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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005918
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
H04M9/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106355
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】川名 宏明
【テーマコード(参考)】
5K038
【Fターム(参考)】
5K038AA06
5K038CC12
5K038DD15
5K038DD21
5K038GG06
(57)【要約】
【課題】 録画保存されている映像の送信元の真正性を確保でき、また改ざんされていない映像であることの真正性を確保できるインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 呼出機能及び通話機能を備えた玄関子機1と、玄関子機1からの呼び出しに応答する機能を備えた居室親機2とを有し、玄関子機1は操作する人物を撮像するカメラ13を備えると共に、居室親機2はカメラ13の撮像映像を表示するモニタ23を備え、更に撮像映像を保存する管理サーバ3を備えている。玄関子機1は、出力する映像をデジタル署名する秘密鍵を有して、カメラ13が撮像した映像を秘密鍵で暗号化して管理サーバ3に出力する一方、管理サーバ3は受信した映像を秘密鍵でデジタル署名した状態で保存すると共に、秘密鍵と対を成して復号化するための公開鍵を具備しており、保存している映像を出力する際には公開鍵を使用して復号化した映像を出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼出機能及び通話機能を備えた子機と、前記子機からの呼び出しに応答する機能を備えた親機とを有し、前記子機は当該子機を操作する人物を撮像するカメラを備えると共に、前記親機は前記カメラの撮像映像を表示するモニタを備えたインターホンシステムにおいて、
前記子機は、映像をデジタル署名して出力するための秘密鍵を有して、前記カメラが撮像した映像を前記秘密鍵で暗号化して前記保存手段に出力する一方、
前記カメラの撮像映像を保存する保存手段を有し、
前記保存手段は、受信した前記映像を暗号化した状態で保存すると共に、前記秘密鍵により成されたデジタル署名を検証するための公開鍵を具備しており、保存している前記映像を出力する際には前記公開鍵を使用して復号化した映像を出力することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記保存手段は、汎用ネットワークを介して前記子機或いは前記親機と通信し、
前記子機から出力された映像が前記汎用ネットワークを介して前記保存手段に送信されることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記子機は、時刻同期プロトコルによりNTPサーバから入手した時刻情報を映像に埋め込んで出力することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記子機は集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機であると共に、前記子機の近傍には、前記エントランスに設置されたエントランスドアを解錠して前記集合住宅内への人物の進入を可能とするID認証装置が設置され、
前記カメラは、前記ID認証装置がID情報の入力を受けると撮像を開始し、
前記子機は、前記カメラが撮像した映像と、前記ID認証装置へ入力されたID情報とを、前記秘密鍵でデジタル署名して前記保存手段に送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記子機は集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機であると共に、前記子機の近傍には、前記エントランスに設置されたエントランスドアを解錠して前記集合住宅内への人物の進入を可能とする顔認証装置が設置され、
前記カメラは、前記顔認証装置の顔認証動作に連動して撮像を開始し、
前記子機は、前記カメラが撮像した映像と、前記顔認証装置に入力された顔画像とを、前記秘密鍵でデジタル署名して前記保存手段に送信することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホンシステムに関し、特に呼出者を撮像した映像を保存する機能を備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
呼出操作した来訪者等の呼出者の撮像映像を暗号化して子機から親機に送信することでセキュリティを向上させて、他人の覗き込みの防止を図ったインターホンシステムがある。例えば、特許文献1に記載された集合住宅用のインターホンシステムでは、共同玄関に設置された子機からカメラの撮像映像を出力する際に、住戸毎に異なるスクランブル鍵で暗号化して親機に送信した。こうすることで、呼出操作した訪問先の親機でのみしか来訪者の映像を正しく復号することができないため、他の親機では復号化できないため再生できず、高いセキュリティを維持できた。
一方で、送信する情報を暗号化する公開鍵暗号化方式において、改ざんを防止する技術として、秘密鍵とこの秘密鍵と対を成す公開鍵を使用する技術がある。これは、秘密鍵でデジタル署名して暗号化した情報を送信し、受信側で公開鍵で復号化することで、改ざんされていないことを検証できる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-30894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術は、他人が映像をの覗き見ることができないため高いセキュリティを維持できた。しかしながら、この技術は映像の改ざんを防止するための技術ではないため、いったん録画保存された映像に関しては、送信元の真正性が確保できなかった。また、改ざんされてはいないか客観的に判断することができなかった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、録画保存されている映像の送信元の真正性を確保でき、また改ざんされていない映像であることの真正性を確保できるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、本発明の構成は、呼出機能及び通話機能を備えた子機と、子機からの呼び出しに応答する機能を備えた親機とを有し、子機は当該子機を操作する人物を撮像するカメラを備えると共に、親機はカメラの撮像映像を表示するモニタを備えたインターホンシステムにおいて、子機は、映像をデジタル署名して出力するための秘密鍵を有して、カメラが撮像した映像を秘密鍵で暗号化して保存手段に出力する一方、カメラの撮像映像を保存する保存手段を有し、保存手段は、受信した映像を暗号化した状態で保存すると共に、秘密鍵により成されたデジタル署名を検証するための公開鍵を具備しており、保存している映像を出力する際には公開鍵を使用して復号化した映像を出力することを特徴とする。
この構成によれば、保存手段に保存される映像は、秘密鍵によりデジタル署名された状態で保存されるため、送信元のカメラの真正性を確保できる。そして、保存手段から出力される映像は公開鍵によりデジタル署名が検証されるため、改ざんされていないことの真正性を確保できる。
尚、撮像映像は、静止画である撮像画像を含むものである。
【0007】
本発明の別の態様は、上記構成において、保存手段は、汎用ネットワークを介して子機或いは親機と通信し、子機から出力された映像が汎用ネットワークを介して保存手段に送信されることを特徴とする。
この構成によれば、例えばクラウドサーバにカメラの撮像映像を保存でき、映像の真正確認を汎用ネットワークを介して外部から容易に実施できる。
【0008】
本発明の別の態様は、上記構成において、子機は、時刻同期プロトコルによりNTPサーバから入手した時刻情報を映像に埋め込んで出力することを特徴とする。
この構成によれば、デジタル署名された映像に正確な時刻が埋め込まれるため、撮像時刻も改ざんされていないことが証明でき、事件発生時の映像確認等に活用できる。
【0009】
本発明の別の態様は、上記構成において、子機は集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機であると共に、子機の近傍には、エントランスに設置されたエントランスドアを解錠して集合住宅内への人物の進入を可能とするID認証装置が設置され、カメラは、ID認証装置がID情報の入力を受けると撮像を開始し、子機は、カメラが撮像した映像と、ID認証装置へ入力されたID情報とを、秘密鍵で署名して保存手段に送信することを特徴とする。
この構成によれば、映像の真正確認に合わせてIDの真正確認ができるため、なりすましを防止できるし事件発生時の映像確認等に活用できる。
【0010】
本発明の別の態様は、上記構成において、子機は集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機であると共に、子機の近傍には、エントランスに設置されたエントランスドアを解錠して集合住宅内への人物の進入を可能とする顔認証装置が設置され、カメラは、顔認証装置の顔認証動作に連動して撮像を開始し、子機は、カメラが撮像した映像と、顔認証装置に入力された顔画像とを、秘密鍵で署名して保存手段に送信することを特徴とする。
この構成によれば、映像の真正確認に合わせて、顔認証装置が撮像した顔画像の真正確認もできるため、顔画像の改ざんを防止できるし事件発生時の映像確認等に活用できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、子機から保存手段に出力される映像は秘密鍵によりデジタル署名されるため、改ざんを防止できる。そして、保存手段から出力される映像は公開鍵によりデジタル署名が検証されるため、改ざんされていないことを検証できる。よって、映像の送信元が子機である真正性を確保できるし、保存手段に保存されている映像が改ざんされていないことの真正性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す機能ブロック図である。
図2】集合住宅インターホンに適用したインターホンシステムを示し、ID認証装置を備えたシステム構成図である。
図3図2の集合玄関機の機能ブロック図である。
図4図2の住戸親機の機能ブロック図である。
図5】集合住宅インターホンに適用したインターホンシステムの他の例を示し、顔認証装置を備えたシステム構成図である。
図6】顔認証装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す機能ブロック図であり、戸建住宅で使用されるインターホンシステムを示している。このインターホンシステム10は、子機としての玄関子機1と、親機としての居室親機2と、映像を保存する保存手段としての管理サーバ3とで構成されている。管理サーバ3は汎用ネットワークN上に配置され、玄関子機1と居室親機とは伝送線L1で接続されている。
【0014】
玄関子機1は、居住者を呼び出す呼出ボタン11、通話するためのマイク12a及びスピーカ12b、来訪者を撮像するカメラ13、出力するデータをデジタル署名して暗号化するための秘密鍵を保管する秘密鍵保管部14、映像の送信継続時間をカウントするタイマ部15、玄関子機1を制御する子機CPU16、居室親機2と通信する子機伝送部17等を備えている。
【0015】
居室親機2は、呼び出しに応答するための通話ボタン21、通話するためのマイク22a及びスピーカ22b、カメラ13の撮像映像を表示するモニタ23、保存映像の表示操作等の操作を行うための操作部24、秘密鍵によりデジタル署名されて暗号化されたデータを復号化する公開鍵を保管する公開鍵保管部25、玄関子機1と通信する親機伝送部26、居室親機2を制御する親機CPU27、汎用ネットワークNを介して管理サーバ3と通信する外部通信部28等を備えている。
【0016】
管理サーバ3は、映像を保存する保存手段であり、映像を記憶する記憶部31、公開鍵を保管する公開鍵保管部32を備えている。公開鍵は玄関子機1が保管する秘密鍵と対を成すもので、秘密鍵によりデジタル署名されたデータは公開鍵により検証される。即ち、秘密鍵により暗号化されたデータを、公開鍵により復号して読み取ることで秘密鍵で成されたデジタル署名を検証できる。結果、データ(ここでは映像)の出所が玄関子機1であることが証明される。
【0017】
上記の如く構成されたインターホンシステム10の動作は以下のようである。但し、インターホンとしての基本動作である呼び出し/応答動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここではカメラ13の撮像映像の伝送を中心に説明する。
玄関子機1の呼出ボタン11が操作されて呼び出しが成されると、子機CPU16の制御によりカメラ13が撮像を開始し、撮像映像が呼出信号と共に居室親機2に送信される。その際、映像は秘密鍵でデジタル署名されて送信される。
映像信号が送信された居室親機2では、親機CPU27の制御により公開鍵を使用して署名が検証され、モニタ23に表示される。
【0018】
また親機2に送信された映像は、親機CPU27の制御により外部通信部28から汎用ネットワークNを介して暗号化した状態のまま管理サーバ3に送信される。
管理サーバ3では、暗号化された状態の映像が記憶部31に保存される。
【0019】
こうして管理サーバ3に保存された映像は、居室親機2の所定の閲覧操作で、引き出してモニタ23に表示できる。また、例えば送信元の玄関子機1に関連付けられている居住者等の特定の携帯電話(図示せず)からアクセスでき、管理サーバ3において公開鍵により復号化された映像を入手して閲覧することができる。
一方で、玄関子機1の操作を待たずに居室親機2の操作により、カメラ13を起動させることができる。起動したカメラ13の撮像映像は、秘密鍵により暗号化されて居室親機2送信されてモニタ23に表示される。同時に管理サーバ3に送信されて保存される。
【0020】
ただし、タイマ部15によりカメラ13の撮像映像の送信時間(管理サーバ3が映像を保存する録画時間)がカウントされ、カメラ13の撮像が60分等の所定時間継続したら自動終了して、録画が一旦終了する。その後、タイマ部15がリセットされて、録画が再開される。尚、この録画が一旦終了するのは、暗号化された映像を保存する際のシノニムを防ぐための動作である。
【0021】
このように、管理サーバ3に保存される映像は、秘密鍵によりデジタル署名された状態で保存されるため、送信元のカメラ5の真正性を確保できる。そして、管理サーバ3から出力される映像は公開鍵によりデジタル署名が検証されるため、改ざんされていないことの真正性を確保できる。
また、汎用ネットワークN上の管理サーバ3にカメラ13の撮像映像を保存するため、映像の真正確認を外部からアクセスして容易に実施できる。
【0022】
尚、カメラ13の撮像映像の保存先を汎用ネットワークN上の管理サーバ3としているが、居室親機2或いは玄関子機1で保存しても良い。また、居室親機2を介してカメラ13の撮像映像を管理サーバ3に送信しているが、玄関子機1に汎用ネットワークNに接続する通信部を設けて直接管理サーバ3に送信しても良い。
【0023】
図2は、本発明のインターホンシステムの他の例を示し、集合住宅に設置される集合住宅インターホンシステムに適用した構成を示している。
集合住宅に適用したインターホンシステム40は、子機としての集合玄関機5及び個々の住戸玄関に設置された玄関子機1a、親機としての各住戸の居室に設置された住戸親機6、映像を保存する管理サーバ3、管理室親機7、機器間の通信を制御する制御機8、帰宅者や特定の契約者が居住者を呼び出すこと無くエントランスドアDを解錠するためのID認証装置としてのカードリーダ9a等を備えている。エントランスドアDは集合住宅のエントランスから居住エリアに進む際に通過するドアである。
【0024】
また、制御機8は汎用ネットワークNに接続する外部通信部81を有し、汎用ネットワークNを介して管理サーバ3と通信すると共に、時刻情報を提供するNTPサーバ50から時刻情報を入手して集合玄関機5に通知するよう構成されている。
【0025】
集合玄関機5はエントランスに設置されて伝送線L2を介して制御機8に接続されている。管理室親機7は管理室に設置されて伝送線L3を介して制御機8に接続されている。制御機8と各住戸親機6とは親機幹線L4を介して接続されている。エントランスドアDは電気錠(図示せず)を有し、電気錠は伝送線L5を介して制御機8に接続されている。カードリーダ9aは集合玄関機5の近傍に設置され、伝送線L6を介して集合玄関機5に接続されている。
【0026】
図3は集合玄関機5の機能ブロック図を示している。集合玄関機5は、図3に示すように、訪問先住戸を選択して呼出操作するための操作部11a、通話するためのマイク12a及びスピーカ12b、カメラ13、秘密鍵保管部14、タイマ部15、集合玄関機CPU16a、集合玄関機伝送部17a、カードリーダ9aと通信する認証機接続インターフェース(IF)部18等を備えている。
尚、図1の玄関子機1と同様の構成要素には同一の符号を付与している。また、住戸毎の玄関に設置された玄関子機1aは、上記図1の玄関子機1と同様であり、呼出/通話機能に加えて、カメラ13、秘密鍵保管部14等を備えている。
【0027】
図4は住戸親機6の機能ブロック図を示している。住戸親機6は、図4に示すように、呼び出しに応答操作する通話ボタン21、通話するためのマイク22a及びスピーカ22b、カメラ13の撮像映像を表示するモニタ23、管理サーバ3に保存された映像の表示操作等の所定の操作を行うための操作部24a、暗号化されたデータを復号化するための公開鍵を保存する公開鍵保管部25、制御機8及び玄関子機1aと通信する住戸親機伝送部26a、住戸親機6を制御する住戸親機CPU27a等を備えている。
尚、図1の居室親機2と同様の構成要素には同一の符号を付与している。また管理室親機7は、住戸親機6を選択して呼出/通話する機能を備えている。
【0028】
カードリーダ9aは、帰宅者等が携行するIDカード(図示せず)が翳されたら、IDカードからIDを読み取る読み取り部、登録されたIDを記憶するID記憶部(何れも図示せず)を有している。読み取った或いは入力されたID情報が、登録されてID記憶部に記憶されているIDであったら、許可信号が集合玄関機5に出力される。
【0029】
上記の如く構成されたインターホンシステム40の動作は以下のようである。但し、カメラ13の撮像映像の伝送、保存を中心に説明する。
最初に、集合玄関機5が操作されてカメラ13の撮像映像が伝送される場合を説明する。来訪者等により集合玄関機5が操作されて訪問先の住戸が選択されて呼び出しが行われると、選択された住戸親機6に呼出信号が出力される。同時に、カメラ13が起動して撮像映像が出力される。
【0030】
この時出力される映像は、上記インターホンシステム10と同様に、秘密鍵によりデジタル署名されて出力され、制御機8を介して呼出信号と共に呼出先の住戸親機6に送信される。また、同時に集合玄関機5から出力された映像は、制御機8から汎用ネットワークNを介して管理サーバ3にも送信されて保存される。
但し、集合玄関機5は制御機8を介してNTPサーバ50から時刻情報を入手しており、時刻同期プロトコルにより撮影時刻が埋め込まれた映像がデジタル署名されて出力される。
【0031】
住戸親機6に送信された映像は、住戸親機6が保持している公開鍵により復号されることで署名が検証され、モニタ23に表示される。このとき表示される映像には、時刻同期プロトコルにより映像に埋め込まれた時刻情報が合わせて表示される。
【0032】
管理サーバ3に保存された映像は、住戸親機6の所定の操作で閲覧できる。また登録されている携帯電話等によりアクセスすることでも閲覧できる。登録されている携帯電話であれば、保存されている映像を閲覧する際には管理サーバ3が保持している公開鍵により復号された映像が送信される。そして、表示される映像には、埋め込まれた時刻情報が合わせて表示される。
尚、携帯電話にも公開鍵を登録すれば、暗号化された状態の映像を管理サーバ3から入手して復号して表示することもできる。
【0033】
次に、集合玄関機5が操作されず、帰宅者等がカードリーダ9aにID情報を入力して、居住エリアに進む場合のカメラ13の撮像映像の伝送を説明する。
帰宅者等は、携行しているIDカードを使用することで、集合玄関機5から居住者を呼び出すこと無く、エントランスドアDを解錠してエントランスから居住エリアに進む事ができる。この時、カメラ13の撮像映像は次のように伝送される。但し、カードリーダ9aへID情報を入力する入力者がカメラ13の画角に入るようにカードリーダ9aは設置されている。
【0034】
IDカードがカードリーダ9aに翳されると、カードリーダ9aがID情報を読み取り、許可対象のIDであるか判断する。許可対象のIDであれば、許可信号が集合玄関機5に出力される。読み取れなかった場合或いは許可していないIDであったら、不許可の信号が送信される。この許可/不許可の信号を受けた集合玄関機5は、カメラ13を起動して映像を開始し、撮像映像を管理サーバ3に送信する。
許可信号を受けた集合玄関機5解錠信号を制御機8に出力し、制御機8がエントランスドアDを解錠する。
【0035】
そして、この時集合玄関機5から出力される映像には、集合玄関機5を操作した場合と同等に、時刻情報が埋め込まれて送信されるし、秘密鍵でデジタル署名された映像が送信される。また、カードリーダ9aが読み取ったIDが許可したIDである場合は、ID情報も映像と共に暗号化されて管理サーバ3に送信されて保存される。
尚、ID認証装置がカードリーダ9aで無く、直接IDを入力する構成であっても、ID番号等を入力することで同様の動作を実施させることができる。
【0036】
このように、映像と共にID情報も秘密鍵でデジタル署名されることで、ID認証した人物の映像の真正確認に合わせてIDの真正確認ができる。結果、なりすましを防止できるし事件発生時の映像確認等に活用できる。
更に、デジタル署名された映像に正確な時刻が埋め込まれるため、撮像時刻も改ざんされていないことが証明でき、事件発生時の映像確認等に活用できる。
【0037】
尚、管理サーバ3が映像を保存しているが、制御機8に映像を保存させても良い。また、玄関子機1aの動作は上記図1の形態と同様であるが、玄関子機1aのカメラ13の撮像映像は住戸親機6、制御機8を介して管理サーバ3に送信されて保存される。この場合も、秘密鍵でデジタル署名された映像が保存される。
【0038】
図5は集合住宅インターホンシステムに適用したインターホンシステムの他の形態を示している。ここで説明するインターホンシステム40aは、上記図2のインターホンシステム40と対比した場合、エントランスドアDを解錠させるための人物の認証形態が異なっている。このインターホンシステム40aは、顔認証装置9bを備えて、ID認証では無く顔認証によりエントランスドアDの電気錠を解錠するよう構成されている。
【0039】
尚、集合玄関機5、住戸親機6、制御機8等の構成は上記図2と同様であり、顔認証装置9bは、図3に示す集合玄関機5の認証機接続IF部18に接続されている。また、顔認証装置9bは顔認証する人物が集合玄関機5のカメラ13の画角に入るよう設置されている。
【0040】
図6は顔認証装置9bのブロック図を示している。図6に示すように、顔認証装置9bは、認証対象者の顔を撮像するカメラ91、撮像している顔を表示するモニタ92、人感センサ93、認証対象者の顔画像を住戸番号を紐付けて記憶する記憶部94、認証制御を行う顔認証装置CPU95、集合玄関機5と通信する通信部96等を備えている。
【0041】
上記の如く構成されたインターホンシステム40aの動作は以下のようである。但し、集合玄関機5の操作によるカメラ13の撮像映像の伝送は上記形態と同様であるため省略し、ここでは顔認証操作された場合のカメラ13の撮像映像の伝送、保存を中心に説明する。
帰宅者等が顔認証装置9bに近づいたら、人感センサ93がそれを検知して認証制御を開始し、顔認証装置CPU95がカメラ91が撮像する顔画像と記憶部94が記憶している顔画像との比較を開始する。
一方集合玄関機5は、認証制御を開始した顔認証装置9bから制御開始信号を受けて、集合玄関機5のカメラ13が撮像を開始する。
【0042】
顔認証装置9bは、カメラ91が撮像した顔画像が登録されている人物の1人であると判断したら、許可信号と共に、同一と判断した顔画像に紐付けされている住戸番号を記憶部94から読み取り、カメラ91が撮像した顔画像と合わせて集合玄関機5に出力する。
許可信号を受けた集合玄関機5は、制御機8に解錠信号を出力してエントランスドアDを解錠させる。同時に、集合玄関機5のカメラ13の撮像映像と顔認証装置9bから受信した顔画像とを合わせて秘密鍵でデジタル署名して、住戸番号と共に出力される。
【0043】
この映像等の信号を受信した制御機8は、映像信号と共に受信した住戸番号情報を読み取り、その住戸番号の住戸親機6に対して受信した映像を送信する。また集合玄関機5のカメラ13の撮像映像と顔認証装置9bから送信された顔画像とを、管理サーバ3に送信する。こうして管理サーバ3で映像等がデジタル署名された状態で保存される。
【0044】
この構成によれば、カメラ13の撮像映像に加えて認証した顔画像も秘密鍵でデジタル署名されて保存されるため、カメラ13が撮像した顔認証者の撮像映像の真正確認に合わせて、顔認証装置9bが撮像した顔画像の真正確認もできるため、顔画像の改ざんを防止できるし事件発生時の映像確認等に活用できる。
【0045】
尚、上記実施形態は、玄関子機1等の子機から出力される映像を保存する構成であるが、出力されるのは画像であっても良く、映像と同様に秘密鍵でデジタル署名できるし、公開鍵で署名の認証ができる。
【符号の説明】
【0046】
1,1a・・玄関子機(子機)、2・・居室親機(親機)、3・・管理サーバ(保存手段)、5・・集合玄関機(子機)、6・・住戸親機(親機)、8・・制御機、9a・・カードリーダ(ID認証装置)、9b・・顔認証装置、10・・インターホンシステム、13・・カメラ、14・・秘密鍵保管部、25・・公開鍵保管部、40,40a・・集合住宅インターホンシステム、50・・NTPサーバ、D・・エントランスドア、N・・汎用ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6