(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005857
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】計画立案支援装置、計画立案支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20250109BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106260
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】522451300
【氏名又は名称】株式会社ノバケア
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】金山 奈▲緒▼美
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
5L099AA11
(57)【要約】
【課題】介護事業者の経営計画の立案を支援し得る技術を提供する。
【解決手段】介護サービスを提供する事業の計画の立案を支援する計画立案支援装置であって、前記事業の運営状態を示す運営状態情報の基礎となる基礎情報を取得する基礎情報取得部と、前記基礎情報に基づいて予測された、所定の時期における前記運営状態情報を生成する運営状態情報生成部と、前記事業に対する変更の内容、及び、時期の設定を受け付ける変更設定受付部と、を備え、前記運営状態情報生成部によって生成される前記運営状態情報は、前記変更設定受付部によって受け付けた前記内容及び前記時期に基づいて予測された前記運営状態情報を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介護サービスを提供する事業の計画の立案を支援する計画立案支援装置であって、
前記事業の運営状態を示す運営状態情報の基礎となる基礎情報を取得する基礎情報取得部と、
前記基礎情報に基づいて予測された、所定の時期における前記運営状態情報を生成する運営状態情報生成部と、
前記事業に対する変更の内容、及び、時期の設定を受け付ける変更設定受付部と、
を備え、
前記運営状態情報生成部によって生成される前記運営状態情報は、前記変更設定受付部によって受け付けた前記内容及び前記時期に基づいて予測された前記運営状態情報を含むことを特徴とする計画立案支援装置。
【請求項2】
前記事業に対する変更の内容である変更内容は、介護報酬に対する加算項目ごとに設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の計画立案支援装置。
【請求項3】
前記基礎情報に基づいて、前記加算項目について、前記加算項目に対応する加算報酬を取得するための取得要件を充足するのに必要な前記変更内容である必要変更内容情報を生成する必要変更内容生成部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の計画立案支援装置。
【請求項4】
前記加算項目について、該加算項目に関連する情報を生成する加算関連情報生成部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の計画立案支援装置。
【請求項5】
前記基礎情報に基づいて、前記加算項目に対応する加算報酬を取得した場合の、所定時期における該加算報酬額を予測する加算報酬額予測部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の計画立案支援装置。
【請求項6】
前記加算報酬額を予測するために必要な情報の入力を受け付ける補充情報受付部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の計画立案支援装置。
【請求項7】
前記基礎情報に基づいて、複数の前記加算項目について、
それぞれの前記加算項目に対応する加算報酬を取得するための取得要件を充足するのに必要な前記変更内容である必要変更内容情報、
それぞれの前記加算項目に関連する情報、
前記加算項目に対応する前記加算報酬を取得した場合の、所定時期における該加算報酬額の合計、
の少なくともいずれかを含む総括情報を生成する総括情報生成部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の計画立案支援装置。
【請求項8】
前記総括情報は、
前記所定時期における前記加算報酬額を、前記加算項目を分類する基準に従って分類された各分類に属する前記加算項目について合計した前記加算報酬額の合計額である類別合計額と、
前記分類のそれぞれに属する前記加算項目ごとの、前記所定時期における前記加算報酬額との少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項7に記載の計画立案支援装置。
【請求項9】
介護サービスを提供する事業の計画の立案を支援する計画立案支援方法であって、
前記事業の運営状態を示す運営状態情報の基礎となる基礎情報を取得するステップと、
前記基礎情報に基づいて予測された、所定の時期における前記運営状態情報を生成する
ステップと、
前記事業に対する変更の内容、及び、時期の設定を受け付けるステップと、
を含み、
前記運営状態情報は、受け付けた前記内容及び前記時期に基づいて予測された前記運営状態情報を含むことを特徴とする計画立案支援方法。
【請求項10】
介護サービスを提供する事業の計画の立案を支援する計画立案支援プログラムであって、
前記事業の運営状態を示す運営状態情報の基礎となる基礎情報を取得するステップと、
前記基礎情報に基づいて予測された、所定の時期における前記運営状態情報を生成するステップと、
前記事業に対する変更の内容、及び、時期の設定を受け付けるステップと、
を含み、
前記運営状態情報は、受け付けた前記内容及び前記時期に基づいて予測された前記運営状態情報を含むことを特徴とする計画立案支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計画立案支援装置、計画立案支援方法及び計画立案支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護保険制度のもとで提供される介護保険サービスは多岐にわたる。それぞれの介護保険サービスの提供に対する介護報酬は、基本報酬及びこれに対する加算又は減算から構成されており、また、加算及び減算のためには詳細な要件が定められるという複雑な制度となっている。
【0003】
このため、介護保険サービスを提供する介護事業者においても、自らが提供している介護保険サービスに関して、どのような加算を取得することができるのか、また、その加算を取得するために必要な要件はどのようなものかは、簡便に認識することができるものではなかった。
【0004】
そこで、このような加算に関する情報を提供する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、将来に向けて継続的・計画的に介護事業を遂行するという経営的な観点から有益な情報を提供できるものではなかった。
【0007】
本発明は、介護サービスを提供する事業の経営計画の立案を支援し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、
介護サービスを提供する事業の計画の立案を支援する計画立案支援装置であって、
前記事業の運営状態を示す運営状態情報の基礎となる基礎情報を取得する基礎情報取得部と、
前記基礎情報に基づいて予測された、所定の時期における前記運営状態情報を生成する運営状態情報生成部と、
前記事業に対する変更の内容、及び、時期の設定を受け付ける変更設定受付部と、
を備え、
前記運営状態情報生成部によって生成される前記運営状態情報は、前記変更設定受付部によって受け付けた前記内容及び前記時期に基づいて予測された前記運営状態情報を含むことを特徴とする。
【0009】
これによれば、介護サービスを提供する事業に対する変更を行った場合に、当該事業の運営状態がどのように変化するかを運営状態情報によって認識することができる、当該変更がもたらす事業への影響を的確に評価することができるので、介護サービスを提供する事業の経営計画の立案を支援することができる。
【0010】
また、本発明において、
前記事業に対する変更の内容である変更内容は、介護報酬に対する加算項目ごとに設定可能であるようにしてもよい。
【0011】
これによれば、介護報酬における加算の取得による、事業への影響を加算項目ごとに認識することができる。したがって、加算の取得がもたらす事業への影響を的確に評価することができるので、介護サービスを提供する事業の経営計画の立案を支援することができる。
【0012】
また、本発明において、
前記基礎情報に基づいて、前記加算項目について、前記加算項目に対応する加算報酬を取得するための取得要件を充足するのに必要な前記変更内容である必要変更内容情報を生成する必要変更内容生成部を備えるようにしてもよい。
【0013】
これによれば、事業の現状から、加算報酬を取得するために、どのような変更が必要であるかを明確に認識できるので、事業の経営の観点から、加算取得の当否を検討するための情報を提供することができる。
【0014】
また、本発明において、
前記加算項目について、該加算項目に関連する情報を生成する加算関連情報生成部を備るようにしてもよい。
また、本発明において、
前記基礎情報に基づいて、前記加算項目に対応する加算報酬を取得した場合の、所定時期における該加算報酬額を予測する加算報酬額予測部を備えるようにしてもよい。
【0015】
これによれば、加算報酬を取得した場合に、その報酬額を予測して提供することができるので、事業の経営計画の立案に有益な情報を提供することができる。
【0016】
また、本発明において。
前記加算報酬額を予測するために必要な情報の入力を受け付ける補充情報受付部を備えるようにしてもよい。
【0017】
これによれば、予測の基礎となる情報量が増加するので、より正確な予測が可能となる。
【0018】
また、本発明において、
前記基礎情報に基づいて、複数の前記加算項目について、
それぞれの前記加算項目に対応する加算報酬を取得するための取得要件を充足するのに必要な前記変更内容である必要変更内容情報、
それぞれの前記加算項目に関連する情報、
前記加算項目に対応する前記加算報酬を取得した場合の、所定時期における該加算報酬額の合計、
の少なくともいずれかを含む総括情報を生成する総括情報生成部を備えるようにしてもよい。
【0019】
これによれば、複数の加算報酬を取得する可能性を検討する場合に、個々の加算項目に関する情報だけでなく、複数の加算項目にわたる総括的な情報を提供することができるので、事業の経営計画の立案に有益な情報を提供することができる。
【0020】
また、
前記総括情報は、
前記所定時期における前記加算報酬額を、前記加算項目を分類する基準に従って分類された各分類に属する前記加算項目について合計した前記加算報酬額の合計額である類別合計額と、
前記分類のそれぞれに属する前記加算項目ごとの、前記所定時期における前記加算報酬額との少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0021】
このようにすれば、単に、加算報酬額の多寡のみではなく、適切な基準を設定することで、どのような質の介護サービスを提供するのかというような種々の観点からの事業への影響を評価するための情報を提供することができる。
【0022】
また、本発明は、
介護サービスを提供する事業の計画の立案を支援する計画立案支援方法であって、
前記事業の運営状態を示す運営状態情報の基礎となる基礎情報を取得するステップと、
前記基礎情報に基づいて予測された、所定の時期における前記運営状態情報を生成するステップと、
前記事業に対する変更の内容、及び、時期の設定を受け付けるステップと、
を含み、
前記運営状態情報は、受け付けた前記内容及び前記時期に基づいて予測された前記運営状態情報を含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、
介護サービスを提供する事業の計画の立案を支援する計画立案支援プログラムであって、
前記事業の運営状態を示す運営状態情報の基礎となる基礎情報を取得するステップと、
前記基礎情報に基づいて予測された、所定の時期における前記運営状態情報を生成するステップと、
前記事業に対する変更の内容、及び、時期の設定を受け付けるステップと、
を含み、
前記運営状態情報は、受け付けた前記内容及び前記時期に基づいて予測された前記運営状態情報を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、介護事業の経営計画の立案を支援し得る技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、実施例に係る収益シミュレーションシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施例に係るユーザ端末のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、実施例に係る収益シミュレーション全体の処理手順を説明するフローチャートの一部である。
【
図6】
図6は、実施例に係る収益シミュレーション全体の処理手順を説明するフローチャートの他の一部である。
【
図7】
図7は、実施例に係る収益シミュレーションにおける事業所選択画面例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例に係る収益シミュレーションにおける事業所情報入力画面の一部の例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例に係る収益シミュレーションにおける事業所情報入力画面の他の一部を示す図である。
【
図10】
図10は、実施例に係る収益シミュレーションにおける利用者情報入力画面の他の一部を示す図である。
【
図11】
図11は、実施例に係る収益シミュレーションにおける前年度の事業活動計算書入力画面例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施例に係る収益シミュレーションにおける栄養アセスメント加算算定シミュレーションの処理手順を説明するフローチャートの一部である。
【
図13】
図13は、実施例に係る収益シミュレーションにおける栄養アセスメント加算算定シミュレーションの処理手順を説明するフローチャートの他の一部である。
【
図14】
図14は、実施例に係る収益シミュレーションにおける栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施例に係る収益シミュレーションにおける栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面の他の例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施例に係る収益シミュレーションにおけるサービス提供体制強化加算算定シミュレーション画面の例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施例に係る収益シミュレーションにおけるサマリー画面例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施例に係る収益シミュレーションにおける事業活動計算書シミュレーションの処理手順を説明するフローチャートである。
【
図19】
図19は、実施例に係る収益シミュレーションにおける事業活動計算書シミュレーション画面例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施例に係る収益シミュレーションにおける事業活動計算書シミュレーション画面の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施例1>
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る加算算定による収益シミュレーションシステム10について説明する。以下では、「加算算定による収益シミュレーション」を、単に、収益シミュレーションという。
【0027】
(収益シミュレーションの全体構成)
図1は、収益シミュレーションシステム10の概略構成図を示す。
図1に示すように、収益シミュレーションシステム10は、ユーザ端末100、情報処理装置200を含んで構成される。ユーザ端末100及び情報処理装置200は、適宜の方式で通信可能に構成されたネットワークによって接続される。
【0028】
(ユーザ端末)
ユーザ端末100は、介護保険サービスを提供する介護事業の経営者又は管理者等のユーザが使用する端末である。ユーザ端末100は、PC(パーソナルコンピュータ)又はスマートフォン等の情報処理装置である。
【0029】
図2に示すように、ユーザ端末100は、CPUやDSP等のプロセッサ101、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の主記憶部102、EPROM、ハードディスクドライブ(HDD)、リムーバブルメディア等の補助記憶部103、キーボード、マウス、タッチパネル等の、ユーザからの操作を受け付ける操作部104、ディスプレイ等の表示部105、情報処理装置200その他の装置と通信するための通信部106を有する。リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリやSDカード等のフラッシュメモリ、あるいは、CD-ROMやDVDディスク、ブルーレイディスク
のようなディスク記録媒体である。補助記憶部103には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶部102の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されること102によって、後述するような、所定の目的に果たす各機能部を実現することができる。
【0030】
(情報処理装置)
情報処理装置200は、サーバ等のコンピューであり、単一のコンピュータで構成されてもよいし、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。
【0031】
図3に示すように、情報処理装置200は、CPUやDSP等のプロセッサ201、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の主記憶部202、EPROM、ハードディスクドライブ(HDD)、リムーバブルメディア等の補助記憶部203、キーボード、マウス、タッチパネル等の、システム管理者等からの操作を受け付ける操作部204、ディスプレイ等表示部205、ユーザ端末100その他の装置と通信するための通信部206を有する。リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリやSDカード等のフラッシュメモリ、あるいは、CD-ROMやDVDディスク、ブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。補助記憶部203には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶部202の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に果たす各機能部を実現することができる。
【0032】
図1には示していないが、収益シミュレーションシステム10は、外部サーバを含んでもよい。外部サーバは、政府や自治体等の行政機関によって運営されるサーバである。このような外部サーバによって、管轄する各介護事業者に関する各種情報が閲覧可能なウェブサイトが提供され、各介護事業者の情報が記憶された外部データベースとして機能する。
【0033】
(情報処理装置の機能)
図4に、情報処理装置200の機能ブロック図を示す。
図4に示す各機能は、補助記憶部203に格納された収益シミュレーションソフトウェアを、プロセッサ201によって実行することにより実現される。ここでは、情報処理装置200が、計画立案支援装置を構成する。
【0034】
情報処理装置200は、基礎情報取得部211、運営状態情報生成部212、変更設定受付部213、必要変更内容生成部214、加算関連情報生成部215、加算報酬額予測部216、補充情報受付部217、総括情報生成部218、基礎情報記憶部219、制度情報記憶部220を含む。各機能については、後述の収益シミュレーションの処理手順に合わせて説明する。基礎情報記憶部219及び制度情報記憶部220は、補助記憶部203に設けることができるが、情報処理装置200と連系する記憶装置又はコンピュータ装置に設けられてもよい。制度情報記憶部220は、加算の適用要件(取得要件)等の介護保険制度等に関する法令や条例等の情報を記憶しており、法改正等に応じて随時その内容は更新される。
【0035】
(収益シミュレーション)
図5及び
図6は、収益シミュレーション全体の処理手順を示すフローチャートである。収益シミュレーションは、後述する加算算定シミュレーションと事業活動計算書シミュレーションを含む。収益シミュレーションは、計画立案支援方法及び計画立案支援プログラムとして実行される。
【0036】
(事業所選択)
図7は、ユーザ端末100を介して、ユーザが収益シミュレーションを実施しようとする際に、ユーザ端末100の表示部105に表示される入力画面の例を示す。この入力画面が表示される前に、情報処理装置200では、ユーザから、予め情報処理装置200に登録されているID(識別情報)やパスワードの入力を受け付け(ステップS101)、照合することによって、収益シミュレーションサービスの提供を受ける資格を有することの認証を完了している。ユーザの認証方法はこれに限られず適宜の方法によって実施することができる。
【0037】
図7に示す事業所選択画面300では、ユーザが運営している介護事業が、複数の事業所を含む場合に、事業所一覧を表示させ、収益シミュレーションの対象となる事業所の洗濯をユーザから受け付ける(ステップS102)。事業所選択画面300の上端には、ソフトウェアの名称301-1と、ユーザ名302が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書、シミュレーション加算算定、シミュレーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバー303~308が配置されている。
図7に示す画面は事業所選択の画面であるため、「事業所選択」のバー303が他のバーとは異なる色で表示されている。そして、バー303~308の下方には、ユーザが運営する事業所の一覧が表示される。
図7に示す例では、ユーザである社会福祉法人Aが運営する介護事業として登録されている、介護予防通所介護を行う介護予防特化型デイサービスA1と、通所介護を行うデイサービスA2と、A3デイサービスセンターが表示されている。このような事業所名は、ユーザに関連付けて、補助記憶部203に設けられた基礎情報記憶部219に登録されている。
【0038】
図7に示す事業所選択画面300において、シミュレーションの対象とする事業者名をユーザが、マウス等の操作部104のクリック等により選択すると、ユーザ端末100の表示部105の表示は、
図8に示す事業所情報入力画面400-1に遷移する。
【0039】
(事業所情報入力)
図8に示す事業所情報入力画面400-1及び
図9に示す事業所情報入力画面400-2では、事業所の職員配置等の事業者情報の入力をユーザから受け付ける(ステップS103)。
図8に示す事業所情報入力画面400-1には、事業所選択画面300と同様に、画面の上端には、ソフトウェアの名称301と、ユーザ名302-1及び事業所名302-2が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書、シミュレーション加算算定、シミュレーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバー303~308が配置されている。ここでは、メニューは、事業所選択から事業所情報入力に進んでいるので、「事業所選択」のバー303と「事業所情報」のバー304が他のバーとは異なる色で表示されている。
図8~
図9に示す事業所情報入力画面400-1~400-2、
図10に示す利用者情報入力画面500に表示される項目、すなわち、事業所情報及び利用者情報として取得する項目は、通所介護サービスを提供する事業所について説明するが、事業所選択画面300において選択された事業所が提供する介護サービスに応じて異なる。例えば、訪問介護サービスを提供する事業所であれば、介護職員の研修受講状況(実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程終了者等)等を入力させる。事業所情報入力画面400-1~400-2、利用者情報入力画面500に表示され、ユーザの入力を求める項目は、例示であり、以下に説明する項目に限られない。
【0040】
図8の事業所情報入力画面400-1では、まず、ユーザからの職員配置数の入力を受け付ける職員配置数受付部401が表示される。ここでは、複数の職種のそれぞれについて職員の配置数を入力することができる。
図8では、介護福祉士、看護師、理学療法士、
作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事、介護支援専門員、管理栄養士、歯科衛生士、その他の生活相談員、その他の介護職員について、人数及び常勤換算数の入力を受け付ける。また、所定の職種については、さらに勤続年数の入力も受け付ける。
【0041】
図8に示す事業所情報入力画面400-1では、ユーザがいずれかの職種名402をクリック等により選択すると、各職種名の先頭に表示されている右向きの三角が下向きに変更されるとともに、必要項目の入力エリア403が表示される。
図8に示す事業所情報入力画面400-1は、介護福祉士と、看護師について、ユーザの入力を受け付ける状態を示している。
介護福祉士について、入力エリア403には、3名分の勤続年数の入力を受け付ける入力フィールド404及び常勤換算数の入力を受け付ける入力フィールド405が表示されている。ユーザは、キーボード等の操作部104により、入力フィールド404及び405に勤続年数及び常勤換算数のそれぞれの数値を入力する。4名以上の介護福祉士が在籍している場合には、「+」のボタン406をクリック等により選択することにより、勤続年数及び常勤換算数の入力フィールドが追加される。ここでは、入力された項目数によって、介護福祉士の人数の情報を取得するが、別途、人数を入力させるようにしてもよい。
看護師についても、2名分の勤続年数及び常勤換算数の入力を受け付ける入力フィールドが表示されている。入力フィールドの追加も、介護福祉士と同様に可能である。入力エリアによって、入力が求められる項目は、職種によって異なり、介護福祉士等とは異なり、勤続年数の入力が求められない職種もある。
【0042】
図8に示す事業所情報入力画面400-1では、ユーザは、各職種を選択することにより、事業者に在籍する職員の配置数を職種ごとに入力する。このようにして入力された、職員配置数の情報は、基礎情報として、当該事業所に関連付けて、情報処理装置200の基礎情報記憶部219に登録され、すでに登録されている場合には登録情報が更新される。
【0043】
図9は、事業所情報入力画面400-1と一連の事業所情報入力画面400-2を示し、例えば、
図8に示した事業所情報入力画面400-1において、スクロールバー407をマウス等の操作部104を用いてドラッグし下方にスクロールすることにより表示部105に表示される。
【0044】
事業所情報入力画面400-2には、さらに、事業所の、1月当たりの開所日数の入力を受け付ける開所日数/月欄408が表示される。ユーザは、キーボード等の操作部104により、入力フィールド409に開所日数の数値を入力する。また、事業所情報入力画面400-2には、事業所の、1日当たりの利用定員の入力を受けつける利用定員/日欄410が表示される。ユーザは、入力フィールド411に1日当たりの利用定員の数値を同様に入力する。
【0045】
事業所情報入力画面400-2には、科学的介護情報システム(LIFE)による情報提出のための環境構築情報入力欄412が表示される。科学的介護情報システム(LIFE)とは、介護サービス利用者の状態や、介護施設・事業所で行っているケアの計画・内容等を一定の様式で入力すると、インターネットを通じて厚生労働省へ送信され、入力内容が分析されて、当該施設等にフィードバックされる情報システムである。科学的介護情報システム(LIFE)による情報提出のための環境構築情報入力欄412には、「対応済」のボタン413と「未対応」のボタン414が表示され、事業所がLIFEに対応するシステムを構築しているか否かに応じて、「対応済」のボタン413又は「未対応」のボタン414のいずれかを、ユーザがマウス等の操作部104の操作により押下する。
【0046】
事業所情報入力画面400-2には、さらに、算定済加算情報入力欄415が表示される。ここでは、シミュレーションの対象となっている事業所が所定の要件を充足し、既に算定している加算がある場合には、その情報の入力を受けつける。算定済加算情報入力欄415には、チェックボックス416とともに、加算の名称又は説明等の加算を特定するための情報が複数表示される。ユーザはシミュレーションの対象となっている事業所が既に算定している加算の項目のチェックボックス416をマウス等の操作部104によりチェックする。ここでは、シミュレーションの対象となる事業所が既に算定している加算として、「感染症又は災害の発生を理由とする利用者の減少が一定以上生じている場合の基本報酬への加算」、「8時間以上9時間未満の報酬区分によるサービスの提供の前後に行う日常生活上の世話」、「共生型通所介護を行った場合」等の各項目のチェックボックス416がチェックされている。算定済加算情報入力欄415に、表示される加算項目は、制度情報記憶部220から取得する。
【0047】
図9に示す事業所情報入力画面400-2において、必要情報の入力を完了すると、入力された開所日数/月、利用定員/日、LIFE環境構築の有無、現在取得している加算等の情報は補助記憶部203の基礎情報記憶部219に、基礎情報として、当該事業所と関連付けて登録される。ユーザが、事業所情報入力画面400-2の下端に表示された「次ページ」のボタン417を、マウス等の操作部104の操作により押下すると、
図10に示す利用者情報入力画面500に遷移する。
【0048】
図10に示す利用者情報入力画面500では、シミュレーションの対象となっている事業所の利用者に関する利用者情報の入力を受け付ける(ステップS104)。利用者情報入力画面500には、事業所選択画面300、事業所情報入力画面400-1~400-2と同様に、画面の上端には、ソフトウェアの名称と、ユーザ名及び事業所名が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書、シミュレーション加算算定、シミュレーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバー303~308が配置されている。ここでは、メニューは、事業所選択、事業所情報入力から利用者情報入力に進んでいるので、「事業所選択」のバー303、「事業所情報」のバー304、「利用者情報」のバー305が他のバーとは異なる色で表示されている。
【0049】
図10に示す利用者情報入力画面500では、シミュレーションの対象となる事業所の利用者数と、認知症利用者数と、若年性認知症利用者数と、利用者の要介護度に関する情報の入力を受け付ける。利用者数欄501には、1日の平均利用者数の入力フィールド502と1カ月の平均利用者数(もしくは前月の延べ利用者数)の入力フィールド503が表示される。ユーザは、キーボード等の操作部104により、入力フィールド502及び503に、1日の平均利用者数と1カ月の平均利用者数のそれぞれの数値を入力する。また、要介護度情報欄504には、要支援1、2及び要介護度1~5のパーセンテージの入力フィールド5056が表示される。ユーザは、キーボード等の操作部104により、介護度ごとの入力フィールド505に、要介護度別の利用者の割合をパーセンテージの数値で入力する。認知症利用者数欄506には、1カ月の認知症利用者数の入力フィールド507が表示される。ここで、認知症利用者とは、日常生活自立度のランクIII,IV又はM
に該当する者である。ユーザは、キーボード等の操作部104により、入力フィールド507に、1カ月の認知症利用者数の数値を入力する。若年性認知症利用者数欄508には、1カ月の若年性認知症利用者数の入力フィールド509が表示される。ユーザは、キーボード等の操作部104により、入力フィールド509に、1カ月の若年性認知症利用者数の数値を入力する。このようにして入力された、利用者情報は、情報処理装置200の補助記憶部203の基礎情報記憶部219に、基礎情報として、当該事業所と関連付けて登録され、すでに登録されている場合には登録情報が更新される。
【0050】
(事業活動計算書入力画面)
図11は、前年度の事業活動計算書の内容の入力を受け付ける事業活動計算書入力画面700-1を示す。本実施例に係る収益シミュレーションシステム10においては、加算算定シミュレーションに加えて、事業活動計算書シミュレーションを行うことができる。ここで説明する事業活動計算書入力画面700-1は、事業活動計算書シミュレーションに必要な情報の入力をユーザから受け付ける画面である。
図11に示す事業活動計算書入力画面700-1では、画面の上端には、ソフトウェアの名称と、ユーザ名が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書、シミュレーション加算算定、シミュレーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバーが配置されている。ここでは、メニューは、事業所選択、事業所情報、利用者情報から事業活動計算書入力に進んでいるので、「事業所選択」のバー303と「事業所情報」のバー304、「利用者情報」のバー305、「事業活動計算書」のバー306が他のバーとは異なる色で表示されている。
【0051】
事業活動計算書入力画面700-1では、前年度の事業活動計算書の情報の入力を受け付ける。
図11に示す事業活動計算書には、勘定科目ごとに前年度の情報を入力するための入力フィールドが表示されている(ステップS105)。勘定科目702は、サービス活動増減の部703と、当期末支払資金残高704に大別され、サービス活動増減の部703は収益705、費用706、サービス活動増減差額707に分かれている。収益705には、介護保険事業収益705a、経常経費寄付収益705b、その他の収益705cとサービス活動収益計705dの各科目が含まれている。介護保険事業収益705a、経常経費寄付収益705b、その他の収益705cの科目名の右側には、それぞれの入力フィールドが表示され、ユーザがキーボード等の操作部104により、前年度の数値を入力する。サービス活動収益計075dには、介護保険事業収益705a等の入力された数値の合計が計算され、表示される。また、ユーザは、収益705に含まれる勘定科目を追加したい場合には、マウス等の操作部104の操作によって「収益への勘定科目の追加」ボタン708を押下することにより、勘定科目を追加して表示させ、追加された入力フィールドに当該勘定科目の数値を入力することもできる。費用706には、人件費706a、事業費706b、事務費706c、減価償却費706d、その他の費用706eの各科目が含まれている。人件費706a、事業費706b、事務費706c、減価償却費706d、その他の費用706eの各科目の右側には、それぞれの入力フィールドが表示され、ユーザがキーボード等の操作部104により、前年度の数値を入力する。サービス活動費用計706fには、人件費706a等の入力された数値の合計が計算され、表示される。また、ユーザは、費用706に含まれる勘定科目を追加したい場合には、マウス等の操作部104の操作によって「費用への勘定科目の追加」ボタン709を押下することにより、勘定科目を追加して表示させ、追加された入力フィールドに当該勘定科目の数値を入力することもできる。
【0052】
収益705及び費用706に含まれる各科目の前年度の数値を入力すると、サービス活動収益計705dとサービス活動費用計706fとの差額が計算され、サービス活動増減差額707の科目に表示される。
【0053】
さらに、ユーザは、当期末支払資金残高704の科目名の右側に表示された入力フィールドに、キーボード等の操作部104により、前年度の数値を入力する。
【0054】
このようにして、事業活動計算書シミュレーションに必要な、前年度の事業活動計算書の情報の入力を完了すると、入力された情報は、基礎情報として、補助記憶部203に設けられた基礎情報記憶部219に記憶される。
【0055】
事業活動計算書入力画面700-1の下端部には、「加算算定シミュレーション」ボタン710が表示されている。前年度の事業活動計算書の情報の入力を完了前年度の事業活動計算書の情報の入力を完了したユーザが、マウス等の操作部104の操作により「加算算定シミュレーション」ボタン710を押下することにより、加算算定シミュレーションに移行する。ここでは、事業所情報入力画面400-1~400-2、利用者情報入力画面500、事業活動計算書入力画面700-1を通じて、基礎情報を取得するプロセッサ201は、基礎情報取得部211として機能する。
【0056】
事業所に関する情報は、事業所選択画面300、事業所情報入力画面400-1~400-2、利用者情報入力画面500、事業活動計算書入力画面700-1を通じて取得するものに限られず、ユーザから別途取得した情報、及び、外部のサーバ等から取得してもよい。このようにして、情報処理装置200が保持している事業所に関する情報と、加算の適用要件(取得要件)を含む情報に基づいて、シミュレーションの対象となっている事業所が取得可能な加算を絞り込むことができる。
【0057】
図5に示すフローチャートにおいて、概括的にステップS106を記載しているが、事業所選択画面300、事業所情報入力画面400-1~400-2、利用者情報入力画面500を通じて取得した情報等と、加算適用要件に関する情報とに基づいて、情報処理装置200は、加算の取得の可否の判断や、加算のために不足する人員等の情報を算出し、加算算定シミュレーションのための準備をする。ただし、このような準備は、ユーザが検討したい加算を選択してから行うようにしてもよい。
図5に記載した、科学的介護推進体制加算シミュレーション(ステップS107)、サービス提供体制強化加算シミュレーション(ステップS108)、栄養アセスメント加算シミュレーション(ステップS109)、口腔機能向上加算(I)(II)シミュレーション(ステップS110)、個別機能訓
練加算(I)イロ(II)シミュレーション(ステップS111)、口腔栄養スクリーニン
グ加算(I)(II)シミュレーション(ステップS112)、生活機能向上連携加算(I)(II)シミュレーション(ステップS113)、入浴介助加算(I)(II)シミュレーシ
ョン(ステップS114)、中重度者ケア体制加算算定シミュレーション(ステップS115)、認知症加算算定シミュレーション(ステップS116)、若年性認知症利用者受入加算算定シミュレーション(ステップS117)は、例示であり、これらに限られない。
【0058】
(加算算定シミュレーション)
以下では、加算算定シミュレーションの例として、栄養アセスメント加算算定シミュレーションについて説明する。
図5のステップS105における前年度の事業活動計画書情報の入力が完了し、
図11の事業活動計算書入力画面700-1の「加算算定シミュレーションボタン」710が押下されると、ユーザ端末100の表示部105の画面は後述するサマリー画面600-4(
図17参照)に遷移する。ここでは、事業所選択画面300、事業所情報入力画面400-1~400-2、利用者情報入力画面500を通じて取得した情報に基づいて、取得できる可能性のある最大値(毎月算定できる加算は毎月算定し、全ての利用者に加算を適用した場合の値)がデフォルトとして表示される。このサマリー画面600-4に表示された、各種加算のタブ602のいずれか算定シミュレーションを、マウス等の操作部104によって指定することにより、当該加算に関する加算算定シミュレーションを実行することができる。
【0059】
(栄養アセスメント加算算定シミュレーション)
図12及び
図13は、栄養アセスメント加算算定シミュレーションの処理手順を説明するフローチャートである。上述のようにして、ユーザが加算算定シミュレーションのうち栄養アセスメント加算の算定シミュレーションを選択した場合に、情報処理装置200は、事業所情報入力画面400-2等を通じて取得した情報に基づき、対象となる事業所が
、既に栄養アセスメント加算を取得しているか否かを判断する(ステップS201)。当該事業所が、既に栄養アセスメント加算を取得していると判断した場合には、表示部105にその旨のメッセージを表示させる等して、栄養アセスメント加算算定シミュレーションを終了する。
【0060】
ステップS201において、情報処理装置200が、当該事業所は、まだ栄養アセスメント加算を取得していないと判断した場合には、情報処理装置200は、事業所情報入力画面400-2等を通じて取得した情報に基づき、対象となる事業所にLIFE環境が構築されているか否かを判断する(ステップS202)。ここで、情報処理装置200が、当該事業所には、LIFE環境が構築されていると判断した場合には、情報処理装置200は、事業所情報入力画面400-1等を通じて取得した情報に基づき、対象となる事業所に管理栄養士がいるか否かを判断する(ステップS203)。
【0061】
ステップS203において、対象となっている事業所には、従業員又は外部連携できる管理栄養士がいると判断した場合には、栄養アセスメント加算を取得するための取り組み内容と単価を、ユーザ端末100の表示部105に表示し(ステップS207)、ステップS213及びステップS214に進む。
また、ステップS203において、対象となっている事業所には、管理栄養士がいないと判断した場合には、栄養アセスメント加算を取得するための取り組み内容と単価を、ユーザ端末100の表示部105に表示する(ステップS205)とともに、補充が必要な人員と人件費を表示し(ステップS206)、ステップS214及びステップS215に進む。
【0062】
図14は、上述のようにして、加算算定シミュレーションのうち栄養アセスメント加算の算定シミュレーションを選択したユーザの事業所がLIFE環境は構築されているが、管理栄養士がいない場合の栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1を示す。栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1では、事業所選択画面300等と同様に、画面の上端には、ソフトウェアの名称と、ユーザ名が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書、シミュレーション加算算定、シミュレーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバー303~308が配置されている。ここでは、メニューは、利用者情報入力から加算算定シミュレーションに進んでいるので、「事業所選択」のバー303、「事業所情報」のバー304、「利用者情報」のバー305、「事業活動計算書」のバー306と「シミュレーション加算算定」のバー307が他のバーとは異なる色で表示されている。
【0063】
栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1の左端には、シミュレーションの対象となる加算の名称を表示したタブ602とサマリー(後述する)のタブ601が配置されており、ユーザがマウス等の操作部104の操作により所望のタブの選択を受け付けることにより、当該加算シミュレーションの画面に遷移する。
図14に示す画面では、栄養アセスメント加算のタブ602aが選択されているため、栄養アセスメント加算のタブ602aは他のタブとは異なる色で表示されている。
【0064】
栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1には、主として、加算の概要、配置基準を満たすために増員が必要な職種、栄養アセスメント加算のシミュレーション、シミュレーション値の入力と題された情報が、分割された領域にそれぞれ表示される。
【0065】
加算の概要欄603-1には、それぞれの加算(
図14では、栄養アセスメント加算)の概要についての説明等の加算項目に関連する情報が表示される。ここでは、例えば、シミュレーションの対象となる加算の意義や適用要件等の説明を表示する。この加算の概要
欄603-1に表示される加算項目に関連する情報を生成するプロセッサ201は、加算関連情報生成部215として機能する。加算の概要欄603-1に表示する情報は、制度情報記憶部220から取得する。
【0066】
配置基準を満たすために増員が必要な職種欄604には、シミュレーションの対象となる加算の適用要件が特定の職種の職員の配置に関する基準を含む場合に、シミュレーションの対象となる事業所において、配置基準を満たすために増員が必要な職種と人数等の情報を表示する(ステップS206参照)。ここでは、社会福祉法人AのデイサービスA2では、栄養アセスメント加算を適用するためには、現状から、管理栄養士を1名以上増員する必要があり、当該管理栄養士は従業者として又は外部との連携により確保すべきことが表示される。ここでは、加算の適用要件が、特定の職種の職員の配置に関するものであったが、適用要件と、シミュレーションの対象となる事業所の現状との関係で、満たすべき事項についての情報を表示することができる。この情報は、事業所情報入力画面400-1及び400-2並びに利用者情報入力画面500等を通じて情報処理装置200が取得した情報に基づいて、情報処理装置200が、加算適用要件と事業所の現在の人員に関する情報とを比較し、増員が必要な職種の職員及び人数を算出して表示する。ここで、加算適用要件と事業所の現在の人員に関する情報とを比較し、必要変更内容情報である、増員が必要な職種の職員及び人数を生成するプロセッサ201は必要変更内容生成部214として機能する。配置基準に関する情報は、制度情報記憶部220が取得することができる。
【0067】
シミュレーション値の入力欄606には、シミュレーション値(シミュレーションの基礎となる情報)が表示される。法令等により定まっている情報や予め設定された情報については、情報処理装置200の補助記憶部203の制度情報記憶部220に記憶された情報を読み出して表示する。また、シミュレーションのために、事業所情報入力画面400-2及び400-2並びに利用者情報入力画面500を通じて情報処理装置200が取得した情報及び情報処理装置200が予め保持している情報以外の情報を必要とする場合には、ユーザからその情報の入力を受け付ける。
図14に示す栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1では、1カ月当たりの対象利用者数欄606a、1カ月当たりの算定回数欄606b、1年のうちの算定月欄606c、単位数欄606d、単価欄606eが表示されている。ここでは、1カ月当たりの算定回数、単位数、単価の値は予め表示されている。また、1カ月当たりの対象利用者の入力フィールド606fと1年のうちの算定月の入力フィールド606gが表示されており、ユーザの入力を受け付けている。情報処理装置200は、ユーザの入力を待機し、実施頻度(1年間の実施月数)の入力(X)を受け付け(ステップS213)、実施する利用者数(1か月あたりの人数)の入力(Y)を受け付ける(ステップS214)。
図14に示す例では、ユーザがキーボード等の操作部104により、入力フィールド606fに、1カ月当たりの対象利用者数として100、入力フィールド606gに1年のうちの算定月(実施月数)として12を入力している。
【0068】
情報処理装置200は、入力及び設定された情報に基づいて、加算算定シミュレーションを実行し、シミュレーション結果を、ユーザ端末100の表示部105に表示する(ステップS215)。具体的には、Xか月×Y人×50単位×10.5円の計算式を用いて、加算による年間収入を計算する。計算式の単価10.5円は一例であり、単価は、各地域に対して定められた等級に応じて設定されている。このため、加算算定シミュレーションにおいては、事業所の所在地を取得し、その所在地の等級に基づいて設定された単価を計算に用いる。ここでは、加算算定シミュレーションを実行して加算報酬額を予測するプロセッサ201は、加算報酬額予測部216として機能する。また、栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1の1カ月当たりの対象利用者の入力フィールド606fと1年のうちの算定月の入力フィールド606gを通じて、これらの加算報酬額を
予測するために必要な補充情報を受け付けるプロセッサ201は、補充情報受付部217として機能する。
【0069】
シミュレーション結果を表示させると情報処理装置200は、実施頻度及び/又は実施する利用者数の数値の再入力(変更)があるか否かを判断する(ステップS216)。ステップS215において表示部105に表示されたシミュレーション結果に満足しているユーザは再入力せず、シミュレーション結果に満足していないユーザは実施頻度及び/又は実施する利用者数の数値を再入力し、新たなシミュレーション結果を得ようとする。このため、実施頻度及び/又は実施する利用者数の数値の再入力(変更)があると判断した場合には、情報処理装置200は、ステップS213及びステップS214の前に戻って、以降の処理を繰り返す。
【0070】
一方、実施頻度及び/又は実施する利用者数の数値の再入力(変更)があると判断した場合には、情報処理装置200は、算定するか否かを判断する(ステップS217)。
図14に示すように、栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1のシミュレーション値の入力欄606には、「算定」ボタン606hが表示されている。この栄養アセスメント加算算定シミュレーションの結果は、後述するサマリー画面600-4に反映されるとともに、後述する事業活動計算書シミュレーションにも用いられるので、そのような後段の処理の基礎となる情報として確定させる必要がある。ユーザが、「算定」ボタン606hを押下した場合には、情報処理装置200は、シミュレーションの結果を後の処理に算定するために、基礎情報として、シミュレーションの結果を、当該事業所に関連付けて、補助記憶部203の基礎情報記憶部219に保存する(ステップS219)するとともに、加算取得に必要な様式として、栄養アセスメントシート、計画書、届出書等の様式(不図示)を表示部105に表示し(ステップS218)、栄養アセスメント加算算定シミュレーションを終了する。ユーザが、「算定」ボタン606hを押下しない場合には、情報処理装置200は、後段の処理の基礎として利用しないものとして、シミュレーションの結果を破棄し、処理を終了する。
【0071】
図12に示すフローチャートに戻り、ステップS202において、情報処理装置200が、LIFE環境が構築されていないと判断した場合には、さらに、対象となる事業所に管理栄養士がいるか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204において、従業員又は外部連携できる管理栄養士がいると判断された場合には、情報処理装置200は、ユーザ端末100の表示部105に、LIFE環境を構築する方法を表示する(ステップS211)とともに、栄養アセスメント加算を取得するための取り組み内容と単価を表示し(ステップS212)、ステップS213及びステップS214に進む。
【0072】
また、ステップS204において、管理栄養士がいないと判断された場合には、情報処理装置200は、ユーザ端末100の表示部105に、LIFE環境を構築する方法を表示し(ステップS208)、栄養アセスメント加算を取得するための取り組み内容と単価を表示し(ステップS209)、補充が必要な人員と人件費を表示し(ステップS210)、ステップS213及びステップS214に進む。
図15に示す栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-2は、この場合の表示部105の表示を示したものである(
図14に示す栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1と共通する表示については同様の符号を用いて説明を省略する)。
図14に示す栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-1ではシミュレーション値の入力欄606に表示されていた対象利用者数欄606a及び入力フィールド606f等が、栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-2では、栄養アセスメント加算のシミュレーション欄605-1に表示されている。また、情報処理装置200が取得している事業所に関する情報に基づけば、LIFE環境が構築されておらず、栄養アセスメント加算を取得するための要件を満たしていないため、
図15に示す栄養アセスメント加算算定シミュレー
ション画面600-2には、LIFE環境欄605hとトグルスイッチ605iが設けられており、トグルスイッチ605iの切り替えにより、LIFE環境が構築されているものとしてシミュレーションを実行することができる。
【0073】
そして、栄養アセスメント加算算定シミュレーション画面600-2には、LIFEによる情報の提出欄607が表示されている。このLIFEによる情報の提出欄607には、栄養アセスメント加算を取得ためにはLIFE環境を構築する必要がある旨と、LIFE環境を構築する方法等の情報が表示される。ここで、加算適用要件とLIFE環境構築の有無とを比較し、必要変更内容情報である、LIFE環境構築に関する情報を生成するプロセッサ201は必要変更内容生成部214として機能する。
【0074】
(サービス提供体制強化加算算定シミュレーション)
図16は、加算算定シミュレーションのうちサービス提供体制強化加算の算定シミュレーションを選択した場合にユーザ端末100の表示部105に表示されるサービス提供体制強化加算算定シミュレーション画面600-3を示す。サービス提供体制強化加算算定シミュレーション画面600-3では、事業所選択画面300等と同様に、画面の上端には、ソフトウェアの名称と、ユーザ名が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書、シミュレーション加算算定、シミュレーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバーが配置されている。ここでは、メニューは、事業活動計算書入力から加算算定シミュレーションに進んでいるので、「事業所選択」のバー303、「事業所情報」のバー304、「利用者情報」のバー305、「事業活動計算書」のバー306と「シミュレーション加算算定」のバー307が他のバーとは異なる色で表示されている。
【0075】
サービス提供体制強化加算算定シミュレーション画面600-3の左端には、シミュレーションの対象となる加算の名称を表示したタブ602とサマリーのタブ601が配置されており、ユーザがマウス等の操作部104の操作により所望のタブを選択することにより、当該加算シミュレーションの画面に遷移する。
図16に示す画面では、サービス提供体制強化加算のタブ602bが選択されているため、サービス提供体制強化加算のタブ602bは他のタブとは異なる色で表示されている。
【0076】
サービス提供体制強化加算算定シミュレーション画面600-3には、主として、加算の概要、本加算の指標に関する今後の見通し、加算のシミュレーションと題された情報が、分割された領域にそれぞれ表示される。
【0077】
加算の概要欄603-2には、サービス提供体制強化加算の概要についての説明が表示される。サービス提供体制強化加算には、サービス提供体制強化加算Iとサービス提供体
制強化加算IIとサービス提供体制強化加算IIIの3種類の加算が含まれているため、それ
ぞれの加算について、以下の説明が表示される。
サービス提供体制強化加算Iは、単位数1回22単位であり、以下のどちらかに該当す
る場合に適用される。
1.介護職員のうち介護福祉士の占める割合が70%以上
2.介護職員のうち金属10年以上の介護福祉士が25%以上
サービス提供体制強化加算IIは、単位数1回18単位であり、以下に該当する場合に適用される。
1.介護職員のうち介護福祉士の占める割合が50%以上
サービス提供体制強化加算IIIは、単位数1回6単位であり、以下のどちらかに該当す
る場合に適用される。
1.介護職員のうち介護福祉士の占める割合が40%以上
2.介護職員のうち金属7年以上の介護福祉士が30%以上
【0078】
本加算の指標に関する今後の見通し欄608には、サービス提供体制強化加算の指標の今後の見通しに関する情報が表示され、また、この入力を受け付ける。サービス提供体制強化加算の指標とは、介護職員のうちの介護福祉士の占める割合、介護職員のうち勤続年数7年以上の介護福祉士の割合、介護職員のうち勤続年数10年以上の介護福祉士の占める割合である。算定できる加算欄608aには、サービス提供体制強化加算Iとサービス
提供体制強化加算IIとサービス提供体制強化加算IIIの3種類の算定できる加算が、それ
ぞれ異なる色で表示されており、これらの加算の種類と色は、指標推移欄608bの表示に対応している。
【0079】
本加算の指標に関する今後の見通し欄608には、表形式で、各指標について現在の数値と、1年後から10年後までの数値が表示された指標推移欄608bが含まれる。各指標についての現在の数値については、事業所情報入力画面400-1及び400-2を通じて情報処理装置200が取得し、補助記憶部203の基礎情報記憶部219に記憶した情報を読み出して表示する。各指標についての1年後以降の将来の数値については、現在の数値を前提として算出する。
上述のように、サービス提供体制強化加算については、I、II、IIIの3種類があり、適用要件が異なるため、各指標の数値が適用要件を満たしている場合には、算定できる加算欄608aの表示にならって、セルの背景色を種別ごとに異ならせて表示することにより、当該数値であればいずれの種類のサービス提供体制強化加算が適用可能であるかを認識しやすくしている。
【0080】
また、本加算の指標に関する今後の見通し欄608には、各指標の行の下に、事業所に所属する介護職員の勤続年数欄が表示される。勤続年数欄は、左端の介護職員と表示されたヘッダとその右隣りに、介護福祉士か非介護福祉士かの別と氏名が表示され、その右側には各介護職員の現在の勤続年数と1年後から10年後までの勤続年数の推移が表示される。介護福祉士か非介護福祉士かの別と、現在の勤続年数については、事業所情報入力画面400-1及び400-2を通じ、又は、ユーザの管理サーバ等の職員データベースから、情報処理装置200が取得し、補助記憶部203の基礎情報記憶部219に記憶した情報を読み出して表示する。1年後から10年後までの各年の勤続年数は現在の勤続年数から算出できるので、勤続年数欄については、ユーザの入力は要しない。
本加算の指標に関する今後の見通し欄608の表示は、情報量に応じ、スクロールバー608dにより表示範囲を変更可能である。
この本加算の指標に関する今後の見通し欄608に表示される加算項目に関連する情報を生成するプロセッサ201は、加算関連情報生成部215として機能する。
【0081】
加算のシミュレーション欄605-2では、3種類のサービス提供体制強化加算のうちいずれについて加算算定シミュレーションを行うかを選択するプルダウンメニュー605dが表示される。ユーザが、マウス等の操作部104により、いずれかの種類(
図16では、サービス提供体制強化加算II)を選択することにより、選択された種類のサービス提供体制強化加算算定シミュレーションが実行され、シミュレーション結果がグラフ605eによって表示される。ここで、プルダウンメニュー605dを通じて、加算報酬額を予測するために必要な補充情報を受け付けるプロセッサ201は、補充情報受付部217として機能する。
【0082】
(サマリー)
図17は、加算算定シミュレーションのうちサマリーを選択した場合のサマリー画面600-4を示す。サマリー画面600-4では、事業所選択画面300等と同様に、画面の上端には、ソフトウェアの名称と、ユーザ名が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書、シミュレーション加算算定、シミュ
レーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバーが配置されている。ここでは、メニューは、利用者情報入力から加算算定シミュレーションに進んでいるので、「事業所選択」のバー303、「事業所情報」のバー304、「利用者情報」のバー305、「事業活動計算書」のバー306と「シミュレーション加算算定」のバー307が他のバーとは異なる色で表示されている。
【0083】
サマリー画面600-4の左端には、シミュレーションの対象となる加算の名称を表示したタブ602とサマリーのタブ601が配置されており、ユーザがマウス等の操作部104の操作により所望のタブを選択することにより、当該加算シミュレーションの画面に遷移する。
図17に示す画面では、サマリーのタブ601が選択されているため、サマリーのタブ601は他のタブとは異なる色で表示されている。
【0084】
図17に示すサマリー画面600-4は、個別の加算に関する加算算定シミュレーションの結果をまとめた総括情報を表示する画面である。サマリー画面600-4には、主として、加算算定シミュレーションサマリー、配置基準を満たすために増員が必要な職種、シミュレーションに用いた加算と題された情報が、分割された領域にそれぞれ表示される。このサマリー画面600-4に表示されるこれらの情報が総括情報を構成し、これらの情報を生成するプロセッサ201は総括情報生成部218として機能する。
【0085】
加算算定シミュレーションサマリー欄610には、サービス活動収益の増減見込額610a、A.ストラクチャー評価610b、B.プロセス評価610c、C.アウトカム評価610dのそれぞれの額と、ドーナツグラフ610eが表示される。サービス活動収益の増減見込額610aは、加算算定シミュレーションの対象として選択した加算についての、各シミュレーション結果に基づく、介護サービス活動収益における増減見込額を合計した額である。また、効果的・効率的な介護サービス提供を促進する政策的観点から、介護報酬において、基本報酬に対し、各事業者のサービス提供体制や利用者の状況等に応じた加算・減算を行うに際して、介護サービスの質の評価を適切に反映させることが目指されている。このような介護サービスの質の評価が、ストラクチャー、プロセス、アウトカムの3つの観点から行われ、介護報酬の各加算もいずれかの評価に分類される。ストラクチャー評価は、体制の整備(人員の配置等)に関する観点から評価するものである。プロセス評価は、算定要件を満たす取り組み(事業者と利用者間の相互作用等)に関する観点から評価するものである。アウトカム評価は、ケアによって一定の効果を上げたかという観点から評価するものである。A.ストラクチャー評価610b、B.プロセス評価610c、C.アウトカム評価610dのそれぞれの額は、それぞれの評価に分類される加算によるサービス活動収益の増減見込額を合計したものである。また、ドーナツグラフ610eは、二重のドーナツグラフから構成される。内側のドーナツグラフ610e2は、A、B、Cのそれぞれの評価に分類される加算によるサービス活動収益の増減見込額の割合を示し、外側のドーナツグラフ610e1は、各評価に分類される加算ごと(A-1、B1~B5、C1等)の割合を細分化して示す。
ここでは、サービス活動収益の増減見込額610aが総括情報を構成する所定時期における加算報酬の合計に相当する。また、介護サービスの質の評価が、加算項目を分類する基準であり、ストラクチャー評価610b、プロセス評価610c、アウトカム評価610dに分類して示されたサービス活動収益の増減見込額の内訳が類別合計額であり、これに基づいて生成されたドーナツグラフ610e1はこれをさらに各分類に属する加算項目ごとの加算報酬額によって示したものである。
【0086】
このため、介護事業を経営する上では、単に、加算の適用による収益の変化のみではなく、どのような質のサービスにより、どれだけ収益が変化するのかという内訳に関する情報は有益である。評価ごとの見込額や、評価ごとのドーナツグラフ610eは、このような観点からの情報を提供するものである。
【0087】
配置基準を満たすために増員が必要な職種欄611には、各加算算定シミュレーションにおいて、各加算における配置基準を満たすために必要な職種の人数の合計が表示される。
図17に示す例では、介護福祉士611a、看護師611b、理学療法士等611c、機能訓練士611d、歯科衛生士611e、管理栄養士611fが表示され、管理栄養士1人の増員が必要であることが表示されている。配置基準を満たすために増員が必要な職種欄611に表示される情報は、総括情報を構成する必要変更内容情報である。
【0088】
シミュレーションに用いた加算欄612には、加算算定シミュレーションの対象とした各加算に関する情報が表示される。シミュレーションに用いた加算欄612は、区分欄612a、内訳欄612b、加算名欄612c、加算の概要欄612dを含む。区分欄612aは、上述の3種の評価のうちのいずれに分類されるかを示すA、B、Cと、当該評価に分類される加算を識別するための番号を組み合わせた情報がA-1等のように表示される。内訳欄612bには、当該行の加算による収益の増減見込額が表示される。加算名欄612cには、当該行の加算の名称が表示される。加算の概要欄612dには、当該行の加算に関する適用要件等の情報が表示される。シミュレーションに用いた加算欄612は、情報量に応じ、スクロールバー612eにより表示範囲を変更可能である。シミュレーションに用いた加算欄612に表示される情報は、総括情報を構成する加算項目に関連する情報である。
【0089】
そして、加算算定シミュレーションサマリー欄610の下部に表示された「事業活動計算書シミュレーション」ボタン613が表示されている。サマリー画面600-4に表示された加算の内容に問題がない場合には(ステップS119)、「事業活動計算書シミュレーション」を、マウス等の操作部104を操作して押下することにより、取得する加算が確定し、事業活動計算書シミュレーションが実行される(ステップS120)。サマリー画面600-4に表示された加算の内容を検討し、加算算定シミュレーションにおいて設定した情報を変更したい、いずれかの加算を算定の対象から除きたい、取得する加算を追加したい等の理由により、再度、個別の加算算定シミュレーションを実行したい場合には(ステップS119)、ユーザがマウス等の操作部104の操作により所望の加算のタブを選択する。これにより、処理は、ステップS106に戻る。
【0090】
(事業活動計算書シミュレーション)
図18は、事業活動計算書シミュレーションの処理手順を説明するフローチャートである。
図18に示す事業活動計算書シミュレーションは、
図6に示すフローチャートにおけるステップS120の事業活動計算書シミュレーションの詳細を示すものである。
【0091】
事業活動計算書シミュレーションに際しては、情報処理装置200は、加算算定シミュレーションを通じて取得している、各加算算定シミュレーションでの年間収入に基づいて、加算による年間収入の総額を算出する(ステップS302)。
さらに、事業活動計算書シミュレーションに際しては、情報処理装置200は、加算算定シミュレーションにおいて算定することとなった加算の取得に必要な人員と、事業所情報入力画面400-1~400-2を通じて取得した、シミュレーションの対象となっている事業所の現在の職員に関する情報とを比較し、各加算の取得に必要な人員を充足しているか否かを判断する(ステップS303)。ステップS303において、充足していないと判断した場合には、情報処理装置200は、後述する事業活動計算書シミュレーション画面700-2、700-3において、必要人員の人件費の入力を受け付ける(ステップS304)。ステップS303において、充足していると判断した場合には、ステップS305に進む。
【0092】
ステップS305における事業活動計算書シミュレーションを実行する際には、事業活
動計算書入力画面700-1を通じて取得した前年度の事業活動計算書の情報に、ステップS302において取得した、算定する加算による年間収入の総額と、ステップS304にいて取得する人件費とを追加する。ただし、人件費については、後述するように、採用する場合には初年度に35%の採用費を計上する。
【0093】
(事業活動計算書シミュレーション画面)
上述のように、事業所情報入力画面400-1~400-2、利用者情報入力画面500、加算算定シミュレーション画面600-1~600-3において算定するとされた加算項目と、事業活動計算書入力画面700-1を介して入力された前年度の事業活動計算書情報とに基づいて、事業活動計算書シミュレーションが実行される。事業活動計算書シミュレーションに用いられる情報はこれらに限られず、別途入力された情報、外部サーバ等から別途取得した情報等を事業活動計算書シミュレーションに用いてもよい。
【0094】
図19は、事業活動計算書シミュレーションの結果を表示し、ユーザの必要な情報の入力を受け付けるために、ユーザ端末100の表示部105に表示される事業活動計算書シミュレーション画面700-2を示す(ステップS306)。
図19に示す事業活動計算書シミュレーションでは、一般的な大規模の通所介護事業所を想定し、月当たりの利用者数が100人、常勤換算職員数が11.4人、看護・介護職員常勤換算数7.9人、リハビリスタッフ等の専門職については追加雇用を行う場合についてシミュレーションした例を示す。ここでは、事業活動計算書情報は、運営状態情報を構成し、事業活動計算書シミュレーションを実行して後述する事業活動計算書シミュレーション画面700-2~700-3を生成し、補充すべき人員の人件費や人数の入力を受け付けるプロセッサ201は、それぞれ運営状態情報生成部212及び変更設定受付部213として機能する。
【0095】
図19に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-2には、図示を省略しているが、画面の上端には、ソフトウェアの名称と、ユーザ名が表示される。タイトル欄の下には、事業所選択、事業所情報、利用者情報、シミュレーション加算算定、事業活動計算書、シミュレーション事業活動計算書といったメニュー名を表示したバー303~308が配置されている。ここでは、メニューは、事業所選択、事業所情報、利用者情報、事業活動計算書入力、加算算定シミュレーションから、事業活動計算書シミュレーションに進んでいるので、「事業所選択」のバー303と「事業所情報」のバー304、「利用者情報」のバー305、「事業活動計算書」のバー306、「シミュレーション加算算定」のバー307、「シミュレーション事業活動計算書」のバー308がすべて同じ色で表示されている。
【0096】
事業活動計算書シミュレーション画面700-2は、事業活動計算書情報欄711と、加算指定欄712とを含む。事業活動計算書情報欄711は、初年度から5年間にわたる事業活動計算書(
図19では「x年度」から「x+4年度」と表記)をシミュレーション事業した情報が表示される。加算指定欄712では、初年度から5年間における加算に関する情報についてユーザの指定を受け付ける。事業活動計算書情報欄711に表示される情報は、加算指定欄712を介してユーザが指定した加算に関する情報を反映してシミュレーションされる。
【0097】
事業活動計算書情報欄711は、各勘定科目713の数値が、x年度からx+4年度までの年度ごとに表示される。
図19に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-2では、勘定科目713は、サービス活動増減の部714と、サービス活動増減差額715と、前期末支払資金残高716と、当期末支払資金残高717とに大別される。サービス活動増減の部714は、さらに、収益718と費用719に分かれている。収益718は、介護保険事業収益720と、経常経費寄付収益721と、その他の収益722と、サービス活動収益計723の各科目を含み、介護保険事業収益720は、シミュレーション
の対象として算定された加算による介護事業収益を含む額が表示され、内訳として、当該加算分を除いた介護保険事業収益720aと、当該加算による介護保険事業収益720bが表示される。サービス活動収益計723は、介護保険事業収益720、経常経費寄付収益721及びその他の収益722の合計額である。また、費用719は、人件費724と、事業費725と、事務費726と、減価償却費727と、その他の費用728と、サービス活動費用計729の各科目を含む。人件費724は、シミュレーションの対象として算定された加算に伴う人件費を含む額が表示され、内訳として、当該加算に伴う人件費を除いた人件費725aと、当該加算に伴う人件費725bが表示される。サービス活動費用計729は、人件費724、事業費725、事務費726、減価償却費727及びその他の費用728の合計額である。また、サービス活動増減差額715は、サービス活動収益計723と、サービス活動費用計729との差額である。
【0098】
加算指定欄712により、加算および追加人員欄730に表示された加算ごとに、右側の、x年度からx+4年度までのいずれの年度から取得するかを指定することができる。加算指定欄712の左端欄には、加算の名称が表示される。
図19に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-2では、口腔機能向上加算731、ADL維持等加算II732、個別機能訓練加算Iロ733、科学的介護推進体制加算734が表示されている。
そして、口腔機能向上加算731、ADL維持等加算II732、科学的介護推進体制加算734には、当該加算の取得に際して人員を追加する場合の「人員追加」ボタン731c、732c、734cがそれぞれ表示される。
【0099】
各加算名の欄の右側には、事業活動計算書情報欄711のx年度からx+4年度までの欄に揃うように、x年度からx+4年度までの欄が配置されている。各年度の欄の上半分には、バー731a~734aがそれぞれ表示されている。これらのバー731a~734aは、事業活動計算書のシミュレーションを行う際に、左端に表示された加算をどの年度から取得するとしてシミュレーションするかを、ユーザが指定するものである。デフォルトでは、口腔機能向上加算731の右側のように、x年度からx+4年度までにわたってバー731aが表示されているが、ユーザが、バーの左端部をマウス等の操作部104によって所望の年度の欄までドラッグして移動させることにより、バーの左端が表示された年度から、当該加算を取得するものとして、事業活動計算書のシミュレーションが実行される(ステップS308)。例えば、口腔機能向上加算731及び科学的介護推進体制加算734ではx年度から、ADL維持等加算II732では、x+1年度から、個別機能訓練加算Iロ733では、x+2年度から、それぞれ加算を取得するものとして事業活動
計算書のシミュレーションが実行される。事業活動計算書シミュレーションの対象となっている事業所が加算の要件を満たしていても、どの加算をいつから取得するかは、投資時期の判断を含み事業者の経営判断に属ずるものであることから、事業活動計算書シミュレーションの基礎として、ユーザが指定できるようにしている。これにより、ユーザは、多様な条件設定での事業活動計算書シミュレーションを行うことができるので、介護事業計画立案のために有益な情報を提供することができる。また、人件費増、収入増の予測による投資対増収効果の将来推計に関する情報を提供できるので、人員の長期計画の策定を支援することができる。
【0100】
また、各加算名の欄の右側の欄の下半分には、追加人員の人数の入力フィールド731b等がそれぞれ表示されている。ユーザは、キーボード等の操作部104の操作によって、追加人員の数値をこの入力フィールド731b等に入力すると、入力された人員数に基づいて、事業活動計算書シミュレーションが実行される。
図19に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-2に示す加算指定欄712では、個別機能訓練加算Iロ73
3の欄の右側で、バー733aの左端が位置するx+2年度の欄の入力フィールド733bには、ユーザによって「1」が入力され、表示されている(ステップS306)。また、
図19に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-2に示す加算指定欄712
では、個別機能訓練加算Iロ733については、対象となる事業所の現在の職員数との関
係から理学療法士等の人員が不足であると判断されているので(ステップS303参照)、左端の加算および追加人員欄730に、理学療法士等の人件費の入力フィールド733cが表示される。個別機能訓練加算Iロを取得する場合に、キーボード等の操作部104
の操作によって、ユーザが適宜の数値を入力フィールド733cに入力することにより、加算の取得に必要な理学療法士等について、その年間の人件費を受け付ける(ステップS309)、設定された人件費に基づいて事業活動計算書シミュレーションが実行される。ここでは、年間4,500千円として、x+2年度から1名が追加すると指定している。加算および追加人員欄730の「人員追加」ボタン731c等を、マウス等の操作部104を操作して押下することにより追加する職種と、人件費の入力フィールドが表示され、入力結果が事業活動計算書シミュレーションに反映される。
【0101】
上述の加算指定欄712によって指定された、加算取得時期及び追加人員の人数及び人件費の情報に基づいて、x年度からx+4年度の事業活動計算書の各勘定科目をシミュレーションする(x年度からx+4年度が所定の時期に相当する。)。
図19に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-2では、x年度では、追加人員を雇用することなく、口腔機能向上加算及び科学的介護推進体制加算を取得することにより、x年度の介護保険事業収益のうち、加算によるものが6,487千円、加算に伴う人件費については0円となり、サービス活動増減差額が6,487千円となることがシミュレーションの結果として得られている。x+1年度からは、ADL維持等加算IIを取得すると指定されているので、x+1年度の介護保険事業収益のうち、加算によるものが6,713千円、加算に伴う人件費については0となり、サービス活動増減差額が6,713千円となることがシミュレーションの結果として得られている。また、x+2年度からは、個別機能訓練加算Iロの加算を取得し、これに伴い理学療法士等が1名追加雇用されると設定されている
ので、x+2年度の介護保険事業収益のうち、加算によるものが12,357千円、加算に伴う人件費が6,075千円となり、サービス活動増減差額が6,282千円となることがシミュレーションの結果として得られている。なお、理学療法士等がx+2年度から追加して雇用されるため、雇用の初年度であるx+2年度では、加算および追加人員欄730で入力した人件費4,500千円に、採用費用として35%を加算した額が加算に伴う人件費として計上されている。このため、x+3年度以降では、加算に伴う人件費は、加算および追加人員欄730で設定された4,500千円となっている。
【0102】
上述のように事業活動計算書シミュレーションにおいては、加算算定シミュレーションにおいて算定するとされた加算を対象としてシミュレーションを行っているので、事業活動計算書シミュレーションの対象となる加算の種類を変更する場合には加算算定シミュレーションに戻る。
【0103】
図20は、他の事業活動計算書シミュレーション画面700-3を示す。
図19に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-2と同じ構成については説明を省略する。事業活動計算書シミュレーション画面700-3の表示内容は、介護保険事業収益720のうちの、加算による介護保険事業収益720bを、ストラクチャー評価720c、プロセス評価720d、アウトカム評価720eの各評価に分類した内訳についても表示している。
【0104】
介護事業を経営する上では、単に、加算の適用による収益を増加させるのみではなく、どのような質のサービスを提供していくかは、経営方針の重要な要素である。この点で、事業活動計算書シミュレーションにより、加算の適用による収益の変化のみならず、その変化がストラクチャー評価、プロセス評価、アウトカム評価の面で見たときどのようになっているのかという情報は、経営方針の決定に際して非常に有益である。
図20に示す事業活動計算書シミュレーション画面700-3では、このような情報を提供するものであ
る。
【符号の説明】
【0105】
10・・・収益シミュレーションシステム
100・・・ユーザ端末
200・・・情報処理装置
211・・・基礎情報取得部
212・・・運営状態情報生成部
213・・・変更設定受付部