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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005913
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/06 20060101AFI20250109BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20250109BHJP
   A01F 12/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01D69/06
A01D41/12 Z
A01F12/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106344
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
2B092
【Fターム(参考)】
2B074AA02
2B074AB01
2B074AD05
2B074AD06
2B074AE01
2B074BA09
2B074DE03
2B074DF03
2B076AA03
2B076DA10
2B076DB02
2B092AA01
2B092AB04
2B092BC21
(57)【要約】
【課題】排藁切断装置が脱穀装置の後方に設けられたコンバインにおいて、伝動ベルトの取り外し作業の作業性を向上させる。
【解決手段】無端回動体23によって脱穀装置5の動力を排藁切断装置7に伝達する伝動機構19と、テンション機構31とが備えられる。テンション機構31は、揺動可能なテンションアーム32と、テンションアーム32の一端部に回転可能に支持されたテンションローラ33と、テンションアーム32の他端部に連結されたテンションスプリング34と、テンションアーム32の一端部に設けられたハンドル35とを有している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、
前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、
前記脱穀装置における機体左右方向の一側部と前記排藁切断装置における機体左右方向の一側部とに亘って設けられ、無端回動体によって前記脱穀装置の動力を前記排藁切断装置に伝達する伝動機構と、
前記無端回動体にテンションを付与するテンション付与状態と、前記無端回動体にテンションを付与しないテンション解除状態とに切り替え可能なテンション機構と、を備え、
前記テンション機構は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで揺動可能なテンションアームと、前記テンションアームの一端部に回転可能に支持され、前記無端回動体に接触可能なテンションローラと、前記テンションアームの他端部に連結され、前記テンションアームを前記揺動軸心周りで前記テンションローラが前記無端回動体に接触する側に揺動付勢するテンションスプリングと、前記テンションアームの前記一端部に設けられ、前記テンションアームを前記揺動軸心周りで前記テンションローラが前記無端回動体から離間する側に揺動操作するためのハンドルと、を有しているコンバイン。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記テンション機構が前記テンション付与状態であるときに、前記揺動軸心よりも上側に位置している請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記ハンドルは、機体前後方向における前記脱穀装置と前記排藁切断装置との境界よりも後側に配置されている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記排藁切断装置の前記一側部を機体左右方向の外側から覆うサイドカバーを備え、
前記ハンドルは、前記排藁切断装置の前記一側部と前記サイドカバーとの間に配置されている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記テンションアームから機体左右方向の外側に延びている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記ハンドルは、前記テンションアームの前記一端部に連結され、前記テンションアームに沿って前記揺動軸心とは反対側に延びる第一部分と、前記第一部分の先端部に連結され、前記第一部分の先端部から機体左右方向の外側に延びる第二部分と、を有している請求項5に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインにおいて、脱穀装置から出てきた排藁を細かく切断する排藁切断装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
排藁切断装置が脱穀装置の後方に設けられたコンバインが、特許文献1に開示されている。
特許文献1では、伝動ベルト(無端回動体に相当)が、脱穀装置の左側部と排藁切断装置の左側部とに亘って設けられており、動力が伝動ベルトを介して排藁切断装置に伝達される。伝動ベルトに対して、揺動可能なテンションアームと、テンションアームの上部に支持されたテンションローラと、テンションアームの下部に連結されたテンションスプリングとが設けられている。
【0003】
排藁切断装置が脱穀装置の後方に設けられたコンバインでは、特許文献2に開示されているように、伝動ベルトが取り外されることにより、排藁切断装置における伝動ベルトと反対側の右側部を支点として、排藁切断装置が脱穀装置から後方に離し操作可能になる。
これにより、作業者は、脱穀装置の内部のメンテナンス作業や、排藁切断装置のメンテナンス作業を行うことができる。
【0004】
特許文献1では、テンションアームの下部が下方に延出されており、テンションアームの延出部分がハンドルとなっている。
これにより、作業者が伝動ベルトを取り外す場合、作業者は、一方の手を下方に延ばしてテンションアームのハンドルを持ち、テンションアームのハンドルをテンションスプリングに抗して上方に操作して、テンションローラを伝動ベルトから離し操作しながら、他方の手で伝動ベルトを取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-40086号公報(図3参照)
【特許文献2】特開2008-301773号公報(図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、テンションアームにおいて、ハンドルが伝動ベルトに接触するテンションローラに対して反対側に設けられており、ハンドルは伝動ベルトから下方に離れている。これにより、作業者は、一方の手で伝動ベルトから離れたテンションアームのハンドルを持ちながら、他方の手で離れた伝動ベルトを取り外す作業を行うことになるので、作業性に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、排藁切断装置が脱穀装置の後方に設けられたコンバインにおいて、伝動ベルトの取り外し作業の作業性を向上させること目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコンバインは、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、前記脱穀装置における機体左右方向の一側部と前記排藁切断装置における機体左右方向の一側部とに亘って設けられ、無端回動体によって前記脱穀装置の動力を前記排藁切断装置に伝達する伝動機構と、前記無端回動体にテンションを付与するテンション付与状態と、前記無端回動体にテンションを付与しないテンション解除状態とに切り替え可能なテンション機構と、を備え、前記テンション機構は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで揺動可能なテンションアームと、前記テンションアームの一端部に回転可能に支持され、前記無端回動体に接触可能なテンションローラと、前記テンションアームの他端部に連結され、前記テンションアームを前記揺動軸心周りで前記テンションローラが前記無端回動体に接触する側に揺動付勢するテンションスプリングと、前記テンションアームの前記一端部に設けられ、前記テンションアームを前記揺動軸心周りで前記テンションローラが前記無端回動体から離間する側に揺動操作するためのハンドルと、を有している。
【0009】
本発明によると、排藁切断装置に動力を伝達する無端回動体に対してテンション機構が設けられ、テンション機構は、揺動可能なテンションアームと、テンションアームの一端部に支持されたテンションローラと、テンションアームの他端部に連結されたテンションスプリングとを有している。ハンドルが無端回動体に接触するテンションローラと同じ側であるテンションアームの一端部に設けられており、ハンドルは無端回動体に接近して設けられる。
【0010】
これにより、作業者は、一方の手をあまり延ばさなくても、一方の手でテンションアームのハンドルを容易に持つことができる。
作業者が、一方の手でテンションアームのハンドルを、テンションローラが無端回動体から離れる側に操作しても、テンションアームのハンドルは無端回動体からあまり離れることがないので、作業者は、一方の手でテンションアームのハンドルを持ちながら、他方の手で伝動ベルトを取り外す作業を容易に行うことができる。
【0011】
以上のように、作業者が一方の手でテンションアームのハンドルを容易に持つことができる点、及び、作業者が一方の手でテンションアームのハンドルを持ちながら他方の手で伝動ベルトを取り外す作業を容易に行うことができる点により、伝動ベルトの取り外し作業の作業性を向上させることができる。
【0012】
本発明において、前記ハンドルは、前記テンション機構が前記テンション付与状態であるときに、前記揺動軸心よりも上側に位置していると好適である。
【0013】
本発明によると、テンション付与状態において、テンションアームのハンドルは作業者の上半身にさらに近い位置に配置され、作業者の手にさらに近い位置に配置されるので、伝動ベルトの取り外し作業の作業性の向上の面で有利である。
【0014】
本発明において、前記ハンドルは、機体前後方向における前記脱穀装置と前記排藁切断装置との境界よりも後側に配置されていると好適である。
【0015】
本発明によると、作業者が排藁切断装置の横方に立って伝動ベルトの取り外し作業を行う場合、テンションアームのハンドルが作業者に近い位置に配置されるので、伝動ベルトの取り外し作業の作業性の向上の面で有利である。
【0016】
本発明において、前記排藁切断装置の前記一側部を機体左右方向の外側から覆うサイドカバーを備え、前記ハンドルは、前記排藁切断装置の前記一側部と前記サイドカバーとの間に配置されていると好適である。
【0017】
本発明によると、テンションアームのハンドルは、刈取作業時においてサイドカバーにより覆われているので、テンションアームのハンドルが刈取作業に影響を及ぼすことはない。作業者は、伝動ベルトの取り外し作業を行う場合、サイドカバーを開操作又は取り外し操作すればよい。
【0018】
本発明において、前記ハンドルは、前記テンションアームから機体左右方向の外側に延びていると好適である。
【0019】
本発明によると、作業者にとってテンションアームのハンドルが持ち易くなるので、伝動ベルトの取り外し作業の作業性の向上の面で有利である。
【0020】
本発明において、前記ハンドルは、前記テンションアームの前記一端部に連結され、前記テンションアームに沿って前記揺動軸心とは反対側に延びる第一部分と、前記第一部分の先端部に連結され、前記第一部分の先端部から機体左右方向の外側に延びる第二部分と、を有していると好適である。
【0021】
本発明によると、テンションアームのハンドルが第一部分と第二部分とを有することにより、テンションアームのハンドルがテンションアームから機体左右方向の外側に延びる構成を容易に得ることができるので、構造の簡素化の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】排藁切断装置の付近の平面図である。
図3】伝動機構の付近の左側面図である。
図4】伝動機構の付近の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図4は、自脱型のコンバインを示しており、図1図4において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0024】
(コンバインの全体構成)
図1に示すように、右及び左のクローラ型式の走行装置2が、機体1に取り付けられており、機体1は走行装置2により支持されている。刈取部3及び運転部4が機体1の前部に設けられ、脱穀装置5及びグレンタンク6が機体1の後部に設けられており、排藁切断装置7が脱穀装置5の後部に取り付けられている。
【0025】
機体1の前進に伴って、圃場の穀稈が刈取部3により刈り取られ、刈り取られた穀稈が横倒れ姿勢に姿勢変更されながら後方に搬送され、穀稈の株元が脱穀装置5のフィードチェーン8に受け渡されて後方に搬送される。穀稈の株元がフィードチェーン8により後方に搬送されながら、穀稈の穂先部が脱穀装置5で脱穀処理され、穀粒が回収されてグレンタンク6に貯留される。
【0026】
図1及び図2に示すように、脱穀処理が終了した穀稈は、排藁搬送装置9により、横倒れ姿勢で脱穀装置5から排藁切断装置7に供給され、排藁切断装置7において細かく切断されて圃場に放出される。又は、脱穀処理が終了した穀稈は、横倒れ姿勢で排藁切断装置7の上方を通過して、圃場に放出される。
【0027】
穀粒排出装置10が、グレンタンク6の後部下部から上方に向けて延出されている。グレンタンク6が満杯になると、グレンタンク6に貯留された穀粒は、穀粒排出装置10により、別のトラック(図示せず)等に排出されて移される。
【0028】
(排藁切断装置の構成)
図2及び図3に示すように、排藁切断装置7は、箱状のケース11の内部に、切断回転体12及び供給回転体13が回転可能に設けられている。
【0029】
ケース11は、右側部14、左側部15(排藁切断装置7における機体左右方向の一側部に相当)、後側部16及び天板部17が設けられており、ケース11の前側部及び下側部は開放されている。天板部17の後部が、機体左右方向に沿った軸心P1周りに上下に揺動可能に、後側部16の上部に取り付けられており、天板部17は、閉位置(図3参照)及び閉位置から上方に揺動した開位置に操作可能である。
【0030】
切断回転体12は、円板状の多数の切断刃12aが軸部12bに取り付けられている。切断回転体12の軸部12bは、機体左右方向に沿った軸心P2周りに回転可能に、ケース11の右側部14及び左側部15に亘って取り付けられており、切断回転体12は図3の反時計方向に回転駆動される。
【0031】
供給回転体13は、円板状の多数の供給体13aが軸部13bに取り付けられている。供給回転体13の軸部13bは、機体左右方向に沿った軸心P3周りに回転可能に、ケース11の右側部14及び左側部15に亘って取り付けられており、供給回転体13は図3の時計方向に切断回転体12よりも低速で回転駆動される。
【0032】
排藁切断装置7において、ケース11の天板部17が開位置に操作されていると、排藁搬送装置9により搬送される排藁は、排藁搬送装置9の終端部から落下して排藁切断装置7の内部に供給される。排藁は、供給回転体13により下方に送られながら、切断回転体12より細かく切断されて圃場に放出される。
【0033】
排藁切断装置7において、ケース11の天板部17が閉位置に操作されていると、排藁搬送装置9により搬送される排藁は、排藁搬送装置9の終端部からケース11の天板部17に落下し、ケース11の天板部17を後方下方に滑って圃場に放出される。
【0034】
(排藁切断装置の作業位置及び非作業位置)
図2に示すように、穀粒排出装置10の下部を支えるフレーム18が、機体上下方向に沿って設けられており、ケース11の右側部14が、機体上下方向に沿った軸心P4周りに揺動可能にフレーム18に取り付けられている。図2及び図3に示す状態は、排藁切断装置7が脱穀装置5の後側部に接続された作業位置に操作された状態である。
【0035】
後述するように、排藁切断装置7が、軸心P4周りに後方に揺動操作され、脱穀装置5の後側部から後方に離し操作されて、非作業位置に操作されることにより、脱穀装置5の内部のメンテナンス作業や、排藁切断装置7のメンテナンス作業を行うことができる。
【0036】
(排藁切断装置に動力を伝達する伝動機構の概要)
図2,3,4に示すように、伝動機構19が、脱穀装置5の左側部5a(脱穀装置5における機体左右方向の一側部に相当)と、排藁切断装置7(ケース11)の左側部15とに亘って設けられている。
【0037】
伝動機構19は、伝動プーリー21,22、伝動ベルト23(無端回動体に相当)、円筒軸25、伝動スプロケット26,27、伝動チェーン28及び伝動ギヤ29,30等を有している。
【0038】
サイドカバー36が、脱穀装置5の左側部5aと排藁切断装置7(ケース11)の左側部15とに亘って取り付けられている。サイドカバー36により伝動機構19が覆われており、伝動機構19は、平面視で排藁切断装置7(ケース11)の左側部15とサイドカバー36との間に設けられている。
【0039】
(排藁切断装置に動力を伝達する伝動機構の詳細)
図2,3,4に示すように、フィードチェーン8を駆動する駆動機構20が、脱穀装置5の左側部5aの後部に設けられている。フィードチェーン8を駆動する動力により回転駆動される伝動プーリー21が、駆動機構20に設けられ、伝動プーリー21は図3の反時計方向に回転駆動される。
【0040】
排藁切断装置7において、伝動プーリー21と略同径の伝動プーリー22が、切断回転体12の軸部12bに連結されており、伝動ベルト23が伝動プーリー21と伝動プーリー22とに亘って取り付けられている。
【0041】
支点軸24が、ケース11の左側部15における供給回転体13の軸部13bの下方の部分に連結されており、円筒軸25が支点軸24に回転可能に取り付けられている。伝動スプロケット26が切断回転体12の軸部12bに連結され、伝動スプロケット26よりも大径の伝動スプロケット27が円筒軸25に連結されている。伝動チェーン28が、伝動スプロケット26と伝動スプロケット27とに亘って取り付けられている。
【0042】
伝動ギヤ29が円筒軸25に連結され、伝動ギヤ29よりも大径の伝動ギヤ30が、供給回転体13の軸部13bに連結されており、伝動ギヤ29と伝動ギヤ30とが咬合している。
【0043】
伝動プーリー21の動力が、伝動ベルト23及び伝動プーリー22を介して切断回転体12の軸部12bに伝達されて、切断回転体12が図3の反時計方向に回転駆動される。切断回転体12の軸部12bに伝達された動力が、伝動スプロケット26,27及び伝動チェーン28を介して減速されて円筒軸25に伝達される。
【0044】
円筒軸25に伝達された動力が、伝動ギヤ29,30を介して減速され逆転されて、供給回転体13の軸部13bに伝達され、供給回転体13が図3の時計方向に切断回転体12よりも低速で回転駆動される。
【0045】
(排藁切断装置に動力を伝達する伝動機構における請求項との対応)
以上の構成により、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置5が備えられている。脱穀装置5の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置7が備えられている。
脱穀装置5における機体左右方向の一側部(左側部5a)と排藁切断装置7における機体左右方向の一側部(左側部15)とに亘って設けられ、無端回動体(伝動ベルト23)によって脱穀装置5の動力を排藁切断装置7に伝達する伝動機構19が備えられている。
【0046】
(伝動ベルトに対するテンション機構の構成)
図2,3,4に示すように、テンション機構31が、伝動機構19の伝動ベルト23に対して設けられている。テンション機構31は、テンションアーム32、テンションローラ33、テンションスプリング34及びハンドル35等を有している。
【0047】
テンション機構31は、伝動機構19の伝動ベルト23の下部分に対して下側に設けられている。サイドカバー36によりテンション機構31が覆われており、テンション機構31は、平面視で排藁切断装置7(ケース11)の左側部15とサイドカバー36との間に設けられている。
【0048】
テンションアーム32が、機体左右方向に沿った軸心P5(揺動軸心に相当)周りに揺動可能に、支点軸24に取り付けられている。テンションアーム32は、軸心P5から斜め前方上方に向けて延出される上部分32aと、軸心P5から斜め後方下方に向けて延出される下部分32bとを有している。
【0049】
テンションローラ33が、テンションアーム32の上部分32aの端部(テンションアーム32の一端部に相当)に、回転可能に取り付けられている。テンションスプリング34が、テンションアーム32の下部分32bの端部(テンションアーム32の他端部に相当)と、ケース11の左側部15の前部の下部とに亘って取り付けられている。テンションスプリング34により、テンションアーム32が図3の時計方向に付勢されている。
【0050】
(テンション機構におけるハンドルの構成)
図3及び図4に示すように、ハンドル35が、テンションアーム32の上部分32aに連結されている。ハンドル35は、第一部分35aと第二部分35bとを有して、アングル状に形成されている。
【0051】
ハンドル35の第一部分35aは、テンションアーム32の上部分32aの端部に連結されており、テンションアーム32の上部分32aから、テンションアーム32の上部分32aに沿って、軸心P5とは反対側である前方の斜め下方に向けて延出されている。
【0052】
ハンドル35の第二部分35bは、ハンドル35の第一部分35aの先端部から、伝動機構19の伝動ベルト23の下部分に対して下側を通って、機体左右方向の外側である左方に向けて延出されている。
【0053】
(テンション機構のテンション付与状態)
図3の実線で示す状態は、テンションスプリング34によりテンションアーム32が図3の時計方向に付勢され、テンションローラ33が、伝動ベルト23の下部分に対して下方から上方に向けて押圧されたテンション機構31のテンション付与状態である。テンション機構31のテンション付与状態において、伝動ベルト23に張力が発生して、伝動プーリー21の動力が伝動ベルト23を介して伝動プーリー22に伝達される。
【0054】
テンション機構31のテンション付与状態において、テンションアーム32の上部分32aは、軸心P5から斜め前方上方に向けて延出されており、テンションローラ33及びハンドル35は、側面視で、軸心P5よりも上側に位置している。
【0055】
テンションローラ33及びハンドル35は、側面視で、脱穀装置5の左側部5aの後端部(機体前後方向における脱穀装置5と排藁切断装置7との境界に相当)よりも後側に位置しており、排藁切断装置7の(ケース11)の左側部15の前端部(機体前後方向における脱穀装置5と排藁切断装置7との境界に相当)よりも後側に位置している。
【0056】
ハンドル35の第一部分35aがテンションアーム32の上部分32aから前方の斜め下方に向けて延出されていることにより、ハンドル35(第二部分35b)が伝動ベルト23に接触することはない。
【0057】
(テンション機構のテンション解除状態)
図1図4に示すサイドカバー36が取り外され、伝動ベルト23が伝動プーリー22から取り外されることにより、排藁切断装置7は、図2に示す作業位置から軸心P4周りに後方に揺動操作可能となり、脱穀装置5の後側部から後方に離れた非作業位置に操作可能になる。
【0058】
作業者は、排藁切断装置7を非作業位置に操作する場合、サイドカバー36を脱穀装置5及び排藁切断装置7から取り外す。
図3及び図4に示すように、作業者は、一方の手でハンドル35の第二部分35bを持ちながら、自身の体重を上側から掛けるようにしてハンドル35を下方に操作し、テンションアーム32を図3の反時計方向に揺動操作して、テンションローラ33を伝動ベルト23の下部分から下側に離し操作する(図3の破線参照)。これにより、テンション機構31はテンション解除状態となる。
【0059】
テンション機構31がテンション解除状態に操作されることにより、伝動ベルト23の張力が消失するので、作業者は、他方の手で伝動ベルト23を伝動プーリー22から取り外す。これにより、作業者は、排藁切断装置7を非作業位置に操作することができる。
【0060】
テンション機構31のテンション解除状態(図3の破線参照)において、テンションアーム32の上部分32aは、軸心P5から略水平な姿勢で前方に向けて延出されている。
テンションローラ33は、側面視で、軸心P5と略同じ高さに位置し、ハンドル35(第二部分35b)は、側面視で、軸心P5よりも少し低い位置に位置する。テンションローラ33及びハンドル35は、側面視で、脱穀装置5の左側部5aの後端部及び排藁切断装置7の(ケース11)の左側部15の前端部よりも後側に位置する。
【0061】
(テンション機構における請求項との対応)
以上の構成により、無端回動体(伝動ベルト23)にテンションを付与するテンション付与状態と、無端回動体(伝動ベルト23)にテンションを付与しないテンション解除状態とに切り替え可能なテンション機構31が備えられている。
【0062】
テンション機構31は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心(軸心P5)周りで揺動可能なテンションアーム32と、テンションアーム32の一端部に回転可能に支持され、無端回動体(伝動ベルト23)に接触可能なテンションローラ33と、テンションアーム32の他端部に連結され、テンションアーム32を揺動軸心(軸心P5)周りでテンションローラ33が無端回動体(伝動ベルト23)に接触する側に揺動付勢するテンションスプリング34と、テンションアーム32の一端部に設けられ、テンションアーム32を揺動軸心(軸心P5)周りでテンションローラ33が無端回動体(伝動ベルト23)から離間する側に揺動操作するためのハンドル35と、を有している。
【0063】
ハンドル35は、テンション機構31がテンション付与状態であるときに、揺動軸心(軸心P5)よりも上側に位置している。
ハンドル35は、機体前後方向における脱穀装置5と排藁切断装置7との境界よりも後側に配置されている。
【0064】
排藁切断装置7の一側部(左側部15)を機体左右方向の外側から覆うサイドカバー36が備えられている。
ハンドル35は、排藁切断装置7の一側部(左側部15)とサイドカバー36との間に配置されている。ハンドル35は、テンションアーム32から機体左右方向の外側に延びている。
【0065】
ハンドル35は、テンションアーム32の一端部に連結され、テンションアーム32に沿って揺動軸心(軸心P5)とは反対側に延びる第一部分35aと、第一部分35aの先端部に連結され、第一部分35aの先端部から機体左右方向の外側に延びる第二部分35bと、を有している。
【0066】
(発明の実施の第1別形態)
脱穀装置5が機体1の後部の右部に設けられて、フィードチェーン8が脱穀装置5の右部に設けられた場合、排藁切断装置7は、排藁切断装置7(ケース11)の左側部15に設定された軸心P4周りに、脱穀装置5の後部から後方に離れた非作業位置に操作されるように構成される。
【0067】
前述の構成によると、伝動機構19は、脱穀装置5の右側部と排藁切断装置7(ケース11)の右側部14とに亘って設けられ、テンション機構31は、排藁切断装置7(ケース11)の右側部14に設けられる。脱穀装置5の右側部が、脱穀装置5における機体左右方向の一側部となり、排藁切断装置7(ケース11)の右側部14が、排藁切断装置7における機体左右方向の一側部となる。
【0068】
(発明の実施の第2別形態)
支点軸24(軸心P5)が、排藁切断装置7の左側部15において、図3に示す位置よりも前側に設けられてもよい。
【0069】
前述の構成によると、テンション機構31のテンション付与状態で、テンションアーム32の上部分32aが、軸心P5から斜め後方上方に向けて延出され、テンション機構31のテンション解除状態で、テンションアーム32の上部分32aが、軸心P5から略水平な姿勢で後方に向けて延出されるように構成すればよい。テンションスプリング34により、テンションアーム32が図3の反時計方向に付勢されるように構成すればよい。
【0070】
(発明の実施の第3別形態)
ハンドル35において、第一部分35aと第二部分35bとが別部材に構成され、第一部分35aと第二部分35bとが、溶接やボルト等により連結されるように構成されてもよい。
【0071】
(発明の実施の第4別形態)
伝動機構19において、伝動ベルト23に代えて、伝動チェーン(図示せず)が無端回動体として使用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、自脱型のコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0073】
5 脱穀装置
5a 左側部(一側部)
7 排藁切断装置
15 左側部(一側部)
19 伝動機構
23 無端回動体
31 テンション機構
32 テンションアーム
32a 第一部分
32b 第二部分
33 テンションローラ
34 テンションスプリング
35 ハンドル
36 サイドカバー
P5 揺動軸心
図1
図2
図3
図4