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特開2025-5880情報処理装置、収穫範囲の選定方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005880
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、収穫範囲の選定方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106294
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南部 成仁
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 博和
(72)【発明者】
【氏名】田中 聡
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】 作業主体の労働力を適切に配分する。
【解決手段】 本開示に係る装置は、作付け位置ごとの農作物の作物価値を表す価値データを記憶する記憶装置と、前記価値データに基づいて収穫範囲の選定処理を実行する制御装置と、を備える情報処理装置であって、前記選定処理は、所定期間において作業主体に収穫を実行させ得る収穫可能面積を算出する処理と、前記作物価値が所定の閾値以上である前記作付け位置に前記収穫可能面積を割り付ける処理と、を含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作付け位置ごとの農作物の作物価値を表す価値データを記憶する記憶装置と、
前記価値データに基づいて収穫範囲の選定処理を実行する制御装置と、を備え、
前記選定処理は、
所定期間において作業主体に収穫を実行させ得る収穫可能面積を算出する処理と、
前記作物価値が所定の閾値以上である前記作付け位置に前記収穫可能面積を割り付ける処理と、を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記選定処理は、
前記作物価値が高い前記作付け位置に前記収穫可能面積を優先的に割り付ける処理を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選定処理は、
最初の前記作付け位置を任意に選択し、2番目以後は前記最初の作付け位置からの距離が近い前記割り付け位置を優先的に割り付ける処理を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選定処理は、
前記作業主体が収穫を実行し得る収穫時間、前記作業主体の収穫効率、及び前記作業主体の総数に基づいて、前記収穫可能面積を算出する処理を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、
前記作付け位置ごとの前記農作物の生育度を表す生育データを記憶し、
前記制御装置は、
前記生育データを前記価値データに変換する処理を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
選定された前記収穫範囲を含む前記価値データを選定結果として出力する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
下記に定義する高価値収穫量と収穫成果との関係を表す成果特性の算出処理を実行可能である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
高価値収穫量:作物価値が高い農作物から順に収穫作業を行う場合の収穫量
収穫成果:作物価値が高い農作物から順に収穫作業を行う場合の作物価値の累積値
【請求項8】
前記制御装置は、
前記所定期間に獲得し得る前記農作物の収穫量である収穫可能量を算出し、
前記収穫可能量と前記成果特性とに基づいて、前記収穫可能量に対応する前記収穫成果である可能収穫成果を算出する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
ユーザが所望する前記収穫成果である目標収穫成果を取得し、
前記目標収穫成果と前記成果特性とに基づいて、前記目標収穫成果に対応する前記高価値収穫量である目標収穫量を算出する、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
情報処理装置が実行する収穫範囲の選定方法であって、
作付け位置ごとの農作物の作物価値を表す価値データを記憶するステップと、
前記価値データに基づいて前記収穫範囲の選定処理を実行するステップと、を含み、
前記選定処理は、
所定期間において作業主体に収穫を実行させ得る収穫可能面積を算出する処理と、
前記作物価値が所定の閾値以上である前記作付け位置に前記収穫可能面積を割り付ける処理と、を含む、収穫範囲の選定方法。
【請求項11】
情報処理装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
作付け位置ごとの農作物の作物価値を表す価値データを記憶する記憶装置、及び、
前記価値データに基づいて収穫範囲の選定処理を実行する制御装置、として機能させ、
前記選定処理は、
所定期間において作業主体に収穫を実行させ得る収穫可能面積を算出する処理と、
前記作物価値が所定の閾値以上である前記作付け位置に前記収穫可能面積を割り付ける処理と、を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、収穫範囲の選定方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、市場での農作物の販売予想価格と、画像解析から得た農作物の生育状態とに基づいて、農作物の収穫時期及び収穫量を提案する情報提案システムが記載されている。
特許文献2には、離れた位置にある複数の圃場で作業を行う作業者及び機材を、予め登録された作業者及び機材から効率よく割り振る営農支援システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/158821号
【特許文献2】特開2013-254356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2では、農作物を収穫した場合の作物価値に応じて、作業主体の労働力を適切に配分するための収穫範囲の選定方法については想定されていない。
本開示は、かかる従来の問題点に鑑み、作業主体の労働力を適切に配分できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、作付け位置ごとの農作物の作物価値を表す価値データを記憶する記憶装置と、前記価値データに基づいて収穫範囲の選定処理を実行する制御装置と、を備え、前記選定処理は、所定期間において作業主体に収穫を実行させ得る収穫可能面積を算出する処理と、前記作物価値が所定の閾値以上である前記作付け位置に前記収穫可能面積を割り付ける処理と、を含む。
【0006】
本開示の実施形態は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、若しくはコンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体、或いはこれらの任意の組み合わせにより実現され得る。
記録媒体の性質は、揮発性及び不揮発性のいずれでもよい。装置は、個別の複数の装置で構成してもよい。個別の複数の装置で構成する場合、それらを1つの筐体に配置する構成、及び離れた2つ以上の筐体に分かれて配置する構成のいずれであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業主体の労働力を適切に配分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、作業支援システムの全体構成を示すネットワーク構成図である。
図2図2は、管理サーバの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、収穫範囲の選定処理の一例を示す説明図である。
図4図4は、成果特性の生成処理の一例を示す説明図である。
図5図5は、作業計画における選定処理の利用例を示すシーケンス図である。
図6図6は、管理端末における選定結果の表示画面の一例を示す図である。
図7図7は、作業計画における成果特性の利用例1を示すシーケンス図である。
図8図8は、作業計画における成果特性の利用例2を示すシーケンス図である。
図9図9は、将来の生育データの予測方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態に係る装置は、作付け位置ごとの農作物の作物価値を表す価値データを記憶する記憶装置と、前記価値データに基づいて収穫範囲の選定処理を実行する制御装置と、を備える情報処理装置であって、前記選定処理は、所定期間において作業主体に収穫を実行させ得る収穫可能面積を算出する処理と、前記作物価値が所定の閾値以上である前記作付け位置に前記収穫可能面積を割り付ける処理と、を含む。
【0010】
本実施形態の情報処理装置によれば、制御装置が、作物価値が所定の閾値以上である作付け位置に収穫可能面積を割り付けるので、作物価値が閾値未満の作付け位置については割り付け対象から除外され、作物価値が低い農作物の収穫作業を回避できる。従って、作業主体の労働力を適切に配分することができる。
【0011】
(2) 本実施形態の情報処理装置において、前記選定処理は、前記作物価値が高い前記作付け位置に前記収穫可能面積を優先的に割り付ける処理を含んでもよい。
この場合、作物価値が最も高い作付け位置が収穫範囲に含められるので、作物価値が高い農作物を早期に収穫することができる。
【0012】
(3) 本実施形態の情報処理装置において、前記選定処理は、最初の前記作付け位置を任意に選択し、2番目以後は前記最初の作付け位置からの距離が近い前記割り付け位置を優先的に割り付ける処理を含んでもよい。
この場合、2番目以後は距離基準で割り付け対象が決定されるので、作業主体の移動距離が短い収穫範囲を選定することができる。
【0013】
(4) 本実施形態の情報処理装置において、前記選定処理は、前記作業主体が収穫を実行し得る収穫時間、前記作業主体の収穫効率、及び前記作業主体の総数に基づいて、前記収穫可能面積を算出する処理を含んでもよい。
このようにすれば、所定期間に投入し得る労働力に応じて、収穫可能面積を正確に算出することができる。
【0014】
(5) 本実施形態の情報処理装置において、前記記憶装置は、前記作付け位置ごとの前記農作物の生育度を表す生育データを記憶し、前記制御装置は、前記生育データを前記価値データに変換する処理を含んでもよい。
この場合、実際の生育データから価値データが生成されるので、価値データを正確に生成することができる。
【0015】
(6) 本実施形態の情報処理装置において、前記制御装置は、選定された前記収穫範囲を含む前記価値データを選定結果として出力してもよい。
この場合、例えば、出力された選定結果(収穫範囲を含む価値データ)をディスプレイに表示することにより、圃場のどこから収穫作業が行うべきかをユーザが一目で判断できるようになる。
【0016】
(7) 本実施形態の情報処理装置において、前記制御装置は、下記に定義する高価値収穫量と収穫成果との関係を表す成果特性の算出処理を実行可能であってもよい。
高価値収穫量:作物価値が高い農作物から順に収穫作業を行う場合の収穫量
収穫成果:作物価値が高い農作物から順に収穫作業を行う場合の作物価値の累積値
この場合、上述の収穫範囲に加えて、高価値収穫量に対する収穫成果の特性を表す上記の成果特性を取得することができる。
【0017】
(8) 本実施形態の情報処理装置において、前記制御装置は、前記所定期間に獲得し得る前記農作物の収穫量である収穫可能量を算出し、前記収穫可能量と前記成果特性とに基づいて、前記収穫可能量に対応する前記収穫成果である可能収穫成果を算出してもよい。
この場合、算出結果をユーザに通知することにより、現時点で投入可能な労働力で得られる最大の収穫成果を、事前にユーザに通知することができる。
【0018】
(9) 本実施形態の情報処理装置において、前記制御装置は、ユーザが所望する前記収穫成果である目標収穫成果を取得し、前記目標収穫成果と前記成果特性とに基づいて、前記目標収穫成果に対応する前記高価値収穫量である目標収穫量を算出してもよい。
この場合、算出結果をユーザに通知することにより、所望の収穫成果を達成するのに必要な高価値収穫量を、事前にユーザに通知することができる。
【0019】
(10) 本実施形態に係る方法は、上述の(1)から(9)の情報処理装置が実行する収穫範囲の選定方法である。
従って、本実施形態の選定方法は、上述の(1)から(9)の情報処理装置と同様の作用効果を奏する。
【0020】
(11) 本実施形態に係るコンピュータプログラムは、上述の(1)から(9)の情報処理装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムである。
従って、本実施形態のコンピュータプログラムは、上述の(1)から(9)の情報処理装置と同様の作用効果を奏する。
【0021】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照して、本開示の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0022】
〔システムの全体構成〕
図1は、作業支援ステム200の全体構成を示すネットワーク構成図である。
図1の作業支援システム(以下、「支援システム」ともいう。)200は、携帯端末20、管理端末30、及び管理サーバ40が協働して、作業員1が行う農作業を支援するシステムである。従って、支援システム200は、情報交換する通信ノードとして、少なくとも携帯端末20、管理端末30、及び管理サーバ40を備える。
【0023】
携帯端末20、管理端末30、及び管理サーバ40は、インターネットなどを含む公衆ネットワーク70により接続される。もっとも、携帯端末20は、無線基地局80との無線通信を介して公衆ネットワーク70に接続される。
携帯端末20は、作業員1に割り当てられる通信端末である。携帯端末20は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、或いはノート型コンピュータなどである。図例では、作業員1が1人だけ描かれているが、複数人であってもよい。
【0024】
管理端末30は、複数の圃場Au(u=1,2……)を含む農場Fの管理担当者(以下、「管理ユーザ」という。)2に割り当てられる端末装置である。図例では、1つの農場Fに9つの圃場Auが含まれるが、圃場Auの数は任意であり1以上であればよい。
管理端末30は、例えば、デスクトップ型コンピュータである。管理端末30は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又はノート型コンピュータなどのモバイル端末であってもよい。
【0025】
管理ユーザ2は、管理サーバ40が提供する農作業支援サービスのユーザである。管理ユーザ2は、管理サーバ40に予め会員登録される。
本実施形態の圃場Auは、例えば、ワインの原料となるブドウ3を栽培するためのブドウ園(Vineyards)である。ブドウ園Auには、同じ品種のブドウ3或いは異なる品種のブドウ3がそれぞれ栽培される。
【0026】
管理サーバ40は、携帯端末20及び管理端末30の他に、情報提供サーバ50及び飛翔装置60などの外部装置とも通信する。飛翔装置60は、無線基地局80との無線通信を介して公衆ネットワーク70に接続される。
管理サーバ40の農作業支援サービスには、ブドウ園Auの農作業に関する作業計画をユーザに提供するサービスが含まれる。管理サーバ40は、管理端末30から受信する所定の入力情報に基づいて作業計画を作成する。
【0027】
「作業計画」は、ブドウ園Auにおいて作業員1が行う近未来の作業のスケジュール(5W1Hの内容を含む情報)を規定するデータ群である。ブドウ園Auの農作業は、例えば、剪定、芽欠き、誘因、ジベレリン処理、摘粒、袋掛け、及び収穫などである。
管理端末30は、管理サーバ40の農作業支援サービスにアクセスすると、管理ユーザ2の入力操作に基づく作成要求を管理サーバ40に送信可能となる。作成要求には、作業計画の作成処理に必要な所定の情報(例えば作業員数や作業時間帯など)が含まれる。
【0028】
管理サーバ40は、管理端末30からの作成要求に応じてブドウ園Auの作業計画を作成し、作成した作業計画を管理端末30に送信する。
また、管理サーバ40は、作成した作業計画に基づく作業員1の作業内容を、各作業員1の携帯端末20に送信する。もっとも、各携帯端末20に対する作業内容の通知は、管理端末30が行ってもよい。
【0029】
情報提供サーバ50が提供する情報には、ブドウ園Auの生育データが含まれる。管理サーバ40は、生育データを情報提供サーバ50から受信できる。生育データは、作付け位置ごとの農作物(例えばブドウ3)の「生育度」を表すデータである。
生育度としては、例えば、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index)などの植生指標を採用し得る。NDVIは、植物の光の反射特性に基づいて、比較的簡易な計算式で植生の状況を表現する指標である。
【0030】
飛翔装置60は、例えば、クワッドコプター又はマルチコプターなどのロボット飛翔体である。飛翔装置60は、遠隔操作により任意の地域の上空を飛行可能であり、撮影方向を切り替え可能なデジタルカメラを備える。
飛翔装置60は、ブドウ園Auをデジタルカメラで上空から撮影すると、取得した画像データを管理サーバ40に送信する。管理サーバ40は、受信した画像データを用いて、ブドウ園Auの生育データの全部又は一部を自身で生成することもできる。
【0031】
〔管理サーバの構成例〕
図2は、管理サーバ40の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、管理サーバ40は、制御装置41、記憶装置42、通信装置43、及び複数種類のデータベース(DB)44~46を備える情報処理装置の一種である。
複数種類のデータベース44~46は、記憶装置42に所定のデータ配列で構築される電子データである。なお、データベース44~46の一部又は全部を、管理サーバ40に接続された外部記憶装置(図示せず)に構築してもよい。
【0032】
制御装置41は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)などを含む演算処理装置である。制御装置41には、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの集積回路が含まれていてもよい。
制御装置41は、記憶装置42に格納されたコンピュータプログラム47をメインメモリ(RAM)に読み出し、読み出したプログラム47に従って情報処理を実行する。情報処理には、作業計画の作成や生育データの生成などが含まれる。
【0033】
記憶装置42は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む補助記憶装置である。
記憶装置42は、フラッシュROM(Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はSDカードなどを含んでいてもよい。通信装置43は、公衆ネットワーク70を介した外部装置との通信が可能な通信インタフェースである。
【0034】
複数種類のデータベース44~46には、生育データベース44、価値データベース45、及び降順データベース46が含まれる。
生育データベース44には、生育データGijk(図3参照)が格納される。価値データベース45には、価値データVijk(図3参照)が格納される。降順データベース46には、降順データVijm(図4参照)が格納される。これらのデータGijk,Vijk,Vijmの詳細については後述する。
【0035】
コンピュータプログラム47には、作業計画の作成処理に付随する処理として、「収穫範囲の選定処理」(ステップS10:図3参照)と「成果特性の生成処理」(ステップS20:図4参照)を制御装置41に実行させるプログラムが含まれる。
収穫範囲の選定処理は、価値データVijkに基づいて、ブドウ園Auに対する収穫範囲を選定する処理である。成果特性の生成処理は、価値データVijkに基づいて、収穫量に対する成果(価値の累積値)の特性を表す成果特性Fを生成する処理である。
【0036】
〔収穫範囲の選定処理〕
図3は、管理サーバ40の制御装置41が実行する、収穫範囲の選定処理の一例を示す説明図である。以下、収穫範囲の選定処理に用いるパラメータの定義を説明してから、当該選定処理の内容を説明する。
【0037】
(Xi,Yj):作付け位置
作付け位置(Xi,Yj)は、例えば、ブドウ3の木の幹の所在地であり、緯度・経度などの絶対座標系、又は所定位置を基準とする相対座標系で定義される。
作付け位置(Xi,Yj)は、複数の木の幹の所在地を代表する地点(例えば重心点)でもよい。「Xi」は、X方向の位置(iはX方向の座標値の識別番号)であり、「Yj」は、Y方向の位置(jはY方向の座標値の識別番号)である。
【0038】
Gk:生育度
生育度Gkは、ブドウ3の生育度合いを表す指標である。生育度は、例えばNDVIなどの植生指標である。「k」は、生育度及び次の作物価値の値の識別番号である。
【0039】
Vk:作物価値
作物価値Vkは、現時点におけるブドウ3の価値を表す指標である。この指標としては、例えば、ブドウ3の単位重量当たりの販売価格、及びブドウ3の成分値などを採用し得る。成分値は、糖度、酸度、及びpH値のうちの少なくとも1つを採用し得る。
【0040】
Gijk:生育データ
生育データGijkは、作付け位置(Xi,Yj)ごとのブドウ3の生育度Gkを表すデータである。生育データGijkは、次の3次元ベクトルで定義される。
Gijk=(Xi,Yj,Gk)
生育データGijkのデータ形式は、デジタルマップ形式及びテーブル形式のいずれであってもよい。デジタルマップ形式の生育データを「生育マップ」という。生育マップをディスプレイに表示する場合は、例えば図3に示す通り、生育度Gkの大きさを色彩又は濃淡などで表現する、ビットマップ画像として表示され得る。
【0041】
Vijk:価値データ
価値データVijkは、作付け位置(Xi,Yj)ごとの作物価値Vkを表すデータである。価値データVijkは、次の3次元ベクトルで定義される。
Vijk=(Xi,Yj,Vk)
価値データVijkのデータ形式は、デジタルマップ形式及びテーブル形式のいずれであってもよい。なお、デジタルマップ形式の価値データを「価値マップ」という。価値マップをディスプレイに表示する場合は、例えば図3に示す通り、作物価値Vkの大きさを色彩又は濃淡などで表現する、ビットマップ画像として表示され得る。
【0042】
ΔS:単位エリア(m
単位エリアΔSは、作付け位置(Xi,Yj)を含む単位面積を有する所定形状のエリアである。エリアの形状は、例えば矩形が好適であるが、楕円や六角形などの矩形以外の形状であってもよい。エリアの単位面積は、ブドウ3の木の植え付け間隔などに応じて予め設定され得る。
【0043】
ΔH:単位収穫量(kg/m
単位収穫量ΔHは、単位エリアΔSにおいて見込まれるブドウ3の収穫量(kg/m)である。単位収穫量ΔHは、単位エリアΔSに含まれる木に実るブドウ3の数の統計値(例えば平均値又は中央値)などに応じて予め設定され得る。また、単位収穫量ΔHは、ブドウ3の品種ごとに異なる値に設定してもよい。
【0044】
Tn:収穫時間(h)
収穫時間Tnは、所定期間(例えば1日~1週間)において作業員1が収穫を実行し得る時間である。「n」は、作業員1の識別番号である。
収穫時間Tnは、例えば管理ユーザ2が各作業員1と調整した今後の作業時間帯など応じて、作業員1ごとに異なる値に設定され得る。
【0045】
Rn:収穫効率(kg/h)
収穫効率Rnは、作業員1が単位時間あたりに収穫可能な収穫量である。
収穫効率Rnは、例えば管理ユーザ2により、各人の熟練度に応じて作業員1ごとに異なる値に設定され得る。収穫効率Rnは、品種ごとに異なる値に設定してもよい。
【0046】
L:収穫可能量(kg)
収穫可能量Lは、所定期間(例えば1日~1週間)に獲得し得るブドウ3の収穫量である。収穫可能量Lは、次式により定義される。
L=Σ(Tn×Rn)(n=1~N) ……(1)
ただし、「N」は、所定期間に動員可能な作業員1の総人数である。
【0047】
S:収穫可能面積(m
収穫可能面積Sは、所定期間(例えば1日~1週間)において作業員1に収穫を実行させ得る面積である。収穫可能面積Sは、次式により定義される。
S=L/ΔH ……(2)
【0048】
M:正規化面積(個)
正規化面積Mは、収穫可能面積Sを単位エリアΔSの個数で正規化する場合の換算値である。正規化面積Mは、次式により定義される。
M=S/ΔS=(L/ΔH)/ΔS ……(3)
【0049】
図3に示す通り、収穫範囲の選定処理(図2のステップS10)は次の処理を含む。
ステップS11:データ変換
ステップS12:正規化面積の算出
ステップS13:正規化面積の割り付け
【0050】
(データ変換:ステップS11)
データ変換は、生育データGijkを価値データVijkに変換する処理である。
具体的には、データ変換は、所定の変換式(Vk=f(Gk))を用いて、生育データGijkの生育度Gkを作物価値Vkに変換する処理である。所定の変換式は、例えば、生育度Gkと作物価値Vkとの相関関係を表す近似式である。近似式は、例えば過去の統計データに基づいて、作物価値Vkの種別に応じて予め定義される。
【0051】
(正規化面積の算出:ステップS12)
正規化面積Mの算出は、上述の式(1)~(3)を用いて、正規化面積Mを算出する処理である。具体的には、正規化面積Mの算出は、以下の手順を含む。
手順1:式(1)を用いて収穫可能量Lを算出する。
式(1)の入力情報のうち、収穫時間Tnと総人数Nは、管理端末30から通知される。作業員1の収穫効率Rnは、管理サーバ40の記憶装置42に予め登録される設定値である。
【0052】
手順2:式(2)を用いて収穫可能面積Sを算出する。
式(2)の入力情報である単位収穫量ΔHは、管理サーバ40の記憶装置42に予め登録される設定値である。
手順3:式(3)を用いて正規化面積Mを算出する。
式(3)の入力情報である単位エリアΔSは、管理サーバ40の記憶装置42に予め登録される設定値である。
【0053】
(正規化面積の割り付け:ステップS13)
正規化面積Mの割り付けは、ステップS12により算出した、収穫可能面積Sに相当する正規化面積Mを、所定の割り付けロジックに基づいて価値データVijkの作付け位置(Xi、Yj)に割り付ける処理である。所定の割り付けロジックとしては、例えば次のロジックを採用し得る。
【0054】
ロジック1:
作業価値Vkが所定の閾値THv以上である作付け位置(Xi,Yj)の単位エリアΔSを割り付け対象とする。閾値THvは、例えば管理ユーザ2により、作物価値Vkの種別ごとに予め管理サーバ40の記憶装置42に登録される。
ロジック1を採用すれば、管理ユーザ2が所望する作物価値Vkを満たさない単位エリアΔが割り付け対象から除外される。このため、作物価値Vkが低いブドウ3の収穫作業が回避される。従って、作業員1の労働力を適切に配分することができる。
【0055】
ロジック2:
作業価値Vkが閾値THv以上である作付け位置(Xi,Yj)の単位エリアΔSのうち、作物価値Vkが高い作付け位置(Xi,Yj)の単位エリアΔを優先的に割り付け対象とする。
ロジック2を採用すれば、作物価値Vkが最も高い作付け位置(Xi,Yj)が収穫範囲に含められるので、作物価値Vkが高いブドウ3を早期に収穫することができる。
【0056】
ロジック3:
作業価値Vkが閾値THv以上である作付け位置(Xi,Yj)の単位エリアΔSのうちから任意の単位エリアΔSを最初に選択し、2番目以後は、最初の単位エリアΔSからの距離が短い単位エリアΔSを優先的に割り付け対象とする。
ロジック3を採用すれば、2番目以後は距離基準で割り付け対象が決定されるので、作業員1の移動距離が短い収穫範囲を選定することができる。
【0057】
図3の例では、正規化面積Mの値が「10」であり、ブドウ園Auの原点に近いほど作物価値Vkが高くなる価値データ(価値マップ)Vijkが例示されている。
この場合、例えば上述のロジック1を適用すると、10個の単位エリアΔSから構成される収穫範囲が、圃場Auの原点を直角点とする直角三角形状に割り当てられることになる。
【0058】
〔成果特性の生成処理〕
図4は、管理サーバ40の制御装置41が実行する、成果特性の生成処理の一例を示す説明図である。以下、成果特性の生成処理に用いるパラメータの定義を説明してから、当該生成処理の内容を説明する。もっとも、既述のパラメータの説明は省略する。
【0059】
Vm:降順価値
降順価値Vmは、作物価値Vkの値を降順で並べ換えたデータである。「m」は、降順価値の値の識別番号である。
【0060】
Vijm:降順データ
降順データVijmは、作付け位置(Xi,Yj)における降順価値Vmを表すデータである。降順データVijmは、次の3次元ベクトルで定義される。
Vijm=(Xi,Yj,Vm)
降順データVijmのデータ形式は、デジタルマップ形式及びテーブル形式のいずれであってもよい。なお、デジタルマップ形式の降順データを「降順マップ」という。
【0061】
H:高価値収穫量(kg)
高価値収穫量Hは、価値が高いブドウ3から順に収穫作業を行う場合の収穫量、すなわち、降順価値Vmが高い単位エリアΔSから収穫作業を行う場合の収穫量である。高価値収穫量Hは、次式により定義される。
H=Σ(ΔH×m)(m=1,2……) ……(4)
【0062】
VA:収穫成果
収穫成果VAは、価値が高いブドウ3から順に収穫作業を行う場合の価値の累積値、すなわち、降順価値Vmが高い単位エリアΔSから収穫作業を行う場合の当該降順価値Vmの積算値である。収穫成果VAは、次式により定義される。
VA=Σ(Vm)(m=1,2……) ……(5)
【0063】
F:成果特性
成果特性Fは、ブドウ3の収穫量に対する成果(価値の累積値)の特性を表すパラメータである。本実施形態では、成果特性Fを、高価値収穫量Hと収穫成果VAとの関係を表す関数として定義する。すなわち、成果特性Fは、次式で定義される関数である。
VA=F(H) ……(6)
成果特性Fのグラフをディスプレイに表示する場合は、例えば図4に示す通り、成果特性Fの算出に用いた降順価値Vmの大きさを色彩又は濃淡などで表現する、ビットマップ画像として表示され得る。
【0064】
図4に示す通り、成果特性の生成処理(図2のステップS20)は次の処理を含む。
ステップS21:データ変換
ステップS22:成果特性の算出
【0065】
(データ変換:ステップS21)
データ変換は、価値データVijkを降順データVijmに変換する処理である。具体的には、データ変換には以下の手順が含まれる。
手順1:価値データVijkを作物価値Vkの値が大きい順に並べ換える。
手順2:識別番号kを識別番号mに入れ替えて降順価値Vmを生成する。
手順3:作付け位置(Xi,Yj)ごとの降順価値Vmを含むデータを、降順データVijmとする。
【0066】
(成果特性の算出:ステップS22)
成果特性Fの算出は、ステップS21により得られた降順価値Vmを用いて、ブドウ園Auの成果特性Fを算出する処理である。具体的には、成果特性Fの算出には、以下の工程が含まれる。
【0067】
工程1:降順価値Vmの識別番号mを初期値(=1)に設定する。
工程2:式(4)を用いて高価値収穫量Hを算出する。
工程3:式(5)を用いて収穫成果VAを算出する。
工程4:Hの算出値とVAの算出値を、横軸をHとし縦軸をVAとする直交座標にプロットする。
【0068】
工程5:識別番号mをインクリメントし、工程2から工程4を繰り返す。
工程6:識別番号mが最終値になると、プロットを終了する。
工程7:プロットした点群の隣接点同士を直線又は曲線で繋げた線を、式(6)の成果特性Fとする。なお、Hの算出値とVAの算出値のいずれかに異常値が含まれる場合は、異常値を不採用として補完処理を行ってもよい。
【0069】
図4の収穫特性Fは、以下の算出処理に利用され得る。
算出処理1:「可能収穫成果VAL」の算出
算出処理1は、成果特性Fにおける、収穫可能量Lに対する収穫成果VAを算出する処理である。以下、収穫可能量Lに対する収穫成果VAを「可能収穫成果VAL」という。具体的には、可能収穫成果VALは次の式(7)により算出される。
VAL=F(L) ……(7)
【0070】
算出処理2:「目標収穫量HD」の算出
算出処理2は、成果特性Fにおける、管理ユーザ2が所望する収穫成果VAを得るのに必要な高価値収穫量Hを算出する処理である。以下、所望される収穫成果VAを「目標成果VAD」といい、これに必要な高価値収穫量Hを「目標収穫量HD」という。具体的には、目標収穫量HDは、次の式(8)により算出される。なお、「F-1」は、成果特性Fの逆関数である。
HD=F-1(VAD) ……(8)
【0071】
〔作業計画における選定処理の利用例〕
図5は、作業計画における選定処理の利用例を示すシーケンス図である。
図5に示すように、管理端末30は、支援サービスにアクセスしたあと(ステップST11)、作業計画の作成要求RQ1を管理サーバ40に送信する(ステップST12)。
作成要求RQ1には、作業員1の識別番号n、総人数N、及び各作業員1の収穫時間Tnが含まれる。識別番号nは、作業員1の名称などの識別情報から決定され得る。
【0072】
次に、管理サーバ40は、収穫範囲の選定処理を実行する(ステップST13)。
具体的には、管理サーバ40の制御装置41は、受信した識別番号n、総人数N、及び収穫時間Tnを入力情報として、前述の選定処理(図3)を実行することにより、価値データVijkにおける収穫範囲を選定する。また、制御装置41は、選定結果SRを通信装置43に出力する。選定結果SRは、例えば、選定された収穫範囲を含む価値データ(価値マップ)Vijkよりなる。
【0073】
次に、管理サーバ40は、選定結果SRを含む作成応答AQ1を管理端末30に送信する(ステップST14)。
また、管理サーバ40は、選定結果SRを構成する作業員1ごとの作業内容WN(例えば、収穫位置と時間帯など)を、各作業員1の携帯端末20に送信する(ステップST15)。もっとも、各携帯端末20に対する作業内容WNの通知は、管理端末30が行ってもよい。
【0074】
次に、管理端末30は、管理サーバ40から受信した選定結果SRを出力する(ステップST16)。この出力は、例えば、選定結果SRを管理端末30のディスプレイに表示する処理である。図6は、管理端末30における選定結果SRの表示画面の一例を示す図である。
【0075】
図6に示すように、選定結果SRの表示画面には、「日付」、「人員」、及び「収穫範囲」の欄が含まれる。
日付と人員の欄には、管理ユーザ2が設定した入力情報が記される。図例では、9月16日の人員は作業者A,B,C(いずれも氏名)であり、9月17日の人員は作業者B,C,D(いずれも氏名)であり、9月18日の人員は作業者A,B,C,D(いずれも氏名)である。また、作業者A,B,C,Dの作業時間は図示の通りであるとする。
【0076】
収穫範囲の欄には、選定処理(図3)により選定された収穫範囲を含む価値マップVijlが表示される。なお、横軸はXiを意味し縦軸はYjを意味するものとする。
図6では一例として、所定期間が9月16日から9月18日までの3日間である場合の収穫作業の選定結果SRが例示されている。具体的には、各日程で実行すべき収穫範囲として、以下の収穫範囲(図示の斜線ハッチング部分)が表示されている。
【0077】
9月16日分の収穫範囲
作付け位置(X1,Y1)→作業者A
作付け位置(X2,Y1)→作業者B
作付け位置(X1,Y2)→作業者C
【0078】
9月17日分の収穫範囲
作付け位置(X1,Y3)→作業者B
作付け位置(X2,Y2)→作業者C
作付け位置(X3,Y1)→作業者D
【0079】
9月18日分の収穫範囲
作付け位置(X1,Y4)→作業者A
作付け位置(X2,Y3)→作業者B
作付け位置(X3,Y2)→作業者C
作付け位置(X4,Y1)→作業者D
【0080】
図6に示すように、収穫範囲の選定結果(収穫範囲)SRを圃場Auの価値マップVijkに重畳して表示すれば、ブドウ園Auのどこから収穫作業が行うべきかを管理ユーザ2が一目で判断でき、視認性に優れた表示態様となる。
【0081】
〔作業計画における成果特性の利用例1〕
図7は、作業計画における成果特性の利用例1を示すシーケンス図である。
図7に示すように、管理端末30は、支援サービスにアクセスしたあと(ステップST21)、収穫成果の算出要求RQ2を管理サーバ40に送信する(ステップST22)。
算出要求RQ2には、作業員1の識別番号n、総人数N、及び各作業員1の収穫時間Tnが含まれる。識別番号nは、作業員1の名称などの識別情報から決定され得る。
【0082】
次に、管理サーバ40は、可能収穫成果VALの算出処理を実行する(ステップST23)。具体的には、管理サーバ40の制御装置41は、受信した識別番号n、総人数N、及び収穫時間Tnを入力情報として収穫可能量Lを算出する。
また、制御装置41は、算出した収穫可能量Lを成果特性Fに関する式(7)に適用することにより、可能収穫成果VALを算出する。
【0083】
次に、管理サーバ40は、可能収穫成果VALを含む算出応答AQ2を管理端末30に送信する(ステップST24)。
次に、管理端末30は、管理サーバ40から受信した可能収穫成果VALを出力する(ステップST25)。この出力は、例えば、可能収穫成果VALの数値自体、或いは可能収穫成果VALの数値を含む成果特性Fのグラフ(図4参照)を、管理端末30のディスプレイに表示する処理である。
【0084】
このように、成果特性Fにおいて収穫可能量Lに対応する収穫成果VAである可能収穫成果VALを管理端末30に送信すれば、現時点で投入可能な労働力で得られる最大の収穫成果VAを、事前に管理ユーザ2に通知することができる。
【0085】
〔作業計画における成果特性の利用例2〕
図8は、作業計画における成果特性の利用例2を示すシーケンス図である。
図8に示すように、管理端末30は、支援サービスにアクセスしたあと(ステップST31)、収穫量の算出要求RQ3を管理サーバ40に送信する(ステップST32)。
案出要求RQ3には、管理ユーザ2が所望する収穫成果VAである目標収穫成果VADが含まれる。
【0086】
次に、管理サーバ40は、目標収穫量HDの算出処理を実行する(ステップST33)。具体的には、管理サーバ40の制御装置41は、受信した目標収穫成果VADを成果特性Fの逆関数に関する式(8)に適用することにより、目標収穫量HDを算出する。
【0087】
次に、管理サーバ40は、目標収穫量HDを含む算出応答AQ3を管理端末30に送信する(ステップST34)。
次に、管理端末30は、管理サーバ40から受信した目標収穫量HDを出力する(ステップST35)。この出力は、例えば、目標収穫量HDの数値自体、或いは目標収穫量HDの数値を含む成果特性Fのグラフ(図4参照)を、管理端末30のディスプレイに表示する処理である。
【0088】
このように、成果特性Fにおいて目標収穫成果VADに対応する高価値収穫量Hである目標収穫量HDを管理端末30に送信すれば、所望の収穫成果VAを達成するのに必要な高価値収穫量Hを、事前に管理ユーザ2に通知することができる。
【0089】
〔変形例1:生育データの予測方法〕
上述の実施形態において、比較的近い将来(例えば1日後など)の生育度Gkを含む生育データ(生育マップ)Vijkを、機械学習が可能な学習器であるモデル48(図9参照)により予測することにしてもよい。
モデル48は、記憶装置42に格納されたプログラム47の一種であり、例えば入力層と出力層の間に少なくとも1つの隠れ層を含むニューラルネットワークを採用し得る。
【0090】
図9は、将来の生育データVijkの予測方法の一例を示す説明図である。
図9において、モデル48は、作付け位置(Xi,Yj)における昨日の生育度Gkを入力データ(教師データ)とし、作付け位置(Xi,Yj)における今日の生育度Gkを出力データとする学習器よりなる。モデル48の訓練は、入力データと出力データの差分が最小となるように、モデル48内のノード間の重み付けを調整することにより実行される(学習フェーズ)。
【0091】
所定期間の訓練によりモデル48の精度が確認されると、モデル48は、1つ次の日の生育データVijkの予測処理に用いられる(運用フェーズ)。
具体的には、今日の生育データVijkをモデル48に入力し、明日の生育データVijkをモデル48に出力させる。同様に、明日の生育データVijkをモデル48に入力し、2日後の生育データVijkをモデル48に出力させる。3日後以後の予測についても同様である。
【0092】
〔変形例2:生育データの省力化〕
上述の実施形態において、生育データ(生育マップ)Vijkをスパース(疎)にサンプリングし、サンプリングデータに所定のTV(Total Variation)正則化などの所定の処理を施したデータを、選定処理などに用いる生育データVijkとしてもよい。
このようにすれば、ソースデータのサンプリング数が少なくて済むので、すべての作付け位置(Xi,Yj)の生育度Vkを含む生育データVijkを記憶する場合に比べて、記憶装置42における記憶容量を低減できる利点がある。
【0093】
〔その他の変形例〕
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0094】
上述の実施形態において、ブドウ3の収穫を行う「作業主体」は、人間の作業員1に限らず、ブドウ園Auを自動走行する収穫ロボットであってもよい。この場合、収穫ロボットによるブドウ3の収穫は、遠隔操作及び自動収穫のうちのいずれでもよい。
上述の実施形態において、農作物3は、作付け位置(Xi,Yj)に対して収穫量がほぼ正確に見込めるものであればよく、ブドウ3に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0095】
1 作業員(作業主体)
2 管理ユーザ
3 ブドウ(農作物)
20 携帯端末
30 管理端末
40 管理サーバ(情報処理装置)
41 制御装置
42 記憶装置
43 通信装置
44 生育データベース
45 価値データベース
46 降順データベース
47 コンピュータプログラム
48 モデル
50 情報提供サーバ
60 飛翔装置
70 公衆ネットワーク
80 無線基地局
200 作業支援ステム
F 農場
Au 圃場(ブドウ園)
(Xi,Yi) 作付け位置
Vijk 生育データ
Gijk 価値データ
Gijm 降順データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9