(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025058870
(43)【公開日】2025-04-09
(54)【発明の名称】内視鏡用光源装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/07 20060101AFI20250401BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
A61B1/07 731
A61B1/00 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088361
(22)【出願日】2024-05-30
(31)【優先権主張番号】18/373,536
(32)【優先日】2023-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】花野 和成
(72)【発明者】
【氏名】村山 和章
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 恭章
(72)【発明者】
【氏名】アンダース コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ボック マリオ
(72)【発明者】
【氏名】クリインダー イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ショーウィンク ピーター
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161LL02
4C161QQ02
4C161QQ04
4C161QQ07
(57)【要約】
【課題】照明用光源から出射された光を効率良く光ファイバ束に取り込めて、ガラスロッドから出射される照明光を均一にすることができる内視鏡用光源装置を提供する。
【解決手段】内視鏡用光源装置は、複数の励起用レーザ光源と、第1の集光光学系と、前記複数の第1の集光光学系それぞれにより集光される前記励起光がそれぞれ入射する複数の第1の光ファイバ束と、白色光を発生する照明用光源と、前記照明用光源から出射された前記白色光を集光する第2の集光光学系と、第2の光ファイバ束と、前記第1の光ファイバ束の第1の出射端と前記第2の光ファイバ束の第2の出射端とが束ねられ、前記第1の光ファイバ束と前記第2の光ファイバ束の出射端面に第1の端面が接続された第1のガラスロッドと、を有する。前記第1のガラスロッドの前記第1の端面と反対側の第2の端面に、内視鏡の照明光学系の接続部が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の励起用レーザ光源と、
前記複数の励起用レーザ光源からの励起光をそれぞれ集光する複数の光学系から構成された第1の集光光学系と、
前記複数の光学系それぞれにより集光される前記励起光がそれぞれ入射する複数の第1の光ファイバ束と、
白色光を発生する照明用光源と、
前記照明用光源から出射された前記白色光を集光する第2の集光光学系と、
前記第2の集光光学系により集光される前記照明用光源からの光が入射する第2の光ファイバ束と、
前記第1の光ファイバ束の第1の出射端と前記第2の光ファイバ束の第2の出射端とが束ねられ、前記第1の光ファイバ束と前記第2の光ファイバ束の出射端面に第1の端面が接続された第1のガラスロッドと、
を有し、
前記第1のガラスロッドの前記第1の端面と反対側の第2の端面に、内視鏡の照明光学系の接続部が設けられている内視鏡用光源装置。
【請求項2】
前記第1のガラスロッドの長手方向に直交する断面形状は、正方形であり、
前記第1の光ファイバ束及び前記第2の光ファイバ束の光の出射端は円形に束ねられ、
前記第1のガラスロッドの長手方向に直交する断面の一辺の長さは、前記出射端の出射端面の直径の±10%の範囲内である、
請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項3】
前記第1の光ファイバ束と前記第2の光ファイバ束の出射端が束ねられたファイバ束の直径は5.0mm以下であり、
前記照明用光源のサイズは2mm角以上3mm角以下であり、
前記第2の光ファイバ束の入射端面の直径は3.4mm以上5.0以下である、
請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項4】
前記第1の光ファイバ束と前記第2の光ファイバ束の出射端が束ねられたファイバ束の直径は5.0mm以下であり、
前記照明用光源のサイズは2mm角の場合、前記第2の光ファイバ束の入射端面の直径は2.4mm以上5.0mm以下である、
請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項5】
前記照明用光源のサイズは3mm角の場合、前記第2の光ファイバ束の入射端面の直径は3.4mm以上である、
請求項3に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項6】
前記第1の集光光学系と前記第1の光ファイバ束との間に配置された第2のガラスロッドをさらに備え、
前記第1の集光光学系により集光された前記励起光は、前記第2のガラスロッドに入射する、
請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項7】
前記照明用光源は、LED光源である、
請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【請求項8】
前記第1の集光光学系及び前記第2の集光光学系のうち少なくとも前記第2の集光光学系が拡大光学系である、
請求項1に記載の内視鏡用光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用光源装置に関する。この出願は、2023年09月27日に出願された米国出願第18/373,536号の利益を主張し、その全文が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡用光源装置としては、例えば、特許文献1に記載された投影光学系が挙げられる。特許文献1に記載の投影光学系は、レーザ光源と、ライドガイドと、ロッド棒と、マイクロプリズムアレイとを備えている。レーザ光源から出射されたレーザ光は、ファイバ束に入射し、カバーガラスを経てロッド棒に入射しマイクロプリズムアレイに入射する。マイクロプリズムアレイから出射した光は物体面を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の内視鏡用光源装置においては、改善の余地があった。特に、照明用光源から出射された光を効率良く光ファイバ束に取り込ませるについては、記載されていない。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、照明用光源から出射された光を効率良く光ファイバ束に取り込めて、ガラスロッドから出射される照明光を均一にすることができる内視鏡用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本開示の第一の態様に係る内視鏡用光源装置は、複数の励起用レーザ光源と、前記複数の励起用レーザ光源からの励起光をそれぞれ集光する複数の光学系から構成された第1の集光光学系と、前記複数の光学系それぞれにより集光される前記励起光がそれぞれ入射する複数の第1の光ファイバ束と、白色光を発生する照明用光源と、前記照明用光源から出射された前記白色光を集光する第2の集光光学系と、前記第2の集光光学系により集光される前記照明用光源からの光が入射する第2の光ファイバ束と、前記第1の光ファイバ束の第1の出射端と前記第2の光ファイバ束の第2の出射端とが束ねられ、前記第1の光ファイバ束と前記第2の光ファイバ束の出射端面に第1の端面が接続された第1のガラスロッドと、を有し、前記第1のガラスロッドの前記第1の端面と反対側の第2の端面に、内視鏡の照明光学系の接続部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の内視鏡用光源装置は、照明用光源から出射された光を効率良く光ファイバ束に取り込めて、ガラスロッドから出射される照明光を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る内視鏡用光源装置を備えた内視鏡を示す全体図である。
【
図2】一実施形態に係る内視鏡用光源装置を示す図である。
【
図3A】ガラスロッドの外径とファイバの外径との関係を示す図である。
【
図3B】ガラスロッドの外径とファイバの外径との関係を示す図である。
【
図4A】ガラスロッドの外径とファイバの外径との関係を示す図である。
【
図4B】ガラスロッドの外径とファイバの外径との関係を示す図である。
【
図5】エタンデュとファイバの直径との関係を示す図である。
【
図6】エタンデュとファイバの直径との関係を示す図である。
【
図7】エタンデュとファイバの直径との関係を示す図である。
【
図8】エタンデュとファイバの直径との関係を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る内視鏡用光源装置の変形例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(一実施形態)
本開示の一実施形態に係る内視鏡用光源装置について、
図1から
図8を参照して説明する。
図1に示すように、内視鏡用光源装置1は、内視鏡100に用いられる。
【0010】
[内視鏡]
内視鏡100は、例えば手術台に横たわる患者の体内を観察および処置する装置である。
図1に示すように、内視鏡100は、患者の体内に挿入される細長い挿入部101と、挿入部101の基端に接続された操作部102と、操作部102から延出するユニバーサルコード103と、を備えている。
挿入部101は、基端側に処置具挿入口100aが形成されている。処置具挿入口100aは、挿入部101内において図示しない処置具挿通チャンネルの基端部に連結している。
処置具挿入口100aは、内視鏡用処置具(図示略)を処置具挿通チャンネルに挿入するための挿入口である。
【0011】
操作部102は、内視鏡100に対する操作を受け付ける。ユニバーサルコード103は、内視鏡100と本実施形態に係る内視鏡用光源装置1とを接続する。
内視鏡100の挿入部101の先端には、内視鏡用光源装置1から照射された光が入射する照明用光学系(図示略)及び撮像部104が設けられている。
【0012】
[内視鏡用光源装置]
内視鏡用光源装置1は、励起用レーザ光源10と、第1の集光光学系11と、第1の光ファイバ束12と、照明用光源20と、第2の集光光学系21と、第2の光ファイバ束22と、ガラスロッド(第1のガラスロッド)30と、を備える。
【0013】
励起用レーザ光源10は、光反応性の試薬を励起する。励起用レーザ光源10は、第1のLD10Aと、第2のLD10Bと、第3のLD10Cとから構成されている。
第1のLD10Aは、青色域に強度を有するとともに、生体組織に含まれる所定の生体物質を励起する。具体的には、第1のLD10Aは、例えば、380nm~488nmの波長領域に強度を有する光を発生するように構成されている。
第2のLD10Bは、例えば、488nm~680nmの波長領域に強度を有する光を発生するように構成されている。
第3のLD10Cは、赤色域に強度を有する赤色光を発生するように構成されている。具体的には、第3のLD10Cは、例えば、680nm~780nmの波長領域に強度を有する光を発生するように構成されている。
なお、励起用レーザ光源10から照射される上記光の波長帯域は一例に過ぎない。
【0014】
第1の集光光学系11は、第1のLD10Aからの励起光を集光する第1の集光レンズ(光学系)11Aと、第2のLD10Bからの励起光を集光する第2の集光レンズ(光学系)11Bと、第3のLD10Cからの励起光を集光する第3の集光レンズ(光学系)11Cと、を備える。
第1の光ファイバ束12は、第1の集光レンズ11Aにより集光される励起光が入射する第1のファイバ12Aと、第2の集光レンズ11Bにより集光される励起光が入射する第2のファイバ12Bと、第3の集光レンズ11Cにより集光される励起光が入射する第3のファイバ12Cと、を備える。
【0015】
照明用光源20は、白色光を発光する白色光源である。白色光源としては、例えば、白色LED、白色LD、ハロゲンランプ、又はキセノンランプ等が用いられる。本実施形態では、照明用光源20として、白色LEDを用いる。
【0016】
第2の集光光学系21は、照明用光源20から出射された白色光を集光する集光レンズにより構成されている。
第2の光ファイバ束22は、第2の集光光学系21により集光される照明用光源20から出射された白色光が入射される。
本実施形態では、第1のファイバ12A、第2のファイバ12B、第3のファイバ12C、第2の光ファイバ束22は、マルチコアの光ファイバである。
なお、第1のファイバ12A、第2のファイバ12B、第3のファイバ12C、第2の光ファイバ束22は、シングルコアの光ファイバから構成されていてもよい。
また、第1のファイバ12A、第2のファイバ12B、第3のファイバ12C、第2の光ファイバ束22の外周面は、水密に保持するために、外皮により被覆されている。
【0017】
本実施形態では、励起用レーザ光源10としてレーザを用い、照明用光源20としてLEDを用いている。このため、照明用光源20から出射された光のスポット径は、励起用レーザ光源10から出射された光のスポット径よりも大きい。照明用光源20から出射された光を無駄なくファイバに入射させるために、第2の光ファイバ束22の外径は、第1の光ファイバ束12の外径よりも大きくなるように構成されている。
また、本実施形態では、第1の集光光学系11及び第2の集光光学系21は、拡大光学系である。なお、第1の集光光学系11及び第2の集光光学系21のうち少なくとも第2の集光光学系21が拡大光学系であればよい。
【0018】
ガラスロッド(第1のガラスロッド)30は、
図2に示すように、第1の光ファイバ束12及び第2の光ファイバ束22の出射側に配置されている。
第1のファイバ12Aの出射端面12aと、第2のファイバ12Bの出射端面12bと、第3のファイバ12Cの出射端面12cと、第2の光ファイバ束22の出射端面22aとが面一となるように、第1の光ファイバ束12と第2の光ファイバ束22とが配置されている。
【0019】
ガラスロッドの入射端面(第1の端面)30aは、第1の光ファイバ束12のそれぞれの出射端面12a~12cと、第2の光ファイバ束22の出射端面22aとに接触して設けられている。光ファイバ束12,22とガラスロッド30とを接触させることで、第1の光ファイバ束12及び第2の光ファイバ束22から出射された光を効率良くガラスロッド30に導光させることが可能となる。
なお、ガラスロッド30の入射端面30aと、第1の光ファイバ束12のそれぞれの出射端面12a~12c及び第2の光ファイバ束22の出射端面22aとの間に隙間を有するように、ガラスロッド30が、第1の光ファイバ束12の出射端側及び第2の光ファイバ束22の出射端側に配置されていてもよい。
ガラスロッド30の出射端面(第2の端面)30bは、内視鏡100のユニバーサルコード103内の照明光学系の接続部(図示略)と接続される。
【0020】
ガラスロッドの形状は、本実施形態では、正四角柱である。
図4A及び
図4Bに示すように、ガラスロッドの長手方向に直交する断面形状は、正方形である。また、第1の光ファイバ束12及び第2の光ファイバ束22の出射端(以下、ファイバ32の出射端と称する)は円形に束られている。
【0021】
次に、
図3Aから
図4Bを用いて、ガラスロッドの一辺の長さとファイバの出射端の出射端面との関係について説明する。
ガラスロッドの一辺の長さをL1とし、ファイバ32の出射端面32aの直径をL2とする。ガラスロッドの一辺の長さL1と出射端面32aの直径L2との関係は、ガラスロッド30の一辺の長さL1が、出射端面32aの直径L2の±10%の範囲内に設定されている。
【0022】
まず、ガラスロッド30の一辺の長さL1が、出射端面32aの直径L2の-10%である場合について、
図3A及び
図3Bを用いて説明する。
出射端面32aの直径L2よりもガラスロッド30の一辺の長さL1を小さくしていくと、ガラスロッド30の光の伝送効率が落ちる。
例えば、出射端面32aの直径L2が3.0mmである場合、ガラスロッド30の一辺の長さL1は、2.7mmである。この構成の場合、
図3A及び
図3Bに示すように、ガラスロッド30の入射端面30aから出射端面32aがはみ出しているため、ファイバ32の出射端面32aから出射された光の一部は、ガラスロッド30に入射されない。このとき、ガラスロッド30の光の伝送効率は約92%であるため、ガラスロッド30の一辺の長さL1が、ファイバ32出射端面32aの直径L2の-10%を下限値とすることにより光量ロスが許容できる範囲となる。
【0023】
次に、ガラスロッド30の一辺の長さL1が、出射端面32aの直径L2の+10%である場合について、
図4A及び
図4Bを用いて説明する。
例えば、出射端面32aの直径L2が3.0mmである場合、ガラスロッド30の一辺の長さL1は、3.3mmである。この構成の場合、
図4A及び
図4Bに示すように、ガラスロッド30の入射端面30aは、ファイバ32の出射端面32aをすべて覆っているため、ガラスロッド30の光の伝送効率は約100%である。
ここで、一般的には、ガラスロッド30から照射される照明ムラを減少させるためには、ガラスロッド30内での光の反射回数は、3回以上であることが好ましい。3回ガラスロッド30内を反射させるためには、ガラスロッド30の一辺の長さL1が、3.3mmである場合、ガラスロッド30の長手方向の寸法L3は、28.43mm必要となる。
【0024】
ここで、3回ガラスロッド30内を反射させるためには、ガラスロッドの一辺の長さL1が、3.0mmである場合、ガラスロッドの寸法L3は、約25.84mm必要となる。
すなわち、ガラスロッドの一辺の長さL1が3.3mmである場合の寸法の伸長を、長さL1が3.0mmの場合に比べて10%以内に収めることができる。従って、照明ムラを抑えつつ、装置の小型を図ることが可能となる。
【0025】
以上より、ガラスロッド30の一辺の長さを大きくすると、ガラスロッド30内での反射回数(3回)を確保するために、ガラスロッド30の寸法L3を大きくする必要があるが、ガラスロッド30の一辺の長さL1が、出射端面32aの直径L2の+10%を上限値とすることにより、ガラスロッド30の寸法L3の伸長を10%以内に収めることができる。
本実施形態では、
図4A及び
図4Bに示すように、ガラスロッド30の入射端面30aが、ファイバ32の出射端面32aをすべて覆う構成である。
【0026】
次に、照明用光源20のサイズと、第2の光ファイバ束22の入射端面22bの外径との関係について説明する。
まず、エタンデュについて説明する。
光源から出射された光をレンズを介して照明する場合、照明光の光スポットを小さく絞ろうとすると、NAが大きくなり、照明光のNAを小さくしようとすると、光スポットが大きくなるというトレードオフの関係が成り立つ。このトレードオフを考慮するため、本発明では「エタンデュ」の概念を導入する。
【0027】
エタンデュとは、立体角と面積とを掛け合わせた物理量である。
図1に示すように、照明用光源20の発光面から出射される照明光を第2の集光光学系21に集光して受光面(第2の光ファイバ束22の入射端面22b)に入射させる場合、照明用光源20の発光面の面積をS1とし、発光面からの立体角をΩ1とし、第2の光ファイバ束22の入射端面22bの面積をS2とし、第2の光ファイバ束22の入射端面22bからの立体角をΩ2とすると、以下の式(1)が成り立つ。
S1×Ω1=S2×Ω2 ・・・(1)
【0028】
また、照明用光源20から出射される光を無駄にすることなく効率的に用いるための条件は、以下の式(2)を満たす必要がある。
照明用光源20の発光面のエタンデュ<第2の光ファイバ束22の入射端面22bのエタンデュ ・・・(2)
【0029】
ここで、照明用光源(LED)20のエタンデュは、励起用レーザ光源(LD)10のエタンデュに比べて大きいため、照明用光源20側のファイバ、すなわち、第2の光ファイバ束22の外径を大きくすることが望まれる。照明用光源20から出射された光が効率よく第2の光ファイバ束22に入射するように、照明用光源20の発光面のサイズと、第2の光ファイバ束22の入射端面22bの外径とを設計する必要がある。
【0030】
まず、ファイバ32の直径L2は、内視鏡100が体内に挿通されることを想定し、最大5mmとする。
照明用光源(LED)20のサイズが、2mm×2mm角である場合の第2の光ファイバ束22の直径と、エタンデュとの関係を
図5に示す。横軸は第2の光ファイバ束22の直径であり、縦軸はエタンデュである。
ここで、照明用光源20を第2の光ファイバ束22の入射端面22bに直接接触させた場合の第2の光ファイバ束22の直径と、エタンデュとの関係を
図5に一点鎖線で示す。エタンデュは、照明用光源20のサイズと第2の光ファイバ束22のNAとで決まるため、第2の光ファイバ束22の直径に寄らず、一定の値(エタンデュ:4.8)となる。
本実施形態では、第2の光ファイバ束22は、拡大光学系であるため、
図5の実線で示すように、第2の光ファイバ束22の直径を大きくすると、エタンデュの値も大きくなる。
実線と一点鎖線との交点における、第2の光ファイバ束22の直径は2.4mmである。
従いまして、照明用光源(LED)20のサイズが、2mm×2mm角である場合、第2の光ファイバ束22の直径は、2.4mm以上5.0mm以下に設定することが好ましい。
【0031】
次に、照明用光源(LED)20のサイズが、2.25mm×2.25mm角である場合の第2の光ファイバ束22の直径と、エタンデュとの関係を
図6に示す。横軸は第2の光ファイバ束22の直径であり、縦軸はエタンデュである。
照明用光源20を第2の光ファイバ束22の入射端面22bに直接接触させた場合、エタンデュは一定の値(エタンデュ:6)となる。
図6に示すように、第2の光ファイバ束22の入射端面22bのエタンデュ(実線)と、照明用光源20を第2の光ファイバ束22の入射端面22bに直接接触したときのエタンデュ(一点鎖線)との交点における、第2の光ファイバ束22の直径は2.6mmである。
従いまして、照明用光源(LED)20のサイズが、2.25mm×2.25mm角である場合、第2の光ファイバ束22の直径は、2.6mm以上5.0mm以下に設定することが好ましい。
【0032】
次に、照明用光源(LED)20のサイズが、2.5mm×2.5mm角である場合の第2の光ファイバ束22の直径と、エタンデュとの関係を
図7に示す。横軸は第2の光ファイバ束22の直径であり、縦軸はエタンデュである。
照明用光源20を第2の光ファイバ束22の入射端面22bに直接接触させた場合、エタンデュは一定の値(エタンデュ:7)となる。
図7に示すように、第2の光ファイバ束22の入射端面22bのエタンデュ(実線)と、照明用光源20を第2の光ファイバ束22の入射端面22bに直接接触したときのエタンデュ(一点鎖線)との交点における、第2の光ファイバ束22の直径は2.9mmである。
従いまして、照明用光源(LED)20のサイズが、2.5mm×2.5mm角である場合、第2の光ファイバ束22の直径は、2.9mm以上5.0mm以下に設定することが好ましい。
【0033】
次に、照明用光源(LED)20のサイズが、3.0mm×3.0mm角である場合の第2の光ファイバ束22の直径と、エタンデュとの関係を
図8に示す。横軸は第2の光ファイバ束22の直径であり、縦軸はエタンデュである。
照明用光源20を第2の光ファイバ束22の入射端面22bに直接接触させた場合、エタンデュは一定の値(エタンデュ:10)となる。
図8に示すように、第2の光ファイバ束22の入射端面22bのエタンデュ(実線)と、照明用光源20を第2の光ファイバ束22の入射端面22bに直接接触したときのエタンデュ(一点鎖線)との交点における、第2の光ファイバ束22の直径は3.4mmである。
従いまして、照明用光源(LED)20のサイズが、3.0mm×3.0mm角である場合、第2の光ファイバ束22の直径は、3.4mm以上5.0mm以下に設定することが好ましい。
【0034】
このように、エタンデュを考慮して、第2の光ファイバ束22の直径を設定することにより、第2の集光光学系21から第2の光ファイバ束22へのカップリング効果を向上させることができる。
【0035】
以上より、本実施形態では、第2の集光光学系21により照明用光源20から出射された光を第2の光ファイバ束22に入射させる。これにより、照明用光源20から出射された光を効率良く第2の光ファイバ束22に取り込むことができるため、ガラスロッド30から出射される照明光を均一にすることが可能となる。
【0036】
なお、ガラスロッド30の長手方向に直交する断面形状は、正方形としたが、長方形であってもよい。ガラスロッド30の断面形状が長方形である場合、長辺と短辺との差が大きくないことが好ましい。さらに、ガラスロッド30の長手方向に直交する断面形状が多角形(例えば、五角形、六角形など)であってもよい。
また、第1の集光光学系11及び第2の集光光学系21は、拡大光学系であるとしたが、拡大光学系でなくてもよい。
【0037】
[変形例]
次に、本開示に係る変形例について説明するが、上述した一実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0038】
図9に示すように、本変形例の内視鏡用光源装置1Aでは、第1の光ファイバ束12の入射端面12Aa,12Ba,12Caそれぞれにガラスロッド(第2のガラスロッド)40a,40b,40cが設けられ、第2の光ファイバ束22の入射端面22bにガラスロッド(第2のガラスロッド)41が設けられている。
ガラスロッド40aは、第1のファイバ12Aの入射端面12Aaに接触して設けられている。ガラスロッド40bは、第2のファイバ12Bの入射端面12Baに接触して設けられている。ガラスロッド40cは、第3のファイバ12Cの入射端面12Caに接触して設けられている。
また、ガラスロッド41は、第2の光ファイバ束22の入射端面22bに接触して設けられている。
【0039】
ガラスロッド40a~40c、41の作用について説明する。
励起用レーザ光源10から出射された光は、第1の集光光学系11により集光され、ガラスロッド40a~40cに入射し、ガラスロッド40a~40c内を導光する。ガラスロッド40a~40c内を反射しながら導光した光は均一になり、第1の光ファイバ束12に入射する。
また、照明用光源20から出射された光は、第2の集光光学系21により集光され、ガラスロッド41に入射し、ガラスロッド41内を導光する。ガラスロッド41内を反射しながら導光した光は均一になり、第2の光ファイバ束22に入射する。
ガラスロッド40a~40c,41を設けることにより、均一化された光が光ファイバ束12,22に入射するため、光ファイバ束12,22への負荷を抑えることができる。
【0040】
なお、ファイバ12A~12Cの入射端面12Aa~12Caそれぞれにガラスロッド40a~40cを設け、第2の光ファイバ束22の入射端面22bにガラスロッド41を設けたが、少なくともファイバ12A~12Cの入射端面12Aa~12Caにのみガラスロッド40a~40cが設けられていればよい。
【0041】
以上、本開示の一実施形態及び変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1,1A 内視鏡用光源装置
10 励起用レーザ光源(LD)
10A 第1のLD
10B 第2のLD
10C 第3のLD
11 第1の集光光学系
11A 第1の集光レンズ(光学系)
11B 第2の集光レンズ(光学系)
11C 第3の集光レンズ(光学系)
12 第1の光ファイバ束(光ファイバ束)
12a,12b,12c 出射端面
12A 第1のファイバ(ファイバ)
12Aa,12Ba,12Ca 入射端面
12B 第2のファイバ(ファイバ)
12C 第3のファイバ(ファイバ)
20 照明用光源(LED)
21 第2の集光光学系
22 第2の光ファイバ束(光ファイバ束)
22a 出射端面
22b 入射端面
30 ガラスロッド(第1のガラスロッド)
30a 入射端面(第1の端面)
30b 出射端面(第2の端面)
32 ファイバ
32a 出射端面
40a,40b,40c,41 ガラスロッド(第2のガラスロッド)
100 内視鏡
100a 処置具挿入口
101 挿入部
102 操作部
103 ユニバーサルコード
104 撮像部
L1 長さ
L2 直径
L3 寸法