(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005927
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】遺体と棺のマッチングシステム及びマッチング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250109BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20250109BHJP
G16Y 40/35 20200101ALI20250109BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16Y20/20
G16Y40/35
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106368
(22)【出願日】2023-06-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】300030004
【氏名又は名称】アルファクラブ武蔵野株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩明
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC14
5L050CC14
(57)【要約】
【課題】葬儀情報の秘匿性を確保でき、人的判断ミスに起因する遺体の取り違えを確実に防止することができる遺体と棺のマッチングシステム及びマッチング方法を提供することを課題とする。
【解決手段】システム運営者が管理する基幹サーバ1と、遺体情報を基幹サーバ1へ入力するための携帯端末10と、葬祭施設に設置されるルーター2と、ルーター2に接続されるハブ3と、ハブ3に接続されるHHT制御用AP4、制御PC5、情報読み取り手段6及び警告手段8と、遺体に取り付けられて遺体情報を担持する遺体識別バンド11と、棺に取り付けられて遺体情報が記録されるRFIDタグと、HHT制御用AP4を介して基幹サーバ1から遺体情報を受信して遺体識別バンド11と前記RFIDタグ13に書き込むと共に、遺体識別バンド11とRFIDタグ13から遺体情報を読み込むハンディターミナル9とから成る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム運営者が管理する基幹サーバと、故人の情報、施行番号、葬儀会場、葬儀日時、出棺日時等を含む遺体情報を前記基幹サーバへ入力するための携帯端末と、葬祭施設に設置されて前記基幹サーバに接続されるルーターと、前記ルーターに接続されるハブと、前記ハブに接続されるHHT制御用AP、制御PC、情報読み取り手段であるアンテナを含めたRFIDリーダライタ及び警告手段と、遺体に取り付けられて前記遺体情報を担持する遺体識別バンドと、棺に取り付けられて前記遺体情報が記録されるRFIDタグと、前記HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信して、前記遺体情報と前記遺体識別バンドとの紐付けを行い、また、前記RFIDタグへ前記遺体情報の書き込みを行うと共に、前記遺体識別バンドと前記RFIDタグから前記遺体情報を読み込むハンディターミナルと、から成る遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項2】
前記基幹サーバと前記ルーターはVPN接続されている、請求項1に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項3】
前記ハブ、HHT制御用AP、RFIDリーダライタ及び警告手段はPoE給電タイプであって、前記HHT制御用AP、RFIDリーダライタ及び警告手段は前記ハブにLANケーブル接続されている、請求項1に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項4】
前記アンテナは、葬祭施設の出棺口、あるいは、葬祭施設の出棺口及び霊柩車に配置される、請求項1に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項5】
前記葬祭施設の出棺口に配置されるアンテナはマット型アンテナである、請求項4に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の遺体と棺のマッチングシステムを用いた遺体と棺のマッチング方法であって、
前記携帯端末から前記基幹サーバに前記遺体情報を入力するステップと、
前記ハンディターミナルで、前記HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信し、遺体に取り付けられている前記遺体識別バンドを読み込み、当該遺体情報と前記遺体識別バンドの紐付けを行うステップと、
前記ハンディターミナルにより、棺に取り付けられている前記RFIDタグに前記遺体情報を入力して、前記棺と前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
納棺時に、前記ハンディターミナルにより前記遺体識別バンドの遺体情報と、前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
出棺時に、前記アンテナを介して前記RFIDタグの遺体情報を読み取り、それと前記基幹サーバに保存されている遺体情報を照合するステップと、
前記照合の結果、相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に前記警告手段を動作させて出棺を停止させるステップと、
から成る遺体と棺のマッチング方法。
【請求項7】
システム運営者が管理する基幹サーバと、故人の情報、施行番号、葬儀会場、葬儀日時、出棺日時等を含む遺体情報を前記基幹サーバへ入力するための携帯端末と、遺体に取り付けられて前記遺体情報を担持する遺体識別バンドと、棺に取り付けられて前記遺体情報が記録されるRFIDタグと、
葬儀施設に設置されて前記基幹サーバに接続される第一ルーターと、前記第一ルーターに接続される第一ハブと、前記第一ハブに接続される第一HHT制御用AP、第一制御PC、情報読み取り手段である第一アンテナを含めた第一RFIDリーダライタ及び第一警告手段と、前記第一HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信して前記遺体情報と前記遺体識別バンドとの紐付けを行い、また、前記RFIDタグへ前記遺体情報の書き込みを行うと共に、前記遺体識別バンドと前記RFIDタグから前記遺体情報を読み込むハンディターミナルと、
火葬施設に設置されて前記基幹サーバに接続される第二ルーターと、前記第二ルーターに接続される第二ハブと、前記第二ハブに接続される第二HHT制御用AP、第二制御PC、情報読み取り手段である第二アンテナを含めた第二RFIDリーダライタ及び第二警告手段と、
を含んで構成されることを特徴とする遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項8】
前記基幹サーバと前記第一ルーター及び第二ルーターはそれぞれVPN接続されている、請求項7に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項9】
前記第一ハブ、第一HHT制御用AP、第一RFIDリーダライタ及び第一警告手段、並びに、前記第二ハブ、第二HHT制御用AP、第二RFIDリーダライタ及び第二警告手段はPoE給電タイプであって、前記第一HHT制御用AP、第一RFIDリーダライタ及び第一警告手段は前記第一ハブにLANケーブル接続され、前記第二HHT制御用AP、第二RFIDリーダライタ及び第二警告手段は前記第二ハブにLANケーブル接続されている、請求項7に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項10】
前記第一アンテナは、葬祭施設の出棺口、あるいは、葬祭施設の出棺口及び霊柩車に取り付けられ、前記第二アンテナは火葬施設の入館口に取り付けられる、請求項7に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項11】
前記葬祭施設の出棺口に取り付けられる第一アンテナ及び前記火葬施設の入館口に取り付けられる第二アンテナはマット型アンテナである、請求項10に記載の遺体と棺のマッチングシステム。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれかに記載の遺体と棺のマッチングシステムを用いた遺体と棺のマッチング方法であって、
前記携帯端末から前記基幹サーバに前記遺体情報を入力するステップと、
前記ハンディターミナルで、前記HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信し、遺体に取り付けられている前記遺体識別バンドを読み込み、当該遺体情報と前記遺体識別バンドの紐付けを行うステップと、
前記ハンディターミナルにより、棺に取り付けられている前記RFIDタグに前記遺体情報を入力して、前記棺と前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
納棺時に、前記ハンディターミナルにより前記遺体識別バンドの遺体情報と、前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
出棺時に、前記アンテナを介して前記RFIDタグの遺体情報を読み取り、それと前記基幹サーバに保存されている遺体情報を照合するステップと、
前記照合の結果、相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に前記警告手段を動作させて出棺を停止させるステップと、
火葬施設入館時に、前記第二アンテナを介して前記RFIDタグの遺体情報を読み取り、それと前記基幹サーバに保存されている遺体情報を照合するステップと、
前記照合の結果、相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に前記警告手段を動作させて火葬を停止させるステップと、
から成る遺体と棺のマッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出棺や火葬に際して遺体の取り違いを確実に防止することができる、遺体と棺のマッチングシステム及びマッチング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な葬儀の場合、遺体は葬祭施設において納棺されるが、同じ葬祭施設において同じ日に複数の葬儀が行われることが少なくない。そして、葬儀社において取り決められた葬儀の受付日、施行番号、遺体の氏名、出棺予定日時、実際の出棺日時等が葬儀社のPCに入力され、保存されるが、正しく納棺されたか(遺体が予め決められた棺に納棺されたか)、決められた出棺時間に正しく出棺されたか(棺の取違いがないか)等は、すべて担当スタッフが人的判断で行っている。言うまでもなく、その人的判断にミスが起こらないとは限らず、何らかのトラブルの原因となるおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するために、遺体取り違え防止システムの提案がなされている(実用新案登録第第3226655号公報)。このシステムは、遺体確認情報を書き込んだ2次元コード付きの遺体取り付け用タグと、それと同じ2次元コード付きの棺取り付け用タグを、逐次葬儀会社の担当者が帯持するスマートフォンでコード情報を確認し、遺体の取り違えの有無をすべて人的に判断して、遺体の取り違えを防止しようとするものである。また、システムの運営管理は、葬儀会社以外の管理会社が外部サーバを用いて行うものであるため、葬儀情報の秘匿性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第第3226655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来提案されている遺体取り違え防止システムの場合は、遺体の取り違えの有無をすべて人的に判断して、遺体の取り違えを防止しようとするものであるため、判断ミス発生の可能性を払拭できず、また、システムの運営管理は、葬儀会社以外の管理会社が外部サーバを用いて行うものであるため、葬儀情報の秘匿性に問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来システムにおける問題を解決するためになされたもので、システム全体を葬儀会社が運営管理するシステムであるために葬儀情報の秘匿性を確保でき、また、出棺時における遺体取り違えの有無の最終判断を機械的に行うことで人的判断ミスに起因する遺体の取り違えを確実に防止することができる、遺体と棺のマッチングシステム及びマッチング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、システム運営者が管理する基幹サーバと、故人の情報、施行番号、葬儀会場、葬儀日時、出棺日時等を含む遺体情報を前記基幹サーバへ入力するための携帯端末と、葬祭施設に設置されて前記基幹サーバに接続されるルーターと、前記ルーターに接続されるハブと、前記ハブに接続されるHHT制御用AP、制御PC、情報読み取り手段であるアンテナを含めたRFIDリーダライタ及び警告手段と、遺体に取り付けられて前記遺体情報を担持する遺体識別バンドと、棺に取り付けられて前記遺体情報が記録されるRFIDタグと、前記HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信して、前記遺体情報と前記遺体識別バンドとの紐付けを行い、また、前記RFIDタグへ前記遺体情報の書き込みを行うと共に、前記遺体識別バンドと前記RFIDタグから前記遺体情報を読み込むハンディターミナルと、から成る遺体と棺のマッチングシステムである。
【0008】
一実施形態においては、前記基幹サーバと前記ルーターはVPN接続されている。また、一実施形態においては、前記ハブ、HHT制御用AP、RFIDリーダライタ及び警告手段はPoE給電タイプであって、前記HHT制御用AP、RFIDリーダライタ及び警告手段は前記ハブにLANケーブル接続されている。一実施形態においては、前記アンテナは、葬祭施設の出棺口、あるいは、葬祭施設の出棺口及び霊柩車に配置される。前記葬祭施設の出棺口に配置されるアンテナは、マット型アンテナであることが好ましい。
【0009】
上記課題を解決するための請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の遺体と棺のマッチングシステムを用いた遺体と棺のマッチング方法であって、
前記携帯端末から前記基幹サーバに前記遺体情報を入力するステップと、
前記ハンディターミナルで、前記HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信し、遺体に取り付けられている前記遺体識別バンドを読み込み、当該遺体情報と前記遺体識別バンドの紐付けを行うステップと、
前記ハンディターミナルにより、棺に取り付けられている前記RFIDタグに前記遺体情報を入力して、前記棺と前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
納棺時に、前記ハンディターミナルにより前記遺体識別バンドの遺体情報と、前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
出棺時に、前記アンテナを介して前記RFIDタグの遺体情報を読み取り、それと前記基幹サーバに保存されている遺体情報を照合するステップと、
前記照合の結果、相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に前記警告手段を動作させて出棺を停止させるステップと、
から成る遺体と棺のマッチング方法である。
【0010】
上記課題を解決するための請求項7に記載の発明は、システム運営者が管理する基幹サーバと、故人の情報、施行番号、葬儀会場、葬儀日時、出棺日時等を含む遺体情報を前記基幹サーバへ入力するための携帯端末と、遺体に取り付けられて前記遺体情報を担持する遺体識別バンドと、棺に取り付けられて前記遺体情報が記録されるRFIDタグと、
葬儀施設に設置されて前記基幹サーバに接続される第一ルーターと、前記第一ルーターに接続される第一ハブと、前記第一ハブに接続される第一HHT制御用AP、第一制御PC、情報読み取り手段である第一アンテナを含めた第一RFIDリーダライタ及び第一警告手段と、前記第一HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信して前記遺体情報と前記遺体識別バンドとの紐付けを行い、また、前記RFIDタグへ前記遺体情報の書き込みを行うと共に、前記遺体識別バンドと前記RFIDタグから前記遺体情報を読み込むハンディターミナルと、
火葬施設に設置されて前記基幹サーバに接続される第二ルーターと、前記第二ルーターに接続される第二ハブと、前記第二ハブに接続される第二HHT制御用AP、第二制御PC、情報読み取り手段である第二アンテナを含めた第二RFIDリーダライタ及び第二警告手段と、
を含んで構成されることを特徴とする遺体と棺のマッチングシステムである。
【0011】
一実施形態においては、前記基幹サーバと前記第一ルーター及び第二ルーターはそれぞれVPN接続されている。また、一実施形態においては、前記第一ハブ、第一HHT制御用AP、第一RFIDリーダライタ及び第一警告手段、並びに、前記第二ハブ、第二HHT制御用AP、第二RFIDリーダライタ及び第二警告手段はPoE給電タイプであって、前記第一HHT制御用AP、第一RFIDリーダライタ及び第一警告手段は前記第一ハブにLANケーブル接続され、前記第二HHT制御用AP、第二RFIDリーダライタ及び第二警告手段は前記第二ハブにLANケーブル接続されている。
【0012】
一実施形態においては、前記第一アンテナは、葬祭施設の出棺口、あるいは、葬祭施設の出棺口及び霊柩車に取り付けられ、前記第二アンテナは火葬施設の入館口に取り付けられる。前記葬祭施設の出棺口に取り付けられる第一アンテナ及び前記火葬施設の入館口に取り付けられる第二アンテナは、マット型アンテナであることが好ましい。
【0013】
上記課題を解決するための請求項12に記載の発明は、請求項7乃至11のいずれかに記載の遺体と棺のマッチングシステムを用いた遺体と棺のマッチング方法であって、
前記携帯端末から前記基幹サーバに前記遺体情報を入力するステップと、
前記ハンディターミナルで、前記HHT制御用APを介して前記基幹サーバから前記遺体情報を受信し、遺体に取り付けられている前記遺体識別バンドを読み込み、当該遺体情報と前記遺体識別バンドの紐付けを行うステップと、
前記ハンディターミナルにより、棺に取り付けられている前記RFIDタグに前記遺体情報を入力して、前記棺と前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
納棺時に、前記ハンディターミナルにより前記遺体識別バンドの遺体情報と、前記RFIDタグの紐付けを行うステップと、
出棺時に、前記アンテナを介して前記RFIDタグの遺体情報を読み取り、それと前記基幹サーバに保存されている遺体情報を照合するステップと、
前記照合の結果、相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に前記警告手段を動作させて出棺を停止させるステップと、
火葬施設入館時に、前記第二アンテナを介して前記RFIDタグの遺体情報を読み取り、それと前記基幹サーバに保存されている遺体情報を照合するステップと、
前記照合の結果、相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に前記警告手段を動作させて火葬を停止させるステップと、
から成る遺体と棺のマッチング方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る遺体と棺のマッチングシステム及びマッチング方法は上記のとおりであって、システム全体を葬儀会社が運営管理するシステムであるために葬儀情報の秘匿性を確保でき、また、遺体と遺体情報の紐付け、並びに、RFIDタグによる棺と遺体情報との紐付けがなされ、更に、出棺時又は火葬時にRFIDタグの遺体情報と基幹サーバに保存されている遺体情報の照合が機械的に行われるため、出棺及び火葬に際しての遺体の取り違いの発生を確実に防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る遺体と棺のマッチングシステムの第1の実施形態の全体構成を示す簡略図である。
【
図2】本発明に係る遺体と棺のマッチング方法の第1の実施形態における処理の流れを示すフロー図である。
【
図3】本発明に係る遺体と棺のマッチングシステムの第2の実施形態の全体構成を示す簡略図である。
【
図4】本発明に係る遺体と棺のマッチング方法の第2の実施形態における処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る遺体と棺のマッチングシステムにつき、添付図面に依拠しつつ、より詳細に説明する。本発明の第1の実施形態に係る遺体と棺のマッチングシステムは、システム運営者(葬儀会社)が管理する基幹サーバ1と、基幹サーバ1に遺体情報を入力するための、葬儀担当者が扱う携帯端末10と、葬祭施設ごとに設置されて基幹サーバ1に接続されるルーター2と、ルーター2に接続されるハブ3を含む。
【0017】
ハブ3には、HHT制御用AP(アクセスポイント)4と、制御PC5と、情報読み取り手段であるRFIDリーダライタ6と、警告手段8とが接続される。また、ハンディターミナル9がHHT制御用AP4にWiFi接続され、アンテナ7がRFIDリーダライタ6に接続される。また、本システムは更に、遺体に取り付けられる遺体識別バンド11と、棺12に取り付けられるRFIDタグ13を含んで構成される。遺体識別バンド11は、通例、足首に取り付けられるもので、その取り付け時点においては、何の情報も有していない一次元又は二次元コードを含む。好ましくは、遺体識別バンド11は、男女で色分けされる(例えば、男性は青、女性は赤)。
【0018】
基幹サーバ1は、葬祭施設ごとに設置されるルーター2に接続されるが、葬祭施設数、即ち、ルーター2数は増減する可能性があり、また、通信内容の漏洩防止のために、基幹サーバ1とルーター2の接続は、VPN網15(既存のインターネット回線を活用したインターネットVPN)を介して行うことが好ましい。
【0019】
上記機器のうちハブ3、HHT制御用AP4、RFIDリーダライタ6及び警告手段8は、PoE給電タイプであることが好ましい。言うまでもなくPoEは、機器をLANケーブルで接続することにより、電源を要せずに、給電とインターネットの接続環境の提供が可能となる技術である。本システムの場合は、HHT制御用AP4、RFIDリーダライタ6及び警告手段8が、ルーター2にLANケーブル接続されるハブ3にLANケーブル接続されることにより、それらの機器に給電しつつ、それらの機器をインターネット利用環境下に置くことが可能となる。
【0020】
携帯端末10は、営業担当者が持ち歩くノートパソコンやタブレット等の携帯用端末であり、この携帯端末10から基幹サーバ1に、故人の情報、施行番号、葬儀会場、葬儀日時、出棺日時等を含む遺体情報が入力される。
【0021】
ハンディターミナル9は無線通信可能なハンディタイプのものであり、葬祭施設ごとに配備され、各葬祭施設の担当者が取り扱う。各葬祭施設において担当者は、後述するように、ハンディターミナル9を操作し、WiFi接続されているHHT制御用AP4を介して、基幹サーバ1から遺体情報を受信し、その遺体情報と遺体識別バンド11(のコード)との紐付けを行い、また、その遺体情報をRFIDタグ13へ入力する。
【0022】
上述したように、遺体識別バンド11は、葬祭施設入館前は情報を含まない状態で遺体に取り付けられ、入館後に、ハンディターミナル9により、基幹サーバ1から受信した遺体情報との紐付けが行われる。より詳細には、何の情報も含まない遺体識別バンド11をハンディターミナル9で読み込み、ハンディターミナル9内において、遺体識別バンド11と当該遺体情報との紐付け(「この遺体識別バンドのコードは、この遺体情報とする」という紐付け)が行われる。
【0023】
RFIDタグ13は、棺12が葬祭施設に到着した時点で、棺12に取り付けられる。その後、RFIDタグ13には、ハンディターミナル9から遺体情報が入力され、遺体情報と棺12が紐付けられる。そして、納棺時に、ハンディターミナル9で遺体識別バンド11とRFIDタグ13を読み込み、遺体識別バンド11とRFIDタグ13の紐付け(遺体の照合)を行う。この遺体識別バンド11とRFIDタグ13の紐付け後は、遺体識別バンド11は外しても差し支えない。
【0024】
RFIDリーダライタ6に同軸ケーブルを介して接続されるアンテナ7は、葬祭施設の出入り口である出棺口に設置されるが、それは出入り口の床に設置することができるマット型アンテナであることが、目立たないので好ましい。出棺時に、このアンテナ7を介して、RFIDリーダライタ6でRFIDタグに入力されている遺体情報を読み取り、制御PC5において、基幹サーバ1に保存されている遺体情報と一致しているか否かが確認される。
【0025】
アンテナ7は、葬祭施設の出入り口(出棺口)と共に霊柩車に取り付けられることもある。その場合は、葬祭施設の出入り口と霊柩車の双方において、基幹サーバ1の遺体情報とRFIDタグに入力されている遺体情報の照合を行うことが可能となり、遺体の取違いをより一層確実に回避することが可能となる。なお、出棺口に取り付けられるアンテナ7は、同軸ケーブル等、有線方式でRFIDリーダライタ6に接続されるが、霊柩車に取り付けられるアンテナ7は、RFIDリーダライタ6と無線通信を行うことで、情報の送受を行う。
【0026】
基幹サーバ1の遺体情報と、アンテナ7で読み取ったRFIDタグに入力されている遺体情報の照合は、各葬祭施設に設置される制御PC5により行われ、照合の結果、一つでも情報が一致しなかった場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合には、音と光による警告手段8を鳴動させ、出棺を停止させる。
【0027】
上記本発明に係る遺体と棺のマッチングシステムの第1の実施形態を用いて行う遺体と棺のマッチング方法は、
-携帯端末から基幹サーバに遺体情報を入力する遺体情報入力ステップ(S1)と、
-ハンディターミナルで、HHT制御用APを介して基幹サーバから遺体情報を受信し、遺体に取り付けられている遺体識別バンドを読み込み、当該遺体情報と遺体識別バンドの紐付けを行うステップ(S2)と、
-ハンディターミナルにより、棺に取り付けられているRFIDタグに遺体情報を入力して、当該棺とRFIDタグの紐付けを行う棺とRFIDタグの紐付けステップ(S3)と、
-納棺時に、ハンディターミナルにより遺体識別バンドに記録されている遺体情報を確認して、当該遺体とRFIDタグの紐付けを行う遺体とRFIDタグの紐付けステップ(S4)と、
-出棺時に、アンテナを介してRFIDタグの遺体情報を読み取り、それと基幹サーバに保存されている遺体情報を照合する遺体情報の照合ステップ(S5)と、
-照合の結果、相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に警告手段を動作させて出棺を停止させる照合結果実行ステップ(S6)と、
から成る。
【0028】
以下に上記本発明に係るシステムの第1の実施形態を用いて実施する遺体と棺のマッチング方法について、ステップごとにより詳細に説明する。
【0029】
遺体情報入力ステップ(S1)
先ず、携帯端末10から基幹サーバ1へ遺体情報を入力する。上述したように遺体情報には、少なくとも、故人の情報、施行番号、葬儀会場、葬儀日時、出棺日時が含まれ、また、火葬場の情報、火葬日時等が含まれることもある。遺体情報は、葬儀等の打ち合わせ場所(通例、葬儀会社)において決定され、その後直ちに携帯端末10から基幹サーバ1に送信される。
【0030】
遺体と遺体識別バンドの紐付けステップ(S2)
このステップは、葬祭施設の担当者がハンディターミナル9を操作して、HHT制御用AP4を介して基幹サーバ1から遺体情報を受信し、遺体識別バンド11を読み込み、当該受信した遺体情報と遺体に取り付けられている遺体識別バンド11の紐付け(ハンディターミナル9内で「この遺体識別バンドのコードは、この遺体情報とする」という情報の紐付け)を行うステップである。
【0031】
棺とRFIDタグの紐付けステップ(S3)
続いて、ハンディターミナル9によって、棺に取り付けられているRFIDタグ13に遺体情報を入力して、当該棺とRFIDタグの紐付けを行う。
【0032】
遺体とRFIDタグの紐付けステップ(S4)
納棺時に、遺体識別バンド11から読み取られた遺体情報とRFIDタグから読み取られた遺体情報の紐付け(遺体の照合)を行う。即ち、ハンディターミナル9によって、遺体識別バンド11の遺体情報とRFIDタグの遺体情報を読み取って照合し、遺体とRFIDタグの紐付けを行う。遺体識別バンド11は、この紐付け終了後に外してもよい。
【0033】
出棺時における遺体情報の照合ステップ(S5)
出棺時に、情報読み取り手段であるRFIDリーダライタ6によってRFIDタグ13の遺体情報を読み取り、それと基幹サーバ1に保存されている遺体情報を制御PC5において照合する。
【0034】
照合結果実行ステップ(S6)
上記照合の結果、一点でも相違する点がある場合、あるいは、すべてのステップを経ていない場合(遺体識別バンドに遺体情報が紐付けされていない場合等)には、制御PC5から警告手段8に動作信号が送られ、警告手段8が動作して光と音による警告を発する。かくして、出棺が一旦停止され、遺体確認が行われる。
【0035】
本発明に係る遺体と棺のマッチングシステムの第2の実施形態は、システム運営者(葬儀会社)が管理する基幹サーバ1と、基幹サーバ1に遺体情報を入力するための、葬儀担当者が扱う携帯端末10と、葬祭施設ごとに設置されて基幹サーバ1に接続される第一ルーター22と、第一ルーター22に接続される第一ハブ23と、火葬施設ごとに設置されて基幹サーバ1に接続される第二ルーター32と、第二ルーター32に接続される第二ハブ33を含む(
図3参照)。
【0036】
第2の実施形態に係る遺体と棺のマッチングシステムにおける葬祭施設内におけるシステムは、第1の実施形態の場合と同じである。即ち、葬祭施設内において、第一ハブ23には、第一HHT制御用AP(アクセスポイント)24と、第一制御PC25と、情報読み取り手段である第一アンテナ27を含めた第一RFIDリーダライタ26と、第一警告手段28とが接続される。
【0037】
また、ハンディターミナル9が第一HHT制御用AP24にWiFi接続され、第一アンテナ27が第一RFIDリーダライタ26に接続される。また、本システムは更に、遺体に取り付けられる遺体識別バンド11と、棺12に取り付けられるRFIDタグ13を含んで構成される。
【0038】
第2の実施形態に係る遺体と棺のマッチングシステムは、更に、火葬施設内において、第二ハブ33には、第二HHT制御用AP(アクセスポイント)34と、第二制御PC35と、情報読み取り手段である第二アンテナ37を含めた第二RFIDリーダライタ36と、第二警告手段38とが接続される。
【0039】
基幹サーバ1は、火葬施設ごとに設置される第二ルーター32に接続されるが、火葬施設数、即ち、第二ルーター32数は増減する可能性があり、また、通信内容の漏洩防止のために、基幹サーバ1と第二ルーター32の接続は、VPN網15(既存のインターネット回線を活用したインターネットVPN)を介して行うことが好ましい。
【0040】
上記機器のうち第二ハブ33、第二HHT制御用AP34、第二RFIDリーダライタ36及び第二警告手段38は、PoE給電タイプであることが好ましい。本システムの場合は、第二HHT制御用AP34、第二RFIDリーダライタ36及び第二警告手段38が、第二ルーター32にLANケーブル接続される第二ハブ33にLANケーブル接続されることにより、それらの機器に給電しつつ、それらの機器をインターネット利用環境下に置くことが可能となる。
【0041】
第二RFIDリーダライタ36に同軸ケーブルを介して接続される第二アンテナ37は、火葬施設の棺の出入り口(入館口)に設置されるが、それは出入り口の床に設置することができるマット型アンテナであることが、目立たないので好ましい。入館時に、この第二アンテナ37を介して、第二RFIDリーダライタ36でRFIDタグに入力されている遺体情報を読み取り、第二制御PC35において、基幹サーバ1に保存されている遺体情報と一致しているか否かが確認される。
【0042】
第二アンテナ37は、火葬施設の棺の出入り口(入館口)と共に霊柩車に取り付けられることもある。その場合は、火葬施設の出入り口と霊柩車の双方において、基幹サーバ1の遺体情報とRFIDタグに入力されている遺体情報の照合を行うことが可能となり、遺体の取違いをより一層確実に回避することが可能となる。なお、入館口に取り付けられる第二アンテナ37は、同軸ケーブル等、有線方式で第二RFIDリーダライタ36に接続されるが、霊柩車に取り付けられる第二アンテナ37は、第二RFIDリーダライタ36と無線通信を行うことで、情報の送受を行う。
【0043】
基幹サーバ1の遺体情報と、第二アンテナ37で読み取ったRFIDタグに入力されている遺体情報の照合は、各火葬施設に設置される第二制御PC35により行われ、照合の結果、一つでも情報が一致しなかった場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合に、音と光による第二警告手段38を鳴動させ、火葬を停止させる。
【0044】
上記本発明に係る遺体と棺のマッチングシステムの第2の実施形態を用いて行う遺体と棺のマッチング方法は、ステップ(S1)からステップ(S6)までは、第1の実施形態を用いて行う遺体と棺のマッチング方法と同じであり、その後の火葬施設入館時において実施される、下記RFIDタグの遺体情報と基幹サーバに保存されている遺体情報の照合ステップ(S7)と、照合結果実行ステップ(S8)が付加される(
図4参照)。
【0045】
火葬施設入館時における遺体情報の照合ステップ(S8)
火葬施設入館時に、情報読み取り手段である第二RFIDリーダライタ36によってRFIDタグ13の遺体情報を読み取り、それと基幹サーバ1に保存されている遺体情報を第二制御PC35において照合する。
【0046】
火葬施設における照合結果実行ステップ(S9)
上記照合の結果、一点でも相違する点がある場合、並びに、すべてのステップを経ていない場合には、第二制御PC35から第二警告手段38に動作信号が送られ、第二警告手段38が動作して光と音による警告を発する。かくして、火葬が一旦停止され、遺体確認が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る遺体と棺のマッチングシステム及びマッチング方法は上記のとおりであって、システム全体を葬儀会社が運営管理するシステムであるために葬儀情報の秘匿性を確保でき、また、遺体と遺体情報の紐付け、並びに、RFIDタグによる棺と遺体情報との紐付けがなされ、更に、出棺時又は火葬時にRFIDタグの遺体情報と基幹サーバに保存されている遺体情報の照合が機械的に行われるため、出棺及び火葬に際しての遺体の取り違いの発生を確実に防止することができる効果があるものであり、その産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0048】
1 基幹サーバ
2 ルーター
3 ハブ
4 HHT制御用AP
5 制御PC
6 RFIDリーダライタ
7 アンテナ
8 警告手段
9 ハンディターミナル
10 携帯端末
11 遺体識別バンド
12 棺
13 RFIDタグ
15 VPN網