づく地図検索機能を提供する。例えばサーバ1は、端末2から、対象物の種類を指定した検索クエリの指定入力を受け付ける。サーバ1は、指定された種類の対象物が存在する地図画像を地図DB141から検索し、検索結果を端末2に出力する。
【0074】
このように、検出モデル50による対象物の検出結果を蓄積することで、地図検索用のデータベースを構築することができる。
【0075】
図17は、実施の形態5に係る基準図の作成処理の手順を示すフローチャートである。ステップS37の処理を実行後、サーバ1は以下の処理を実行する。
サーバ1の制御部11は、地図画像(図面画像)と対応付けて、ステップS32における対象物の検出結果を地図DB141に記憶する(ステップS501)。具体的には、制御部11は、地図画像(地図ID)と対応付けて、地図画像から検出した対象物の座標範囲、及び対象物の種類を地図DB141に記憶する。制御部11は一連の処理を終了する。
【0076】
図18は、地図検索処理の手順を示すフローチャートである。図18に基づき、対象物に基づく地図検索処理の内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、端末2から、検索クエリとする対象物の種類を指定する入力を受け付ける(ステップS521)。制御部11は、指定された種類の対象物を含む地図画像(図面画像)を、地図DB141から検索する(ステップS522)。制御部11は、検索された地図画像を端末2に出力し(ステップS523)、一連の処理を終了する。
【0077】
以上より、本実施の形態5によれば、検出モデル50を用いて地図検索用のデータベースを構築することもできる。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0079】
各実施の形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0080】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
40 セグメンテーションモデル(第2モデル)
50 検出モデル
141 地図DB
2 端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 補助記憶部
P2 プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18