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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005912
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】農業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106343
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石井 優史
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】耕作放棄地の活用を促進することができる農業支援システムを提供する。
【解決手段】耕作放棄地Gの所在地を含む所在地情報を記憶する所在地記憶部3と、耕作放棄地Gにおける栽培実績を含む実績情報を記憶する実績記憶部4と、ユーザーEによる操作に応じて所在地情報及び実績情報のうち少なくとも一方を表示部8に表示させる処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕作放棄地の所在地を含む所在地情報を記憶する所在地記憶部と、
前記耕作放棄地における栽培実績を含む実績情報を記憶する実績記憶部と、
ユーザーによる操作に応じて前記所在地情報及び前記実績情報のうち少なくとも一方を表示部に表示させる処理部と、を備える農業支援システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記所在地情報に基づいて前記耕作放棄地の位置を示す所在地マップを生成し、前記所在地マップを前記表示部に表示させる請求項1に記載の農業支援システム。
【請求項3】
前記所在地情報は、前記耕作放棄地の面積、前記耕作放棄地の地図上での範囲、前記耕作放棄地における区画のうち利用者が決まっていない区画、前記耕作放棄地の標高、前記耕作放棄地の放棄年数、のうち少なくとも一つを含み、
前記所在地マップにおいて、前記所在地情報、または、前記実績情報のうち少なくとも一つが前記耕作放棄地に関連付けられる請求項2に記載の農業支援システム。
【請求項4】
前記ユーザーが、前記所在地マップにおける前記耕作放棄地を選択した場合、前記処理部は、選択された前記耕作放棄地に対応する前記所在地情報、前記実績情報のうち少なくとも一つを前記表示部に表示させる請求項3に記載の農業支援システム。
【請求項5】
前記実績情報は、前記耕作放棄地において過去に栽培された作物の生育状態と、前記耕作放棄地において過去に栽培された作物の生育環境と、のうち少なくとも一方を含んでいる請求項1に記載の農業支援システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記ユーザーによる操作に応じて、作物の栽培方法を前記表示部に表示させることが可能である請求項1から5の何れか一項に記載の農業支援システム。
【請求項7】
前記処理部は、前記実績情報に基づいて前記栽培方法を前記表示部に表示することが可能である請求項6に記載の農業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
農業支援システムとして、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この農業支援システム(特許文献1では「コンピュータシステム」)においては、事業者によって栽培場所が提供される。また、当該栽培場所において栽培される農作物の種類及び量は、事業者によって予め決定されている。そして、当該栽培場所において栽培される農作物に関連する指示が、就農者に提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-124919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、耕作放棄地の増加が問題視されている。耕作放棄地は、再生作業(例えば、草刈り及び耕起)が行われることにより、再び農地として利用可能となる。しかしながら、耕作放棄地の再生作業が行われた後で、当該耕作放棄地を農地として利用する人がいない場合、当該耕作放棄地は、農地として利用できない状態に戻ってしまう可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、耕作放棄地の活用を促進することができる農業支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、耕作放棄地の所在地を含む所在地情報を記憶する所在地記憶部と、前記耕作放棄地における栽培実績を含む実績情報を記憶する実績記憶部と、ユーザーによる操作に応じて前記所在地情報及び前記実績情報のうち少なくとも一方を表示部に表示させる処理部と、を備えることにある。
【0007】
本構成によれば、ユーザー(農地の提供を受けたい人)は、所在地情報及び実績情報のうち少なくとも一方を閲覧することができる。そのため、ユーザーが、自身の希望(例えば、自宅の近所に位置していること等の条件)に合致する耕作放棄地を探しやすい。これにより、マッチングが容易になる。
【0008】
従って、本構成によれば、耕作放棄地の活用を促進することができる農業支援システムを実現できる。
【0009】
さらに、本発明において、前記処理部は、前記所在地情報に基づいて前記耕作放棄地の位置を示す所在地マップを生成し、前記所在地マップを前記表示部に表示させると好適である。
【0010】
本構成によれば、耕作放棄地の位置がマップによって示される。これにより、ユーザーが、耕作放棄地の位置を容易に把握できる。
【0011】
さらに、本発明において、前記所在地情報は、前記耕作放棄地の面積、前記耕作放棄地の地図上での範囲、前記耕作放棄地における区画のうち利用者が決まっていない区画、前記耕作放棄地の標高、前記耕作放棄地の放棄年数、のうち少なくとも一つを含み、前記所在地マップにおいて、前記所在地情報、または、前記実績情報のうち少なくとも一つが前記耕作放棄地に関連付けられると好適である。
【0012】
本構成によれば、所在地マップにおいてユーザーが閲覧可能な情報を充実させることができる。これにより、ユーザーが、自身の希望に合致する耕作放棄地を探しやすい。
【0013】
さらに、本発明において、前記ユーザーが、前記所在地マップにおける前記耕作放棄地を選択した場合、前記処理部は、選択された前記耕作放棄地に対応する前記所在地情報、前記実績情報のうち少なくとも一つを前記表示部に表示させると好適である。
【0014】
本構成によれば、所在地マップにおいてユーザーが耕作放棄地を選択した際、当該耕作放棄地に関する詳細な情報が表示される農業支援システムを実現できる。これにより、ユーザーが、自身の希望に合致する耕作放棄地を探しやすい。
【0015】
さらに、本発明において、前記実績情報は、前記耕作放棄地において過去に栽培された作物の生育状態と、前記耕作放棄地において過去に栽培された作物の生育環境と、のうち少なくとも一方を含んでいると好適である。
【0016】
本構成によれば、ユーザーが、耕作放棄地において過去に栽培された作物の生育状態や生育環境を確認可能な農業支援システムを実現できる。
【0017】
さらに、本発明において、前記処理部は、前記ユーザーによる操作に応じて、作物の栽培方法を前記表示部に表示させることが可能であると好適である。
【0018】
本構成によれば、ユーザーは、作物の栽培方法を容易に学ぶことが可能となる。これにより、ユーザーが農業に熟練していない場合であっても、耕作放棄地における農作業を適切に行いやすい。
【0019】
さらに、本発明において、前記処理部は、前記実績情報に基づいて前記栽培方法を前記表示部に表示することが可能であると好適である。
【0020】
本構成によれば、ユーザーは、自身が利用している耕作放棄地に関する実績情報に基づいた栽培方法を学ぶことができる。これにより、ユーザーは、自身が利用している耕作放棄地に特有の栽培方法(あるいは、当該耕作放棄地に適した栽培方法)を学ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】農業支援システムの概要を示す図である。
図2】管理サーバ及び端末に関する構成を示すブロック図である。
図3】作物の栽培方法が表示されているタッチパネルを示す図である。
図4】圃場データを入力するときの入力装置の画面を示す図である。
図5】実績データを入力するときの入力装置の画面を示す図である。
図6】耕作放棄地の登録を行うときの入力装置の画面を示す図である。
図7】農業支援システムにおける動作を示している。
図8】データの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。
【0023】
〔農業支援システムの概要〕
図1に示すように、本実施形態における農業支援システムAは、管理サーバ1と、端末2と、を備えている。管理サーバ1と端末2とは、所定のネットワークを介して互いに接続されている。
【0024】
耕作放棄地Gの所有者Dは、耕作放棄地Gを他者へ提供することを希望している。尚、農業支援システムAを利用する所有者Dは、一人であっても良いし、複数人であっても良い。また、一人の所有者Dが他者への提供を希望する耕作放棄地Gの個数は、一つでも良いし、複数であっても良い。また、耕作放棄地Gは、再生作業が行われた(あるいは再生作業が行われる予定の)耕作放棄地Gであると好適である。
【0025】
尚、耕作放棄地Gの提供は、具体的には、耕作放棄地Gの譲渡であっても良いし、耕作放棄地Gの賃貸であっても良い。
【0026】
図1に示すように、管理サーバ1は、所在地記憶部3及び実績記憶部4を有している。所在地記憶部3は、耕作放棄地Gに関する所在地情報を記憶する。所在地情報とは、所有者Dが他者への提供を希望している耕作放棄地Gの所在地を示す情報である。即ち、所在地情報には、耕作放棄地Gの所在地が含まれる。
【0027】
このように、農業支援システムAは、耕作放棄地Gの所在地を含む所在地情報を記憶する所在地記憶部3を備えている。
【0028】
尚、所在地情報には、耕作放棄地Gの所在地だけでなく、他のいかなる情報が含まれていても良い。
【0029】
実績記憶部4は、耕作放棄地Gに関する実績情報を記憶する。実績情報とは、所有者Dが他者への提供を希望している耕作放棄地Gにおける過去の栽培実績を示す情報である。即ち、実績情報には、耕作放棄地Gにおける栽培実績が含まれている。
【0030】
このように、農業支援システムAは、耕作放棄地Gにおける栽培実績を含む実績情報を記憶する実績記憶部4を備えている。
【0031】
尚、実績情報には、耕作放棄地Gにおける栽培実績だけでなく、他のいかなる情報が含まれていても良い。
【0032】
図1に示すように、農業支援システムAのユーザーEは、自身の所持する端末2を操作する。端末2は、情報を表示可能なタッチパネル8(本発明に係る「表示部」に相当)を有している。ユーザーEによる端末2に対する操作に応じて、所在地情報及び実績情報のうち少なくとも一方が、タッチパネル8に表示される。
【0033】
尚、端末2は、携帯端末(スマートフォンやタブレット等)であっても良いし、パソコン等であっても良い。
【0034】
〔農業支援システムの構成〕
図2に示すように、農業支援システムAは、入力装置6を備えている。特に限定されないが、入力装置6は、所有者D(図1参照)が保有する携帯端末(スマートフォンやタブレット等)であっても良いし、パソコン等であっても良い。管理サーバ1と入力装置6とは、所定のネットワークを介して互いに接続されている。
【0035】
農業支援システムAは、データ記憶部50を備えている。データ記憶部50は、農業に関する様々なデータを記憶している。データ記憶部50は、管理サーバ1に設けられている。なお、データ記憶部50は、管理サーバ1以外のコンピュータに備えられていてもよい。
【0036】
所有者Dは、圃場等で農作物の栽培を行う場合において、所有している圃場に関する圃場データを、入力装置6を用いて入力する。入力された圃場データは、入力装置6からデータ記憶部50に送信され、当該データ記憶部50は、圃場データを記憶する。
【0037】
図4は、圃場データを入力するときの入力装置6の画面M1の一例を示している。画面M1には、圃場を含むマップMP1、圃場の名称、圃場の面積、圃場の所在地などを入力する入力部M1aが表示されている。圃場の所在地は、地名及び番地、緯度経度である。
【0038】
所有者Dは、入力装置6を操作することによって、画面M1において、マップMP1の中から、所有している圃場を選択し、選択した圃場に関して、圃場の名称、圃場の面積、圃場の所在地などの入力を行う。
【0039】
圃場の選択、圃場の名称、圃場の面積、圃場の所在地の入力が完了すると、入力装置6は、選択されたマップMP1の圃場と、圃場の名称、圃場の面積及び圃場の所在地を関連付け、関連付けられたマップMP1の圃場、圃場の名称、圃場の面積及び圃場の所在地を、圃場データとして管理サーバ1に送信する。
【0040】
図8に示すように、管理サーバ1が、圃場データを受信すると、データ記憶部50に圃場データが記憶される。
【0041】
以上のように、所有者Dは、圃場にて農作物の栽培を行う場合は、圃場データを入力することによって、圃場の登録を行うことができる。
【0042】
所有者Dは、農作物の栽培を実施した場合において、農作業の実績(実績データ)を入力する。
【0043】
図5は、実績データを入力するときの入力装置6の画面M2の一例を示している。画面M2には、圃場を含むマップMP1、農作業を行った日時又は時間帯、圃場の名称、農作業を行った作業者名、農作業の項目、農作業の状態を示す画像などを入力する入力部M2aが表示されている。
【0044】
所有者Dは、入力装置6を操作することによって、画面M2において、マップMP1の中から、農作業を行った圃場を選択し、選択した圃場に関して、農作業の実施時期(日時又は時間帯)、圃場の名称、農作業を行った作業者名、農作業の実施内容、画像などの入力を行う。農作業の実施内容は、耕耘、植付け、散布、施肥、播種、草刈り、畝立て、収穫、耕耘の深さ、施肥量、肥料の種類、施薬量、薬剤の種類等である。
【0045】
農作業の実績として入力する画像は、農作業の状況を示す画像であっても、作物の生育状態を示す画像であってもよい。なお、圃場の名称は、マップMP1の中から、農作業を行った圃場を選択した場合に自動的に入力されてもよい。
【0046】
圃場の選択、日時又は時間帯、圃場の名称、作業者名、農作業の項目、画像などの入力が完了すると、入力装置6は、選択されたマップMP1の圃場と、日時又は時間帯、圃場の名称、作業者名、農作業の項目、農作業の状態を示す画像を関連付け、関連付けられたマップMP1の圃場、日時又は時間帯、圃場の名称、作業者名、農作業の項目、画像を、実績データとして管理サーバ1に送信する。
【0047】
図8に示すように、管理サーバ1が、実績データを受信すると、データ記憶部50に実績データが記憶される。なお、作物の生育環境を画面M2に入力し、入力した生育環境を実績データとして、データ記憶部50に記憶させてもよい。なお、生育環境は、栽培期間中の気温、湿度、天候の推移等である。
【0048】
圃場データ及び実績データは、所有者Dによって入力されるのではなく自動的に取得されても良い。例えば、作業ロボットによって圃場の農作業が行われた際に、当該作業ロボットによって自動的に(あるいは手動で)圃場データが取得されると共に、当該圃場データが自動的に(あるいは手動で)管理サーバ1へ送られて、データ記憶部50に記憶されても良い。
【0049】
また、例えば、所有者Dが圃場において農作業機(例えばトラクタやコンバイン等)を利用して農作業を行っていた場合、当該農作業機によって実績データが自動的に(あるいは手動で)収集されると共に、収集された実績データが自動的に(あるいは手動で)管理サーバ1へ送られて、データ記憶部50に記憶されても良い。
【0050】
さて、所有者Dは、圃場における農作業を行わなくなり、当該圃場を耕作放棄地Gとする場合、入力装置6を用いて、管理サーバ1に接続し、耕作放棄地Gの登録を行うことができる。図6は、耕作放棄地Gの登録を行うときの入力装置6の画面M3の一例を示している。
【0051】
画面M3には、圃場を含むマップMP1、入力部M3aが表示されている。入力部M3aには、第1情報31、第2情報32及び第3情報33が入力可能である。
【0052】
第1情報31は、耕作放棄地Gとして登録したい圃場(以降、登録圃場という)において育てやすい作物の種類(例えば、「トマト」や「ハーブ」等)を示す情報である。
【0053】
第2情報32は、登録圃場の一つの区画の賃借料と、登録圃場の一つの区画の面積と、登録圃場における区画数に関する情報と、を示す情報である。尚、登録圃場における区画数に関する情報は、登録圃場における区画の総数と、登録圃場における区画のうち利用者が決まっていない区画の数と、を示す情報である。
【0054】
第3情報33は、所有者DがユーザーEに貸与可能な道具(例えば、鍬、鋤、スコップ等)を示す情報である。
【0055】
所有者Dは、入力装置6を操作することによって、画面M3において、マップMP1の中から、登録圃場を選択し、第1情報31、第2情報32及び第3情報33などの入力を行う。
【0056】
耕作放棄地Gとして登録したい圃場の選択、第1情報31、第2情報32及び第3情報33などの入力が完了すると、入力装置6は、登録圃場、第1情報31、第2情報32及び第3情報33を、登録データとして管理サーバ1に送信する。
【0057】
図8に示すように、管理サーバ1が、登録データを受信すると、登録データ記憶部51に登録データが記憶される。
【0058】
耕作放棄地Gの登録の処理において、管理サーバ1は、データ記憶部50に記憶されている圃場データ(S80)と、登録データとを参照し(S81)、圃場データ上における複数の圃場の中に登録圃場が存在する場合、圃場データの中から登録圃場に対応する圃場の所在地を抽出し、抽出した圃場の所在地と、登録圃場に対応付けられた第1情報31、第2情報32及び第3情報33を、所在地情報として所在地記憶部3に記憶させる(S82、S83)。つまり、管理サーバ1は、所有者Dが農作業を行っていた圃場を、耕作放棄地Gの登録をトリガとして、耕作放棄地Gとして処理する。
【0059】
また、管理サーバ1は、圃場データの中から登録圃場に対応する圃場の面積を抽出し、抽出した面積を耕作放棄地Gの面積としてもよいし、圃場データの中から登録圃場に対応する圃場の地図上での範囲を抽出し、抽出した地図上での範囲を耕作放棄地Gの地図上での範囲としてもよい。これら耕作放棄地Gの面積、耕作放棄地Gの地図上での範囲を所在地情報としてもよい。
【0060】
管理サーバ1は、耕作放棄地Gの面積、耕作放棄地Gの地図上での範囲だけでなく、耕作放棄地Gにおける区画のうち利用者が決まっていない区画、耕作放棄地Gの標高、耕作放棄地Gの放棄年数、のうち少なくとも一つを所在地情報としてもよい。耕作放棄地Gにおける区画のうち利用者が決まっていない区画は、耕作放棄地Gの登録後、ユーザーEに借りられていない区画により抽出することができ、耕作放棄地Gの標高は標高を含むマップにより抽出することができ、耕作放棄地Gの放棄年数は、耕作放棄地Gとして登録されてからの経過年数で抽出することができる。
【0061】
なお、上述した実施形態では、耕作放棄地Gの登録時にマップMP1で選択した圃場と、圃場データとから、耕作放棄地Gの所在地を割り出していたが、これに代えて、所有者Dが耕作放棄地Gの登録の画面M3に所在地を入力し、入力した所在地を耕作放棄地Gの所在地情報として、所在地記憶部3に記憶させてもよい。
【0062】
図8に示すように、管理サーバ1は、耕作放棄地Gの所在地を特定する(S84)と、データ記憶部50において、当該所在地に対応する圃場(登録圃場)の実績データを参照し、登録圃場の実績データを耕作放棄地Gの実績情報として、実績記憶部4に記憶させる(S85)。つまり、管理サーバ1は、所有者Dが農作業を行っていた圃場の実績を、耕作放棄地Gの登録をトリガとして、耕作放棄地Gの実績情報として処理する。
【0063】
なお、実績情報は、耕作放棄地Gにおいて過去に栽培された作物の生育状態と、耕作放棄地Gにおいて過去に栽培された作物の生育環境と、のうち少なくとも一方を含んでいると好適である。なお、上述した実施形態では、登録圃場が確定すると、実績データから耕作放棄地Gの実績情報を抽出していたが、所有者Dは、入力装置6に、当該所有者Dが他者への提供を希望している耕作放棄地Gに関する実績情報を入力してもよい。
【0064】
図2に示すように、端末2は、処理部7を有している。処理部7は、位置情報取得部9と、生成部10と、表示制御部11と、を有している。
【0065】
位置情報取得部9は、例えばGPS(グローバル・ポジショニング・システム)等を利用することにより、端末2の位置情報を取得する。ユーザーEが、タッチパネル8に対して所定の操作(例えば、不図示の所定のタッチボタンに対するタッチ操作)を行った場合、位置情報取得部9は、端末2の位置情報を、管理サーバ1へ送る。管理サーバ1は、当該位置情報に基づいて、所在地記憶部3に記憶された所在地情報及び実績記憶部4に記憶された実績情報の中から、端末2の近くに位置する一つまたは複数の耕作放棄地Gに関する所在地情報及び実績情報を抽出する。抽出された所在地情報及び実績情報は、管理サーバ1から生成部10へ送られる。
【0066】
生成部10は、管理サーバ1から受け取った所在地情報及び実績情報に基づいて、所在地マップ20(図1参照)を生成する。所在地マップ20は、耕作放棄地Gの位置を示すマップである。所在地マップ20は、所在地情報を示すマップでもある。
【0067】
生成部10が所在地マップ20を生成すると、表示制御部11は、所在地マップ20がタッチパネル8に表示されるように、タッチパネル8を制御する。その結果、所在地マップ20がタッチパネル8に表示される。これにより、端末2の近くに位置する一つまたは複数の耕作放棄地Gに関する所在地情報がタッチパネル8に表示されることとなる。
【0068】
尚、本発明はこれに限定されない。タッチパネル8に、所在地情報に代えて実績情報が表示されても良いし、所在地情報及び実績情報が表示されても良い。
【0069】
このように、農業支援システムAは、ユーザーEによる操作に応じて所在地情報及び実績情報のうち少なくとも一方をタッチパネル8に表示させる処理部7を備えている。また、処理部7は、所在地情報に基づいて耕作放棄地Gの位置を示す所在地マップ20を生成し、所在地マップ20をタッチパネル8に表示させる。
【0070】
尚、処理部7、及び、処理部7に含まれる位置情報取得部9等の各機能部は、マイクロコンピュータ等の物理的な装置であっても良いし、ソフトウェアにおける機能部であっても良い。例えば、端末2にインストールされたアプリケーションプログラムにより、各機能部に対応するプロセスが実行される構成であっても良い。
【0071】
〔所在地マップに関する機能〕
所在地マップ20において、所在地情報、または、実績情報のうち少なくとも一つが耕作放棄地Gに関連付けられる。また、ユーザーEが、所在地マップ20における耕作放棄地Gを選択した場合、処理部7は、選択された耕作放棄地Gに対応する所在地情報、実績情報のうち少なくとも一つをタッチパネル8に表示させる。
【0072】
例えば、図1に示す例では、ユーザーEにより、土地30が選択されている。土地30は、耕作放棄地Gである。土地30が選択されることにより、土地30に関連付けられている所在地情報、または、実績情報のうち少なくとも一つが、所在地マップ20上に表示される。
【0073】
図1に示す例では、土地30の地図上での範囲、第1情報31、第2情報32、第3情報33が所在地マップ20上に表示されている。土地30の地図上での範囲、第1情報31、第2情報32、第3情報33は、何れも、所在地マップ20において土地30に関連付けられている所在地情報(言い換えれば、土地30に対応する所在地情報)に含まれている。
【0074】
ただし、本発明はこれに限定されない。土地30の地図上での範囲、第1情報31、第2情報32、第3情報33以外の情報が、所在地マップ20において土地30に関連付けられている所在地情報に含まれていても良く、所在地マップ20上に表示されても良い。例えば、土地30の標高、及び、土地30の放棄年数が、所在地マップ20において土地30に関連付けられている所在地情報に含まれており、且つ、所在地マップ20上に表示されても良い。
【0075】
また、所在地マップ20において土地30に実績情報が関連付けられており、且つ、当該実績情報が所在地マップ20上に表示されても良い。
【0076】
尚、特に限定されないが、所在地マップ20における耕作放棄地Gの選択は、例えば、タッチ操作により行われても良い。
【0077】
〔各種機能〕
処理部7は、ユーザーEによる操作(例えば、タッチパネル8の下端部に表示されている複数のアイコンに対するタッチ操作)に応じて、様々な機能を端末2に実現させるように構成されている。特に限定されないが、本実施形態においては、ガイダンス機能、画像診断機能、マップ表示機能、データ管理機能、出品機能が、端末2によって実現される。
【0078】
ガイダンス機能は、図3に示すように、作物の栽培方法をタッチパネル8に表示する機能である。ガイダンス機能において、処理部7は、耕作放棄地Gに対応する実績情報に基づいて、当該耕作放棄地Gにおける作物の栽培方法をタッチパネル8に表示させる。このとき、当該耕作放棄地Gに特有の栽培方法(あるいは、当該耕作放棄地Gに適した栽培方法)がタッチパネル8に表示されると好適である。
【0079】
このように、処理部7は、ユーザーEによる操作に応じて、作物の栽培方法をタッチパネル8に表示させることが可能である。また、処理部7は、実績情報に基づいて栽培方法をタッチパネル8に表示することが可能である。
【0080】
画像診断機能は、ユーザーEが耕作放棄地Gで作物を栽培している場合に、当該作物の撮像画像に基づいて、病害虫等の診断を行う機能である。当該撮像画像は、端末2に備わるカメラによって取得されても良い。
【0081】
マップ表示機能は、上述の所在地マップ20をタッチパネル8に表示する機能である。
【0082】
データ管理機能は、ユーザーEが耕作放棄地Gで作物を栽培している場合に、ユーザーEが当該作物の栽培のために行った作業内容を記録できる機能である。データ管理機能においては、作業内容を示す文字(テキスト)情報と共に、作業内容や作業結果を示す撮像画像を記録可能であると好適である。当該撮像画像は、端末2に備わるカメラによって取得されても良い。また、データ管理機能においては、ユーザーEが作業によって消費したカロリーが計算(あるいは推定)されると共に、当該カロリーが、タッチパネル8に表示されても良いし、管理サーバ1または端末2に記録されても良い。
【0083】
出品機能は、ユーザーEが耕作放棄地Gで作物を栽培している場合に、収穫された作物の出品を行える機能である。
【0084】
以上で説明した構成によれば、ユーザーE(農地の提供を受けたい人)は、所在地情報及び実績情報のうち少なくとも一方を閲覧することができる。そのため、ユーザーEが、自身の希望(例えば、自宅の近所に位置していること等の条件)に合致する耕作放棄地Gを探しやすい。これにより、マッチングが容易になる。
【0085】
図7は、農業支援システムAにおける動作を示している。
【0086】
図7に示すように、所有者Dは、耕作放棄地Gの登録前においては、入力装置6を操作することによって管理サーバ1に接続し(S1)、画面M1等に対する所定の操作を行うことによって、所有する圃場の登録、即ち、登録データの保存を行う(S2)。また、所有者Dは、耕作放棄地Gの登録前において、入力装置6を操作することによって管理サーバ1に接続し(S3)、画面M2等に対する所定の操作を行うことによって、作業の実績、即ち、実績データの保存を行う(S4)。
【0087】
所有者Dは、耕作放棄地Gの登録時においては、入力装置6を操作することによって管理サーバ1に接続し(S5)、画面M3等に対する所定の操作を行うことによって、耕作放棄地Gの登録を行う(S6)。管理サーバ1は、耕作放棄地Gの登録が行われると、圃場データを参照し、耕作放棄地Gの所有者情報の作成を行う(S7)。管理サーバ1は、耕作放棄地Gの所在地が把握できると、実績データを参照し、耕作放棄地Gの実績情報の作成を行う(S8)。
【0088】
ユーザーEは、耕作放棄地Gを用いて農作業を行いたい、作物を栽培したい場合、端末2を操作することによって管理サーバ1に接続し(S9)、耕作放棄地Gが選択されると、所在地情報、または、実績情報のうち少なくとも一つが、所在地マップ20上に表示される(S10)。
【0089】
従って、以上で説明した構成によれば、耕作放棄地Gの活用を促進することができる農業支援システムAを実現できる。
【0090】
〔その他の実施形態〕
(1)本発明に係る「表示部」は、タッチパネル8に限定されない。本発明に係る「表示部」は、所在地情報及び実績情報のうち少なくとも一方を表示可能であれば、いかなる部材であっても良い。
【0091】
(2)処理部7、あるいは、処理部7に含まれる位置情報取得部9等の各機能部は、端末2の外部に(例えば管理サーバ1に)設けられていても良い。
【0092】
(3)生成部10は設けられていなくても良い。即ち、所在地マップ20がタッチパネル8に表示されない構成であっても良い。
【0093】
(4)所在地情報は、耕作放棄地Gの面積、耕作放棄地Gの地図上での範囲、耕作放棄地Gにおける区画のうち利用者が決まっていない区画、耕作放棄地Gの標高、耕作放棄地Gの放棄年数、のうち何れも含んでいなくても良い。
【0094】
(5)耕作放棄地Gは、複数の区画に分けられていても良いし、分けられていなくても良い。
【0095】
(6)位置情報取得部9は設けられていなくても良い。
【0096】
(7)生成部10は、管理サーバ1から受け取った所在地情報及び実績情報に基づいて、所在地マップ20に代えて、耕作放棄地Gに関する情報が記載されたリストを生成するように構成されていても良い。当該リストに、所在地情報及び実績情報のうち少なくとも一方が記載されていても良い。処理部7は、当該リストをタッチパネル8に表示させても良い。
【0097】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、農業支援システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
3 :所在地記憶部
4 :実績記憶部
7 :処理部
8 :タッチパネル(表示部)
20 :所在地マップ
A :農業支援システム
E :ユーザー
G :耕作放棄地
図1
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図8