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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005914
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/06 20060101AFI20250109BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20250109BHJP
   A01F 12/56 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A01D69/06
A01D41/12 Z
A01F12/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106345
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
【テーマコード(参考)】
2B074
2B076
2B092
【Fターム(参考)】
2B074AA02
2B074AB01
2B074AC02
2B074AD05
2B074AD06
2B074AE01
2B074BA06
2B074DD03
2B074DE03
2B074DF03
2B074GB02
2B074GH05
2B076AA03
2B076DB02
2B092AA01
2B092AB04
2B092CA02
2B092CA55
2B092CA71
(57)【要約】
【課題】無端回動体によって動力を脱穀装置の各部に伝達する伝動機構と、伝動機構を横外側から覆うサイドカバーと、が備えられ、サイドカバーの伝動機構と重複しない部分に開口が形成されているコンバインにおいて、土砂やワラ屑などが開口からサイドカバー内に入り込んでも侵入物が伝動機構に巻き込まれることを回避し易くする。
【解決手段】脱穀装置8とサイドカバー12との間の領域のうち伝動機構Mが位置する領域と開口52に対向する領域との間に仕切部材58が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、
前記脱穀装置における機体左右方向の一側部の下部に設けられ、無端回動体によって動力を前記脱穀装置の各部に伝達する伝動機構と、
側面視で前記伝動機構と重複しない部分に形成される開口を有し、前記伝動機構を機体左右方向の外側から覆うサイドカバーと、
前記脱穀装置と前記サイドカバーとの間の領域のうち前記伝動機構が位置する領域と前記開口に対向する領域との間に設けられる仕切部材と、を備えているコンバイン。
【請求項2】
前記仕切部材は、前下がりに傾斜する傾斜部及び後下がりに傾斜する傾斜部のうち少なくとも何れかを有している請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記開口は、機体前後方向に間隔をあけて複数形成され、
前記仕切部材は、前記開口と同数の複数であり、かつ、前記開口毎に設けられている請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記脱穀装置の前記一側部と前記サイドカバーとの間に、機体前後方向に延びる状態で設けられ、前記伝動機構を下方から覆う伝動機構カバー部材を備え、
複数の前記仕切部材は、前側の前記仕切部材と、後側の前記仕切部材と、を有し、
前側の前記仕切部材の後端部は、前記伝動機構カバー部材の前端部に取り付けられている請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記サイドカバーの前部が取り付けられるステーを備え、
前側の前記仕切部材の前端部は、前記ステーに取り付けられている請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記脱穀装置は、一番物の穀粒を回収する一番回収部を有し、
前記一番回収部は、掃除口と、前記掃除口を開閉可能に覆う掃除口カバー部材と、前記掃除口カバー部材を開閉操作するためのレバーと、を有し、
後側の前記仕切部材は、前記レバーに取り付けられている請求項4に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、脱穀装置における機体左右方向の一側部の下部に設けられ、無端回動体(伝動ベルト)によって動力を脱穀装置の各部に伝達する伝動機構(ベルト伝動機構)と、伝動機構を機体左右方向の外側から覆うサイドカバーと、が備えられたコンバインがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-65474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したコンバインにおいて、サイドカバーが機体の付属部材などに接触することを避ける開口がサイドカバーに備えられることがある。走行装置から飛散した土砂やワラ屑などが開口からサイドカバー内に入り込み、侵入物が伝動機構に触れてしまうと伝動機構に巻き込まれ易い。
【0005】
本発明は、土砂やワラ屑などが開口からサイドカバー内に入り込んでも侵入物が伝動機構に巻き込まれることを回避し易いコンバインを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるコンバインは、
刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置における機体左右方向の一側部の下部に設けられ、無端回動体によって動力を前記脱穀装置の各部に伝達する伝動機構と、側面視で前記伝動機構と重複しない部分に形成される開口を有し、前記伝動機構を機体左右方向の外側から覆うサイドカバーと、前記脱穀装置と前記サイドカバーとの間の領域のうち前記伝動機構が位置する領域と前記開口に対向する領域との間に設けられる仕切部材と、を備えている。
【0007】
本構成によると、土砂やワラ屑などが走行装置から飛散するなどによって開口からサイドカバー内に入り込んでも、侵入物が仕切部材に当って伝動機構に触れることが仕切部材によって防止されるので、侵入物が伝動機構に巻き込まれることを回避し易い。
【0008】
本発明においては、
前記仕切部材は、前下がりに傾斜する傾斜部及び後下がりに傾斜する傾斜部のうち少なくとも何れかを有していると好適である。
【0009】
本構成によると、開口からサイドカバー内に入り込んだ侵入物が仕切部材に当たると傾斜部の傾斜によって開口に向けて跳ね返り易い。侵入物が開口に向けて跳ね返り易いことにより、侵入物を伝動機構に巻き込まれ難くできるのみならず、サイドカバー内に滞留し難くできる。
【0010】
本発明においては、
前記開口は、機体前後方向に間隔をあけて複数形成され、前記仕切部材は、前記開口と同数の複数であり、かつ、前記開口毎に設けられていると好適である。
【0011】
本構成によると、土砂やワラ屑などが複数の開口のいずれからサイドカバー内に入り込んでも、侵入物が仕切部材に当って伝動機構に触れることを仕切部材によって防止できる。すなわち、侵入物が伝動機構に巻き込まれることを回避し易い。
【0012】
本発明においては、
前記脱穀装置の前記一側部と前記サイドカバーとの間に、機体前後方向に延びる状態で設けられ、前記伝動機構を下方から覆う伝動機構カバー部材を備え、複数の前記仕切部材は、前側の前記仕切部材と、後側の前記仕切部材と、を有し、前側の前記仕切部材の後端部は、前記伝動機構カバー部材の前端部に取り付けられていると好適である。
【0013】
本構成によると、前側の仕切部材の後端側を保持させる保持部材に伝動機構カバー部材を活用するので、前側の仕切部材の保持構造を簡素に済ませることができる。
【0014】
本発明においては、
前記サイドカバーの前部が取り付けられるステーを備え、前側の前記仕切部材の前端部は、前記ステーに取り付けられていると好適である。
【0015】
本構成によると、前側の仕切部材の前端側を保持させる保持部材にステーを活用するので、前側の仕切部材の保持構造を簡素に済ませることができる。
【0016】
本発明においては、
前記脱穀装置は、一番物の穀粒を回収する一番回収部を有し、前記一番回収部は、掃除口と、前記掃除口を開閉可能に覆う掃除口カバー部材と、前記掃除口カバー部材を開閉操作するためのレバーと、を有し、後側の前記仕切部材は、前記レバーに取り付けられていると好適である。
【0017】
本構成によると、仕切部材を保持させる保持部材にレバーを活用するので、仕切部材の保持構造を簡素に済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】コンバインの左横側方から見た側面図である。
図2】伝動機構の側面図である。
図3】前側の仕切部材を示す側面図である。
図4】前側の仕切部材を示す正面図である。
図5】一番回収部および後側の仕切部材を示す側面図である。
図6】一番回収部および後側の仕切部材を示す後面図である。
図7】経路カバーの支持構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、コンバインの走行機体に関し、図1に示される矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Uの方向を「機体上側」、矢印Dの方向を「機体下側」、図1の紙面表側の方向を「機体左側」、図1の紙面裏側の方向を「機体右側」とする。
【0020】
〔コンバインの全体〕
図1に示されるように、コンバインは、角パイプ材などの複数の鋼材を連結して構成された機体フレーム1、機体フレーム1の下部に装備された左右一対のクローラ式走行装置2を有する機体3を備えている。機体3の前部に、運転部4および刈取搬送部5が設けられている。運転部4には、操縦者が操縦のために搭乗する搭乗空間を覆うキャビン4aが備えられている。刈取搬送部5には、圃場に植立する複数条の穀稈を引起装置6aによって引き起こしつつバリカン型の刈取装置6bによって刈り取る刈取部6と、刈取部6からの刈取穀稈を後方に搬送する供給搬送部7と、が備えられている。機体3の後部に、刈取穀稈が供給搬送部7によって供給され、供給された刈取穀稈の脱穀処理などを行う脱穀装置8と、脱穀装置8によって得られた穀粒を貯留する穀粒タンク9とが、備えられている。脱穀装置8の後部に、脱穀排ワラの細断処理を行う排ワラ細断装置10が連結されている。穀粒タンク9は、脱穀装置8に対して機体右横側に位置する部位において運転部4の後方に設けられている。穀粒タンク9から穀粒を搬出する穀粒搬出装置11が穀粒タンク9の後部から延ばされている。脱穀装置8の機体左横側の外側方にサイドカバー12が設けられている。
【0021】
〔脱穀装置について〕
脱穀装置8は、図1に示されるように、供給搬送部7の後方に設けられている。脱穀装置8には、脱穀装置8の上部に形成された脱穀部8A、脱穀部8Aの下方に形成された選別部8Bが備えられている。
【0022】
脱穀部8Aは、図1に示されるように、扱室(図示せず)、扱胴13、受網(図示せず)、脱穀フィードチェーン13aなどを有し、刈取穀稈の脱穀処理を行う。すなわち、供給搬送部7から供給された刈取穀稈の株元側部が脱穀フィードチェーン13aによって挟持されて扱室の後方に向けて搬送され、刈取穀稈の穂先側部が扱室に挿入されて扱胴13によって脱穀処理される。
【0023】
扱室の後方に、拡散胴14、排ワラ搬送装置15が設けられている。拡散胴14は、扱室から排出された切れワラなどの排出物を拡散させて排出物から穀粒などを流下させる。排ワラ搬送装置15は、扱室から排出された脱穀排ワラを受け継いで後方に搬送して排ワラ細断装置10に供給する。
【0024】
選別部8Bは、図1に示されるように、揺動選別装置16、揺動選別装置16の前部の下方に設けられた唐箕17、唐箕17よりも後側で揺動選別装置16の下方に設けられた一番回収部19、一番回収部19よりも後側に設けられた二番回収部20などを有し、受網から漏下した脱穀処理物などを穀粒と塵埃とに選別する選別処理を行う。一番回収部19および二番回収部20は、スクリューコンベアによって構成されている。
【0025】
すなわち、受網から漏下した穀粒、切れワラなどの塵埃、拡散胴14によって排出された穀粒などが揺動選別装置16によって受け止められる。受け止められた穀粒、塵埃などが揺動選別装置16による揺動操作と、唐箕17からの選別風とによって単粒化した一番穀粒と、単粒化していない二番穀粒と、ワラ屑などの塵埃と、に選別される。選別された一番穀粒は、一番回収部19に落下して回収されて一番回収部19によって脱穀装置8から穀粒タンク9が位置する側の横外側に排出され、一番回収部19に接続された揚穀装置22(図1参照)によって穀粒タンク9に搬送される。選別された二番穀粒は、二番回収部20に落下して回収されて二番回収部20と、二番回収部20に接続された還元装置(図示せず)によって脱穀部8Aあるいは揺動選別装置16に還元される。選別された塵埃は、揺動選別装置16の後部から選別風と共に脱穀装置8の外部に排出される。
【0026】
〔一番回収部の掃除について〕
図5,6に示されるように、一番回収部19は、掃除口23と、掃除口23を開閉可能に覆う掃除口カバー部材24と、掃除口カバー部材24を開閉操作するレバー25とを有し、残留した穀粒などの掃除が可能になっている。
【0027】
詳述すると、一番回収部19は、スクリューコンベヤによって構成されている。図5,6に示されるように、掃除口23は、スクリュー26の下部に沿っている樋部27の底部に開口されている。掃除口カバー部材24は、樋部27の下側に樋部27に沿って位置する状態で樋部27にスライド可能に保持されている。掃除口カバー部材24には、排出口28が開口されている。レバー25は、掃除口カバー部材24から脱穀装置8の側部29に開口された貫通穴29aを通して脱穀装置8の横外側に延ばされている。掃除口23および排出口28は、スクリュー26の穀粒移送方向での複数箇所に設けられている。
【0028】
一番回収部19においては、レバー25が押し引き操作されると、掃除口カバー部材24が樋部27に沿って穀粒移送方向にスライドして排出口28が掃除口23に合致して掃除口23を開ける開き状態と、排出口28が掃除口23から外れて掃除口23を閉じる閉じ状態とに開閉操作される。掃除口カバー部材24を開き操作すると、樋部27やスクリュー26に残留していた穀粒などが掃除口23から排出口28を通って一番回収部19の外部に落下し、残留していた穀粒などを排出する掃除が行える。
【0029】
〔脱穀装置への伝動について〕
図1に示されるように、運転部4の下方にエンジンEが設けられている。図2に示されるように、脱穀装置8の下部の前外側に、カウンタ軸30が機体左右方向に延びる状態で設けられている。カウンタ軸30の機体右横側の端部にベルト伝動機構(図示せず)を介してエンジンEの動力が伝達されるように構成されている。カウンタ軸30の動力が伝動機構Mによって脱穀装置8の各部に伝達されるように構成されている。
【0030】
図2に示されるように、伝動機構Mは、脱穀装置8における機体左横側の側部29の下部に設けられている。機体左横側の側部29は、脱穀装置8における機体左右方向の両側部のうちの穀粒タンク9が位置する側とは反対側の側部である。
【0031】
伝動機構Mは、図2に示されるように、第1無端回動体31、第2無端回動体32、第3無端回動体33および第4無端回動体34を備えている。本実施形態では、第1無端回動体31、第2無端回動体32、第3無端回動体33および第4無端回動体34は、無端回動ベルトである。第1無端回動体31、第2無端回動体32、第3無端回動体33および第4無端回動体34としては、無端回動ベルトに替えて無端回動チェーンを採用することが可能である。
【0032】
図2に示されるように、第1無端回動体31は、カウンタ軸30に備えられた第1カウンタ軸プーリ36と、唐箕17の駆動軸17aに備えられた唐箕駆動プーリ37と、に巻回されている。第2無端回動体32は、カウンタ軸30に備えられた第2カウンタ軸プーリ39と、一番回収部19の1番駆動軸19aに備えられた1番駆動プーリ40と、に巻回されている。第3無端回動体33は、1番駆動軸19aに備えられた伝動プーリ41と、二番回収部20の2番駆動軸20aに備えられた2番駆動プーリ43と、脱穀フィードチェーン13aの駆動ケース46に備えられた入力プーリ46aと、拡散胴14の拡散駆動軸14aに備えられた拡散駆動プーリ45と、に巻回されている。第3無端回動体33が巻回されている中継プーリ47の支軸47aに伝動プーリ48が備えられ、第4無端回動体34は、伝動プーリ48と、揺動選別装置16の駆動軸16aに備えられた選別駆動プーリ49と、に巻回されている。
【0033】
伝動機構Mにおいては、カウンタ軸30の動力が第1カウンタ軸プーリ36および第1無端回動体31によって唐箕17に伝達される。カウンタ軸30の動力が第2カウンタ軸プーリ39および第2無端回動体32によって一番回収部19に伝達される。カウンタ軸30の動力が第2カウンタ軸プーリ39、第2無端回動体32および第3無端回動体33、
中継プーリ47、伝動プーリ48、第4無端回動体34によって揺動選別装置16に伝達される。
【0034】
図2に示されるように、カウンタ軸30の動力が、第2カウンタ軸プーリ39、第2無端回動体32、第3無端回動体33によって拡散胴14に伝達される。カウンタ軸30の動力が、第2カウンタ軸プーリ39、第2無端回動体32、第3無端回動体33および入力プーリ46aによって駆動ケース46に伝達され、駆動ケース46から脱穀フィードチェーン13aに伝達される。入力プーリ46aの動力が第5無端回動体35によって排ワラ細断装置10のカッタ駆動プーリ10aに伝達される。排ワラ細断装置10は、カウンタ軸30からの動力によって駆動される。
【0035】
〔サイドカバー、伝動機構カバー部材について〕
図1,2に示されるように、脱穀装置8に、伝動機構Mを横外側方から覆うサイドカバー12が備えられている。サイドカバー12は、サイドカバー12の複数箇所に備えられたロック機構50などによって脱着可能な状態で脱穀装置8に保持されるように構成されている。ロック機構50には、脱穀装置8に備えられたステー51(図3参照)に係脱可能なフック(図示せず)と、フックの係脱操作とサイドカバー12の脱着操作とを行うためのハンドル(図示せず)が備えられている。
【0036】
図1,2に示されるように、サイドカバー12の下部において機体前後方向に間隔をあけて位置する2箇所に、開口52が形成されている。開口52は、脱穀装置8の機体左右方向に延びる支持フレーム53に対するサイドカバー12の接触を回避するためのものである。2箇所の開口52は、サイドカバー12のうち側面視で伝動機構Mと重複しない部分に形成されている。本実施形態では、2箇所の開口52は、下向きに開放された切り欠き形状に形成されている。すなわち、サイドカバー12を支持フレーム53に対して上方に取り外すことが可能になっている。本実施形態では、開口52は、切り欠き形状であるが、開口52としては、貫通穴でなる開口の採用が可能である。支持フレーム53は、図3,6に示されるように、脱穀装置8の側部29に備えられた前後向きフレーム54から横外向きに延ばされ、サイドカバー12の外側において機体前後方向に延びる穀稈押圧杆21(図1参照)を保持している。
【0037】
図2,4,6に示されるように、脱穀装置8の機体左右方向の両側部のうち、伝動機構Mが位置する側の側部29と、サイドカバー12との間に、伝動機構Mを下方から覆う伝動機構カバー部材55が設けられている。伝動機構カバー部材55は、機体前後方向に延びる状態で設けられ、伝動機構カバー部材55の前端部は、2箇所の開口52のうちの前側の開口52aの近くに位置し、伝動機構カバー部材55の後端部は、2箇所の開口52のうちの後側の開口52bの近くに位置している。伝動機構カバー部材55は、機体前後方向での複数箇所において脱穀装置8の前後向きフレーム54から延びる支持部材56に連結ボルトによって連結され、支持部材56を介して前後向きフレーム54に保持されている。伝動機構カバー部材55の複数箇所に、機体前後方向に長いスリット状の通気穴57(図6参照)が開口されている。
【0038】
〔仕切部材について〕
図1,2,3,4に示されるように、脱穀装置8とサイドカバー12との間に、2箇所の開口52それぞれのための仕切部材58が設けられている。2箇所の開口52それぞれための仕切部材58は、脱穀装置8とサイドカバー12との間の領域のうち伝動機構Mが位置する領域と、開口52に対向する領域と、の間に設けられている。土砂やワラ屑などがクローラ式走行装置2から飛散するなどによって開口52からサイドカバー12の内側に入り込んでも、侵入物が仕切部材58に当って伝動機構Mに触れることが仕切部材58によって防止される。
【0039】
2箇所の仕切部材58のうちの前側の仕切部材58aは、伝動機構Mが位置する領域と、前側の開口52aに対向する領域と、の間に設けられている。前側の仕切部材58aは、図2に示されるように、第1カウンタ軸プーリ36および第2カウンタ軸プーリ39の下方に位置している。2箇所の仕切部材58のうちの後側の仕切部材58bは、伝動機構Mが位置する領域と、後側の開口52bに対向する領域と、の間に設けられている。後側の仕切部材58bは、図2に示されるように、1番駆動プーリ40および伝動プーリ41の後下方に位置している。
【0040】
前側の仕切部材58aは、図3に示されるように、後下がりに傾斜する傾斜部SRを有するように構成されている。後側の仕切部材58bは、図5に示されるように、前下がりに傾斜する傾斜部SFと、後下がりに傾斜する傾斜部SRとを有するように構成されている。開口52a,52bからサイドカバー12の内側に入り込んだ侵入物が仕切部材58a,58bに当たると前下がり傾斜部Sf、あるいは後下がり傾斜部SRの傾斜によって開口52a,52bに向って跳ね返り易い。
【0041】
図3,4に示されるように、前側の仕切部材58aの前端部58fは、ステー51に備えられた板状の支持部51aに連結ボルトによって取付けられ、前側の仕切部材58aの後端部58rは、伝動機構カバー部材55の前端部55fに連結ボルトによって取り付けられている。ステー51は、脱穀装置8における前後向きフレーム54に保持され、サイドカバー12の前部が取り付けられるものである。詳しくは、ステー51は、サイドカバー12の前部に備えられたロック機構50のフックが係合されることでサイドカバー12が取り付けられるように構成されている。前側の仕切部材58aの前端側を保持させる保持部材にステー51が活用され、前側の仕切部材58aの後端側を保持させる保持部材に伝動機構カバー部材55が活用されている。
【0042】
後側の仕切部材58bは、図5,6に示されるように、一番回収部19の掃除のためのレバー25に取り付けられてレバー25に保持されている。後側の仕切部材58bの保持部材にレバー25が活用されている。
【0043】
本実施形態では、図1,2に示されるように、サイドカバー12は、上部カバー12Uと、上部カバー12Uよりも下側に位置し、2箇所の開口52を有する下部カバー12Dとに分割されている。上部カバー12Uは、前上部カバーUFと後上部カバーURとに分割されている。下部カバー12Dは、2箇所の開口52のうちの前側の開口52aを有する前下部カバーDFと、2箇所の開口52のうちの後側の開口52bを有する後下部カバーDRとに分割されている。前上部カバーUF、後上部カバーUR、前下部カバーDFおよび後下部カバーDRのそれぞれは、単独でロック機構50によって脱穀装置8に脱着可能である。
【0044】
〔経路カバーについて〕
図1に示されるように、脱穀装置8の後部に、排ワラ搬送経路を形成する開口60、開口60の後部を開閉する経路カバー61が設けられている。経路カバー61は、連結軸62を介して脱穀装置8に保持され、連結軸62を揺動支点にして上下揺動して開口60を横外側方から覆う下降閉じ位置と、開口60を開く上昇開き位置とに位置変化可能に保持されている。排ワラ搬送装置15によって排ワラ細断装置10に向けて搬送される脱穀排ワラが開口60から横外側に突出する株元側部によって経路カバー61を押し上げて上昇開き位置に位置変更しつつ開口60を通過していき、株元側部が経路カバー61から外れると、経路カバー61が重力によって下降閉じ位置に戻る。
【0045】
図7に示されるように、経路カバー61の支持構造に位置決め部材63が備えられ、経路カバー61が位置決め部材63によって下降閉じ位置に位置めされるように構成されている。
【0046】
詳述すると、位置決め部材63は、脱穀装置8に備えられた支持部64と、経路カバー61との間に配置され、連結軸62と、ロックボルト65とによって支持部64に固定されている。位置決め部材63にストッパー部63aが形成されている。経路カバー61の裏面側から位置決めピン61aがストッパー部63a側に突設されている。経路カバー61が上昇開き位置から下降揺動して下降閉じ位置になると、位置決めピン61aがストッパー部63aに当ってストッパー部63aが位置決めピン61aを受け止め支持し、経路カバー61が下降閉じ位置に位置決めされる。
【0047】
位置決め部材63に、ロックボルト65を挿通させる貫通穴63bが長穴形状で設けられている。支持部64に対する位置決め部材63のロックボルト65による締め付け固定を緩めて位置決め部材63が連結軸62を揺動支点にして支持部64に対して揺動調節され、調節後の位置決め部材63がロックボルト65によって支持部64に締め付け固定されると、支持部64に対するストッパー部63aの取付け位置が連結軸62を揺動支点して上下に調節される。
【0048】
このように、支持部64に対するストッパー部63aの取付け位置を上下に調節することにより、経路カバー61の下降閉じ位置を上下に調節でき、経路カバー61の下降閉じ位置でのサイドカバー12のうちの後上部カバーURに対する高さ位置を調節することができる。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、伝動機構Mが脱穀装置8の機体左横側の側部29に設けられた例を示したが、伝動機構Mが脱穀装置8の機体右横側の側部に設けられたものであってもよい。
【0050】
(2)上記した実施形態では、開口52が2箇所に設けられた例を示したが、これに限らず、開口52が1箇所に設けられたものであってもよい。また、開口52が3箇所以上に設けられ、複数の開口毎に仕切部材58が設けられたものであってもよい。
【0051】
(3)上記した実施形態では、仕切部材58に傾斜部SR,SFを備えた例を示したが傾斜部SR,SFを備えないものであってもよい。
【0052】
(4)上記した実施形態では、仕切部材58がステー51、伝動機構カバー部材55、レバー25に取り付けられた例を示したが、仕切部材58が専用の保持部材に取り付けられたものであってもよい。
【0053】
(5)上記した実施形態では、サイドカバー12が上下、前後に分割された例を示したが、分割されないものであってもよい。また、上下に分割されたものにおいて、下部カバー12Dが前後に分割されないものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、脱穀装置における機体左右方向の一側部の下部に、無端回動体によって動力を脱穀装置の各部に伝達する伝動機構が設けられ、側面視で伝動機構と重複しない部分に形成される開口を有し、伝動機構を外側から覆うサイドカバーが備えられたコンバインに適用できる。また、自脱型のコンバインに限らず、汎用型のコンバインに適用できる。
【符号の説明】
【0055】
8 脱穀装置
19 一番回収部
23 掃除口
24 掃除口カバー部材
25 レバー
31 無端回動体
32 無端回動体
33 無端回動体
34 無端回動体
35 無端回動体
51 ステー
52 開口
55 伝動機構カバー部材
55f 伝動機構カバー部材の前端部
58 仕切部材
58a 前側の仕切部材
58b 後側の仕切部材
58f 前側の仕切部材の前端部
58r 前側の仕切部材の後端部
M 伝動機構
SF 前下がりの傾斜部
SR 後下がりの傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7