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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025059459
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】室内熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20250403BHJP
   F28D 1/04 20060101ALI20250403BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20250403BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20250403BHJP
【FI】
F28F9/02 301J
F28D1/04 Z
F25B49/02 510C
F25B39/00 P
F25B39/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023169548
(22)【出願日】2023-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 祥太
(72)【発明者】
【氏名】山本 周太郎
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC18
3L103CC23
3L103DD03
3L103DD33
3L103DD70
3L103DD85
3L103DD97
(57)【要約】
【課題】空調機内の空間を有効活用できる積層プレートを提供する。
【解決手段】室内熱交換器のプレート積層体(50,60)は、第1方向に熱交換部(B)と隣り合って配置され、1つ以上のプレート(52,62)を有する第1プレート部(50A,60A)と、1つ以上のプレート(52,62)を有し、かつ、第1プレート部(50A,60A)の熱交換部(B)に対向する面と反対側の面に配置される第2プレート部(50B,60B)とを有し、プレート積層体(50,60)のうち、熱交換部(B)に対向する第1面(501,601)の周縁部には段差部(X)が形成され、段差部(X)は、第1プレート部(50A,60A)および第2プレート部(50B,60B)により形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィン(41)と、前記複数のフィン(41)を貫通する複数の伝熱管(42)とを含む熱交換部(B)と、
内部に前記伝熱管(42)と連通する流路(51,61)が設けられ、前記伝熱管(42)の延びる第1方向に積層される複数のプレート(52,62)を有するプレート積層体(50,60)とを備え、
前記プレート積層体(50,60)は、
前記第1方向に前記熱交換部(B)と隣り合って配置され、
1つ以上の前記プレート(52,62)を有する第1プレート部(50A,60A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)と形状の異なる1つ以上の前記プレート(52,62)を有し、かつ、前記第1プレート部(50A,60A)の前記熱交換部(B)に対向する面の反対側の面に配置される第2プレート部(50B,60B)とを有し、
前記プレート積層体(50,60)のうち、前記熱交換部(B)に対向する第1面(501,601)の周縁部には段差部(X)が形成され、
前記段差部(X)は、前記第1プレート部(50A,60A)および前記第2プレート部(50B,60B)により形成される
室内熱交換器。
【請求項2】
前記プレート積層体(50,60)は、3枚以上の前記プレート(52,62)からなり、
前記プレート積層体(50,60)のうち、
前記熱交換部(B)に最も近い前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)を第1末端プレート(521)とし、
前記熱交換部(B)に最も遠い前記第2プレート部(50B,60B)の前記プレート(52,62)を第2末端プレート(525)とし、
前記第1末端プレート(521)と前記第2末端プレート(525)との間に配置される前記プレート(52,62)を中間プレート(522~524)としたときに、
前記流路(51,61)は、前記中間プレート(522~524,622~624)内を通るように形成され、
前記中間プレート(522~524)の板厚は、前記第1末端プレート(521)及び前記第2末端プレート(525)の板厚よりも厚い
請求項1に記載の室内熱交換器。
【請求項3】
前記プレート積層体(50,60)のうち、第1面(501,601)および該第1面(501,601)の反対側の第2面(502,602)の少なくとも一部には、防食加工が施されている
請求項1または2に記載の室内熱交換器。
【請求項4】
前記第1方向と反対側から前記プレート積層体(50,60)を見て、前記第2プレート部(50B,60B)のうち前記第1プレート部(50A,60A)が重なっていない部分の面積は、前記第1プレート部(50A,60A)が重なっている部分の面積よりも小さい
請求項1または2に記載の室内熱交換器。
【請求項5】
前記流路(51,61)は、
前記第1プレート部(50A,60A)に設けられる第1流路(51A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)と前記第2プレート部(50B,60B)とに亘って設けられる第2流路(51B)とを有し、
第2流路(51B)は、第1流路(51A)を交差するように形成される
請求項1または2に記載の室内熱交換器。
【請求項6】
前記熱交換部(B)には、該熱交換部(B)と前記プレート積層体(50,60)との間に配置され、2つの前記伝熱管(42)同士を接続するU字状の接続管(400)が設けられ、
前記接続管(400)は、前記第1方向から見て前記段差部(X)に対向する位置に設けられる
請求項1または2に記載の室内熱交換器。
【請求項7】
前記伝熱管(42)を流れる冷媒の温度を検知する検知部(70)をさらに備え、
前記検知部(70)は前記接続管(400)に設けられる
請求項6に記載の室内熱交換器。
【請求項8】
前記接続管(400)には、
前記室内熱交換器が蒸発器として機能する場合、過熱領域の冷媒が流れ、
前記室内熱交換器が放熱器として機能する場合、過冷却領域の冷媒が流れる
請求項6に記載の室内熱交換器。
【請求項9】
請求項1または2に記載の室内熱交換器と、
圧縮された冷媒ガスが前記室内熱交換器(40)に搬送されるガス管(12a)とを備え、
前記ガス管(12a)は、前記プレート積層体(50,60)のうち前記第1プレート部(50A,60A)と前記第2プレート部(50B,60B)とが重なる部分に形成される前記流路(51,61)に接続される
空調室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、熱交換器に接続される積層ヘッダーを開示する。積層ヘッダーを構成する各プレートには溝が形成される。このような溝を有する複数のプレートが積層されることで、溝が積層ヘッダー内部に形成される冷媒流路を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2014/184917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレート積層体を構成するプレートはいずれも同じ形状に形成される。冷媒流路の構造によって、プレートに形成される溝の形状や位置は異なる。従って、プレートによっては、溝が形成されない領域の面積は異なる。溝が形成されない領域は使用用途がないため、その領域が比較的大きいとその分空調機内の空間を有効利用できない。
【0005】
本開示の目的は、空調機内の空間を有効活用できる積層プレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、
複数のフィン(41)と、前記複数のフィン(41)を貫通する複数の伝熱管(42)とを含む熱交換部(B)と、
内部に前記伝熱管(42)と連通する流路(51,61)が設けられ、前記伝熱管(42)の延びる第1方向に積層される複数のプレート(52,62)を有するプレート積層体(50,60)とを備え、
前記プレート積層体(50,60)は、
前記第1方向に前記熱交換部(B)と隣り合って配置され、
1つ以上の前記プレート(52,62)を有する第1プレート部(50A,60A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)のプレート(52,62)と形状の異なる1つ以上の前記プレート(52,62)を有し、かつ、前記第1プレート部(50A,60A)の前記熱交換部(B)に対向する面の反対側の面に配置される第2プレート部(50B,60B)とを有し、
前記プレート積層体(50,60)のうち、前記熱交換部(B)に対向する第1面(501,601)の周縁部には段差部(X)が形成され、
前記段差部(X)は、前記第1プレート部(50A,60A)および前記第2プレート部(50B,60B)により形成される室内熱交換器である。
【0007】
第1の態様では、プレート積層体(50,60)に段差部(X)を設けることで、該段差部(X)に対向する位置に空間を形成できる。この空間内に所定の部品を配置させたりするなど該空間を有効活用できる。
【0008】
第2の態様は、第1の態様において、
前記プレート積層体(50,60)は、3枚以上の前記プレート(52,62)からなり、
前記プレート積層体(50,60)のうち、
前記熱交換部(B)に最も近い前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)を第1末端プレート(521)とし、
前記熱交換部(B)に最も遠い前記第2プレート部(50B,60B)の前記プレート(52,62)を第2末端プレート(525)とし、
前記第1末端プレート(521)と前記第2末端プレート(525)との間に配置される前記プレート(52,62)を中間プレート(522~524)としたときに、
前記流路(51,61)は、前記中間プレート(522~524,622~624)内を通るように形成され、
前記中間プレート(522~524)の板厚は、前記第1末端プレート(521)及び前記第2末端プレート(525)の板厚よりも厚い。
【0009】
第2の態様では、プレート積層体(50,60)の両端に配置されるプレート(52,62)よりも中央に配置されるプレート(52,62)の厚さを厚くすることで、プレート積層体(50,60)内に形成される冷媒流路(51,61)の流路断面の面積または内径を大きくすることができる。これにより冷媒流路(51,61)を流れる冷媒への圧力損失の増大を抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記プレート積層体(50,60)のうち、第1面(501,601)および該第1面(501,601)の反対側の第2面(502,602)の少なくとも一部には、防食加工が施されている。
【0011】
第3の態様では、結露等によりプレート積層体(50,60)の両側面が電食される恐れがあるところ、防食加工によりそのような電食を抑制できる。
【0012】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、
前記第1方向と反対側から前記プレート積層体(50,60)を見て、前記第2プレート部(50B,60B)のうち前記第1プレート部(50A,60A)が重なっていない部分の面積は、前記第1プレート部(50A,60A)が重なっている部分の面積よりも小さい。
【0013】
プレート積層体(50,60)のうち第1プレート部(50A,60A)と第2プレート部(50B,60B)とが重なっている部分は、第1プレート部(50A,60A)のみの部分よりも厚いため流路(51,61)の数を多く形成できる。これにより熱交換部(B)の伝熱管(42)に流れる冷媒流路を増大でき、その結果、熱交換が促進される。第4の態様では、第1プレート部(50A,60A)と第2プレート部(50B,60B)とが重なっている部分を第1プレート部(50A,60A)のみの部分よりも広くすることで、プレート積層体(50,60)内の流路数を十分に確保できるため、室内熱交換器による空気と冷媒との熱交換を促進できる。
【0014】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、
前記流路(51,61)は、
前記第1プレート部(50A,60A)に設けられる第1流路(51A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)と前記第2プレート部(50B,60B)とに亘って設けられる第2流路(51B)とを有し、
第2流路(51B)は、第1流路(51A)を交差するように形成される。
【0015】
第5の態様では、プレート積層体(50,60)のうち、流路(51,61)同士が交差しない部分では、第1プレート部(50A,60A)のみに流路(51,61)を設ければよい。このような部分では第2プレート部(50B,60B)は不要であるため、段差部(X)を設けることができる。このように、該段差部(X)により形成される空間を有効活用できる。
【0016】
第6の態様は、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、
前記熱交換部(B)には、該熱交換部(B)と前記プレート積層体(50,60)との間に配置され、2つの前記伝熱管(42)同士を接続するU字状の接続管(400)が設けられ、
前記接続管(400)は、第1方向の反対方向から見て前記段差部(X)に対向する位置に設けられる。
【0017】
熱交換部(B)とプレート積層体(50,60)との隙間をU字状の接続管(400)が配置できる程度の大きさにする必要があるところ、第6の態様では、段差部(X)により形成される空間に該接続管(400)を設けるため、熱交換部(B)とプレート積層体(50,60)との隙間を比較的小さくできる。これにより、室内熱交換器をコンパクト化できる。
【0018】
第7の態様は、第6の態様において、
前記伝熱管(42)を流れる冷媒の温度を検知する検知部(70)をさらに備え、
前記検知部(70)は前記接続管(400)に設けられる。
【0019】
第7の態様では、段差部(X)により形成される空間を有効活用して検知部(70)を設けることができる。
【0020】
第8の態様は、第6または第7の態様において、
前記接続管(400)には、
前記室内熱交換器が蒸発器として機能する場合、過熱領域の冷媒が流れ、
前記室内熱交換器が放熱器として機能する場合、過冷却領域の冷媒が流れる。
【0021】
過熱領域の冷媒の温度は比較的高く、過冷却領域の冷媒の温度は比較的低い。そのため、過熱領域または過冷却領域の冷媒を通る流路の近傍に別の流路があると該流路を通る冷媒は、過熱領域または過冷却領域の冷媒を通る冷媒と熱交換してしまう。これに対して、第8の態様では、接続管(400)に過熱領域または過冷却領域の冷媒を流すことで、プレート積層体(50,60)内の流路を流れる冷媒との熱交換を抑制できる。
【0022】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか1つの室内熱交換器と、
圧縮された冷媒ガスを前記室内熱交換器(40)に搬送するガス管(12a)とを備え、
前記ガス管(12a)は、前記プレート積層体(50,60)のうち前記第1プレート部(50A,60A)と前記第2プレート部(50B,60B)とが重なる部分に形成される前記流路(51,61)に接続される室内熱交換器である。
【0023】
第9の態様では、プレート(52,62)の積層方向に延びる流路(51,61)のうち第1プレート部(50A,60A)と第2プレート部(50B,60B)とを積層方向に延びる流路(51,61)は比較的長い。そのため、圧縮されたガス冷媒をこのような流路(51,61)に流すことで、流路(51,61)を通るガス冷媒の圧損を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の配管系統図である。
図2図2は、空調室内機の正面図である。
図3図3は、空調室内機のII-II線断面図である。
図4図4は、空調室内機の内部構造を示す正面図である。
図5図5は、室内熱交換器の要部を拡大して示す斜視図である。
図6図6は、プレート積層体を左側から見た図である。
図7図7は、プレート積層体の冷媒流路の例示する断面図である。
図8図8は、前側プレート積層体を正面から見た模式図である。
図9図9は、第1流路の構成を説明するための前側プレート積層体の断面図である。
図10図10は、第2流路の構成を説明するための前側プレート積層体の断面図である。
図11図11は、プレート積層体を第1方向(右方向)から見て、第1流路と第2流路とが交差していることを示す模式図である。
図12図12(a)は、温度センサがU字接続管に取り付けられた状態を示す斜視図(a)と平面図である。図12(b)は、温度センサがU字接続管に取り付けられた状態を示す平面図である。
図13図13は、変形例1に係る室内熱交換器の図8に相当する模式図である。
図14図14は、変形例2に係る室内熱交換器の要部を上からみた模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示される実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。各図面は、本開示を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて寸法、比または数を誇張または簡略化して表す場合がある。
【0026】
(1)空気調和装置の全体構成
本実施形態は、熱交換器ユニットを備えた空気調和装置(10)である。空気調和装置(10)は、対象空間である室内空間(I)の空気の温度を調節する。
【0027】
図1に示すように、空気調和装置(10)は、冷媒回路(11)を備える冷凍サイクル装置の一例である。冷媒回路(11)には、冷媒が充填される。冷媒回路(11)は、冷媒を循環させることにより冷凍サイクルを行う。
【0028】
空気調和装置(10)は、空調室外機(20)、空調室内機(30)、第1連絡配管(12)、および第2連絡配管(13)を備える。空気調和装置(10)は、1つの空調室外機(20)と、1つの空調室内機(30)とを有するペア式である。第1連絡配管(12)は、ガス連絡配管であり、第2連絡配管(13)は、液連絡配管である。
【0029】
空調室外機(20)は、室外に設置される。空調室外機(20)は、室外ケーシング(20a)と、室外ケーシング(20a)に収容される圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、室外膨張弁(23)、四方切換弁(24)、および室外ファン(25)を含む。
【0030】
圧縮機(21)は、揺動ピストン式、ロータリ式、スクロール式などの回転式圧縮機である。室外熱交換器(22)は、冷媒と室外空気と熱交換させる。室外熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式である。室外膨張弁(23)は冷媒を減圧する。室外膨張弁(23)は、電子膨張弁である。四方切換弁(24)は、第1状態(図1の実線で示す状態)と第2状態(図1の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出部と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入部と第1連絡配管(12)とを連通させる。第2状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出部と第1連絡配管(12)とを連通させ、且つ圧縮機(21)の吸入部と室外熱交換器(22)のガス端部とを連通させる。室外ファン(25)は、室外熱交換器(22)を流れる空気を搬送する。室外ファン(25)は、プロペラファンである。
【0031】
空調室内機(30)は、ケーシング(31)と、ケーシング(31)に収容される室内熱交換器(40)、室内ファン(32)、および室内膨張弁(37)を含む。
【0032】
(2)空調室内機
室内空調機である空調室内機(30)の詳細について図2図4を参照しながら説明する。本実施形態の空調室内機(30)は、室内空間(I)の壁に設けられる壁掛け式である。なお、以下で説明する「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」に関する語句は、図2および図3に示す矢印の方向に対応し、左右方向は、ケーシング(31)を前側から見る場合を基準とする。
【0033】
(2-1)ケーシング
図2および図3に示すように、ケーシング(31)は、左右に横長の箱状に形成される。ケーシング(31)は、前板(31a)、後板(31b)、上板(31c)、下板(31d)、第1側板(31e)、および第2側板(31f)を有する。
【0034】
前板(31a)は、ケーシング(31)の前側に形成され、ケーシング(31)の前面を構成する。後板(31b)は、ケーシング(31)の後側に形成され、ケーシング(31)の後面を構成する。上板(31c)は、ケーシング(31)の上側に形成され、ケーシング(31)の上面を構成する。下板(31d)は、ケーシング(31)の下側に形成され、ケーシング(31)の下面を構成する。第1側板(31e)は、ケーシング(31)の右側に形成され、ケーシング(31)の右面を構成する。第2側板(31f)は、ケーシング(31)の左側に形成され、ケーシング(31)の左面を構成する。
【0035】
上板(31c)には吸込口(33)が形成され、下板(31d)には吹出口(34)が形成される。ケーシング(31)の内部には、吸込口(33)から吹出口(34)までに亘って、空気通路(P)が形成される。吸込口(33)は、ケーシング(31)の長手方向に延びている。吸込口(33)は、室内空間(I)の空気を空気通路(P)に取り込むための開口である。下板(31d)には、吹出口(34)が形成される。吹出口(34)は、ケーシング(31)の長手方向に延びている。吹出口(34)は、空気通路(P)の空気を室内空間(I)へ吹き出すための開口である。
【0036】
(2-2)フィルタ
空調室内機(30)は、フィルタ(35)を備える。フィルタ(35)は、吸込口(33)の奥側でかつ室内熱交換器(40)の上流側に配置される。フィルタ(35)は、吸込口(33)から室内熱交換器(40)へ送られる空気中の塵埃を捕集する。空調室内機(30)は、フィルタ(35)が捕集した塵埃を取り除く塵埃除去機構を備えていてもよい。
【0037】
(2-3)熱交換器ユニット
熱交換器ユニット(U)は、一つの室内熱交換器(40)と、一つの室内膨張弁(37)とを備える。室内熱交換器(40)は、一つの熱交換器本体(B)と、二つのプレート積層体(50,60)とを備える。室内熱交換器(40)の熱交換器本体(B)は、空気通路(P)を横断するように配置される。空気通路(P)は、熱交換器本体(B)の上流側と下流側に区分される。
【0038】
(2-4)室内ファン
室内ファン(32)は、空気通路(P)に配置される。室内ファン(32)は、空気通路(P)において、室内熱交換器(40)の下流側に配置される。室内ファン(32)は、クロスフローファンである。室内ファン(32)は、そのファンロータがケーシング(31)の長手方向に延びる。
【0039】
(2-5)フラップ
空調室内機(30)は、吹出口(34)から吹き出す空気の風向を調節するフラップ(36)を有する。フラップ(36)は、上下方向の風向を調節する。空調室内機(30)は、複数のフラップ(36)を有してもよい。フラップ(36)は、左右方向の風向を調節してもよい。
【0040】
(3)熱交換器ユニット
上述したように、熱交換器ユニット(U)は、室内熱交換器(40)と、室内膨張弁(37)と、ガス中継管(12a)と、液中継管(13a)と、を備える。
【0041】
(3-1)室内熱交換器
図3図5に示す室内熱交換器(40)は、熱交換器本体(B)と、該熱交換器本体(B)と接続するプレート積層体(50,60)とを備える。室内熱交換器(40)は、フィン(41)と伝熱管(42)とを有するフィンアンドチューブ式の熱交換器である。室内熱交換器(40)は、空気と冷媒とを熱交換させる。
【0042】
熱交換器本体(B)は、熱交換部(B)の一例である。熱交換器本体(B)は、複数のフィン(41)と、複数のフィン(41)を貫通する複数の伝熱管(42)とを含む。複数のフィン(41)は、ケーシング(31)の長手方向に配列される。複数の伝熱管(42)は、フィン(41)の配列方向に延びる。プレート積層体(50,60)は、内部に伝熱管(42)と連通する冷媒流路(51,61)が設けられる。冷媒流路(51,61)は、流路(51,61)の一例である。
【0043】
フィン(41)は、長辺と短辺とを有する矩形板状である。フィン(41)の厚さ方向は、フィン(41)の配列方向に対応する。複数のフィン(41)は、その厚さ方向に所定の間隔を置いて配列される。この間隔が空気の流路を構成する。フィン(41)の材質は、アルミニウム合金である。
【0044】
伝熱管(42)は、ストレート管である。複数の伝熱管(42)の材質は、アルミニウム合金である。伝熱管(42)の内部には、冷媒の流路が形成される。複数の伝熱管(42)は、フィン(41)を貫通するように互いに平行に延びる。伝熱管(42)の一端部である右側端部は、複数のフィン(41)のうち最右端に配置されるフィン(41)の右側に突出する。右方に突出する伝熱管の端部は、プレート積層体(50,60)に接続される。
【0045】
複数の伝熱管(42)の左側の各端部のうち、隣接する二つの伝熱管(42)の端部同士は、U字管(48)により互いに接続される。隣接する二つの伝熱管(42)と、それらを繋ぐU字管(48)とは、継ぎ目無く一体に形成される。
【0046】
本実施形態の室内熱交換器(40)は、前側熱交換部(40A)と、後側熱交換部(40B)とを有する。前側熱交換部(40A)は、ケーシング(31)の前側寄りに位置し、後側熱交換部(40B)は、ケーシング(31)の後側寄りに位置する。前側熱交換部(40A)と、後側熱交換部(40B)とは、室内ファン(32)を挟むように、上下方向および伝熱管(42)の軸方向の両方に直交する方向、すなわち前後方向に並ぶ。
【0047】
前側熱交換部(40A)は、前側主熱交換部(43)と、第1補助熱交換部(44)と、第2補助熱交換部(45)とを有する。
【0048】
前側主熱交換部(43)は、前側熱交換部(40A)における室内ファン(32)寄りに配置される。前側主熱交換部(43)の外形は、伝熱管(42)の長手方向から見て、V字状に形成される。このV字の先端は前側を指向する。
【0049】
前側主熱交換部(43)は、第1前側主熱交換部(43a)と、第2前側主熱交換部(43b)とで構成される。第1前側主熱交換部(43a)は、前側主熱交換部(43)の上部に位置し、第2前側主熱交換部(43b)は、前側主熱交換部(43)の下部に位置する。第1前側主熱交換部(43a)の下端、すなわちフィン(41)の下側の短辺は、第2前側主熱交換部(43b)のフィン(41)の長辺(厳密には、フィン(41)の長辺の上端部分)と接触する。
【0050】
第1補助熱交換部(44)は、第1前側主熱交換部(43a)の流入側(前側)に設けられる。第1補助熱交換部(44)における伝熱管(42)の長辺に沿った方向の数(以下、段数という)は、第1前側主熱交換部(43a)の伝熱管(42)の段数よりも少ない。第1補助熱交換部(44)における伝熱管(42)の短辺に沿った方向の数(以下、列数という)は、第1前側主熱交換部(43a)の伝熱管(42)の列数よりも少ない。
【0051】
第2補助熱交換部(45)は、第2前側主熱交換部(43b)の流入側(前側)に設けられる。第2補助熱交換部(45)の伝熱管(42)の段数および列数は、第2前側主熱交換部(43b)の伝熱管(42)の段数および列数よりも少ない。
【0052】
後側熱交換部(40B)は、後側主熱交換部(46)と、第3補助熱交換部(47)とを有する。後側主熱交換部(46)の後側熱交換部(40B)における室内ファン(32)寄りに配置される。第3補助熱交換部(47)は、後側主熱交換部(46)の流入側(後側)に設けられる。第3補助熱交換部(47)のフィン(41)の長辺および短辺の長さは、後側主熱交換部(46)のフィン(41)の長辺および短辺の長さよりも短い。第3補助熱交換部(47)の伝熱管(42)の段数および列数は、後側主熱交換部(46)の伝熱管(42)の段数および列数よりも少ない。
【0053】
プレート積層体(50,60)は、熱交換器本体(B)の右方に、熱交換器本体(B)と隣り合って配置される。右方は、第1方向の一例である。具体的に、プレート積層体(50,60)は、複数のフィン(41)の右端のフィン(41)の右側に、フィン(41)と平行に配置される。プレート積層体(50,60)は、伝熱管(42)の端部に接続される。図5に示すように、プレート積層体(50,60)は、前側熱交換部(40A)の伝熱管(42)と接続される前側プレート積層体(50)と、後側熱交換部(40B)の伝熱管(42)と接続される後側プレート積層体(60)と、を含む。前側プレート積層体(50)は、伝熱管(42)の軸方向において前側熱交換部(40A)と重なるように配置される。後側プレート積層体(60)は、伝熱管(42)の軸方向において後側熱交換部(40B)と重なるように配置される。前側プレート積層体(50)および後側プレート積層体(60)の詳細については後述する。
【0054】
(3-2)室内膨張弁、ガス中継管、液中継管
室内膨張弁(37)は、開度可変の電子膨張弁である。室内膨張弁(37)は、プレート積層体(50,60)の右側に配置される。室内膨張弁(37)は、第1内部配管(38)を介して前側プレート積層体(50)に接続され、第2内部配管(39)を介して後側プレート積層体(60)に接続される。第1内部配管(38)及び第2内部配管(39)は、前側プレート積層体(50)の前側冷媒流路(51)と後側プレート積層体(60)の後側冷媒流路(61)とを接続する冷媒配管の一例である。
【0055】
(4)プレート積層体
ガス中継管(12a)は、圧縮機(21)により圧縮された冷媒ガスを室内熱交換器(40)に搬送する。ガス中継管(12a)は、ガス管(12a)の一例である。ガス中継管(12a)の一端は、後側プレート積層体(60)に接続される。ガス中継管(12a)の他端は、第1連絡配管(12)に継手を介して接続される。液中継管(13a)の一端は、前側プレート積層体(50)に接続される。液中継管(13a)の他端は、第2連絡配管(13)に継手を介して接続される。
【0056】
プレート積層体(50,60)は、内部に伝熱管(42)と連通する流路(51,61)が設けられる。プレート積層体(50,60)は、右方向に複数のプレート(52,62)が積層されるように構成される。以下、本実施形態のプレート積層体(50,60)の詳細について図5図14を参照しながら説明する。
【0057】
(4-1)前側プレート積層体
前側プレート積層体(50)は、前側冷媒流路(51)と、前側接続管(53)と、前側中継部(54)と、液端部(55)とを含む。前側冷媒流路(51)は、前側プレート積層体(50)内に形成される。前側接続管(53)は、前側熱交換部(40A)の複数の伝熱管(42)と前側冷媒流路(51)とを接続する。前側中継部(54)は、第1内部配管(38)が接続される。液端部(55)は、液中継管(13a)を介して第2連絡配管(13)と連通する。以下では、前側プレート積層体(50)を本開示のプレート積層体(50,60)として説明する。
【0058】
(4-1-1)第1プレート部および第2プレート部
図5図6および図8に示すように、前側プレート積層体(50)は、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とを有する。前側第1プレート部(50A)は、本開示の第1プレート部(50A,60A)の一例である。前側第2プレート部(50B)は、本開示の第2プレート部(50B,60B)の一例である。前側第1プレート部(50A)は、積層される2枚の前側プレート(52)を有する。前側第2プレート部(50B)は、積層される3枚の前側プレート(52)を有する。
【0059】
前側第1プレート部(50A)の各前側プレート(52)の外縁の形状は同一である。前側第1プレート部(50A)の3枚の前側プレート(52)を、左から順に第1プレート(521)及び第2プレート(522)を有する。第1プレート(521)には、伝熱管(42)の右端部に向かって延びる前側接続管(53)が接続される。前側接続管(53)内は、後述する前側冷媒流路(51)を構成する。
【0060】
前側第2プレート部(50B)の各前側プレート(52)の外縁の形状は同一である。前側第2プレート部(50B)の3枚の前側プレート(52)を、左から順に第3プレート(523)、第4プレート(524)および第5プレート(525)とする。
【0061】
前側第1プレート部(50A)の各前側プレート(521,522)の形状は、前側第2プレート部(50B)の各前側プレート(523,524,525)の形状と異なる。具体的に、前側第1プレート部(50A)の外縁の形状と前側第2プレート部(50B)の外縁の形状は異なる。
【0062】
前側第2プレート部(50B)は、前側第1プレート部(50A)の熱交換器本体(B)に対向する面と反対側の面に配置される。具体的に、前側第2プレート部(50B)は、前側第1プレート部(50A)の右側面に配置される。
【0063】
各前側プレート(521~525)は、伝熱管(42)および前側接続管(53)と同じ材料で構成される。本実施形態では前側第1プレート部(50A)及び前側第2プレート部(50B)のそれぞれの前側プレート(521~525)の材質は、アルミニウム合金である。
【0064】
前側プレート積層体(50)を左方向から見て、前側第1プレート部(50A)の左側面の面積は、前側第2プレート部(50B)の左側面の面積よりも小さい。言い換えると、前側プレート積層体(50)の左方向から見て、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とが重ならない第1領域(S1)と、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とが重なる第2領域(S2)とが形成される。
【0065】
右方向から反対側、つまり、左方向から前側プレート積層体(50)を見て、前側第2プレート部(50B)のうち前側第1プレート部(50A)が重なっていない部分の面積は、前側第1プレート部(50A)が重なっている部分の面積よりも小さい。言い換えると、第1領域(S1)の面積は第2領域(S2)の面積よりも小さい。
【0066】
図8に示すように、前側プレート積層体(50)は、段差部(X)を有する。段差部(X)は、前側第1プレート部(50A)および前側第2プレート部(50B)により形成される。段差部(X)は、前側プレート積層体(50)のうち、熱交換器本体(B)に対向する左側面(501)の周縁部に形成される。前側プレート積層体(50)の左側面(501)は、第1面(501)の一例である。言い換えると、段差部(X)は、前側プレート積層体(50)の左側面の周縁部に形成される。さらに言い換えると、段差部(X)は、前側プレート積層体(50)を左方向から見て第1領域(S1)が形成される部分である。具体的には、段差部(X)は、第1領域(S1)と前側第2プレート部(50B)の第1周面(P1)とにより形成される。第1周面(P1)は、前側第1プレート部(50A)の右側面と左側面とに挟まれる周面のうち、第1領域(S1)に接する部分を示す。
【0067】
段差部(X)は、前側プレート積層体(50)を右方から見て、前側プレート積層体(50)の下部に形成される。具体的に、段差部(X)は、前側プレート積層体(50)のうち、前側プレート積層体(50)の中央の高さ位置よりも下方に形成される。別の言い方をすると、本実施形態の空調室内機(30)では、上から順に吸込口(33)、前側熱交換部(40A)、吹出口(34)が配置されるため(図3参照)、段差部(X)は、前側プレート積層体(50,60)うち吹出口(34)に近い位置に形成される。
【0068】
このように、第1領域(S1)は、前側第2プレート部(50B)の下部に形成される。前側プレート積層体(50)の周面うち、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)との重なる部分は面一である。言い換えると、前側プレート積層体(50)を左方向から見て、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とが重ならない領域は形成されない。
【0069】
また、第1領域(S1)は、前側プレート積層体(50)を左方向から見て、前側第1プレート部(50A)の下部に形成されていればよく、第1領域(S1)の形状は限定されない。
【0070】
前側プレート積層体(50)には防食加工が施されている。具体的に、前側プレート積層体(50,60)のうち、左側面(501)の全面および右側面(502)の第2領域(S2)に防食加工が施されている。本実施形態の防食加工は、犠牲防食効果を有する合金板が前側プレート積層体(50,60)の左側面(501)の全面と右側面(502)の第2領域(S2)とに設けられる。合金板は、例えば、心材をアルミニウムとし、皮材を亜鉛の含有量比較的多い金属とするクラッド材で構成される。なお、第1領域(S1)および第1周面(P1)には防食加工を要さない。第1領域(S1)を構成する第3プレート(523)は、板厚の厚い中間プレート(522~524)であるためである。同様に第1周面(P1)の一部を構成する第4プレート(524)も板厚の厚い中間プレート(522~524)であるためである。
【0071】
次に、前側プレート積層体(50)の各前側プレート(521~525)の板厚について説明する。前側プレート積層体(50)のうち、熱交換器本体(B)に最も近い前側第1プレート部(50A)の前側プレート(52)を第1末端プレートとし、熱交換器本体(B)に最も遠い前側第2プレート部(50B)の前側プレート(52)を第2末端プレートとする。本実施形態では、第1末端プレート(521)は、前側第1プレート部(50A)のうち左端に位置する第1プレート(521)であり、第2末端プレート(525)は、前側第2プレート部(50B)のうち右端に位置する第5プレート(525)である。
【0072】
前側プレート積層体(50)うち、第1末端プレート(521)と第2末端プレート(525)との間に配置されるプレートを中間プレート(522~524)とする。本実施形態では、中間プレート(522~524)は、第2プレート(522)、第3プレート(523)および第4プレート(524)である。
【0073】
中間プレート(522~524)のそれぞれの板厚は、第1末端プレート(521)および第2末端プレート(525)の板厚よりも厚い。本実施形態では、中間プレート(522~524)のそれぞれの板厚は、3.0mmであり、第1末端プレート(521)及び第2末端プレート(525)の板厚は、1.5mmである。
【0074】
(4-1-2)冷媒流路の構成
本実施形態のプレート積層体(50,60)の前側冷媒流路(51)の構成について説明する。前側冷媒流路(51)は、本開示の冷媒流路(51,61)に含まれる。以下、前側冷媒流路(51)の一例を説明する。
【0075】
図9及び図10に示すように、前側冷媒流路(51)は、前側第1プレート部(50A)内に設けられる第1流路(51A)と、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とに亘って設けられる第2流路(51B)とを有する。第1流路(51A)及び第2流路(51B)は、前側第1プレート部(50A)及び前側第2プレート部(50B)と重なる部分に設けられる。
【0076】
第1流路(51A)は、前側第1プレート部(50A)の左端に位置する第1プレート(521)を厚さ方向に貫通する2つの第1貫通孔(71)と、中央に位置する第2プレート(522)に形成される第1溝部(81)と、右端に位置する第3プレート(523)とにより構成される。第1貫通孔(71)の一端は、伝熱管(42)の一端に連通する。第1貫通孔(71)の他端は第1溝部(81)に接続する。
【0077】
第1溝部(81)は、第1プレート(521)の面に沿って形成される長穴である。第1溝部(81)の一端は、一方の第1貫通孔(71)に接続し、第1溝部(81)の他端は、他方の第1貫通孔(71)に接続する。第1溝部(81)は、左端に位置する第1プレート(521)と右端に位置する第1プレート(521)とにより左右方向から塞がれる。
【0078】
第2流路(51B)は、前側第1プレート部(50A)を厚さ方向に貫通する第2貫通孔(72)と、前側第2プレート部(50B)の左端に位置する第4プレート(524)に形成される第2溝部(82)と、前側第2プレート部(50B)の右端に位置する第5プレート(525)とにより構成される。第2貫通孔(72)の一端は、伝熱管(42)の一端に連通する。第2貫通孔(72)の他端は第2溝部(82)に接続する。第2溝部(82)は、第2プレート(522)の面に沿って形成される長穴である。第2溝部(82)の一端は、一方の第2貫通孔(72)に接続し、第2溝部(82)の他端は、他方の第2貫通孔(72)に接続する。第2溝部(82)は第3プレート(523)と第5プレート(525)とにより左右方向から塞がれる。
【0079】
図11において、第1溝部(81)を一点鎖線で示し、第2溝部(82)を二点鎖線で示す。図11に示すように、第1溝部(81)及び第2溝部(82)は、前側プレート積層体(50)を左方から見て交差するように配置される。すなわち、第2流路(51B)は、第1流路(51A)と交差する。具体的に、第2流路(51B)は、右方向に第1流路(51A)を跨ぐように形成される。
【0080】
(4-2)後側プレート積層体
図5~6に示すように後側プレート積層体(60)は、該後側プレート積層体(60)の内部に形成される後側冷媒流路(61)と、後側熱交換部(40B)の複数の伝熱管(42)と後側冷媒流路(61)とを接続する複数の後側接続管(図示省略)と、第2内部配管(39)が接続される後側中継部(64)と、ガス中継管(12a)を介して第1連絡配管(12)と連通するガス端部(65)と、を含む。後側冷媒流路(61)の本開示の冷媒流路(51,61)に含まれる。
【0081】
後側プレート積層体(60)は、右方向から見たプレートの外縁の形状および内部の後側冷媒流路(61)が前側プレート積層体(50)と異なる。後側プレート積層体(60)は、同一形状の5枚の後側プレート(62)を積層することによって形成された厚板状の部材である。後側プレート(62)は右方向に積層される。
【0082】
後側プレート積層体(60)を構成する5枚の後側プレート(62)は、左から順に並ぶ第6プレート(621)、第7プレート(622)、第8プレート(623)、第9プレート(624)および第10プレート(625)である(図5参照)。
【0083】
前側プレート積層体(50,60)と同様に、熱交換部(B)に最も近い第6プレート(621)を第1末端プレート(621)とし、熱交換部(B)に最も遠い第10プレート(625)を第2末端プレート(625)とし、第6プレート(621)と第10プレート(625)との間に配置される第7~第9プレート(622~624)を中間プレート(622~624)とする。この場合、中間プレート(622~624)の各板厚は、第6プレート(621)および第10プレート(625)の板厚よりも厚い。
【0084】
後側プレート積層体(50,60)には、前側プレート積層体(50,60)と同様の防食加工が施されている。具体的に後側プレート積層体(60)の左側面(601)および右側面(602)に上記合金板が貼られている。後側プレート積層体(60)の左側面(601)及び右側面(602)はそれぞれ、本開示の第1面(601)及び第2面(602)に相当する。
【0085】
後側中継部(64)は、円管である。図5に示すように、後側中継部(64)は、後側プレート積層体(60)の右側面に配置される。つまり、後側プレート積層体(60)において、前側プレート積層体(50)の前側冷媒流路(51)と後側プレート積層体(60)の後側冷媒流路(61)とを接続する第2内部配管(39)は、後側プレート積層体(60)における右側面に接続される。ガス端部(65)は、円管である。ガス端部(65)は、後側プレート積層体(60)の右側面に配置される。
【0086】
(4-3)U字接続管
図8に示すように、室内熱交換器(40)は、熱交換器本体(B)と前側プレート積層体(50)との間にU字状の接続管(400)が配置される。以下、U字状の接続管(400)をU字接続管(400)と呼ぶ。
【0087】
U字接続管(400)は、熱交換器本体(B)に設けられる。U字接続管(400)は、隣り合う伝熱管(42)同士を接続する。熱交換器本体(B)の伝熱管(42)からU字接続管(400)に流入する冷媒は、プレート積層体(50,60)内を通らずに、その隣りに配置される伝熱管(42)へ流出され、熱交換器本体(B)内を流れる。
【0088】
U字接続管(400)は、右方向と反対側、つまり左方向から見て、段差部(X)に対向する位置に設けられる。具体的に、U字管の右端の位置は、段差部(X)により形成される空間の内部に配置される。より具体的に、U字接続管(400)の右端の位置は、前側プレート積層体(50)の左側面の位置よりも右方に配置される。言い換えると、左右方向において、U字接続管(400)の右端の位置は、第1プレート(521)の左側面の位置と同じ、またはそれよりも右方に配置される。
【0089】
空調室内機(30)は、冷媒温度を検出する温度センサ(70)を備える。温度センサ(70)は、伝熱管(42)を流れる冷媒の温度を検知する。温度センサ(70)は、検知部(70)の一例である。
【0090】
図12(a)~図12(b)に示すように、温度センサ(70)はU字接続管(400)に設けられる、室内熱交換器(40)は、取付部(90)を備える。取付部(90)は、温度センサ(70)をU字接続管に取り付けるための部材である。取付部(90)は、温度センサ(70)を収容する取付部材(91)と、取付部材(91)をU字接続管(400)の表面に取り付けるロウ付け部(92)とを有している。取付部材(91)は、ロウ付け部(92)を介してU字接続管(400)に取り付けられている。
【0091】
取付部材(91)は、例えば、略円筒形状を有し、その内部に温度センサ(70)の一部を収容可能に構成されている。取付部材(91)は、例えば、U字接続管(400)の湾曲した箇所に取り付けられる。ロウ付け部(92)は、例えば、直線状に延びるように構成されている。ロウ付け部(92)の形成は、例えば、U字接続管(400)の取付部材(91)との間にロウ材を供給し、バーナーの火炎で加熱することで行われる。
【0092】
取付部材(91)の表面の一部には、取付部材(91)の表面よりも電位が低い犠牲層が設けられている。犠牲層は、Zn、Zn合金、Znを含むAl合金等で構成され、例えば、溶射により伝熱管(42)の表面に形成される。この犠牲層により、取付部材(91)が犠牲防食され、取付部材(91)の表面の腐食が長期にわたって抑制される。
【0093】
取付部材(91)と、U字接続管(400)のような配管部とは、A3003等のアルミニウムのような同じ種類の金属により形成される。これにより取付部材(91)及び配管部の電食を抑制できる。
【0094】
(5)特徴
(5-1)特徴1
本実施形態の室内熱交換器(40)のプレート積層体(50,60)うち前側プレート積層体(50)は、室内熱交換器本体(B)と右方向(第1方向)に隣り合って配置される。前側プレート積層体(50)は、2枚の前側プレート(52)を有する前側第1プレート部(50A)と、前側第1プレート部(50A)の前側プレート(52)と形状の異なる3枚の前側プレート(52)を有し、かつ、前側第1プレート部(50A)の熱交換器本体(B)に対向する面と反対側の面に配置される前側第2プレート部(50B)とを有する。前側プレート積層体(50)のうち、熱交換器本体(B)に対向する面の周縁部には段差部(X)が形成され、段差部(X)は、前側第1プレート部(50A)および前側第2プレート部(50B)により形成される。
【0095】
このように、前側プレート積層体(50)に段差部(X)を設けることで、該段差部(X)の対向する位置に空間を形成できる。この空間内に所定の部品を配置させたりするなど該空間を活用することで、空調室内機(30)の小型化を実現できる。
【0096】
(5-2)特徴2
本実施形態において、前側プレート積層体(50)の第2~第4プレート(522~524)は、第1プレート(521)及び第5プレート(525)の板厚よりも厚く、後側プレート積層体(60)の第7~第9プレート(622~624)は、第6プレート(621)及び第10プレート(625)の板厚よりも厚い。
【0097】
これにより、中間プレート(522~524)の板厚を厚くすることで、プレート積層体(50,60)内に形成される冷媒流路(51,61)の流路断面の面積または内径を大きくすることができる。これにより冷媒流路(51,61)を流れる冷媒への圧力損失の増大を抑制できる。
【0098】
(5-3)特徴3
本実施形態のプレート積層体(50,60)のうち、熱交換器本体(B)に対向する面と反対側の面には防食加工がされている。これにより、結露等などによってプレート積層体(50,60)の右側面が電食されることを抑制でき、室内熱交換器(40)の耐久性を向上できる。
【0099】
(5-4)特徴4
左方向から前側プレート積層体(50)を見て、前側第2プレート部(50B)のうち前側第1プレート部(50A)が重なっていない部分の面積は、前側第1プレート部(50A)が重なっている部分の面積よりも小さい。
【0100】
前側プレート積層体(50)のうち前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とが重なっている部分は、前側第1プレート部(50A)のみの部分よりも厚いため流路(51,61)の数を多く形成できる。これにより熱交換部(B)の伝熱管(42)に流れる冷媒流量を増大でき、その結果熱交換が促進される。本実施形態では、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とが重なっている部分の領域を前側第1プレート部(50A)のみの部分の領域よりも広くすることで、前側プレート積層体(50)内の流路数を十分に確保できるため、室内熱交換器(40)による空気と冷媒との熱交換を促進できる。
【0101】
(5-5)特徴5
前側冷媒流路(51)は、前側第1プレート部(50A)に設けられる第1流路(51A)と、前側第1プレート部(50A)と前側第2プレート部(50B)とに亘って設けられる第2流路(51B)とを有する。第2流路(51B)は、第1流路(51A)を交差するように形成される。
【0102】
第1流路(51A)と第2流路(51B)とが交差するように前側冷媒流路(51)を設計することで、前側プレート積層体(50)内の前側冷媒流路(51)の流路パターンのバリエーションを増加できる。一方、前側プレート積層体(50)において、第1流路(51A)のみが設けられ、第1流路(51A)と第2流路(51B)とが交差しない部分を段差部(X)とすることで、有効活用できる空間を形成できる。言い換えると、このような段差部(X)を設けることで、1枚の前側プレート(52)のうち前側冷媒流路(51)が設けられない不要な領域を削減できる。
【0103】
(5-6)特徴6
本実施形態の熱交換器本体(B)には、該熱交換器本体(B)と前側プレート積層体(50)との間に配置され、2つの伝熱管(42)同士を接続するU字接続管(400)が設けられる。U字接続管(400)は、左方向(第1方向の反対方向)から見て段差部(X)に対向する位置に設けられる。
【0104】
熱交換器本体(B)と前側プレート積層体(50)との隙間をU字接続管(400)が配置できる程度の大きさにする必要があるところ、本実施形態では、段差部(X)により形成される空間に該接続管(400)を配置するため、熱交換器本体(B)と前側プレート積層体(50)との隙間を比較的小さくできる。これにより、室内熱交換器(40)をコンパクト化できる。
【0105】
(5-7)特徴7
本実施形態では、伝熱管(42)を流れる冷媒の温度を検知する温度センサ(70)をさらに備え、温度センサ(70)はU字接続管(400)に設けられる。段差部(X)により形成される空間を有効活用して検知部(70)を設けることができる。
【0106】
(6)変形例
変形例の空調室内機(30)について説明する。以下では、上記実施形態の空調室内機(30)と異なる構成について説明する。
【0107】
(6-1)変形例1
図13に示すように、変形例1の室内熱交換器(40)では、U字接続管(400)は、前側プレート積層体(50)に接続される。具体的に、U字接続管(400)は、前側プレート積層体(50)の第1領域(S1)に配置される。U字接続管(400)の両端部は右方へ延び、前側第2プレート部(50B)内に形成される冷媒流路(51,61)に接続する。このように変形例1のU字接続管(400)には、前側プレート積層体(50)内の冷媒流路(51,61)を流れる冷媒が流れる。このようなU字接続管(400)に温度センサ(70)を設けることで、前側プレート積層体(50)内を流れる冷媒の温度を検知できる。
【0108】
(6-2)変形例2
変形例2の後側プレート積層体(60)は、上記実施形態の前側プレート積層体(50)と同じ構成を有する。すなわち、後側プレート積層体(60)は、後側第1プレート部(60A)及び後側第2プレート部(60B)を有する。後側第1プレート部(60A)及び後側第2プレート部(60B)は、本開示の第1プレート部(50A,60A)及び第2プレート部(50B,60B)の一例である。
【0109】
後側プレート積層体(60)は、本開示のプレート積層体(50,60)の一例である。後側第1プレート部(60A)及び後側第2プレート部(60B)の構成のそれぞれは、上記実施形態の前側プレート積層体(50)の前側第1プレート部(50A)及び前側第2プレート部(50B)の構成のそれぞれと同一であるため説明を省略する。後側プレート積層体(60)には、左方向から見て、後側第2プレート部(60B)と後側第1プレート部(60A)とが重ならない第1領域(S1)と、後側第2プレート部(60B)と後側第1プレート部(60A)とが重なる第2領域(S2)とが形成される。
【0110】
変形例2の室内熱交換器(40)では、第1内部配管(38)及び第2内部配管(39)は、熱交換器本体(B)とプレート積層体(50,60)との間に配置される。具体的に、第1内部配管(38)は、前側プレート積層体(50)の左側面に接続される。第2内部配管(39)は、後側プレート積層体(60)の左側面に接続される。本変形例の前側中継部(54)は前側プレート積層体(50)の第1領域(S1)に配置され、後側中継部(64)は後側プレート積層体(60)の第1領域(S1)に配置される。第1内部配管(38)は、後側中継部(64)から左方(熱交換器本体(B))へ延びた後、後側プレート積層体(60)へ延びる。第2内部配管(39)は、後側中継部(64)から左方(熱交換器本体(B))へ延びた後、前側プレート積層体(50)へ延びる。このように本変形例では、熱交換器本体(B)とプレート積層体(50,60)との間は比較的狭くても、段差部(X)により形成される空間を利用して第1内部配管(38)及び第2内部配管(39)を配置できる。
【0111】
(7)その他の実施形態
上記実施形態及び上記変形例の空調室内機(30)には、以下の構成が適用されてもよい。
【0112】
上記実施形態において、室内熱交換器(40)は、該室内熱交換器(40)が放熱器として機能する場合、U字接続管(400)に過冷却領域の冷媒が流れるように構成されてもよい。U字接続管(400)は、前側プレート積層体(50)から離れて配置されているため、過冷却領域の冷媒と、前側プレート積層体(50)を流れる冷媒とが熱交換してしまうことを抑制できる。
【0113】
後側プレート積層体(60)が、上記変形例2にように後側第1プレート部(60A)及び後側第2プレート部を有する場合、U字接続管(400)は、後側プレート積層体(60)の段差部(X)に対向する位置に配置されてもよい。この場合、U字接続管(400)は、後側の熱交換器本体(B)に接続されてもよいし、後側プレート積層体(60)に接続されてもよい。この室内熱交換器(40)は、該室内熱交換器(40)が蒸発器として機能する場合、過熱領域の冷媒が流れるように構成されてもよい。例えば、U字接続管(400)は、ガス端部(65)を介して第1連絡配管(12)に連通する。このように、プレート積層体(50,60)の外部に位置するU字接続管(400)に過熱領域の冷媒が流れることで、プレート積層体(50,60)内の冷媒流路(51,61)を流れる冷媒が過熱領域の冷媒と熱交換されることを抑制できる。
【0114】
後側プレート積層体(60)が、上記変形例2にように後側第1プレート部(60A)及び後側第2プレート部(60B)を有する場合、ガス端部(65)は後側第1プレート部(60A)と後側第2プレート部(60B)とが重なる部分に形成される後側冷媒流路(61)に接続されてもよい。具体的に、ガス端部(65)は、第2領域(S2)に配置されてもよい。これにより、第1連絡配管(12)からガス中継管(12a)を介して後側プレート積層体(60)に流入した冷媒は、後側第1プレート部(60A)と後側第2プレート部(60B)とを積層方向に延びる比較的長い冷媒流路(51,61)を通過するため、圧縮されたガス冷媒の圧損を抑制できる。
【0115】
室内熱交換器(40)は、ケーシング(31)に設けられる吸込口(33)と吹出口(34)と連通する空気通路(P)に配置され、段差部(X)は、右方向から見てプレート積層体(50,60)のうち空気流れの下流寄りに形成されてもよい。
【0116】
例えば夏期において、室内熱交換器(40)が蒸発器として機能する場合、空気通路(P)では吸込口(33)から吹出口(34)に向かってより温度が低くなるように温度勾配が形成される。このような空気通路(P)においてより上流のほうが、空気温度が高くなるため、室内熱交換器(40)において空気流れの下流に位置する部分よりも上流に位置する部分の方が熱交換の負荷が大きくなる。従って、段差部(X)をプレート積層体(50,60)の下流寄りの部分に設け、プレート積層体(50,60)の上流寄りの部分を厚くすることで、該プレート積層体(50,60)の上流寄りの部分において冷媒流路(51,61)数を十分確保できる。これにより、熱交換器本体(B)の上部に流れる冷媒の流量を増大でき、室内熱交換器(40)の上部において冷媒と空気との熱交換を促進できる。その結果、室内熱交換器(40)の上部における熱交換の負荷を抑えることができると共に、空気通路(P)を流れる空気との熱交換の効率を上げることできるため、室内空間の空気温度をより早く目的温度にすることができる。
【0117】
上記変形例において、後側プレート積層体(60)には、上記実施形態の前側プレート積層体(50)の第1流路(51A)及び第2流路(51B)に相当する後側冷媒流路(61)が形成されてもよい。すなわち、後側プレート積層体(50,60)は、複数の後側冷媒流路(61)が互いに交差するように構成されてもよい。
【0118】
上記実施形態および変形例において、犠牲防食効果を有する合金板の代わりに、防食性または防錆性の塗料をプレート積層体(50,60)に塗布してもよい。この場合、塗料はエポキシ樹脂系の塗料である。塗料は、プレート積層体(50,60)の右側面(502)および左側面(501)を含む前面に塗膜が形成されるように塗布すればよい。
【0119】
上記実施形態および変形例において、伝熱管(42)、プレート積層体(50,60)、冷媒配管(接続管(53)やU字接続管(400)等)、取付部材(91)及び温度センサ(70)の検知部分は銅合金またはステンレスであってもよい。また、伝熱管(42)、U字接続管(400)、取付部材(91)及び温度センサ(70)は同種の金属であることが好ましい。加えて、伝熱管(42)が銅合金であるとき、プレート積層体(50,60)及び冷媒配管も銅合金であることが好ましい。
【0120】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
以上説明したように、本開示は、室内熱交換器および空調室内機について有用である。
【符号の説明】
【0122】
12a ガス中継管(ガス管)
30 空調室内機
40 室内熱交換器
41 フィン
42 伝熱管
50,60 プレート積層体
50A,60A 第1プレート部
50B,60B 第2プレート部
51,61 冷媒流路(流路)
51A 第1流路
51B 第2流路
52,62 プレート
70 温度センサ(検知部)
400 U字接続管(接続管)
521 第1プレート(第1末端プレート)
522~524 中間プレート
525 第2末端プレート(第5プレート)
B 熱交換器本体(熱交換部)
X 段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-09-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィン(41)と、前記複数のフィン(41)を貫通する複数の伝熱管(42)とを含む熱交換部(B)と、
内部に前記伝熱管(42)と連通する流路(51,61)が設けられ、前記伝熱管(42)の延びる第1方向に積層される複数のプレート(52,62)を有するプレート積層体(50,60)とを備え、
前記プレート積層体(50,60)は、
前記第1方向に前記熱交換部(B)と隣り合って配置され、
1つ以上の前記プレート(52,62)を有する第1プレート部(50A,60A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)と形状の異なる1つ以上の前記プレート(52,62)を有し、かつ、前記第1プレート部(50A,60A)の前記熱交換部(B)に対向する面の反対側の面に配置される第2プレート部(50B,60B)とを有し、
前記プレート積層体(50,60)のうち、前記熱交換部(B)に対向する第1面(501,601)の周縁部には段差部(X)が形成され、
前記段差部(X)は、前記第1プレート部(50A,60A)および前記第2プレート部(50B,60B)により形成され
前記プレート積層体(50,60)は、3枚以上の前記プレート(52,62)からなり、
前記プレート積層体(50,60)のうち、
前記熱交換部(B)に最も近い前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)を第1末端プレート(521)とし、
前記熱交換部(B)に最も遠い前記第2プレート部(50B,60B)の前記プレート(52,62)を第2末端プレート(525)とし、
前記第1末端プレート(521)と前記第2末端プレート(525)との間に配置される前記プレート(52,62)を中間プレート(522~524)としたときに、
前記流路(51,61)は、前記中間プレート(522~524,622~624)内を通るように形成され、
前記中間プレート(522~524)の板厚は、前記第1末端プレート(521)及び前記第2末端プレート(525)の板厚よりも厚い
室内熱交換器。
【請求項2】
複数のフィン(41)と、前記複数のフィン(41)を貫通する複数の伝熱管(42)とを含む熱交換部(B)と、
内部に前記伝熱管(42)と連通する流路(51,61)が設けられ、前記伝熱管(42)の延びる第1方向に積層される複数のプレート(52,62)を有するプレート積層体(50,60)とを備え、
前記プレート積層体(50,60)は、
前記第1方向に前記熱交換部(B)と隣り合って配置され、
1つ以上の前記プレート(52,62)を有する第1プレート部(50A,60A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)と形状の異なる1つ以上の前記プレート(52,62)を有し、かつ、前記第1プレート部(50A,60A)の前記熱交換部(B)に対向する面の反対側の面に配置される第2プレート部(50B,60B)とを有し、
前記プレート積層体(50,60)のうち、前記熱交換部(B)に対向する第1面(501,601)の周縁部には段差部(X)が形成され、
前記段差部(X)は、前記第1プレート部(50A,60A)および前記第2プレート部(50B,60B)により形成され、
前記流路(51,61)は、
前記第1プレート部(50A,60A)に設けられる第1流路(51A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)と前記第2プレート部(50B,60B)とに亘って設けられる第2流路(51B)とを有し、
第2流路(51B)は、第1流路(51A)を交差するように形成される
室内熱交換器。
【請求項3】
複数のフィン(41)と、前記複数のフィン(41)を貫通する複数の伝熱管(42)とを含む熱交換部(B)と、
内部に前記伝熱管(42)と連通する流路(51,61)が設けられ、前記伝熱管(42)の延びる第1方向に積層される複数のプレート(52,62)を有するプレート積層体(50,60)とを備え、
前記プレート積層体(50,60)は、
前記第1方向に前記熱交換部(B)と隣り合って配置され、
1つ以上の前記プレート(52,62)を有する第1プレート部(50A,60A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)と形状の異なる1つ以上の前記プレート(52,62)を有し、かつ、前記第1プレート部(50A,60A)の前記熱交換部(B)に対向する面の反対側の面に配置される第2プレート部(50B,60B)とを有し、
前記プレート積層体(50,60)のうち、前記熱交換部(B)に対向する第1面(501,601)の周縁部には段差部(X)が形成され、
前記段差部(X)は、前記第1プレート部(50A,60A)および前記第2プレート部(50B,60B)により形成され、
前記熱交換部(B)には、該熱交換部(B)と前記プレート積層体(50,60)との間に配置され、2つの前記伝熱管(42)同士を接続するU字状の接続管(400)が設けられ、
前記接続管(400)は、前記第1方向から見て前記段差部(X)に対向する位置に設けられる
室内熱交換器。
【請求項4】
前記プレート積層体(50,60)のうち、第1面(501,601)および該第1面(501,601)の反対側の第2面(502,602)の少なくとも一部には、防食加工が施されている
請求項1~3のいずれか1つに記載の室内熱交換器。
【請求項5】
前記第1方向と反対側から前記プレート積層体(50,60)を見て、前記第2プレート部(50B,60B)のうち前記第1プレート部(50A,60A)が重なっていない部分の面積は、前記第1プレート部(50A,60A)が重なっている部分の面積よりも小さい
請求項1~3のいずれか1つに記載の室内熱交換器。
【請求項6】
前記室内熱交換器内の所定の情報を検知する検知部(70)をさらに備え、
前記検知部(70)は、前記段差部(X)に対向する位置に設けられる
請求項1~3のいずれか1つに記載の室内熱交換器。
【請求項7】
前記伝熱管(42)を流れる冷媒の温度を検知する検知部(70)をさらに備え、
前記検知部(70)は前記接続管(400)に設けられる
請求項に記載の室内熱交換器。
【請求項8】
前記接続管(400)には、
前記室内熱交換器が蒸発器として機能する場合、過熱領域の冷媒が流れ、
前記室内熱交換器が放熱器として機能する場合、過冷却領域の冷媒が流れる
請求項に記載の室内熱交換器。
【請求項9】
複数のフィン(41)と、前記複数のフィン(41)を貫通する複数の伝熱管(42)とを含む熱交換部(B)と、
内部に前記伝熱管(42)と連通する流路(51,61)が設けられ、前記伝熱管(42)の延びる第1方向に積層される複数のプレート(52,62)を有するプレート積層体(50,60)とを備え、
前記プレート積層体(50,60)は、
前記第1方向に前記熱交換部(B)と隣り合って配置され、
1つ以上の前記プレート(52,62)を有する第1プレート部(50A,60A)と、
前記第1プレート部(50A,60A)の前記プレート(52,62)と形状の異なる1つ以上の前記プレート(52,62)を有し、かつ、前記第1プレート部(50A,60A)の前記熱交換部(B)に対向する面の反対側の面に配置される第2プレート部(50B,60B)とを有し、
前記プレート積層体(50,60)のうち、前記熱交換部(B)に対向する第1面(501,601)の周縁部には段差部(X)が形成され、
前記段差部(X)は、前記第1プレート部(50A,60A)および前記第2プレート部(50B,60B)により形成される室内熱交換器と、
圧縮された冷媒ガスが前記室内熱交換器(40)に搬送されるガス管(12a)とを備え、
前記ガス管(12a)は、前記プレート積層体(50,60)のうち前記第1プレート部(50A,60A)と前記第2プレート部(50B,60B)とが重なる部分に形成される前記流路(51,61)に接続される
空調室内機。