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  • 特開-フォーマーポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025058647
(43)【公開日】2025-04-09
(54)【発明の名称】フォーマーポンプ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20250402BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168707
(22)【出願日】2023-09-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA24
3E084AB01
3E084GA01
3E084KB05
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】金属スプリングを樹脂スプリングに置き換え、しかもポンプ全高を抑えることができるフォーマーポンプを提供する。
【解決手段】フォーマーポンプ1は、上筒部2a、上筒底部2b、下筒部2c及び下筒底部2dを有するエアシリンダ2と、下筒部2cの内周面との間に環状空間S1を形成するようにエアシリンダ2内に設けられる液シリンダ3と、装着部5と、エアピストン6と、液ピストン7と、エアピストン6及び液ピストン7を伴って昇降する昇降部材8と、昇降部材8を上昇させる付勢力を生じる樹脂スプリング9とを有し、昇降部材8は、下筒部2cより上方で樹脂スプリング9の上端部を押下げるスプリング押下部8aを有し、樹脂スプリング9の下端部は、環状空間S1に配置され、昇降部材8の昇降によって、容器4内から液シリンダ3を通して圧送した液状の内容物10とエアシリンダ2から圧送した空気とを混合して泡状にし、吐出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上筒部、前記上筒部の下端部から径方向内側に延びる上筒底部、前記上筒底部の内周縁部から垂下する下筒部、及び、前記下筒部の下端部から径方向内側に延びる下筒底部を有するエアシリンダと、
前記下筒部の内周面との間に環状空間を形成するように前記エアシリンダ内に設けられる液シリンダと、
容器の口部に装着され、前記エアシリンダを保持する装着部と、
前記エアシリンダの前記上筒部に対して摺動によって昇降するエアピストンと、
前記液シリンダに対して摺動によって昇降する液ピストンと、
前記エアピストン及び前記液ピストンを伴って昇降する昇降部材と、
前記昇降部材を上昇させる付勢力を生じる樹脂スプリングとを有し、
前記昇降部材は、前記下筒部より上方で前記樹脂スプリングの上端部を押下げるスプリング押下部を有し、
前記樹脂スプリングの下端部は、前記環状空間に配置され、
前記昇降部材の昇降によって、前記容器内から前記液シリンダを通して圧送した液状の内容物と前記エアシリンダから圧送した空気とを混合して泡状にし、吐出するフォーマーポンプ。
【請求項2】
前記上筒部、前記上筒底部、前記下筒部、及び、前記下筒底部から上方に延びる吸込部を有するエアシリンダ部材と、
前記液シリンダを有し前記吸込部に嵌合によって装着される液シリンダ部材とを有し、
前記昇降部材は、押下ヘッドと、ステム部と、前記ステム部から径方向外側に突出する前記スプリング押下部とを有し、前記ステム部及び前記押下ヘッドを通して泡状の前記内容物を吐出する、請求項1に記載のフォーマーポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォーマーポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
上筒部及び上筒部の下端部から径方向内側に延びる上筒底部を有するエアシリンダと、上筒底部の内周縁部から垂下する下筒部、及び、下筒部の下端部から径方向内側に延びる下筒底部を有する液シリンダと、容器の口部に装着され、エアシリンダを保持する装着部と、エアピストンと、液ピストンと、エアピストン及び液ピストンを伴って昇降する昇降部材と、昇降部材を上昇させる付勢力を生じる金属スプリングとを有し、昇降部材は、金属スプリングの上端部を押下げるスプリング押下部を有し、金属スプリングの下端部は液シリンダ内に配置され、下筒底部に当接し、昇降部材の昇降によって、容器内から液シリンダを通して圧送した内容物とエアシリンダから圧送した空気とを混合して泡状にし、吐出するフォーマーポンプが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-111533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境配慮等の観点から全部品を樹脂で構成したポンプが求められている。ポンプの全樹脂化においては、金属スプリングの樹脂化が一つの課題となる。
【0005】
しかし、樹脂スプリングは、その全長に亘って(最大長から最小長まで)伸縮することで劣化(へたり)が生じ易く、逆に最小長まで圧縮しないで伸縮させることで「へたり」が生じにくくなる。このため、特許文献1に記載されるような従来のフォーマーポンプの金属スプリングを樹脂スプリングに置き換えた場合は、当該スプリングが最小長近くまで圧縮されてしまうため、当該樹脂スプリングが繰り返しの伸縮により「へたり」を生じ易く、置き換えの実用化が難しかった。
【0006】
また、この対策として液用シリンダを長くすることが考えられるが、そうしたポンプは全高が大きくなりすぎてしまい現実的ではない。
【0007】
そこで本発明の目的は、金属スプリングを樹脂スプリングに置き換え、しかもポンプ全高を抑えることができるフォーマーポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0009】
[1]
上筒部、前記上筒部の下端部から径方向内側に延びる上筒底部、前記上筒底部の内周縁部から垂下する下筒部、及び、前記下筒部の下端部から径方向内側に延びる下筒底部を有するエアシリンダと、
前記下筒部の内周面との間に環状空間を形成するように前記エアシリンダ内に設けられる液シリンダと、
容器の口部に装着され、前記エアシリンダを保持する装着部と、
前記エアシリンダの前記上筒部に対して摺動によって昇降するエアピストンと、
前記液シリンダに対して摺動によって昇降する液ピストンと、
前記エアピストン及び前記液ピストンを伴って昇降する昇降部材と、
前記昇降部材を上昇させる付勢力を生じる樹脂スプリングとを有し、
前記昇降部材は、前記下筒部より上方で前記樹脂スプリングの上端部を押下げるスプリング押下部を有し、
前記樹脂スプリングの下端部は、前記環状空間に配置され、
前記昇降部材の昇降によって、前記容器内から前記液シリンダを通して圧送した液状の内容物と前記エアシリンダから圧送した空気とを混合して泡状にし、吐出するフォーマーポンプ。
【0010】
[2]
前記上筒部、前記上筒底部、前記下筒部、及び、前記下筒底部から上方に延びる吸込部を有するエアシリンダ部材と、
前記液シリンダを有し前記吸込部に嵌合によって装着される液シリンダ部材とを有し、
前記昇降部材は、押下ヘッドと、ステム部と、前記ステム部から径方向外側に突出する前記スプリング押下部とを有し、前記ステム部及び前記押下ヘッドを通して泡状の前記内容物を吐出する、[1]に記載のフォーマーポンプ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属スプリングを樹脂スプリングに置き換え、しかもポンプ全高を抑えることができるフォーマーポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のフォーマーポンプを有するフォーマーポンプ容器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態においてフォーマーポンプ1は、上筒部2a、上筒部2aの下端部から径方向内側に延びる上筒底部2b、上筒底部2bの内周縁部から垂下する下筒部2c、及び、下筒部2cの下端部から径方向内側に延びる下筒底部2dを有するエアシリンダ2と、下筒部2cの内周面との間に環状空間S1を形成するようにエアシリンダ2内に設けられる液シリンダ3と、容器4の口部4aに装着され、エアシリンダ2を保持する装着部5と、エアシリンダ2の上筒部2aに対して摺動によって昇降するエアピストン6と、液シリンダ3に対して摺動によって昇降する液ピストン7と、エアピストン6及び液ピストン7を伴って昇降する昇降部材8と、昇降部材8を上昇させる付勢力を生じる樹脂スプリング9とを有し、昇降部材8は、下筒部2cより上方で樹脂スプリング9の上端部を押下げるスプリング押下部8aを有し、樹脂スプリング9の下端部は、環状空間S1に配置され、下筒底部2dに当接し、昇降部材8の昇降によって、容器4内から液シリンダ3を通して圧送した液状の内容物10とエアシリンダ2から圧送した空気とを混合して泡状にし、吐出する。なお、本実施形態において、上筒部2aの中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って昇降部材8が下降する方向を下方といい、その反対方向を上方といい、中心軸線Oに直交する方向を径方向という。
【0015】
上記構成によれば、樹脂スプリング9を上筒部2aだけでなく下筒部2cも有するエアシリンダ2内に配置したことにより、上下方向において樹脂スプリング9の全長を下筒部2cの全長よりも長くすることができるので、樹脂スプリング9が繰り返しの伸縮により「へたり」を生じることを抑制できる。また、スプリング押下部8aが下筒部2cより上方で樹脂スプリング9の上端部を押下げる構成、すなわち樹脂スプリング9を下筒部2cよりも上方まで延在させる構成であるため、下筒部2cの全長を長くしなくても樹脂スプリング9の全長を長くできるので、ポンプの全高を抑えることもできる。この観点から、スプリング押下部8aは、図示するように上筒部2aよりも上方に位置することが好ましく、図示するように装着キャップ5aの頂壁5a2よりも上方に位置することがより好ましい。なお樹脂スプリング9は、合成樹脂材料で形成された軸方向に伸縮自在な圧縮スプリングであり、樹脂スプリング9の外周部はばね構造体で形成され、ばね構造体の径方向内側部分は中空である。樹脂スプリング9を採用できる本実施形態によれば全樹脂化したフォーマーポンプ1を実現できる。
【0016】
上筒部2a、上筒底部2b、下筒部2c、及び、下筒底部2dから上方に延びる吸込部11aを有するエアシリンダ部材11と、液シリンダ3を有し吸込部11aに嵌合によって装着される筒状の液シリンダ部材12とを有し、吸込部11aは、下筒底部2dから上方に延びる筒状の立設壁11a1と、立設壁11a1の上下方向中間部から径方向内側に延びる吸込口形成部11a2とを有し、液シリンダ部材12は、立設壁11a1の外周面に嵌合する内周面を有する嵌合壁部12aと、嵌合壁部12aの下端部から径方向外側に突出し、下筒底部2dにおいてエアシリンダ部材11の上面に当接する下面、及び、樹脂スプリング9の下端部に当接する上面を有する当接壁部12bとを有する。昇降部材8は、押下ヘッド8bと、筒状のステム部8cと、ステム部8cから径方向外側に突出する鍔状のスプリング押下部8aとを有し、ステム部8c及び押下ヘッド8bを通して泡状の内容物10を吐出する。上記構成によれば、樹脂スプリング9のための配置空間を簡単な構造で設けることができる。また、樹脂スプリング9の付勢力を利用して液シリンダ部材12を効率的に保持できる。
【0017】
昇降部材8は、ステム部8cの内周面における下部に装着される液ピストンガイド8eを有し、液ピストンガイド8eは液ポンプ室14から内容物10を流入させる流入口8e1を有し、液ピストン7は、液ピストンガイド8eの下規制部8e2に当接するまで昇降部材8に対して相対的に下降することで、液ポンプ室14から流入口8e1への内容物10の流れを阻止し、ステム部8cの上規制部8c2に当接するまで昇降部材8に対して相対的に上昇することで、液ポンプ室14から流入口8e1への内容物10の流れを許容する。
【0018】
装着部5は、装着キャップ5aによって構成される。装着キャップ5aは、周壁5a1と、周壁5a1の上端部から径方向内側に延びる環状の頂壁5a2と、頂壁5a2の内周縁部から上方に延びる筒状の延長部5a3と、延長部5a3の上端部から径方向内側に延び、昇降部材8の昇降を案内する案内部5a4とを有する。案内部5a4の内周縁部と昇降部材8との間には、外部空間S2から空気をエアシリンダ2(エアポンプ室15)へ流入させる流路の一部を構成する隙間が形成される。装着キャップ5aは、上筒部2aの上端部から径方向外側に突出するフランジ部2eを頂壁5a2の下面と口部4aの上端面とで挟み込むようにして周壁5a1を口部4aに装着することで、エアシリンダ2を口部4aに保持させることができる。
【0019】
本実施形態においてフォーマーポンプ容器13は、フォーマーポンプ1及び容器4を有する。容器4は、内容物10を収容する内部空間S3を形成する胴部4bと、内部空間S3に通じる開口を形成し胴部4bに連なる口部4aとを有する。容器4は例えばボトル状をなす。内容物10は液状であれば特に限定されない。フォーマーポンプ1は、昇降部の昇降により、内部空間S3から内容物10を液シリンダ3及び液ピストン7によって形成される液ポンプ室14を通してステム部8cの内部流路8c1へ圧送するとともに、外部空間S2から空気をエアシリンダ2及びエアピストン6によって形成されるエアポンプ室15を通してステム部8cの内部流路8c1へ圧送し、空気との混合によって形成された泡状の内容物10を押下ヘッド8bの吐出口8dから吐出する。
【0020】
フォーマーポンプ容器13は、図示するように、フォーマーポンプ1の装着キャップ5aの延長部5a3に着脱可能に設けられ、装着キャップ5aの頂壁5a2と押下ヘッド8bとの間に上下方向に挟み込まれるストッパ16を有する構成としてもよい。フォーマーポンプ1は、図示するように、泡立部材17としてのメッシュ部材を昇降部材8内において内容物10と空気との混合部18と吐出口8dとの間の流路部分に有する構成としてもよい。
【0021】
本発明の実施形態について前述したが、本発明は前述した実施形態に限定されず、前述した実施形態は本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できる。例えば、樹脂スプリング9の形状は、筒状、板状、コイル状等であってもよく、特に限定されない。またフォーマーポンプ1は、樹脂スプリング9の下端部が当接壁部12bに当接することなく下筒底部2dに当接する構成(例えば、液シリンダ部材12がエアシリンダ部材11と一体に形成される構成、又は、液シリンダ部材12に当接壁部12bを設けない構成など)としてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 フォーマーポンプ
2 エアシリンダ
2a 上筒部
2b 上筒底部
2c 下筒部
2d 下筒底部
2e フランジ部
3 液シリンダ
4 容器
4a 口部
4b 胴部
5 装着部
5a 装着キャップ
5a1 周壁
5a2 頂壁
5a3 延長部
5a4 案内部
6 エアピストン
7 液ピストン
8 昇降部材
8a スプリング押下部
8b 押下ヘッド
8c ステム部
8c1 内部流路
8c2 上規制部
8d 吐出口
8e 液ピストンガイド
8e1 流入口
8e2下規制部
9 樹脂スプリング
10 内容物
11 エアシリンダ部材
11a 吸込部
11a1 立設壁
11a2 吸込口形成部
12 液シリンダ部材
12a 嵌合壁部
12b 当接壁部
13 フォーマーポンプ容器
14 液ポンプ室
15 エアポンプ室
16 ストッパ
17 泡立部材
18 混合部
O 中心軸線
S1 環状空間
S2 外部空間
S3 内部空間
図1