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特開2025-59440室内熱交換器および空調室内機、並びに、室内熱交換器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025059440
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】室内熱交換器および空調室内機、並びに、室内熱交換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20250403BHJP
   F28D 1/04 20060101ALI20250403BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20250403BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20250403BHJP
   B23K 33/00 20060101ALI20250403BHJP
   B23K 1/14 20060101ALI20250403BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
F28F9/02 Z
F28D1/04 Z
F28F9/26
B23K1/00 330K
B23K33/00 310A
B23K1/14 Z
F25B39/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169523
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 祥太
(72)【発明者】
【氏名】山本 周太郎
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065FA14
3L103AA01
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC18
3L103CC23
3L103DD03
3L103DD33
3L103DD70
3L103DD82
3L103DD85
3L103DD97
(57)【要約】
【課題】接続部と伝熱管との接続精度を維持しつつ、プレート積層体の接続部と伝熱管とを接続する際のロウ材の再溶融を抑制する。
【解決手段】室内熱交換器は、フィン(41)および伝熱管(42)を有する熱交換部(40A)と、伝熱管(42)と連通する冷媒流路(51)と、冷媒流路(51)と連通しかつ伝熱管(42)が接続される接続部(53)とを有するプレート積層体(50)と、を備え、接続部(53)は、伝熱管(42)と接続部(53)との接合面(71)に連続しかつ伝熱管(42)の軸方向の熱交換部(40A)側から見て環状の環状面(72)を有し、環状面(72)は、ロウ受け部(73)を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィン(41)および伝熱管(42)を有する熱交換部(40A)と、
前記伝熱管(42)と連通する冷媒流路(51)と、前記冷媒流路(51)と連通しかつ前記伝熱管(42)が接続される接続部(53,253,353,453)とを有するプレート積層体(50,250,350,450)と、を備え、
前記接続部(53,253,353,453)は、前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)との接合面(71,271,371,471)に連続しかつ前記伝熱管(42)の軸方向の前記熱交換部(40A)側から見て環状の環状面(72,272,372,472)を有し、
前記環状面(72,272,372,472)は、ロウ材(70,270,370,470)を受けるロウ受け部(73,273,373,473)を有する室内熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器において、
前記環状面(72,272,372,472)の内縁と外縁との間の幅は、0.6mm~1.5mmである室内熱交換器。
【請求項3】
請求項2に記載の熱交換器において、
前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)との挿入距離は、2mm以上である室内熱交換器。
【請求項4】
請求項2または3に記載の熱交換器において、
前記伝熱管(42)は、前記接続部(53,253)の内側に挿入される室内熱交換器。
【請求項5】
請求項2または3に記載の熱交換器において、
前記接続部(253)は、接続管であるとともに、前記熱交換部(40A)側の端部にフレア部(253a)を有する室内熱交換器。
【請求項6】
請求項2または3に記載の熱交換器において、
前記接続部(453)は、接続管であるとともに、前記熱交換部(40A)側の端部に絞り部(453a)を有し、
前記絞り部(453a)は、前記伝熱管(42)の内側に挿入される室内熱交換器。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1つに記載の室内熱交換器と、
前記室内熱交換器を収容するケーシング(31)と、を備える空調室内機。
【請求項8】
室内熱交換器の製造方法であって、
前記室内熱交換器は、
フィン(41)および伝熱管(42)を有する熱交換部(40A)と、
前記伝熱管(42)と連通する冷媒流路(51)と、前記冷媒流路(51)と連通しかつ前記伝熱管(42)が接続される接続部(53,253,353,453)とを有するプレート積層体(50,250,350,450)と、を備え、
前記接続部(53,253,353,453)は、前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)との接合面(71,271,371,471)に連続しかつ前記伝熱管(42)の軸方向の前記熱交換部(40A)側から見て環状の環状面(72,272,372,472)を有し、
前記プレート積層体(50,250,350,450)を下側に配置しかつ前記熱交換部(40A)を上側に配置する第1工程と、
前記環状面(72,272,372,472)にロウ材(70,270,370,470)を配置する第2工程と、
前記伝熱管(42)および前記接続部(53,253,353,453)の一方を、前記伝熱管(42)および前記接続部(53,253,353,453)の他方に挿入する第3工程と、
前記ロウ材(70,270,370,470)をバーナーにより溶融させて、前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)とを接合する第4工程と、を備える室内熱交換器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内熱交換器および空調室内機、並びに、室内熱交換器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気調和機に用いられる冷媒分流器が開示されている。冷媒分流器は、複数の流路が形成されたアンダープレートと、アンダープレートに積層されたオーバープレートと、を備える。オーバープレートは、接続管が接続されるバーリング穴を有する。アンダープレートとオーバープレートとのロウ付けと、接続管とバーリング穴とのロウ付けを熱処理炉で同時に行うことが開示されている。特許文献1において、接続管は、熱交換器の伝熱管と接続される。
【0003】
特許文献2には、空調室内機の熱交換器が開示されている。熱交換器は、フィンと伝熱管とを有する熱交換器本体と、熱交換器本体における複数個所の所定流路部分へ冷媒を分配して供給する冷媒分配器とを備え、冷媒分配器は、プレート状分配部材を含む互いに重合される複数のプレート状部材で構成されている。複数のプレート状部材は、連続熱処理炉を用いてロウ付け接合されている。プレート状部材の一つはバーリング穴を有し、バーリング穴と伝熱管とが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-220914号公報
【特許文献2】特開2006-125652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載のように、室内熱交換器の熱交換部は、一般的に、フィンと伝熱管とを有する。室内熱交換器のフィンは、種々の表面処理が施される。
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載のようなプレート積層体と熱交換部の伝熱管とは、一般に、ロウ付けにより接続される。プレート積層体と伝熱管とのロウ付けは、特許文献1に記載のように、熱処理炉により行うことが考えられる。熱処理炉によりプレート積層体と伝熱管とをロウ付けするときには、フィンを含む熱交換部と、プレート積層体とが一緒に熱処理炉に投入される。フィンが高温にさらされると、フィンに施された表面処理に悪影響が生じるおそれがある。
【0007】
フィンの表面処理への影響を少なくするために、プレート積層体と伝熱管とをバーナーロウ付けによりロウ付けすることが考えられる。バーナーロウ付けを行う場合、通常は、相対的にサイズが小さいプレート積層体を上側に配置し、熱交換部を下側に配置した姿勢でロウ付けを行う。しかし、バーナーロウ付けする場合、熱対流の影響で上側の方が下側と比べて高温になりやすいため、バーナーの熱によりプレートまで加熱されるおそれがある。プレートが加熱されてしまうと、プレート同士を接合するロウ材が再溶融するおそれがある。
【0008】
この課題に対して、熱交換部を上側に配置し、プレート積層体を下側に配置した姿勢でロウ付けすることが考えられる。しかし、ロウ材が接続部と伝熱管との間に流れずに下側に液だれしてしまい接続精度が悪化するおそれがある。
【0009】
本開示の目的は、接続部と伝熱管との接続精度を維持しつつ、プレート積層体の接続部と伝熱管とを接続する際のロウ材の再溶融を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様は、室内熱交換器を対象とする。室内熱交換器は、フィン(41)および伝熱管(42)を有する熱交換部(40A)と、前記伝熱管(42)と連通する冷媒流路(51)と、前記冷媒流路(51)と連通しかつ前記伝熱管(42)が接続される接続部(53,253,353,453)とを有するプレート積層体(50,250,350,450)と、を備え、前記接続部(53,253,353,453)は、前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)との接合面(71,271,371,471)に連続しかつ前記伝熱管(42)の軸方向の前記熱交換部(40A)側から見て環状の環状面(72,272,372,472)を有し、前記環状面(72,272,372,472)は、ロウ材(70,270,370,470)を受けるロウ受け部(73,273,373,473)を有する。
【0011】
第1の態様では、プレート積層体(50,250,350,450)のロウ材の再溶融を抑制するために、熱交換部(40A)を上側に配置し、プレート積層体(50,250,350,450)を下側に配置した姿勢で接続部(53,253,353,453)と伝熱管(42)とをロウ付けしたときに、ロウ受け部(73,273,373,473)で溶融したロウ材(70,270,370,470)を受けることができる。ロウ受け部(73,273,373,473)によりロウ材(70,270,370,470)が下側に液だれするのを抑制することができるため、接続部(53,253,353,453)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0012】
第2の態様は、第1の態様において、前記環状面(72,272,372,472)の内縁と外縁との間の幅は、0.6mm~1.5mmである。
【0013】
第2の態様では、ロウ受け部(73,273,373,473)出来る限り広くすることができ、ロウ受け部(73,273,373,473)でロウ材(70,270,370,470)を出来る限り受けることができる。これにより、ロウ材(70,270,370,470)の液だれが抑制されて、接続部(53,253,353,453)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0014】
第3の態様は、第1または第2の態様において、前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)との挿入距離は2mm以上である。
【0015】
第3の態様では、接続部(53,253,453)と伝熱管(42)との間に出来る限り多くのロウ材を流すことができ、ロウ受け部(73,273,473)で受けるロウ材(70,270,470)の量を減らすことができる。これにより、ロウ材(70,270,470)の液だれが抑制されて、接続部(53,253,453)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0016】
第4の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記伝熱管(42)は、前記接続部(53,253)の内側に挿入される。
【0017】
第4の態様では、接続部(53,253)と伝熱管(42)との間にロウ材(70,270)が流れやすくなるため、ロウ受け部(73,273)で受けるロウ材(70,270)の量を減らすことができる。これにより、ロウ材(70,270)の液だれが抑制されて、接続部(53,253)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0018】
第5の態様は、第4の態様において、前記接続部(253)は、接続管であるとともに、前記熱交換部(40A)側の端部にフレア部(253a)を有する。
【0019】
第5の態様では、フレア部(253a)によりロウ受け部(273)出来る限り広くすることができるため、ロウ材(270)の液だれを抑制することができる。これにより、接続部(253)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0020】
第6の態様は、第1~第3のいずれか1つの態様において、前記接続部(453)は、接続管であるとともに、前記熱交換部(40A)側の端部に絞り部(453a)を有し、前記絞り部(453a)は、前記伝熱管(42)の内側に挿入される。
【0021】
第6の態様では、接続部(453)に絞り部(453a)を設けることで、絞り部(453a)以外の部分に出来る限り広い環状面(472)を形成できる。これにより、ロウ受け部(473)を出来る限り広くすることができるため、ロウ材(470)の液だれが抑制されて、接続部(453)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0022】
第7の態様は、室内空調機を対象とする。室内空調機は、第1~第6のいずれか1つの態様の室内熱交換器と、前記室内熱交換器を収容するケーシング(31)と、を備える。
【0023】
第8の態様は、室内熱交換器の製造方法を対象とする。前記室内熱交換器は、フィン(41)および伝熱管(42)を有する熱交換部(40A)と、前記伝熱管(42)と連通する冷媒流路(51)と、前記冷媒流路(51)と連通しかつ前記伝熱管(42)が接続される接続部(53,253,353,453)とを有するプレート積層体(50,250,350,450)と、を備え、前記接続部(53,253,353,453)は、前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)との接合面(71,271,371,471)に連続しかつ前記伝熱管(42)の軸方向の前記熱交換部(40A)側から見て環状の環状面(72,272,372,472)を有する。室内熱交換器の製造方法は、前記プレート積層体(50,250,350,450)を下側に配置しかつ前記熱交換部(40A)を上側に配置する第1工程と、前記環状面(72,272,372,472)にロウ材(70,270,370,470)を配置する第2工程と、前記伝熱管(42)および前記接続部(53,253,353,453)の一方を、前記伝熱管(42)および前記接続部(53,253,353,453)の他方に挿入する第3工程と、前記ロウ材(70,270,370,470)をバーナーにより溶融させて、前記接続部(53,253,353,453)と前記伝熱管(42)とを接合する第4工程と、を備える。
【0024】
第8の態様では、プレート積層体(50,250,350,450)を下側に配置しかつ熱交換部(40A)を上側に配置して、接続部(53,253,353,453)と伝熱管(42)とをバーナーロウ付けしたとしても、環状面(72,272,372,472)で溶融したロウ材(70,270,370,470)を受けることができる。これにより、ロウ材(70,270,370,470)の液だれが抑制されて、接続部(53,253,353,453)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態1に係る室内熱交換器を有する空気調和装置の配管系統図である。
図2図2は、空調室内機の正面図である。
図3図3は、空調室内機のII-II線断面図である。
図4図4は、空調室内機の内部構造を示す正面図である。
図5図5は、熱交換ユニットを示す平面図である。
図6図6は、プレート積層体を左側から見た図である。
図7図7は、プレート積層体の冷媒流路の例示する断面図である。
図8図8は、伝熱管と前側接続部との接続状態を示す断面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線相当の断面図である。
図10図10は、伝熱管と前側接続部とを接続する過程を示す断面図であって、伝熱管が前側接続部に挿入される前の状態を示す。
図11図11は、伝熱管と前側接続部とを接続する過程を示す断面図であって、伝熱管が前側接続部に挿入された状態を示す。
図12図12は、伝熱管と前側接続部とを接続する過程を示す断面図であって、伝熱管と前側接続部とがバーナーロウ付けされる状態を示す。
図13図13は、実施形態2に係る室内熱交換器における、伝熱管と前側接続部との接続状態を示す断面図ある。
図14図14は、図のXIV-XIV線相当の断面図である。
図15図15は、実施形態3に係る室内熱交換器における、伝熱管と前側接続部との接続状態を示す断面図ある。
図16図16は、図14のXVI-XVI線相当の断面図である。
図17図17は、実施形態4に係る室内熱交換器における、伝熱管と前側接続部との接続状態を示す断面図ある。
図18図18は、図17のXVIII-XVIII線相当の断面図である。
図19図19は、実施形態4に係る室内熱交換器において、伝熱管と前側接続部とがバーナーロウ付けされる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0027】
〈実施形態1〉
(1)空気調和装置の全体構成
本実施形態1は、熱交換器ユニットを備えた空気調和装置(10)である。空気調和装置(10)は、対象空間である室内空間(I)の空気の温度を調節する。
【0028】
図1に示すように、空気調和装置(10)は、冷媒回路(11)を備える冷凍サイクル装置の一例である。冷媒回路(11)には、冷媒が充填される。冷媒回路(11)は、冷媒を循環させることにより冷凍サイクルを行う。
【0029】
空気調和装置(10)は、室外機(20)、室内機(30)、第1連絡配管(12)、および第2連絡配管(13)を備える。空気調和装置(10)は、1つの室外機(20)と、1つの室内機(30)とを有するペア式である。第1連絡配管(12)は、ガス連絡配管であり、第2連絡配管(13)は、液連絡配管である。
【0030】
室外機(20)は、室外に設置される。室外機(20)は、室外ケーシング(20a)と、室外ケーシング(20a)に収容される圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、四方切換弁(24)、および室外ファン(25)を含む。
【0031】
圧縮機(21)は、揺動ピストン式、ロータリ式、スクロール式などの回転式圧縮機である。室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気と熱交換させる。室外熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式である。室外膨張弁(23)は冷媒を減圧する。室外膨張弁(23)は、電子膨張弁である。四方切換弁(24)は、第1状態(図1の実線で示す状態)と第2状態(図1の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出部と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入部と第1連絡配管(12)とを連通させる。第2状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出部と第1連絡配管(12)とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入部と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させる。室外ファン(25)は、室外熱交換器(22)を流れる空気を搬送する。室外ファン(25)は、プロペラファンである。
【0032】
室内機(30)は、ケーシング(31)と、ケーシング(31)に収容される室内熱交換器(40)、室内ファン(32)、および室内膨張弁(37)を含む。
【0033】
(2)空調室内機
室内空調機である室内機(30)の詳細について図2図4を参照しながら説明する。本実施形態1の室内機(30)は、室内空間(I)の壁に設けられる壁掛け式である。なお、以下で説明する「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」に関する語句は、図2および図3に示す矢印の方向に対応し、左右方向は、室内ケーシング(31)を前側から見る場合を基準とする。
【0034】
(2-1)ケーシング
図2および図3に示すように、ケーシング(31)は、左右に横長の箱状に形成される。ケーシング(31)は、前板(31a)、後板(31b)、上板(31c)、下板(31d)、第1側板(31e)、および第2側板(31f)を有する。
【0035】
前板(31a)は、ケーシング(31)の前側に形成され、ケーシング(31)の前面を構成する。後板(31b)は、ケーシング(31)の後側に形成され、ケーシング(31)の後面を構成する。上板(31c)は、ケーシング(31)の上側に形成され、ケーシング(31)の上面を構成する。下板(31d)は、ケーシング(31)の下側に形成され、ケーシング(31)の下面を構成する。第1側板(31e)は、ケーシング(31)の右側に形成され、ケーシング(31)の右面を構成する。第2側板(31f)は、ケーシング(31)の左側に形成され、ケーシング(31)の左面を構成する。
【0036】
上板(31c)には吸込口(33)が形成され、下板(31d)には吹出口(34)が形成される。ケーシング(31)の内部には、吸込口(33)から吹出口(34)までに亘って、空気通路(P)が形成される。吸込口(33)は、ケーシング(31)の長手方向に延びている。吸込口(33)は、室内空間(I)の空気を空気通路(P)に取り込むための開口である。下板(31d)には、吹出口(34)が形成される。吹出口(34)は、ケーシング(31)の長手方向に延びている。吹出口(34)は、空気通路(P)の空気を室内空間(I)へ吹き出すための開口である。
【0037】
(2-2)フィルタ
室内機(30)は、フィルタ(35)を備える。フィルタ(35)は、吸込口(33)の奥側でかつ室内熱交換器(40)の上流側に配置される。フィルタ(35)は、吸込口(33)から室内熱交換器(40)へ送られる空気中の塵埃を捕集する。室内機(30)は、フィルタ(35)が捕集した塵埃を取り除く塵埃除去機構を備えていてもよい。
【0038】
(2-3)熱交換器ユニット
熱交換器ユニット(U)は、一つの室内熱交換器(40)と、一つの室内膨張弁(37)とを備える。室内熱交換器(40)は、一つの熱交換器本体(B)と、二つのプレート積層体(50,60)とを備える。室内熱交換器(40)の熱交換器本体(B)は、空気通路(P)を横断するように配置される。空気通路(P)は、熱交換器本体(B)の上流側と下流側に区分される。
【0039】
(2-4)室内ファン
室内ファン(32)は、空気通路(P)に配置される。室内ファン(32)は、空気通路(P)において、室内熱交換器(40)の下流側に配置される。室内ファン(32)は、クロスフローファンである。室内ファン(32)は、そのファンロータがケーシング(31)の長手方向に延びる。
【0040】
(2-5)フラップ
室内機(30)は、吹出口(34)から吹き出す空気の風向を調節するフラップ(36)を有する。フラップ(36)は、上下方向の風向を調節する。室内機(30)は、複数のフラップ(36)を有してもよい。フラップ(36)は、左右方向の風向を調節してもよい。
【0041】
(3)熱交換器ユニット
上述したように、熱交換器ユニット(U)は、室内熱交換器(40)と、室内膨張弁(37)と、ガス中継管(12a)と、液中継管(13a)と、を備える。
【0042】
(3-1)室内熱交換器
図3図6に示す室内熱交換器(40)は、熱交換器本体(B)と、該熱交換器本体(B)と接続するプレート積層体(50,60)とを備える。室内熱交換器(40)は、フィン(41)と伝熱管(42)とを有するフィンアンドチューブ式の熱交換器である。室内熱交換器(40)は、空気と冷媒とを熱交換させる。
【0043】
熱交換器本体(B)は、ケーシング(31)の長手方向に配列される複数のフィン(41)と、フィン(41)の配列方向に延びる複数の伝熱管(42)と、を有する。
【0044】
フィン(41)の配列方向は、ケーシング(31)の長手方向(ここでは左右方向)に対応する。フィン(41)は、長辺と短辺とを有する矩形板状である。フィン(41)の厚さ方向は、フィン(41)の配列方向に対応する。複数のフィン(41)は、その厚さ方向に所定の間隔を置いて配列される。この間隔が空気の流路を構成する。フィン(41)の材質は、アルミニウム合金である。
【0045】
複数のフィン(41)は、表面張力を向上させるための表面処理が施されている。表面処理は、フィン(41)に伝熱管(42)を貫通させる前に施される。
【0046】
伝熱管(42)は、ストレート管である。複数の伝熱管(42)の材質は、アルミニウム合金である。伝熱管(42)の材質は、銅合金であってもよい。伝熱管(42)の内部には、冷媒の流路が形成される。複数の伝熱管(42)は、フィン(41)を貫通するように互いに平行に延びる。伝熱管(42)の一端部である右側端部は、フィン(41)の右側に突出する。伝熱管の一端部は、プレート積層体(50,60)に接続される。複数の伝熱管(42)の他端部である各左側端部のうち、隣接する二つの伝熱管(42)の左側端部は、U字管(48)により互いに接続される。隣接する二つの伝熱管(42)と、それらを繋ぐU字管(48)とは、継ぎ目無く一体に形成される。
【0047】
本実施形態1の室内熱交換器(40)は、第1熱交換部である前側熱交換部(40A)と、第2熱交換部である後側熱交換部(40B)とを有する。前側熱交換部(40A)は、ケーシング(31)の前側寄りに位置し、後側熱交換部(40B)は、ケーシング(31)の後側寄りに位置する。前側熱交換部(40A)と、後側熱交換部(40B)とは、室内ファン(32)を挟むように、上下方向および伝熱管(42)の軸方向の両方に直交する方向、すなわち前後方向に並ぶ。
【0048】
前側熱交換部(40A)は、前側主熱交換部(43)と、第1補助熱交換部(44)と、第2補助熱交換部(45)とを有する。
【0049】
前側主熱交換部(43)は、前側熱交換部(40A)における室内ファン(32)寄りに配置される。前側主熱交換部(43)の外形は、伝熱管(42)の長手方向から見て、V字状に形成される。このV字の先端は前側を指向する。
【0050】
前側主熱交換部(43)は、後側に向かって斜め上側に延びる第1前側主熱交換部(43a)と、後側に向かって斜め下側に延びる第2前側主熱交換部(43b)とで構成される。第1前側主熱交換部(43a)は、前側主熱交換部(43)の上部に位置し、第2前側主熱交換部(43b)は、前側主熱交換部(43)の下部に位置する。第1前側主熱交換部(43a)の下端、すなわちフィン(41)の下側の短辺は、第2前側主熱交換部(43b)のフィン(41)の長辺(厳密には、フィン(41)の長辺の上端部分)と接触する。第1前側主熱交換部(43a)の後側の長辺と第2前側主熱交換部(43b)の上側(第1前側主熱交換部(43a)に近い側)の長辺との間の角度は、概ね90°~110°である。第1前側主熱交換部(43a)を構成するフィン(41)と第2前側主熱交換部(43b)を構成するフィン(41)とは、一体で構成されていてもよいし、別体で構成されていてもよい。
【0051】
第1補助熱交換部(44)は、第1前側主熱交換部(43a)の流入側(前側)に設けられる。第1補助熱交換部(44)のフィン(41)の長辺および短辺の長さは、第1前側主熱交換部(43a)のフィン(41)の長辺および短辺の長さよりも短い。
【0052】
第2補助熱交換部(45)は、第2前側主熱交換部(43b)の流入側(前側)に設けられる。第2補助熱交換部(45)のフィン(41)の長辺および短辺の長さは、第2前側主熱交換部(43b)のフィン(41)の長辺および短辺の長さよりも短い。
【0053】
後側熱交換部(40B)は、後側主熱交換部(46)と、第3補助熱交換部(47)とを有する。後側主熱交換部(46)の後側熱交換部(40B)における室内ファン(32)寄りに配置される。
【0054】
第3補助熱交換部(47)は、後側主熱交換部(46)の流入側(後側)に設けられる。第3補助熱交換部(47)のフィン(41)の長辺および短辺の長さは、後側主熱交換部(46)のフィン(41)の長辺および短辺の長さよりも短い。第3補助熱交換部(47)の伝熱管(42)の段数および列数は、後側主熱交換部(46)の伝熱管(42)の段数および列数よりも少ない。
【0055】
プレート積層体(50,60)は、最も右側のフィン(41)の右側に、フィン(41)と平行に配置される。プレート積層体(50,60)は、伝熱管(42)の一端部に接続される。図5に示すように、プレート積層体(50,60)は、前側熱交換部(40A)の伝熱管(42)と接続される前側プレート積層体(50)と、後側熱交換部(40B)の伝熱管(42)と接続される後側プレート積層体(60)と、を含む。前側プレート積層体(50)は、伝熱管(42)の軸方向において前側熱交換部(40A)と重なるように配置される。後側プレート積層体(60)は、伝熱管(42)の軸方向において後側熱交換部(40B)と重なるように配置される。プレート積層体(50,60)は、伝熱管(42)と連通する冷媒流路(51,61)を内部に有する。前側プレート積層体(50)および後側プレート積層体(60)の詳細については後述する。
【0056】
(3-2)室内膨張弁、ガス中継管、液中継管
室内膨張弁(37)は、開度可変の電子膨張弁である。図5に示すように、室内膨張弁(37)は、プレート積層体(50,60)の右側に配置される。室内膨張弁(37)は、第1内部配管(38)を介して前側プレート積層体(50)に接続され、第2内部配管(39)を介して後側プレート積層体(60)に接続される。第1内部配管(38)および第2内部配管(39)は、前側プレート積層体(50)の冷媒流路(51)と後側プレート積層体(60)の冷媒流路(61)とを接続する冷媒配管の一例である。
【0057】
ガス中継管(12a)の一端は、後側プレート積層体(60)に接続される。ガス中継管(12a)の他端は、第1連絡配管(12)に継手を介して接続される。液中継管(13a)の一端は、前側プレート積層体(50)に接続される。液中継管(13a)の他端は、第2連絡配管(13)に継手を介して接続される。
【0058】
(4)プレート積層体
プレート積層体(50,60)の詳細について図5図9を参照しながら説明する。
【0059】
(4-1)前側プレート積層体
前側プレート積層体(50)は、内部に冷媒流路(51)を有する前側本体部(52)と、冷媒流路(51)と連通しかつ前側熱交換部(40A)の複数の伝熱管(42)が接続される複数の前側接続部(53)と、第1内部配管(38)が接続される前側中継部(54)と、液中継管(13a)を介して第2連絡配管(13)と連通する液端部(55)と、を含む。
【0060】
(4-1-1)前側本体部
図5に示すように、前側本体部(52)は、五枚の前側プレートを積層することによって形成された厚板状の部材である。前側プレートの積層方向は伝熱管(42)の軸方向と同じである。前側プレート積層体(50)では、前側熱交換部(40A)に近い方から順に、第1前側プレート(521)と、第2前側プレート(522)と、第3前側プレート(523)と、第4前側プレート(524)と、第5前側プレート(525)とが重ね合わされる。第2前側プレート(522)、第3前側プレート(523)および第4前側プレート(524)は、第1前側プレート(521)と第5前側プレート(525)との間に挟まれた中間プレートである。五枚の前側プレートは、それぞれの外縁の形状が共通する平板状の部材である。本実施形態1では、各前側プレートの材質は、アルミニウム合金である。各前側プレート(521~525)の材質は、アルミニウム合金に限定されず、例えば銅合金またはステンレスであってもよい。第1前側プレート(521)および第5前側プレート(525)の厚みは、例えば1.5mmである。第2前側プレート(522)、第3前側プレート(523)および第4前側プレート(524)の厚みは、例えば3.0mmである。各前側プレートは、炉中ロウ付けにより互いに接合されている。尚、前側プレートの枚数は一例であり、前側プレートの枚数は、4枚以下でもよく、6枚以上でもよい。以下、各前側プレートを区別する必要がないときには、単に前側プレートという。
【0061】
前側本体部(52)は、伝熱管(42)の軸方向における前側熱交換部(40A)側(ここでは左側)の面である第1左側面(52c)と、軸方向における第1左側面(52c)とは反対側の面である第1右側面(52d)と、第1左側面(52c)と第1右側面(52d)とに亘る周面である第1周面(52e)と、を有する。第1左側面(52c)は、第1前側プレート(521)の前側熱交換部(40A)側の面である。第1右側面(52d)は、第5前側プレート(525)の第4前側プレート(524)とは反対側の面である。第1周面(52e)は、各前側プレート(521,522,523,524,525)の側面で構成された面である。第1左側面(52c)は所定面に相当する。
【0062】
(4-1-2)前側接続部
前側接続部(53)は、第1左側面(52c)から前側熱交換部(40A)側に突出する円管である。前側接続部(53)の材質は、アルミニウム合金である。前側接続部(53)の材質は、アルミニウム合金に限定されず、例えば銅合金またはステンレスであってもよい。前側接続部(53)の第1左側面(52c)からの長さは、例えば5mm以上である。前側接続部(53)の内径は、伝熱管(42)の外径よりも僅かに大きい。
【0063】
前側接続部(53)の肉厚は、第1前側プレート(521)の厚みと同じかまたは第1前側プレート(521)の厚みよりも薄い。前側接続部(53)の肉厚は、0.6mm~1.5mmである。
【0064】
図8に示すように、前側接続部(53)の一端部は、対応する伝熱管(42)の外側に位置する。言い換えると、伝熱管(42)は、前側接続部(53)の内側に挿入されている。前側接続部(53)と伝熱管(42)との挿入距離は2mm以上である。前側接続部(53)は、対応する伝熱管(42)とバーナーロウ付けによって接合される。前側接続部(53)の内周面は、伝熱管(42)との接続部分である接合面(71)を有する。伝熱管(42)の外周面と接合面(71)とは離間しており、伝熱管(42)の外周面と接合面(71)との間にロウ材(70)が位置している。前側接続部(53)の軸方向において、接合面(71)の長さは、前側接続部(53)と伝熱管(42)との挿入距離と同じか挿入距離よりも僅かに短い。ロウ材(70)は、伝熱管(42)及び前側接続部(53)よりも融点が低い。ロウ材(70)は、例えば、アルミニウムロウ材である。ロウ材(70)において、Siの含有量は質量分率で10%~13%であり、Mgの含有量は質量分率で0.1%以下である。
【0065】
図9に示すように、前側接続部(53)の前側熱交換部(40A)側の端面は、伝熱管(42)の軸方向の前側熱交換部(40A)側から見て、円環状の環状面(72)である。環状面(72)は、接合面(71)に連続する。環状面(72)は、伝熱管(42)を外側から囲む。環状面(72)の内縁と外縁との間の幅は、前側接続部(53)の肉厚に等しい。具体的には、環状面(72)の内縁と外縁との間の幅は、0.6mm~1.5mmである。
【0066】
環状面(72)の少なくとも一部は、溶融したロウ材(70)を受けるロウ受け部(73)である。
【0067】
前側接続部(53)の他端部は、第1前側プレート(521)に形成された貫通孔に挿し込まれ、第1前側プレート(521)とロウ付けによって接合される。なお、前側接続部(53)と第1前側プレート(521)とは、例えば、鋳造や3Dプリンタを利用した金属粉末の焼結により、継ぎ目無く一体成形されてもよい。
【0068】
(4-1-3)前側中継部、液端部
図6に示すように、前側中継部(54)は、円管である。前側中継部(54)は、第5前側プレート(525)に設けられていて、前側本体部(52)の第1右側面(52d)に配置される。前側プレート積層体(50)において、第1内部配管(38)は、前側プレート積層体(50)の第1右側面(52d)に接続される。前側中継部(54)は、第5前側プレート(525)における、第1重複部(52a)と第2重複部(52b)との境界部分でかつ後側の部分に位置する。前側中継部(54)の第1右側面(52d)からの突出量は、前側接続部(53)の第1左側面(52c)からの突出量よりも小さい。前側中継部(54)は、前側の第1内部配管(38)の端部とロウ付けにより接合される。
【0069】
液端部(55)は、円管である。液端部(55)は、第5前側プレート(525)に設けられていて、前側本体部(52)の第1右側面(52d)に配置される。液端部(55)は、第5前側プレート(525)における、第2重複部(52b)に位置する。液端部(55)の第1右側面(52d)からの突出量は、前側中継部(54)の第1右側面(52d)からの突出量と同じである。液端部(55)は、液中継管(13a)の端部とロウ付けにより接合される。
【0070】
液端部(55)の位置において、前側プレート積層体(50)の冷媒流路(51)は、他の冷媒流路(51)に接続されることなく、前側プレートの積層方向に真っ直ぐに延びる。液端部(55)の位置における冷媒流路(51)は、第2補助熱交換部(45)の最も下方に位置する伝熱管(42)と連通する。
【0071】
前側中継部(54)および液端部(55)は、第5前側プレート(525)と継ぎ目無く一体成形されている。より具体的には、前側中継部(54)、液端部(55)および第5前側プレート(525)は、単一の部材で構成されている。前側中継部(54)および液端部(55)は、第5前側プレート(525)をバーリング加工することにより、第5前側プレート(525)と一体成形される。なお、前側中継部(54)および液端部(55)を、鋳造や3Dプリンタを利用した金属粉末の焼結により、第5前側プレート(525)と一体成形してもよい。
【0072】
(4-2)後側プレート積層体
後側プレート積層体(60)は、内部に冷媒流路(61)を有する後側本体部(62)と、冷媒流路(61)と連通しかつ後側熱交換部(40B)の複数の伝熱管(42)が接続される複数の後側接続部(63)と、第2内部配管(39)が接続される後側中継部(64)と、ガス中継管(12a)を介して第1連絡配管(12)と連通するガス端部(65)と、を含む。
【0073】
(4-2-1)後側本体部
後側本体部(62)は、伝熱管(42)の軸方向から見たプレートの外縁の形状および内部の冷媒流路(61)が前側本体部(52)と異なるだけで、基本的に前側本体部(52)と同じ構成である。図5に示すように、後側本体部(62)は、五枚の後側プレートを積層することによって形成された厚板状の部材である。後側プレートの積層方向は伝熱管(42)の軸方向と同じである。後側プレート積層体(60)では、後側熱交換部(40B)に近い方から順に、第1後側プレート(621)と、第2後側プレート(622)と、第3後側プレート(623)と、第4後側プレート(624)と、第5後側プレート(625)とが重ね合わされる。第2後側プレート(622)、第3後側プレート(623)および第4後側プレート(624)は、第1後側プレート(621)と第5後側プレート(625)との間に挟まれた中間プレートである。本実施形態1では、後側プレートの材質は、アルミニウム合金である。各後側プレート(621~625)の材質は、アルミニウム合金に限定されず、例えば銅合金またはステンレスであってもよい。第1後側プレート(621)および第5後側プレート(625)の厚みは、例えば1.5mmである。第2後側プレート(622)、第3後側プレート(623)および第4後側プレート(624)の厚みは、例えば3.0mmである。五枚の後側プレートは、炉中ロウ付けによって互いに接合される。尚、後側プレートの枚数は一例であり、後側プレートの枚数は、4枚以下でもよく、6枚以上でもよい。前側プレートの枚数と、後側プレートの枚数とは異なっていてもよい。以下、各後側プレートを区別する必要がないときには、単に後側プレートという。
【0074】
後側本体部(62)は、伝熱管(42)の軸方向における後側熱交換部(40B)側の面である第2左側面(62a)と、軸方向における第2左側面(62a)とは反対側の面である第2右側面(62b)と、第2左側面(62a)と第2右側面(62b)とに亘る周面である第2周面(62c)と、を有する。第2左側面(62a)は、第1後側プレート(621)の後側熱交換部(40B)側の面である。第2左側面(62a)は、第5後側プレート(625)の第4後側プレート(624)とは反対側の面である。第2周面(62c)は、各後側プレート(621,622,623,624,625)の側面で構成された面である。
【0075】
(4-2-2)後側接続部
後側接続部(63)は、第2左側面(62a)から後側熱交換部(40B)側に突出する円管である。後側接続部(63)の材質は、アルミニウム合金である。後側接続部(63)の材質は、アルミニウム合金に限定されず、例えば銅合金またはステンレスであってもよい。後側接続部(63)の第2左側面(62a)からの長さは、例えば5mm以上である。後側接続部(63)の内径は、伝熱管(42)の外径よりも僅かに大きい。
【0076】
後側接続部(63)の肉厚は、第1後側プレート(621)の厚みと同じかまたは第1後側プレート(621)の厚みよりも薄い。後側接続部(63)の肉厚は、0.6mm~1.5mmである。
【0077】
後側接続部(63)の一端部は、対応する伝熱管(42)の開口端の内側に挿入されて、対応する伝熱管(42)とバーナーロウ付けによって接合される。後側接続部(63)の一端部は、前側接続部(53)と同様に、伝熱管(42)との接合部分である接合面を有する。後側接続部(63)の端縁は、接合面に連続しかつ伝熱管(42)の軸方向の後側熱交換部(40B)側から見て環状の環状面を有する。環状面は、溶融したロウ材を受けるロウ受け部を有する。
【0078】
後側接続部(63)の他端部は、第1後側プレート(621)に形成された貫通孔に挿し込まれ、第1後側プレート(621)とロウ付けによって接合される。なお、後側接続部(63)と第1後側プレート(621)とは、例えば、鋳造や3Dプリンタを利用した金属粉末の焼結により、継ぎ目無く一体成形されてもよい。
【0079】
(4-2-3)後側中継部、ガス端部
後側中継部(64)は、円管である。図6に示すように、後側中継部(64)は、第5後側プレート(625)に設けられていて、後側本体部(62)の第2右側面(62b)に配置される。つまり、後側プレート積層体(60)において、前側プレート積層体(50)の冷媒流路(51)と後側プレート積層体(60)の冷媒流路(61)とを接続する第2内部配管(39)は、後側プレート積層体(60)における第2右側面(62b)に接続される。後側中継部(64)の第2右側面(62b)からの突出量は後側接続部(63)の第2左側面(62a)からの突出量よりも小さい。後側中継部(64)は、第2内部配管(39)の端部とロウ付けにより接合される。
【0080】
ガス端部(65)は、円管である。ガス端部(65)は、第5後側プレート(625)に設けられていて、後側本体部(62)の第2右側面(62b)に配置される。ガス端部(65)の第2右側面(62b)からの突出量は、後側中継部(64)の第2右側面(62b)からの突出量と同じである。ガス端部(65)は、ガス中継管(12a)の端部とロウ付けにより接合される。
【0081】
後側中継部(64)およびガス端部(65)は、第5後側プレート(625)と継ぎ目無く一体成形されている。より具体的には、後側中継部(64)、ガス端部(65)および第5後側プレート(625)は、単一の部材で構成されている。後側中継部(64)およびガス端部(65)は、第5後側プレート(625)をバーリング加工することにより、第5後側プレート(625)と一体成形される。なお、後側中継部(64)およびガス端部(65)を、鋳造や3Dプリンタを利用した金属粉末の焼結により、第5後側プレート(625)と一体成形してもよい。
【0082】
(5)接続部と伝熱管との接続方法
前側接続部(53)と伝熱管(42)とを接続させる接続方法について説明する。
【0083】
まず、図10に示すように、前側プレート積層体(50)を下側に配置しかつ前側熱交換部(40A)を上側に配置する。前側プレート積層体(50)は、各プレート(521,522,523,524,525)がロウ付けにより接合された状態である。前側熱交換部(40A)は、表面処理されたフィン(41)を伝熱管(42)が貫通した状態である。
【0084】
次に、前側接続部(53)の環状面(72)にロウ材(70)を配置する。溶融する前のロウ材(70)は、リング状である。ロウ材(70)の外径は、環状面(72)の外径よりも小さい。
【0085】
次に、図11に示すように、伝熱管(42)を、前側接続部(53)の内側に挿入する。伝熱管(42)は、前側接続部(53)に2mm以上挿入される。伝熱管(42)の外周面と前側接続部(53)の内周面との間は、隙間が空いている。
【0086】
次に、図12に示すように、ロウ材(70)をバーナーにより溶融させて、前側接続部(53)と伝熱管(42)とを接合する。溶融したロウ材(70)は、ロウ受け部(73)が受けた後、前側接続部(53)と伝熱管(42)との間の隙間に流れ込んで固化する。前側接続部(53)と伝熱管(42)との間の隙間に流れなかったロウ材(70)は、ロウ受け部(73)により受けられて、ロウ受け部(73)で固化する。
【0087】
後側接続部(63)と伝熱管(42)とを接続させる接続方法は、前側接続部(53)と伝熱管(42)とを接続させる接続方法と同じである。
【0088】
(6)運転動作
空気調和装置(10)は、冷房運転と、暖房運転と、除湿運転とを行う。
【0089】
(6-1)冷房運転
冷房運転では、空気調和装置(10)のコントローラが、圧縮機(21)、室外ファン(25)および室内ファン(32)を運転させ、四方切換弁(24)を第1状態(図1の実線で示す状態)とし、室外膨張弁(23)の開度を適宜調節し、室内膨張弁(37)を全開とする。
【0090】
冷房運転中の冷媒回路(11)は、室外熱交換器(22)が凝縮器(放熱器)として機能し、室内熱交換器(40)が蒸発器として機能する冷凍サイクルを行う。
【0091】
室内機(30)は、室内空間(I)の室内空気を、吸込口(33)を介して空気通路(P)に吸い込む。空気通路(P)の空気は、室内熱交換器(40)によって冷却される。冷却された空気は、吹出口(34)から室内空間(I)に供給される。
【0092】
(6-2)暖房運転
暖房運転では、空気調和装置(10)のコントローラが、圧縮機(21)、室外ファン(25)および室内ファン(32)を運転させ、四方切換弁(24)を第2状態(図1の破線で示す状態)とし、室外膨張弁(23)の開度を所定開度に調節し、室内膨張弁(37)を全開とする。
【0093】
暖房運転中の冷媒回路(11)は、室内熱交換器(40)が凝縮器(放熱器)として機能し、室外熱交換器(22)が蒸発器として機能する冷凍サイクルを行う。
【0094】
室内機(30)は、室内空間(I)の室内空気を、吸込口(33)を介して空気通路(P)に吸い込む。空気通路(P)の空気は、室内熱交換器(40)によって加熱される。加熱された空気は、吹出口(34)から室内空間(I)に供給される。
【0095】
(6-3)除湿運転
除湿運転では、空気調和装置(10)のコントローラが、圧縮機(21)、室外ファン(25)および室内ファン(32)を運転させ、四方切換弁(24)を第1状態(図1の実線で示す状態)とし、室外膨張弁(23)および室内膨張弁(37)の開度を適宜調節する。
【0096】
除湿運転中の冷媒回路(11)は、室外熱交換器(22)と、室内熱交換器(40)の前側熱交換部(40A)とが凝縮器(放熱器)として機能し、室内熱交換器(40)の後側熱交換部(40B)が蒸発器として機能する冷凍サイクルを行う。
【0097】
室内機(30)は、室内空間(I)の室内空気を、吸込口(33)を介して空気通路(P)に吸い込む。後側熱交換部(40B)は、空気通路(P)の空気を露点温度以下まで冷却する。前側熱交換部(40A)は、空気通路(P)の空気を加熱する。両者を通過した空気が空気通路(P)で混合することで、湿度が低い空気となる。このようにして除湿された空気は、吹出口(34)から室内空間(I)に供給される。
【0098】
(7)実施形態1の効果
本実施形態1において、フィン(41)には表面処理が施されている。仮に前側接続部(53)と伝熱管(42)とを熱処理炉でロウ付けすると、フィン(41)に施された表面処理の効果が悪化してしまうおそれがある。フィン(41)の表面処理の効果を維持しつつ前側接続部(53)と伝熱管(42)とをロウ付けするには、バーナーで局所的にロウ付けする必要がある。バーナーでロウ付けする場合、熱対流によって上側の方が下側と比べて高温になりやすい。仮に前側プレート積層体(50)を上側にし、前側熱交換部(40A)を下側にすると、バーナーの熱により前側プレート(521~525)まで加熱されてしまい、前側プレート間を接合するロウ材が再溶融するおそれがある。
【0099】
これに対して、本実施形態1では、前側接続部(53)と伝熱管(42)とをロウ付けするときには、前側熱交換部(40A)を上側に配置し、前側プレート積層体(50)を下側に配置して行うため、前側プレート積層体(50)のロウ材の再溶融が抑制される。
【0100】
本実施形態1において、前側接続部(53)は、前側接続部(53)と伝熱管(42)との接合面(71)に連続しかつ伝熱管(42)の軸方向の前側熱交換部(40A)側から見て環状の環状面(72)を有し、環状面(72)は、ロウ受け部(73)を有する。前側熱交換部(40A)を上側に配置し、前側プレート積層体(50)を下側に配置した姿勢で前側接続部(53)と伝熱管(42)とをロウ付けしたときに、ロウ受け部(73)で溶融したロウ材(70)を受けることができる。ロウ受け部(73)によりロウ材(70)が下側に液だれするのを抑制することができるため、前側接続部(53)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0101】
本実施形態1において、環状面(72)の内縁と外縁との間の幅は、0.6-1.5mmであるため、ロウ受け部(73)を出来る限り広くすることができ、ロウ受け部(73)でロウ材(70)を出来る限り受けることができる。これにより、ロウ材(70)の液だれが抑制されて、前側接続部(53)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0102】
本実施形態1において、前側接続部(53)と伝熱管(42)との挿入距離は2mm以上であるため、前側接続部(53)と伝熱管(42)との間に出来る限り多くのロウ材(70)を流すことができ、ロウ受け部(73)で受けるロウ材(70)の量を減らすことができる。これにより、ロウ材(70)の液だれが抑制されて、前側接続部(53)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0103】
本実施形態1において、伝熱管(42)は、前側接続部(53)の内側に挿入されるため、前側接続部(53)と伝熱管(42)との間にロウ材(70)が流れやすくなって、ロウ受け部(73)で受けるロウ材(70)の量を減らすことができる。これにより、ロウ材(70)の液だれが抑制されて、前側接続部(53)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0104】
〈実施形態2〉
本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0105】
(8)接続部
図13に示すように、本実施形態2において、前側プレート積層体(250)の前側接続部(253)は、円管である。前側接続部(253)は、前側熱交換部(40A)側の端部にフレア加工されたフレア部(253a)を有する。フレア部(253a)は、先端に、先端側ほど拡径されたテーパー部(253b)を有する。前側接続部(253)におけるフレア部(253a)を除く部分の内径は、伝熱管(42)の外径よりも小さい。フレア部(253a)の長さは、前側接続部(253)と伝熱管(42)との挿入距離よりも長く、例えば、2mm以上である。
【0106】
フレア部(253a)は、対応する伝熱管(42)の外側に位置する。言い換えると、伝熱管(42)は、フレア部(253a)の内側に挿入されている。前側接続部(253)と伝熱管(42)との挿入距離は2mm以上である。前側接続部(253)は、フレア部(253a)の位置において、対応する伝熱管(42)とバーナーロウ付けによって接合される。フレア部(253a)の内周面は、伝熱管(42)との接続部分である接合面(271)を有する。伝熱管(42)の外周面と接合面(271)とは離間しており、伝熱管(42)の外周面と接合面(271)との間にロウ材(270)が位置している。ロウ材(270)の材質は、前述の実施形態1と同じである。
【0107】
図14に示すように、テーパー部(253b)の内周面は、伝熱管(42)の軸方向の前側熱交換部(40A)側から見て、円環状の環状面(272)である。環状面(272)は、接合面(271)に連続する。環状面(272)は、伝熱管(42)を外側から囲む。環状面(272)の内側端部と外側端部との間の幅は、前側接続部(253)の肉厚と同じかまたは前側接続部(253)の肉厚よりも大きい。環状面(272)の内側端部と外側端部との間の幅は、例えば、0.6mm~1.5mmである。
【0108】
環状面(272)の少なくとも一部は、溶融したロウ材(270)を受けるロウ受け部(273)である。
【0109】
図示は省略するが、後側接続部についても、前側接続部(253)と同様に、円管で構成されるとともに、フレア部を有する。また、フレア部は、テーパー部を有する。テーパー部の内周面は、伝熱管(42)の軸方向の後側熱交換部(40B)側から見て、円環状の環状面であり、環状面の少なくとも一部はロウ受け部である。
【0110】
(9)実施形態2の効果
本実施形態2において、前側接続部(253)は、円管であるとともに、前側熱交換部(40A)側の端部にフレア部(253a)を有し、環状面(272)は、フレア部(253a)の端部に形成されている。これにより、環状面(272)のロウ受け部(273)を広く形成でき、溶融したロウ材(270)の液だれを抑制できる。これにより、前側接続部(253)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0111】
本実施形態2において、フレア部(253a)の先端部は、先端側ほど拡径されたテーパー部(253b)であり、環状面(272)は、テーパー部(253b)の内周面である。前側プレート積層体(250)を下側に配置しかつ前側熱交換部(40A)を上側に配置した状態で、環状面(272)にロウ材(270)を配置して、ロウ材(270)を溶融させたときには、ロウ材(270)は環状面に沿って下側に流れやすい。溶融したロウ材(270)が前側接続部(253)の外に漏れにくくなるため、前側接続部(253)と伝熱管(42)との接続精度を高くすることができる。
【0112】
〈実施形態3〉
本開示の実施形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1~3と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0113】
(10)接続部
本実施形態3に係る前側プレート積層体(350)は、前述の実施形態1~3に係る前側プレート積層体(350)とは構成が異なる。具体的には、前側プレート積層体(350)は、前側接続部(353)が円管で構成されておらず、第1前側プレート(3521)を貫通する丸孔で構成されている。第1前側プレート(3521)の厚みは中間プレートと同じかまたは中間プレートよりも厚い。前側接続部(353)の内径は、伝熱管(42)の外径よりも僅かに大きい。
【0114】
前側接続部(353)の内周面は、対応する伝熱管(42)の外側に位置する。言い換えると、伝熱管(42)は、前側接続部(353)の内側に挿入されている。前側接続部(353)と伝熱管(42)との挿入距離は2mm以上である。前側接続部(353)は、対応する伝熱管(42)とバーナーロウ付けによって接合される。前側接続部(353)の内周面は、伝熱管(42)との接続部分である接合面(371)を有する。伝熱管(42)の外周面と接合面(371)とは離間しており、伝熱管(42)の外周面と接合面(371)との間にロウ材(370)が位置している。ロウ材(370)の材質は、前述の実施形態1と同じである。
【0115】
図15および図16に示すように、前側接続部(353)の前側熱交換部(40A)側の部分は、段差部(353a)となっている。段差部(353a)は、前側接続部(353)の他の部分よりも拡径された部分である。段差部(353a)の底面は、伝熱管(42)の軸方向の前側熱交換部(40A)側から見て、円環状の環状面(372)である。環状面(372)は、接合面(371)に連続する。環状面(372)は、伝熱管(42)を外側から囲む。環状面(372)の内縁と外縁との間の幅は、例えば、0.6mm~1.5mmである。段差部(353a)の高さは、溶融して固化したロウ材(370)が、第1左側面(352c)から突出しない程度の高さに設定されている。
【0116】
環状面(372)は、溶融したロウ材(370)を受けるロウ受け部(373)である。
【0117】
図示は省略するが、後側接続部についても、前側接続部(353)と同様に、第1後側プレートを貫通する丸孔で構成されるとともに、後側熱交換部(40B)側の部分に段差部を有する。段差部は、伝熱管(42)の軸方向の後側熱交換部(40B)側から見て、円環状の環状面であり、環状面はロウ受け部である。
【0118】
(11)実施形態3の効果
本実施形態3において、前側接続部(353)は、前側熱交換部(40A)側の部分に段差部(353a)を有し、ロウ受け部(373)は、段差部(353a)の底面である。段差部(353a)があることで、溶融したロウ材(370)が前側接続部(353)から漏れにくくなり、ロウ受け部(373)で溶融したロウ材(370)を受けやすくなる。また、ロウ材(370)が、前側接続部(353)と伝熱管との間の隙間に流れやすくなる。前側接続部(353)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0119】
〈実施形態4〉
本開示の実施形態4について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1~4と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0120】
(12)接続部
図17図19に示すように、本実施形態4において、前側プレート積層体(450)の前側接続部(453)は、円管である。前側接続部(453)は、前側熱交換部(40A)側の端部に、他の部分よりも縮径された絞り部(453a)を有する。絞り部(453a)の基端部は、段差部(453b)である。絞り部(453a)の外径は、伝熱管(42)の内径よりも小さい。前側接続部(453)における絞り部(453a)を除く部分の外径は、伝熱管(42)の内径よりも大きい。絞り部(453a)の長さは、前側接続部(453)と伝熱管(42)との挿入距離よりも長く、例えば、2mm以上である。
【0121】
絞り部(453a)は、対応する伝熱管(42)の内側に挿入されている。前側接続部(453)と伝熱管(42)との挿入距離は2mm以上である。前側接続部(453)は、絞り部(453a)の位置において、対応する伝熱管(42)とバーナーロウ付けによって接合される。絞り部(453a)の外周面は、伝熱管(42)との接続部分である接合面(471)を有する。伝熱管(42)の内周面と接合面(471)とは離間しており、伝熱管(42)の内周面と接合面(271)との間にロウ材(470)が位置している。ロウ材(470)の材質は、前述の実施形態1と同じである。
【0122】
図18に示すように、段差部(453b)の表面は、伝熱管(42)の軸方向の前側熱交換部(40A)側から見て、円環状の環状面(472)である。環状面(472)は、接合面(471)に連続する。環状面(472)の内縁と外縁との間の幅は、伝熱管(42)の肉厚よりも大きい。環状面(472)の内縁と外縁との間の幅は、前側接続部(453)の肉厚と同じかまたは前側接続部(453)の肉厚よりも大きい。環状面(472)の内縁と外縁との間の幅は、例えば、0.6mm~1.5mmである。環状面(472)の一部は、伝熱管(42)を外側から囲む。
【0123】
環状面(472)の少なくとも一部は、溶融したロウ材(470)を受けるロウ受け部(473)である。ロウ受け部(473)は、伝熱管(42)の軸方向の前側熱交換部(40A)側から見て、伝熱管(42)と重複する。
【0124】
図示は省略するが、後側接続部についても、前側接続部(453)と同様に、円管で構成されるとともに、絞り部を有する。また、フレア部は、段差部を有する。段差部の表面は、伝熱管(42)の軸方向の後側熱交換部(40B)側から見て、円環状の環状面であり、環状面の少なくとも一部はロウ受け部である。
【0125】
(13)接続部と伝熱管との接続方法
本実施形態4において、前側接続部(453)と伝熱管(42)とを接合するときには、前側プレート積層体(50)を下側に配置しかつ前側熱交換部(40A)を上側に配置して、前側接続部(453)の環状面(472)にロウ材(470)を配置する。
【0126】
次に、図19に示すように、前側接続部(453)が伝熱管(42)の内側に挿入されるように、前側熱交換部(40A)を移動させる。
【0127】
その後、伝熱管(42)および前側接続部(453)をバーナーであぶって、ロウ材(470)を溶融させる。溶融したロウ材(470)は、ロウ受け部(473)にためられて、毛細管現象により前側接続部(53)と伝熱管(42)との間の隙間に吸い上げられて固化する。吸い上げられずに垂れたロウ材(470)は、ロウ受け部(473)により受けられた後、固化する。
【0128】
後側接続部と伝熱管(42)とを接続させる接続方法は、前側接続部(453)と伝熱管(42)とを接続させる接続方法と同じである。
【0129】
(14)実施形態4の効果
本実施形態4では、前側接続部(453)を伝熱管(42)の内側に挿入する構成であるため、室内熱交換器(40)を上側に配置しかつ前側プレート積層体(450)を下側に配置した姿勢で前側接続部(453)と伝熱管(42)とをロウ付けするときに、ロウ材(470)が、下側に液だれする可能性が高い。これに対して、前側接続部(453)に絞り部(453a)を設けることで、絞り部(453a)以外の部分に出来る限り広い環状面(472)を形成できる。これにより、ロウ受け部(473)を出来る限り広くすることができるため、ロウ材(470)の液だれが抑制されて、前側接続部(453)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0130】
また、前側接続部(453)と伝熱管(42)とをロウ付けするときに、伝熱管(42)をあぶることで、ロウ材(470)のうち伝熱管(42)から溶融するため、溶融したロウ材(470)が前側接続部(53)と伝熱管(42)との間の隙間に吸い上げられやすくなる。これにより、ロウ材(470)の液だれが抑制されて、前側接続部(453)と伝熱管(42)との接続精度を高い状態に維持することができる。
【0131】
(15)その他の実施形態
室内熱交換器(40)は、フィンアンドチューブ式でなくてもよく、例えば隣り合う伝熱管の間に波板状のフィンが配置されるコルゲート式であってもよい。
【0132】
熱交換器本体(B)は、前側熱交換部(40A)および後側熱交換部(40B)を有さず、1つの熱交換部を有する構成であってもよい。この場合、第1内部配管(38)、第2内部配管(39)、および室内膨張弁(37)は省略される。
【0133】
前側接続部(53,253,353,453)の構成と後側接続部との構成は異なっていてもよい。例えば、前側接続部(253)のみがフレア部(253a)を有し、後側接続部はフレア部を有さない構成としてもよい。
【0134】
環状面(72,272,372,472)は円環状でなくてもよい。環状面(72,272,372,472)は、楕円環状や角環状であってもよい。
【0135】
前記実施形態2のように前側接続部(253)がフレア部(253a)を有していたり、前記実施形態4のように前側接続部(453)が絞り部(453a)を有していたりするときには、前側接続部(253,453)の肉厚は、0.6mm未満であってもよい。
【0136】
ロウ材(70,270,370,470)を配置する工程と、伝熱管(42)を前側接続部(53,253,353,453)に挿入する工程とは、特に順序は限定されない。伝熱管(42)を前側接続部(53,253,353,453)に挿入してから、ロウ材(70,270,370,470)を環状面(72,272,372,472)に配置してもよい。
【0137】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態、変形例、その他の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【0138】
以上に述べた「第1」、「第2」、「第3」…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上に説明したように、本開示は、室内熱交換器、空調室内機、および室内熱交換器の製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0140】
31 ケーシング
40 室内熱交換器
40A 前側熱交換部
41 フィン
42 伝熱管
50 前側プレート積層体
51 冷媒流路
53 前側接続部
70 ロウ材
71 接合面
72 環状面
73 ロウ受け部
250 前側プレート積層体
253 前側接続部
253a フレア部
270 ロウ材
271 接合面
272 環状面
273 ロウ受け部
350 前側プレート積層体
353 前側接続部
370 ロウ材
371 接合面
372 環状面
373 ロウ受け部
450 前側プレート積層体
453 前側接続部
453a 絞り部
470 ロウ材
471 接合面
472 環状面
473 ロウ受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19