(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025058936
(43)【公開日】2025-04-09
(54)【発明の名称】長期間のプリンタ非活動中にインクジェット動作状態を維持するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20250401BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20250401BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/165 505
B41J2/14 301
B41J2/14 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024151845
(22)【出願日】2024-09-04
(31)【優先権主張番号】18/476,125
(32)【優先日】2023-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】テミトペ オリモラデ
(72)【発明者】
【氏名】バルン サンビー
(72)【発明者】
【氏名】シーミット プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エム.ルフェーブル
(72)【発明者】
【氏名】サントク エス.バデシャ
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB38
2C056EB59
2C056JA06
2C056JA13
2C056JA14
2C056JA21
2C056JA24
2C056JA29
2C057AG29
2C057AG44
2C057AG76
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インク組成物を変化させることなく、長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化することができること。
【解決手段】印刷ヘッドメンテナンスステーションは、開口部を有する印刷ヘッドキャップと、印刷ヘッドが印刷ヘッド通気孔遮断部材に係合したときに印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断するように構成された印刷ヘッド通気孔遮断部材と、弁と、を含む。弁は、弁が閉じているときに印刷ヘッドキャップが印刷ヘッドキャップ内の開口部を通って印刷ヘッドキャップに入る高pH流体の量を保持することを可能にし、弁が開いているときに高pH流体が出ることを可能にするように、印刷ヘッドキャップ内に位置決めされている。印刷ヘッドが印刷ヘッドキャップ上に降下され、高pH液体を印刷ヘッドに注入するために、印刷ヘッドへのインク供給ラインに真空が適用される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドの面を覆うように構成された印刷ヘッドキャップと、
前記印刷ヘッドキャップ内の開口部と、
前記印刷ヘッドが印刷ヘッド通気孔遮断部材に係合するように移動されるときに、前記印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断するように構成された、印刷ヘッド通気孔遮断部材と、
開閉するように構成された弁であって、前記弁が閉じているときに前記印刷ヘッドキャップが前記印刷ヘッドキャップ内の前記開口部を通って前記印刷ヘッドキャップに入る高pH流体の量を保持することを可能にし、前記弁が開いているときに前記高pH流体が前記印刷ヘッドキャップから出ることを可能にするように、前記弁が前記印刷ヘッドキャップ内に位置決めされている弁と、
を含む印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項2】
前記印刷ヘッド通気孔遮断部材は、柔軟な材料で作製される、請求項1に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項3】
前記柔軟な材料がポリウレタン又はゴムのいずれかである、請求項2に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項4】
前記印刷ヘッドキャップの前記開口部は、前記高pH液体が前記印刷ヘッドキャップに入ることを可能にするために開き、前記高pH液体が前記印刷ヘッドキャップに流入することを防止するために閉じるように構成されている、請求項1に記載の印刷ヘッドメンテナンスステーション。
【請求項5】
長期間のプリンタ非活動中にインクを維持するために高pH液体を印刷ヘッドに注入するように印刷ヘッドメンテナンスステーションを動作させる方法であって、
マニホールド通気孔遮断部材を有する印刷ヘッドキャップに前記高pH液体を充填することと、
前記印刷ヘッドキャップ上に印刷ヘッドを降下させて、前記印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断し、前記印刷ヘッドのノズルプレートを前記高pH流体と接触させることと、
前記印刷ヘッドのインク供給ラインに真空を適用して、前記高pH流体を前記印刷ヘッドの中に引き込むことと、
を含む方法。
【請求項6】
前記印刷ヘッドキャップ内のポートを開いて、前記印刷ヘッドキャップに前記高pH液体を充填すること、
を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記印刷ヘッドを前記降下させることは、
前記印刷ヘッド内の前記マニホールド通気孔が前記マニホールド通気孔遮断部材に接触するまで、前記印刷ヘッドを降下させること、
を更に含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記高pH流体が前記印刷ヘッド内のスクリーンを通過するまで、前記インク供給ラインに前記真空を適用し続けること、を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記印刷ヘッドを前記印刷ヘッドキャップから離れるように移動させて、前記印刷ヘッド内の前記マニホールド通気孔を開くことと、
前記高pH液体を、前記マニホールド通気孔に流体接続された前記印刷ヘッド内の前記マニホールドの中に引き込むために、前記インク供給ラインに前記真空を適用し続けることと、
を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記高pH流体のメニスカスが前記印刷ヘッド内のノズル開口部に存在することを可能にするために、前記インク供給ラインへの前記真空の適用を終了すること、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷ヘッドキャップから前記高pH流体が出ることを可能にするために、印刷ヘッドキャップドレイン弁を開くこと、
を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷ヘッドから前記高pH流体を洗い流すために、前記印刷ヘッド上でパージサイクルを実行すること、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
インクジェットプリンタであって、
少なくとも1つの印刷ヘッドを備えて構成された少なくとも1つの印刷ヘッドモジュールと、
マニホールド通気孔遮断部材を有する印刷ヘッドキャップと、前記印刷ヘッドキャップ内の開口部と、前記少なくとも1つの印刷ヘッドが印刷ヘッド通気孔遮断部材に係合するように移動されるときに前記印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断するように構成された前記印刷ヘッド通気孔遮断部材と、開閉するように構成された弁であって、前記弁が閉じているときに前記印刷ヘッドキャップが前記印刷ヘッドキャップ内の前記開口部を通って前記印刷ヘッドキャップに入る高pH流体の量を保持することを可能にし、前記弁が開いているときに前記高pH流体が前記印刷ヘッドキャップから出ることを可能にするように、前記印刷ヘッドキャップ内に位置決めされている弁と、を有する、印刷ヘッドメンテナンスモジュールと、
前記少なくとも1つの印刷ヘッドモジュール及び前記印刷ヘッドメンテナンスステーションに動作可能に接続されたコントローラと、を備え、前記コントローラが、
前記印刷ヘッドキャップに前記高pH液体を充填し、
前記少なくとも1つの印刷ヘッドを前記印刷ヘッドキャップ上に降下させて、前記印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断し、前記印刷ヘッドのノズルプレートを前記高pH流体と接触させ、
前記印刷ヘッドのインク供給ラインに真空を適用して、前記高pH流体を前記印刷ヘッドの中に引き込む、
ように構成されている、インクジェットプリンタ。
【請求項14】
前記コントローラが、
前記印刷ヘッドキャップ内の前記開口部を通って高pH液体を方向付けて、前記印刷ヘッドキャップに前記高pH液体を充填する
ように更に構成されている、請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項15】
前記コントローラが、
前記少なくとも1つの印刷ヘッド内の前記マニホールド通気孔が前記印刷ヘッドキャップ内の前記マニホールド通気孔遮断部材に接触するまで、前記少なくとも1つの印刷ヘッドを降下させる
ように更に構成されている、請求項14に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項16】
前記コントローラが、
前記高pH流体が前記印刷ヘッド内のスクリーンを通過するまで、前記インク供給ラインに前記真空を適用し続ける
ように更に構成されている、請求項15に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項17】
前記コントローラが、
前記印刷ヘッドを前記印刷ヘッドキャップから離れるように移動させて、前記印刷ヘッド内の前記マニホールド通気孔を開き、
前記マニホールド通気孔に流体接続された前記印刷ヘッド内の前記マニホールド内に前記高pH液体を引き込むために、前記インク供給ラインに前記真空を適用し続ける
ように更に構成されている、請求項16に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項18】
前記コントローラが、
前記高pH流体のメニスカスが前記少なくとも1つの印刷ヘッド内のノズル開口部に存在することを可能にするために、前記インク供給ラインへの前記真空の適用を終了する
ように更に構成されている、請求項17に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項19】
前記コントローラが、
前記高pH流体が前記印刷ヘッドキャップから出ることを可能にするために、印刷ヘッドキャップドレイン弁を開く
ように更に構成されている、請求項18に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項20】
前記コントローラが、
前記印刷ヘッドから前記高pH流体を洗い流すために、前記印刷ヘッド上でパージサイクルを実行する
ように更に構成されている、請求項19に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項21】
少なくとも2時間の非活動期間中に印刷ヘッドを維持するために使用される高pH流体であって、
流体と、
前記流体のpHレベルを少なくとも8に上昇させる、前記流体に添加された塩基と、
を含む、高pH流体。
【請求項22】
前記流体及び塩基の前記pHレベルが12以下である、請求項21に記載の高pH流体。
【請求項23】
前記流体が、インク画像を形成するために前記印刷ヘッドによって吐出されるインクである、請求項22に記載の高pH流体。
【請求項24】
前記塩基が、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、KOH、又はNaOHからなる群から選択される、請求項23に記載の高pH流体。
【請求項25】
前記流体が印刷ヘッドクリーニング溶液である、請求項21に記載の高pH流体。
【請求項26】
前記塩基が、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、KOH、又はNaOHからなる群から選択される、請求項25に記載の高pH流体。
【請求項27】
前記流体が、水、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、グリコールエーテル、グリセロール、及び界面活性剤からなる群から選択される、請求項21に記載の高pH流体。
【請求項28】
前記塩基が、トリエチルアミン、ヒドラジン、ジメチルエタノールアミン、KOH、及びNaOHからなる群から選択される、請求項27に記載の高pH流体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には媒体上にインク画像を生成するデバイスに関し、特に長期間のプリンタ非活動中のインクジェット動作状態の維持に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタとしても知られるインクジェット画像化デバイスは、印刷ヘッドから液体インクを吐出して、画像を画像受容表面上に形成する。印刷ヘッドは、アレイ状に配置された複数のインクジェットを含む。各インクジェットは、印刷ヘッドコントローラに結合された熱又は圧電アクチュエータを有する。印刷ヘッドコントローラは、画像を定義するデジタルデータコンテンツに対応する発射信号を生成する。印刷ヘッド内のアクチュエータは、ノズルに流体接続されたインクチャンバ内に膨張することによって発射信号に応答して、ノズルから画像受容表面上にインク液滴を吐出して、発射信号を生成するために使用されたデジタル画像コンテンツに対応するインク画像を形成する。画像受容表面は、通常、媒体材料の連続ウェブ又は一連の媒体シートである。
【0003】
色画像を生成するために使用されるインクジェットプリンタは、典型的には、複数の印刷ヘッドモジュールを含む。各印刷ヘッドモジュールは、典型的には、単一色のインクを吐出する1つ以上の印刷ヘッドを含む。典型的なインクジェットカラープリンタでは、4つの印刷ヘッドモジュールが、プロセス方向において位置決めされ、各印刷ヘッドモジュールが、異なる色のインクを吐出する。最も頻繁に使用される4つのインク色は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックである。そのようなプリンタの一般的な名前は、CMYKカラープリンタである。一部のCMYKカラープリンタは、各色のインクを印刷する2つの印刷ヘッドモジュールを有する。同じ色のインクを印刷する印刷ヘッドモジュールは、クロスプロセス方向において隣接するインクジェット間の距離の2分の1だけ互いにオフセットされており、1インチ当たりの画素数を2倍にして、2つのモジュールにある印刷ヘッドによって吐出されるインクの色のラインの濃度を上昇させる。本文書で使用するとき、「プロセス方向」という用語は、プリンタ内の印刷ヘッドを通過するときの画像受容表面の移動の方向を意味し、「クロスプロセス方向」という用語は、画像受容表面の平面内でプロセス方向に対して垂直な方向を意味する。
【0004】
インクジェット、特に水性インクを噴射する印刷ヘッド内のインクジェットは、ノズル内のインクが乾燥するのを防止することを助けるために定期的に発射する必要がある。インクジェットがかなりの量のインクを吐出して、インク画像内に高い被覆面積を形成するので、印刷ヘッド内のノズルが乾燥することがある。高い被覆面積を印刷するための印刷ヘッド上のフェースプレートの一部分における高い割合のインクジェットの動作は、フェースプレートに付着する傾向がある多数のサテライト液滴を生成する可能性がある。サテライト液滴は、ノズルから画像受容基材に移動するより大きな液滴から分離する小さなインク液滴である。フェースプレート上のこれらのサテライト液滴の蓄積は、フェースプレート内のノズルを詰まらせる可能性がある。追加的に、印刷ヘッド内のインクジェットが十分に頻繁に動作しない場合、例えば、低インク面積被覆画像部分が印刷されるときに、インクジェット内のインクが乾燥し、インクジェットを動作不能にする可能性がある。インクジェットの動作状態を維持するために、印刷ヘッドモジュールは、画像受容基材の経路に対向する位置から、印刷ヘッドがパージされる印刷ヘッドメンテナンスステーションに移動される。印刷ヘッドをパージするとは、加圧された気体又は液体が印刷ヘッド内のインク供給チャンバに加えられて、インクをチャンバからノズルに押し込み、そこでインクがノズルからフェースプレート上に噴射されることを意味する。次いで、1つ以上のワイパがフェースプレートを横切って移動して、パージされたインクをフェースプレートから廃インク容器に除去する。
【0005】
一晩又は週末のシャットダウンのような長期間のプリンタ非活動中に、一部のインクはノズル内で劣化し、印刷ヘッド内のロックスクリーン、マニホールド、圧電タイル、及びノズル上に蓄積を生成することによって印刷ヘッドを汚す。この汚れは、プリンタが稼働に戻ったときに生成されるインク画像に縞、インク滴質量の低下、通気孔ラインの故障、断続的な発射、インクジェットからのインク滴の欠落又は誤った方向へのインク滴、及び最終的にはパージ後であっても回復不能なインクジェットをもたらす。
【0006】
汚れは、顔料の粒径及びインクの粘度を増大させる印刷ヘッドのインクジェットスタック内の化学的及び物理的応力に起因して生じるようである。この汚れは、不可逆的な印刷ヘッドの損傷につながる可能性がある。インクの再配合は汚れ問題を改善することができるが、そのプロセスは費用がかかり、時間がかかる努力である。追加的に、インク組成物の変化は、画像品質に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、インクジェットプリンタは、インク組成物を変化させることなく、長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化することができることから利益を得るであろう。
【発明の概要】
【0007】
カラーインクジェットプリンタ用の印刷ヘッドメンテナンスステーションは、インク組成物を変更させることなく、長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化させるように構成されている。印刷ヘッドメンテナンスステーションは、印刷ヘッドの面を覆うように構成された印刷ヘッドキャップと、印刷ヘッドキャップ内の開口部と、印刷ヘッドが印刷ヘッド通気孔遮断部材に係合するように移動されるときに、印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断するように構成された、印刷ヘッド通気孔遮断部材と、開閉するように構成された弁であって、弁が閉じているときに印刷ヘッドキャップが印刷ヘッドキャップ内の開口部を通って印刷ヘッドキャップに入る高pH流体の量を保持することを可能にし、弁が開いているときに高pH流体が印刷ヘッドキャップから出ることを可能にするように、印刷ヘッドキャップ内に位置決めされている弁と、を含む。
【0008】
印刷ヘッドメンテナンスステーションの動作方法は、インク組成物を変更させることなく、長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化させる。本方法は、マニホールド通気孔遮断部材を有する印刷ヘッドキャップに高pH液体を充填することと、印刷ヘッドキャップ上に印刷ヘッドを降下させて、印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断し、印刷ヘッドのノズルプレートを高pH流体と接触させることと、印刷ヘッドのインク供給ラインに真空を適用して、高pH流体を印刷ヘッドの中に引き込むことと、を含む。
【0009】
インクジェットプリンタは、インク組成物を変更させることなく、長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化させるように構成されている印刷ヘッドメンテナンスステーションを含む。インクジェットプリンタは、少なくとも1つの印刷ヘッドを備えて構成された少なくとも1つの印刷ヘッドモジュールと、マニホールド通気孔遮断部材を有する印刷ヘッドキャップと、印刷ヘッドキャップ内の開口部と、少なくとも1つの印刷ヘッドが印刷ヘッド通気孔遮断部材に係合するように移動されるときに印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断するように構成された印刷ヘッド通気孔遮断部材と、開閉するように構成された弁であって、弁が閉じているときに印刷ヘッドキャップが印刷ヘッドキャップ内の開口部を通って印刷ヘッドキャップに入る高pH流体の量を保持することを可能にし、弁が開いているときに高pH流体が印刷ヘッドキャップから出ることを可能にするように印刷ヘッドキャップ内に位置決めされている弁と、を有する、印刷ヘッドメンテナンスモジュールと、少なくとも1つの印刷ヘッドモジュール及び印刷ヘッドメンテナンスステーションに動作可能に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、印刷ヘッドキャップに高pH液体を充填し、少なくとも1つの印刷ヘッドを印刷ヘッドキャップ上に降下させて、印刷ヘッド内のマニホールド通気孔を遮断し、印刷ヘッドのノズルプレートを高pH流体と接触させ、印刷ヘッドのインク供給ラインに真空を適用して、高pH流体を印刷ヘッドの中に引き込む、ように構成されている。
【0010】
少なくとも2時間の非活動期間中に印刷ヘッドを維持するのに有用な高pH流体が開発されてきた。高pH流体は、流体と、流体のpHレベルを少なくとも8に上昇させる、流体に添加された塩基と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
印刷ヘッドメンテナンスステーション及び印刷ヘッドメンテナンスステーション動作方法の前述の態様及び他の特徴は、インク組成物を変更させることなく、プリンタが長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化させるように、添付の図面に関連して以下の説明で説明される。
【
図1】インク組成物を変化させることなく、長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化させるカラーインクジェットプリンタの概略図を示す。
【
図2】
図1に示すプリンタの印刷ゾーンと、印刷ゾーンに隣接して位置決めされた印刷ヘッドメンテナンスステーションとを示す。
【
図3】印刷ヘッド内のインク流路の図であり、その中に高pH液体が注入されて、長期間のプリンタ非活動中に印刷ヘッド内のインクジェットの動作状態を維持する図を示す。
【
図4A】
図3に示されたインク流路に高pH液体を注入するように構成された、印刷ヘッドメンテナンスステーションで稼働している印刷ヘッドの側面図を示す。
【
図5】
図4Aの印刷ヘッドメンテナンスステーションを動作させるためのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で開示された印刷ヘッドメンテナンスステーション及び印刷ヘッドメンテナンスステーションの動作方法のための環境、並びに印刷ヘッドメンテナンスステーション及び印刷ヘッドメンテナンスステーションの動作方法の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号が、同様の要素を指定するために図面を通じて使用されている。本明細書で使用するとき、「プリンタ」という単語は、インク液滴を異なる種類の媒体上に吐出してインク画像を形成する任意の装置を包含する。
【0013】
図1は、インク組成物を変化させることなく、長期間のプリンタ非活動中にインク特性を安定化させる高速カラーインクジェットプリンタ10を示す。本明細書で使用される場合、「長期間のプリンタ非活動」という用語は、少なくともX時間、プリンタによって印刷が実行されないことを意味する。例示されるように、プリンタ10は、媒体シート供給部S
1又はS
2のうちの1つから取り出された媒体シートの表面上にインク画像を直接形成するプリンタであり、シートSは、1つ以上のアクチュエータ40を動作させるコントローラ80によってプリンタ10を通って移動され、アクチュエータ40は、コンベヤ52のローラ又は少なくとも1つの駆動ローラに動作可能に接続されており、コンベヤ52は、プリンタの印刷ゾーンPZ(
図2に示す)を通過する媒体搬送部42の一部分を備える。一実施形態では、各印刷ヘッドモジュールは、プリンタによって印刷され得るクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅に対応する幅を有するたった1つの印刷ヘッドを有する。他の実施形態では、印刷ヘッドモジュールは、複数の印刷ヘッドを有し、各印刷ヘッドが、プリンタが印刷することができるクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅未満の幅を有する。これらのモジュールでは、印刷ヘッドは、モジュール内の単一の印刷ヘッドよりも広い媒体が印刷されることを可能にするずらされた印刷ヘッドのアレイ状に配置されている。追加的に、モジュール内、又は異なるモジュール内の印刷ヘッド間の印刷ヘッドはまた、印刷ヘッドによってクロスプロセス方向に吐出された液滴の密度が、クロスプロセス方向において、印刷ヘッド内のインクジェット間の最小の間隔よりも大きくなり得るように組み合わせることができる。プリンタ10は、2つのみの媒体シート供給部を伴って描写されているが、プリンタは、各々が異なる種類又はサイズの媒体を含む、3つ以上のシート供給部で構成することができる。
【0014】
図1のプリンタ10における印刷ゾーンPZを
図2に示す。印刷ゾーンPZは、シートがプロセス方向において通過する最初のインクジェットから、シートがプロセス方向において通過する最後のインクジェットまでの距離と等しいプロセス方向における長さを有し、クロスプロセス方向において互いに真向かいにある、印刷ゾーンの両側の最も外側にあるインクジェット間の最大距離である幅を有する。
図2に示す各印刷ヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dは、それぞれ、印刷ヘッドキャリアプレート316A、316B、316C、及び316Dのうちの1つに装着された3つの印刷ヘッド204を有する。印刷ゾーンPZに隣接して、4つの印刷ヘッドメンテナンスステーション(printhead maintenance station、PHM)32がある。プリンタが少なくとも2時間非活動になると、印刷動作が停止され、印刷ヘッドモジュールが印刷ゾーンPZから隣接する印刷ヘッドメンテナンスステーション32に対向する位置に移動される。印刷ヘッドメンテナンスステーションは、以下でより詳細に説明するように動作して、高pH流体をインク汚れを受けやすい印刷ヘッド内のインク流路に注入する。本文書で使用するとき、「印刷ゾーン」という用語は、インクジェットプリンタの印刷ヘッドに対向する媒体搬送部の領域を意味する。
【0015】
図1を更に参照すると、印刷された画像は、インク画像がシートS上に印刷された後、印刷ゾーンPZを出て、画像乾燥機30の下を通過する。画像乾燥機30は、インク画像を加熱し、画像をシートSに少なくとも部分的に固定するために、赤外線加熱器、加熱空気送風機、エアリターン、又はこれらの構成要素の組み合わせを含むことができる。赤外線加熱器は、シートSの表面上の印刷された画像に赤外線熱を加えて、インク中の水又は溶媒を蒸発させる。加熱空気送風機は、扇風機、又は他の加圧空気源を使用して、インク上に加熱空気を方向付けて、インクからの水又は溶媒の蒸発を補う。次いで、空気が収集され、空気戻りによって排気されて、プリンタ内の他の構成要素との乾燥機空気流の干渉を低減する。
【0016】
コントローラ80は、アクチュエータ40のうちの少なくとも1つを動作させて、位置88において枢動部材を回転させ、シートを容器56又は戻り経路72のいずれかに方向付ける。シートSは、ローラの回転によって、戻り経路72に沿って、印刷ヘッドを通過するプロセス方向の移動方向とは反対の方向に移動される。枢動部材82は、コントローラ80によって動作して、シートを戻り経路72の湾曲部分に沿って、シートが両面印刷のために裏返されるようにインバータ76に入れるか、又は戻り経路72の直線部分に沿って方向付ける。シートが直線部分を辿るときに、インバータ76はバイパスされ、先に印刷されたシートの側が再び印刷され得る。コントローラは、アクチュエータ40のうちの1つを動作させて、枢動部材82を時計回りに動かしてシートをインバータ76に方向付け、反時計回りに動かしてインバータをバイパスさせる。基材が反転されているか否かにかかわらず、コントローラ80が別のアクチュエータ40を動作させて枢動部材86を回転させ、戻り経路72から印刷ゾーンPZに入るジョブストリームにシートSが入ることを提供するときに、基材は、媒体搬送部42によって運ばれているジョブストリームにマージする。
【0017】
図1に更に示されるように、二重経路72に方向転換されなかった印刷された媒体シートSは、媒体搬送部によって、これらのシートが収集されるシート容器56に運ばれる。印刷されたシートが容器56に到達する前に、これらのシートは、光学センサ84Bを通り過ぎる。光学センサ84Bは、印刷されたシートの画像データを生成し、この画像データは、コントローラ80によって分析されて、印刷ジョブの媒体シート上の印刷された画像における縞を検出する。追加的に、テストパターン画像が印刷されたシートが、印刷ジョブ中に間隔を置いて挿入される。光学センサ84Bによって生成されたこれらのテストパターン画像の画像データは、コントローラ80によって分析されて、存在する場合、テストパターンにインクを吐出するように動作された、どのインクジェットが実際にインクを吐出したかを判定し、インクジェットがインク液滴を吐出した場合、インク液滴が適切な質量でその意図された位置に降着したかどうかを判定する。吐出すると想定されたインク液滴を吐出しないか、又は正しい質量を有していない液滴を吐出するか、若しくは誤った位置に降着する任意のインクジェットは、本明細書では動作不能インクジェットと呼ばれる。コントローラは、コントローラ80に動作可能に接続されたデータベース92に、動作不能インクジェットを識別するデータを記憶することができる。テストパターンが印刷されたこれらのシートは、ランタイムミッシングインクジェット(run-time missing inkjet、RTMJ)シートと呼ばれることがあり、これらのシートは、印刷ジョブの出力から廃棄される。ユーザは、ユーザインターフェース50を動作させて、動作不能なインクジェットの数及び動作不能なインクジェットが位置する印刷ヘッドを識別するインターフェース上に表示されるレポートを取得することができる。反転されず、枢動部材86の動作によってジョブストリームにマージされるシートの場合、光学センサ84Aは、印刷された面の画像データを生成し、コントローラ80は、その画像データを使用して、シートを位置合わせし、印刷ヘッド内のイジェクタを動作させて、先に印刷されたシート面上に画像を更に印刷する。光学センサ84A及び84Bは、デジタルカメラ、LED及び光検出器のアレイ、又は通過表面の画像データを生成するように構成された他のデバイスであり得る。
図1は、シート容器56に収集されている印刷されたシートを示しているが、これらのシートは、媒体シートの折り畳み、丁合、綴じ、及びステープル留めなどのタスクを実施する他の処理ステーション(図示せず)に方向付けられ得る。
【0018】
機械又はプリンタ10の様々なサブシステム、構成要素及び機能の動作及び制御は、コントローラ又は電子サブシステム(electronic subsystem、ESS)80の助けを借りて実施される。ESS又はコントローラ80は、印刷ヘッドモジュール34A~34D(したがって印刷ヘッド)、アクチュエータ40、及び乾燥機30の構成要素に動作可能に接続されている。ESS又はコントローラ80は、例えば、電子データ記憶装置を伴う中央処理装置(central processor unit、CPU)、及びディスプレイ又はユーザインターフェース(user interface、UI)50を有する自己完結型コンピュータである。ESS又はコントローラ80は、例えば、センサ入力及び制御回路、並びに画素配置及び制御回路を含む。追加的に、CPUは、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続(図示せず)などの画像入力源と、印刷ヘッドモジュール34A~34Dとの間の画像データの流れを読み出し、捕捉し、準備し、かつ管理する。したがって、ESS又はコントローラ80は、印刷プロセスを含む他の全ての機械サブシステム及び機能を動作及び制御するための主要なマルチタスクプロセッサである。
【0019】
コントローラ80は、プログラム命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサで実装することができる。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられた非一時的なコンピュータ可読媒体内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、以下に説明される動作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供され得るか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供され得る。回路の各々は、別個のプロセッサで実装することができるか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装することができる。代替的に、回路は、超大規模集積(very large scale integrated、VLSI)回路内に提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に説明される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0020】
動作中、生成される画像の画像コンテンツデータは、印刷ヘッドモジュール34A~34Dに出力される印刷ヘッド制御信号の処理及び生成のための、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかからコントローラ80に送信される。画像コンテンツデータとともに、コントローラは、媒体の重量、媒体の寸法、印刷速度、媒体の種類、各シートの各面上に生成されるインク領域被覆率、各シートの各面上に生成される画像の位置、媒体の色、繊維状媒体の媒体繊維配向、印刷ゾーンの温度及び湿度、媒体の含水量、並びに媒体の製造業者を特定する印刷ジョブパラメータを受信する。本文書で使用するとき、「印刷ジョブパラメータ」という用語は、印刷ジョブのための非画像コンテンツデータを意味し、「画像コンテンツデータ」という用語は、媒体シート上に印刷されるインク画像を特定するデジタルデータを意味する。
【0021】
図3は、インク汚れの影響を受けやすいノズルへのインク流路を示す。これらの経路は、インクノズル304と、圧電アクチュエータ308と、ノズルにつながるマニホールド312と、ロックスクリーン316の両側に直接隣接する体積とを含む。この経路内のインク汚れを防止するために、以下により詳細に説明するように、高pH流体がこれらの経路に注入される。
【0022】
印刷ヘッドメンテナンスステーション32の側面図、及び高pH液体を注入するための印刷ヘッド204との相互作用が
図4Aに示されている。プリンタの非活動期間中に印刷ヘッドノズルプレートを覆う印刷ヘッドキャップ404は、ドレイン弁412が閉じられている間に高pH流体をキャップに供給するためのポート408を含み、その結果、高pH流体のレベルはキャップ404の上部に近づく。印刷ヘッドが降下され、印刷ヘッドキャップ404、マニホールド通気孔420を遮断する部材の部分内に保持された高pH液体でノズルプレートを覆うときに、通気孔遮断部材416が印刷ヘッドキャップ404内に位置決めされる。マニホールド遮断部材416は、ポリウレタン又はゴムなどの柔軟な材料で作製される。キャップがノズルプレートを覆い、通気孔遮断部材がマニホールド通気孔を遮断すると、インク供給ライン428に真空が供給されて、印刷ヘッド内のノズル開口部におけるインクメニスカスを引っ張り、その結果、高pH流体が、印刷ヘッドのインク流路内で、ノズルへの通路とは反対側のロックスクリーン432の側に上昇する。高pH流体がロックスクリーン432を通過して引き込まれると、印刷ヘッドは、通気孔遮断部材416をマニホールド通気孔から分離するのに十分に上昇され、その結果、高pH流体もマニホールド通気孔の中及び通気孔に流体接続されたマニホールドの中に引き込まれる。高pH流体を印刷ヘッドに移送する間、ポート408は開いたままであり、その結果、高pH流体がキャップの中に流れ込み、ノズルプレートと接触したままである。次に、真空が終了し、その結果、インクが印刷ヘッドの中に流れ込み、ノズルのメニスカスがノズル開口部に戻る。プリンタの非活動期間の終わりに、ドレイン弁412が開かれ、その結果、高pH流体がキャップ204から排出される。次に、PHM 32を既知の方法で動作させて、印刷ヘッドのノズルからインクをパージし、ノズルプレートが拭き取られ、その結果、高pH流体が印刷ヘッド及びそのノズルプレートから洗い流され除去される。
【0023】
高pH流体は、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、KOH、又はNaOHなどの塩基を添加することによって、8以上のpHに緩衝されたプリンタで使用されるインクから作製することができる。代替的に、日本化薬(Nippon Kayaku)から入手可能なKF200又はCL67などの既知の印刷ヘッド洗浄/フラッシング溶液を、上記で特定した塩基のうちの1つを添加することによって、8以上のpHに緩衝する。別の実施形態において、高pH流体は、水、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、グリコールエーテル、グリセロール、界面活性剤、及びトリエチルアミン、ヒドラジン、ジメチルエタノールアミン、KOH、NaOHなどの塩基からなる溶液である。本明細書で使用される場合、「高pH流体」という用語は、少なくとも8及び12以下のpHを有する液体を意味する。
【0024】
高pH流体をインクジェットプリンタの印刷ヘッドに注入する印刷ヘッドメンテナンスステーションを動作させるためのプロセス500が
図5に示されている。プロセスの説明において、プロセスがいくつかのタスク又は機能を実施しているという記述は、コントローラ又は汎用プロセッサが、データを操作して、又はプリンタ内の1つ以上の構成要素を動作させてタスク若しくは機能を実施するために、コントローラ又はプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたプログラム命令を実行することを指す。上述したコントローラ80は、そのようなコントローラ又はプロセッサとすることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ並びに関連する回路及び構成要素とで実装され得、これらは各々、本明細書に説明される1つ以上のタスク又は機能を実施するように構成されている。追加的に、方法の工程は、図に示される順序又は処理が説明される順序にかかわらず、任意の実行可能な時系列順序で実施され得る。
【0025】
図5のプロセス500は、プリンタが長期間のプリンタ非活動に入る信号を検出することによって開始する(ブロック504)。印刷ヘッドモジュールは、PHM 32に対向する位置に移動される(ブロック508)。印刷ヘッドキャップへのフラッシングポートが開かれ、その結果、高pH流体がキャップを充填する(ブロック512)。印刷ヘッドが降下され、その結果、印刷ヘッドキャップ内の通気孔遮断部材が印刷ヘッド上のマニホールド通気孔を遮断し、高pH流体が印刷ヘッドのノズルプレートに接触する(ブロック516)。真空がインク供給ラインに適用され、高pH流体が、印刷ヘッド内のロックスクリーンを過ぎた位置まで印刷ヘッドに注入される(ブロック520)。印刷ヘッドは、マニホールド上の通気孔遮断部材の遮断作用を中断するのに十分に上昇され、その結果、真空が通気孔を通じて高pH流体をマニホールドの中に引き込む(ブロック524)。次に、インク供給ラインへの真空を解放して、高pH流体のメニスカスをノズル開口部に戻す(ブロック528)。プリンタ非活動期間が終了すると(ブロック532)、キャップドレイン弁が開かれて、印刷ヘッドキャップから高pH流体を排出し、既知のパージサイクルが実行されて、印刷ヘッド及び印刷ヘッドのノズルプレートから高pH流体を洗い流して除去する(ブロック536)。次いで、印刷ヘッドモジュールは、印刷動作のために印刷ゾーンに戻され得る。
【0026】
上で開示されるもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の「特許請求の範囲」によって包含されることも意図される、様々な現在予期されない代替、修正、変形、又は改善が、後に当業者によって行われ得る。
【外国語明細書】