(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025005940
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】受光位置特定装置および光通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20250109BHJP
【FI】
H04B10/112
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106398
(22)【出願日】2023-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100129919
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 信二
(74)【代理人】
【識別番号】100170139
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 正光
(72)【発明者】
【氏名】國定 照房
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩司
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA22
5K102AL23
5K102MA02
5K102MB20
5K102MD01
5K102MD03
5K102PA01
5K102PH31
5K102RB02
(57)【要約】
【課題】光通信装置における光学系と受光部との光学的な位置合わせを簡易に実現する。
【解決手段】受光位置特定装置(10)は、光通信装置(100)の光学系中のウェッジプリズム(13)の回転を制御してコア部(106)への収れん光を回転制御部によって偏向させ、コア部(106)が収れん光を受信した時のウェッジプリズム(13)の回転角度に基づいて位置特定部によってコア部(106)の位置を特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号光のビーム径を調整する光学系、および、前記光学系による信号光の収れん光を受光する受光部、を有する光通信装置における前記光学系に組み込まれているウェッジプリズムの回転を制御して前記収れん光を偏向させる回転制御部と、
前記受光部が前記収れん光を受信した時の前記ウェッジプリズムの回転角度に基づいて前記受光部の位置を特定する位置特定部と、
を備える、受光位置特定装置。
【請求項2】
前記ウェッジプリズムを複数有し、
前記回転制御部は、特定数の前記ウェッジプリズムを一群として前記ウェッジプリズムの回転を制御する、請求項1に記載の受光位置特定装置。
【請求項3】
前記光通信装置は、前記光学系に前記ウェッジプリズムを含まない光通信装置であり、
前記光学系に組み込み可能な前記ウェッジプリズムをさらに含む、請求項1に記載の受光位置特定装置。
【請求項4】
前記光通信装置は、前記光学系に通信制御用ウェッジプリズム群を含む光通信装置であり、
前記回転制御部は、前記通信制御用ウェッジプリズム群の通信制御用ウェッジプリズムのうちの一枚を前記ウェッジプリズムとして、あるいは前記通信制御用ウェッジプリズムのうちの特定数を前記ウェッジプリズムの一群として、前記通信制御用ウェッジプリズムの回転を制御する、請求項1に記載の受光位置特定装置。
【請求項5】
前記ウェッジプリズムの回転駆動源は、ボイスコイルモータである、請求項1に記載の受光位置特定装置。
【請求項6】
前記回転制御部は、前記収れん光が特定のパターンに沿って前記光学系の光軸に直交する面を走査するように前記収れん光を偏向させる、請求項1に記載の受光位置特定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の受光位置特定装置を装着可能な光通信装置。
【請求項8】
前記受光部は、シングルモードファイバのコア部である、請求項7に記載の光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光位置特定装置および光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信においては、信号光の目的地までの中間伝送装置の数を減らすことが、効率を高める観点から好ましい。このためには、信号光の送受信のより高い精度が要求される。このような観点から、分岐した信号光から信号光の進行方向と基準方向との差を小さくするように、信号光の光路上に配置されたミラーの角度を調整する光通信装置が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】松本 充司、”光無線通信の課題と将来展望”、[online]、2016年3月17日、[令和4年4月6日検索]、インターネット<https://www.ieice.org/~wbs/pdf/taikai_matsumoto.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光通信装置における光学素子間での光軸のずれ(以下、「芯ずれ」とも言う)、例えばレーザー軸の芯ずれ、は主要部品の累積の誤差等に大きく依存する。特に、信号光が通過する光学系の光軸を、光学系との間で信号光を送受信する受光部、例えばSMF(シングルモードファイバ)のコア部(直径9μm程度)、に合わせることは難しく、時間を要することが多い。これは、レーザー軸の芯がどの位置にあるのかを見つけ出すことが難しいためである。
【0005】
また、光通信装置が経時的に劣化すると、レーザー軸の芯ずれが発生することがある。そのため、定期的なメンテナンスが求められる。しかしながら、多くの場合、光通信装置はメンテナンスを安易に実施可能な環境に設置されていない。そのため、光通信装置には、頻繁なメンテナンス等を要さないことが求められている。
【0006】
本発明の一態様は、光通信装置における光学系と受光部との光学的な位置合わせを簡易に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る受光位置特定装置は、信号光のビーム径を調整する光学系、および、前記光学系による信号光の収れん光を受光する受光部、を有する光通信装置における前記光学系に組み込まれているウェッジプリズムの回転を制御して前記収れん光を偏向させる回転制御部と、前記受光部が前記収れん光を受信した時の前記ウェッジプリズムの回転角度に基づいて前記受光部の位置を特定する位置特定部と、を備える。
【0008】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る光通信装置は、上記の受光位置特定装置を装着可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、光通信装置における光学系と受光部との光学的な位置合わせを簡易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る受光位置特定装置および光通信装置の構成を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る受光位置特定装置における機能的構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第一の図である。
【
図4】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第二の図である。
【
図5】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムの回転方向を説明するための第一の図である。
【
図6】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムの回転方向を説明するための第二の図である。
【
図7】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムの回転角度の求め方を説明するための第一の図である。
【
図8】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムの回転角度の求め方を説明するための第二の図である。
【
図9】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向を説明するための第一の図である。
【
図10】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向を説明するための第二の図である。
【
図11】本発明の実施形態1におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向を説明するための第三の図である。
【
図12】本発明の実施形態1における受光部の位置を決定するための制御の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態1における信号光の走査による受光部の位置の検出を説明するための図である。
【
図14】本発明の実施形態1における受光部の光学的な位置合わせの第一の態様を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態1における受光部の光学的な位置合わせの第二の態様を示す図である。
【
図16】本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の一例を説明するための第一の図である。
【
図17】本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の一例を説明するための第二の図である。
【
図18】本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の他の例を説明するための第一の図である。
【
図19】本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の他の例を説明するための第二の図である。
【
図20】本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の他の例を説明するための第三の図である。
【
図21】本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第一の図である。
【
図22】本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る受光位置特定装置および光通信装置の構成を模式的に示す図である。
図1に示されるように、光通信装置100は、信号光のビーム径を調整する光学系と、当該光学系による信号光の収れん光を受光する受光部とを有する。当該光学系は、レンズ101、102、104およびミラー103によって構成されている。当該受光部は、シングルモードファイバ105、受光装置107および通信制御部108によって構成されている。
【0012】
レンズ101、102、104は、シングルモードファイバ105へ信号光を導光する光学レンズ群である。レンズ101はコリメート光である信号光をレンズ102に向けて集光し、レンズ102は、ミラー103に向けて信号光をより小さなビーム径のコリメート光として出射する。ミラー103は、レンズ102とレンズ104との間の信号光(コリメート光)の光路を形成しており、大気揺らぎまたは設置場所に起因する振動などの信号光のノイズをキャンセルする機構を備えている。レンズ104は、信号光を、ビーム径が漸次縮小する収れん光として受光部に向けて出射する。
【0013】
シングルモードファイバ105は、その一端がレンズ104に対向して配置されており、他端で受光装置107に接続されている。シングルモードファイバ105の一端にはコア部106が露出しており、コア部106は、通常、上記の収れん光をレンズ104から受光する位置に設置されている。コア部106が上記の収れん光を受光する受光部に該当する。受光装置107は、光を検知して電気信号に変換する装置であり、例えば相補性金属酸化物半導体(CMOS)センサである。通信制御部108は、受光装置107における信号光の検出値を受信可能に構成されており、例えば中央演算処理装置(CPU)であり得る。
【0014】
受光位置特定装置10は、CPU11、第一ウェッジプリズム群12A、第二ウェッジプリズム群12B、第一ボイスコイルモータ15および第二ボイスコイルモータ18を有している。なお、受光位置特定装置10および通信制御部108は、いずれも、外部通信によりデータの送受が可能に構成されている。
【0015】
CPU11は、受光位置特定装置10における光学系と受光部との位置合わせのためのウェッジプリズムの回転を制御するための制御装置である。
【0016】
第一ウェッジプリズム群12Aは、第一ウェッジプリズム13および第二ウェッジプリズム14の一対のウェッジプリズムと、第一ウェッジプリズム13および第二ウェッジプリズム14のそれぞれを回転駆動させるための第一ボイスコイルモータ15とを有している。第二ウェッジプリズム群12Bは、第三ウェッジプリズム16および第四ウェッジプリズム17の一対のウェッジプリズムと、第三ウェッジプリズム16および第四ウェッジプリズム17のそれぞれを回転駆動させるための第二ボイスコイルモータ18とを有している。
【0017】
光通信装置100は、第一ウェッジプリズム群12Aおよび第二ウェッジプリズム群12Bを、光通信装置100の光学系中のコリメート光の光路中であるミラー103レンズ104との間に、例えばアダプタを介して着脱自在に配置できるように構成されている。受光位置特定装置10は、第一ウェッジプリズム群12Aおよび第二ウェッジプリズム群12Bを当該アダプタに装着することによって光通信装置100に組み込まれている。このように、光通信装置100は、元来、光学系にウェッジプリズム群を含まない光通信装置であり、上記の光学系に組み込み可能な第一、第二ウェッジプリズム群12A、12Bを含む受光位置特定装置10を装着可能に構成されている。
【0018】
図2は、本実施形態の受光位置特定装置10における機能的構成を示す図である。
図2に示されるように、CPU11は、回転制御部111および位置特定部112を備えている。回転制御部111は、第一、第二ウェッジプリズム群12A、12Bのウェッジプリズム13、14、16、17の回転を制御してレンズ104からコア部106に向かう前述の収れん光を偏向させる。また、位置特定部112は、受光部であるコア部106が収れん光を受信した時のウェッジプリズム13、14、16、17の回転角度に基づいてコア部106の位置を特定する。CPU11による受光位置の特定については後述する。
【0019】
図3は、本実施形態におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第一の図であり、
図4は、本実施形態におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第二の図である。ここでは、第一ウェッジプリズム群12Aにおける第一ウェッジプリズム13を例に説明するが、第二ウェッジプリズム14も同様に構成されている。また、第二ウェッジプリズム群12Bにおいても同様の構成によって第三、第四ウェッジプリズム16、17が回転可能に構成されている。
【0020】
第一ウェッジプリズム13は、固定枠120上に回転可能に支持される可動枠130に配置されている。
【0021】
固定枠120は、平面視したときの形状が円環状の部材であり、中央に円形の窓121を有している。固定枠120の表面には、コイル123、124のセットが二つ、配置されている。コイル123、124は、固定枠120の円周方向に並んで配置されており、いずれのコイルも固定枠120外の電源125に直列に接続されている。セットにおける二つのコイルのうちの陽極側のコイル123にはN極の磁界が形成され、陰極側のコイル124にはS極の磁界が形成される。また、平面視したときのコイル123、124の間であって電源125の反対側には、ホール素子126が配置されている。
【0022】
可動枠130は、平面視したときの形状が円環状の部材であり、中央に円形の窓を有し、当該窓に第一ウェッジプリズム13が嵌め込まれている。可動枠130の表面における固定枠120のコイル123、124のセットに対応する位置には、磁石が二つ、配置されている。磁石は、可動枠130の円周方向に延在し、中央部がN極132であり、両端部がS極131、133である。また、可動枠130は、固定枠120に対向する表面に、円周方向に延在する三本の溝134を有している。溝134は、円周方向においてそれぞれの磁石を挟む位置に形成されている。溝134にはボール135が移動自在に収容されている。ボール135は、可動枠130を固定枠120に重ねたときに固定枠120の表面に当接し、可動枠130の円周方向への回転運動において、固定枠120に対して可動枠130を低抵抗で、かつ円滑に移動させる。さらに、平面視したときの三本の溝134うちの二本の溝134の間であって残りの一本の溝134の反対側には、磁石136が配置されている。すなわち磁石136は、固定枠120のホール素子126に対応する位置に配置されている。
【0023】
図5は、本実施形態におけるウェッジプリズムの回転方向を説明するための第一の図であり、
図6は、本実施形態におけるウェッジプリズムの回転方向を説明するための第二の図である。前述したように固定枠120のコイル123、124と可動枠130の磁石とは対向する位置に配置されている。電源125からの通電によってコイル123にN極の磁界が形成され、コイル124にS極の磁界が形成されると、可動枠130は、
図5の矢印に示されるように、固定枠120に対して反時計回りに回転する。逆に、電源125からの通電によってコイル123にS極の磁界が形成され、コイル124にN極の磁界が形成されると、可動枠130は、
図6の矢印に示されるように、固定枠120に対して時計回りに回転する。
【0024】
図7は、本実施形態におけるウェッジプリズムの回転角度の求め方を説明するための第一の図である。
図8は、本実施形態におけるウェッジプリズムの回転角度の求め方を説明するための第二の図である。
【0025】
上記のように、ホール素子126は、第一ウェッジプリズム13(可動枠130)の回転に同期して磁石136による磁気回路上を円周方向に沿って相対的に移動する。一方、第一ウェッジプリズム13の回転角度は、
図8に示されるように、特定の範囲においてホール素子126が検出する電圧値(磁束密度)と一次式に近似可能な関係となる。よって、ホール素子126の出力電圧がリニアリティを保つように当該磁気回路における磁気分布を一様に設定することにより、第一ウェッジプリズム13の回転角度は、ホール素子126の磁石136に対する相対的な移動距離と中心からホール素子126までの距離とにより、逆三角関数演算により算出され得る。
【0026】
すなわち、
図7に示されるように、回転中心(第一ウェッジプリズム13の中心)からホール素子126までの距離をR、回転方向における位置P1、P2間の距離(ホール素子126の相対的な移動距離)をA、とすると、回転角度θは以下の式で表される。
θ=arcsin(A/R)
【0027】
ウェッジプリズムの回転角度θから信号光の偏向角γは算術的に容易に算出できる。よって、ウェッジプリズムとコア部106の受光面との距離がわかれば、三角関数演算により受光面の位置が算出できる。
【0028】
すなわち、回転角度θから一意に決まる偏向角をγ、ウェッジプリズムから受光面までの距離をC、としたときにより移動量Dは以下の式で表される。
移動量D=tanγ×C
【0029】
本実施形態では、ウェッジプリズム群ごとに信号光を一方向へ偏向させるように設定する。本実施形態における信号光の偏向の方法を説明する。
図9は、本実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向を説明するための第一の図であり、
図10は、本実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向を説明するための第二の図である。また、
図11は、本実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向を説明するための第三の図である。
【0030】
第一ウェッジプリズム群12Aの第一ウェッジプリズム13および第二ウェッジプリズム14は、互いに同じ回転角度で逆方向に回転して、
図9に示されるようにピッチ方向(鉛直方向)に信号光を偏向させるように設定され、制御される。第二ウェッジプリズム群12Bの第三ウェッジプリズム16および第四ウェッジプリズム17は、互いに同じ回転角度で逆方向に回転して、
図10に示されるようにヨー方向(水平方向)に信号光を偏向させるように設定され、制御される。
【0031】
このように各ウェッジプリズムを設定し、その回転運動を制御することにより、
図11に示されるように、ウェッジプリズムの光軸に直交する平面上の任意の位置へ信号光を偏向させることが可能である(特開2016-164548号公報参照)。
【0032】
次いで、本実施形態における受光面を特定するための制御について説明する。
図12は、本実施形態における受光部の位置を決定するための制御の一例の流れを示すフローチャートである。たとえば、光通信装置100における光通信の受信状態が悪く、光通信装置100内での受光部の位置を探索する必要が発生したとする。この場合、光通信装置100またはそれに通信可能な他の装置から、探索開始のための信号光が光通信装置100に送信される。当該信号光の通信は、光通信でなくてもよい。また、当該信号光は、通常の光通信の信号光と同じであってもよいし、当該信号光とは異なる光学特性を有する光であってコア部106の探索に適した特性を有する光であってもよい。
【0033】
ステップS1において、CPU11は当該信号光を受信する。
【0034】
ステップS2において、CPU11は、受光装置107からの当該信号光の受信信号(検出信号)を検出する。
【0035】
ステップS2においてCPU11が当該受信信号を受信した場合には、ステップS3において、CPU11は、受信時のウェッジプリズムの回転角度の情報からコア部106の位置を算出する。より詳しくは、通信制御部108は、受光装置107が検出した当該信号光の情報を取得し、CPU11に出力する。CPU11は、通信制御部108から取得した信号光検出の信号を取得する。位置特定部112は、回転制御部111から受信時のウェッジプリズムの回転角度の情報を取得し、上記の信号光検出の信号と、取得した回転角度の情報とを参照して、コア部106の位置を算出する。そして必要に応じてCPU11は、算出したコア部106の位置情報を外部に送信する。
【0036】
ステップS2においてCPU11が当該受信信号を受信しない場合では、ステップS4において、回転制御部111が第一から第四のウェッジプリズム13、14、16、17の一以上を特定量回転させる。そしてCPU11は、ステップ2における受光装置107が探索用の信号光の有無を検出する。
【0037】
ステップS4において、CPU11は、環境に応じてサーチパターンを適宜に選択し、シングルモードファイバ105のコア部106の位置を特定する。たとえば、回転制御部111は、あらかじめ用意されたサーチパターンから、指定されたサーチパターンを選択し、フィードバック制御における指令値とする。また、位置特定部112は、前述したホール素子からの出力値に基づき、ウェッジプリズムの回転位置を算出する。回転制御部111は、位置特定部112算出した回転位置を取得して指令値と比較し、偏差を算出する。そして、回転制御部111は、当該偏差を無くすようにウェッジプリズムの回転運動を制御する。たとえば、回転制御部111は、算出した回転角度を実現する電圧値の電圧を電源125からコイル123、124に印加し、またホール素子の検出信号に基づいてウェッジプリズムの実際の回転角度を算出する。こうしてウェッジプリズムの回転動作を前述のサーチパターンに合わせる。
【0038】
サーチパターンについて説明する。
図13は、本実施形態における信号光の走査による受光部の位置の検出を説明するための図である。サーチパターンは、例えば
図13に示されるように、ヨー方向の両端間を、ピッチ方向の一方向に蛇行する形状である。回転制御部111は、収れん光が
図13に示されるような特定のパターンに沿って光学系の光軸に直交する面を走査するよう収れん光を偏向させる。信号光の位置Psがパターンに沿って移動するように信号光を偏向させることで、ウェッジプリズムの光軸に直交する平面の当該パターン上にコア部106が位置する場合には、コア部106の位置に信号光が到達する。このとき、コア部106に到達した信号光が受光装置107に検出され、その結果、コア部106の位置が特定される。
【0039】
このようにして、CPU11は、環境に応じたサーチパターンに基づいてコア部106の位置を特定する。CPU11は、以上の処理の演算をサーチパターンが終了するまで、あるいは探索終了の信号を受信まで実施する。演算終了後、CPU11は、コア部106の位置特定に係る演算結果の一部または全部を、受光部の探索結果として外部に送信する。
【0040】
次いで、コア部106の位置を光学的に調整することにより、光調整装置の受信不良が解消する。
図14は、本実施形態におけるコア部106の光学的な位置合わせの第一の態様を示す図であり、
図15は、本実施形態におけるコア部106の光学的な位置合わせの第二の態様を示す図である。
図14に示されるように、前述の位置特定の処理により、光通信装置100の光学系における光軸OAsに対して、シングルモードファイバ105のコア部106における光軸OAcがずれた位置にあることが判明している。
【0041】
第一の態様は、ウェッジプリズムの回転による光ビームの偏向特性を利用して、発生した芯ずれを補正する態様である。すなわち、コア部106の位置を特定したときのウェッジプリズムの回転角度を基準値として設定する。その結果、光学系とコア部106との芯ずれが解消する。第一の態様は、受光位置特定装置10を光通信装置100から外さずに組み込んだままにすることによって実施可能であり、例えば受光位置特定装置10の回収が困難な場合に有利である。
【0042】
第二の態様は、ウェッジプリズム群の回転量から芯ずれ位置への移動量を算出し、シングルモードファイバ105を移動させる態様である。すなわち、コア部106が光学系の光軸OAs上にくるように、シングルモードファイバ105の位置を調整する。その結果、当初は光学系の光軸OAsとはずれていたコア部106の光軸OAcが光学系の光軸OAsと重なり、その結果、光学系とコア部106との芯ずれが解消する。第二の態様は、シングルモードファイバ105の精密な位置合わせが可能な場合(例えば製品出荷時における位置合わせなど)に有利である。
【0043】
このように、受光位置特定装置10は、光通信装置100の光学系に恒久的に組み込むことが可能である。または、受光位置特定装置10は、光通信装置100に対して脱着可能な機構を有することにより、使用時のみに光通信装置100に組み込むことが可能である。
【0044】
さらには、受光位置特定装置10は、光通信装置100の組付け後の調整、あるいは光通信装置100の設置後におけるのメンテナス作業において、調整用の治具として光通信装置100に対して別体化させるか否かの選択が可能となる。たとえば光通信装置100の使用場所の都合により、受光位置特定装置10を安易に脱着できない場合には、光通信装置100に受光位置特定装置10を予め組み込み、必要に応じて使用できるようにすることが可能である。これに対して、例えば光通信装置100の製造工程での調整では、受光部の位置合わせ後に受光位置特定装置10を取り外せば、光通信装置100サイズまたは重量への影響を抑制することが可能である。
【0045】
[主な作用効果]
光通信装置100では、安価で高速度な通信を実現させるために、信号光を光学系で受光した後に、シングルモードファイバ105のコア部106に導光させることが求められることがある。しかしながら、コア部106の大きさは、前述したように直径9μm程度であり、そこへ光学系の光軸を合わせる調整には、通常、時間と精度とが必要となる。本実施形態では、受光位置特定装置10は、前述した回転制御部111および位置特定部112を備える。そして、外部からの通信に従い、ウェッジプリズム内部処理として回転させ、その回転量を算出する機能を有する。そのため、受光位置特定装置10を信号光の光学系に装着可能な光通信装置100であれば、コア部106の光学的な位置合わせ、あるいは光学的な位置のずれを簡易に解消することが可能となる。本実施形態は、光学系にウェッジプリズム群を含まない光通信装置にも適用可能である。
【0046】
また、本実施形態において、ウェッジプリズムの回転駆動源は、ボイスコイルモータである。ボイスコイルモータは、一般に駆動において以下の特徴を有しており、信号光の偏向によるコア部106の探索に適している。
・通電の転流による推力リプルが小さくスムーズな制御を可能とする。
・動作応答性に優れ、高周波動作が可能である。
・通電電流に比例した推力が発生するため、精密荷重制御が可能である。
【0047】
また、本実施形態では、固定枠120と可動枠130とを合わせることによってコイルと磁石が対向して配置されてボイスコイルモータが形成される。可動枠130における、平面視したときの形状が円弧形状である溝134にはボール135が収容される。本実施形態では、このような構成により、固定枠120と可動枠130との間隔を保持し、可動枠130の回転範囲を規定し、かつ円滑な回転運動を実現している。また、固定枠120のコイル123、124を直列に接続していることから、固定枠120上に配置したコイルへの通電に時間差が発生しない。さらに、コイルへの通電によって二極の磁界が形成されるコイルの構成を採用している。このように本実施形態では、ボイスコイルモータは、ウェッジプリズムの回転方向にトルクを伝えることに特に適した構造となっている。
【0048】
また、本実施形態では、回転制御部111は、信号光の収れん光が特定のパターンに沿って光学系の光軸に直交する面を走査するように収れん光を偏向させる。そのため、広範囲において当該パターンに応じて適切にコア部106の位置を探索し、特定するのに好適である。
【0049】
また、本実施形態において、光学系の収れん光を受光する受光部は、シングルモードファイバ105のコア部106である。コア部106は前述したように非常に小さく、光学的な位置合わせが困難である。本実施形態では、ウェッジプリズムによるコア部106の精密な探索が可能であり、コア部106のような小さい領域への光学的な位置合わせにより効果的である。
【0050】
〔その他の実施形態〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
実施形態1ではウェッジプリズム群を有さない光通信装置に受光位置特定装置10を装着する形態を説明したが、本発明は、ウェッジプリズム群を元来有する光通信装置にも適用可能である。すなわち、光通信装置は、光学系に通信制御用ウェッジプリズム群を含む光通信装置であってよい。この場合、回転制御部は、当該通信制御用ウェッジプリズム群をウェッジプリズム群として通信制御用ウェッジプリズム群のウェッジプリズムの回転を制御する。この実施形態は、受光位置特定装置を光通信装置に後から組み込むことが困難な場合にも前述のコア部の位置の探索および位置合わせを可能とするのに有利である。
【0052】
また、本発明では、ウェッジプリズムは二対四枚に限定されない。ウェッジプリズムは回転させることで、ウェッジプリズムを通過する光を偏向させられることが知られている。このように、ウェッジプリズムによる光の偏向では、ウェッジプリズムの組み合わせに応じて様々な偏向が可能であり、本発明ではそれらの偏向の態様も適用可能である。
【0053】
たとえば検出対象が大きければ、ウェッジプリズムの枚数は一枚でもよい。ウェッジプリズムが一枚のみであることは、受光位置特定装置の小型化、および、ウェッジプリズムの回転制御の負荷軽減、などの装置の簡素化の観点から好適である。また、例えば前述のコア部106のように検出対象が小さければ、複数枚のウェッジプリズムを組み合わせて用いることが好ましい。ウェッジプリズムの枚数を増やすことは、広範な探索を実現する観点、局所的に精密な探索を実現する観点、これらの相反する探索を同時に実現する観点、などの探索能力の高度化の観点から好適である。
【0054】
図16は、本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の一例を説明するための第一の図であり、
図17は、本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の一例を説明するための第二の図である。
図16に示されるように、二枚のウェッジプリズム161、162を、光軸に直交する表面同士を対向させ、光軸に対して斜めの表面を互いに外側に向けるように配置し、回転させる。それにより、
図17に示されるように、光軸に直交する平面において信号光をらせん状に走査するように偏向させることが可能である(https://www.thorlabs.co.jp/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=147参照)。よって、本発明では、このような一つのウェッジプリズム群を受光位置特定装置に適用することが可能であり、このような形態は、受光位置特定装置をより小さく構成するのに有利である。
【0055】
また、本発明では、ウェッジプリズム群をさらに追加し、同じ方向へ信号光を偏向させるウェッジプリズム群同士に異なる機能を発現させてもよい。
図18は、本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の他の例を説明するための第一の図であり、
図19は、本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の他の例を説明するための第二の図である。また、
図20は、本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムによる信号光の偏向の他の例を説明するための第三の図である。
【0056】
前述した実施形態1のように二枚のウェッジプリズムからなるウェッジプリズム群を二つ(四枚のウェッジプリズムを)用いることは、受光部の面における位置を算出するのに適している。さらに、ウェッジプリズム群を追加することにより、受光部の位置の特定における精度をより高めることが可能である。
【0057】
すなわち、
図18に示されるように、第一ウェッジプリズム群180Aおよび第二ウェッジプリズム群180Bの二つのウェッジプリズム群をピッチ方向への信号光の偏向に用いる。また、
図19に示されるように、第三ウェッジプリズム群190Aおよび第四ウェッジプリズム群190Bの二つのウェッジプリズム群をヨー方向への信号光の偏向に用いる。
【0058】
第一ウェッジプリズム群180Aは、二枚のウェッジプリズム181、182で構成される。ウェッジプリズム181、182は、その回転がより粗く制御され、信号光をピッチ方向において粗く偏向させる。第二ウェッジプリズム群180Bは、二枚のウェッジプリズム183、184で構成される。ウェッジプリズム183、184は、その回転がより精密に制御され、信号光をピッチ方向において精密に偏向させる。第三ウェッジプリズム群190Aは、二枚のウェッジプリズム191、192で構成される。ウェッジプリズム191、192は、その回転がより粗く制御され、信号光をヨー方向において粗く偏向させる。第四ウェッジプリズム群190Bは、二枚のウェッジプリズム193、194で構成される。ウェッジプリズム193、194は、その回転がより精密に制御され、信号光をヨー方向において精密に偏向させる。
【0059】
その結果、
図20に示されるように、四つのウェッジプリズム群180A、180B、190Aおよび190Bによって、ウェッジプリズムの光軸に直交する平面のいかなる方向においても、信号光を粗い制御によって大まかに、そして精密な制御によって細やかに偏向させることが可能となる。したがって、
図20に示される態様は、受光部の位置を広範囲に、かつ精密に探索する観点から有利である。
【0060】
なお、本発明において、ウェッジプリズムの回転駆動源はボイスコイルモータでなくてもよい。たとえば、受光位置特定装置に十分な電力の供給が困難な場合には、ウェッジプリズムを手動で回転させることも可能である。
図21は、本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第一の図であり、
図22は、本発明の他の実施形態におけるウェッジプリズムを回転させる構成を説明するための第二の図である。
図21に示されるように、光通信装置200は、受光位置特定装置10に代えて受光位置特定装置220を有する以外は、前述した光通信装置100と実質的に同じ構成を有している。受光位置特定装置220は、第一ウェッジプリズム群212Aと第二ウェッジプリズム群212Bとを有し、各ウェッジプリズム群においてウェッジプリズムを手動で回転させるように構成されている。
【0061】
図22に示されるように、第一ウェッジプリズム13は、その外周縁部の一部に沿って歯221を有している。歯221には、回転自在に取り付けられている歯車222が噛み合っており、歯車222には歯車222を回転させるためのつまみ223は取り付けられている。受光位置特定装置220における第一ウェッジプリズム13以外の他のウェッジプリズムも同様の構成を有している。
【0062】
光通信装置200では、例えば作業員がつまみ223を用いてウェッジプリズムを回転させる。通信制御部108は、受光装置107からの信号光の検出信号を受信すると、作業員が認識可能に受信を視覚的な刺激(光など)または聴覚的な刺激(音など)により通知する。作業員は、そのときの回転位置を記録し、そのときのコア部106の位置を、外部通信を介して接続される他の計算機に算出させる。当該回転位置でウェッジプリズムを固定することで、光軸再調整後の新たな基準位置としてもよいし、コア部106の位置を光学系の光軸の位置に移動させてもよい。このように、受光位置特定装置220では、供給電力等が無い場合でも回転ギヤによる手動調整を実施することでウェッジプリズム群を回転させ、信号光を偏向させてコア部106の位置を特定することが可能である。
【0063】
なお、前述した実施形態1では、外部との通信を行い、光通信装置による信号光の受光を確認することでコア部106の位置の特定を行う。光通信装置の多くは、取得したデータを解析する処理装置にデータ解析を行わせる。
【0064】
本発明では、その際の受信エラーの状態をトリガーとして受光部の位置特定を行わせればよい。したがって、受光部の位置の特定は、外部の通信によらなくも可能である。たとえば、受光装置107が、通信状態の良否を確認するためのLED、例えば通信状態良では緑色に、通信状態不良では赤色に発光する発光部、を有する場合では、作業員が当該発光部を肉眼で確認しながらウェッジプリズムを回転させることによっても受光部の位置の特定を実施可能である。
【0065】
また、本発明では、信号光の光学系に通信制御用ウェッジプリズム群を含む光通信装置に、受光位置特定用のウェッジプリズム群を有する受光位置特定装置をさらに装着させ、通信制御用ウェッジプリズム群を使用せずに受光位置特定装置のウェッジプリズム群によって受光部の位置を特定してもよい。
【0066】
〔まとめ〕
以上の説明から明らかなように、本発明の第一の態様は、信号光のビーム径を調整する光学系、および、光学系による信号光の収れん光を受光する受光部(コア部106)、を有する光通信装置(100)における光学系に組み込まれているウェッジプリズム(13、14、16、17)の回転を制御して収れん光を偏向させる回転制御部(111)と、受光部が収れん光を受信した時のウェッジプリズムの回転角度に基づいて受光部の位置を特定する位置特定部(112)と、を備える受光位置特定装置(10)である。当該第一の態様によれば、光通信装置における光学系と受光部との光学的な位置合わせを簡易に実現することができる。
【0067】
本発明の第二の態様は、第一の態様において、受光位置特定装置がウェッジプリズムを複数有し、回転制御部が、特定数(二枚)のウェッジプリズムを一群(ウェッジプリズム群12A、12B)としてウェッジプリズムの回転を制御する。当該第二の態様は、受光部の位置を広範に、あるいは精密に特定する観点からより一層効果的である。
【0068】
本発明の第三の態様は、第一の態様または第二の態様において、光通信装置が光学系にウェッジプリズムを含まない光通信装置であり、受光位置特定装置が光学系に組み込み可能なウェッジプリズムをさらに含む。当該第二の態様は、光通信装置の構成(ウェッジプリズムの有無)によらずに受光部の位置合わせを可能にする観点からより一層効果的である。
【0069】
本発明の第四の態様は、第一の態様または第二の態様において、光通信装置が、光学系に通信制御用ウェッジプリズム群を含む光通信装置であり、回転制御部は、通信制御用ウェッジプリズム群の通信制御用ウェッジプリズムのうちの一枚を上記のウェッジプリズムとして、あるいは通信制御用ウェッジプリズムのうちの特定数を上記のウェッジプリズムの一群として、通信制御用ウェッジプリズムの回転を制御する。当該第四の態様は、光通信装置の設置状況によらずに受光部の光学的な位置合わせを可能にする観点からより一層効果的である。
【0070】
本発明の第五の態様は、第一から第四の態様のいずれかにおいて、ウェッジプリズムの回転駆動源がボイスコイルモータ(15、18)である。当該第五の態様は、収れん光の偏向によって受光部の位置を精密に特定する観点からより一層効果的である。
【0071】
本発明の第六の態様は、第一から第五の態様のいずれかにおいて、回転制御部が収れん光が特定のパターンに沿って光学系の光軸に直交する面を走査するように収れん光を偏向させる。当該第六の態様は、広範な範囲において受光部を探索しその位置を特定する観点からより一層効果的である。
【0072】
本発明の第七の態様は、第一の態様から第六の態様のいずれかの受光位置特定装置を装着可能な光通信装置である。当該第七の態様は、前述の第一の態様と同様に、光通信装置における光学系と受光部との光学的な位置合わせを簡易に実現することができる。
【0073】
本発明の第八の態様は、第七の態様において、受光部がシングルモードファイバ(105)のコア部である。当該第八の態様は、安価で高速の光通信を実現する観点および受光部の芯ずれを簡易に解消可能な観点からより一層効果的である。
【0074】
本発明によれば、光通信装置による安価で高速な光通信を実現し、さらには受光部の光学的な位置合わせを簡易に実現することが可能である。よって本発明は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」等の達成に貢献することが期待される。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10、220 受光位置特定装置
11 CPU
12A、180A、212A 第一ウェッジプリズム群
12B、180B、212B 第二ウェッジプリズム群
13 第一ウェッジプリズム
14 第二ウェッジプリズム
15 第一ボイスコイルモータ
16 第三ウェッジプリズム
17 第四ウェッジプリズム
18 第二ボイスコイルモータ
100、200 光通信装置
101、102、104 レンズ
103 ミラー
105 シングルモードファイバ
106 コア部
107 受光装置
108 通信制御部
111 回転制御部
112 位置特定部
120 固定枠
121 窓
123、124 コイル
125 電源
126 ホール素子
130 可動枠
131、133 S極
132 N極
134 溝
135 ボール
136 磁石
161、162、181~184、191~194 ウェッジプリズム
190A 第三ウェッジプリズム群
190B 第四ウェッジプリズム群
221 歯
222 歯車
223 つまみ