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特開2025-58526薄型空中像表示装置及びそれを用いた非接触入力装置
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  • 特開-薄型空中像表示装置及びそれを用いた非接触入力装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025058526
(43)【公開日】2025-04-09
(54)【発明の名称】薄型空中像表示装置及びそれを用いた非接触入力装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20250402BHJP
【FI】
G02B30/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168513
(22)【出願日】2023-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】598033848
【氏名又は名称】株式会社アスカネット
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BB17
2H199BB59
2H199BB65
(57)【要約】
【課題】薄型でありながら鮮明な空中像を形成することができ、省スペース性及び設置自在性に優れる薄型空中像表示装置及びそれを用いた非接触入力装置を提供する。
【解決手段】非接触入力装置10は、平行配置された入光面16と出光面17とを有する平板状に形成され、それぞれが入光面16及び出光面17に直角に形成され所定間隔で平行配置される複数の第1の光反射面と複数の第2の光反射面が、平面視して直交配置される光学結像手段18と、光学結像手段18の入光面16側に配置され、入光面16と平行な発光面19を有する平板状ディスプレイ20とを備え、光学結像手段18の出光面17側で出光面17に対して角度αで傾斜した結像面21に空中像12を表示する薄型空中像表示装置11と、薄型空中像表示装置11に取付けられ、空中像12に触れる指示手段13の位置を検知する検知手段14で構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行配置された入光面と出光面とを有する平板状に形成され、前記入光面及び前記出光面に直角に形成され所定間隔で平行配置される複数の第1の光反射面と、前記入光面及び前記出光面に直角に形成され所定間隔で平行配置される複数の第2の光反射面とを有し、前記第1の光反射面と前記第2の光反射面が、平面視して直交配置される光学結像手段を備え、前記出光面側で該出光面に対して角度αで傾斜した結像面に空中像を表示する薄型空中像表示装置であって、
前記光学結像手段の前記入光面側に、前記光学結像手段を挟んで前記結像面と対象な位置で画像を表示する表示面を有する画像表示手段が仮想配置された時に、前記表示面から前記光学結像手段の前記入光面に向かって照射される光を、前記光学結像手段の前記入光面側に配置され、前記入光面と平行な発光面を有する平板状ディスプレイで再現し、該発光面から前記光学結像手段の前記入光面に向かって照射される光のうち、前記第1の光反射面で1回反射し、続けて前記第2の光反射面で1回反射する光により、前記画像に対応する空中像を前記結像面に結像させることを特徴とする薄型空中像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の薄型空中像表示装置において、前記平板状ディスプレイの前記発光面は、格子状に配置された複数の発光素子で構成されることを特徴とする薄型空中像表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の薄型空中像表示装置において、前記各発光素子から照射される光の中心軸は、前記画像表示手段の前記表示面と垂直であることを特徴とする薄型空中像表示装置。
【請求項4】
請求項2記載の薄型空中像表示装置において、前記各発光素子から照射される光の指向角は40度以内であることを特徴とする薄型空中像表示装置。
【請求項5】
請求項2記載の薄型空中像表示装置において、前記発光素子は、マイクロLEDであることを特徴とする薄型空中像表示装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1記載の薄型空中像表示装置を用いた非接触入力装置であって、前記薄型空中像表示装置と、該薄型空中像表示装置に取付けられ、前記空中像に触れる指示手段の位置を検知する検知手段とを備えたことを特徴とする非接触入力装置。
【請求項7】
請求項6記載の非接触入力装置において、前記検知手段は、前記空中像の下辺と平行に配置されることを特徴とする非接触入力装置。
【請求項8】
請求項7記載の非接触入力装置において、前記検知手段は、前記空中像と平行な方向に検出光を照射して該空中像と平行な検出面を形成する発光部と、正面視して前記空中像と重なる位置で前記指示手段が前記検出面に触れた時に該指示手段から反射する反射光を受光する受光部とを有することを特徴とする非接触入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが例えば所定間隔で平行配置される複数の帯状の第1、第2の光反射面(鏡面)が、平面視して直交配置される空中像結像手段の入光面に平行配置される平板状ディスプレイ上の画像に基づいて空中像を表示する薄型空中像表示装置及びそれを用いた非接触入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体表面(対象物)から発せられる光(散乱光)を用いて、空中にその物体の立体像(空中像=実像)を結像させるものとして、例えば、特許文献1に記載の立体像結像装置(光学結像装置)が知られている。この結像装置は、2枚の透明平板の内部に、この透明平板の一方の面に垂直に多数かつ帯状の金属反射面からなる光反射面を一定のピッチで並べて形成した第1、第2の光制御パネルを有し、この第1、第2の光制御パネルのそれぞれの光反射面が直交するように、第1、第2の光制御パネルの一面側を向い合わせて密着させたものである。この光学結像装置では、特許文献1の図3、5、6に示されたように、空中に結像する物体像M’又はN’は、光学結像装置を挟んで物体M又はNと対称位置に生成される。これは、物体M又はNの代わりに、ディスプレイ等の表示装置を設置し、表示装置に表示される画像の空中像を結像させる場合も同様である。従って、この光学結像装置を利用した非接触入力装置においても、例えば特許文献2の図2に示されたように、画像を表示する表示器と光学結像手段とのなす角aと、光学結像手段と空間内に結像する空間画像とのなす角aは等しくなっている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/131128号
【特許文献2】実用新案登録第3219968号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1の光学結像装置も、特許文献2の非接触入力装置も、表示装置に表示される画像に基づいて、光学結像装置の上方空間に空中像を傾斜させて結像させる(浮き上がらせる)ためには、光学結像装置の下方に、表示装置を傾斜させた状態で設置しなければならず、広い設置スペースを必要とする。このため、光学結像装置及び非接触入力装置は、大型で設置自在性に欠けることとなり、それが光学結像装置及び非接触入力装置普及の妨げとなっていた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、薄型でありながら鮮明な空中像を形成することができ、省スペース性及び設置自在性に優れる薄型空中像表示装置及びそれを用いた非接触入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係る薄型空中像表示装置は、平行配置された入光面と出光面とを有する平板状に形成され、前記入光面及び前記出光面に直角に形成され所定間隔で平行配置される複数の第1の光反射面と、前記入光面及び前記出光面に直角に形成され所定間隔で平行配置される複数の第2の光反射面とを有し、前記第1の光反射面と前記第2の光反射面が、平面視して直交配置される光学結像手段を備え、前記出光面側で該出光面に対して角度αで傾斜した結像面に空中像を表示する薄型空中像表示装置であって、
前記光学結像手段の前記入光面側に、前記光学結像手段を挟んで前記結像面と対象な位置で画像を表示する表示面を有する画像表示手段が仮想配置された時に、前記表示面から前記光学結像手段の前記入光面に向かって照射される光を、前記光学結像手段の前記入光面側に配置され、前記入光面と平行な発光面を有する平板状ディスプレイで再現し、該発光面から前記光学結像手段の前記入光面に向かって照射される光のうち、前記第1の光反射面で1回反射し、続けて前記第2の光反射面で1回反射する光により、前記画像に対応する空中像を前記結像面に結像させる。
【0006】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、前記平板状ディスプレイの前記発光面は、格子状に配置された複数の発光素子で構成されることが好ましい。
【0007】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、前記各発光素子から照射される光の中心軸は、前記画像表示手段の前記表示面と垂直であることが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、前記各発光素子から照射される光の指向角は40度以内であることが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、前記発光素子は、マイクロLEDであることが好ましい。
【0010】
前記目的に沿う第2の発明に係る非接触入力装置は、第1の発明に係る薄型空中像表示装置を用いた非接触入力装置であって、前記薄型空中像表示装置と、該薄型空中像表示装置に取付けられ、前記空中像に触れる指示手段の位置を検知する検知手段とを備える。
【0011】
第2の発明に係る非接触入力装置において、前記検知手段は、前記空中像の下辺と平行に配置されることが好ましい。
【0012】
第2の発明に係る非接触入力装置において、前記検知手段は、前記空中像と平行な方向に検出光を照射して該空中像と平行な検出面を形成する発光部と、正面視して前記空中像と重なる位置で前記指示手段が前記検出面に触れた時に該指示手段から反射する反射光を受光する受光部とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置は、光学結像手段の入光面と平行な発光面を有する平板状ディスプレイから入光面に向かって照射される光に基づいて、光学結像手段の出光面側で出光面に対して角度αで傾斜した結像面に空中像を表示することができ、極めてコンパクトで設置自在性に優れる。
【0014】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、平板状ディスプレイの発光面が、格子状に配置された複数の発光素子で構成される場合、高品質で鮮明な空中像を表示することができる。
【0015】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、各発光素子から照射される光の中心軸が、画像表示手段の表示面と垂直である場合、仮想の画像表示手段に表示される画像を平板状ディスプレイで正確に再現し、所定の結像面に空中像を確実に表示することができる。
【0016】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、各発光素子から照射される光の指向角が40度以内である場合、明るく鮮明な空中像を得ることができる。
【0017】
第1の発明に係る薄型空中像表示装置において、発光素子が、マイクロLEDである場合、高精細な空中像を得ることができると共に、長寿命性及び省エネルギー性に優れる。
【0018】
第2の発明に係る非接触入力装置は、光学結像手段の入光面と平行な発光面を有する平板状ディスプレイを備えた薄型空中像表示装置を用いることにより、極めて薄型で省スペース性及び設置自在性に優れる。
【0019】
第2の発明に係る非接触入力装置は、検知手段が、空中像の下辺と平行に配置される場合、薄型空中像表示装置と検知手段を一体化して構成を簡素化することができ、省スペース性及び量産性に優れる。
【0020】
第2の発明に係る非接触入力装置は、検知手段が、空中像と平行な方向に検出光を照射して空中像と平行な検出面を形成する発光部と、正面視して空中像と重なる位置で指示手段が検出面に触れた時に指示手段から反射する反射光を受光する受光部とを有する場合、外部に別途、検出光を照射するための発光部を設置する必要がなく、省スペース性及び設置自在性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態に係る薄型空中像表示装置を用いた非接触入力装置を示す斜視図である。
図2】同非接触入力装置を示す要部断面側面図である。
図3】(A)、(B)は同非接触入力装置に用いられる薄型空中像表示装置における光学結像手段の動作を示す正断面図及び側断面図である。
図4】同非接触入力装置の平板状ディスプレイによる画像表示を説明する模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施の形態に係る薄型空中像表示装置を用いた非接触入力装置について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る非接触入力装置10は、薄型空中像表示装置11と、薄型空中像表示装置11に取付けられ、空中像12に触れる手指やタッチペン等の指示手段13(ここでは手指)の位置を検知する検知手段14とを備えたものである。
【0023】
薄型空中像表示装置11は、図2に示すように、平行配置された入光面16と出光面17とを有する平板状に形成された光学結像手段18と、光学結像手段18の入光面16側に配置され、入光面16と平行な発光面19を有する平板状ディスプレイ20を備え、出光面17側で出光面17に対して角度αで傾斜した結像面21に空中像12を表示するものである。ここで、角度αは30~60度程度の範囲にあることが好ましいが、この範囲に限定されるものではなく、適宜、選択される。
また、光学結像手段18は、図3(A)、(B)に示すように、入光面16及び出光面17に直角に形成され所定間隔で平行配置される複数の第1の光反射面22と、入光面16及び出光面17に直角に形成され所定間隔で平行配置される複数の第2の光反射面23とを有し、第1の光反射面22と第2の光反射面23が、平面視して直交配置されたものである。
【0024】
この光学結像手段18の製造にあっては、例えば透明樹脂が成型(例えば、インジェクション成型、プレス成型又はロール成型等)されることにより、図3(A)、(B)に示すように、一面側(ここでは上側)に、一方の側面を垂直面24とし他方の側面を傾斜面25として一面側に拡開する断面台形状の複数の溝26が所定間隔で平行配置された第1の成型体27と、他面側(ここでは下側)に、一方の側面を垂直面28とし他方の側面を傾斜面29として他面側に拡開する断面台形状の複数の溝30が所定間隔で平行配置された第2の成型体31が製造される。そして、第1の成型体27及び第2の成型体31のそれぞれの溝26、30の垂直面24、28が金属反射膜33で覆われることにより、複数の第1の光反射面22を有する第1の光制御部35及び複数の第2の光反射面23を有する第2の光制御部36が形成される。
金属反射膜33は、光を正反射(鏡面反射)するものであり、アルミニウム等の金属を原料とし、スパッタリング、金属蒸着、金属微小粒子の吹き付け、イオンビームの照射又はメッキ等の方法により、垂直面24、28を覆うことができる。
そして、第1の光制御部35の各溝26及び第2の光制御部36の各溝30にそれぞれ透明接着剤37が充填され、溝26と溝30が向かい合わされた状態で、第1の光反射面22と第2の光反射面23が平面視して直交するように、第1の光制御部35と第2の光制御部36が厚さ方向に積層され(重ね合され)て接合され、一体化されることにより、光学結像手段18が得られる。
【0025】
次に、光学結像手段18の動作を説明する。
図3(A)、(B)に示すように、光学結像手段18では、図示しない対象物から発せられて入光面16から第1の光制御部35に入射する光のうち、例えば、光L1、L2は、それぞれP11、P21の位置から第1の光制御部35に入射し、第1の光反射面22上のP12、P22の位置でそれぞれ1回反射して第2の光制御部36に進入し、第2の光反射面23上のP13、P23の位置でそれぞれ1回反射して、出光面17のP14、P24の位置で第2の光制御部36から空中に出射する。
ここで、光L1、L2は、図3(B)のQ1、Q2で第1の成型体27から透明接着剤37に入射し、図3(A)のS1、S2で透明接着剤37から第2の成型体31に入射するが、第1の成型体27及び第2の成型体31の屈折率η1、η2が同一で、透明接着剤37の屈折率η3と近似する(略同等である)ので、屈折の影響は極めて小さく、全反射や分光等の現象も起こらない。従って、対象物から発せられ、光学結像手段18の第1の光反射面22で1回反射し、続けて第2の光反射面23で1回反射する無数の光が空中で結像することにより、光学結像手段18を挟んで対象物と対称となる位置に、対象物の実像となる空中像(図示せず)が形成される。
【0026】
なお、光L1、L2は、それぞれ入光面16のP11、P21及び出光面17のP14、P24の位置で屈折しているが、第1の光制御部35及び第2の光制御部36の基材となる透明樹脂(第1の成型体27及び第2の成型体31)は同一の屈折率を有し、均質であり、空中像の結像に関与する全ての光が、入光位置及び出光位置によらず、光L1、L2と同様に、入光面16及び出光面17において一定(同一)の角度で屈折するため、これらの屈折が結像に影響を与えることはない。
また、図3(A)、(B)では、金属反射膜33の左側の面が第1の光反射面22及び第2の光反射面23となっているが、金属反射膜33は、表裏(図3(A)、(B)の左右)いずれ側の面も第1の光反射面及び第2の光反射面として機能することができ、第1の光制御部35及び第2の光制御部36の配置(表裏の反転)又は光の進入方向に対応して、金属反射膜33の表裏いずれか一方の面が第1の光反射面及び第2の光反射面として機能する。
【0027】
この光学結像手段18にディスプレイ等の表示器を組合せた従来の空中像表示装置及びその空中像表示装置を利用した非接触入力装置において、光学結像手段18の上方空間に空中像を傾斜させて結像させる(浮き上がらせる)ためには、光学結像手段18の下方に、表示器を傾斜させた状態で設置しなければならず、空中像表示装置及び非接触入力装置の高さ(厚味)が増大し、設置自在性及び取扱性に欠けるという問題があった。
これに対し、図1及び図2に示す薄型空中像表示装置11は、光学結像手段18の入光面16側に、光学結像手段18を挟んで結像面21と対象な位置(従来の空中像表示装置の表示器の位置)で画像を表示する表示面39を有する画像表示手段40が仮想配置された時に、表示面39から光学結像手段18の入光面16に向かって照射される光を、光学結像手段18の入光面16側に配置され、入光面16と平行な発光面19を有する平板状ディスプレイ20で再現している。
つまり、平板状ディスプレイ20は、図4に示すように、仮想配置された画像表示手段40の表示面39に表示される画像を構成する複数の画素42(ここでは代表して4つの画素を示す)から光学結像手段18の入光面16に向かって照射される光の束に含まれるそれぞれの光を発光面19から光学結像手段18の入光面16に向かって照射し、疑似的に各画素41からの光を集光させることにより、表示面39に表示される画像を再現することができる。言い換えれば、画像表示手段40の表示面39に表示される画像を平板状ディスプレイ20の発光面19に投影し、発光面19に投影された画像を発光面19に配置される複数の発光素子(図示せず)で再構成して表示することができる。
【0028】
図2において、平板状ディスプレイ20の発光面19は、格子状(縦横)に配置された複数の発光素子42で構成される。この発光素子42としては、マイクロLEDが好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、R、G、Bの3色の光を組合せてカラー画像の表示を行うものが、適宜、用いられる。各発光素子42から照射される光の中心軸(図2中に矢印で示した光線)は、画像表示手段40の表示面39と垂直であるので、各発光素子42から照射される光の中心軸が発光面19となす角θ=90-αとなる。なお、各発光素子42から照射される光の指向角は40度以内であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、適宜、選択される。
このように、光学結像手段18の入光面16側に、角度αで傾斜配置されていた従来の画像表示手段40の代わりに、入光面16と平行に平板状ディスプレイ20が配置されることにより、薄型空中像表示装置11が得られる。薄型空中像表示装置11は、発光面19から光学結像手段18の入光面16に向かって照射される光のうち、第1の光反射面22(図3(B)参照)で1回反射し、続けて第2の光反射面23(図3(A)参照)で1回反射する光により、画像表示手段40上の画像に対応する空中像12を結像面21に結像させることができる。
【0029】
次に、検知手段14について説明する。
図1図2に示すように、検知手段14は、薄型空中像表示装置11の筐体43の内部に空中像12の下辺と平行に配置される。筐体43の上面には、検知手段14の長手方向と平行な開口部44が形成されており、検知手段14は、開口部44を通して空中像12と平行な方向に検出光を照射して空中像12と平行な(本実施の形態では結像面21と一致する)検出面45を形成する発光部(図示せず)と、正面視して空中像12と重なる位置で指示手段13が検出面45に触れた時に指示手段13から反射する反射光を受光する受光部(図示せず)とを有する。
以上の構成により、空中像12(=結像面21、検出面45)を非接触入力画面として機能させることができ、利用者が空中像12を見ながら、指示手段13で空中像12上の所定の位置を指示すると、その位置が検知手段14で検知され、指示された位置に対応して文字の入力又は所定の動作(命令)が実行される。
【0030】
検知手段13としては、zForce(登録商標)AIRタッチセンサー若しくはAIRBAR(登録商標)等のフラットバー状(短冊状)に形成された光学センサーが好適に用いられる。検知手段13(発光部)から照射されるレーザー光又は赤外光等の検出光で空中像12(結像面21)の表面をスキャンすることにより、空中像12を指示する指示手段13の位置を検出することができる。なお、本実施の形態では、検知手段14を筐体43の内部に収容したが、検知手段14を筐体43の外部上面に設置し、開口部44を省略することもできる。また、検知手段14は、空中像12の左右いずれか一方の側方に、空中像12と平行に配置されてもよい。この場合、検知手段14は、筐体43に回動可能に保持され、使用時以外は、筐体43の上面に載置される構成とすることにより、コンパクト性に優れる。なお、検知手段の構成は、本実施の形態に限定されるものではなく、空中像12に触れる指示手段13の位置を検知できるものであればよい。例えば、検知手段として、空中像12の外周に沿う枠型に形成され、空中像12の周囲に複数の発光素子と受光素子を配置する枠型センサ(光学近接センサの一種)が用いられてもよいし、赤外線モーションセンサー等が用いられてもよい。なお、本実施の形態では、結像面21と検出面45が一致しているが、検出面45は、結像面21の前方又は後方に隙間を空けて結像面21と平行配置されてもよい。
【0031】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
第1の光制御部と第2の光制御部を一体化する方法として、第1の光制御部の一面側と、第2の光制御部の他面側、つまり、それぞれの溝が形成された側の面が対向するように第1の光制御部と第2の光制御部が向かい合わせに配置された状態で、その間に、第1の成型体及び第2の成型体より融点が低いシート状の透明樹脂が挟まれ、真空状態で加熱、加圧されて、透明樹脂のみが溶融され、固化されてもよい。或いは、第1の光制御部及び第2の光制御部のそれぞれの溝に別々に溶融状態の透明樹脂が充填され、固化されて平板状に成形されたものが透明接着剤等で接合されてもよい。このとき、第1の光制御部の一面側と第2の光制御部の他面側が向かい合わせに配置され、接合される以外に、第1の光制御部の一面側と第2の光制御部の一面側が向かい合わせに配置され、接合されてもよいし、第1の光制御部の他面側と、第2の光制御部の一面側が向かい合わせに配置され、接合されてもよい。さらに、第1、第2の光制御部が2枚の透明樹脂製の成形体から別々に形成されて接合される代わりに、1枚の透明樹脂製の成形体の両面に第1、第2の光制御部が形成されてもよい。
【0032】
また、上記実施の形態では、光学結像手段として、第1、第2の光制御部の複数の光反射面がそれぞれ直線状(平行)に配置されたものについて説明したが、複数の光反射面が放射状に配置された第1の光制御部と、複数の光反射面が同心円状に配置された第2の光制御部を有するものが使用されてもよい。この場合、第1の光制御部の放射状の光反射面が、基準点Xを中心にして直線状に設けられるのに対し、第2の光制御部の同心円状の光反射面は、平面視して基準点Xと重なる基準点Yを中心とする同心円に沿って湾曲しているが、平面視して光反射面同士が交差する点では、両者は直交している。よって、上記実施の形態と同様に、空中像を結像させることができる。
さらには、光学結像手段として、例えば、特許第5437436号公報に記載のように、一方側の面に垂直に(例えば、同一ピッチで)並べて形成された多数の帯状反射面を有する第1、第2の光制御部が、それぞれの帯状反射面が平面視して直交するように重ね合わされて配置されたものが使用されてもよい。
なお、上記実施の形態では、第1、第2の成型体(第1、第2の光制御部)の溝は、断面台形状に形成されているが、溝の底面部は光学結像手段に必須の構成ではないため、底面部の寸法(幅)が厳密に管理される必要はなく、一方の側面を垂直面とし他方の側面を傾斜面として一面側又は他面側に拡開する断面三角形状に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10:非接触入力装置、11:薄型空中像表示装置、12:空中像、13:指示手段、14:検知手段、16:入光面、17:出光面、18:光学結像手段、19:発光面、20:平板状ディスプレイ、21:結像面、22:第1の光反射面、23:第2の光反射面、24:垂直面、25:傾斜面、26:溝、27:第1の成型体、28:垂直面、29:傾斜面、30:溝、31:第2の成型体、33:金属反射膜、35:第1の光制御部、36:第2の光制御部、37:透明接着剤、39:表示面、40:画像表示手段、41:画素、42:発光素子、43:筐体、44:開口部、45:検出面
図1
図2
図3
図4