(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005910
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】圧力フライヤー
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47J37/12 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106341
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】雉本 秀樹
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AB12
4B059BB01
(57)【要約】
【課題】蓋本体が閉塞位置にあることを容易に識別可能としてハンドルの余計な操作を確実に防止可能とする。
【解決手段】圧力フライヤー1は、ハウジング2に支持される油槽6と、油槽6の後方で回転軸22に連結され、開口7の上方を前後方向に横切る倒伏位置と、開口7の上方から後方へ退避する起立位置との間で回転可能で、前端に、倒伏位置で油槽6に設けた係止板45に係止可能な操作部35を備えたアーム15と、アーム15を直交状に貫通してアーム15内部の雌ネジ部19に螺合し、上端部にハンドル28を備えたハンドル軸16と、ハンドル軸16の下端部に連結され、ハンドル28によるハンドル軸16のネジ送りでハンドル軸16と共に下降して開口7に押圧される蓋本体17と、を含んでなり、蓋本体17が開口7に押圧される閉塞位置にあるか否かが識別可能な握り玉81及びワイヤ77(識別手段の一例)が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに支持されて上面を開口し、調理油を収容する油槽と、
前記油槽内の調理油を加熱する加熱手段と、
前記油槽の後方で前記ハウジングに設置される水平方向の回転軸に連結され、前記開口の上方を前後方向に横切る倒伏位置と、前記開口の上方から後方へ退避する起立位置との間で回転可能で、前端に、前記倒伏位置で前記油槽に設けた係止部に係止可能な操作部を備えたアームと、
前記アームを直交状に貫通して前記アーム内部の雌ネジ部に螺合し、前記倒伏位置で前記アームの上側となる上端部にハンドルを備えたハンドル軸と、
前記倒伏位置で前記アームの下側となる前記ハンドル軸の下端部に連結され、前記ハンドルによる前記ハンドル軸のネジ送りで前記ハンドル軸と共に下降して前記開口に押圧される蓋本体と、を含んでなる圧力フライヤーであって、
前記蓋本体が前記開口に押圧される閉塞位置にあるか否かが識別可能な識別手段が設けられていることを特徴とする圧力フライヤー。
【請求項2】
前記識別手段は、前記アームに設けられた支持部材に、前記アームの倒伏位置での前面で上下動可能に支持される識別部材と、前記蓋本体と前記識別部材とを連結する連結部材と、を含み、
前記識別部材は、前記連結部材を介して前記蓋本体の上下動に連動し、前記蓋本体が前記開口に押圧されない非閉塞位置では、所定の第1高さに保持され、前記蓋本体の前記閉塞位置では、前記第1高さと上下方向の位置が異なる所定の第2高さに移動することを特徴とする請求項1に記載の圧力フライヤー。
【請求項3】
前記識別部材は、前記支持部材の前面で左右方向へも移動可能に支持されて、前記蓋本体の前記閉塞位置では、前記第2高さで、且つ前記第1高さと左右方向の位置が異なる所定の左右位置に移動することを特徴とする請求項2に記載の圧力フライヤー。
【請求項4】
前記支持部材に、
前記蓋本体の前記閉塞位置で前記係止部へ係止させた前記操作部と係止して前記操作部の操作を規制するロック位置から、前記操作部との係止を解除して前記操作部の操作を許容するロック解除位置へ左右方向に手動でスライド操作可能なロック部材と、
前記ロック部材を前記ロック位置へ付勢する付勢手段と、
前記支持部材の前面で前記ロック部材と一体にスライドする連動体と、
前記ロック部材の前記ロック解除位置で前記連動体が係止可能なストッパと、が設けられて、前記識別部材が前記連動体に設けられ、前記連結部材が前記連動体に連結されており、
前記連動体は、前記ロック部材の前記ロック解除位置では、前記第1高さで前記ストッパと係止して前記ロック部材を前記ロック解除位置に保持する一方、前記蓋本体の前記閉塞位置では、前記ストッパとの係止が解除される前記第2高さに移動して、前記付勢手段により前記ロック部材を前記ロック位置へスライドさせて、前記識別部材を前記左右位置に移動させることを特徴とする請求項3に記載の圧力フライヤー。
【請求項5】
前記連動体は、前記ロック位置で前記支持部材に当接することを特徴とする請求項4に記載の圧力フライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調理油を収容した油槽を蓋体で密閉した状態で調理油を加熱して食材の加圧調理を行う圧力フライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力フライヤーは、上面に開口して調理油を収容可能な油槽と、油槽内の調理油を加熱するパルス燃焼器等の加熱手段と、油槽の開口を開閉可能な蓋体とを有し、蓋体によって油槽を密閉した状態で加熱手段により調理油を加熱することで、食材の加圧調理が可能となっている。この蓋体は、特許文献1に開示されるように、油槽の開口を閉塞可能な蓋本体と、内部に保持する雌ネジ部に蓋本体を支持するハンドル軸を螺合させたアームとを備え、アームの後端を油槽の後方側で左右方向の回転軸によって回転可能に連結すると共に、回転軸に設けたねじりコイルバネによって開放側へ付勢した状態で取り付けられる。蓋本体の裏側外周には、油槽の閉塞状態で開口に当接するパッキンが設けられて、アームの前端に設けた操作部によってアームを前方に倒し、操作部を油槽に設けた係止部に係止させた後、アームに設けたハンドルを回転操作することで、ハンドル軸をネジ送りして蓋本体を下降させ、下限となる閉塞位置で蓋本体を開口に押し付けてパッキンで蓋体と油槽との間をシールするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような圧力フライヤーでは、蓋体を下降させる際、蓋本体が閉塞位置に到達したことが作業者にわかりにくかった。よって、作業者は、蓋本体が閉塞位置に到達した後も継続してハンドルを余分に回転操作してハンドル軸をネジ送りしてしまうことがあり、余計な時間や労力を費やすことになっていた。
【0005】
そこで、本開示は、蓋本体が閉塞位置にあることを容易に識別可能としてハンドルの余計な操作を確実に防止可能となる圧力フライヤーを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示は、ハウジングに支持されて上面を開口し、調理油を収容する油槽と、
油槽内の調理油を加熱する加熱手段と、
油槽の後方でハウジングに設置される水平方向の回転軸に連結され、開口の上方を前後方向に横切る倒伏位置と、開口の上方から後方へ退避する起立位置との間で回転可能で、前端に、倒伏位置で油槽に設けた係止部に係止可能な操作部を備えたアームと、
アームを直交状に貫通してアーム内部の雌ネジ部に螺合し、倒伏位置でアームの上側となる上端部にハンドルを備えたハンドル軸と、
倒伏位置でアームの下側となるハンドル軸の下端部に連結され、ハンドルによるハンドル軸のネジ送りでハンドル軸と共に下降して開口に押圧される蓋本体と、を含んでなる圧力フライヤーであって、
蓋本体が開口に押圧される閉塞位置にあるか否かが識別可能な識別手段が設けられていることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、識別手段は、アームに設けられた支持部材に、アームの倒伏位置での前面で上下動可能に支持される識別部材と、蓋本体と識別部材とを連結する連結部材と、を含み、
識別部材は、連結部材を介して蓋本体の上下動に連動し、蓋本体が開口に押圧されない非閉塞位置では、所定の第1高さに保持され、蓋本体の閉塞位置では、第1高さと上下方向の位置が異なる所定の第2高さに移動することを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、識別部材は、支持部材の前面で左右方向へも移動可能に支持されて、蓋本体の閉塞位置では、第2高さで、且つ第1高さと左右方向の位置が異なる所定の左右位置に移動することを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、支持部材に、蓋本体の閉塞位置で係止部へ係止させた操作部と係止して操作部の操作を規制するロック位置から、操作部との係止を解除して操作部の操作を許容するロック解除位置へ左右方向に手動でスライド操作可能なロック部材と、
ロック部材をロック位置へ付勢する付勢手段と、
支持部材の前面でロック部材と一体にスライドする連動体と、
ロック部材のロック解除位置で連動体が係止可能なストッパと、が設けられて、識別部材が連動体に設けられ、連結部材が連動体に連結されており、
連動体は、ロック部材のロック解除位置では、第1高さでストッパと係止してロック部材をロック解除位置に保持する一方、蓋本体の閉塞位置では、ストッパとの係止が解除される第2高さに移動して、付勢手段によりロック部材をロック位置へスライドさせて、識別部材を左右位置に移動させることを特徴とする。
本開示の別の態様は、上記構成において、連動体は、ロック位置で支持部材に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、識別手段により蓋本体が閉塞位置にあることを容易に識別可能となる。よって、ハンドルの余計な操作を確実に防止できる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、作業者は、識別部材の上下方向への移動により、蓋本体が閉塞位置にあることをより認識しやすくなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、作業者は、識別部材の上下方向及び左右方向への移動により、蓋本体が閉塞位置にあることをより一層認識しやすくなる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、閉塞位置で操作部の操作をロックするロック部材のスライドを利用して識別部材を容易に上下及び左右方向へ移動させることができる。
本開示の別の態様によれば、識別部材が支持部材に当接した際に音が発生し、この音によっても作業者は蓋本体の閉塞位置への到達を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】圧力フライヤーの正面図である(蓋本体は閉塞位置)。
【
図2】圧力フライヤーの平面図である(蓋本体は閉塞位置)。
【
図3】圧力フライヤーの側面図である(蓋本体は閉塞位置)。
【
図4】圧力フライヤーの上部の中央縦断面図である(蓋本体は閉塞位置)。
【
図6】連動機構の動作を示す拡大断面図で、
図6Aはロックピンがロック解除位置にある状態、
図6Bはロックピンがロック位置にある状態をそれぞれ示す。
【
図7】連動機構の動作を示す拡大正面図で、
図7Aはロックピンがロック解除位置にある状態、
図7Bはロックピンがロック位置にある状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~3は、圧力フライヤーの一例を示す説明図で、
図1は正面図、
図2は平面図、
図3は側面図である。
図4は、油槽の上部における中央縦断面図である。圧力フライヤーでは、正面側を前方とし、
図1の左側を左方として前後左右方向を規定する。
圧力フライヤー1は、四角箱状のハウジング2を有する。ハウジング2は、フレーム3とその外側に張られるパネル4とからなる。ハウジング2の下面四隅には、キャスタ5,5・・が設けられている。ハウジング2の中央には、平面視が四角形状の油槽6が設置されている。油槽6は、上端の開口7を上面のパネル4から上方へ突出させた状態で設置されている。油槽6の内部下側には、加熱手段としての図示しないパルス燃焼器が設けられて、油槽6内に収容した調理油を加熱可能としている。上面のパネル4には、油槽6の開口7を開閉可能な蓋体8が設けられている。ハウジング2内で油槽6の下側には、油槽6内の調理油を濾過するフィルタリングタンク9が設けられている。
【0010】
ハウジング2の前側上部には、フライコントローラ10が設けられている。フライコントローラ10は、正面側に操作パネル11を備えている。ハウジング2内には、図示しないバーナコントローラが設けられている。バーナコントローラは、操作パネル11の操作に伴うフライコントローラ10からの指示により、パルス燃焼器の作動を制御して、所定の調理モードや調理油のフィルタリング等を実行可能となっている。
【0011】
蓋体8は、アーム15と、ハンドル軸16と、蓋本体17とを備えている。アーム15は、角筒状で、内部には、横断面コ字状のカウンターウエイト18と雌ネジ部19とが収容されている。アーム15の後端には、左右一対の連結板20,20が直交状に連結されている。連結板20,20の下端は、油槽6の後方で上面のパネル4に立設した左右一対の軸支板21,21の上端に、回転軸22によって回転可能に連結されている。
よって、蓋体8は、
図3に実線で示す倒伏位置から、二点鎖線で示す起立位置まで起伏動作可能となっている。回転軸22には、一対のねじりコイルバネ23,23が、巻き方向及び両端位置が鏡面対称となるように外装されている。両ねじりコイルバネ23の中央で隣接する各下端24は、軸支板21,21の後端間を繋ぐ係止バー26の内側に係止している。一方、左右の外側に位置する各上端25は、アーム15の下面に係止している。よって、アーム15は油槽6の開放側へ回転付勢される。
【0012】
ハンドル軸16は、カウンターウエイト18と共にアーム15を直交状に貫通して、中間部位に設けた雄ネジ部27を雌ネジ部19に螺合させている。アーム15から突出するハンドル軸16の上端には、十字状のハンドル28が直交状に取り付けられている。アーム15から突出するハンドル軸16の下端に、蓋本体17の上面中央が吊り下げ状態で連結されている。
蓋本体17は、前後方向に長い平面視四角形状で、下面外周には、全周に亘ってパッキン30が設けられている。蓋本体17の上面前側には、棒状のロックバー31の後端がボルト32,32で固定されている。ロックバー31の前端部33は、蓋本体17よりも前方へ突出し、下方に向けてL字状に屈曲している。前端部33の下端後面には、後方へ突出する係止凸部34が形成されている。
【0013】
アーム15の前端には、操作部35と、ロックピン50と、連動機構51とが設けられている。
図5にも示すように、操作部35は、左右一対の操作板36A,36Bと、連結軸37と、把持棒38と、係止棒39と、前カバー40と、規制板41とを備えている。
操作板36A,36Bは、側面視が台形状で、蓋体8による油槽6の閉塞状態で、上端がアーム15と左右方向に重なる位置でアーム15の左右に配置されている。連結軸37は、アーム15を左右方向に貫通して操作板36A,36Bの後側上部同士を回転可能に連結している。把持棒38は、操作板36,36の前側下部同士を連結している。係止棒39は、操作板36,36の後側下部同士を連結している。
前カバー40は、把持棒38と係止棒39との間で上下方向に延びる板体で、操作板36A,36Bの下部間に架設されている。
規制板41は、下板部42と、中板部43と、上板部44とからなり、操作板36A,36Bの後部間に架設されている。下板部42は、前カバー40の後方へ前後方向に所定間隔をおいて対向する縦向きとなっている。中板部43は、下板部42の上端から後方へ向かうに従って上昇するように傾斜している。上板部44は、中板部43の上端から操作板36A,36Bの後端縁に沿って上昇する縦向きとなっている。
【0014】
一方、油槽6の前面には、左右一対の係止板45,45が設けられている。各係止板45には、前方に開口する受け溝46が前後方向に形成されている。受け溝46には、蓋体8による油槽6の閉塞状態で、操作部35が後方へ揺動すると、係止棒39が係止可能となっている。
【0015】
アーム15の下面には、支持台52が設けられて、ロックピン50及び連動機構51は支持台52に支持されている。
まず、支持台52は、下面を開口した箱状で、天板53と、左右の側板54A,54Bと、前板55と、後板56とを有している。天板53は、平面視矩形状で、アーム15の下面にボルト止めされている。左右の側板54A,54Bは、天板53の左右両端から下向きに折曲されている。前板55は、天板53の前端から下向きに折曲されている。前板55の下端には、正面視で右側が上下に短くなる前切欠部57が形成されている。
後板56は、天板53の後端から下向きに折曲されている。後板56の左右方向の中央には、下端から上向きに後切欠部58が形成されている。
【0016】
支持台52内で側板56A,56Bの間には、支持軸60が左右方向に架設されている。支持軸60の左右両端には、一対のトーションスプリング61,61が外装されている。各トーションスプリング61は、上端62が天板53に当接し、下端63が前カバー40と規制板41の下板部42との間に保持されている。よって、操作板36A,36Bは、規制板41の上板部44が支持台52の後板56に前方から当接する内側位置に付勢される。上板部44における後板56の後切欠部58の前方には、係止凹部64が左右方向に形成されている。
支持軸60の中間部でトーションスプリング61,61の間には、レバー押さえバネ65が設けられている。レバー押さえバネ65の上端は、天板53に当接し、下端は、ロックバー31の前端部33の上面に当接している。よって、前端部33は下向きに付勢される。
ロックバー31の前端部33は、後板56の後切欠部58を貫通して規制板41の上板部44より前方に突出している。前端部33の下端は、蓋本体17が閉塞位置にある場合にのみ、上板部44の前方に位置するようになっている。
【0017】
ロックピン50は、支持軸60の前側下方に配置されている。左側の側板54Aの内面には、
図7に示すように、右方向へ突出するガイド筒66が固定されている。側板54Aには、ガイド筒66と同心の貫通孔67が形成されている。右側の側板54Bには、ガイド筒66と同軸で対向し、左端部が開口する受け筒68が固定されている。
ロックピン50は、貫通孔67を貫通した状態でガイド筒66と受け筒68とに挿入されて、左右方向へスライド可能且つ回転可能に保持されている。ガイド筒66の右側でロックピン50には、フランジ69が形成されている。フランジ69の左側でロックピン50には、
図6Aに示すように、面取部70が形成されている。左側の操作板36Aには、ロックピン50の左側に位置してロックピン50の左端部が係止可能な係止孔71が形成されている。
よって、ロックピン50は、貫通孔67から左方向へ突出して先端が係止孔71に係止する左スライド位置と、左スライド位置から右方向にスライドして先端が係止孔71から外れる右スライド位置との間をスライド可能に維持される。
【0018】
連動機構51は、コイルバネ75と、連動体76と、ワイヤ77とを含んでいる。
コイルバネ75は、フランジ69の右側でロックピン50に外装されている。コイルバネ75は、受け筒68とフランジ69との間で圧縮されると共に、一端が受け筒68に、他端がフランジ69に係止されている。よって、ロックピン50は、左スライド位置へ付勢される。
連動体76は、ロックピン50の面取部70に固定されている。連動体76は、側面視がU字状で、基端部78と、基端部78の前端から上方へ立ち上がる前板部79と、基端部78の後端から上方へ立ち上がる後板部80とを有している。後板部80が前板部79よりも上下に長く形成されている。前板部79の前面には、握り玉81が固定されている。
連動体76は、後板部80が面取部70に固定されて、ロックピン50を左に向かって左回転方向へねじった状態で、前板部79が支持台52の前板55の前側、後板部80が前板55の後側に位置するように、前板55を下側から跨いでいる。よって、ロックピン50は、左に向かって右回転方向へ回転付勢され、連動体76は前板55の下端へ常に当接する状態となる。
【0019】
連動体76は、ロックピン50の右スライド位置では、後板部80がガイド筒66から右側へ離れた位置にあり、ロックピン50の左スライド位置では、後板部80がガイド筒66に当接する。
このロックピン50の右スライド位置では、コイルバネ75によるロックピン50の回転付勢により、連動体76は、
図6A及び
図7Aに示すように、基端部78と後板部80との間に前板55が当接する後傾姿勢となる。よって、上向きとなる基端部78が前板55の前切欠部57の左端に係止する。このためロックピン50は、右スライド位置のまま左側への突出が規制される。
ワイヤ77は、ロックバー31の前端部33の左側面と、連動体76の基端部78の下面との間を接続している。ワイヤ77は、前端部33の左側面から上昇し、支持軸60の上側を回り込んで下降し、基端部78に接続されている。
ワイヤ77は、蓋本体17と共にロックバー31が上限位置にある状態では、ロックピン50の右スライド位置での保持と、連動体76の後傾姿勢とを許容する。
ここから蓋本体17と共にロックバー31が閉塞位置に移動すると、ワイヤ77を介して基端部78が後方上側へ引っ張られる。すると、連動体76は、
図6B及び
図7Bに示すように、後板部80の上端が前板55に当接する前傾姿勢となるまで引っ張られる。よって、前切欠部57の左端への基端部78の係止が解除され、ロックピン50は、コイルバネ75の付勢により、左スライド位置にスライドする。
【0020】
以上の如く構成された圧力フライヤー1においては、加圧調理を行う場合、油槽6内の調理油をパルス燃焼器で調理温度に加熱し、被調理物を収容して蓋体8を閉じる。すなわち、ハウジング2の正面側から把持棒38を把持して操作部35を外側へ揺動させながらアーム15を手前に回転させると、蓋本体17も追従して前方へ回転し、油槽6の開口7の上方に移動する。
その後、操作部35を内側位置に押し込むと、係止棒39が係止板45,45の受け溝46,46に係止して蓋体8は油槽6を閉塞する倒伏位置で保持される。
ここからハンドル28を右回転させてハンドル軸16を雌ネジ部19へのねじ込み方向へ回転させる。すると、蓋本体17が下方へ平行移動するため、パッキン30の全周が開口7へ同時に当接して押圧され、油槽6を密閉する。
【0021】
この蓋本体17の閉塞位置では、同時に下降したロックバー31の係止凸部34が、規制板41の上板部44の前側に位置する。よって、操作部35を手前へ引き出そうとすると、上板部44の係止凹部64に係止凸部34が係止してそれ以上の引き出しが規制される。
ロックバー31の閉塞位置への下降に伴い、連動機構51では、ワイヤ77を介して基端部78が引っ張られる連動体76が前傾姿勢に移行する。よって、前述のように前板55の前切欠部57の左端から連動体76の基端部78が外れる。すると、ロックピン50が、コイルバネ75の付勢により、基端部78を前板55の左側下端に沿ってスライドさせながら左スライド位置へ移動し、先端を操作板36Aの係止孔71に係止させる。よって、ここでも操作部35の手前への引き出しが規制される。このとき握り玉81は、連動体76の前板部79と共に下降して且つ前板55の左側下部へ横移動するため、作業者は操作部35のロック及び蓋本体17の閉塞位置への到達を視覚的に認識することができ、ハンドル28の操作を停止する目安となる。また、連動体76がガイド筒66に衝突することで音が発生するため、この音によっても作業者は操作部35のロック及び蓋本体17の閉塞位置への到達を認識することができる。
こうしてロックバー31の規制板41への係止と、ロックピン50の操作板36Aへの係止とによって、蓋体8の開放がロックされる。
【0022】
加圧調理が終了すると、作業者は、ハンドル28を逆回転させてハンドル軸16を上方へネジ送りして蓋本体17を上限位置へ移動させる。蓋本体17が上限位置へ移動すると、同時に上昇したロックバー31の係止凸部34が、規制板41の上板部44の前側から上方へ離れる。
次に、作業者は、握り玉81を把持して連動体76を右側へスライドさせ、前板55の前切欠部57の左端に基端部78を係止させる。すると、ロックピン50は、右スライド位置へ移動して操作板36Aの係止孔71への係止を解除し、回転付勢により基端部78の前切欠部57の左端への係止状態を維持させる。よって、作業者は、把持棒38を把持して操作部35を手前に引いて係止棒39を係止板45,45から外すことができる。そのままアーム15を上方へ回転させると、蓋本体17も追従して上方へ回転し、蓋体8は油槽6を開放する起立位置へ移動する。
【0023】
このように、第2ロック部材及び連動機構の開示に係る上記形態の圧力フライヤー1は、ハウジング2に支持されて上面を開口し、調理油を収容する油槽6と、油槽6内の調理油を加熱するパルス燃焼器と、油槽6の後方でハウジング2に設置される水平方向の回転軸22に連結され、開口7の上方を前後方向に横切る倒伏位置と、開口7の上方から後方へ退避する起立位置との間で回転可能で、前端に、倒伏位置で油槽6に設けた係止板45(係止部の一例)に係止可能な操作部35を備えたアーム15と、アーム15を直交状に貫通してアーム15内部の雌ネジ部19に螺合し、倒伏位置でアーム15の上側となる上端部にハンドル28を備えたハンドル軸16と、倒伏位置でアーム15の下側となるハンドル軸16の下端部に連結され、ハンドル28によるハンドル軸16のネジ送りでハンドル軸16と共に下降して開口7に押圧される蓋本体17と、を含んでなる。
蓋本体17には、蓋本体17が開口7に押圧される閉塞位置で係止板45へ係止させた操作部35と係止して操作部35の操作を規制し、蓋本体17が開口7から上方に離れる非閉塞位置で操作部35との係止を解除して操作部35の操作を許容するロックバー31(第1ロック部材の一例)が一体に設けられている。
そして、アーム15に、蓋本体17の閉塞位置で係止板45へ係止させた操作部35と係止して操作部35の操作を規制するロック位置と、操作部35との係止を解除して操作部35の操作を許容するロック解除位置との間を移動可能で、蓋本体17の非閉塞位置でロック解除位置に保持可能なロックピン50(第2ロック部材の一例)と、ロックバー31の閉塞位置への下降に連動してロックピン50をロック解除位置からロック位置へ移動させる連動機構51とが設けられている。
【0024】
この構成によれば、ハンドル軸16やアーム15内の雌ネジ部19が破損したり摩耗したりして閉塞位置での蓋本体17の押さえ込みが緩くなり、ロックバー31と操作部35との係止状態が不十分となることがあっても、アーム15に設けたロックピン50によって加圧調理中の操作部35の操作が確実に規制可能となる。
【0025】
特に、操作部35は、左右一対の操作板36A,36Bと、操作板36A,36Bの間に設けられて係止板45に係止可能な係止棒39(係止部材の一例)と、操作板36A,36Bの間に設けられる把持棒38(把持部材の一例)とを含み、蓋本体17の閉塞位置で把持棒38により操作部35を前後方向へ揺動操作することで、係止棒39が係止板45に係脱するものであり、ロックピン50は、左側の操作板36Aに係止して操作部35の操作を規制するロック位置から、操作板36Aとの係止を解除して操作部35の操作を許容するロック解除位置へ手動でスライド操作可能である。
連動機構51は、ロックピン50をロック位置へ付勢するコイルバネ75(付勢手段の一例)と、ロックピン50と一体にスライドする連動体76と、ロックピン50のロック解除位置で連動体76が係止可能な支持台52の前板55(ストッパの一例)と、ロックバー31と連動体76とを連結するワイヤ77(連結部材の一例)と、を含む。
そして、連動体76は、ロックピン50のロック解除位置では、前板55と係止する後傾姿勢(第1姿勢の一例)となってロックピン50をロック解除位置に保持する一方、ロックバー31の閉塞位置では、前板55との係止が解除される前傾姿勢(第2姿勢の一例)となって、コイルバネ75によりロックピン50をロック位置へスライドさせる。
よって、ロックバー31の閉塞位置への下降に伴ってロックピン50を確実に操作板36Aへ係止させて操作部35の操作を規制することができる。
【0026】
連動体76は、後傾姿勢と前傾姿勢とでは上下方向の高さを異ならせるものであり、連動体76の前面には、握り玉81(識別部材の一例)が設けられている。
よって、作業者は、ハンドル28を操作して蓋本体17により油槽6を閉塞させる際、蓋本体17が閉塞位置にあることを容易に識別でき、それ以降の不要なハンドル28の操作を確実に抑制することができる。
【0027】
第2ロック部材及び連動機構に係る開示については、以下の変更が可能である。
上記形態では、ロックピンを左スライド位置で左側の操作板に係止させて操作部の操作をロックしているが、ロックピン及び連動機構を左右逆にして、ロックピンを右スライド位置で右側の操作板に設けた係止孔に係止させて操作部の操作をロックしてもよい。
上記形態では、連動体を支持台の前板に設けた前切欠部に係止させているが、前板に切欠部でなくスリットを設けて連動体を貫通させ、スリットに設けた段部に連動体を係止させてもよい。
付勢手段は、コイルバネ以外の弾性体も使用できる。
ストッパは、支持台の前板とせず、ストッパとなる単独部材をアームに設けてもよい。
上記形態では、ロック解除位置で連動体が上側に位置し、ロック位置で連動体が下側に位置するようになっているが、これを逆にして、ロック解除位置で連動体が下側に位置し、ロック位置で連動体が上側に位置するようにしてもよい。
連結部材は、ワイヤに限らず、ロープやチェーン等の線状体を用いてもよい。複数のリンクを結合して形成してもよい。
連動体は、U字状でなくてもよい。ロック部材へ一体的に突起を設けて連動体とし、ストッパに係止させてもよい。
第2ロック部材は、ピン形状でなくてもよい。第2ロック部材は、板状であってもよい。第1ロック部材の形状及び操作部への係脱構造も適宜変更できる。
識別部材は、握り玉以外の形状でもよい。識別部材を省略して、連動体自体を着色して認識しやすくしてもよい。
【0028】
識別手段の開示に係る上記形態の圧力フライヤー1は、ハウジング2に支持されて上面を開口し、調理油を収容する油槽6と、油槽6内の調理油を加熱するパルス燃焼器と、油槽6の後方でハウジング2に設置される水平方向の回転軸22に連結され、開口7の上方を前後方向に横切る倒伏位置と、開口7の上方から後方へ退避する起立位置との間で回転可能で、前端に、倒伏位置で油槽6に設けた係止板45(係止部の一例)に係止可能な操作部35を備えたアーム15と、アーム15を直交状に貫通してアーム15内部の雌ネジ部19に螺合し、倒伏位置でアーム15の上側となる上端部にハンドル28を備えたハンドル軸16と、倒伏位置でアーム15の下側となるハンドル軸16の下端部に連結され、ハンドル28によるハンドル軸16のネジ送りでハンドル軸16と共に下降して開口7に押圧される蓋本体17と、を含んでなる。
そして、蓋本体17が開口7に押圧される閉塞位置にあるか否かが識別可能な握り玉81及びワイヤ77(識別手段の一例)が設けられている。
この構成によれば、握り玉81により蓋本体17が閉塞位置にあることを容易に識別可能となる。よって、ハンドル28の余計な操作を確実に防止できる。
【0029】
特に、識別手段は、アーム15に設けられた支持台52(支持部材の一例)に、アーム15の倒伏位置での前面で上下動可能に支持される握り玉81(識別部材の一例)と、蓋本体17と握り玉81とを連動体76を介して連結するワイヤ77(連結部材の一例)と、を含み、握り玉81は、ワイヤ77を介して蓋本体17の上下動に連動し、蓋本体17が開口7に押圧されない非閉塞位置では、前板55の前切欠部57(所定の第1高さの一例)に保持され、蓋本体17の閉塞位置では、前切欠部57と上下方向の位置が異なる前板55の左側下部(所定の第2高さの一例)に移動する。
よって、作業者は、握り玉81の下方への移動により、蓋本体17が閉塞位置にあることをより認識しやすくなる。
【0030】
握り玉81は、支持台52の前面で左右方向へも移動可能に支持されて、蓋本体17の閉塞位置では、前板55の前切欠部57と左右方向の位置が異なる前板55の左側下部(所定の左右位置の一例)に移動する。
よって、作業者は、握り玉81の下方及び左右方向への移動により、蓋本体17が閉塞位置にあることをより一層認識しやすくなる。
【0031】
支持台52には、蓋本体17の閉塞位置で係止板45へ係止させた操作部35と係止して操作部35の操作を規制するロック位置から、操作部35との係止を解除して操作部35の操作を許容するロック解除位置へ左右方向に手動でスライド操作可能なロックピン50(ロック部材の一例)と、ロックピン50をロック位置へ付勢するコイルバネ75(付勢手段の一例)と、支持台52の前面でロックピン50と一体にスライドする連動体76と、ロックピン50のロック解除位置で連動体76が係止可能な前板55(ストッパの一例)と、が設けられて、握り玉81が連動体76に設けられ、ワイヤ77が連動体76に連結されており、連動体76は、ロックピン50のロック解除位置では、前切欠部57で前板55と係止してロックピン50をロック解除位置に保持する一方、蓋本体17の閉塞位置では、前板55との係止が解除される前板55の左側下部に移動して、コイルバネ75によりロックピン50をロック位置へスライドさせて、握り玉81を前板55の左側下部に移動させる。
よって、閉塞位置で操作部35の操作をロックするロックピン50のスライドを利用して握り玉81を容易に上下及び左右方向へ移動させることができる。
連動体76は、ロック位置で支持台52のガイド筒66に当接する。
よって、連動体76がガイド筒66に当接した際に音が発生し、この音によっても作業者は蓋本体17の閉塞位置への到達を認識することができる。
【0032】
識別手段に係る開示については、以下の変更が可能である。
識別部材は、握り玉以外の形状でもよい。握り玉を省略して、連動体自体を着色して識別部材と兼用してもよい。
連動体は、U字状でなくてもよい。ロック部材へ一体に設けた突起を前板の前切欠部に係止させてもよい。この場合、突起に着色して認識しやすくしてもよい。また、ロックピン自体に着色して前板の窓等から認識可能とし、着色部分の移動や色の変化によって閉塞位置を認識可能としてもよい。ロック部材もピン形状に限らず、板状等であってもよい。
上記形態では、蓋本体にロックバーを設けているが、ロックバーはなくてもよい。この場合、蓋本体に直接連結部材を連結すればよい。
連結部材は、ワイヤに限らず、ロープやチェーン等の線状体を用いてもよい。複数のリンクを結合して形成してもよい。
上記形態では、ロック部材を利用して識別手段を形成しているが、ロック部材と関係なく蓋本体の上下動に連動して単独で閉塞位置を識別させるようにしてもよい。例えば倒伏位置のアームの前面に識別部材を上下動可能に設けて、その識別部材を連結部材を介して蓋本体に連結し、蓋本体の閉塞位置で上下高さを変えるようにすることが考えられる。
【0033】
その他、圧力フライヤーの他の構成も適宜変更可能で、例えば加熱手段をパルス燃焼器に限らず、バーナやヒータ等に代えたり併用したりすることができる。ハンドル軸上端のハンドルも、平面視がY字状や一文字状、リング状であってもよい。
油槽が単一でなく左右に一対並設される圧力フライヤーであっても各開示は採用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・圧力フライヤー、2・・ハウジング、3・・フレーム、4・・パネル、6・・油槽、7・・開口、8・・蓋体、10・・フライコントローラ、15・・アーム、16・・ハンドル軸、17・・蓋本体、19・・雌ネジ部、22・・回転軸、31・・ロックバー、33・・前端部、34・・係止凸部、35・・操作部、36A,36B・・操作板、37・・連結軸、38・・把持棒、39・・係止棒、41・・規制板、45・・係止板、50・・ロックピン、51・・連動機構、52・・支持台、55・・前板、57・・前切欠部、60・・支持軸、71・・係止孔、75・・コイルバネ、76・・連動体、77・・ワイヤ、78・・基端部、79・・前板部、80・・後板部、81・・握り玉。